JP2004172482A - エッチング方法並びにナノデバイスの作製方法 - Google Patents

エッチング方法並びにナノデバイスの作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光湿式化学エッチングする領域をナノスケールオーダで自在に選択する。
【解決手段】エッチング溶液を試料3と接触させることにより、光湿式化学エッチングを進行させつつ、光の偏光方向を1/2波長板14により制御してこれを試料3表面へ照射することにより、光湿式化学エッチングする領域をナノスケールオーダで自在に選択する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エッチング溶液により試料表面に対して光湿式化学エッチングするエッチング方法並びにかかる工程を有するナノデバイスの作製方法につき、特に光湿式化学エッチングする領域を選択することに好適なエッチング方法並びにナノデバイスの作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、シリコン結晶等から構成されるナノデバイスは、携帯電話のディスプレイ、音響素子、さらには近接場光スイッチへの応用が期待されている。かかるナノデバイスの微細加工方法として、従来より固液相化学反応を利用した湿式化学エッチングが用いられている。
【0003】
この湿式化学エッチングでは、材料表面を溶解させるための酸化剤と、それに対応する還元反応のための還元剤からなるエッチング溶液に基づき、内部で誘起する電子をドリフトさせてナノデバイスの表面を腐食させる。湿式化学エッチングでは、エッチング溶液による純粋な化学反応を利用するため、材料間のエッチング速度比を高めることができ、材料表面の劣化を防ぐこともできる。この湿式化学エッチングでは、溶液の組成や温度に加えて、ナノデバイスの構造、結晶方位、不純物密度等のパラメータを制御することにより、エッチング条件を選択することができる。
【0004】
特に近年の湿式化学エッチングでは、ナノデバイスに対して同時に電界を印加することにより、内部に生成される電子及びホールを増やしてエッチングを促進するいわゆる電界による化学エッチングが提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。また、ナノデバイスに対して同時に光を照射することにより、内部に生成される電子及びホールを増やしてエッチングを促進するいわゆる光による化学エッチングも提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0005】
【非特許文献1】
Z.Yamani,et al,Applied Physics Letters 72,2556(1998)
【非特許文献2】
Y.Naokatsu,et al,Thin Solid Film 388,138(2001)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、光情報通信の大容量化の観点から光素子の高集積化、微細化が要求され、複数の半導体量子ドットにより構成されるナノデバイス、又はこれを用いた光スイッチも提案されている。このため、試料の形状や結晶方位等に応じてエッチングする領域をリアルタイムに、かつナノスケールオーダで選択する必要がある。
【0007】
しかしながら、上述した従来の湿式化学エッチング方法では、各種パラメータを制御することによりエッチング速度,深さ等を選択することができるが、エッチングする領域を自在に選択することができなかった。
【0008】
そこで、本発明は上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、湿式化学エッチングする領域をナノスケールオーダで自在に選択することができるエッチング方法並びにかかる工程を有するナノデバイスの作製方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明を適用したエッチング方法は、上述した課題を解決するために、エッチング溶液により試料表面に対して光湿式化学エッチングするエッチング方法において、外部から上記試料表面へ光を照射し、上記照射する光の偏光方向を制御する。
【0010】
このエッチング方法は、光湿式化学エッチングを進行させつつ、光の偏光方向を制御してこれを試料表面へ照射することにより、上記光湿式化学エッチングする領域を選択する。
【0011】
本発明を適用したナノデバイスの作製方法は、上述した課題を解決するために、基板材料表面に対して光湿式化学エッチングする工程を有するナノデバイスの作製方法において、外部から上記基板材料表面へ光を照射し、上記照射する光の偏光方向を制御する。
【0012】
このナノデバイスの作製方法は、光湿式化学エッチングする工程において、光の偏光方向を制御してこれを基板材料表面へ照射することにより、上記光湿式化学エッチングする領域を選択する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
