JP2006079873A - 深紫外線固体発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 不純物の影響を全く受けない、固有の特性を反映した高輝度短波長紫外線発光する高純度六方晶窒化ホウ素単結晶を利用し、高輝度深紫外光発光する具体的素子ないし装置を提供する。
【解決手段】 波長215nm近傍に単独発光ピークが存する深紫外光を発光する高純度六方晶窒化ホウ素結晶からなる発光層と、該発光層を励起する手段とを真空容器中に封入し、励起手段によって励起されて発光層から放出される深紫外光が真空容器に設けられた窓を介して外部に発振、放出するようにする。
【選択図】 図4
【解決手段】 波長215nm近傍に単独発光ピークが存する深紫外光を発光する高純度六方晶窒化ホウ素結晶からなる発光層と、該発光層を励起する手段とを真空容器中に封入し、励起手段によって励起されて発光層から放出される深紫外光が真空容器に設けられた窓を介して外部に発振、放出するようにする。
【選択図】 図4
Description
本発明は、波長215nm近傍に単独発光ピークが存する深紫外光を高輝度発光する深紫外光固体発光装置に関する。詳しくは、本発明は、波長215nm近傍に単独発光ピークが存する深紫外光を発光する高純度六方晶窒化ホウ素結晶を発光層に用い、且つ該発光層励起手段を具備した、深紫外光固体発光装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、該発光層励起手段が、電子線放出励起手段による、深紫外光固体発光装置に関する。
さらにまた詳しくは、本発明は、該電子線放出励起手段が、電子線放出突起部を有するダイヤモンド基板と、基板に電圧を印加し電子線放出を制御する制御機構とを含み、これらが素子化され、あるいはモジュール化されて真空容器内に収容された深紫外光固体発光装置に関する。またさらに、本発明は、該発光層と該電子線放出励起手段とが素子化され、あるいはモジュール化されてなる、深紫外光固体発光装置に関する。
深紫外域高輝度発光素子の開発は、近年窒化ガリウムおよびその固溶体を始め、種々の材料によって、発光波長300nm台の発光素子が提案され、実現化に向けて開発が進められてきた(非特許文献1および2)。これら固体発光素子の発光波長の短波長化は、記録媒体への書き込みの高密度化等を始めとして、高密度光ディスク(DVD)、環境汚染物質の分解、殺菌等、各種技術分野において幅広い多くの応用・需要があり、現在までのところ200nm台の発光素子としてダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素ならびに窒化アルミニウムが候補として挙げられ、応用に向けた研究が進められている。
短波長領域の高輝度発光素子を探索する上では、広いバンドギャップを有すること、化学的に安定であること、望ましくは直接遷移型の半導体であることなどが重要な要因として挙げられる。この条件を満たす物質としては、これまで窒化アルミニウムないしはその固溶体が知られていた。しかしながら、窒化アルミニウムないしはその固溶体は、不純物制御並びに結晶性制御に技術的困難を伴うことから、現状では、デバイス応用化研究が充分に進んでいるとは言いがたいものであった。
これに対して、六方晶窒化ホウ素(hBN)を発光層とし、これを励起することにより紫外光を得ることも提案されている(非特許文献3)。しかしながら、これについては実現を阻む要因があった。hBNは化学的に安定な絶縁材料として古くから利用され、酸化ホウ素とアンモニアとの気相反応によって合成され、今日では多くの形態(粉末、焼結体、膜状の形態など)で利用されている。しかしながら、前示した気相反応によって得られるhBNは、不純物に起因し、その固有のバンドギャップに相当する発光特性性を有するものを得ることは困難であった。この材料を短波長領域の高輝度発光素子として利用しようとすると、高純度単結晶の合成手段を確立することが先決である。これまでの段階では、発光波長200nm台の固体発光素子としての可能性に着目し、hBNの合成方法によって、高純度のものを得、期待される発光特性を持ったhBN単結晶を得るのに成功したとの報告はなされていなかった。
