JP2009281379A5 - - Google Patents

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加工用素材及びそれを用いる成型部材
本発明は、一例として振動、騒音を発生する対象物に対して用いられ、対象物に対して制振作用、吸音作用を実現する単一の薄板材からなる加工用素材及びそれを用いる成型部材に関するものである。
このような振動を発生する対象物の一例として内燃機関が挙げられる。内燃機関本体や、内燃機関に接続されたエキゾーストマニホールド(以下、「エキマニ」という)などの排気系からは、熱や騒音、振動などが外部に放散されている。このような内燃機関本体や排気系などの振動源から振動が外部に無闇に放散される事態を防止するために、従来から、上記振動源に対してインシュレータなど各種のカバーが用いられている。
図18は下記特許文献1に記載されている典型的な従来技術のエキゾーストマニホールドインシュレータ(以下、「インシュレータ」という)1の斜視図である。以下、図18を参照して、インシュレータ1について説明する。
インシュレータ1は、内燃機関のエキマニに取り付けられて、エキマニを覆っている。インシュレータ1は、ほぼ平坦な前面部1aとそれから折れ曲がって、内燃機関のシリンダヘッド側に延びる側壁部1bとを有する。インシュレータ1は、2枚の鋼板1A、1Bの重ね合わせからなり、スリット2の縁の少なくとも1つの適宜の位置で、2枚の鋼板の一方が他方の鋼板に対して折り返し部で折り返されている。この折り返しによって2枚の鋼板1A、1Bの結合の強化がはかられる。
この従来技術のインシュレータ1は、2枚の鋼板1A、1Bを重ね合わせた構成により、内部を毎分数千回の周波数で脈動する高温の排気ガスが通過するエキマニから発生する前記周波数の振動が、周囲に無闇に放散されないように作用している。
特開平10−266850号公報(第8段落〜第11段落、及び図1)
このような従来技術のインシュレータは、前述したように2枚の鋼板1A、1Bが重ね合わされた構成であり、比較的重量が重いという問題点がある。また、エキマニから伝播される振動によってインシュレータ1が面振動を生じ、振動周波数がインシュレータ1の共振周波数と一致する場合は、インシュレータ1自身が騒音源になってしまうという問題点がある。
また、近年の内燃機関やエキマニは、軽量化の点から軽合金化、薄肉化が図られている。したがって、インシュレータに関しても、軽量化が求められていると共に、一層の制振性能の向上も求められている。
これらの点に鑑み、本件発明者は、前記インシュレータにおける制振作用、遮音作用及び吸音作用を実現するメカニズムを研究した結果、後述する本件発明に到達したものである。
本発明は、上記問題点を解決しようとして成されたものであり、その目的は、制振性能、遮音性能及び吸音性能が格段に向上され、軽量化と製品の機械的強度を向上することができる加工用素材及び該加工用素材を用いてなる成型部材を提供するものである。
請求項1記載の発明の加工用素材は、貫通孔が多数形成され、弾性変形可能な単一の薄板材に、第1方向に沿って形成され、谷部と隆起部とが相互に連なって交互に繰り返される第1波形形状と、該第1方向と交差する第2方向に沿って形成され、谷部と隆起部とが相互に連なって交互に繰り返される第2波形形状とで構成し、該第1波形形状において、該隆起部は該谷部から立ち上がる一対の側部と、該側部間に連なる頂部とを含み、一対の側部の基端部の第1方向に沿う開口部長さよりも、頂部の第1方向に沿う頂部長さが長く定めるコルゲート形状を施し、前記谷部、及び前記隆起部に前記貫通孔が配置され、前記谷部に対して前記隆起部を所定の高さで形成するとともに、振動発生部材に対して所定の間隔を隔てて取り付けることを特徴とする。
請求項2記載の発明の成型部材は、振動発生部材に応じた立体形状に形成した請求項1に記載の加工用素材と、所定の間隔を隔てて取り付けられる前記振動発生部材とを含むことを特徴とするものである。
請求項3記載の発明の成型部材は、請求項2の発明において、前記第1方向及び前記第2方向のいずれかが、前記立体形状の稜部と交差する方向に定められることを特徴とするものである。
請求項1記載の発明によれば、本発明の加工用素材は、貫通孔が多数形成され、弾性変形可能な単一の薄板材に、上述のコルゲート形状を施して形成し、前記谷部、及び前記隆起部に前記貫通孔が配置され、前記谷部に対して前記隆起部を所定の高さで形成するとともに、振動発生部材に対して所定の間隔を隔てて取り付けるため、以下の吸音作用と振動放射音低減作用とを実現するものである。
本発明の加工用素材は、それ自身に貫通孔を設けている。加工用素材が振動した場合、貫通孔を空気が通過する際に、加工用素材の貫通孔を構成する端面と空気との間で摩擦によるエネルギーの減衰が発生する。このため空気の振動である音波のエネルギーが熱エネルギーに変換され吸音性能が発揮される。吸音性能が発揮される周波数帯域は、貫通孔の等価孔径、開口率、板厚等の寸法形状を一因として決定される。
また、本発明は、前記隆起部及び谷部によるリブ補強効果により、薄板材が全面同位相で動きやすい。このとき薄板材に貫通孔が設けられていることによって、加工用素材の振動から音へのエネルギー変換効率である音響放射効率が、貫通孔がない場合と比較して、低減することが確認されている。これにより、本発明の加工用素材が振動している場合でも、加工用素材から放射される音に対して吸音作用を実現できる。
薄板材に貫通孔を設けることによる振動放射音低減効果について、薄板材の面振動が部分的に振幅又は/及び位相が異なる場合、すなわち加工用素材の表面に振動分布が発生する場合、振動放射音低減作用の効果が小さくなることが知られている。しかし、本発明のように、加工用素材表面に前記隆起部及び谷部からなる凹凸が存在し、前述したリブ補強効果がある場合、振動分布を小さくでき、振動放射音の低減効果を顕著にすることができる。したがって、この振動放射音低減効果により、加工用素材自身が発生する騒音を低減することができる。
