JP2009278618A - 伝送線路により実装される反射負荷を有する反射型位相シフタ、及び位相配列受信機/送信機 - Google Patents

伝送線路により実装される反射負荷を有する反射型位相シフタ、及び位相配列受信機/送信機 Download PDF

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明達 蔡
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Abstract

【課題】反射型位相シフタ等を提供する。
【解決手段】反射型位相シフタは、カプラ、第1の反射負荷、及び第2の反射負荷を有する。カプラは、入力信号を受信する入力ポートと、スルーポートでの第1の反射信号及び連結ポートでの第2の反射信号により出力信号を出力する分離ポートとを有する。第1の反射負荷は、入力信号の第1の部分を反射して、第1の反射信号を発生させる。第2の反射負荷は、入力信号の第2の部分を反射して、第2の反射信号を発生させる。更に、第1及び第2の反射負荷のうちの少なくとも1つは伝送線路と等しい。
【選択図】図2

Description

本発明は、位相シフタ及びその応用に関し、より具体的に、スルーポート及び連結ポートのうちの少なくとも1つが等価伝送線路へ接続されているカプラを有する反射型位相シフタ、並びに反射型位相シフタを実装されている位相配列受信機又は送信機に関する。
位相シフタは、様々な無線通信用途で用いられている一般的な構成部品である。例えば、位相配列受信機は、所望のビーム形成を達成するために位相シフタを必要とする。図1を参照されたし。図1は、従来の反射型位相シフタを表す図である。従来の反射型位相シフタ100は、直交カプラ102と、複数のキャパシタ104、106とを有する。図1に示されるように、直交カプラ102は、入力ポートP1と、スルーポート(直接ポート)P2と、連結カプラP3と、分離ポート(出力ポート)P4とを有する。直交カプラ102は、また、入力信号を90度の位相差を有して2つの信号に分けるために使用される90度ハイブリッドカプラとも呼ばれる。更に、入力信号の電力は、また、従来の直交カプラ102によってちょうど半分(−3dB)に分けられる。入力信号がa1=1∠0゜によって表されるとすると、スルーポートP2での入力信号の第1の部分はb2=1/√2∠−90゜によって表され、連結ポートP3での入力信号の第2の部分はb3=1/√2∠−180゜によって表される。
概して、信号b2及びb3によって見られる負荷は、互いに整合しており、極座標表現で位相成分及び大きさ成分を有する複素数である同じ反射係数Γを有する。図1に示されるように、キャパシタ104及び106は両方とも、信号b2及びb3によって夫々見られる等価インピーダンス1/(jωC)を有する反射負荷として働く。ここで、Cはキャパシタ104及び106のキャパシタンスである。負荷(すなわち、キャパシタ104及び106)から夫々反射された信号は、a2=Γ/√2∠−90゜及びa3=Γ/√2∠−180゜によって表される。次いで、反射信号a2及びa3は、入力ポートP1で位相がずれて結合され(すなわち、b1=Γ/2∠0゜+Γ/2∠−180゜=0)、結果として、入力ポートP1から出力される反射信号は生じない。しかし、反射信号a2及びa3は、分離ポートP4では同相で結合され(すなわち、b4=Γ/2∠90゜+Γ/2∠90°≠0)、結果として、分離ポートP4では出力信号b4が生ずる。従って、反射型位相シフタ100は、複素数である反射係数Γを変更する実装キャパシタ104及び106のキャパシタンスを適切に調整することによって所望の位相シフトを提供するために使用され得る。例えば、キャパシタ104及び106のキャパシタンスが零fF(オープン)から無限fF(ショート)へと変化した場合は、180度位相シフトが達成され得る。
米国特許第7164330号明細書
"A High-Q Broad-Band Active Inductor and Its Application to a Low-Loss Analog Phase Shifter"、IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES、VOL.44、NO.12、1996年12月 "A Low-Loss Phase Shifter in 180nm CMOS for Multiple-Antenna Receivers"、ISSCC 2004/SESSION 21/RF POTPOURRI/21.8 "RF and microwave phase shifter using complementary bias techniques"、ELECTRONICSLETTERS、Vol.37、No.18 "A Wide-Band Reflection-Type Phase Shifter at S-Band Using BST Coated