JP2009269943A - タイヤ - Google Patents

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JP2009269943A
JP2009269943A JP2008118958A JP2008118958A JP2009269943A JP 2009269943 A JP2009269943 A JP 2009269943A JP 2008118958 A JP2008118958 A JP 2008118958A JP 2008118958 A JP2008118958 A JP 2008118958A JP 2009269943 A JP2009269943 A JP 2009269943A
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Reiko Takahisa
礼子 高久
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    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/80Technologies aiming to reduce greenhouse gasses emissions common to all road transportation technologies
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Abstract

【課題】転がり抵抗を悪化させることなく、操縦安定性を向上し得るタイヤを提供する。
【解決手段】(A)少なくとも1種の官能基を有する変性共役ジエン系重合体10質量%以上を含むゴム成分と、その100質量部に対して、(B)ケイ酸を含む無機充填材10〜140質量部と、(C)ポリエステル化合物0.5〜20質量部を含むと共に、(D)シランカップリング剤を、上記(3)無機充填材に対して、1〜20質量%の割合で含むゴム組成物からなる部材を用いることを特徴とするタイヤである。
【選択図】なし

Description

本発明は、転がり抵抗を悪化させることなく操縦安定性を向上させることが可能なゴム組成物からなる部材を用いたタイヤに関するものである。
近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出の規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に関する要求が高まりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の低減が求められている。従来、タイヤの転がり抵抗を減少する手法として、タイヤ構造を最適化する手法も検討されてきたが、タイヤに適用するゴム組成物としてより発熱性の低いゴム組成物を用いることが、現在、最も一般的な手法として行われている。
このような発熱性の低いゴム組成物を得る方法として、使用する充填材にシリカを使用する方法が知られている。
しかしながら、シリカはカーボンブラックと比較して、充填材の分散性が悪く、加硫が遅延するため貯蔵弾性率が高くならないという問題があった。
上記欠点を改良するために、特許文献1では、(A)天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴム、(B)無機充填材、及び(C)同一分子内にゴム(A)に対する反応基Aを1個以上と無機充填材(B)に対する吸着基Bを2個以上有する化合物、(D)同一分子内にゴム(A)に対する反応基Aとしてマレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びソルビン酸から選ばれる不飽和カルボン酸から誘導される基Aとアミノ基とを各々1個以上有する化合物、又は(E)特定の構造を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルから選ばれる化合物の少なくとも1種を含むゴム組成物が提案されている。これにより、未加硫ゴムの粘度を上げず、加工性を損なうことなく、無機充填材の分散性を改善し、加硫ゴム組成物の貯蔵弾性率を高めることができるが、転がり抵抗を低減することは困難であった。
ところで、特許文献2又は3では、転がり抵抗を低減するためにゴム成分として重合活性末端にアミノ基を導入した変性共役ジエン系重合体を用い、充填材としてカーボンブラックを用いたゴム組成物が提案されており、特許文献4又は5では、これらの変性共役ジエン系重合体にシリカを配合することも提案されている。
しかしながら、加硫ゴム組成物の貯蔵弾性率を低下させるという問題があった。
そこで、ゴム用添加剤として同一分子内にゴムに対する反応基とシリカ等の無機充填材に対する吸着基とを有する化合物を用いたゴム組成物が提案されており(例えば特許文献6)、上記の変性共役ジエン系重合体と併用することにより、加硫ゴム組成物の良好な損失正接を維持しつつ貯蔵弾性率を高くすることが提案されている。
特開2003−176378号公報 特開平8−225604号公報 特開平8−231658号公報 特開2005−232351号公報 特開2006−241358号公報 特開2003−176378号公報
上記技術により、それ以前に比べて、転がり抵抗の低いタイヤが実現可能となったが、今日の技術の進歩に伴い、さらなる向上が望まれている。
本発明は、このような状況下になされたもので、転がり抵抗を悪化させることなく、操縦安定性を向上し得るタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、少なくとも1種の官能基を有する変性共役ジエン系重合体をある量以上含むゴム成分と、ケイ酸を含む無機充填材と、ポリエステル化合物と、シランカップリング剤を、それぞれ所定の割合で含むゴム組成物をタイヤの部材に用いることにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1](A)少なくとも1種の官能基を有する変性共役ジエン系重合体10質量%以上を含むゴム成分と、その100質量部に対して、(B)ケイ酸を含む無機充填材10〜140質量部と、(C)ポリエステル化合物0.5〜20質量部を含むと共に、(D)シランカップリング剤を、上記(B)無機充填材に対して、1〜20質量%の割合で含むゴム組成物からなる部材を用いることを特徴とするタイヤ、
[2](C)ポリエステル化合物が、(c−1)ジオール類と、(c−2)一般式(1)
HOOC−R1−Sx−R2−COOH ・・・(1)
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を示し、xは2〜8の整数を示す。]
で表されるスルフィド基含有ジカルボン酸類を、(c−1)成分のOH基/(c−2)成分のCOOHモル比が1以下になる割合で重縮合してなるものである上記[1]に記載のタイヤ、
[3](C)ポリエステル化合物が、(c−1)ジオール類と、(c−2)一般式(1)で表されるスルフィド基含有ジカルボン酸類と、(c−3)上記(c−2)以外のジカルボン酸類及び/又はモノアルコール類を、全OH基/全COOHモル比が1以下になるように重縮合してなるものである上記[1]に記載のタイヤ、
[4](C)ポリエステル化合物が、硫黄原子を5質量%より多く含むものである上記[2]又は[3]に記載のタイヤ、
[5](C)ポリエステル化合物が、数平均分子量1000以上のものである上記[1]〜[4]のいずれかに記載のタイヤ、
[6](c−1)ジオール類が、一般式(2a)
HO−R3a−OH ・・・(2a)
[式中、R3aは炭素数2〜18のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を示す。]
及び/又は一般式(2b)
HO−(R3bO)m−H ・・・(2b)
[式中、R3bは炭素数2〜4のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を示し、複数のR3bは同じでも異なっていてもよい。mは平均付加モル数で2〜31の数を示す。]
で表される化合物である上記[2]〜[5]のいずれかに記載のタイヤ、
[7](C)ポリエステル化合物が、一般式(3a)
HOOC−R4−Sy−R5−CO(O−R6a−OCO−R4−Sy−R5−CO)n−OH ・・・(3a)
[式中、R4及びR5は、それぞれ独立に炭素数2〜8のアルカンジイル基、R6aは炭素数2〜18のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を示し、複数のR4、R5及びR6aは、それぞれにおいて同じでも異なっていてもよい。yは2〜4の整数を示し、nは平均重合度で0.8〜100の数を示す。]
及び/又は一般式(3b)
HOOC−R4−Sy−R5−CO(O−(R6bO)m−OCO−R4−Sy−R5−CO)n−OH ・・・(3b)
〔式中、R6bは炭素数2〜4のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を示す。R4、R5、y、m及びnは、前記と同様である。また、複数のR4、R5、及びR6bは、それぞれにおいて同じでも異なっていてもよい。〕
で表される化合物を主成分として含む上記[2]〜[6]のいずれかに記載のタイヤ、
[8](B)ケイ酸を含む無機充填材がシリカである上記[1]〜[7]のいずれかに記載のタイヤ、
[9](D)シランカップリング剤が、一般式(4a)
a3-aSi−X−Sb−X−SiAa3-a ・・・(4a)
〔式中、Aは炭素数1〜3のアルコキシ基又は塩素原子、Bは炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基あるいは炭素数7〜15のアリーレン基、aは1〜3の整数、bは1以上の整数で分布を有することもある。ただし、aが1のときは2つのBは同じであっても異なっていてもよく、aが2又は3のときは2つ又は3つのAは同じであっても異なっていてもよい。〕
で表される化合物、一般式(4b)
a3-aSi−X−Y ・・・(4b)
[式中、A、B、X及びaは前記と同様であり、Yはメルカプト基、ビニル基、アミノ基、グリシドキシ基又はエポキシ基を示す。]
で表される化合物、一般式(4c)
a3-aSi−X−Sb−Z ・・・(4c)
〔式中、A、B、X、a、bは前記と同様であり、Zはベンゾチアゾリル基,N,N−ジメチルチオカルバモイル基又はメタクリロイル基、炭素数1〜15の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。〕
で表される化合物、及び一般式(4d)
cdeSi−X−S−CO−X1 ・・・(4d)
〔式中、A、B及びXは前記と同様であり、X1は炭素数1〜20の飽和又は不飽和アルキル基、又は炭素数6〜15のアリーレン基を示す。DはA、B、又は−[O(XO)n0.5−基であり、nは1〜4の整数で分布を有することがあり、Xは前記と同様である。また、c、d、及びeは、0≦c≦3、0≦d≦2、0≦e≦1、かつc+d+2e=3の関係を満たす数である。〕
で表される化合物から選ばれる少なくとも1種である上記[8]に記載のタイヤ、
[10]変性共役ジエン系重合体が、1,3−ブタジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体、又は1,3−ブタジエンもしくはイソプレンの単独重合体である上記[1]〜[9]のいずれかに記載のタイヤ、
[11]芳香族ビニル化合物が、スチレンである上記[10]に記載のタイヤ、
[12]変性共役ジエン系重合体のガラス転移点(Tg)が、10℃以下である上記[1]〜[11]のいずれかに記載のタイヤ、
[13]変性共役ジエン系重合体において、官能基が重合開始側末端、重合停止側末端、主鎖及び側鎖の中から選ばれる少なくとも一つの位置に存在する上記[1]〜[12]のいずれかに記載のタイヤ、
[14]変性共役ジエン系重合体が、有機アルカリ金属化合物又は希土類金属化合物を用いて重合したものである上記[1]〜[13]のいずれかに記載のタイヤ、
[15]有機アルカリ金属化合物が、ヒドロカルビルリチウム化合物、リチウムアミド化合物又は第1族金属アルコキシドである上記[14]に記載のタイヤ、
[16]第1族金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、又はセシウムである上記[15]に記載のタイヤ、
[17]変性共役ジエン系重合体の官能基が、窒素を含む官能基、珪素を含む官能基、酸素又は硫黄を含む官能基及び金属を含む官能基の中から選択された官能基である上記[1]〜[16]のいずれかに記載のタイヤ、
[18]窒素を含む官能基が、置換もしくは非置換のアミノ基、アミド残基、イソシアネート基、イミダゾリル基、インドリル基、ニトリル基、ピリジル基及びケチミン基の中から選択された官能基である上記[17]に記載のタイヤ、
[19]珪素を含む官能基が、加水分解によりシラノール基を生成する官能基である上記[17]に記載のタイヤ、
[20]珪素を含む官能基が、アルコキシシリル基、アルキルハロシリル基、シロキシ基、アルキルアミノシリル基及びアルコキシハロシリル基の中から選択された官能基である上記[17]に記載のタイヤ、
[21]酸素又は硫黄を含む官能基が、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、ジグリシジルアミノ基、サイクリックジチアン由来の官能基、エステル基、アルデヒド基、アルコキシ基、ケトン基、チオカルボキシ基、チオエポキシ基、チオグリシドキシ基、チオグリシジルアミノ基、チオエステル基、チオアルデヒド基、チオアルコキシ基及びチオケトン基の中から選択された官能基である上記[17]に記載のタイヤ、
[22]金属を含む官能基が、有機金属を含む官能基である上記[17]に記載のタイヤ、
[23]窒素を含む官能基が、一般式(5)