また、本発明の場合、面方向に前記谷部と隆起部とによる凹凸が存在し、前記谷部及び前記隆起部に前記貫通孔が配置されているため、隆起部上面と谷部底面との間の距離で定められる厚さの空気層で音響共鳴機構が構成され、吸音性能が実現される。また、隆起部の頂部に設けられた貫通孔を通過する空気に関する前述した摩擦によるエネルギー減衰による吸音性能も実現される。この貫通孔による吸音性能は、貫通孔の等価孔径、開口率、板厚などの寸法、形状を一因として定められる音響共鳴周波数帯域付近で発揮される。
さらに、本発明の垂直入射吸音率は、第1周波数帯域、及び第2周波数帯域の2つのピーク周波数帯域を有しており、低い方のピーク周波数帯域である第1周波数帯域は、隆起部と振動発生部材との距離により定まる空気層と、隆起部に形成された貫通孔による共鳴、ならびに、谷部と振動発生部材との距離により定まる空気層と、谷部に形成された貫通孔による共鳴に起因する周波数帯域によって定まる。また、高い方のピーク周波数帯域である前記第2周波数帯域は、隆起部と谷部との距離により定まる空気層と、隆起部に形成された貫通孔による共鳴周波数に起因する周波数帯域となる。
このようなエネルギーの減衰による相乗的な吸音効果により、隆起部と振動発生部材又は谷部との距離を適切に調整することにより、低減すべき周波数帯域に合わせた振動放射音低減効果を得るよう調整することが可能である。
また、上記作用効果に加え、本発明の加工用素材は、第1方向及び第2方向に沿って、第1波形形状及び第2波形形状がそれぞれ形成され、第1波形形状において、隆起部は谷部から立ち上がる一対の側部と、これら側部間に連なる頂部とを含み、一対の側部の基端部の第1方向に沿う開口部長さよりも、頂部の第1方向に沿う頂部長さが長く定められている。
したがって、本発明によれば、このような加工用素材をプレス加工するなどして、所望の製品形状に加工する場合、前記波形形状が伸縮することにより、波形形状が形成された薄板材の加工における前記第1方向に沿う延び代が、平板形状の薄板材と比較して格段に大きくなる。これは、第1波形形状において、一対の側部の基端部の第1方向に沿う開口部長さよりも、頂部の第1方向に沿う頂部長さが長く定められていることにより保証されている。
この頂部長さが開口部長さよりも長くない場合には、加工用素材をプレス加工する際の延び代が充分に確保できず、製品の加工性が低下して加工時のクラックの発生や製品形状が充分に実現できない場合がある。本発明によれば、このような不具合の可能性を防止して、加工用素材の加工性を格段に向上することができる。
さらに、本発明の加工用素材において、前記第2方向に沿う加工性に関しても、その程度が充分に向上されている。これは、薄板材に、第2方向に沿って第2波形形状が形成されていることにより保証されている。
また、本発明の加工用素材は、谷部と隆起部とが相互に連なって交互に繰り返されて第1波形形状及び第2波形形状が形成されている。即ち、第1波形形状及び第2波形形状において、谷部及び隆起部からなる各1周期の形状間に平板部分の存在が除外されている。この平板部分の存在を仮定すると、平板部分が大きな振幅の面振動を発生したり、平板部分であることを原因とする機械的強度が弱い部位となったりする不具合の発生が想定される。
本発明は、このような不具合の発生を防止しているので、加工用素材を用いて製造される製品の品質を格段に向上することができる。
以上のように本発明の加工用素材は、平板形状の薄板材と比較して加工性が格段に向上される。
本発明は、薄板材の材料を何ら限定するものではないが、本発明の特徴的な作用効果は、薄板材として、例として鉄やステンレス鋼などの延性、展性が比較的大きい材料よりも、比較的延性、展性が小さいアルミニウム合金を用いる場合などに顕著に実現されることは明らかである。
さらに、本発明の加工用素材は、これらの作用効果を単一の薄板材からなる構成で実現することができるので、構成の簡略化と軽量化、及びこれらによる大幅なコストダウンを図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、加工用素材から形成される成型部材に関して、外部からの振動によって成型部材が振動を発生する場合、このような振動は、前記波形形状における谷部及び隆起部における薄板材の弾性的な変形に転換される。これにより、外部から加えられる振動は、薄板材自身の弾性変形によって相当部分が熱エネルギーに変換される。これにより、加工用素材が受ける振動による成型部材の振動が抑制される。
さらに、本発明の加工用素材は、これらの作用効果を単一の薄板材からなる構成で実現することができるので、成型部材の構成の簡略化と軽量化、及びこれらによる大幅なコストダウンを図ることができる。
本発明の成型部材は、薄板材に波形形状を加工して形成されるので、成型部材が屈曲形状を有する場合、成型部材の一方表面が凸形状の場合、他方表面は凹形状になる。このとき、凸形状側では波形形状の隆起部同士の間隔が広がり、他方表面側では、波形形状の隆起部同士の間隔が狭まる。
したがって、本発明の加工用素材の一方表面に細かい凹凸を有する部材、或いは比較的柔軟な表面性状の部材(以下、基材と総称する)を当接し、加工用素材を基材と共に屈曲させると、基材側で波形形状の隆起部同士の間隔が狭まる部位において、加工用素材の基材側の隆起部間の間隔が狭まり、加工用素材と基材とが相互に噛み合って相互に固定されることになる。したがって、加工用素材の基材への装着を、接着剤などの特段の手段を講じる事無く実現することができる。この点に於いても、本発明の成型部の構成の簡略化と小型化とを図ることができる。
