JP2004092543A - カバー装置 - Google Patents

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Kazuyo Akimoto
秋本 一世
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    • F01NGAS-FLOW SILENCERS OR EXHAUST APPARATUS FOR MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; GAS-FLOW SILENCERS OR EXHAUST APPARATUS FOR INTERNAL COMBUSTION ENGINES
    • F01N2260/00Exhaust treating devices having provisions not otherwise provided for
    • F01N2260/20Exhaust treating devices having provisions not otherwise provided for for heat or sound protection, e.g. using a shield or specially shaped outer surface of exhaust device

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  • Bolts, Nuts, And Washers (AREA)
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Abstract

【課題】寸法精度、耐久性、遮熱性、制振性などの品質を格段に向上することができるカバー装置を提供する。
【解決手段】カバー1は、全面にエンボス加工が施された金属板4、5を含んで構成され、全体としてカバーされるエキゾーストマニホールドを覆う立体形状をなし、外周部において、少なくとも振動および騒音が発生し易い部位を含む範囲にフランジ部28が形成されており、他の部材への連結用ボルト穴周縁部及び刻印形成領域には押し潰し処理が施されていることを特報とする。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例としてアルミニウムなどの金属板を含んで構成されるカバー装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、熱や騒音、振動などが、例として内燃機関などの熱源や音源などから周囲に無闇に放散される事態を防止するために、上記熱源や音源に対して各種のカバーが用いられている。これらのカバーでは、熱や騒音、振動などのいずれかの放散防止用に単一の目的で用いられる場合もあるが、複数の目的を兼用する場合も有る。
【0003】
例として、自動車のエンジンのエキゾーストマニホールド(以下、エキマニ)は、エンジンの運転に伴い内部を数百度になる高温の燃焼排ガスが、場合によっては毎分数千サイクルの脈動する圧力で流過するために、相当程度の熱や振動、騒音を放散する。このような熱や騒音がエンジンルーム内や車両外部に無闇に放散されないようにエキマニカバーが用いられている。
【0004】
このような自動車のエキマニカバーは、従来では、1枚の鉄板からなるカバー材料を、前記エキマニの外部形状に沿った立体形状にプレス成形して形成していた。また、前記熱や振動および騒音に対する遮蔽効果を増大するために、複数枚の前記カバー材料の間に断熱吸音材を挟んだ構成のエキマニカバーが用いられる場合も知られている。このようなカバー材料は、エキマニの外部形状に沿った立体形状にプレス成形して形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなカバーにおいて、エキマニから前述したような高温の熱や振動および騒音が放散されるため、立体形状にプレス成形されたカバーに膜振動が発生し、この膜振動によりカバーが発生する振動および騒音が増大するという問題点がある。更に、上記高温の熱や振動および騒音により、立体形状にプレス成形されたカバーの稜線相当部位や、エキマニへの固定用のボルトを挿通するボルト穴の周辺などにクラックが発生する場合がある。このようなクラックの発生を防止するために、カバーに対して各種の工夫がなされている。工夫の一例として、カバーを形成する金属板の板厚を増大して機械的強度を増大する場合があるが、この場合ではカバー全体の重量が増大し、エキマニからの振動および騒音の伝達に伴うカバーの振動の運動量が増大してしまい、逆にカバーのエキマニへの取付部にクラックが発生しやすくなるなどの問題点が発生する。
【0006】
即ち、クラックが発生しやすいと想定される箇所に対して前述したような対処を行うことでこの個所のクラックの発生は解消できても、その対処策によって他の個所にクラックが発生する場合なども多く、クラックの発生を系統的な対処策で有効に抑制できる技術は知られていない。
【0007】
さらに、このようなカバーの材料として、アルミニウムの薄板にコルゲート加工を施した材料が、例として特表2001年504393号などに開示されているように知られている。このような材料からカバーを製造する際に、コルゲート加工されたアルミニウム板を所定のサイズに切断するトリム加工が行われる。
【0008】
このトリム加工を行う際に、アルミニウム板がコルゲート加工されて多数の凹凸が形成されているので、トリム加工を行う金型のパンチ型とダイ型とで切断し難く、寸法精度が低下し、切断不良が発生するという問題点がある。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決しようとして成されたものであり、その目的は、寸法精度、耐久性、遮熱性、制振性などの品質を格段に向上することができるカバー装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、全面にエンボス加工が施された金属板を含んで構成され、全体としてカバーされる対象部材を覆う立体形状をなし、外周部において、少なくとも振動および騒音が発生し易い部位を含む範囲にフランジ部が形成されているカバー装置である。
【0011】