Substrate"、IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES、VOL.50、NO.12、2002年12月 "An Ultra-Broad-Band Reflection-Type Phase-Shifter MMIC With Series and Parallel LC Circuits"、IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES、VOL.49、NO.12、2001年12月 "Development of Multiband Phase Shifters in 180-nm RF CMOS Technology With Active Loss Compensation"、IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES、VOL.54、NO.1、2006年1月 "Distributed Analog Phase Shifters with Low Insertion Loss"、IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES、VOL.47、NO.9、1999年9月 "Varactor-Loaded Transmission-Line Phase Shifter at C-Band Using Lumped Elements"、IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES、VOL.51、NO.4、2003年4月 "Millimetre-wave CPS distributed analogue MMIC phase shifter"、ELECTRONICS LETTERS、Vol.39、No.23 "A 12-GHz SiGe Phase Shifter With Integrated LNA"、IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES、VOL.53、NO.3、2005年3月 "A 4-GHz Phase Shifter MMIC in 0.18-μm CMOS"、IEEE MICROWAVE AND WIRELESS COMPONENTS LETTERS、VOL.15、NO.10、2005年10月 "Ku-Band MMIC Phase Shifter Using a Parallel Resonator With 0.18-μm CMOS Technology"、IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES、VOL.54、NO.1、2006年1月 "A Miniaturized MMIC Analog Phase Shifter Using Two Quarter-Wave-Length Transmission Lines"、IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES、VOL.50、NO.1、2002年1月 "2.4 GHz Continuously Variable Ferroelectric Phase Shifters Using All-Pass Networks"、IEEE MICROWAVE AND WIRELESS COMPONENTS LETTER、VOL.13、NO.10、2003年10月
上述されるように、反射負荷は、反射型位相シフタから発せられる出力信号の最終的な位相シフトを制御する反射係数Γを決定する。従って、反射係数を所望値へ変更するよう反射負荷を調整する容易且つ効率的な手段が非常に求められている。
従って、本発明は、少なくとも1つが伝送線路と等しい反射負荷へ夫々接続されているスルーポート及び連結ポートを有する直交カプラを有して、反射係数を変更する容易且つ効率的な手段を提供する反射型位相シフタを提供することを目的とする。更に、本発明の例となる反射型位相シフタアーキテクチャを用いて夫々実施される反射型位相シフタを有する位相配列受信機又は送信機は、実装される反射型位相シフタから大いに恩恵を受ける。
本発明の一側面に従って、反射型位相シフタが提供される。反射型位相シフタは、カプラ、第1の反射負荷、及び第2の反射負荷を有する。カプラは、入力信号を受信する入力ポートと、その入力信号の第1の部分を受信するスルーポートと、その入力信号の第2の部分を受信する連結ポートと、スルーポートでの第1の反射信号及び連結ポートでの第2の反射信号により発生した出力信号を出力する分離ポートとを有する。第1の反射負荷は、スルーポートへ電気的に接続され、入力信号の第1の部分を反射して、スルーポートへの第1の反射信号を発生させる。第2の反射負荷は、連結ポートへ電気的に接続され、入力信号の第2の部分を反射して、連結ポートへの前記第2の反射信号を発生させる。更に、第1及び第2の反射負荷のうちの少なくとも1つは伝送線路と等しい。一実施において、カプラは直交カプラであり、第1及び第2の反射負荷はいずれも可変同調型伝送線路により実施される。