また、本発明において、成型部材の形状及び構造は、加工用素材が成型部材に加工された際の形状よって定められている。したがって、本発明において、成型部材に加工される前段階での加工用素材の形状及び構造は、本発明において任意である。これにより、本発明は、成型部材に加工された際の薄板材の形状及び構造が、請求項を満たす限り、広範な種類の加工用素材に関して適用されるものである。
また、振動発生部材に応じた立体形状に形成した請求項1に記載の加工用素材と、所定の間隔を隔てて取り付けられる前記振動発生部材とを含んでいるため、本発明の成型部材は、上記作用効果に加え、以下の効果を含む特有の効果も併せて奏するものである。
本発明によれば、貫通孔が形成された成型部材本体と振動発生部材との間に形成される空気層で第1吸音構造が形成され、吸音作用を発揮する。成型部材本体に形成された多数の貫通孔と、成型部材本体と隔壁部材との間の背後空気層とで音響共鳴機構が形成され、前記第1吸音構造が構成される。
このような吸音作用が発揮される第1吸音周波数帯域は、貫通孔の等価孔径、開口率、板厚等の寸法形状と、成型部材本体と隔壁部材との間の距離で定められる前記背後空気層の厚さなどの要因によって決定される。
このような吸音作用により、成型部材が振動源に対して、装着された際に想定される成型部材自身が発生する騒音を、発生後に成型部材自身で吸音することにより低減することが出来る。
さらに、本発明の成型部材の場合、面方向に、請求項1に定められる隆起部及び谷部による凹凸が存在し、前記谷部及び前記隆起部に前記貫通孔が配置されているため、前述した第1吸音構造による第1吸音周波数帯域での吸音作用に加え、隆起部上面と谷部底面との間の距離で定められる空気層厚さと、隆起部表面の気体流通部の等価孔径、開口率、板厚などの寸法形状とで決定される第2吸音構造が形成され、上記各寸法形状などによって定められる第2吸音周波数帯域である音響共鳴周波数帯域付近で吸音作用が発揮される。
そして、上記第1吸音周波数帯域と第2吸音周波数帯域とは、これら周波数帯域を定める前述した各部寸法や形状などが相互に異なるため、周波数帯域が相互に異なる。従来の平板と空気層との組み合わせ構造や、緩やかな凹凸形状、すなわち凸部の頂部長さが凹部の開口部長さよりも短い凹凸構造の場合では、単一の周波数帯域前後の吸音特性のみが発揮される。これに対し、本発明の場合、前述したように、単一の成型部材本体であっても、相互に異なる周波数帯域前後で吸音作用が発揮されるため、極めて広帯域な吸音特性を簡便な構成により実現することができる。
このような吸音作用により、成型部材が振動源に対して、装着された際に想定される成型部材自身が発生する騒音を、発生後に成型部材自身で吸音することにより低減することが出来る。このような相乗的な吸音効果により、加工用素材自身が発生する振動、騒音を、発生後に吸音することにより低減することが出来る。
また、本発明は、前記隆起部及び谷部によるリブ補強効果により、薄板材が全面同位相で動きやすい。このとき薄板材に気体流通部が設けられていることによって、加工用素材の振動から音へのエネルギー変換効率である音響放射効率が、気体流通部がない場合と比較して、低減することが確認された。これにより、本発明の加工用素材が振動している場合でも、加工用素材から放射される音の振幅を低減できる。
薄板材に気体流通部を設けることによる振動放射音低減効果について、薄板材の面振動が部分的に振幅又は/及び位相が異なる場合、すなわち加工用素材の表面に振動分布が発生する場合、振動放射音低減作用の効果が小さくなることが知られている。しかし、本発明のように、加工用素材表面に前記隆起部及び谷部からなる凹凸が存在し、前述したリブ補強効果がある場合、振動分布を小さくでき、振動放射音の低減効果を顕著にすることができる。したがって、この振動放射音低減効果により、加工用素材自身が発生する騒音を低減することができる。
請求項記載の発明によれば、前記第1方向及び前記第2方向のいずれかが、前記立体形状の稜部と交差する方向に定めている。これにより、本発明の成型部材は、上記作用効果に加え、以下の効果を含む特有の効果も併せて奏するものである。
詳しくは、加工用素材が振動源に対して用いられ、騒音の抑制を実現すべき成型部材として用いられた場合、加工用素材を用いる成型部材は、振動源からの振動の伝達により振動する。成型部材の振動に際して、製品形状の屈曲部位である稜部を中心にして、その両側の製品の部位がばたつくように振動する事態が想定される。このような振動が発生すると、製品の前記稜部付近の部位が繰り返しの屈曲により金属疲労を生じクラックを発生しやすくなる。
本発明では、製品に加工される加工用素材には、前記第1方向及び第2方向に沿って波形形状がそれぞれ形成されており、一例としてその第1方向が、製品の前記稜部に対して交差する方向に定められているので、波形形状が前記稜部を中心とする振動に対してリブの作用を実現する。これにより、製品の振動を抑制することができ、製品のクラックの発生を防止することができ、製品の品質を格段に向上することができる。
本発明の実施例1の金属製カバー1をエキマニ3に装着した状態の正面図である。 図1の切断面線X2−X2から見た断面図である。 金属製カバー1の拡大正面図である。 図3の切断面線X4−X4から見た断面図である。 図3の切断面線X5−X5から見た断面図である。 図3の切断面線X6−X6から見た断面図である。 図1の切断面線X7−X7から見た簡略化した断面図である。 本実施例の特徴を説明する斜視図である。 金属製カバー1の伸縮作用を説明する断面図である。 金属製カバー1の制振作用を説明するグラフである。 金属製カバー1の損失係数を示すグラフである。 金属製カバー1の損失係数の温度変化を示すグラフである。 本発明の実施例2の金属板6の斜視図である。 実施例2の金属製カバー1aの簡略化した断面図である。 実施例2の吸音特性を説明するグラフである。 実施例2に基づく調査装置21の構成を示す概念図である。 吸音特性に関する調査装置21による調査結果を説明するグラフである。 従来技術の斜視図である。