本発明の実施の形態として以下説明を行うエッチング方法並びにナノデバイスの作製方法は、偏光方向の制御された光を照射しつつ、光湿式化学エッチングする工程(以下、エッチング工程という。)を有する。図1は、このエッチング工程において用いられるシステム1の構成例を示している。
【0015】
この図1に示すシステム1は、光を発振する光発振器11と、光発振器11により発振された光の偏光方向を変えて、これを試料3へ照射する1/2波長板14と、固定した試料3をエッチング溶液と接触させるための容器15とを備えている。
【0016】
光発振器11は、図示しない電源装置を介して受給した駆動電源に基づき光発振し、例えば、Nd:YAG等の固体レーザ、GaAs等の半導体レーザ、ArF等のガスレーザ、等の各種レーザ、さらには、LEDもしくはキセノンランプ等の光を出射する光源である。ちなみに、この図1の例では、発振する光の波長を688nmとする。
【0017】
1/2波長板14は、光発振器11からの光の偏光方向を90°回転させて、これを試料3へ照射する。かかる光が照射される試料3では、基底準位にある励起子を励起準位へ励起させることができ、電子及びホールを生成させてエッチングを促進させることができる。なお、試料3へ照射する光を図示しないレンズにより収束させて、スポット径を約2mmになるように調整してもよい。
【0018】
この1/2波長板14は、回転機構が装着され、回転機構を駆動させることにより、光発振器からの偏光方向を図中矢印方向へ回転させることが可能となる。このため、1/2波長板14の回転角を制御することにより、試料3に照射する光の偏光方向を自在に調節することが可能となる。なお、1/2波長板14の代替として、偏光方向を回転させることができるスリットを用いてもよい。
【0019】
容器15内に配設される試料3は、引き上げ法等により育成して得たシリコンの大型結晶を表面が(100)面になるようにウェハ状に切り出したものである。この切り出した試料3は、エッチングする表面状態を良好に保持すべく、通常機械研磨や化学研磨等の処理が施される。ちなみに、この試料3として、シリコン以外に、GaAs、GaN、ZnO等、光によって電子を誘起可能な物質を用いてもよいことは勿論である。
【0020】
また容器15内のエッチング溶液は、試料3表面を溶解させるための酸化剤と、それに対応する還元反応のための還元剤から構成される混合溶液であり、例えば55%HFとHを体積比1:1で混合することにより得られるフッ酸水溶液を用いる。このフッ酸水溶液を、シリコン結晶からなる試料3表面に接触させることにより、液相−固相界面における化学反応を利用したいわゆる化学エッチングを進行させることが可能となる。
【0021】
すなわち本発明を適用したエッチング方法では、このようなエッチングを進行させつつ、1/2波長板14により偏光方向を制御した光を照射する。このとき試料3表面においてエッチングされる領域は、照射される光の偏光方向に依存する。かかる現象を利用し、照射する光の偏光方向を1/2波長板14により自在に制御することにより、エッチングする領域をナノスケールで選択することも可能となる。
【0022】
ちなみに、この照射する光の偏光方向に基づくエッチング領域は、試料3表面の結晶方位にも依存する。このため、試料3の表面の結晶方位に応じて、照射する光の偏光方向を制御することにより、エッチングする領域をナノスケールで選択することができる。
【0023】
また、この照射する光の偏光方向に基づくエッチング領域は、試料3表面に対する光の入射角にも依存する。このため、試料3表面への光の入射角に応じて、照射する光の偏光方向を制御することにより、エッチングする領域をナノスケールで選択することができる。特に試料3表面の結晶方位と、この光の入射角を自在に組み合わせることにより、エッチング領域の選択性を状況に応じて高めることも可能となる。
【0024】
また、本発明では、凹凸形状を有する試料3aについても、照射する光の偏光方向を制御することにより、エッチングする領域をナノスケールで選択することができる。図2は、いわゆる四角錐型の凸部を表面上に設けた試料3aの斜視図を示している。この試料3aの凸部の幅は、約28μmであり、頂点の高さは、約21μmである。このような試料3aは、34gのKOHを60mlのHOに溶解させ、さらにIPA(Isopropyl Alcohol)を40ml混合したエッチング溶液に試料3を接触させることにより作製することができる。ちなみに、このエッチング溶液の温度を約80℃とし、またエッチングの時間は23分以内とすることにより、凸部の形状をより精巧な四角錐にコントロールすることが可能となる。
【0025】
このような試料3aに対して、偏光方向を図2に示すように、それぞれ0°、45°に制御した光を照射する。その結果、照射する光の偏光方向が0°の場合には、図3(a)に示すようにナノスケールで形成されている四角錐の稜線に沿って優先的にエッチングされる。一方、照射する光の偏光方向が45°の場合には、図3(b)に示すように、凸部全体がエッチングされる。
【0026】