請求項2記載の発明は、全面にエンボス加工が施された金属板を含んで構成され、全体としてカバーされる対象部材を覆う立体形状をなし、外周部の少なくとも振動および騒音が発生し易い部位付近を含む範囲に形成されたフランジ部、他の部材への連結用ボルトが挿通されるボルト穴周縁部及び刻印形成領域を含む該金属板の押し潰し領域に於いて、該金属板を押し潰す押し潰し処理が施されているカバー装置である。
【0012】
請求項3記載の発明は、全面にエンボス加工が施された金属板を含んで構成され、全体としてカバーされる対象部材を覆う立体形状をなし、該立体形状は、該対象部材の外形形状に対応する形状よりも多段に形成されているカバー装置である。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記金属板において、谷部と隆起部とが第1の方向にそれぞれ延び、該第1の方向と交差する第2の方向に沿って交互に連なる複数の波形形状が形成され、各隆起部は該第1の方向に沿って周期的に高さ及び幅が変化されるようにして、前記エンボス加工が施され、該第1の方向が該立体形状を構成する主要な稜線相当部位に対して交差する方向に定められている請求項1〜3のいずれかに記載のカバー装置である。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記対象部材への取付けのためのボルトが挿通され、軸線方向両端における一対の平板状の係止部と各係止部の間に一体に配置されたスリーブとを備えるワッシャ本体と、前記金属板に形成されたボルト穴周縁部と該ワッシャ本体との間に配置され、少なくともボルト軸線方向の振動および騒音を吸収する振動緩衝部材とを含んで構成される緩衝ワッシャ部材を介して、ボルトによって該対象部材に取付けられている請求項1〜4のいずれかに記載のカバー装置である。
【0015】
【作 用】
請求項1に記載の発明によれば、カバー装置に用いられる金属板には、全面にエンボス加工が施され、カバー装置の外周部において、少なくとも振動および騒音が発生し易い部位を含む範囲にフランジ部が形成されている。
【0016】
カバー装置が振動源に対して装着されるとき、振動源からの振動および騒音の伝達によりカバー装置も振動する。カバー装置が振動するとき、カバー装置の各部が繰り返しの屈曲により金属疲労を生しクラックを発生しやすくなる。
【0017】
本発明では、カバー装置の外周部の振動が発生しやすい部位を含む範囲にフランジ部が形成されているので、カバー装置が振動する際にこのフランジ部がリブの機能を実現し、カバー装置の振動の振幅を減少することができ、カバー装置におけるクラックの発生を抑制することができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、カバー装置に用いられる金属板には、全面にエンボス加工が施され、カバー装置の外周部の少なくとも振動および騒音が発生し易い部位付近を含む領域に形成されたフランジ部、他の部材への連結用ボルトが挿通されるボルト穴周縁部及び刻印形成領域を含む金属板の押し潰し領域に於いて、金属板を押し潰す押し潰し処理が施されている。
【0019】
フランジ部における後加工に際して、フランジ部にエンボス形状が残存していると、プレス加工時の金属板の厚み方向の圧縮量が多大になるなどして、加工が困難になることが想定される。本発明では、後加工を、エンボス形状を押し潰す押し潰し処理された領域に対して行うので、後加工が平坦な金属板に対して行う場合と同様に容易に行われる。
【0020】
また、本発明では、この押し潰し加工は、フランジ部に限らず、ボルト穴周縁部及び刻印形成領域に施される。これにより、押し潰し処理後の金属板の領域は、概略平坦な金属板と同等な様相になり、その後の前述した各種加工などの作業が格段に容易になる。また、後加工が容易になるだけでなく、加工を略平坦な金属板に対して行うことができるので、加工精度も格段に向上される。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、カバー装置の上記多段形状を構成する各段の形状が、カバー装置全体に亘るリブとしての機能を実現する。これにより、カバー装置に対象部材から伝達される振動および騒音により発生するカバー装置の振動および騒音が抑制される。従って、カバー装置の吸音作用、制振作用が増大し、対象部材から外方に放散される騒音を効果的に抑制することができる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、カバー装置に形成されている複数の波形形状の前記第1の方向が前記主要な稜線相当部位に対して交差する方向に定められているので、波形形状が前記稜線相当部位を中心とする振動に対してリブの作用を実現する。これにより、カバー装置の振動を抑制することができ、カバー装置のクラックの発生を防止することができ、カバー装置の品質を格段に向上することができる。
【0023】
また、カバー装置の上記多段形状を構成する各段の形状が、カバー装置全体に亘るリブとしての機能を実現する。これにより、カバー装置に対象部材から伝達される振動および騒音により発生するカバー装置の振動および騒音が抑制される。従って、カバー装置の吸音作用、制振作用が増大し、対象部材から外方に放散される騒音を効果的に抑制することができる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、カバー装置は緩衝ワッシャ部材を介して対象部材へ取付けられる。対象部材から発生してボルトを伝達する振動は、ワッシャ本体と振動緩衝部材を介してカバー装置に移動する際に。少なくともボルト軸線方向の振動を吸収する振動緩衝部材によって減衰される。これにより、対象部材からカバー装置への振動の移動が効率的に抑制される。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明を実施例について以下に説明する。図1〜図15に本発明の一実施例を示す。図1は本発明のカバー装置の一実施例のカバー1の平面図であり、図2はカバー1の左側面図であり、図3はカバー1の正面図であり、図4はカバー1を図2の矢符X4方向から見た斜視図であり、図5は図1の切断面線X5−X5から見た断面図であり、図6は図3の切断面線X6−X6から見た断面図であり、図7はカバー1の斜視図であり、図8はカバー1の一部の拡大斜視図であり、図9はカバー1をエキマニ3に装着した状態の正面図であり、図10は図9の切断面線X10−X10から見た断面図であり、図11はカバー1の拡大正面図であり、図12は図11の切断面線X12−X12から見た断面図であり、図13は図11の切断面線X13−X13から見た断面図であり、図14は図11の切断面線X14−X14から見た断面図であり、図15は本実施例の特徴を説明する図である。