このような状況のもとで、本発明者らの研究グループにおいては、上記条件を満たす、窒化アルミニウム、あるいは、従前の製造方法によって得られる六方晶窒化ホウ素に代わる物質、あるいは異なる製造プロセスによる物質を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、波長215nm近傍に単一発光ピークが存する深紫外光を発光する高輝度固体発光物質とその合成方法ならびに該物質からなる短波長発光素子の開発に成功し、その成果を先に特許出願した(特許文献1、2)。すなわち、窒化ホウ素原料を高純度の溶媒の存在下で、高
温高圧処理することによって、再溶融、再結晶化することによって、215nm近傍に単一発光ピークが存する深紫外光を発光する高純度六方晶窒化ホウ素結晶を創生するものであり、さらにこの結晶を深紫外固体発光素子ないし装置とする基本概念について提案し、特許出願した。
温高圧処理することによって、再溶融、再結晶化することによって、215nm近傍に単一発光ピークが存する深紫外光を発光する高純度六方晶窒化ホウ素結晶を創生するものであり、さらにこの結晶を深紫外固体発光素子ないし装置とする基本概念について提案し、特許出願した。
応用物理学会誌 応用物理、65巻7号、p.676−686(1996)、"GaN系発光素子の現状と将来"
応用物理学会誌 応用物理、71巻12号、p.1518−1522(2002)、"照明光源をめざしたGaN系発光ダイオード"
nature materials,vol.3,404−409(2004)
特願2003−388467
特願2004−035501
本発明者らにおいては、前記した特許出願による先行技術を基礎にして、そこに記載された基本概念を実際に実現する具体的素子設計ないしは装置設計を提案するものである。すなわち、該先の出願による先行技術によって得られる特有な発光特性を有する六方晶窒化ホウ素結晶を利用し、これまでのようにガスを用いた大型装置あるいは複雑で高価な半導体装置によらない、簡単で、小型、低コスト、高効率な深紫外域・高輝度発光固体発光装置を開発、提供しようというものである。すなわち、先の特許出願による先行技術によって得られた、深紫外域・発光特性を有する高純度六方晶窒化ホウ素を活性媒質として用いた深紫外領域における固体発光素子を開発・提供しようというものである。
もとより、六方晶窒化ホウ素は、最近の我々の先駆的研究によりバンドギャップ5.971eV(207.6nm)をもつ直接型半導体であることが分かっている。また、上記特許出願において発表した本発明者らの合成法による結晶成長技術を用いると該特有な発光ピークを有する高純度結晶が容易に作製することができることから、これを直接型半導体として使用することによって、従来のこの種の深紫外域・発光装置とは全く異なった、新規で簡単、小型、低コスト、高効率、室温で、215nmをピークとする単峰性の高輝度固体発光素子ないしは装置設計を具体的に提供しようというものである。
そのため、本発明者らにおいては鋭意研究した結果、上記特許出願による先行技術をステップとし、この先行技術によって得られた高純度六方晶窒化ホウ素結晶を発光層として利用し、この発光層に発光層を励起する手段を設定し、具備することによって、従来のように水冷装置を要するガスを用いた大型な装置設計を有する深紫外光源や、幾層にもわたる複雑な接合を繰り返して製作されるコストのかかる半導体固体発光デバイスによらない、簡単で、小型、高効率な深紫外光固体発光装置を容易に設計し、提供することができることを知見したものである。本発明はこの知見に基づいてなされたものであり、その構成は、以下(1)〜(5)に記載するとおりである。