本発明は、一例として、内燃機関のエキゾーストマニホールド(以下、「エキマニ」という)などにおいて、エキゾーストマニホールドから振動や騒音などを無闇に外方に放散しないように装着されるエキゾーストマニホールドカバーなどとして実施することができる。
本発明の実施例1について図1〜図12に基づいて説明する。
図1は本実施例の金属製カバー1をエキマニ3に装着した状態の正面図であり、図2は図1の切断面線X2−X2から見た断面図であり、図3は金属製カバー1の拡大正面図であり、図4は図3の切断面線X4−X4から見た断面図であり、図5は図3の切断面線X5−X5から見た断面図であり、図6は図3の切断面線X6−X6から見た断面図であり、図7は図1の切断面線X7−X7から見た簡略化した断面図であり、図8は本実施例の特徴を説明する図であり、図9は本実施例の作用を説明する断面図であり、図10は本実施例の制振性能を説明するグラフであり、図11は本実施例の及び既存技術の制振性能を示すグラフであり、図12は損失係数の温度変化を示すグラフである。
以下、図1及び図2を参照して成型部材である金属製カバー1の概略について説明する。自動車のエンジン2などの内燃機関のエキマニ3には、内燃機関の燃焼室から例として600〜700℃の高温で毎分数千サイクルの周波数で脈動する燃焼排ガスが通過するため、他の部材であるエキマニ3自身も高温になり高温の熱輻射を発生する熱源となり、また、エンジン2内での燃料の爆発音、燃焼排ガスのエキマニ3内の移動などに起因する騒音を外部に放散する振動源となる。
本実施例では、エキマニ3からのこのような振動を可及的に抑制するために、後述される構成を有する成型部材である金属製カバー1がエキマニ3を覆う態様に設置されている。本実施例の金属製カバー1は、図2に示されるように、板厚0.3mmの薄板材である比重が2.7程度のアルミニウム合金からなる金属板4から構成され、図1、図2及び図7に示されるように、エキマニ3の外観形状に沿って、立体形状に形成される。金属製カバー1は、側壁T1と、この側壁T1の端部全周を連結する頂部T2とを備えている。側壁T1と頂部T2とは鈍角θをなして連なっている。
本実施例において、上記金属板4は、弾性変形が可能な材料ならば、その種類を限定されるものではなく、アルミニウム箔或いはアルミニウム合金箔、さらにはアルミニウムやその合金、さらにはステンレス鋼、エンジニアリングプラスチックなどの合成樹脂類からなる薄板材を変更例として含むものである。但し、後述するような金属製カバー1の軽量化の点を考慮すると、アルミニウムやその合金、或いはエンジニアリングプラスチックなどの合成樹脂類からなる薄板材が好適である。
本実施例の金属製カバー1に用いられる前記金属板4は、一例として、1枚のアルミニウム合金薄板から形成される。金属板4には、図1〜図6に示されるように、第1方向A1に沿って、隆起部7と谷部8とが相互に連なって交互に繰り返された第1波形形状である複数の波形形状9と、第1方向A1と交差する方向、好適には直交する方向である第2方向A2に沿って隆起部7aと谷部8aとが相互に連なり、第2波形形状である同様な波形形状9aとが形成される。隆起部7は、その長手方向に沿って、図3〜図5に示されるように、第1起立部10と第2起立部11とが谷部8から立上って交互に配列されている。また、前記谷部8は、図3〜図5に示されるように平坦部12と凹部13とが交互に配列されている。
前記第1起立部10は、谷部8から略台形状に立上る一対の側壁14、15と、側壁14、15の先端が相互に連結されて形成される比較的平坦な頂部18とを含んで1周期形状が構成されている。第1起立部10は内曲しており、第1起立部10の基端部の第1方向A1に沿う開口部長さL10よりも、頂部18の第1方向A1に沿う頂部長さL2が長くなるように定められる。
一方、前記第2起立部11は、第1起立部10が概略幅方向に所定の程度押し潰されて形成され、平坦部12からそれぞれ立上る一対の側壁19、20と、側壁19、20の先端を相互に連結し、図5の下方側に凹状の凹部23とを含んで構成されている。このような各第2起立部11及び凹部13は、複数の波形形状9の延びる方向である前記第1方向A1と実質的に直交する方向である第2方向A2に沿ってそれぞれ断続的に連なるように形成される。
また、第2起立部11は内曲しており、第2起立部11の基端部の第1方向A1に沿う開口部長さL11よりも、凹部3の第1方向A1に沿う頂部長さL11が長くなるように定められる。また、前記側壁14、15及び側壁19、20付近は、第1方向A1及び第2方向A2の少なくとも一方の方向に沿う波形形状9、9Aにおいて、金属板4が折り返されて金属板4自身の上に折り重ねられた積層部45を構成している。
本実施例の金属製カバー1において、各部寸法の一例として、図4及び図5に示されるように、第1方向A1に沿う波形形状9の1周期の長さL1、前記第1起立部10の頂部18の長さL2、第2起立部11の凹部23の長さL3が、11mm、7mm、5mmにそれぞれ選ばれる。したがって、前記開口部長さL10は長さ7mmよりも小さく、開口部長さL11は長さ5mmよりも小さく選ばれる。
勿論、本発明はこのような寸法例にその技術的範囲を限定されるものではなく、発明が実施される金属製カバー1の要求される仕様に対応して、その寸法などが適宜選択される。金属製カバー1は、このような形状を有し、金属板4をエキマニ3の外形形状に沿った立体形状にプレス加工することにより形成される。