【0026】
(1)カバー1の概略
以下、図9及び図10を参照してカバー1の概略について説明する。
【0027】
自動車のエンジン2などの内燃機関のエキゾーストマニホールド(以下、エキマニ)3には、内燃機関の燃焼室から例として600〜700℃の高温で毎分数千サイクルの周波数で脈動する燃焼排ガスが通過するため、対象部材であるエキマニ3自身も高温になり高温の熱輻射を発生する熱源となり、また、エンジン2内での燃料の爆発音、燃焼排ガスのエキマニ3内の流過音などに起因する振動および騒音を外部に放散する音源及び振動源となる。
【0028】
本実施例では、エキマニ3からのこのような高温の熱輻射及び振動および騒音の放散を可及的に抑制するために、後述される構成を有するカバー1がエキマニ3を覆う態様に設置されている。本実施例のカバー1は、図10に示されるように、比重が2.7程度のアルミニウム合金からなり、相互に板厚が異なる一対の金属板(例として、T&N社製NIMBUSなど)4、5と、金属板4、5に挟まれた無機繊維などからなる耐熱性吸音材(以下、吸音材)6とが積層されて構成されている。カバー1は、エキマニ3の外観形状に概略沿って立体形状に形成され、側壁T1とこの側壁T1の端部全周を連結する頂部T2とを備えている。側壁T1と頂部T2とは鈍角θをなして連なっている。本実施例において、上記金属板4、5は、アルミニウム箔或いはアルミニウム合金箔、更にはアルミニウムやその合金からなる薄板を含むものとして説明する。
【0029】
本実施例のカバー1に用いられる前記金属板4、5は、図11〜図15に示されるように、隆起部7と谷部8とが交互に繰り返された複数の波形形状9が第1方向A1に沿って延び、第1方向A1と鋭角で交差する方向、好適には直交する方向である第2方向A2に沿って連なった形状を有している。
【0030】
このように、本実施例の金属板4、5は、第1方向A1及び第2方向A2に沿って周期的に凹凸形状が連続するエンボス形状を有しているが、このエンボス形状の具体例は、上述した本実施例の形状に限定されるものではなく、アルミニウム板の相互に交差する方向に沿うコルゲート形状を形成した例や、アルミニウム板に凹所或いは突起を多数形成してエンボス形状の例など、多種類の具体例を含むものである。
【0031】
前記隆起部7は、その長手方向に沿って、図11〜図13に示されるように、第1起立部10と第2起立部11とが谷部8から立上って交互に配列されている。また、前記谷部8は、図11〜図13に示されるように平坦部12と凹部13とが交互に配列されている。
【0032】
前記第1起立部10は、谷部8から略台形状に立上る一対の側壁14、15と、側壁14、15の先端が相互に連結されて形 成される比較的平坦な頂部18とを含んで構成されている。第1起立部10は内曲しており、第1起立部10の図12下方側の基端部よりも図12上方側の先端部のほうが幅広になる。
【0033】
一方、前記第2起立部11は、第1起立部10が概略幅方向に所定の程度押し潰されて形成され、平坦部12からそれぞれ立上る一対の側壁19、20と、側壁19、20の図13上方側の先端を相互に連結し、図13の下方側に凹状の凹部23とを含んで構成されている。このような各第2起立部11および凹部13は、複数の波形形状9の延びる方向である前記第1方向A1と実質的に直交する方向である第2方向A2に沿ってそれぞれ連続的に連なるように形成される。
【0034】
従って、図12及び図13に示されるように、金属板4の隆起部7の内曲した内周部に、金属板5の隆起部7の突出部が嵌り込む。また、第2起立部11でも、側壁19、20は、図13下方側の基端部よりも図13上方側の先端部が幅広であり、内曲した形状に形成されている。このような第2起立部11でも、金属板4の第2起立部11の内曲した内周部に、金属板5の第2起立部11の突出部が嵌り込む。これにより、各金属板4、5は、何らの特段の固定具、締結具を用いることなく、相互に強固に固定されることができる。この相互固定は、金属板4、5の間に無機繊維などからなる前記吸音材6を介在した場合でも同様に強固に行われる。これは、金属板4、5の相互結合が、両者の機械的な噛合い関係によるからである。
【0035】
カバー1は、このような形状を有し、吸音材6を間に挟んだ金属板4、5を、エキマニ3の外形形状に概略的に沿った立体形状にプレス加工することにより形成される。立体形状に形成されたカバー1の側壁T1の外周部には、この外周部において少なくとも振動および騒音が発生しやすい部位を含む範囲にフランジ部28が形成される。フランジ部28には外周端部が折返されて折返し部29が形成される。
【0036】
本実施例において、図5に示されるように、カバー1の外形は同図に2点鎖線で示されるエキマニ3の外形に概略的に沿っていると共に、エキマニ3を略側方から覆う第1段部24に加え、第1段部24上端部に凹部25を介して一体に連なる第2段部26を追加的に設けている。
【0037】
このような第1段部24、凹部25及び第2段部26が形成されることにより、カバー1は多段形状になる。これにより、第1段部24、凹部25及び第2段部26が、カバー1全体に亘るリブとしての機能を実現する。これにより、カバー1にエキマニ3から伝達される振動および騒音により発生するカバー1の振動が抑制されることになる。従って、カバー1の吸音作用、制振作用が増大し、エキマニ3から外方に放散される振動および騒音を効果的に抑制することができる。
【0038】
このような振動および騒音の抑制作用をもたらす前記多段形状は、本実施例で例示した2段形状に限定されず、エキマニ3の外形形状、エキマニ3から発生される振動および騒音の周波数帯域などの各種の要因を勘案して3段以上に実施するなど、適宜設定し得るものである。
【0039】
前記フランジ部28には、前記折返し部29が形成されるに先だって、前記波形形状9が押し潰されて、金属板4、5の積層体が概略平板状に形成される押し潰し処理(以下、コイニング処理)が施される。即ち、フランジ部28における折返し部29の形成のための折り曲げのベント加工のためには、フランジ部28に波形形状9が残存していると、プレス加工時の金属板4、5の厚み方向の圧縮量が多大になり、ベント加工が困難になることが想定される。このため、ベント加工を、平坦な金属板に対して行う場合と同様に容易に行うために、ベント加工に先だってフランジ部28に前述したコイニング処理が行われる。