(1) 波長215nm近傍に単独発光ピークが存する深紫外光を発光する高純度六方晶窒化ホウ素結晶からなる発光層と、該発光層を励起する手段とを真空容器中に封入し、励起手段によって励起されて発光層から放出される深紫外光が真空容器に設けられた窓を介して外部に発振、放出するようにしたことを特徴とする、深紫外光固体発光装置。
(2) 該発光層励起手段が、電子線放出手段による励起手段である、前記(1)項に記載する深紫外光固体発光装置。
(3) 該電子線放出手段による励起手段が、六方晶窒化ホウ素結晶からなる発光層裏面
に取り付けられたアノード電極と、発光層に絶縁スペーサーを介して取り付けられた電子線放出基板と、電子線放出基板裏面に取り付けられたカソード電極と、両電極間に電圧を印加する手段とからなり、両電極間に電圧を印加することによって、電子放出基板から発光層に電子線が放出されるようにしたことを特徴とする、前記(2)項に記載する深紫外光固体発光装置。
(4) 該絶縁スペーサーを介して発光層に離間して取り付けられた電子線放出基板が、ダイヤモンド基板であることを特徴とした、前記(3)項に記載する深紫外光固体発光装置。
(5) 該ダイヤモンド基板には、発光層に対向している面にピラミッド型電子線放出突起部を格子状に多数配列した構造としたことを特徴とする、前記(4)項に記載する深紫外光固体発光装置。
(2) 該発光層励起手段が、電子線放出手段による励起手段である、前記(1)項に記載する深紫外光固体発光装置。
(3) 該電子線放出手段による励起手段が、六方晶窒化ホウ素結晶からなる発光層裏面
に取り付けられたアノード電極と、発光層に絶縁スペーサーを介して取り付けられた電子線放出基板と、電子線放出基板裏面に取り付けられたカソード電極と、両電極間に電圧を印加する手段とからなり、両電極間に電圧を印加することによって、電子放出基板から発光層に電子線が放出されるようにしたことを特徴とする、前記(2)項に記載する深紫外光固体発光装置。
(4) 該絶縁スペーサーを介して発光層に離間して取り付けられた電子線放出基板が、ダイヤモンド基板であることを特徴とした、前記(3)項に記載する深紫外光固体発光装置。
(5) 該ダイヤモンド基板には、発光層に対向している面にピラミッド型電子線放出突起部を格子状に多数配列した構造としたことを特徴とする、前記(4)項に記載する深紫外光固体発光装置。
本発明は、上記高純度窒化ホウ素結晶を発光層に使用し、この発光層に励起手段、とりわけ、電子線放出突起部を形成したダイヤモンド基板による電子線励起手段と、励起手段を作動させる電圧を印加する電源手段からなり、これらの機素を深紫外光を取り出す石英等の窓のある真空容器に収容し、取り付けた極めて簡単な構成、設計とすることによって、小型で、低コスト、高効率、超寿命、室温で、215nmをピークとする単峰性の高輝度固体発光素子ないしは装置を提供するのに成功したものであり、この発明によれば、高純度六方晶窒化ホウ素結晶を作製することにより、複雑な半導体伝導性制御を行うことなく、また複雑なデバイス構造(pn構造またはpin構造)を作ることなく、容易に深紫外領域215nmの固体発光装置を得ることができ、その意義は極めて大きい。すなわち、上記したような利便性と高性能を併せ持つ小型の深紫外線発光素子・装置は多くの技術分野から求められ、期待されており、その応用範囲は、半導体分野(フォトリソグラフィーの高細密化)、情報分野(次世代大容量光ディスク)、医療・生体分野(眼科治療、DNA切断など)、環境分野(殺菌等)など多岐にわたり、今後大いに利用され、これらの技術分野の発展に大いに寄与することが期待される。