Figure 2009269943
[式中、R7及びR8は、それぞれ独立に炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。]
で表される置換アミノ基、及び一般式(6)
Figure 2009269943
[式中、R9は、3〜16のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN−アルキルアミノ−アルキレン基を示す。]
で表される環状アミノ基の中から選択される上記[18]に記載のタイヤ、
[24]変性共役ジエン系重合体が、活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、一般式(7)
Figure 2009269943
[式中、A1は(チオ)エポキシ基、(チオ)イソシアネート基、(チオ)ケトン基、(チオ)アルデヒド基、イミン残基、アミド残基、イソシアヌル酸トリエステル残基、(チオ)カルボン酸ヒドロカルビルエステル残基、(チオ)カルボン酸残基の金属塩、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化物残基、炭酸ジヒドロカルビルエステル残基、環状第2アミン残基、非環状第2アミン残基、ピリジン基及びシラザン基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基であり;R10及びR11は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり;R12は単結合又は炭素数1〜20の二価の不活性炭化水素基であり;nは1〜3の整数であり;OR10が複数ある場合、複数のOR10はたがいに同一でも異なっていてもよく;R11が複数ある場合、複数のR11はたがいに同一でも異なっていてもよく;また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。]
で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物、一般式(8)
Figure 2009269943
[式中、xは2〜6の整数を示し、R10〜R12及びnは前記と同じであり、また分子中に活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。]
で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物、及び一般式(9)
13 p−Si−(OR144-p ・・・(9)
[式中、R13及びR14は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり;pは0〜2の整数であり;R13が複数ある場合、複数のR13はたがいに同一でも異なっていてもよく;OR14が複数ある場合、複数のOR14はたがいに同一でも異なっていてもよく;また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。]
で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物の中から選択される少なくとも1種を反応させて得られたものである上記[17]、[19]又は[20]に記載のタイヤ、
[25]変性共役ジエン系重合体が、(x)活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、分子内に1級アミノ基が保護され、かつ1つのヒドロカルビロキシ基と、1つの反応性基とが同じケイ素原子に結合した2官能性ケイ素原子を含む化合物を反応させて変性を行なう工程、及び(y)金属化合物からなる縮合促進剤の存在下、前記2官能性ケイ素化合物が関与する縮合反応を行なう工程、を施して得られたものである上記[17]、[19]又は[20]に記載のタイヤ、
[26]変性共役ジエン系重合体が、さらに、(z)共役ジエン系重合体の活性末端に結合してなる、2官能性ケイ素原子を含む化合物由来の基を加水分解処理し、該基中の保護された1級アミノ基を遊離のアミノ基に変換する脱保護工程を施して得られたものである上記[25]に記載のタイヤ、
[27](A)ゴム成分が、変性共役ジエン系重合体と他のジエン系ゴムとを含む上記[1]〜[26]のいずれかに記載のタイヤ、及び
[28]部材がトレッドである上記[1]〜[27]のいずれかに記載のタイヤ
を提供するものである。
本発明によれば、転がり抵抗を悪化させることなく、操縦安定性を向上し得るタイヤを提供することができる。
まず、本発明のタイヤに用いられるゴム組成物について説明する。
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物は、以下に示す(A)変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、(B)ケイ酸を含む無機充填材と、(C)ポリエステル化合物と、(D)シランカップリング剤とを含む組成物である。
[(A)ゴム成分]
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物において、(A)成分として用いられるゴム成分は、少なくとも1種の官能基を有する変性共役ジエン系重合体(以下、単に変性共役ジエン系重合体と称することがある。)10質量%以上を含むことを要す。
(変性共役ジエン系重合体)
この変性共役ジエン系重合体は、1,3−ブタジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体又は1,3−ブタジエンもしくはイソプレンの単独重合体であることが好ましい。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられるが、スチレンが好ましい。
また、当該変性共役ジエン系重合体は、10℃以下のガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。Tgが10℃以下であれば、転がり抵抗をより低減でき、低温時のゴム組成物の柔軟性を高めることができるからである。
当該変性共役ジエン系重合体においては、官能基は重合開始側末端、重合停止側末端、主鎖及び側鎖の中から選ばれる少なくとも一つの位置に存在すればよい。
また、上記官能基が、窒素を含む官能基、珪素を含む官能基、酸素又は硫黄を含む官能基及び金属を含む官能基の中から選択された官能基であることが好ましい。
当該変性共役ジエン系重合体における窒素を含む官能基としては、置換もしくは非置換のアミノ基、アミド残基、イソシアネート基、イミダゾリル基、インドリル基、ニトリル基、ピリジル基及びケチミン基であることが好ましい。置換もしくは非置換のアミノ基としては、第一アルキルアミン、第二アルキルアミン又は環状アミンあるいは、置換もしくは非置換のイミンから誘導されるアミノ基が挙げられる。
置換もしくは非置換のアミノ基としては、下記一般式(5)で表される置換アミノ基又は下記一般式(6)で表される環状アミノ基であることが、更に好ましい。
Figure 2009269943
ここで、R7及びR8は、それぞれ独立して炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基及び3−フェニルプロピル基等が好適に挙げられる。
Figure 2009269943
ここで、R9は、3〜16のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN−アルキルアミノ−アルキレン基を示す。
また、R9として、具体的には、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オキシジエチレン基、N−アルキルアザジエチレン基、ドデカメチレン基及びヘキサデカメチレン基等が好ましい。
また、当該変性共役ジエン系重合体の珪素を含む官能基としては、有機シリル基又はシロキシ基であることが好ましく、より詳細には、アルコキシシリル基、アルキルハロシリル基、シロキシ基、アルキルアミノシリル基及びアルコキシハロシリル基の中から選択された官能基であることが好ましい。また、珪素を含む官能基として、加水分解によりシラノール基を生成する官能基であることが好ましい。
そして、当該変性共役ジエン系重合体の酸素又は硫黄を含む官能基としては、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、ジグリシジルアミノ基、サイクリックジチアン由来の官能基、エステル基、アルデヒド基、アルコキシ基、ケトン基、チオカルボキシ基、チオエポキシ基、チオグリシドキシ基、チオジグリシジルアミノ基、チオエステル基、チオアルデヒド基、チオアルコキシ基及びチオケトン基の中から選択された官能基であることが好ましい。アルコキシ基として、ベンゾフェノンから誘導されたアルコール由来のアルコキシ基であっても良い。
更に、当該変性共役ジエン系重合体の金属を含む官能基は、有機金属を含む官能基であることが好ましい。
当該変性共役ジエン系重合体は、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてアニオン重合により重合したもの、又は希土類金属化合物を重合開始剤として配位重合により重合したものであることが好ましい。
<アニオン重合>
有機アルカリ金属化合物としては、ヒドロカルビルリチウム化合物、リチウムアミド化合物又は第1族金属アルコキシドを用いることが好ましい。第1族金属アルコキシドの第1族金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられる。重合開始剤としてヒドロカルビルリチウム化合物を用いる場合、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。一方、重合開始剤としてリチウムアミド化合物を用いる場合は、重合開始末端に窒素含有官能基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られ、該重合体は、変性剤で変性することなく、本発明における変性共役ジエン系重合体として用いることができる。
なお、ヒドロカルビルリチウム化合物、リチウムアミド化合物等の有機リチウム化合物又は第1族金属アルコキシドの、重合開始剤としての使用量は、単量体100g当り0.2〜20ミリモル(mmol)の範囲が好ましい。
上記ヒドロカルビルリチウム化合物としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルフェニルリチウム、4−フェニル-ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物等が挙げられ、これらの中でも、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム等のアルキルリチウムが好ましく、n−ブチルリチウムが特に好ましい。
一方、上記リチウムアミド化合物としては、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジヘキシルアミド、リチウムジヘプチルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチムジ-2-エチルヘキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム-N-メチルピペラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムメチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。
上記リチウムアミド化合物として、式:Li−AM[式中、AMは、上記式(5)で表される置換アミノ基、又は上記式(6)で表される環状アミノ基である]で表されるリチウムアミド化合物を用いることで、式(5)で表される置換アミノ基及び式(6)で表される環状アミノ基の中から選択される少なくとも一種の窒素含有官能基が導入された変性共役ジエン系重合体が得られる。
上記リチウムアミド化合物は、二級アミンとリチウム化合物から予備調製して重合反応に用いてもよいが、重合系中で生成させてもよい。ここで、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジイソブチルアミン等の他、アザシクロヘプタン(即ち、ヘキサメチレンイミン)、2−(2−エチルヘキシル)ピロリジン、3−(2−プロピル)ピロリジン、3,5−ビス(2−エチルヘキシル)ピペリジン、4−フェニルピペリジン、7−デシル−1−アザシクロトリデカン、3,3−ジメチル−1−アザシクロテトラデカン、4−ドデシル−1−アザシクロオクタン、4−(2−フェニルブチル)−1−アザシクロオクタン、3−エチル−5−シクロヘキシル−1−アザシクロヘプタン、4−ヘキシル−1−アザシクロヘプタン、9−イソアミル−1−アザシクロヘプタデカン、2−メチル−1−アザシクロヘプタデセ−9−エン、3−イソブチル−1−アザシクロドデカン、2−メチル−7−t−ブチル−1−アザシクロドデカン、5−ノニル−1−アザシクロドデカン、8−(4’−メチルフェニル)−5−ペンチル−3−アザビシクロ[5.4.0]ウンデカン、1−ブチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、8−エチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1−プロピル−3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン、3−(t−ブチル)−7−アザビシクロ[4.3.0]ノナン、1,5,5−トリメチル−3−アザビシクロ[4.4.0]デカン等の環状アミンが挙げられる。一方、リチウム化合物としては、上記ヒドロカルビルリチウム化合物を用いることができる。