【0040】
また、本実施例では、このコイニング加工は、フランジ部28に限らず、連結用ボルトであるボルト31が挿通されるボルト穴33の周縁部35、或いは例として高温時における使用者の手指による接触を警告するコーションマークなどの各種表示を刻印したりプレートなどで付する刻印領域36を含む押し潰し領域にコイニング処理が施される。これによりコイニング処理後の金属板4、5の領域は、概略平坦な金属板と同等な様相になり、その後の前述した折返し加工などのプレス加工、ボルト31などを用いる締付処理、或いは上記表示領域への刻印、プレート取付けなどの作業が格段に容易になる。
【0041】
また、本実施例において、折返し部29を形成しない場合、カバー1の外周部は、ブランキングされた金属板4、5の鋭利な切断端部が外部に直接露出した状態になる。従って、この折返し部29は、車両の製造工程におけるカバー1を車両エンジン2のエキマニ3へ組付ける組付け工程において、カバー1を持って作業する組付け作業者、或いは、製造後の車両のメンテナンスの際にカバー1を持つ可能性のある作業者や一般ユーザーなどが手指に創傷を負わないようにするという新規な機能を実現するものである。
【0042】
(2)カバー1の特徴
以下、図15を参照して、本実施例のカバー1の特徴の一つについて説明する。
【0043】
本実施例のカバー1は前述したようにエキマニ3の立体的な外観形状に沿った立体形状に形成されるので、カバー1には図1に示されるように金属板4、5の屈曲部位である一つ或いは複数の稜線相当部位30が形成される。本実施例では、波形形状9の長手方向である前記第1方向A1が、これら複数の稜線相当部位30のうちの主要な稜線相当部位30に交差する方向となるように、金属板4、5に対して立体形状へのプレス加工を施す。
【0044】
ここで、前記主要な稜線相当部位30とは、カバー1の全体的な形状を特徴付ける比較的大きな曲率が連続する部位である。即ち、カバー1に形成される大小種々の折り曲げ部位のうち、カバー1の外観形状を実質的に決定付ける比較的長寸に亘って延びる折り曲げ部位を指す。カバー1がエキマニ3に対して装着されるとき、エキマニ3からの振動および騒音の伝達によりカバー1も振動する。この振動および騒音によりカバー1が振動するとき、前記主要な稜線相当部位30を中心にしてその両側のカバー1の部位がばたつくように振動する。このような振動が発生すると、カバー1の稜線相当部位30付近の部位が繰り返しの屈曲により金属疲労を生じクラックを発生しやすくなる。
【0045】
これに対して、本実施例では、カバー1に形成されている複数の波形形状9の第1方向A1が前記主要な稜線相当部位30に対して交差する方向、好適には直交する方向となるように定められているので、波形形状9が前記稜線相当部位30を中心とする振動に対してリブの作用を実現する。これにより、カバー1の振動および騒音を抑制することができ、カバー1のクラックの発生を防止することができ、カバー1の品質を格段に向上することができる。
【0046】
また、前記稜線相当部位30の延びる方向に沿って発生する振動に対しては、前記第2方向A2に沿って断続的に延び、第1方向A1に沿って連なる図4〜図6に示される前記第2起立部11が、やはりリブの機能を実現して振動および騒音を抑制する。
【0047】
(3)カバー1のエキマニ3への取付け構造
以下、図6、図9及び図10を併せて参照して、カバー1のエキマニ3への取付け構造について説明する。
【0048】
カバー1は、図9及び図10に示されるようにボルト31でエキマニ3に取付けられる。エキマニ3はエンジン2の運転時には毎分数千サイクルの振動および騒音を発生し、この振動および騒音が空気中をカバー1に伝播され、或いはボルト31を介してカバー1に伝達される。従って、本実施例では、カバー1をエキマニ3に取付けるに際して、図6に示されるような緩衝ワッシャ部材32を用いる。
【0049】
緩衝ワッシャ部材32は、ボルト31を外囲して設けられる、例としてステンレス鋼などのエキスパンドメタルなどの金属製網状材料からなる略環状の緩衝材39と、断面が略S字状のサッシ41を備えている。緩衝材39とサッシ41とを含んで振動緩衝部材が構成される。サッシ41は、エキマニ3のボルト用ボス(図示せず)などにネジ付けられるボルト31が挿通する挿通穴46を有している。
【0050】
また、サッシ41は、カバー1を保持するために、円環状の金属板の内周縁が外周側に折り返された形状の第1保持部43と、緩衝材39を保持するために、円環状の金属板の外周縁が内周側に折り返された形状の第2保持部45と、第1保持部43と第2保持部45とに亘って屈曲して形成され、カバー1と緩衝材39とを、1保持部43及び第2保持部45を介して、ボルト31の軸線方向及び半径方向へ変位自在に弾性的に連結する連結部47とを備えている。連結部47は第1保持部43から第2保持部45に亘る部位である。
【0051】
また、緩衝材39の内周とボルト31との間には、ワッシャ本体であるカラー部材22が設けられている。カラー部材22は、筒部27と、筒部27の軸線方向一端部に一体に形成されたフランジ部28とを含むカラー片50と、筒部27よりも大径の筒部51と、筒部51の軸線方向一端部に一体に形成されたフランジ部52とを含むカラー片53とを含んで構成される。筒部27を筒部51内に圧入して固定した状態で、各フランジ部28、52は、図6に示されるように、緩衝材39を挟んだときに、フランジ部28、52と緩衝材39との間に、ボルト31の軸線方向に沿って隙間が生じるように構成される。また、筒部51と緩衝材39とも、筒部51の外周と緩衝材39の内周との間に所定の隙間が形成されるように構成される。
【0052】
(4)緩衝ワッシャ部材32の作用効果
以下、緩衝ワッシャ部材32の作用効果について説明する。
【0053】
エキマニ2から発生してボルト31を伝達する振動および騒音と熱は、カラー部材22、緩衝材39及びサッシ41を介してカバー1に移動する。ボルト31からの振動が、緩衝材39に移動するとき、カラー部材22と緩衝材39とのボルト31の半径方向及び軸線方向に沿って設けられた隙間における緩衝材39の自由振動と、緩衝材39自体のボルト31軸線方向に沿う弾性変形とによって、緩衝ワッシャ部材32内部を伝達する振動が減衰される。
【0054】