以下、本発明を図面及び実施例に基づいて具体的に説明する。これらの具体例は、本発明を容易に理解し、実施するための一助として開示するものであって、本発明をこれによって限定する趣旨ではない。
すなわち、本発明の実施例として示す以下の具体例では、加速した電子により励起された六方晶窒化ホウ素単結晶による波長215nmの固体発光素子を実現する例を説明する。これらの説明中で述べる使用材料および、不純物濃度、膜厚などの数値的条件は、この発明の範囲内の一例にすぎず、本発明はこれらの具体例によって限定されるものではない。
図1は、実施例1に記載されたプロセスによって合成された本発明で使用する高純度六方晶窒化ホウ素結晶の室温における電子励起発光スペクトルを示した図であり、図2は、低温での吸収スペクトルと電子励起発光スペクトルを示した図である。また、図3-1から図3-7は、本発明のダイヤモンド基板による電子放出デバイスの作製工程を、各段階ごとに図解して示した工程図である。図4は、この工程によって作製された本発明の紫外線放出素子の構造を示し、図5は、紫外線放出素子の発光特性を例示した図である。
実施例1:高純度六方晶窒化ホウ素結晶試料作製
まず、以下の実施例2および3に供する高純度六方晶窒化ホウ素の製造法の例を示す。真空中で1500℃、窒素気流中で2000℃の熱処理による脱酸素処理を施した六方晶窒化ホウ素焼結体(粒径約0.5μm)をホウ窒化バリウム溶媒とともに高圧容器内のモリ
ブデンカプセルに充填した。これらの溶媒の調整並びに試料のカプセルへの充填は、すべて乾燥窒素雰囲気中で行った。高圧反応容器をベルト型超高圧力発生装置により2.5万気圧、1700℃、の圧力、温度条件で20時間処理した。昇温速度は50℃/分とした。前記高温高圧処理終了後、500℃/分の冷却速度で温度を下げ、次いで除圧し、試料を圧力容器内のモリブデンカプセルと共に回収する。機械的処理と化学処理(塩酸−硝酸混酸溶液)によりモリブデンカプセルを除去し、試料を回収した。回収した試料は、無色、透明で六角柱状を呈した結晶(1〜3mm程度)が得られた。
まず、以下の実施例2および3に供する高純度六方晶窒化ホウ素の製造法の例を示す。真空中で1500℃、窒素気流中で2000℃の熱処理による脱酸素処理を施した六方晶窒化ホウ素焼結体(粒径約0.5μm)をホウ窒化バリウム溶媒とともに高圧容器内のモリ
ブデンカプセルに充填した。これらの溶媒の調整並びに試料のカプセルへの充填は、すべて乾燥窒素雰囲気中で行った。高圧反応容器をベルト型超高圧力発生装置により2.5万気圧、1700℃、の圧力、温度条件で20時間処理した。昇温速度は50℃/分とした。前記高温高圧処理終了後、500℃/分の冷却速度で温度を下げ、次いで除圧し、試料を圧力容器内のモリブデンカプセルと共に回収する。機械的処理と化学処理(塩酸−硝酸混酸溶液)によりモリブデンカプセルを除去し、試料を回収した。回収した試料は、無色、透明で六角柱状を呈した結晶(1〜3mm程度)が得られた。
得られた結晶を光学顕微鏡観察、SEM観察、X線回折による相の同定、ならびに光学的特性試験(透過率、カソードルミネッセンス)等に各種分析手段によって分析し、評価した。その結果は、以下の通りであった。
結晶粒子のX線回折図形より、結晶はhBN単相であることが確認された。
カソードルミネッセンス観察では図1に示すように室温において波長215nm近傍に単峰性の高輝度の紫外線発光が、また、図2に示すように温度83Kにおいて210nmから235nmにおいて紫外線発光スペクトル(図中↑で示す)が観測された。
光吸収測定では、波長2500nmから200nm近傍にかけて高い透過率を示し、図2に示すように温度8Kにおいて波長208nmと213nmに光吸収構造(図中↓で示す)が観測された。
得られた単結晶はc面に強い劈開性を有していたのでこの劈開性を利用して数十ミクロンから数ミクロン程度の薄膜(面積数平方ミリ程度)を切り出し、その裏面をTi/Au蒸着(厚み15nm程度)を蒸着することによりアノードを形成し、これを以下の実施例で使用する発光層とした。