本発明の他の側面に従って、反射型位相シフタが提供される。反射型位相シフタは、直交カプラ、第1の可変同調伝送線路、及び第2の可変同調伝送線路を有する。直交カプラは、入力信号を受信する入力ポートと、その入力信号の第1の部分を受信するスルーポートと、その入力信号の第2の部分を受信する連結ポートと、スルーポートでの第1の反射信号及び連結ポートでの第2の反射信号により発生した出力信号を出力する分離ポートとを有する。第1の可変同調伝送線路は、スルーポートへ電気的に接続されており、入力信号の第1の部分を反射して、スルーポートへの第1の反射信号を発生させるために使用される。第2の可変同調伝送線路は、連結ポートへ電気的に接続されており、入力信号の第2の部分を反射して、連結ポートへの前記第2の反射信号を発生させるために使用される。
本発明の更なる他の側面に従って、位相配列受信機が提供される。位相配列受信機は、無線信号を受信する複数の信号受信モジュールと、複数の反射型位相シフタと、信号結合器とを有する。反射型位相シフタは夫々、信号受信モジュールへ電気的に接続される。反射型位相シフタの夫々は、カプラ、第1の反射負荷、及び第2の反射負荷を有する。カプラは、対応する信号受信モジュールから発せられた入力信号を受信する入力ポートと、その入力信号の第1の部分を受信するスルーポートと、その入力信号の第2の部分を受信する連結ポートと、スルーポートでの第1の反射信号及び連結ポートでの第2の反射信号により発生した出力信号を出力する分離ポートとを有する。第1の反射負荷は、スルーポートへ電気的に接続されており、入力信号の第1の部分を反射して、スルーポートへの第1の反射信号を発生させるために使用される。第2の反射負荷は、連結ポートへ電気的に接続されており、入力信号の第2の部分を反射して、連結ポートへの第2の反射信号を発生させるために使用される。第1及び第2の反射負荷のうちの少なくとも1つは伝送線路と等しい。信号結合器は、反射型位相シフタへ電気的に接続されており、結合信号を発生させるよう反射型位相シフタから発せられた出力信号を夫々結合するために使用される。
本発明の更なる他の側面に従って、位相配列送信機が提供される。位相配列送信機は、信号スプリッタ、複数の反射型位相シフタ、及び複数の信号送信モジュールを有する。信号スプリッタは、入力信号を受信し、その入力信号に従って複数のスプリッタ出力信号を発生させるよう構成される。反射型位相シフタは、信号スプリッタへ電気的に接続されており、スプリッタ出力信号を夫々受信する。反射型位相シフタの夫々は、カプラ、第1の反射負荷、及び第2の反射負荷を有する。カプラは、信号スプリッタから発せられた入来信号を受信する入力ポートと、入力ポートによって受信されたその入来信号の第1の部分を受信するスルーポートと、入力ポートによって受信されたその入来信号の第2の部分を受信する連結ポートと、スルーポートでの第1の反射信号及び連結ポートでの第2の反射信号により発生した出力信号を出力する分離ポートとを有する。第1の反射負荷は、スルーポートへ電気的に接続されており、入来信号の第1の部分を反射して、スルーポートへの第1の反射信号を発生させるよう構成される。第2の反射負荷は、連結ポートへ電気的に接続されており、入来信号の第2の部分を反射して、連結ポートへの第2の反射信号を発生させるよう構成される。第1及び第2の反射負荷のうちの少なくとも1つは伝送線路と等しい。信号送信モジュールは、反射型位相シフタから発せられた出力信号に従って無線信号を送信するよう構成される。
本発明は、所望の位相シフトを有して出力信号を発生させるよう反射型位相シフタを制御する容易且つ効率的な方法を提供する。従って、本発明の反射型位相シフタによれば、例えばビーム形成位相配列応用のような無線通信用途のための何らかの所望の位相シフトを達成することが容易である。
従来の反射型位相シフタを表す図である。 本発明に従う反射型位相シフタの実施例を表す図である。 本発明に従う可変同調伝送線路の第1実施例を表す図である。 本発明に従う可変同調伝送線路の第2実施例を表す図である。 本発明に従う可変同調伝送線路の第3実施例を表す図である。 本発明に従う位相配列受信機の実施例を表す図である。 本発明に従う位相配列送信機の実施例を表す図である。
本発明の上記及び他の目的は、様々な形状及び図面で表される望ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことで、確かに当業者には明らかとなるであろう。