すなわち本発明を適用したエッチング方法において、試料3a表面においてエッチングされる領域は、照射される光の偏光方向のみならず、試料3aの形状自体にも依存する。また、試料3aの表面にナノスケールの微細な凹凸構造を形成することにより、ナノスケールの領域を局所的にエッチングすることが可能となる。さらに本発明では、試料3a表面に形成されている形状に応じて、照射する光の偏光方向を1/2波長板14によりリアルタイムに制御することにより、エッチングする領域を選択することも可能となる。
【0027】
なお、いずれの偏光方向の光を照射する場合であっても、図3に示す例では、凸部の頂点から先にエッチングされるため、エッチング時間を制御することにより、頂点部分のみ選択的にエッチングすることも可能となる。また、偏光方向が0°の場合には、頂点部分につきエッチングされた後に、稜線を伝ってエッチングされるため、エッチング時間を制御することによりエッチングする稜線長を選択することも可能となる。
【0028】
ちなみに、上述の四角錐からなる凸部を例にとり説明をしたが、例えば三角錐、六角錘等様々な形状に対しても、照射する偏光方向を自在に制御することにより、同様にエッチングする領域をナノスケールで選択することができる。
【0029】
ちなみに、1/2波長板14により、作り出す偏光成分は、直線偏光に限定されるものではなく、円偏光であってもよい。仮に円偏光の光を、円錐形からなる凸部に照射することにより、エッチングを円周方向へ促進させることができ、ひいては凸部先端をより先鋭化させることも可能となる。
【0030】
また、図3(c)に示すように、試料3に微小な凹凸部が存在すると、かかる部分から先にエッチングが進行する。特に、光を照射することにより、図4(a)に示すように微小な凹凸部の先鋭化した底部に近接場光等の局在光が生じる。このため、底部におけるエッチングが著しく進行し、図4(b)に示すように、凹凸部の底部をより先鋭化させつつ、深さ方向へのエッチングを促進させることができる。ちなみに、この発生する局在光についても、照射される光の偏光方向に依存する。このため本発明を適用したエッチング方法では、照射する光の偏光方向を制御することにより、エッチングする深さ方向の領域を自在に選択することも可能となる。
【0031】
さらに本発明では、図5に示すように試料3に対して同時に電界を印加することにより、内部に電子及びホールをさらに生成させ、上述したエッチングを促進させることもできる。
【0032】
すなわち、試料3をアノードとし、その試料3の周囲にエッチング溶液を介してプラチナ等の電極材料を円形に成型したカソード23を配設する。さらにこの試料3とカソード23間に電源22により電圧を印加し、電流計21により流れる電流を介して回路を移動する電子、ひいては試料3−エッチング溶液界面における化学反応の進行状況を識別する。そして、かかる印加する電圧を制御することにより、エッチングを促進させ、或いは抑制する。
【0033】
このように本発明を適用したエッチング方法では、照射する光の偏光方向を制御することにより、エッチングする領域を選択しつつ、さらに印加する電圧を制御することにより、エッチング速度等をも選択することができる。
【0034】
また、上述の如きエッチング工程を有するナノデバイスの作製方法を利用することにより、例えば半導体量子ドット等のナノ微粒子からなるナノデバイスを作製することができる。
【0035】
図6(a)に示すように、互いにサイズの異なるナノ微粒子51aと、ナノ微粒子51bは、ナノ微粒子の励起準位と基底準位との差であるエネルギーギャップEが異なる。ここでエネルギーギャップEは、hνで表すことができ、ナノ微粒子51aのエネルギーギャップEをhν1、またナノ微粒子51bのエネルギーギャップEをhν2とする。このとき、周波数がν2である光をナノ微粒子51a、51bにそれぞれ照射すると、エネルギーギャップの小さいナノ微粒子51bのみ励起子を励起させて、電子とホールを生成することができるため、エッチングを促進することができる。一方、エネルギーギャップの大きいナノ微粒子51aは、同じ端数ν2の光が照射されても、励起子を励起させることができず、エッチングを促進することができない。
【0036】
すなわち、照射する光の周波数νを制御することにより、励起子を励起させてエッチングを促進させるナノ微粒子51を選択することができる。また、この現象を利用することにより図6(b)に示すように、三角錐状の凸部に対して、照射する光の偏光方向を制御しつつ、さらに照射する光の波長をも制御することにより、稜線部分に形成されるナノ微粒子51のサイズを選択することができる。
【0037】
例えば、周波数νの大小関係が、ν1>ν2>ν3、であるとき、最初に周波数ν3の光を照射して稜線部分にバンドギャップhν3からなるナノ微粒子51をエッチングし、次に周波数ν2の光を照射することにより、バンドギャップhν2からなるナノ微粒子51をエッチングし、さらに周波数ν1の光を照射することにより、バンドギャップhν1からなるナノ微粒子51をエッチングすることができる。すなわち、照射する光の周波数νを段階的に変えることで、エッチングするナノ微粒子51の順序をも選択することも可能となる。