更に、振動が緩衝材39からサッシ41を介してカバー1に移動する際に、上記連結部45の弾性を有する屈曲変形作用でも減衰される。即ち、サッシ41において、緩衝材39を保持する第2保持部45、連結部47、及びカバー1を保持する第1保持部43を順次介して振動が伝達される。この連結部47は、第1保持部43と第2保持部45とに亘って屈曲して形成され、3次元方向に弾性変形可能な緩衝材39とカバー1とを、第1保持部43及び第2保持部45を介して相互に連結している。
【0055】
これにより、エキマニ2からカバー1への振動および騒音の移動が効率的に抑制される。本件発明者の実験によると、上述した本実施例の緩衝ワッシャ部材32の構成を用いることにより、エンジン2やエキマニ3から発生する振動および騒音のカバー1による制振性に関して、全周波数帯域での制振特性が改善されており、特に、比較的低い周波数帯域における制振特性が改善されていることが確認されている。
【0056】
また、エキマニ2からカバー1への熱の移動に関しても、カラー部材22は緩衝材39を両側から密着して挟んでいるのではなく、前述したようにボルト31の軸線方向及び半径方向に沿って隙間が形成されている。これにより、カラー部材22から緩衝材39への熱の伝達が抑制される。
【0057】
更に、網目状をなすエキスパンドメタルを緩衝材39として採用した本実施例では、カラー部材22やサッシ41の緩衝材39との接触が実質的に複数点での点接触或いは線接触になる。従って、緩衝材39を構成するエキスパンドメタルの線径である刻み幅や比表面積などを適宜調節することにより、緩衝材39における伝熱経路の狭さを、所望の程度に調整することができる。即ち、エキスパンドメタルの開口率を大きくしたり、比表面積を小さくしたりすると、緩衝材39における伝熱経路を狭くすることができ、熱の移動が抑制され、カバー1による遮熱作用が向上される。
【0058】
また、この熱の移動の抑制作用は、前記カラー部材22やサッシ41の緩衝材39との接触が実質的に点接触或いは線接触になることから、緩衝材39とカラー部材22との間、緩衝材39とサッシ41との間に恒常的に空気層が形成されることによっても実現される。
【0059】
従って、本実施例では、緩衝材39としてエキスパンドメタルを用いることにより、前述した二重の作用で熱の移動が抑制され、カバー1による遮熱作用が格段に向上される。
【0060】
(5)カバー1の遮熱効果
以上のように、本実施例のカバー1は、材料としてアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成されるので、従来品の各種メッキ鋼板などの場合と比較すると、極めて軽量であり、また熱伝導性が良好であるという特徴を有している。従って、軽量な点で熱容量が小さく、また熱伝導性が良好であるので、例として、寒冷期のエンジンの始動時おいて、エキマニの熱が触媒に速やかに伝達され、触媒を速やかに昇温させる暖気作用を実現できる。また、エンジン回転時には、例として空冷によるエキマニや触媒の冷却作用を実現することができる。
【0061】
カバー1がアルミニウム合金などから構成されるので、カバー1の表面は銀灰色の光沢ある表面性状である。従って、カバー1は表面における熱反射が良好であり、外部から入射される熱は表面で良好に反射される。これによっても、カバー1による遮熱作用が向上される。
【0062】
また、カバー1は前述したようなコルゲート形状を有しているので、表面積が平面視の面積よりも例として2倍前後になる場合がある。このような表面積の増大により、エキマニ3などの熱源からカバー1に入射される赤外線の反射の程度が大きくなる。また、カバー1の表面にコルゲート形状により多数の凹凸が形成されていることから、その反射も乱反射になる。従って、カバー1はコルゲート形状を有する点で、平板状の材料から形成される場合と比較し、放射率が増大するので、エキマニ3に対する温度抑制作用が実現される。
【0063】
また、カバー1は金属板4、5がコルゲート形状によって相互に噛合った積層構造を有している。これにより、金属板4、5に前記谷部8、平坦部12などにより、金属板4、5の全面に亘り空気層が形成される。これにより、各種メッキ鋼板の1枚から形成されている従来のカバー類と比較し保温作用が格段に向上されている。
【0064】
カバー1は、前述したようにコルゲート形状に形成されている。従って、カバー1の表面には多数の凹凸が構成されている。これにより、エキマニ3からカバー1に放射される熱が、カバー1の表面で乱反射され、カバー1のエキマニ3と反対側の空間に、均一に熱を放散することができ、カバー1の温度を有効に低減することができる。
【0065】
また、本実施例のカバー1では、アルミニウム合金などからなる一対の金属板4、5及びこれらで挟まれた耐熱性吸音材6でエキマニ3からの熱輻射や振動および騒音が吸収され、また、このようなアルミニウム合金からなる金属板4、5の熱伝導率は、従来から多く用いられているアルミニウムメッキ鋼板などよりも格段に高い熱伝導率を有しているので、カバー1における熱分布が容易に均等化され、カバー1に局部的に他の部分よりも高温のヒートスポットが形成される事態が防止される。これにより、本例のカバー1を用いると、エンジン2の周囲に配置された各種電装機器類、ハーネス類或いは合成樹脂材料などからなるホースやダクト類などが上記熱輻射により過度に昇温し、特性が変化したり熱劣化するなどの不具合の発生を防止することができる。
【0066】
また、カバー1に用いられる金属板4、5は、波形形状を有しているので、金属板4、5それ自身が空気層を有している。即ち、図12における隆起部7や図13における凹部23の各図の下方側の凹所、図4における谷部8の内部、図13における平坦部12を挟んで隣接する側壁19、20で挟まれれる凹所などに空気層が形成される。この空気層によっても熱の伝達が抑制されるので、この点でもカバー1の遮熱作用は格段に向上されている。
【0067】
(6)カバー1の制振効果
前述したように、本実施例のカバー1は、相互に板厚が異なる金属板4、5が積層されて構成されている。これにより、各金属板4、5の各共振周波数が相互に打ち消し合い、金属板4、5の共振による振動および騒音の発生を防止することができる。これによっても、カバー1の吸音作用が向上される。
【0068】
カバー1は、前述したようにコルゲート形状に形成されている。従って、カバー1の表面には多数の凹凸が構成されている。これにより、エキマニ3からカバー1に放射される音波が、カバー1の表面で乱反射されることになる。これにより、カバー1に入射される音波を低減することができ、カバー1を介してカバー1の外部に放散される音波を低減することができ、カバー1の振動および騒音低減効果を格段に向上することができる。