特定の用語は、特定の構成要素を参照するために明細書及び特許請求の範囲の全体を通して使用される。当業者には明らかであるように、製造者はこの構成要素を異なる名称で呼ぶことがある。本願は、機能でなく名称において異なる構成要素を区別するつもりはない。以下の記載及び特許請求の範囲で、語「含む(include)」及び「有する(comprise)」は制限なく用いられ、「・・・を含むが、それらに限られない」ことを意味すると解されるべきである。また、語「連結又は結合(couple)」は、間接又は直接の電気接続を意味するものである。従って、1つの装置が他の装置へ結合される場合に、その接続は、直接的な電気接続、又は他の装置及び接続を介する間接的な電気接続を通ってよい。
図2は、本発明に従う反射型位相シフタの実施例を表す図である。反射型位相シフタ200は、カプラ202と、負荷として働く複数の伝送線路204及び206とを有するが、それらに限られない。カプラ202は、P1によって表される入力ポートと、P2によって表されるスルーポートと、P3によって表される連結ポートと、P4によって表される出力ポートとを有する。ここで、スルーポートP2及び連結ポートP3は、夫々、伝送線路(すなわち、反射負荷)204及び206によって終端されている。留意すべきは、図2に示されている伝送線路204及び206の夫々は、単一伝送線路、又は多重伝送線路のひとまとめの等価回路、の代表であることである。この実施例で、カプラ202は、直交カプラ(すなわち、90度ハイブリッドカプラ)を用いて実施されるが、これは、単に説明のためであり、本発明の限定というわけではない。言い換えると、カプラへ接続される反射負荷として働くよう少なくとも1つの伝送線路を用いる如何なる反射型位相シフタも、依然として本発明の趣旨に従い、本発明の適用範囲内にある。
具体的に、この実施例で、カプラ202の反射負荷は、可変同調伝送線路を用いて実施される。すなわち、反射負荷のインピーダンス、又は伝送線路の電気的な等価の長さは調整可能である。カプラ202が直交カプラを用いて実施される場合に、図2に示されている反射型位相シフタ200の動作は、図1に示された従来の反射型位相シフタ100と同様である。例となる反射型位相シフタ200と従来の反射型位相シフタ100との間の相違の1つは、直交カプラの反射負荷が、2つのキャパシタに代えて、2つの可変同調伝送線路を用いて実装されることである。
留意すべきは、伝送線路は明確な特性を有しており、導電線として取り扱われるべきでないことである。多くの電子回路で、導電線の長さは、所与の時点で導電線に存在する伝送信号の電圧がその導電線の全ての点で同じであると仮定され得る場合には無視され得る。しかし、高周波用途(例えば、無線通信用途)に関しては、伝送信号の電圧は、信号が導電線を下るのに要する時間に相当する時間間隔において変化する。従って、配線の長さは高周波用途にとって重要となり、導電線は伝送線路として取り扱われなければならない。すなわち、伝送線路理論が考慮されるべきである。より具体的に、導電線の長さは、信号が、導電線の長さに相当する又はそれより短い対応する波長を有する周波数成分を含む場合に重要である。例えば、伝送線路特性に基づいて、伝送線路は、インダクタ及びキャパシタの繰り返しを有するLCラダー回路網によってモデル化され、又は実施されうる。言い換えると、伝送線路が明確な特性を有する場合は、伝送線路は、容量性部品及び/又は誘導性部品のランダムな組み合わせとして取り扱われるべきではない。より具体的に、伝送線路は、例えば、分布する直列インダクタ及びシャントキャパシタを含め、分布線形電気部品を含むよう定められる。更に、伝送線路を構成する基本LCユニットは、実質的に同じインピーダンスを有する。伝送線路の定義及び特性は電磁気分野における通常の知識を有する者に周知であるから、更なる説明は、ここでは、簡潔さのために省略される。
図3を参照されたし。図3は、本発明に従う可変同調伝送線路の第1実施例を表す図である。一実施で、カプラへ接続されている伝送線路(すなわち、実施例で用いられる反射負荷)204及び206の夫々は、図3では、可変同調伝送線路300を用いて実施されている。例となる可変同調伝送線路300は、直列に接続されている複数の物理伝送線路区間302a〜302dと、夫々物理伝送線路区間302a〜302dへ電気的に接続されている複数の制御可能スイッチ304a〜304dとを有する。より具体的に、物理伝送線路区間302a〜302dの夫々は、第1端部N1及び第2端部N2を有し、制御可能スイッチ304a〜304dの夫々は、対応する物理伝送線路区間の第2端部N2を接地GNDへ選択的に接続するよう構成されている。図3に示されているように、物理伝送線路区間302aの第1端部N1は、可変同調伝送線路300の終点Tへ接続されている。ここで、終点Tは、カプラ202のスルーポートP2又は連結ポートP3を接続するために使用される。更に、反射型位相シフタが、例えばミリメートル(mm)波無線通信用途のような高周波用途で用いられる場合に、スイッチは、反射位相を変更するという目的を達成するために、伝送線路を調整すべく使用され得る。一例で、制御可能スイッチ304a〜304dは、マイクロエレクトロメカニカル(MEM)処理を用いて製造され得る。他の例で、金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタが、図3に示されている制御可能スイッチ304a〜304dを実装するために使用されてよい。