上記有機アルカリ金属化合物等を重合開始剤として、アニオン重合により当該変性共役ジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、重合反応に不活性な炭化水素溶媒中で、共役ジエン化合物単独で、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との混合物を重合させることで共役ジエン系重合体を製造することができる。ここで、重合反応に不活性な炭化水素溶媒としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
上記アニオン重合は、ランダマイザーの存在下で実施してもよい。該ランダマイザーは、共役ジエン化合物のミクロ構造を制御することができ、例えば、単量体としてブタジエンを用いた重合体のブタジエン単位の1,2−結合含量を制御したり、単量体としてスチレンとブタジエンを用いた共重合体のブタジエン単位とスチレン単位とをランダム化する等の作用を有する。
上記ランダマイザーとしては、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−アミレート等が挙げられる。これらランダマイザーの使用量は、重合開始剤の有機アルカリ金属化合物1モル当り0.01〜100モル当量の範囲が好ましい。
上記アニオン重合は、溶液重合、気相重合、バルク重合のいずれで実施してもよいが、溶液重合の場合、溶液中の上記単量体の濃度は、5〜50質量%の範囲が好ましく、10〜30質量%の範囲が更に好ましい。なお、単量体として、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を併用する場合、単量体混合物中の芳香族ビニル化合物の含有率は、3〜50質量%の範囲が好ましく、4〜45質量%の範囲が更に好ましい。また、重合形式は特に限定されず、回分式でも連続式でもよい。
上記アニオン重合の重合温度は、0〜150℃の範囲が好ましく、20〜130℃の範囲が更に好ましい。また、該重合は、発生圧力下で実施できるが、通常は、使用する単量体を実質的に液相に保つのに十分な圧力下で行うのが好ましい。ここで、重合反応を発生圧力より高い圧力下で実施する場合、反応系を不活性ガスで加圧するのが好ましい。また、重合に使用する単量体、重合開始剤、溶媒等の原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を予め除去したものを用いるのが好ましい。
<配位重合>
一方、希土類金属化合物を重合開始剤として、配位重合で当該変性共役ジエン系重合体を製造する場合は、下記(イ)成分、(ロ)成分、(ハ)成分を組み合わせて用いるのが更に好ましい。
上記配位重合に用いる(イ)成分は、希土類金属化合物、及び希土類金属化合物とルイス塩基との錯化合物等から選択される。ここで、希土類金属化合物としては、希土類元素のカルボン酸塩、アルコキサイド、β−ジケトン錯体、リン酸塩及び亜リン酸塩等が挙げられ、ルイス塩基としては、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、1価又は2価のアルコール等が挙げられる。上記希土類金属化合物の希土類元素としては、ランタン、ネオジム、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウムが好ましく、これらの中でも、ネオジムが特に好ましい。また、(イ)成分として、具体的には、ネオジムトリ−2−エチルヘキサノエート,それとアセチルアセトンとの錯化合物,ネオジムトリネオデカノエート,それとアセチルアセトンとの錯化合物,ネオジムトリn−ブトキシド等が挙げられる。これら(イ)成分は一種単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。
上記配位重合に用いる(ロ)成分は、有機アルミニウム化合物から選択される。該有機アルミニウム化合物として、具体的には、式:R15 3Alで表されるトリヒドロカルビルアルミニウム化合物、式:R15 2AlH又はR15AlH2で表されるヒドロカルビルアルミニウム水素化物(式中、R15は、それぞれ独立して炭素数1〜30の炭化水素基である)、炭素数1〜30の炭化水素基をもつヒドロカルビルアルミノキサン化合物等が挙げられる。該有機アルミニウム化合物として、具体的には、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムヒドリド、アルキルアルミニウムジヒドリド、アルキルアルミノキサン等が挙げられる。これらの化合物は一種単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。なお、(ロ)成分としては、アルミノキサンと他の有機アルミニウム化合物とを併用するのが好ましい。
上記配位重合に用いる(ハ)成分は、加水分解可能なハロゲンを有する化合物又はこれらとルイス塩基の錯化合物;三級アルキルハライド、ベンジルハライド又はアリルハライドを有する有機ハロゲン化物;非配位性アニオン及び対カチオンからなるイオン性化合物等から選択される。かかる(ハ)成分として、具体的には、アルキルアルミニウム二塩化物、ジアルキルアルミニウム塩化物、四塩化ケイ素、四塩化スズ、塩化亜鉛とアルコール等のルイス塩基との錯体、塩化マグネシウムとアルコール等のルイス塩基との錯体、塩化ベンジル、塩化t−ブチル、臭化ベンジル、臭化t−ブチル、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。これら(ハ)成分は一種単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。
上記重合開始剤は、上記の(イ),(ロ),(ハ)成分以外に、必要に応じて、重合用単量体と同じ共役ジエン化合物及び/又は非共役ジエン化合物を用いて予備的に調製してもよい。また、(イ)成分又は(ハ)成分の一部又は全部を不活性な固体上に担持して用いてもよい。上記各成分の使用量は、適宜設定することができるが、通常、(イ)成分は単量体100g当たり0.001〜0.5ミリモル(mmol)である。また、モル比で(ロ)成分/(イ)成分は5〜1,000、(ハ)成分/(イ)成分は0.5〜10が好ましい。
上記配位重合における重合温度は、−80〜150℃の範囲が好ましく、−20〜120℃の範囲が更に好ましい。また、配位重合に用いる溶媒としては、上述のアニオン重合で例示した反応に不活性な炭化水素溶媒を用いることができ、反応溶液中の単量体の濃度もアニオン重合の場合と同様である。更に、配位重合における反応圧力もアニオン重合の場合と同様であり、反応に使用する原材料も、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を実質的に除去したものが望ましい。
<変性共役ジエン系重合体の製造>
当該変性共役ジエン系重合体を製造する方法としては、上述のように製造された活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端を変性剤で変性する方法、上述のようにリチウムアミド化合物等の変性基含有重合開始剤を用いて重合開始側の末端を変性する方法、共役ジエン系重合体の活性末端を変性剤で変性(第1段変性)した後に更にその変性基と変性剤とを反応させる多段変性の方法、共役ジエン系重合体の主鎖中もしくは側鎖中に変性剤をグラフトさせる方法及び共役ジエン系重合体の重合時に官能基含有モノマーと共重合する方法等が挙げられる。
当該変性共役ジエン系重合体を製造するために、上述のように製造された活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端を変性剤で変性する場合、変性剤としては、窒素含有化合物、ケイ素含有化合物、酸素又は硫黄含有化合物、スズ含有化合物等を用いることができる。
上記変性剤として用いることができる窒素含有化合物としては、ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、4−ジメチルアミノベンジリデンアニリン等が挙げられる。これらの窒素含有化合物を変性剤として用いることで、置換及び非置換のアミノ基 、アミド残基、イソシアネート基、イミダゾリル基、インドリル基、ニトリル基、ピリジル基並びにケチミン基等の窒素を含む官能基を共役ジエン系重合体に導入することができる。ケチミン基、即ち、ケチミン構造(−N=CRab)を有するアミノ基は、マスクされたアミノ基であり、そのままでは第一アミンとしての性質を示さないが、空気中の水分等により極めて容易に加水分解され、ケトン化合物が脱離することにより活性な第一アミンが再生する。
また、上記変性剤として用いることができるケイ素含有化合物としては、ヒドロカルビルオキシシラン化合物が好ましく、下記一般式(7)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物、下記一般式(8)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物及び下記一般式(9)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物からなる群から選択される少なくとも一種のヒドロカルビルオキシシラン化合物が更に好ましい。
下記一般式(7)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物:
Figure 2009269943
ここで、A1は(チオ)エポキシ基、(チオ)イソシアネート基、(チオ)ケトン基、(チオ)アルデヒド基、イミン残基、アミド残基、イソシアヌル酸トリエステル残基、(チオ)カルボン酸ヒドロカルビルエステル残基、(チオ)カルボン酸残基の金属塩、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化物残基、炭酸ジヒドロカルビルエステル残基、環状第2アミン残基、非環状第2アミン残基、ピリジン基及びシラザン基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基であり;R10及びR11は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり;R12は単結合又は炭素数1〜20の二価の不活性炭化水素基であり;nは1〜3の整数であり;OR10が複数ある場合、複数のOR10はたがいに同一でも異なっていてもよく;R11が複数ある場合、複数のR11はたがいに同一でも異なっていてもよく;また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。
式(7)において、A1における官能基の中で、イミン残基はケチミン基、アルジミン残基、アミジン基を包含し、(チオ)カルボン酸エステル残基は、アクリレート残基やメタクリレート残基等の不飽和カルボン酸エステル残基を包含する。また、(チオ)カルボン酸残基の金属塩の金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Zn等を挙げることができる。
10及びR11としては、炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜18のアルケニル基,炭素数6〜18のアリール基,炭素数7〜18のアラルキル基等が挙げられる。ここで、上記アルキル基及びアルケニル基は、直鎖状,枝分かれ状,環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基,デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロぺニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。また、上記アリール基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。更に、上記アラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
12の内の炭素数1〜20の二価の不活性炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましい。該アルキレン基は、直鎖状,枝分かれ状,環状のいずれであってもよいが、特に直鎖状のものが好適である。該直鎖状アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基等が挙げられる。
式(7)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば、(チオ)エポキシ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン及びこれらの化合物におけるエポキシ基をチオエポキシ基に置き換えたものを挙げることができるが、これらの中でも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
また、イミン残基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物,メチルジエトキシシリル化合物,エチルジエトキシシリル化合物,メチルジメトキシシリル化合物、エチルジメトキシシリル化合物等を挙げることができるが、これらの中でも、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンが特に好ましい。
また、アミジンの部分構造含有化合物としては、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−イソプロポキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール等が挙げられ、これらの中でも、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールが好ましい。