以下、図8を参照して、本実施例の金属製カバー1の特徴の一つについて説明する。本実施例の金属製カバー1は前述したようにエキマニ3の立体的な外観形状に沿った立体形状に形成されるので、金属製カバー1には図1に示されるように金属板4の屈曲部であり稜部である一つ或いは複数の稜線相当部位30が形成される。本実施例では、波形形状9の長手方向である前記第1方向A1が、これら複数の稜線相当部位30のうちの後述する主要な稜線相当部位30に交差する方向となるように、金属板に対して立体形状へのプレス加工を施す。
ここで、前記主要な稜線相当部位30とは、金属製カバー1の全体的な形状を特徴付ける比較的大きな曲率が連続する折り曲げ部位である。即ち、金属製カバー1に形成される大小種々の折り曲げ部位のうち、金属製カバー1の外観形状を実質的に決定付ける比較的長寸に亘って延びる折り曲げ部位を指す。
金属製カバー1がエキマニ3に対して装着されるとき、エキマニ3からの振動の伝達により金属製カバー1も振動する。この振動により金属製カバー1が振動するとき、前記主要な稜線相当部位30を中心にしてその両側の金属製カバー1の部位がばたつくように振動する。このような振動を放置すると、金属製カバー1の稜線相当部位30付近の部位が繰り返しの屈曲により金属疲労を生じクラックを発生しやすくなる。
これに対して、本実施例では、金属製カバー1に形成されている複数の波形形状9の第1方向A1が前記主要な稜線相当部位30に対して交差する方向、好適には直交する方向となるように定めるので、波形形状9が前記稜線相当部位30を中心とする振動に対してリブの作用を実現する。これにより、金属製カバー1の振動を抑制することができ、金属製カバー1のクラックの発生を防止することができ、金属製カバー1の品質を格段に向上することができる。
さらに、前述した稜線相当部位30の延びる方向に沿って発生する振動に対しては、前記第2方向A2に沿って断続的に延び、第1方向A1に沿って連なる図4〜図6に示される前記第2起立部11が、やはりリブの機能を実現して振動を抑制する。
また、本実施例において、図7に示されるように、金属製カバー1の外周部の少なくとも一部分にフランジ28が形成される。これにより、金属製カバー1が振動する際にこのフランジ28がリブの機能を実現し、金属製カバー1の振動の振幅を減少することができ、金属製カバーに1おけるクラックの発生を抑制することができる。
以上のように、本実施例によれば、金属製カバー1は金属板4を立体形状をなすように形成して構成され、この金属板4に形成されている複数の波形形状9は、隆起部7と谷部8とが第1方向A1に沿って連なって形成され、各隆起部7はその長手方向即ち第1方向A1に沿って周期的に高さが変化されている。さらに、第1方向A1が立体形状を構成する金属製カバー1の主要な稜線相当部位30に対して直交する方向に定められている。
したがって、波形形状9が前記主要な稜線相当部位30の両側部位の振動に対してリブの作用を実現する。これにより、エキマニ3からの振動により、金属製カバー1が前記主要な稜線相当部位30を中心にしてその両側の金属製カバー1の部がばたつくように振動する事態が抑制され、金属製カバー1の稜線相当部位30付近の部が繰り返しの屈曲により金属疲労を生じクラックを発生しやすくなる事態が防止される。
これにより、本実施例の金属製カバー1の振動を抑制することができ、金属製カバー1のクラックの発生を防止することができ、金属製カバー1の品質を格段に向上することができる。
また、金属製カバー1は、金属製カバー1に形成されている複数の波形形状の前記第1方向A1が、金属製カバー1の製品形状の稜線相当部位30に対して交差する方向、好適には直交する方向に定められているので、波形形状が前記稜線相当部位30を中心とする振動に対してリブの作用を実現する。これにより、金属製カバー1の振動を抑制することができ、金属製カバー1のクラックの発生を防止することができ、金属製カバー1の品質を格段に向上することができる。
図9は本実施例の金属製カバー1の作用を示す簡略化した断面図である。以下、図9を併せて参照して金属製カバー1の作用について説明する。本実施例の金属製カバー1には、前述したように、波形形状9が実質的に全面に形成された弾性変形可能な材料である金属板4に前記積層部45が構成されている。
したがって、金属製カバー1が受けた振動によって、金属製カバー1が面振動して振動を発生する場合、このような振動は、図9において、動作の一例が示されているように、隆起部7が変形していない標準時の隆起部7の凹所46の幅L4に対し、伸長部位では凹所46の幅は、前記幅L4より大きな伸長時幅L5になり、圧縮部位では凹所46の幅は、前記幅L4より小さな圧縮時幅L6になるような伸縮変形が、金属製カバー1の全面に亘って各部位において発生する。
金属製カバー1において、このように、波形形状9の各部位の伸縮変形により、外部から加えられる振動は、金属板4自身の弾性変形によって相当部分が熱エネルギーに変換される。これにより、金属製カバー1の振動が抑制されることができる。
また、金属製カバー1が受けた振動の比較的低周波帯域成分によって、金属製カバー1が全体としてばたつくような振動を発生する場合、このような振動は、図9において、動作の一例が示されているように、隆起部7が変形していない標準時の隆起部7の凹所46の幅L4に対し、伸長部位では凹所46の幅は、前記幅L4より大きな伸長時幅L5になり、圧縮部位では凹所46の幅は、前記幅L4より小さな圧縮時幅L6になる。
また、金属製カバー1には前記積層部45が構成されているので、前記各部長さL1、L2、L3の寸法例の場合、本件発明者らは、波形形状9の屈曲にしたがって波形形状9の一周期の長さ(以下、周長という)を計測した。その結果、周長は約17mmになり、前記波形形状9の1周期の長さL1(本例では、11mm)に対して、約55%の伸び代を実現できることになる。