結晶粒子のX線回折図形より、結晶はhBN単相であることが確認された。
カソードルミネッセンス観察では図1に示すように室温において波長215nm近傍に単峰性の高輝度の紫外線発光が、また、図2に示すように温度83Kにおいて210nmから235nmにおいて紫外線発光スペクトル(図中↑で示す)が観測された。
光吸収測定では、波長2500nmから200nm近傍にかけて高い透過率を示し、図2に示すように温度8Kにおいて波長208nmと213nmに光吸収構造(図中↓で示す)が観測された。
得られた単結晶はc面に強い劈開性を有していたのでこの劈開性を利用して数十ミクロンから数ミクロン程度の薄膜(面積数平方ミリ程度)を切り出し、その裏面をTi/Au蒸着(厚み15nm程度)を蒸着することによりアノードを形成し、これを以下の実施例で使用する発光層とした。
実施例2:ダイヤモンド電子放出デバイスの作製(図3)
次にダイヤモンド電子放出デバイスの作製例を示す。
図3-1に示されるようにシリコン(100)基板上にSiO2を200nm程度の厚み
で一様に蒸着した。次にフォトレジストを一様に塗布したのちフォトリソグラフ技術により、70μm角穴、7μm間隔のフォトレジストパターンを形成(図3-2)したのちフッ化水素水溶液を用いてSiO2をエッチングし、SiO2マスクパターンを形成した(図3-3)。つぎに90℃に加熱した(CH3)4NOH15%溶液によりSi(100)基板上に4つの(111)面からなる凹ピラミッド状の穴を形成する(図3-4)。この基板上フォトレジストおよびSiO2をフッ化水素水溶液などを用いて除去したのち、熱フィラメントCVD法などを用いてジボランガス(B2H6)などのガスをホウ素原子/炭素原子濃度比が100ppm程度になるように混入させることによりホウ素を添加したダイヤモンド面を形成する(図3-5)。このときダイヤモンド面のみが自立する必要があるので数十ミクロン程度の厚みが必要である。つぎに型となるSi基板をHF:HNO3=1:1の混合液により溶かし去りピラミッド状のダイヤモンド基板を形成する(図3-6)。このピラミッド状のダイヤモンド状微細突起構造がある面を表面として、裏面には電極のためのTi/Auコンタクトを形成したのち、白金基板上などの電気伝導性基板上に載せる(図3-7)。
次にダイヤモンド電子放出デバイスの作製例を示す。
図3-1に示されるようにシリコン(100)基板上にSiO2を200nm程度の厚み
で一様に蒸着した。次にフォトレジストを一様に塗布したのちフォトリソグラフ技術により、70μm角穴、7μm間隔のフォトレジストパターンを形成(図3-2)したのちフッ化水素水溶液を用いてSiO2をエッチングし、SiO2マスクパターンを形成した(図3-3)。つぎに90℃に加熱した(CH3)4NOH15%溶液によりSi(100)基板上に4つの(111)面からなる凹ピラミッド状の穴を形成する(図3-4)。この基板上フォトレジストおよびSiO2をフッ化水素水溶液などを用いて除去したのち、熱フィラメントCVD法などを用いてジボランガス(B2H6)などのガスをホウ素原子/炭素原子濃度比が100ppm程度になるように混入させることによりホウ素を添加したダイヤモンド面を形成する(図3-5)。このときダイヤモンド面のみが自立する必要があるので数十ミクロン程度の厚みが必要である。つぎに型となるSi基板をHF:HNO3=1:1の混合液により溶かし去りピラミッド状のダイヤモンド基板を形成する(図3-6)。このピラミッド状のダイヤモンド状微細突起構造がある面を表面として、裏面には電極のためのTi/Auコンタクトを形成したのち、白金基板上などの電気伝導性基板上に載せる(図3-7)。
実施例3:深紫外線放出素子の組み立て(図4)