更に、その他のヒドロカルビルオキシシラン化合物として、以下のものを挙げることができる。即ち、カルボン酸エステル基含有化合物としては、3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
また、イソシアネート基含有化合物としては、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランが好ましい。
更に、カルボン酸無水物残基含有化合物としては、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−メチルジエトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が挙げられ、これらの中でも、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物が好ましい。
また、シラザン基含有アルコキシシラン化合物としては、例えば、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン及びN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシラン等を挙げることができ、好ましくは、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン又は1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンである。
下記一般式(8)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物:
Figure 2009269943
ここで、xは2〜6の整数、好ましくは2〜4の整数を示し、R10〜R12及びnは前記と同じであり、また分子中に活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。
式(8)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(2−メチルジエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(2−メチルジメトキシシリルエチル)ジスルフィド、並びにこれらの化合物のジスルフィドを、トリスルフィド及びテトラスルフィドに置き換えた化合物等を挙げることができる。
下記一般式(9)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物:
13 p−Si−(OR144-p ・・・(9)
ここで、R13及びR14は、それぞれ独立して炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり;pは0〜2の整数であり;R13が複数ある場合、複数のR13はたがいに同一でも異なっていてもよく;OR14が複数ある場合、複数のOR14はたがいに同一でも異なっていてもよく;また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。
13及びR14としては、炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜18のアルケニル基,炭素数6〜18のアリール基,炭素数7〜18のアラルキル基等が挙げられる。ここで、上記アルキル基及びアルケニル基は、直鎖状,枝分かれ状,環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基,デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロぺニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。また、上記アリール基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。更に、上記アラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
上記一般式(9)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、テトラエトキシシランが特に好ましい。
前記一般式(7)、(8)及び(9)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における変性反応においては、使用する共役ジエン系重合体は、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性を有するものが好ましい。
上記変性剤による変性反応は、溶液反応で行うのが好ましく、該溶液中には、重合時に使用した単量体が含まれていてもよい。また、変性反応の反応形式は特に制限されず、バッチ式でも連続式でもよい。更に、変性反応の反応温度は、反応が進行する限り特に限定されず、重合反応の反応温度をそのまま採用してもよい。なお、変性剤の使用量は、共役ジエン系重合体の製造に使用した重合開始剤1モル(mol)に対し、0.25〜3.0molの範囲が好ましく、0.5〜1.5molの範囲が更に好ましい。
また、当該変性共役ジエン系重合体は、(x)前述のようにして得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、分子内に1級アミノ基が保護され、かつ1つのヒドロカルビロキシ基と、1つの反応性基とが同じケイ素原子に結合した2官能性ケイ素原子を含む化合物を反応させて変性を行なう工程、及び(y)金属化合物からなる縮合促進剤の存在下、前記2官能性ケイ素化合物が関与する縮合反応を行なう工程、を施すことによっても効率よく得ることができる。
分子内に1級アミノ基が保護され、1つのヒドロカルビロキシ基と1つの反応性基とが同じケイ素原子に結合した2官能性ケイ素原子を含む化合物(以下「変性剤」と略称することがある)としては、例えば一般式(10)、一般式(11)及び一般式(12)が挙げられる。
Figure 2009269943
(式中、R16、R17は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R18〜R20は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R21は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、A2は反応性基、fは1〜10の整数を示す。)
Figure 2009269943
(式中、R22〜R26は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R27は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示す。)
Figure 2009269943
(式中、R16、R17は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R18〜R20は、それぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基、R21は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R28は炭素数1〜12の2価の炭化水素基、、A2は反応性基、fは1〜10の整数を示す。)
上記式(10)〜(12)において、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の炭化水素基の具体例としては、例えばメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,各種ペンチル基,各種ヘキシル基,各種オクチル基,各種デシル基,各種ドデシル基,各種テトラデシル基,各種ヘキサデシル基,各種オクタデシル基,各種イコシル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,ビニル基,プロぺニル基,アリル基,ヘキセニル基,オクテニル基,シクロペンテニル基,シクロヘキセニル基,フェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基,ベンジル基,フェネチル基,ナフチルメチル基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4のメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基等が好ましく、エチル基、メチル基、tert−ブチル基がより好ましい。
炭素数1〜12の2価の炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数7〜12のアリーレンアルキレン基等が挙げられる。
上記炭素数1〜12のアルキレン基は、直鎖状、分枝状のいずれであってもよく、具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状アルキレン基、プロピレン基、イソブチレン基、2−メチルトリメチレン基、イソペンチレン基、イソへキシレン基、イソオクチレン基、2−エチルへキシレン基、イソデシレン基等の分枝状のアルキレン基が挙げられる。
炭素数6〜12のアリーレン基としては、例えばフェニレン基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、ナフチレン基、等が挙げられ、炭素数7〜12のアリーレンアルキレン基としては、例えばフェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、キシリレン基等が挙げられる。中でも炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、特にトリメチレン基が好ましい。
2の反応性基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基が好ましく、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、中でも塩素が好ましい。
炭素数1〜20のヒドロカルビロキシ基としては、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基等を挙げることができる。
上記炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基,n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基,sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、各種ヘキソキシ基、各種オクトキシ基、各種デシロキシ基、各種ドデシロキシ基,各種テトラデシロキシ基、各種ヘキサデシロキシ基、各種オクタデシロキシ基、各種イコシロキシ基等が挙げられる。炭素数6〜20のアリーロキシ基としては、例えばフェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられ、炭素数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジロキシ基、フェネチロキシ基、ナフチルメトキシ基等が挙げられる。これらの中で1〜4のアルコキシ基が好ましく、特にエトキシ基が好ましい。
その他の反応性基としては、カルボニル基、酸無水物残基、各ジヒドロイミダゾリニル基、N−メチルピロリドニル基、イソシアネート基等を含有する基が挙げられる。
また、式(10)のR18,R19及びR20の2つが結合してそれらが結合している珪素原子と一緒になって、4〜7員環を形成してもよく、同様に式(11)のR24,R25及びR26の2つが結合してそれらが結合している珪素原子と一緒になって、4〜7員環を形成してもよい。この4〜7員環としては炭素数4〜7のメチレン基を有するものを挙げることができる。
保護された1級アミノ基及びケイ素原子に結合したアルコキシ基を少なくとも有する2官能性ケイ素原子を含む化合物としては、例えばN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシラン、及び1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン等を挙げることができる。
また、前記A2がハロゲン原子である化合物として例えば、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルメトキシクロロシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルエトキシクロロシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルメトキシクロロシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルエトキシクロロシラン等が挙げられる。
好ましくは、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタンである。
これらの変性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。またこの変性剤は部分縮合物であってもよい。
ここで、部分縮合物とは、変性剤のSiORの一部(全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものをいう。