本実施例で金属板4としてアルミニウム材を使用しているが、アルミニウム材は、鉄材やステンレス材と比較して、延性、展性が低く、プレス加工、特に深絞りなどを行う場合にクラックなどの問題点が発生することがある。これに対し、本実施例では、金属板4が約55%の延性、展性を有しているに等しいので、深絞り加工を含むプレス加工が格段に容易になる。これにより、金属製カバー1の材料として、アルミニウムなどの軽金属を用いることができ、金属製カバー1の軽量化を図ることができる。また、加工性も格段に向上される。
このような金属板4をプレス加工するなどして、金属製カバー1の製品形状に加工する場合、積層部45が図9に示されるように伸縮することにより、波形形状9が形成された金属板4の加工における延び代が、平板形状の金属板と比較して格段に大きくなる。これにより、加工が平板形状の金属板と比較して格段に容易になる。この作用効果は、金属板として、例として鉄やステンレス鋼などよりも、比較的延性が小さいアルミニウム合金を用いる場合に顕著に実現される。
さらに、本実施例において、前述したように、金属製カバー1の不所望な変形や割れの発生が防止されるので、これを達成するために、金属製カバー1を構成する金属板4の板厚を大きくしたり補強部材を追加したりして、金属製カバー1の剛性を増大させたり、金属製カバー1のエキマニ2に対する支持個所を増大させたりする必が解消される。これにより、金属製カバー1の剛性を増大させたときに想定される金属製カバー1の重量の増大による支持個所付近での割れの可能性の増大や、金属製カバー1の支持個所を増大させた際に想定される熱歪による割れの発生を防止することができる。これらの点でも金属製カバー1の信頼性が格段に向上される。
図10は金属製カバー1の制振作用を説明するグラフである。以下、図10を併せて参照して、金属製カバー1の制振作用について説明する。本件発明者は、本実施例の金属製カバー1の制振作用を確認するために、鋼板、ステンレス鋼板、FRP板、サンドイッチ鋼板、及び本実施例の金属製カバー1について、振動を加えた場合の振動の減衰係数の計測を行った。その結果が図10のグラフに示されている。
この計測によれば、図10において領域Pで示される本実施例の金属製カバー1の振動減衰係数は、鋼板、ステンレス鋼板よりも大きく、FRP(繊維強化プラスチック)板、サンドイッチ鋼板よりも小さい範囲に属することが確認された。したがって、異種材料の積層構造を有するサンドイッチ鋼板や、内部に無機繊維を含有するFRPなどよりは減衰係数が小さいものの、内燃機関のカバー類の材料として多く用いられている鋼板、ステンレス鋼板よりは大きな振動減衰係数を有しており、制振性能に関して従来技術よりも格段に向上されていることが確認された。
図11は本実施例の金属製カバー1の制振性を確認するために、板厚0.5mmの単層アルミメッキ鋼板を用いたサンドイッチ鋼板、板厚0.5mmの単層アルミ板、金属製カバー1、板厚0.3mmと0.125mmの平板アルミ板の積層アルミ板の各損失係数ηを室温で計測した結果を示すグラフである。各材料毎の損失係数を下記表1に示す。
Figure 2009281379
上記表1及び図11から、室温において、本実施例の金属製カバー1の制振性能は、前記サンドイッチ鋼板や板厚0.5mmのアルミ板よりも低いものの、前記積層アルミ板よりも高いことが確認された。
図12は本実施例の金属製カバー1に関連して、各種材料の振動に関する損失係数ηの温度変化を計測した結果を示すグラフである。計測温度範囲は室温と約250℃の間であり、金属製カバー1の計測結果を曲線g1で示し、板厚0.5mmのアルミメッキ鋼板の計測結果を曲線g2で示す。
この計測結果によれば、本実施例の金属製カバー1の損失係数は、約100℃付近より下方の温度範囲ではアルミメッキ鋼板の損失係数よりも低いが、約100℃付近を超える温度範囲では、アルミメッキ鋼板の損失係数よりも格段に向上することが確認された。
したがって、金属製カバー1を、例として自動車のエンジンなどのような熱を発生する振動源に対して用いる場合、エンジンの稼動下では良好な制振性を示すことが確認された。
本発明は、上記各実施例に権利範囲を限定されるものではなく、本発明の精神逸脱しない範囲で広範な変更例を含むものである。
特に、上記実施例の金属製カバー1において、金属板に形成される波形形状9は、前記実施例の形状に限定されるものではなく、任意の波形形状が形成される場合でも、振動に伴う波形形状の伸縮動作が実現され得ることは明らかであり、この伸縮動作による制振作用を実現することができる。
以上のように本実施例によれば、下記の効果を奏することができる。本実施例によれば、第1方向A1及び第2方向A2にそれぞれ沿って波形形状9、9aが連なって形成されている。したがって、金属板から形成される金属製カバー1に関して、外部からの振動によって金属製カバー1が振動を発生する場合、このような振動は、前記波形形状9、9aにおける谷部8、8a及び隆起部7、7aにおける金属板4の弾性的な変形に転換される。これにより、外部から加えられる振動は、金属板4自身の弾性変形によって相当部分が熱エネルギーに変換される。これにより、金属板4が受ける振動による金属製カバー1の振動が抑制されることができる。
また、本発明において、加工用素材が振動源に対して用いられた場合、加工用素材から形成された製品は、振動源からの振動の伝達により振動する。この製品の振動に際して、製品形状の屈曲部位を中心にして、その両側の製品の部位がばたつくように振動する。このような振動が発生すると、製品の前記屈曲部位付近の部位が繰り返しの屈曲により金属疲労を生じクラックを発生しやすくなる。
本発明では、製品に加工される加工用素材には、前記第1方向及び第2方向に沿って波形形状がそれぞれ形成されており、一例としてその第1方向が、製品の前記屈曲部位に対して交差する方向、好適には直交する方向に定められている場合、波形形状が前記屈曲部位を中心とする振動に対してリブの作用を実現する。これにより、製品の振動を抑制することができ、製品のクラックの発生を防止することができ、製品の品質を格段に向上することができる。