留意すべきは、簡単のために4つの物理伝送線路区間及び4つの制御可能スイッチしか図3に示されていないことである。実際には、可変同調伝送線路300に実装される物理伝送線路区間の総数及び可変同調伝送線路300に実装される制御可能スイッチの総数は、設計要求に依存する。
可変同調伝送線路300の全体の入力インピーダンス/有効な電気的長さは、制御可能スイッチ304a〜304dのオン/オフ状態を制御することによって調整され得る。例えば、制御可能スイッチ304aは、物理伝送線路区間302aの第2ノードN2を接地GNDへ接続するようオンに切り替えられ、残りの制御可能スイッチはオフに切り替えられる場合に、可変同調伝送線路300は、単一の物理伝送線路区間302aと等しい。同様に、制御可能スイッチ304bは、物理伝送線路区間302bの第2ノードN2を接地GNDへ接続するようオンに切り替えられ、残りの制御可能スイッチはオフに切り替えられる場合に、可変同調伝送線路300は、物理伝送線路区間302a及び302bの直列結合と等しい。制御可能スイッチ304a〜304dの適切な制御により、可変同調伝送線路300の全体の入力インピーダンス/有効な電気的長さは、反射係数を変更し、特に反射位相をシフトするための所望の値へ設定され得る。このようにして、従って、出力ポートP4で発生する出力信号は、用途要求を満足する位相シフトを有する。
図4を参照されたし。図4は、本発明に従う可変同調伝送線路の第2実施例を表す図である。一実施で、伝送線路(すなわち、実施例で利用される反射負荷)204及び206の夫々は、図4では可変同調伝送線路400を用いて実施される。例となる可変同調伝送線路400は、並列接続されている複数の伝送線路部402a〜402cを有する。伝送線路部402a〜402cの夫々は、可変同調伝送線路400の終点Tと接地GNDとの間に電気的に接続されている。終点Tは、カプラ202のスルーポートP2及び連結ポートP3を接続するために使用される。更に、伝送線路部402a〜402cの夫々は、物理伝送線路区間と、この物理伝送線路区間を可変同調伝送線路400の終点Tへ選択的に接続するよう構成される制御可能スイッチとを有する。例えば、伝送線路部402aは、物理伝送線路区間404a及び制御可能スイッチ406aを有する。留意すべきは、簡単のために3つの伝送線路部しか図4に示されていないことである。しかし、可変同調伝送線路400に実装される伝送線路部の数は設計要求に依存する。更に、制御可能スイッチは、反射型位相シフタを用いる用途の要求に依存して、半導体処理又はMEM処理を用いて製造されてよい。
図4に示されている実施例で、物理伝送線路区間404a〜404cの長さは異なっており、これより、物理伝送線路区間404a〜404cの特性は相違する。このようにして、可変同調伝送線路400の全体の入力インピーダンス又は有効な電気的長さは、制御可能スイッチ406a〜406cのオン/オフ状態を制御することによって調整され得る。例えば、制御可能スイッチ406aは、物理伝送線路区間404aを可変同調伝送線路400の終点Tへ接続するようオンに切り替えられ、残りの制御可能スイッチはオフに切り替えられる場合に、可変同調伝送線路400は、単一の物理伝送線路区間402aと等価である。同様に、制御可能スイッチ406bは、物理伝送線路区間404bを可変同調伝送線路400の終点Tへ接続するようオンに切り替えられ、残りの制御可能スイッチはオフに切り替えられる場合に、可変同調伝送線路400は、単一の物理伝送線路区間404bと等しい。制御可能スイッチ406a〜406cの適切な制御により、可変同調伝送線路400の全体の入力インピーダンス又は有効な電気的長さは、反射係数を変更し、特に反射位相をシフトするための所望の値へ設定され得る。このようにして、従って、出力ポートP4で発生する出力信号は、用途要求を満足する位相シフトを有する。
留意すべきは、上記の実施例は単なる説明目的にすぎないことである。実際には、物理伝送線路区間は異なる長さを有さなければならず、且つ、制御可能スイッチの1つのみがオンされることを許される、とは限らない。すなわち、代替設計で、物理伝送線路区間は同じ長さを有することが認められ、且つ/あるいは、1よりも多い制御可能スイッチが同時にオンされ得る。例えば、図4に示されている物理伝送線路区間の全てが同じ長さを有するよう構成され、図4に示されている制御可能スイッチから選択される複数の制御可能スイッチが同時にオンされて、可変同調伝送線路400の全体の入力インピーダンス又は有効な電気的長さを、反射係数を変更し、特に反射位相をシフトするための所望の値へ設定する。従って、用途要求を満足する位相シフトを出力信号に持たせるという同じ目的が達成される。