【0069】
また、カバー1の全面にコルゲート形状が形成されていることにより、エキマニ3から伝達された振動および騒音により、カバー1が振動する際の振動領域が、例としてカバー1全面から、コルゲート形状によって細分化された微少領域に細分化される。従って、各微少領域における振動の振幅が抑制されて発生される音波の音量が低減される。これにより、カバー1の制振作用が格段に向上される。
【0070】
また、カバー1は金属板4、5の間に吸音材6を挟んだ積層構造を有しており、しかも金属板4、5は相互に強固に噛合った状態でお互いに固着されている。従って、カバー1に関して、前記積層構造の全体の厚さが、カバー1の厚さになる。従って、カバー1の見かけの板厚が厚くなり、カバー1に入射する音波の透過率が低減され、この点でもカバー1の制振作用が向上される。
【0071】
前述した制振作用に関する本実施例の作用・効果は、例としてカバー1における振動発生に関して低減することに関してのみ作用するものではない。カバー1における金属板4、5の各板厚やその相違の程度、或いはコルゲート形状のピッチなどを適宜調整することにより、振動を増大することも可能である。即ち、本実施例のカバー1の作用・効果の本質は、エキマニ3から発生される振動および騒音に関して、カバー1による振動および騒音の外部への伝達の程度を、適切な程度に制御可能とするものである。
【0072】
(7)カバー1の耐久性に関する効果
また、アルミニウムまたはアルミニウム合金から構成される金属板4、5は、表面が酸化アルミニウムで被覆され、錆びにくくなる。これにより、カバー1の耐久性が格段に向上されるという作用効果を有している。
【0073】
カバー1は、前述したように、フランジ部28などにおいて、波形形状9が全屈されるコイニング処理が施されている。従って、カバー1は、これらの部分において平板状になっており、全屈による硬度が上昇すると共に、引張り強度及びたわみ強度が向上するという作用効果を実現する。従って、カバー1全体の機械的強度が増大し、カバー1の耐久性を向上することができる。
【0074】
ここで、カバー1における金属板4、5を押し潰す程度を適宜調節することにより、コイニング処理後の板厚及び硬度を適宜調節することができる。これにより、前記カバー1の耐久性が向上されるだけでなく、カバー1で吸収される振動および騒音の周波数帯域を、所望の周波数範囲に設定することができ、カバー1が用いられる環境に対応した最適な吸音特性を有するカバー1を作成することができる。
また、前述したように、カバー1は、第1段部24、凹部25及び第2段部26が形成されることにより多段形状に形成される。これにより、第1段部24、凹部25及び第2段部26が、カバー1全体に亘るリブとしての機能を実現してカバー1の面剛性を向上し、カバー1全体の剛性を向上する。これにより、カバー1の成形性と耐久性とが向上されることができる。
【0075】
また、前記多段形状は、カバー1における振動面を前記凹部25により分断することになる。従って、振動面を分断する凹部25のサイズや曲率などの設定態様によって、分断された振動面における膜振動の態様を制御することができ、カバー1の膜振動の態様を制御することができる。その制御の一態様として、エキマニ3から伝達される振動や騒音の周波数帯域から想定されるカバー1の共振周波数帯域が可聴周波数帯域以外となるように、前記振動面の分断態様を設定することにより、カバー1の膜振動の抑制を図ることができる。
【0076】
以上のように、本実施例によれば、カバー1は金属板4、5を立体形状をなすように形成して構成され、この金属板4、5に形成されている複数の波形形状9は、隆起部7と谷部8とが第2方向A2に連なって形成され、各隆起部7はその長手方向即ち第1方向A1に沿って周期的に高さが変化されている。更に、第1方向A1が立体形状を構成するカバー1の主要な稜線相当部位30に対して交差する方向好適には直交する方向に定められている。
【0077】
従って、波形形状9が前記主要な稜線相当部位30を中心とするカバー1の部位の振動に対してリブの作用を実現する。これにより、エキマニ3からの振動により、カバー1が前記主要な稜線相当部位30を中心にしてその両側のカバー1の部位がばたつくように振動する事態が抑制され、カバー1の稜線相当部位30付近の部位が繰り返しの屈曲により金属疲労を生じクラックを発生しやすくなる事態が防止される。これにより、本実施例のカバー1の振動および騒音を抑制することができ、カバー1のクラックの発生を防止することができ、カバー1の品質を格段に向上することができる。
【0078】
また、本実施例によれば、カバー1の外周部の振動しやすい部位を含む領域の少なくとも一部分にフランジ部28が形成されているので、カバー1が振動する際にこのフランジ部28がリブの機能を実現し、カバー1の振動および騒音の振幅を減少することができ、カバーに1おけるクラックの発生を抑制することができる。
【0079】
また、本実施例によれば、カバー1の外周部の少なくとも一部分に、金属板4、5の端部を折返した折返し部29が形成されているので、カバー1をエキマニ3に装着する組付け工程や製造後のカバー1のメンテナンスなどの際に、作業者がブランキングされただけのカバーの外周部に生じ得る鋭利な切断端部で手指に創傷を受ける事態が防止される。この点でカバー1の品質が格段に向上される。
【0080】
また、本実施例によれば、カバー1は緩衝ワッシャ部材32を介して、ボルト31によってエキマニ3に取付けられる。この緩衝ワッシャ部材32による作用効果は前述した通りである。
【0081】
更に、本実施の形態において、前述したように、カバー1の不所望な変形や割れの発生が防止されるので、これを達成するために、カバー1を構成する金属板4、5の板厚を大きくしたり補強部材を追加したりして、カバー1の剛性を増大させたり、カバー1のエキマニ2に対する支持個所を増大させたりする必要が解消される。これにより、カバー1の剛性を増大させたときに想定されるカバー1の重量の増大による支持個所付近での割れの可能性の増大や、カバー1の支持個所を増大させた際に想定される熱歪による割れの発生を防止することができる。これらの点でもカバー1の信頼性が格段に向上される。
【0082】
(8)カバー1の加工性に関する効果