また、本実施例によれば、このような金属板4をプレス加工するなどして、所望の金属製カバー1形状に加工する場合、前記波形形状9、9aが伸縮することにより、波形形状9、9aが形成された金属板4の加工における延び代が、平板形状の金属板4と比較して格段に大きくなる。これにより、加工性が平板形状の金属板と比較して格段に向上される。この作用効果は、金属板4として、例として鉄やステンレス鋼などの延性、展性が比較的大きい材料よりも、比較的延性、展性が小さいアルミニウム合金を用いる場合など顕著に実現される。
また、本実施例によれば、金属製カバー1は、金属板4に波形形状9、9aを加工して形成されるので、金属製カバー1が屈曲形状を有する場合、金属製カバー1の一方表面が凸形状の場合、他方表面は凹形状になる。このとき、凸形状側では波形形状9、9aの隆起部7、7a同士の間隔が広がり、他方表面側では、波形形状9、9aの隆起部7、7a同士の間隔が狭まることになる。
したがって、本実施例の金属板4の一方表面(例として、図4及び図5の下方側表面)に細かい凹凸を有する部材、或いは比較的柔軟な表面性状の部材(以下、基材と総称する、図示せず)を当接し、金属板4を基材と共に屈曲させると、基材側で波形形状9、9aの隆起部7、7a同士の間隔が狭まる部位において、金属板4の基材側の隆起部7、7a間の間隔が狭まり、金属板4と基材とが相互に噛み合って相互に固定されることになる。
したがって、金属板4の基材への装着を、接着剤などの特段の手段を講じる事無く実現することができる。この点に於いても、本実施例の金属製カバー1の構成の簡略化と小型化とを図ることができる。
また、本実施例において、金属製カバー1の形状及び構造は、金属板4が金属製カバー1に加工された際の形状よって定められている。したがって、本実施例において、金属製カバー1に加工される前段階での金属板4の形状及び構造は任意である。これにより、本実施例は、金属製カバー1に加工された際の金属板4の形状及び構造が、本実施例に規定する条件を満足する限り、広範な種類の加工用素材に関して適用されるものである。
以下に、図13〜図17を併せて参照して、本発明の実施例2について説明する。図13は本実施例の金属製カバー1aの素材の金属板6の斜視図であり、図14は本実施例の成型部材である金属製カバー1aの簡略化した断面図であり、図15は本実施例の吸音特性を説明するグラフであり、図16は本実施例に基づく調査装置21の構成を示す概念図であり、図17は吸音特性に関する調査装置21による調査結果を説明するグラフである。
本実施例の金属製カバー1aは、前記第1実施例と類似し、対応する部分には同一の参照符号を付す。本実施例の特徴の一つは、金属製カバー1aを構成する板厚t0の平板状のアルミニウム板からなる薄板材である金属板6に対して、多数の貫通孔22を形成した点である。この貫通孔22は、金属板6を板厚方向(図13上下方向)に空気が移動可能に形成される。貫通孔22は、一例として図13に示される円筒状の断面形状を有するが、これに限定されるものではなく、矩形のスリット状や、その他の異形の形状でもよい。本実施例では、一例として、板厚t0は0.15mmに選ばれ、貫通孔22に関して、開口径D1=0.5mm、開口率0.1%に選ばれる。
本件発明者の調査及び実験によれば、貫通孔22の開口径D1は、金属製カバー1aへ入力される音が空気の粗密波として貫通孔22を通過する際に、貫通孔22の周縁部と空気との摩擦による空気の振動エネルギーの熱エネルギーへの変換作用と、空気流の圧力損失によるエネルギーの減衰作用とに多大な影響を及ぼすものである。
本件発明者の調査及び実験によれば、貫通穴22を通過する空気に、前記圧力損失によるエネルギー減衰作用を実現することが出来る開口径D1は、3mm以下が望ましいことが判明した。開口径D1が、3mmよりも大きくなれば、前記空気通過時の圧力損失が大きく低下し、金属板6に対する垂直入射吸音率に関するしきい値=0.3を大きく下回ることが確認されたからである。また、貫通孔22の開口径D1が1mm以下であれば、貫通孔22を通過する空気流に、粘性作用を確実に発生させることができることが確認されている。
本実施例ではこのような貫通孔22が多数形成された金属板6に対し、図3〜図6を参照して説明したように、第1方向A1及び第2方向A2に沿って、前述したようなコルゲート加工をそれぞれ施す。このようなコルゲート加工を施して得られた図14に示される加工用素材24と、加工用素材24から予め定める距離L21の空気層26を隔てて設けられる隔壁部材である背面板25とを含んで、本実施例の成型部材である金属製カバー1aが構成される。
本件発明者は、本実施例の金属製カバー1aに関して、前記距離L21を変化させた場合の垂直入射吸音率の変動を測定した。図15に測定結果の周波数−垂直入射吸音率のグラフを示す。曲線g10、g11、g12、g13は、距離L21を0mm、2mm、4mm、8mmとした場合の垂直入射吸音率の変化をそれぞれ示す。
このグラフから分かるように、本実施例の垂直入射吸音率は、第1周波数帯域f1(1〜2kHz)、及び第2周波数帯域f2(3〜4kHz)の2つのピーク周波数帯域を有している。図15において、低い方のピーク周波数帯域である第1周波数帯域f1は、隆起部7と背面板25との距離L22により定まる空気層と、隆起部7部分に形成された前記貫通孔22による共鳴、ならびに、谷部8と背面板25との距離L21により定まる空気層と、谷部8部分に形成された前記貫通孔22による共鳴に起因する周波数帯域である。高い方のピーク周波数帯域である前記第2周波数帯域は、隆起部7と谷部8との距離L23により定まる空気層と、隆起部7に形成された貫通孔22による共鳴周波数に起因する周波数帯域である。