図3及び図4に示されている可変同調伝送線路の実施は物理伝送線路区間に基づき、かかる実施は、所望の位相シフトを有して出力信号を発生させるよう反射型位相シフタを制御する容易且つ効率的な方法を提供する。しかし、可変同調伝送線路を実現するために物理伝送線路区間を使用することは、単なる説明目的にすぎない。例えば、当業者に知られるように、伝送線路は、インダクタ及びキャパシタの繰り返しを有するLCラダー回路網によって近似されてよい。
図5を参照されたし。図5は、本発明に従う可変同調伝送線路の第3実施例を表す図である。一実施で、伝送線路(すなわち、実施例での反射負荷)204及び206の夫々は、図5では可変同調伝送線路500を用いて実施される。例となる可変同調伝送線路500は、線路に分布する複数の誘導性部品502a〜502c及び複数の容量性部品504a〜504dを有するLCラダー回路網を用いて実施されている。留意すべきは、簡単のために3つの誘導性部品及び4つの容量性部品しか図5に示されていないことである。しかし、誘導性部品の総数及び容量性部品の総数は、用途の設計要求に依存する。
一実施で、容量性部品504a〜504dは、例えばバラクタのような可変容量性部品を用いて実施される。しかし、キャパシタンスを変更可能な如何なる技術が用いられてもよい。例えば、可変容量性部品は、スイッチ及びキャパシタの配列を用いて実施されてよい。この場合に、可変容量性部品の結果として得られるキャパシタンスは、キャパシタの相互接続を構成するようスイッチを制御することによって決定される。キャパシタンスを調整するという同じ目的が達成される。従って、可変容量性部品の適切な制御により、可変同調伝送線路500の全体の入力インピーダンス/有効な電気的長さは、反射係数を変更し、特に反射位相をシフトするための所望の値へ設定され得る。このようにして、従って、出力ポートP4で発生する出力信号は、用途要求を満足する位相シフトを有する。
他の実施で、誘導性部品502a〜502cは、可変誘導性部品を用いて実施される。留意すべきは、インダクタンスを変更可能な如何なる技術が用いられてもよいことである。例えば、可変誘導性部品は、スイッチ及びインダクタの配列を用いて実施されてよい。この場合に、可変誘導性部品の結果として得られるインダクタンスは、インダクタの相互接続を構成するようスイッチを制御することによって決定される。インダクタンスを調整するという同じ目的が達成される。従って、可変誘導性部品の適切な制御により、可変同調伝送線路500の全体の入力インピーダンス/有効な電気的長さは、反射係数を変更し、特に、反射位相をシフトするための所望の値へ設定され得る。このようにして、従って、出力ポートP4で発生する出力信号は、用途要求を満足する位相シフトを有する。
本発明の趣旨を逸脱しない更なる他の実施で、誘導性部品502a〜502cは、可変誘導性部品を用いて実施され、更に、容量性部品504a〜504dは、可変容量性部品を用いて実施される。反射係数の調整、特に、反射位相のシフトという同じ目的が達成される。
簡単に述べると、等価伝送線路をモデル化するためにLCラダー回路網を用いる実施に関して、1若しくはそれ以上の容量性部品及び/又は1若しくはそれ以上の誘導性部品が調整可能にされてよい。このようにして、可変な等価伝送線路が、反射位相調整の要件を満たすよう実現される。
上記の実施例で、反射負荷はいずれも、同じタイプの伝送線路を用いて実施されている。例えば、図2に示されている伝送線路204及び206の夫々は、図3の可変同調伝送線路300を用いて実施される。しかし、これは、本発明の限定であることを意図しているわけではない。例えば、本発明の1つの代替設計で、伝送線路204は、図3に示される可変同調伝送線路300を用いて実施され、一方、反射負荷206は、図4に示される可変同調伝送線路400又は図5に示される可変同調伝送線路500を用いて実施される。他の代替設計で、伝送線路204は、図4に示される可変同調伝送線路400を用いて実施され、一方、伝送線路206は、図3に示される可変同調伝送線路300又は図5に示される可変同調伝送線路500を用いて実施される。更なる他の代替設計で、伝送線路204は、図5に示される可変同調伝送線路500を用いて実施され、一方、伝送線路206は、図3に示される可変同調伝送線路300又は図4に示される可変同調伝送線路400を用いて実施される。これらの代替設計は、依然として本発明の趣旨に従い、本発明の適用範囲内にある。
要するに、本発明は、所望の位相シフトを有して出力信号を発生させるよう反射型位相シフタを制御する容易な方法を提供する。従って、本発明の反射型位相シフタによれば、例えばビーム形成位相配列応用のような用途に必要とされる所望の位相シフトを達成することが容易である。