本実施例のカバー1は、アルミニウムから形成されているので、従来技術の各種メッキ鋼板などと比較して、延性が高い、硬度が低いという物性的特徴を有している。従って、コルゲート加工が施された金属板4、5をプレス加工する際に、金属板4、5の伸び率が格段に向上される。従って、金属板4、5の加工性が格段に向上されている。
【0083】
また、本実施例によれば、カバー1の前記立体形状は側壁T1と頂部T2とを含んで構成され、側壁T1は頂部T2に対して鈍角θをなして連なっている。従って、カバー1はプレス方向に対してアンダーカット形状を有していないので、立体形状のカバー1を製造する際にプレス加工により製造することができる。これにより、製造工程が簡略化される。
【0084】
また、カバー1は、コルゲート形状に加工された金属板4、5をプレス加工して製造される。このとき、金属板4、5は、そのコルゲート形状に起因して、プレス加工の際の伸び量が、平板状の金属板よりも格段に大きくなる。従って、深絞り加工などのプレス加工が容易になると共に、平板状の金属板をプレス加工する際に発生する平板状の金属板の薄肉化が防止される。
【0085】
これにより、本発明のカバー1は、プレス加工が容易になると共に、製品の品質が格段に向上されるという顕著な効果を奏するものである。
【0086】
また、カバー1の外周部には、前述したようにフランジ部28が形成されており、このフランジ部28には前述したコイニング処理が施されている。従って、カバー1のフランジ部28は平板状に形成されており、外周形状を成形するトリム加工の際に、コルゲート加工により構成される金属板4、5表面の凹凸配慮する必要が解消され、カバー1の平面視形状に従ってトリム加工を行うことができる。
【0087】
また、本実施例では、製品形状が前述した多段形状に構成されるので、プレス用金型でカバー1をプレス加工して製造する際に、金属板4、5の大きく屈曲する部位が多数に亘って形成されるので、前記大きく屈曲する部位である応力集中箇所がカバー1全体に亘って分散されることになる。これにより、カバー1の成形性が格段に向上される。
【0088】
また、前記コルゲート加工に関する方向A1、A2は、コルゲート加工の方向、波形形状9のピッチ及び波形形状9の高さなどを適宜設定することにより、任意の方向に設定することができる。製品であるカバー1の加工時、或いは製品の使用時において、特定の方向に引張強度が必要なことが予め判明している場合には、この方向A1、A2が前記特定の方向に平行にならないように、前記コルゲート加工の方向を設定する。このようにして、カバー1に関して任意の方向に引張強度やたわみ強度が必要であっても、カバー1における前記任意の方向に関して引張強度及たわみ強度を増大するなど、適宜調整することができ、カバー1を製造する際の加工性が格段に向上されると共に、製品の信頼性を格段に向上することができる。
【0089】
また、本実施例のコルゲート形状は、前述したように、カバー1における前記方向A1に沿って形成されたリブ機能をも実現することができるので、カバー1に関して前記方向A1を適宜定めることにより、カバー1が方向A1と交差する方向に沿って撓む際の断面2次モーメントが調整され、たわみ強度を予め定める強度に設定することができる。これによっても、製品の信頼性を格段に向上することができる。
【0090】
更に、本実施例のカバー1は、金属板4、5のそれぞれの板厚の選択、及び波形形状9の板厚方向の折り返しによる高さの選択により、カバー1全体の板厚を所望の範囲に制御することができる。これにより、金属板4、5に対する加工性が格段に向上される。
【0091】
(9)カバー1の安全性に関する効果
本実施例のカバー1は、アルミニウムやアルミニウム合金などから形成されているので アスベストなどを用いるカバー類と比較して、これらの有害物質が飛散するなどの不具合の発生が防止されている。
【0092】
(10)製品のリサイクル性に関する効果
本実施例のカバー1は、前述したようにアルミニウムから形成されているので、各種メッキ鋼板などと比較し、利用済みのカバー1からアルミニウムを取出して再利用が可能なリサイクル性を有している。
【0093】
(11)変形例
また、本発明の変形例として、カバー1のエキマニ3と反対側の表面(以下、外側表面と記す)に黒色塗装を施す場合が本発明に含まれる。この場合、カバー1の前記外側表面の黒色輻射が、カバー1のエキマニ3側の表面(以下、内側表面と記す)の黒色輻射よりも大きくなる。これにより、前記外側表面の放射率が内側表面の放射率より大きくなり、カバー1によりカバー1のエキマニ3側の温度を低減させる作用を実現することができる。
【0094】
前述した制振作用に関する本実施例の作用・効果は、例としてカバー1における振動および騒音発生に関して低減することに関してのみ作用するものではない。カバー1における金属板4、5の各板厚やその相違の程度、或いはコルゲート形状のピッチなどを適宜調整することにより、振動および騒音を増大することも可能である。即ち、本実施例のカバー1の作用・効果の本質は、エキマニ3から発生される振動および騒音に関して、カバー1による振動および騒音の外部への伝達の程度を、適切な程度に制御可能とするものである。
【0095】
また、本実施例では、フランジ部28におけるコイニング加工について説明したが、本発明においてコイニング加工はフランジ部28に限定されるものではなく、カバー1に各種穴あけ加工を行うPIAS(ピアス)加工が施される部位や、刻印或いはプレートの固定などで実現される品番或いはメーカー名の表示を行う表示箇所、更には各種カット加工などにおいても、コイニング加工を施す例を含むものである。
【0096】
前記ピアス加工の場合、加工対象部材の表面が前記コルゲート加工された凹凸状であるより、平板状であるほうが加工が容易であり、加工位置の精度が向上することはあきらかである。また、前記表示箇所に刻印加工やプレートの取付けなどを行う場合でも、加工対象部材の表面性状に関して、コルゲート加工による凹凸状よりも平板状であるほうが加工が容易であり、加工位置の精度が向上することはあきらかである。このような場合でも、コイニング加工により後処理が容易になり、また加工精度も向上される。
【0097】
本発明は、上記各実施の形態の例に権利範囲を限定されるものではなく、本発明の精神逸脱しない範囲で広範な変形例を含むものである。