実施例2の様にして作製した電子放出素子上に絶縁のためのガラス板(約100μm程度の厚み)に500μm直径程度の円形の大きさの穴を開けた物の表面に図のように50nm程度金(Au)を蒸着したものを載せ接着する。この金蒸着面に実施例1で作製した六方晶窒化ホウ素薄膜を、そのTi/Au蒸着面が金蒸着面に接するように置くことにより、ダイヤモンドピラミッド状微細突起面をカソード、六方晶窒化ホウ素薄膜上Ti/Au面をアノードとする電子放出機構を形成する。このときガラス上の金蒸着面はアノードに対する引き出し電極の役目を果たす。この紫外線放出素子の紫外線放出窓を石英などの窓を持つガラス管に封入し、電極を取り出し、ガラス管内を真空(例えば1×10-5To
rr以上の高真空)にする。
実施例2の様にして作製した電子放出素子上に絶縁のためのガラス板(約100μm程度の厚み)に500μm直径程度の円形の大きさの穴を開けた物の表面に図のように50nm程度金(Au)を蒸着したものを載せ接着する。この金蒸着面に実施例1で作製した六方晶窒化ホウ素薄膜を、そのTi/Au蒸着面が金蒸着面に接するように置くことにより、ダイヤモンドピラミッド状微細突起面をカソード、六方晶窒化ホウ素薄膜上Ti/Au面をアノードとする電子放出機構を形成する。このときガラス上の金蒸着面はアノードに対する引き出し電極の役目を果たす。この紫外線放出素子の紫外線放出窓を石英などの窓を持つガラス管に封入し、電極を取り出し、ガラス管内を真空(例えば1×10-5To
rr以上の高真空)にする。
実施例4:紫外線放出素子の動作例
紫外線放出素子の白金基板側電極を接地し、アノード引き出し電極に1kV程度以上の電圧を掛ける事により、電子がダイヤモンドピラミッド状微細突起の放出源より放出されて六方晶窒化ホウ素を励起する。励起された六方晶窒化ホウ素は室温で215nmをピークとする発光を示した。その紫外発光を六方晶窒化ホウ素裏面より取り出し、紫外線放出窓を通して得る。図5に得られた発光スペクトル(215nm近辺をピークとし、300nmにも発光バンドがある。)を例示した。
紫外線放出素子の白金基板側電極を接地し、アノード引き出し電極に1kV程度以上の電圧を掛ける事により、電子がダイヤモンドピラミッド状微細突起の放出源より放出されて六方晶窒化ホウ素を励起する。励起された六方晶窒化ホウ素は室温で215nmをピークとする発光を示した。その紫外発光を六方晶窒化ホウ素裏面より取り出し、紫外線放出窓を通して得る。図5に得られた発光スペクトル(215nm近辺をピークとし、300nmにも発光バンドがある。)を例示した。
実施例5:紫外線放出素子のレーザ動作
基礎実験データ(非特許文献3)によると六方晶窒化ホウ素平板は、励起電流密度を0.2mA/cm2程度にすると20kV程度の加速電圧でレーザ発振させることができることが分かっている。今回の加速電圧1kVでは上記条件と等価な電子正孔対数は、4mA/cm2程度で到達可能である。実施例6の構成で10μA程度の電流を流すと紫外線素子はレーザ動作すると考えられる。
また、劈開上面に適当な金属など(Al,MgF2)を蒸着することにより、高い反射
率を得て共振器のQ値を高め、しきい値を下げる効果が期待できる。また、六方晶窒化ホウ素下面のTi/Au薄膜の代わりに均一なAl薄膜を用いても同様のQ値の向上およびしきい値の低下が期待できる。
基礎実験データ(非特許文献3)によると六方晶窒化ホウ素平板は、励起電流密度を0.2mA/cm2程度にすると20kV程度の加速電圧でレーザ発振させることができることが分かっている。今回の加速電圧1kVでは上記条件と等価な電子正孔対数は、4mA/cm2程度で到達可能である。実施例6の構成で10μA程度の電流を流すと紫外線素子はレーザ動作すると考えられる。
また、劈開上面に適当な金属など(Al,MgF2)を蒸着することにより、高い反射