上記変性剤による変性反応において、該変性剤の使用量は、好ましくは0.5〜200mmol/kg・共役ジエン系重合体である。同含有量は、さらに好ましくは1〜100mmol/kg・共役ジエン系重合体であり、特に好ましくは2〜50mmol/kg・共役ジエン系重合体である。ここで、共役ジエン系重合体とは、製造時又は製造後、添加される老化防止剤等の添加剤を含まないポリマーのみの質量を意味する。変性剤の使用量を上記範囲にすることによって、充填剤の分散性に優れ、加硫後の機械特性、耐摩耗性、低発熱性が改良される。
なお、上記変性剤の添加方法は、特に制限されず、一括して添加する方法、分割して添加する方法、あるいは、連続的に添加する方法等が挙げられるが、一括して添加する方法が好ましい。
本発明では、上記した変性剤として用いる上記アルコキンシラン化合物が関与する縮合反応を促進するために、縮合促進剤を用いることができる。
ここで用いる縮合促進剤は、上記変性反応前に添加することもできるが、変性反応後、及び縮合反応開始前に添加することが好ましい。変性反応前に添加した場合、活性末端との直接反応が起こり、活性末端にヒドロカルビロキシ基が導入されない場合がある。
また、縮合反応開始後に添加した場合、縮合促進剤が均一に分散せず触媒性能が低下する場合がある。
縮合促進剤の添加時期としては、通常、変性反応開始5分〜5時間後、好ましくは変性反応開始15分〜1時間後である。
本発明における(y)工程で用いる縮合促進剤の金属化合物からなる縮合促進剤としては、チタン化合物からなるチタン系縮合促進剤、チタン化合物からなるチタン系縮合促進剤、スズ化合物からなるスズ系縮合促進剤、ジルコニウム化合物からなるジルコニウム系縮合促進剤、ビスマス化合物からなるビスマス系縮合促進剤等が好ましく、これらの金属のアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩等が好ましく用いられる。
本発明に係るチタン化合物からなるチタン系縮合促進剤としては、チタン(Ti)のアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩が好ましく用いられる。
具体的な縮合促進剤としては、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンオリゴマー、テトライソブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、ビス(オレート)ビス(2−エチルヘキサノエート)チタン、チタンジプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンジブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタントリブトキシステアレート、チタントリプロポキシステアレート、チタントリプロポキシアセチルアセトネート、チタンジプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリプロポキシ(エチルアセトアセテート)、チタンプロポキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタントリブトキシアセチルアセトネート、チタンジブトキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリブトキシエチルアセトアセテート、チタンブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラキス(アセチルアセトネート)、チタンジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)チタンオキサイド、ビス(ラウレート)チタンオキサイド、ビス(ナフテネート)チタンオキサイド、ビス(ステアレート)チタンオキサイド、ビス(オレエート)チタンオキサイド、ビス(リノレート)チタンオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)チタン、テトラキス(ラウレート)チタン、テトラキス(ナフテネート)チタン、テトラキス(ステアレート)チタン、テトラキス(オレエート)チタン、テトラキス(リノレート)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタンテトラ(ラクテート)等が挙げられる。中でも、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)が好ましい。
また、スズ系縮合促進剤の具体例としては、例えば、2−エチルヘキサン酸スズ{[CH3(CH2)3CH(C25)CO2]2Sn(二価)}が挙げられる。
また、ビスマス系縮合促進剤の具体例としては、例えば、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、トリス(ラウレート)ビスマス、トリス(ナフテネート)ビスマス、トリス(ステアレート)ビスマス、トリス(オレエート)ビスマス、トリス(リノレート)ビスマス等が挙げられる。
ジルコニウム系縮合促進剤の具体例としては、例えば、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム、テトラ(2−エチルヘキシル)ジルコニウム、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ラウレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ナフテネート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ステアレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(リノレート)ジルコニウムオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウム、テトラキス(ラウレート)ジルコニウム、テトラキス(ナフテネート)ジルコニウム、テトラキス(ステアレート)ジルコニウム、テトラキス(オレエート)ジルコニウム、テトラキス(リノレート)ジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム等が挙げられる。
上述の縮合促進剤の使用量としては、上記化合物のモル数が、反応系内に存在するヒドロカルビロキシ基総量に対するモル比として、0.1〜10となることが好ましく、0.5〜5が特に好ましい。縮合促進剤の使用量を上記範囲にすることによって縮合反応が効率よく進行する。
本発明における縮合反応は、水の存在下で行うことが好ましく、縮合反応時の温度は20〜180℃が好ましく、30〜180℃がより好ましく、さらに好ましくは30〜170℃、特に好ましくは40〜170℃である。
縮合反応時の温度を上記範囲にすることによって、縮合反応を効率よく進行完結することができ、得られる変性共役ジエン系重合体の経時変化によるポリマーの老化反応等による品質の低下等を抑えることができる。
なお、縮合反応時間は、通常、5分〜10時間、好ましくは15分〜5時間程度である。縮合反応時間を上記範囲にすることによって縮合反応を円滑に完結することができる。
なお、縮合反応時の反応系の圧力は、通常、0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜10MPaである。
縮合反応の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いても、多段連続式反応器等の装置を用いて連続式で行ってもよい。また、この縮合反応と脱溶媒を同時に行っても良い。
本発明の変性共役ジエン系重合体の変性剤由来のアミノ基は、保護されていても、脱保護して1級アミンに変換されていても、いずれの場合でも好適である。もし脱保護処理を行なう場合には以下の手順が用いられる。
すなわち、該保護アミノ基上のシリル保護基を加水分解することによって遊離したアミノ基に変換する。これを脱溶媒処理することにより、1級アミノ基を有する乾燥したポリマーが得られる。なお、該縮合処理を含む段階から、脱溶媒して乾燥ポリマーまでのいずれかの段階において必要に応じて変性剤由来の保護1級アミノ基の脱保護処理を行うことができる。
本発明においては、上記の如く縮合処理したのち、さらに脱保護工程を施し、共役ジエン系重合体の活性末端に結合してなる、2官能性ケイ素原子を含む化合物由来の基を加水分解処理し、該基中の保護された1級アミノ基を遊離基のアミノ基に変換することにより、目的の変性共役ジエン系重合体を得ることができる。
((A)ゴム成分の組成)
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物において、(A)成分として用いるゴム成分が、変性共役ジエン系重合体単独であるか、又は変性共役ジエン系重合体10質量%以上と他のジエン系ゴムとを含む。
当該ゴム成分が変性共役ジエン系重合体を10質量%以上含むことを要するのは、10質量%未満では、(B)補強性充填材の分散性を改良する効果が小さく、ゴム組成物の作業性、低発熱性、破壊特性及び耐摩耗性を改善する効果が小さいからである。この観点から、20質量%以上が好ましく、30質量%以上が更に好ましい。
なお、本発明のタイヤに用いられるゴム組成物において、上記変性共役ジエン系重合体以外の他のジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)の他、未変性のスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)等を用いることができ、これらの中でも、天然ゴム及びポリイソプレンゴムが好ましい。これらゴム成分は、一種単独でも、二種以上のブレンドとして用いてもよい。
[(B)ケイ酸を含む無機充填材]
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物において、(B)成分として用いるケイ酸を含有する無機充填材としては、シリカ、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が挙げられる。
これらの内、シリカが好ましい。シリカとしては、湿式シリカ及び乾式シリカ等が好ましく、湿式シリカが更に好ましい。
当該無機充填材は、ゴム成分100質量部に対して、10〜140質量部配合することを要する。10質量部未満ではゴム組成物の破壊特性及び耐摩耗性が低下してしまう。一方、140質量部を超えるとゴム組成物の損失正接が高くなり、タイヤの転がり抵抗が大きくなる。これらの観点から、15〜120質量部含有することが好ましく、20〜110質量部含有することが更に好ましい。
[(C)ポリエステル化合物]
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物において、(C)成分として用いられるポリエステル化合物は、(c−1)ジオール類と、(c−2)一般式(1)
HOOC−R1−Sx−R2−COOH ・・・(1)
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を示し、xは2〜8の整数を示す。]
で表されるスルフィド基含有ジカルボン酸類を、(c−1)成分のOH基/(c−2)成分のCOOHモル比が1以下になる割合で重縮合してなるものを主成分として含む。
((c−1)ジオール類)
この(c−1)ジオール類としては、ジオール化合物であれば特に制限なく用いることが可能であるが、下記一般式(2a)で表される化合物が好ましく用いられる。
HO−R3a−OH (2a)
式中、R3aは炭素数2〜18のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を表す。
このような(c−1)ジオール類としては、エチレングリコール,プロピレングリコール,ブタンジオール,ペンタンジオール,ヘキサンジオール,ヘプタンジオール,オクタンジオール,ノナンジオール,デカンジオール等のアルカンジオール;ブテンジオール等のアルケンジオールが好ましく挙げられる。
また、本発明に用いられる(c−1)ジオール類としては、下記一般式(2b)で表されるものが好ましく用いられる。
HO−(R3bO)m−H (2b)
式中、R3bは炭素数2〜4のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を表し、複数のR3bは同じでも異なっていてもよい。例えば、R3bOとしては、エチレンオキサイド単独でもよいし、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの組み合わせであってもよい。また、mは平均付加モル数を示す2〜31の数であり、好ましくは2〜21の数を表す。
このような(c−1)ジオール類としては、エチレングリコール,プロピレングリコール,及びブタンジオールに、ポリオキシエチレン,ポリオキシプロピレン,ポリオキシトリメチレン,及び/又はポリオキシテトラメチレンが平均して1〜30モル、好ましくは2〜20モル付加したもの、ポリオキシエチレングリコール,ポリオキシプロピレングリコール等が好ましく挙げられる。
(c−1)ジオール類は、これらを単独で、又は複数を組み合わせて用いることができる。
((c−2)スルフィド基含有ジカルボン酸類)
本発明に用いられる(c−2)スルフィド基を含有するジカルボン酸類としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
HOOC−R1−Sx−R2−COOH (1)
式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を表す。また、xは硫黄原子数を示す2〜8の整数であり、ゴム組成物の調製における混練作業におけるポリマーのゲル化抑制の観点から2〜4が好ましく、2がより好ましい。