【0098】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、下記の効果を奏することができる。請求項1に記載の発明によれば、カバー装置の外周部の振動および騒音が発生しやすい部位を含む範囲にフランジ部が形成されているので、カバー装置が振動する際にこのフランジ部がリブの機能を実現し、カバー装置の振動および騒音の振幅を減少することができ、カバー装置におけるクラックの発生を抑制することができる。
【0099】
請求項2記載の発明によれば、フランジ部における後加工に際して、フランジ部にエンボス形状が残存していると、プレス加工時の金属板の厚み方向の圧縮量が多大になるなどして、加工が困難になることが想定される。本発明では、後加工を、エンボス形状を押し潰す押し潰し処理された領域に対して行うので、後加工が平坦な金属板に対して行う場合と同様に容易に行われる。
【0100】
また、本発明では、この押し潰し加工は、フランジ部に限らず、ボルト座面及び刻印形成領域に施される。これにより、押し潰し処理後の金属板の領域は、概略平坦な金属板と同等な様相になり、その後の前述した各種加工などの作業が格段に容易になる。また、後加工が容易になるだけでなく、加工を略平坦な金属板に対して行うことができるので、加工精度も格段に向上される。
【0101】
請求項3記載の発明によれば、カバー装置の上記多段形状を構成する各段の形状が、カバー装置全体に亘るリブとしての機能を実現する。これにより、カバー装置に対象部材から伝達される振動により発生するカバー装置の振動および騒音が抑制される。従って、カバー装置の吸音作用、制振作用が増大し、対象部材から外方に放散される振動および騒音を効果的に抑制することができる。
【0102】
請求項4記載の発明によれば、カバー装置に形成されている複数の波形形状の前記第1の方向が前記主要な稜線相当部位に対して交差する方向に定められているので、波形形状が前記稜線相当部位を中心とする振動に対してリブの作用を実現する。これにより、カバー装置の振動および騒音を抑制することができ、カバー装置のクラックの発生を防止することができ、カバー装置の品質を格段に向上することができる。
【0103】
また、カバー装置の上記多段形状を構成する各段の形状が、カバー装置全体に亘るリブとしての機能を実現する。これにより、カバー装置に対象部材から伝達される振動により発生するカバー装置の振動および騒音が抑制される。従って、カバー装置の吸音作用、制振作用が増大し、対象部材から外方に放散される振動および騒音を効果的に抑制することができる。
【0104】
請求項5記載の発明によれば、カバー装置は緩衝ワッシャ部材を介して対象部材へ取付けられる。対象部材から発生してボルトを伝達する振動は、ワッシャ本体と振動緩衝部材を介してカバー装置に移動する際に。少なくともボルト軸線方向の振動を吸収する振動緩衝部材によって減衰される。これにより、対象部材からカバー装置への振動の移動が効率的に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のカバー1の平面図である。
【図2】カバー1の左側面図である。
【図3】カバー1の正面図である。
【図4】カバー1を図2の矢符X4方向から見た斜視図である。
【図5】図1の切断面線X5−X5から見た断面図である。
【図6】図3の切断面線X6−X6から見た断面図である。
【図7】カバー1の斜視図である。
【図8】カバー1の一部の拡大斜視図である
【図9】カバー1をエキマニ3に装着した状態の正面図である。
【図10】図9の切断面線X10−X10から見た断面図である。
【図11】カバー1の拡大正面図である。
【図12】図11の切断面線X12−X12から見た断面図である。
【図13】図11の切断面線X13−X13から見た断面図である。
【図14】図11の切断面線X14−X14から見た断面図である。
【図15】本実施例の特徴を説明する図である。
【符号の説明】
1 カバー
2 エンジン
3 エキマニ
4、5 金属板
6 吸音材
7 隆起部
8 谷部
9 波形形状
10 起立部
12 平坦部
14、15 側壁
18 頂部
19、20 側壁
22 カラー部材
23、25 凹部
24、26 段部
27 筒部
28 フランジ部
29 折返し部
30 稜線相当部位
31 ボルト
32 緩衝ワッシャ部材
39 緩衝材
41 サッシ
A1、A2 方向
T1 側壁
T2 頂部
θ 側部T1と頂部T2との鈍角の交差角

Claims (5)

  1. 全面にエンボス加工が施された金属板を含んで構成され、全体としてカバーされる対象部材を覆う立体形状をなし、外周部において、少なくとも振動および騒音が発生し易い部位を含む範囲にフランジ部が形成されている
    ことを特徴とするカバー装置。
  2. 全面にエンボス加工が施された金属板を含んで構成され、全体としてカバーされる対象部材を覆う立体形状をなし、外周部の少なくとも振動および騒音が発生し易い部位付近を含む範囲に形成されたフランジ部、他の部材への連結用ボルトが挿通されるボルト穴周縁部及び刻印形成領域を含む該金属板の押し潰し領域に於いて、該金属板を押し潰す押し潰し処理が施されている
    ことを特徴とするカバー装置。
  3. 全面にエンボス加工が施された金属板を含んで構成され、全体としてカバーされる対象部材を覆う立体形状をなし、該立体形状は、該対象部材の外形形状に対応する形状よりも多段に形成されている
    ことを特徴とするカバー装置。
  4. 前記金属板において、谷部と隆起部とが第1の方向にそれぞれ延び、該第1の方向と交差する第2の方向に沿って交互に連なる複数の波形形状が形成され、各隆起部は該第1の方向に沿って周期的に高さ及び幅が変化されるようにして、前記エンボス加工が施され、該第1の方向が該立体形状を構成する主要な稜線相当部位に対して交差する方向に定められている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカバー装置。
  5. 前記対象部材への取付けのためのボルトが挿通され、軸線方向両端における一対の平板状の係止部と各係止部の間に一体に配置されたスリーブとを備えるワッシャ本体と、前記金属板に形成されたボルト穴周縁部と該ワッシャ本体との間に配置され、少なくともボルト軸線方向の振動を吸収する振動緩衝部材とを含んで構成される緩衝ワッシャ部材を介して、ボルトによって該対象部材に取付けられている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカバー装置。
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