率を得て共振器のQ値を高め、しきい値を下げる効果が期待できる。また、六方晶窒化ホウ素下面のTi/Au薄膜の代わりに均一なAl薄膜を用いても同様のQ値の向上およびしきい値の低下が期待できる。
上述実施例に示したように、これまでの深紫光発光装置とは全く異なる、小型で、高効率な紫外線放出素子ないし装置を得ることに成功した。この実施例は、あくまでも、その一つの態様を示すものにすぎず、この発明は上述の実施例に限らない。例えば、実施例1:高純度結晶試料作製においてホウ窒化バリウム溶媒を用いているが、ホウ窒化バリウムとホウ窒化リチウムを重量比1:1で混合した溶媒を用いても同様な波長215nmの高輝度発光が観測できる効果を有するのでこれを実施例3および4に用いてもよい。
また、例えば、実施例1:高純度結晶試料作製においてモリブデン反応容器を窒素気流中1気圧、1500℃、の圧力、温度条件で2時間処理とし、昇温速度は10℃/分程度、20℃/分程度で冷却後、析出するhBN原料との界面における再結晶でも同様な波長215nmの高輝度発光が観測できる効果を有するのでこれを実施例3および4に用いてもよい。
また、上述の実施例では、電子ビーム源としてダイヤモンドエミッタを用いているが、例えばカーボンナノチューブエミッターなどを利用してもよい。
さらに、ピラミッド状微細突起は、これをさらに増やし、格子状に配列し、各突起を独立して制御することによって、パターン化された電子線放出、深紫外発光を得られ、例えば表示装置等に利用することができる。
さらに、ピラミッド状微細突起は、これをさらに増やし、格子状に配列し、各突起を独立して制御することによって、パターン化された電子線放出、深紫外発光を得られ、例えば表示装置等に利用することができる。
深紫外域の発光素子ないし装置は、これまでにも述べたようにいまや各種技術分野から小型化、低コスト、高輝度、高出力設計が求められている。本発明は、このような要請に応える発光素子ないし装置を具体的に開示するものであり、今後、様々な技術分野、産業分野において大いに利用され、その発展におおいに寄与することが期待される。とりわけ、本発明の設計構造は、極めて簡単であること、小型であること、高温高圧合成法によって得られた窒化ホウ素結晶を発光層とすることから、超寿命であること等々の利点があり、その意義は、高く評価され、従来のこの種素子ないし装置に代わって大いに利用されると考えられる。
Claims (5)
- 波長215nm近傍に単独発光ピークが存する深紫外光を発光する高純度六方晶窒化ホウ素結晶からなる発光層と、該発光層を励起する手段とを真空容器中に封入し、励起手段によって励起されて発光層から放出される深紫外光が真空容器に設けられた窓を介して外部に発振、放出されるようにしたことを特徴とする、深紫外光固体発光装置。
- 該発光層励起手段が、電子線放出手段による励起手段である、請求項1に記載する深紫外光固体発光装置。
- 該電子線放出手段による励起手段が、六方晶窒化ホウ素結晶からなる発光層裏面に取り付けられたアノード電極と、発光層に絶縁スペーサーを介して取り付けられた電子線放出基板と、電子線放出基板裏面に取り付けられたカソード電極と、両電極間に電圧を印加する手段とからなり、両電極間に電圧を印加することによって、電子放出基板から発光層に電子線が放出されるようにしたことを特徴とする、請求項2に記載する深紫外光固体発光装置。
- 該絶縁スペーサーを介して発光層に離間して取り付けられた電子線放出基板が、ダイヤモンド基板であることを特徴とした、請求項3に記載する深紫外光固体発光装置。
- 該ダイヤモンド基板には、発光層に対向している面にピラミッド型電子線放出突起部を格子状に多数配列した構造としたことを特徴とする、請求項4に記載する深紫外光固体発光装置。
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