このようなスルフィド基を含有するジカルボン酸類としては、2,2’−ジチオジ酢酸,3,3’−ジチオジプロピオン酸,4,4’−ジチオジブタン酸,5,5’−ジチオジペンタン酸,6,6’−ジチオジヘキサン酸,7,7’−ジチオジヘプタン酸,8,8’−ジチオジオクタン酸,9,9’−ジチオジノナン酸,10,10’−ジチオジデカン酸等が好ましく挙げられ、なかでも3,3’−ジチオジプロピオン酸がより好ましい。
((c−3):(c−2)以外のジカルボン酸類及び/又はモノアルコール類)
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物において、(C)成分として用いるポリエステル化合物は、前記の(c−1)成分と、(c−2)成分と、さらに(c−3)成分として上記(c−2)成分以外のジカルボン酸類及び/又はモノアルコール類を用い、全OH基/全COOHモル比が1以下になるように重縮合してなるものであってもよい。
(c−3)成分として用いることのできる(c−2)成分以外のジカルボン酸類としては、(B)成分以外のものであれば特に制限なく用いることができ、例えば、ジ酢酸,ジプロピオン酸,ジブタン酸,ジペンタン酸,ジヘキサン酸,ジヘプタン酸,ジオクタン酸,ジノナン酸,及びジデカン酸等の飽和ジカルボン酸;フマル酸,マレイン酸,イタコン酸,シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸;フタル酸等の芳香族ジカルボン酸等を挙げることができる。
ポリエステル化合物中の(c−3)成分の含有量は、1〜20モル%が好ましく、1〜10モル%がより好ましい。
一方、(c−3)成分として用いることのできるモノアルコール類としては、特に制限なく用いることができ、脂肪族アルコ−ルとしては、炭素数2〜24の直鎖又は分岐の脂肪族モノアルコ−ル等が好ましく挙げられ、芳香族アルコ−ルとしては、フェノ−ル,アルキルフェノ−ル,ナフト−ル,アルキルナフト−ル等のモノアルコ−ル類等が挙げられる。
ポリエステル化合物中のモノアルコール成分の含有量は、1〜20モル%が好ましく、1〜10モル%が好ましい。
(ポリエステル化合物の性状)
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物において、(C)成分として用いるポリエステル化合物は、上記のような(c−1)ジオール類、及び(c−2)ジカルボン酸類、さらに所望に応じて配合される(c−3)上記(c−2)以外のジカルボン酸類及び/又はモノアルコール類が重縮合してなるものである。
ここで、上記の各化合物を重縮合させる場合、全OH基/全COO基モル比が1以下になるように重縮合させることが肝要である。該モル比が1以下であれば特に制限はないが、後述するポリエステル化合物中の硫黄原子の質量分率が所定の範囲になるように重縮合することが好ましい。全OH基/全COOH基モル比は、(c−2)成分に含まれる硫黄原子の量や、所望のポリエステル化合物の数平均分子量によって異なるので一概にはいえないが、通常1/1〜1/3程度であり、1/1〜1/2が好ましい。
ポリエステル化合物中の硫黄原子の質量分率は、得られるゴム組成物を用いたタイヤの操縦安定性向上の観点から、5%を超えることが好ましく、5%超〜45%がより好ましく、10〜30%がさらに好ましい。
ポリエステル化合物の数平均分子量は、1000以上であることが好ましく、1000〜10000がより好ましく、1000〜5000がさらに好ましい。この範囲にあれば、ゴム組成物の貯蔵弾性率が向上するので、良好な操縦安定性が得られる。ここで、ポリエステル化合物の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した値である(ポリスチレン換算)。カラムにはG2000HXLとG1000HXL(いずれも東ソー株式会社製)とを直列につないで用いた。また、展開溶媒はテトラヒドロフラン(THF)とし、サンプル/溶媒=0.04g/10mlとした。
ポリエステル化合物の平均重合度は、0.8〜100が好ましく、貯蔵弾性率(操縦安定性)の観点から、0.8〜10がより好ましく、0.8〜8がさらに好ましい。また、転がり抵抗の観点からは、5〜100がより好ましく、8〜100がさらに好ましい。ここで、ポリエステル化合物の平均重合度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて得た数平均分子量Mnから、繰返し単位に該当しない末端部分の分子量を差引き、繰返し単位の単位分子量で除した値である。
(ポリエステル化合物の製造)
(c−1)ジオール類と(c−2)ジカルボン酸類との重縮合の方法は、特に制限なく、ジオール類とジカルボン酸類とを直接エステル化させる方法、又はジオール類とジカルボン酸類のアルキルエステルとをエステル交換する方法等が挙げられる。当該重縮合は、温度60〜150℃程度で、水を除去して行うことが好ましく、シクロヘキサン,ベンゼン,トルエン及び/又はキシレン等の溶媒を必要に応じて用いることができる。また、当該重縮合では、重縮合を促進させる目的で、上記のような方法に一般的に用いられる触媒、例えばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等用いることが好ましい。
このようにして得られるポリエステル化合物のなかでも、下記一般式(3a)及び/又は(3b)で表されるものを主成分とするものが好ましい。ポリエステル化合物中の、一般式(3a)及び/又は(3b)で表される化合物の含有量は、50〜99質量%が好ましく、70〜99質量%がより好ましく、80〜99質量%がさらに好ましい。
HOOC−R4−Sy−R5−CO(O−R6a−OCO−R4−Sy−R5−CO)n−OH ・・・(3a)
HOOC−R4−Sy−R5−CO(O−(R6bO)m−OCO−R4−Sy−R5−CO)n−OH ・・・(3b)
式中、R4及びR5は、それぞれ独立に炭素数2〜8のアルカンジイル基を、R6aは、炭素数2〜18のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を表し、複数のR4、R5、及びR6aは、それぞれにおいて同じでも異なっていてもよい。
yは硫黄原子数を示す2〜4の整数であり、2がより好ましい。また、繰り返し単位内の硫黄原子数は、同じでも異なっていてもよく、例えば繰り返し単位内においてジスルフィドのみが存在してもよいし、ジスルフィドとトリスルフィドが存在していてもよい。
nは平均重合度を示す0.8〜100の数であり、好ましい範囲は上記した平均重合度と同様であり、mは上記と同様である。
また、R6bは炭素数2〜4のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を表し、複数のR6bは同じでも異なっていてもよい。例えば、R6bOとしては、エチレンオキサイド単独でもよいし、エチレンオキサイドとブチレンオキサイドとの組み合わせであってもよい。
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物においては、この(C)成分のポリエステル化合物は、タイヤの転がり抵抗を悪化させることなく、操縦安定性を向上させるために用いられ、(A)成分のゴム成分100質量部に対して、0.5〜20質量部の割合で含有することを要す。この含有量が0.5質量部未満では、上記効果が充分に発揮されず、20質量部を超えるとゴム組成物の耐久物性が大幅に低下するためである。この観点から、当該(C)成分の含有量は、好ましくは1.0〜10.5質量部であり、より好ましくは1.0〜8.0質量部である。
[(D)シランカップリング剤]
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物においては、(D)成分としてシランカップリング剤を含有する。このシランカップリング剤としては、従来公知のシランカップリング剤の中から任意のものを用いることができるが、特に一般式(4−a)
a3-aSi−X−Sb−X−SiAa3-a ・・・(4−a)
〔式中、Aは炭素数1〜3のアルコキシ基又は塩素原子、Bは炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基あるいは炭素数7〜15のアリーレン基、aは1〜3の整数、bは1以上の整数で分布を有することもある。ただし、aが1のときは2つのBは同じであっても異なっていてもよく、aが2又は3のときは2つ又は3つのAは同じであっても異なっていてもよい。〕
で表される化合物、一般式(4b):
a3-aSi−X−Y ・・・(4b)
〔式中、A、B、X、aは前記と同様、Yはメルカプト基,ビニル基,アミノ基,グリシドキシ基又はエポキシ基を示す。〕
で表される化合物、一般式(4c):
a3-aSi−X−Sb−Z ・・・(4c)
〔式中、A、B、X、a、bは前記と同様、Zはベンゾチアゾリル基,N,N−ジメチルチオカルバモイル基又はメタクリロイル基、炭素数1〜15の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。〕
で表される化合物、及び一般式(4d):
cdeSi−X−S−CO−X1 ・・・(4d)
〔式中、A、B、Xは前記と同様、X1は炭素数1〜20の飽和又は不飽和アルキル基、又は炭素数6〜15のアレーンジイル基である。DはA、B、又は−[O(XO)n0.5−基であり、nは1〜4の整数で分布を有することがあり、Xは前記と同様である。また、c、d、及びeは、0≦c≦3、0≦d≦2、0≦e≦1、かつc+d+2e=3の関係を満たす数である。〕
で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記一般式(4a)で表されるシランカップリング剤の例としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド,ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド,ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド,ビス(3−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド,ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド,ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド,ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド等が、一般式(4b)で表されるシランカップリング剤の例としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン,3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン,ビニルトリメトキシシラン,3−アミノプロピルトリエトキシシラン,3−アミノプロピルトリメトキシシラン,3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン,3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が、一般式(4c)で表されるシランカップリング剤の例としては、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルカルバモイルテトラスルフィド,3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド,3−トリメトキシシリルプロピルメタクリロイルモノスルフィド,3−トリエトキシシリルプロピルn−オクチルジスルフィド等が、また、一般式(4d)で表されるシランカップリング剤の例としては、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(General Electric Silicones社製、商標「NXTシラン」)等が、それぞれ挙げられる。
本発明においては、この(D)成分のシランカップリング剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、当該シランカップリング剤の含有量は、(B)成分のケイ酸を含有する無機充填材に対して、1〜20質量%の範囲で選ばれる。この含有量が1質量%未満ではシランカップリング剤を配合した効果が十分に発揮されないおそれがあり、一方、20質量%を超えるとその量の割には効果の向上がみられず、むしろ経済的に不利となる。配合効果及び経済性等を考慮すると、このシランカップリング剤の好ましい含有量は3〜15質量%の範囲である。
[ゴム組成物の調製]
本発明のタイヤに用いられるゴム組成物には、前記(B)成分のケイ酸を含有する無機充填材の他に、カーボンブラック等の他の充填材、加硫剤、加硫促進剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤等のゴム業界で通常使用される配合剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。また、上記ゴム組成物は、(A)ゴム成分に対し、(B)ケイ酸を含有する無機充填材、(C)ポリエステル化合物及び(D)シランカップリング剤と、適宜選択した各種配合剤とを配合して、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー等を用いて混練り後、熱入れ、押出等することにより調製することができる。
[タイヤ]