【0038】
ちなみに、このナノ微粒子51における励起子の励起は、光強度にも依存する。これを利用することにより、例えば図6(c)に示すように先端に近づくにつれてサイズが大きくなるようにナノ微粒子51を形成させたナノデバイスを効率よくエッチングすることができる。すなわち波長νからなる光を、サイズの小さいナノ微粒子51へ先ず照射すると、かかる照射された光は、サイズの小さいナノ微粒子51からサイズの大きいナノ微粒子51へ徐々に伝搬する。その結果、光の減衰により光強度は低下し、励起子が励起されるナノ微粒子51のサイズは徐々に大きくなる。
【0039】
すなわち、本発明を適用したナノデバイスの作製方法では、照射する光の偏光方向に加えて、光の波長、強度をも制御することにより、エッチングするナノ微粒子のサイズを制御することができる。また、ナノデバイス以外にも、サイズの異なるナノ微粒子51から構成されるレンズを作製することができる。またナノ微粒子51を半導体量子ドットとすることにより、大きさの異なる複数の半導体量子ドットからなる伝送路を効率よくエッチングして作製することも可能となる。
【0040】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明を適用したエッチング方法では、光湿式化学エッチングを進行させつつ、光の偏光方向を制御してこれを試料表面へ照射する。これにより、光湿式化学エッチングする領域をナノスケールオーダで自在に選択することができる。
【0041】
以上詳細に説明したように、本発明を適用したナノデバイスの作製方法では、光湿式化学エッチングする工程において、光の偏光方向を制御してこれを試料表面へ照射する。これにより、光湿式化学エッチングする領域をナノスケールオーダで自在に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エッチング工程において用いられるシステムの構成例を示す図である。
【図2】いわゆる四角錐型の凸部を表面上に設けた試料の斜視図である。
【図3】照射する光の偏光方向に対するエッチング傾向を示す図である。
【図4】凹凸部の底部において局在光を発生させてエッチングする例を示す図である。
【図5】試料に対して同時に電界を印加することにより、内部に電子及びホールをさらに生成させてエッチングを促進させる例を示す図である。
【図6】本発明を適用したナノデバイスの作製方法により作製するナノデバイスの例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 システム、3 試料、11 光発振器、14 1/2波長板、15 容器、51 ナノ微粒子

Claims (12)

  1. エッチング溶液により試料表面に対して光湿式化学エッチングするエッチング方法において、
    上記試料表面へ光を照射し、
    上記照射する光の偏光方向を制御すること
    を特徴とするエッチング方法。
  2. 上記試料表面の形状に応じて、上記照射する光の偏光方向を制御すること
    を特徴とする請求項1記載のエッチング方法。
  3. 上記試料表面に局在する微小構造物に応じて発生する局在光を制御すること
    を特徴とする請求項1、又は請求項2記載のエッチング方法。
  4. 上記試料表面の結晶方位及び/又は上記光の試料表面への入射角に応じて、上記照射する光の偏光方向を制御すること
    を特徴とする請求項1記載のエッチング方法。
  5. 上記試料と、上記エッチング溶液内に配設された他の金属材料との間に電界を印加すること
    を特徴とする請求項1記載のエッチング方法。
  6. 基板材料表面に対して光湿式化学エッチングする工程を有するナノデバイスの作製方法において、
    上記基板材料表面へ光を照射し、
    上記照射する光の偏光方向を制御すること
    を特徴とするナノデバイスの作製方法。
  7. 上記基板材料表面の形状に応じて、上記照射する光の偏光方向を制御すること
    を特徴とする請求項6記載のナノデバイスの作製方法。
  8. 上記基板材料表面に局在する微小構造物に応じて発生する局在光を制御すること
    を特徴とする請求項6、又は請求項7記載のナノデバイスの作製方法。
  9. 上記基板材料表面の結晶方位及び/又は上記光の基板材料表面への入射角に応じて、上記照射する光の偏光方向を制御すること
    を特徴とする請求項6記載のナノデバイスの作製方法。
  10. 上記基板材料と、上記エッチング溶液内に配設された他の金属材料との間に電界を印加すること
    を特徴とする請求項6記載のナノデバイスの作製方法。
  11. 上記光湿式化学エッチングする工程において、試料表面の形状を制御すること
    を特徴とする請求項6記載のナノデバイスの作製方法。
  12. 上記照射する光の光強度及び/又は周波数を制御すること
    を特徴とする請求項11記載のナノデバイスの作製方法。
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