また、本件発明者は、本実施例の金属製カバー1aに関して、前記図13に示した構成の金属板6を、図16に示す調査装置21で調査した。調査装置21は、加振機33と取付治具34を備える。調査を行うに際して、金属板6を加振機33に取付治具34で取り付け、金属板6に関して加振機33と反対側の近傍に設置されたマイクロフォンなどの音圧検知手段35で金属製カバー1aからの音の音圧レベルを測定した。測定結果は、図17のグラフに示されている。曲線g15は、多数の貫通孔22を有する本実施例の金属製カバー1aの場合であり、曲線g16は、貫通孔22が形成されていない金属製カバー1の場合である。
図17のグラフから分かるように、貫通孔22を有する本実施例の金属製カバー1aが、周波数帯域630Hz前後、1250Hz前後、2500Hz以上の各帯域において、曲線g16よりも低減されたレベルにあり、貫通孔22による騒音低減効果が見られることが確認された。
このような本実施例の金属製カバー1aは、以下の吸音作用と振動放射音低減作用とを実現することができる。
以下、本実施例の金属製カバー1aの作用について説明する。本実施例の金属製カバー1aは、それ自身に貫通孔22を設けている。したがって、金属製カバー1aが振動した場合、貫通孔22を空気が矢符e1方向に通過する際に、加工用素材24の貫通孔22を構成する端面32と空気との間で摩擦によるエネルギーの減衰が発生する。
このようなエネルギーの減衰による吸音性能は、空気の振動である音波のエネルギーが熱エネルギーに変換されることにより発揮される。このような吸音性能に関して、前記低い方のピーク周波数帯域f1における吸音性能は、隆起部7と背面板25との距離L22により定まる空気層及び谷部8と背面板25との距離L21により定まる空気層による共鳴に起因する。
さらに、本実施例の場合、面方向に前記谷部8と隆起部7とによる凹凸が存在するため、隆起部7上面と谷部8底面との間の厚さL23の空気層による共鳴に起因する音響共鳴周波数帯域付近での吸音性能も発揮する。
このような相乗的な吸音効果により、加工用素材24自身が発生する振動、騒音を、発生後に吸音することにより低減することが出来る。
また、本実施例は、前記隆起部7及び谷部8によるリブ補強効果により、金属板6が全面同位相で動きやすい。このとき金属板6に貫通孔22が設けられていることによって、加工用素材24の振動から音へのエネルギー変換効率である音響放射効率が、貫通孔22がない場合と比較して、低減することが確認された。これにより、本実施例の加工用素材24が振動している場合でも、加工用素材24から放射される音の振幅を低減できる。
金属板6に貫通孔22を設けることによる振動放射音低減効果について、金属板6の面振動が部分的に振幅又は/及び位相が異なる場合、すなわち加工用素材24の表面に振動分布が発生する場合、振動放射音低減作用の効果が小さくなることが知られている。しかし、本実施例のように、加工用素材24表面に前記隆起部7及び谷部8からなる凹凸が存在し、前述したリブ補強効果がある場合、振動分布を小さくでき、振動放射音の低減効果を顕著にすることができる。したがって、この振動放射音低減効果により、加工用素材24自身が発生する騒音を低減することができる。
また、本実施例において、加工用素材24から形成される金属製カバー1aに関して、外部からの振動によって金属製カバー1aが振動を発生する場合、このような振動は、前記波形形状9における谷部8及び隆起部7における金属板6の弾性的な変形に転換される。これにより、外部から加えられる振動は、金属板6自身の弾性変形によって相当部分が熱エネルギーに変換される。これにより、加工用素材24が受ける振動による金属製カバー1aの振が抑制されることができる。
本実施例は、貫通孔22の開口径D1、開口率、板厚t0、隆起部7と背後板25又は谷部8との距離を適切に調整することにより、低減すべき周波数帯域に合わせた振動放射音低減効果を得るよう調整することが可能である。
また、本実施例の金属製カバー1aを構成する金属板6の材質や、貫通孔22の孔形状については、上記各実施例に限定されるものではなく、他の材料を用いる場合も本発明に含まれる。
1、1a 金属製カバー
3 エキマニ
4、5、6 金属板
7、7a 隆起部
8、8a 谷部
9、9a、9b 波形形状
12 平坦部
13 凹部
18 頂部
21 調査装置
22 貫通孔
23 凹部
24 加工用素材
26 空気層
32 端面
45 積層部
46 凹所
A1 第1方向
A2 第2方向
D1 開口径

Claims (3)

  1. 貫通孔が多数形成され、弾性変形可能な単一の薄板材に、
    第1方向に沿って形成され、谷部と隆起部とが相互に連なって交互に繰り返される第1波形形状と、
    該第1方向と交差する第2方向に沿って形成され、谷部と隆起部とが相互に連なって交互に繰り返される第2波形形状とで構成し、
    該第1波形形状において、該隆起部は該谷部から立ち上がる一対の側部と、該側部間に連なる頂部とを含み、一対の側部の基端部の第1方向に沿う開口部長さよりも、頂部の第1方向に沿う頂部長さが長く定めるコルゲート形状を施し、
    前記谷部、及び前記隆起部に前記貫通孔が配置され、
    前記谷部に対して前記隆起部を所定の高さで形成するとともに、
    振動発生部材に対して所定の間隔を隔てて取り付ける
    ことを特徴とする加工用素材。
  2. 振動発生部材に応じた立体形状に形成した請求項1に記載の加工用素材と、
    所定の間隔を隔てて取り付けられる前記振動発生部材とを含む
    成型部材。
  3. 前記第1方向及び前記第2方向のいずれかが、前記立体形状の稜部と交差する方向に定められる
    請求項2に記載の成型部材。
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