本発明のタイヤは、本発明に係る上記ゴム組成物をタイヤ部材のいずれかに適用したことを特徴とする。ここで、本発明のタイヤにおいては、上記ゴム組成物をトレッドに用いることが特に好ましく、上記ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、乾燥路面での操縦安定性を悪化させることなく、転がり抵抗が低く低燃費性に優れる。なお、本発明のタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスが挙げられる。本発明に係る上記ゴム組成物を用いる部材としては、トレッド用部材、サイドウォール用部材等が好ましく挙げられ、トレッド用部材に用いることが特に好ましい。上記ゴム組成物をトレッドに用いる場合は、例えばトレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、加硫後のゴム組成物の損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(E’)と、タイヤの転がり抵抗及び乾燥路面での操縦安定性と、未変性及び変性共役ジエン系重合体のミクロ構造、結合スチレン量及びガラス転移点(Tg)を下記の方法により評価した。
(1)損失正接(tanδ)、貯蔵弾性率(E’)
上島製作所製スペクトロメーター(動的粘弾性測定試験機)を用い、周波数52Hz,初期歪10%、測定温度60℃、動歪1%の条件にて、tanδ及び貯蔵弾性率(E’)を測定し、下記の式に従って指数表示した。
損失正接指数=[(対比する対象ゴム組成物の損失正接/各比較例のゴム組成物の損失正接)]×100
損失正接指数が小さいほど、低発熱性である。
貯蔵弾性率(E’)指数=[(対比する対象ゴム組成物の貯蔵弾性率(E’)/各比較例のゴム組成物の貯蔵弾性率(E’)]×100
貯蔵弾性率指数が大きいほど、貯蔵弾性率が高く、乾燥路面での操縦安定性が良好である。
(2)タイヤの転がり抵抗
タイヤサイズ185/70R14の空気入りタイヤに170kPaの内圧を充填した後、395kgの荷重を負荷しながら、大型試験ドラム上を時速80km/hで所定時間走行させ、次に前記ドラムの駆動力を遮断して、各タイヤを慣性走行させ、このときのタイヤの減速度から転がり抵抗を求め、各比較例の指数を100として下記式により指数表示した。指数が大きい程、低い転がり抵抗である。
供試タイヤの指数=[(各比較例のタイヤの転がり抵抗/対比する供試タイヤの転がり抵抗)]×100
(3)タイヤの乾燥路面での操縦安定性
ドライ状態のサーキットコースをタイヤサイズ:185/70R14、内圧:180kPa、荷重:実車2名乗車相当の条件で各種走行モードにて走行したときの駆動性、制動性、ハンドル応答性、操縦時のコントロール性を、各比較例のタイヤをコントロールタイヤとしてプロテストドライバーが下記評価基準で総合評価した。
+1:コントロールタイヤに比べてプロテストドライバーが微妙に分かる程度に良いと感じる場合。
+2:コントロールタイヤに比べてプロテストドライバーが明確に分かる程度に良いと感じる場合。
+3:コントロールタイヤに比べて一般ドライバーのうち熟練ドライバーが分かる程度に良いと感じる場合。
+4:コントロールタイヤに比べて一般ドライバーが分かる程度に良いと感じる場合。
−1:コントロールタイヤに比べてプロテストドライバーが微妙に分かる程度に悪いと感じる場合。
−2:コントロールタイヤに比べてプロテストドライバーが明確に分かる程度に悪いと感じる場合。
−3:コントロールタイヤに比べて一般ドライバーのうち熟練ドライバーが分かる程度に悪いと感じる場合。
−4:コントロールタイヤに比べて一般ドライバーが分かる程度に悪いと感じる場合。
(4)ミクロ構造及び結合スチレン量
各共役ジエン系重合体のミクロ構造を赤外法(モレロ法)で求め、各共役ジエン系重合体の結合スチレン量を1H−NMRスペクトルの積分比より求めた。
(5)ガラス転移点
パーキンエルマー社製の示差熱分析機(DSC)7型装置を用い、各共役ジエン系重合体を−100℃まで冷却した後に10℃/minの昇温速度で昇温して、各重合体のガラス転移点を測定した。
合成例1:N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランの合成
窒素雰囲気下、攪拌機を備えたガラスフラスコ中のジクロロメタン溶媒400ml中にアミノシラン部位として36gの3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン(Gelest社製)を加えた後、さらに保護部位として塩化トリメチルシラン(Aldrich社製)48ml、トリエチルアミン53mlを溶液中に加え、17時間室温下で攪拌し、その後反応溶液をエバポレーターにかけることにより溶媒を取り除き、反応混合物を得、さらに得られた反応混合物を665Pa条件下で減圧蒸留することにより、130〜135℃留分としてN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを40g得た。
製造例1(重合体Aの製造)
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン40g、スチレン10g、テトラヒドロフラン2mmolを加え、更にリチウムピペリジルアミド、[(ピペリジン/リチウム)=0.9(モル比)で,インサイチューにて調製した)]0.4mmolを加えた後、50℃で1.5時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。その後、重合反応系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に定法に従って乾燥して重合体Aを得た。
得られた重合体Aを上記の方法で分析したところ、結合スチレン量(芳香族ビニル化合物量)が20質量%で、ブタジエン部分(共役ジエン化合物部分)のビニル結合量が58質量%で、ガラス転移点(Tg)が−38℃であった。
製造例2(重合体Bの製造)
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン40g、スチレン10g、ジ−2,2−テトラヒドロフリルプロパン0.2mmolを加え、更にn−ブチルリチウム(n−BuLi)0.4mmolを加えた後、50℃で1.5時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。
次に、重合反応系に、変性剤として3−トリエトキシシリル―N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン(信越化学工業株式会社製)を0.43mmol速やかに加え、更に60℃で30分間変性反応を行った。その後、重合反応系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に定法に従って重合体Bを得た。
得られた重合体Bを上記の方法で分析したところ、結合スチレン量(芳香族ビニル化合物量)が20質量%で、ブタジエン部分(共役ジエン化合物部分)のビニル結合量が59質量%で、ガラス転移点(Tg)が−35℃であった。
製造例3(重合体Cの製造)
変性剤としてN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール(Gelest社製)を用いた以外は製造例2と同様の方法で調製を行い、重合体Cを得た。
得られた重合体Cを上記の方法で分析したところ、結合スチレン量(芳香族ビニル化合物量)が20質量%で、ブタジエン部分(共役ジエン化合物部分)のビニル結合量が58%で、ガラス転移点(Tg)が−38℃であった。
製造例4(重合体Dの製造)
窒素置換された内容積5リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン2,750g、テトラヒドロフラン41.3g、スチレン125g、1,3−ブタジエン375gを仕込んだ。反応器内容物の温度を10℃に調整した後、n−ブチルリチウム215mgを添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施し、最高温度は85℃に達した。
重合転化率が99%に達した時点で、ブタジエン10gを追加し、更に5分重合させた。リアクターからポリマー溶液を、メタノール1gを添加したシクロヘキサン溶液30g中に少量サンプリングした後、変性剤としてメチルトリエトキシシラン600mgを加えて、変性反応を15分間行った。この後、縮合促進剤としてビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド3.97gを加え、更に15分間攪拌した。最後に反応後の重合体溶液に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温された熟ロールによりゴムを乾燥し、重合体Dを得た。得られた重合体Dを上記の方法で分析したところ、結合スチレン量(芳香族ビニル化合物量)が24.5質量%で、ブタジエン部分(共役ジエン化合物部分)のビニル結合量が59質量%で、ガラス転移点(Tg)が−35℃であった。
製造例5(重合体Eの製造)
製造例4で用いた変性剤メチルトリエトキシシラン600mg及び縮合促進剤ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド3.97gを、合成例1で得られた変性剤N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1129mg及び縮合促進剤テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン8.11gに変更した以外は製造例4と同様にして重合体Eを得た。得られた重合体Eを上記の方法で分析したところ、結合スチレン量(芳香族ビニル化合物量)が24.5質量%で、ブタジエン部分(共役ジエン化合物部分)のビニル結合量が59質量%で、ガラス転移点(Tg)が−35℃であった。
製造例6(重合体Fの製造)
製造例4で用いた変性剤メチルトリエトキシシラン600mg及び縮合促進剤ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド3.97gを、変性剤3−トリメトキシシラン832mg及び縮合促進剤トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス6.45gに変更した以外は製造例4と同様にして重合体Fを得た。得られた重合体Fを上記の方法で分析したところ、結合スチレン量(芳香族ビニル化合物量)が24.5質量%で、ブタジエン部分(共役ジエン化合物部分)のビニル結合量が59質量%で、ガラス転移点(Tg)が−35℃であった。
製造例7(重合体Gの製造)
製造例4で用いた変性剤メチルトリエトキシシラン600mg及び縮合促進剤ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド3.97gを、合成例1で得られた変性剤N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1129mg及び縮合促進剤2−エチルヘキサン酸錫4.09gに変更した以外は製造例4と同様にして重合体Gを得た。得られた重合体Gを上記の方法で分析したところ、結合スチレン量(芳香族ビニル化合物量)が24.5質量%で、ブタジエン部分(共役ジエン化合物部分)のビニル結合量が59質量%で、ガラス転移点(Tg)が−35℃であった。
製造例8(ポリエステル化合物Hの製造)
1Lの4つ口フラスコにポリテトラメチレングリコール(数平均分子量:250、以下、PTMG250という。)180g(0.72モル)、及び3,3'−ジチオジピロピオン酸,(以下、DTDPAという。)302.8g(1.44モル)を仕込み、得られた混合物の0.1質量%のp−トルエンスルホン酸を加えて、窒素気流下、140℃で8時間攪拌し、反応により生成した水を除去したところ、淡黄色の粘性油445gが得られた。当該粘性油の酸価は181mgKOH/gであり,平均重合度は0.96であった。
製造例9〜16(ポリエステル化合物I〜Pの製造)
表1に示す各成分を、表1に示す配合割合で混合して、製造例8と同様にして重縮合を行い、重縮合物(ポリエステル化合物)を得た。
Figure 2009269943
*1:数平均分子量200のポリオキシエチレングリコール(ポリエチレングリコール200ともいう)
*2:数平均分子量400のポリオキシエチレングリコール(ポリエチレングリコール400ともいう)
実施例1及び比較例1
表2に示す配合処方で、バンバリーミキサーで混練して、2種類のゴム組成物を調製した。これら2種類のゴム組成物を加硫温度165℃、加硫時間15分間の条件で加硫ゴムサンプルを作製し、加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(E’)を測定した。結果を表2に示す。
次にこれら2種類のゴム組成物をそれぞれ一層構造のトレッドとして用いたタイヤサイズ185/70R14の2種類の空気入りタイヤを作製し、上記の評価方法により、転がり抵抗及び乾燥路面での操縦安定性を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2009269943
*1:JSR(株)製、BR01
*2:アロマティックオイル、富士興産(株)製、商標「アロマックス#3」
*3:東ソー・シリカ(株)製、商標「ニプシルAQ」
*4:三菱化学(株)製、商標「ダイアブラック N339」
*5:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、デグサ社製シランカップリング剤、商標「Si69」
*6:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、精工化学(株)製、商標「オゾノン6C」
*7:N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製、商標「ノクセラーNS・F」
*8:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製、商標「ノクセラーCZ」