図2と共に、図6を参照されたし。図6は、図2に示される位相シフタアーキテクチャを夫々が有する反射型位相シフタを備える位相配列受信機の実施例を表す図である。位相配列受信機600は、複数の信号受信モジュール602a〜602dと、複数の反射型位相シフタ604a〜604dと、信号結合器606とを有するが、それらに限られない。留意すべきは、簡単のために4つの信号受信モジュール及び4つの反射型位相シフタしか図6には示されないことである。信号受信モジュール602a〜602dは、異なる位相を有しうる無線信号を受信して、複数の受信信号S0、S1、S2、S3を発生させるために使用される。この実施例で、図6に示されている反射型位相シフタ604a〜604dの夫々は、図2に示される位相シフタアーキテクチャを用いて実施される。更に、直交カプラへ結合されている可変同調伝送線路(すなわち、反射負荷)の適切な制御により、反射型位相シフタ604a〜604dは、容易に、位相配列受信機600の設計要求を満足する異なった所望の反射位相を有するよう構成され得る。本発明の例となる反射型位相シフタの動作及び特性については先に詳述されているので、更なる記載は簡潔のためにここでは省略される。
反射型位相シフタ604a〜604dは、その対応する入力ポートで入力信号として働く受信信号S0、S1、S2、S3を受信して、その対応する出力ポートで出力信号として働く複数の位相シフトされた信号S0’∠θ、S1’∠θ、S2’∠θ、S3’∠θを生成する。次に、信号結合器606は、位相シフトされた信号S0’∠θ、S1’∠θ、S2’∠θ、S3’∠θ(すなわち、反射型位相シフタ604a〜604dの出力信号)を結合して、後の信号処理のために結合信号S_OUTを生成する。例えば、1つの例となる実施で、信号受信モジュール602a〜602dの夫々は、入来する無線信号を受信するために用いられるアンテナと、後段(例えば、反射型位相シフタ)に供給される入来信号を増幅するために用いられる低雑音増幅器(LNA)とを有し、信号結合器606から発せられた結合信号S_OUTは、ミキサを用いてダウンコンバートされる。他の可能な実施に関して、ダウンコンバージョンを行うために必要とされるミキサは、受信モジュール602a〜602dの夫々に含まれてよく、従って、信号結合器606から発せられる結合信号S_OUTは、ベースバンド信号処理に使用可能である。簡単に述べると、本発明の実施例に従う反射型位相シフタは、位相シフタを実装される必要がある如何なる位相配列受信機アーキテクチャにも適用され得る。
図2と共に、図7を参照されたし。図7は、図2に示される位相シフタアーキテクチャを夫々が有する反射型位相シフタを備える位相配列送信機の実施例を表す図である。位相配列送信機700は、複数の信号送信モジュール702a〜702dと、複数の反射型位相シフタ704a〜704dと、信号スプリッタ706とを有するが、それらに限られない。留意すべきは、簡単のために4つの信号送信モジュール及び4つの反射型位相シフタしか図7には示されないことである。この実施例で、図7に示されている反射型位相シフタ704a〜704dの夫々は、図2に示される位相シフタアーキテクチャを用いて実施される。更に、直交カプラへ結合されている可変同調伝送線路(すなわち、反射負荷)の適切な制御により、反射型位相シフタ704a〜704dは、容易に、位相配列送信機700の設計要求を満足する異なった所望の反射位相を有するよう構成され得る。本発明の例となる反射型位相シフタの動作及び特性については先に詳述されているので、更なる記載は簡潔のためにここでは省略される。
信号スプリッタ706は、入力信号S_INに従って複数の出力信号S_OUT0、S_OUT1、S_OUT2、S_OUT3を生成して、スプリッタ出力信号S_OUT0、S_OUT1、S_OUT2、S_OUT3を夫々反射型位相シフタ704a〜704dへ出力する。入力信号S_INから得られるスプリッタ出力信号S_OUT0、S_OUT1、S_OUT2、S_OUT3は夫々、反射型位相シフタ704a〜704dの入力ポートで受信される入力信号として働くので、従って、反射型位相シフタ704a〜704dは、その対応する出力ポートで出力信号として働く複数の位相シフトされた信号S_OUT0’∠θ、S_OUT1’∠θ、S_OUT2’∠θ、S_OUT3’∠θを生成する。次いで、信号送信モジュール702a〜702dは、それらの位相シフトされた信号S_OUT0’∠θ、S_OUT1’∠θ、S_OUT2’∠θ、S_OUT3’∠θを処理して、複数の発信無線信号を夫々送信する。
例えば、実施例で、入力信号S_INは、ミキサから発せられたアップコンバートされた信号であり、信号送信モジュール702a〜702dの夫々は、対応する反射型位相シフタから発せられる位相シフトされた信号を増幅するために用いられる電力増幅器と、対応する電力増幅器の出力に従って発信無線信号を送信するために用いられるアンテナとを有する。他の可能な実施に関して、入力信号S_INはベースバンド信号であり、アップコンバージョンを行うために必要とされるミキサは、信号送信モジュール702a〜702dの夫々に含まれてよい。簡単に述べると、本発明の実施例に従う反射型位相シフタは、位相シフタが実装される必要がある如何なる位相配列送信機アーキテクチャにも適用され得る。
留意すべきは、図6の位相配列受信機及び図7の位相配列送信機700が実装されるある用途において、幾つかの回路部品は、回路面積及び製造費用を減らすために位相配列受信機と位相配列送信機との間で共有され得ることである。
当業者は、装置の多数の変形及び改良が本発明の教示を保ちながらなされ得ることに容易に気付くであろう。従って、以上の開示は、添付の特許請求の範囲の境界及び範囲によってのみ限定されるよう解されるべきである。
本願は、2008年5月12日に出願した米国仮出願第61/052,611号に基づく優先権を主張するものであり、同米国出願の全内容を本願に参照により援用する。
100,200,604a〜604d,704a〜704d 反射型位相シフタ
102,202 カプラ
104,106 反射負荷
204,206 伝送線路
300,400,500 可変同調伝送線路
302a〜302d,404a〜404c 物理伝送線路区間
304a〜304d,406a〜406c 制御可能スイッチ
402a〜402c 伝送線路部
502a〜502c インダクタ
504a〜504d キャパシタ
600 位相配列受信機
602a〜602d 信号受信モジュール
606 結合器
700 位相配列送信機
702a〜702d 信号送信モジュール
706 信号スプリッタ
P1 入力ポート
P2 スルーポート
P3 連結ポート
P4 分離ポート(出力ポート)

Claims (4)

  1. 入力信号を受信する入力ポート、前記入力信号の第1の部分を受信するスルーポート、前記入力信号の第2の部分を受信する連結ポート、並びに前記スルーポートでの第1の反射信号及び前記連結ポートでの第2の反射信号により発生した出力信号を出力する分離ポートを有するカプラと、
    前記スルーポートへ電気的に接続され、前記入力信号の前記第1の部分を反射して、前記スルーポートへの前記第1の反射信号を発生させる第1の反射負荷と、
    前記連結ポートへ電気的に接続され、前記入力信号の前記第2の部分を反射して、前記連結ポートへの前記第2の反射信号を発生させる第2の反射負荷と
    を有し、
    前記第1の反射負荷及び前記第2の反射負荷のうちの少なくとも1つは伝送線路と等しい、反射型位相シフタ。
  2. 前記第1の反射負荷及び前記第2の反射負荷のうちの前記少なくとも1つは可変同調型伝送線路であり、
    前記カプラは直交カプラである、請求項1記載の反射型位相シフタ。
  3. 無線信号を受信するよう構成される複数の信号受信モジュールと、
    前記信号受信モジュールへ夫々電気的に接続され、夫々が
    対応する信号受信モジュールから発せられた入力信号を受信する入力ポート、前記入力信号の第1の部分を受信するスルーポート、前記入力信号の第2の部分を受信する連結ポート、並びに前記スルーポートでの第1の反射信号及び前記連結ポートでの第2の反射信号により発生した出力信号を出力する分離ポートを有するカプラと、
    前記スルーポートへ電気的に接続され、前記入力信号の前記第1の部分を反射して、前記スルーポートへの前記第1の反射信号を発生させる第1の反射負荷と、
    前記連結ポートへ電気的に接続され、前記入力信号の前記第2の部分を反射して、前記連結ポートへの前記第2の反射信号を発生させる第2の反射負荷と
    を有し、前記第1の反射負荷及び前記第2の反射負荷のうちの少なくとも1つは伝送線路と等しい複数の反射型位相シフタと、
    前記反射型位相シフタへ電気的に接続され、結合信号を発生させるよう前記反射型位相シフタから発せられた出力信号を夫々結合する信号結合器と
    を有する位相配列受信機。
  4. 入力信号を受信し、該入力信号に従って複数のスプリッタ出力信号を発生させるよう構成される信号スプリッタと、
    前記信号スプリッタへ電気的に接続され、前記スプリッタ出力信号を夫々受信し、夫々が
    前記信号スプリッタから発せられた入来信号を受信する入力ポート、該入力ポートによって受信された前記入来信号の第1の部分を受信するスルーポート、前記入力ポートによって受信された前記入来信号の第2の部分を受信する連結ポート、並びに前記スルーポートでの第1の反射信号及び前記連結ポートでの第2の反射信号により発生した出力信号を出力する分離ポートを有するカプラと、
    前記スルーポートへ電気的に接続され、前記入来信号の前記第1の部分を反射して、前記スルーポートへの前記第1の反射信号を発生させる第1の反射負荷と、
    前記連結ポートへ電気的に接続され、前記入来信号の前記第2の部分を反射して、前記連結ポートへの前記第2の反射信号を発生させる第2の反射負荷と
    を有し、前記第1の反射負荷及び前記第2の反射負荷のうちの少なくとも1つは伝送線路と等しい複数の反射型位相シフタと、
    前記反射型位相シフタへ夫々電気的に接続され、前記反射型位相シフタから発せられた出力信号に従って複数の無線信号を送信するよう夫々構成される複数の信号送信モジュールと
    を有する位相配列送信機。
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