実施例2及び比較例2
表3に示す配合処方で、バンバリーミキサーで混練して、2種類のゴム組成物を調製した。これら2種類のゴム組成物を加硫温度165℃、加硫時間15分間の条件で加硫ゴムサンプルを作製し、加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(E’)を測定した。結果を表3に示す。
次に、これら2種類のゴム組成物をそれぞれ一層構造のトレッドとして用いたタイヤサイズ185/70R14の2種類の空気入りタイヤを作製し、上記の評価方法により、転がり抵抗及び乾燥路面での操縦安定性を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2009269943
*1:JSR(株)製、IR2200
*2:東ソー・シリカ(株)製、商標「ニプシルAQ」
*3:三菱化学(株)製、商標「ダイアブラック N339」
*4:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、デグサ社製シランカップリング剤、商標「Si69」
*5:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、精工化学(株)製、商標「オゾノン6C」
*6:ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業(株)製、商標「ノクセラーD」
*7:ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学工業(株)製、商標「ノクセラーDM」
*8:N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製、商標「ノクセラーNS」
実施例3〜4及び比較例3
表4に示す配合処方で、バンバリーミキサーで混練して、3種類のゴム組成物を調製した。これら3種類のゴム組成物を加硫温度165℃、加硫時間15分間の条件で加硫ゴムサンプルを作製し、加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(E’)を測定した。結果を表4に示す。
次に、これら3種類のゴム組成物をそれぞれ一層構造のトレッドとして用いたタイヤサイズ185/70R14の3種類の空気入りタイヤを作製し、下記の評価方法により、転がり抵抗及び乾燥路面での操縦安定性を測定した。結果を表4に示す。
Figure 2009269943
*1:東ソー・シリカ(株)製、商標「ニプシルAQ」
*2:三菱化学(株)製、商標「ダイアブラック N339」
*3:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、デグサ社製シランカップリング剤、商標「Si69」
*4:アロマティックオイル、富士興産(株)製、商標「アロマックス#3」
*5:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、精工化学(株)製、商標「オゾノン6C」
*6:ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業(株)製、商標「ノクセラーD」
*7:ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学工業(株)製、商標:ノクセラーDM
*8:N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製、商標「ノクセラーNS・F」
実施例5〜6及び比較例4
表5に示す配合処方で、バンバリーミキサーで混練して、3種類のゴム組成物を調製した。これら3種類のゴム組成物を加硫温度165℃、加硫時間15分間の条件で加硫ゴムサンプルを作製し、加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(E’)を測定した。結果を表5に示す。
次に、これら3種類のゴム組成物をそれぞれ一層構造のトレッドとして用いたタイヤサイズ185/70R14の3種類の空気入りタイヤを作製し、上記の評価方法により、転がり抵抗及び乾燥路面での操縦安定性を測定した。結果を表5に示す。
Figure 2009269943
*1:ランクセス(株)製 溶液重合SBR、商標「Buna VSL 5025−1」
*2:東ソー・シリカ(株)製、商標「ニプシルKQ」
*3〜*8は、表3と同じである。
実施例7及び比較例5
表6に示す配合処方で、バンバリーミキサーで混練して、2種類のゴム組成物を調製した。これら2種類のゴム組成物を加硫温度165℃、加硫時間15分間の条件で加硫ゴムサンプルを作製し、加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(E’)を測定した。結果を表6に示す。
次に、これら2種類のゴム組成物をそれぞれ一層構造のトレッドとして用いたタイヤサイズ185/70R14の2種類の空気入りタイヤを作製し、上記の評価方法により、転がり抵抗及び乾燥路面での操縦安定性を測定した。結果を表6に示す。
Figure 2009269943
*1〜*6及び*8は、表2と同じである。
*7:ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業(株)製、商標「ノクセラーD」
実施例8及び比較例6
表7に示す配合処方で、バンバリーミキサーで混練して、2種類のゴム組成物を調製した。これら2種類のゴム組成物を加硫温度165℃、加硫時間15分間の条件で加硫ゴムサンプルを作製し、加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(E’)を測定した。結果を表7に示す。
次に、これら2種類のゴム組成物をそれぞれ一層構造のトレッドとして用いたタイヤサイズ185/70R14の2種類の空気入りタイヤを作製し、上記の評価方法により、転がり抵抗及び乾燥路面での操縦安定性を測定した。結果を表7に示す。
Figure 2009269943
*1:ランクセス(株)製 溶液重合SBR、商標「Buna VSL 5025−1」
*2:東ソー・シリカ(株)製、商標「ニプシルAQ」
*3:三菱化学(株)製、商標「ダイアブラック N339」
*4:アロマティックオイル、富士興産(株)製、商標「アロマックス#3」
*5:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、デグサ社製シランカップリング剤、商標「Si69」
*6:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、精工化学(株)製、商標「オゾノン6C」
*7:ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業(株)製、商標「ノクセラーD」
*8:ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学工業(株)製、商標「ノクセラーDM」
*9:N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製、商標「ノクセラーNS」
実施例9及び比較例7
表8に示す配合処方で、バンバリーミキサーで混練して、2種類のゴム組成物を調製した。これら2種類のゴム組成物を加硫温度165℃、加硫時間15分間の条件で加硫ゴムサンプルを作製し、加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(E’)を測定した。結果を表8に示す。
次に、これら2種類のゴム組成物をそれぞれ一層構造のトレッドとして用いたタイヤサイズ185/70R14の2種類の空気入りタイヤを作製し、上記の評価方法により、転がり抵抗及び乾燥路面での操縦安定性を測定した。結果を表8に示す。
Figure 2009269943
*1〜*8は、表3と同じである。
実施例10及び比較例8
表9に示す配合処方で、バンバリーミキサーで混練して、2種類のゴム組成物を調製した。これら2種類のゴム組成物を加硫温度165℃、加硫時間15分間の条件で加硫ゴムサンプルを作製し、加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(E’)を測定した。結果を表9に示す。
次に、これら2種類のゴム組成物をそれぞれ一層構造のトレッドとして用いたタイヤサイズ185/70R14の3種類の空気入りタイヤを作製し、上記の評価方法により、転がり抵抗及び乾燥路面での操縦安定性を測定した。結果を表9に示す。
Figure 2009269943
*1〜*9は、表7と同じである。
表2〜9より明らかなように、実施例1のゴム組成物は、比較例1のゴム組成物と比較して、損失正接がほぼ同等で、貯蔵弾性率が高かった。そして、実施例2のゴム組成物は、比較例2のゴム組成物と比較して、損失正接が低く、貯蔵弾性率が高かった。また、実施例3、4のゴム組成物は、比較例3のゴム組成物と比較して、損失正接がほぼ同等で、貯蔵弾性率が大幅に高かった。そして、実施例5及び6のゴム組成物は、比較例4のゴム組成物と比較して、損失正接が低く、貯蔵弾性率が高かった。さらに、実施例7のゴム組成物は比較例5のゴム組成物と比較して、実施例8のゴム組成物は比較例6のゴム組成物と比較して、実施例9のゴム組成物は比較例7のゴム組成物と比較して、実施例10のゴム組成物は比較例8のゴム組成物と比較して、いずれの実施例も、損失正接が低く、貯蔵弾性率が高かった。
また、実施例1の空気入りタイヤは比較例1の空気入りタイヤと比較して、実施例2の空気入りタイヤは比較例2の空気入りタイヤと比較して、さらに、実施例3の空気入りタイヤは比較例3の空気入りタイヤと比較して、実施例5及び6の空気入りタイヤは比較例4の空気入りタイヤと比較して、実施例7の空気入りタイヤは比較例5の空気入りタイヤと比較して、実施例8の空気入りタイヤは比較例6の空気入りタイヤと比較して、実施例9の空気入りタイヤは比較例7の空気入りタイヤと比較して、実施例10の空気入りタイヤは比較例8の空気入りタイヤと比較して、いずれの実施例も、転がり抵抗が同等以上で、かつ乾燥路面での操縦安定性が大幅に向上した。
一方、実施例4の空気入りタイヤは比較例3の空気入りタイヤと比較して、転がり抵抗は同等であるものの、操縦安定性が大幅に向上した。
本発明のタイヤは、乗用車用、小型トラック用、軽乗用車用、軽トラック用及び大型車両用(トラック・バス用、建設車両用等)等の各種空気入りタイヤとして好適に用いられる。

Claims (28)

  1. (A)少なくとも1種の官能基を有する変性共役ジエン系重合体10質量%以上を含むゴム成分と、その100質量部に対して、(B)ケイ酸を含む無機充填材10〜140質量部と、(C)ポリエステル化合物0.5〜20質量部を含むと共に、(D)シランカップリング剤を、上記(B)無機充填材に対して、1〜20質量%の割合で含むゴム組成物からなる部材を用いることを特徴とするタイヤ。
  2. (C)ポリエステル化合物が、(c−1)ジオール類と、(c−2)一般式(1)
    HOOC−R1−Sx−R2−COOH ・・・(1)
    [式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を示し、xは2〜8の整数を示す。]
    で表されるスルフィド基含有ジカルボン酸類を、(c−1)成分のOH基/(c−2)成分のCOOHモル比が1以下になる割合で重縮合してなるものである請求項1に記載のタイヤ。
  3. (C)ポリエステル化合物が、(c−1)ジオール類と、(c−2)一般式(1)で表されるスルフィド基含有ジカルボン酸類と、(c−3)上記(c−2)以外のジカルボン酸類及び/又はモノアルコール類を、全OH基/全COOHモル比が1以下になるように重縮合してなるものである請求項1に記載のタイヤ。
  4. (C)ポリエステル化合物が、硫黄原子を5質量%より多く含むものである請求項2又は3に記載のタイヤ。
  5. (C)ポリエステル化合物が、数平均分子量1000以上のものである請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ。
  6. (c−1)ジオール類が、一般式(2a)
    HO−R3a−OH ・・・(2a)
    [式中、R3aは炭素数2〜18のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を示す。]
    及び/又は一般式(2b)
    HO−(R3bO)m−H ・・・(2b)
    [式中、R3bは炭素数2〜4のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を示し、複数のR3bは同じでも異なっていてもよい。mは平均付加モル数で2〜31の数を示す。]
    で表される化合物である請求項2〜5のいずれかに記載のタイヤ。
  7. (C)ポリエステル化合物が、一般式(3a)
    HOOC−R4−Sy−R5−CO(O−R6a−OCO−R4−Sy−R5−CO)n−OH ・・・(3a)
    [式中、R4及びR5は、それぞれ独立に炭素数2〜8のアルカンジイル基、R6aは炭素数2〜18のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を示し、複数のR4、R5及びR6aは、それぞれにおいて同じでも異なっていてもよい。yは2〜4の整数を示し、nは平均重合度で0.8〜100の数を示す。]
    及び/又は一般式(3b)
    HOOC−R4−Sy−R5−CO(O−(R6bO)m−OCO−R4−Sy−R5−CO)n−OH ・・・(3b)
    〔式中、R6bは炭素数2〜4のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を示す。R4、R5、y、m及びnは、前記と同様である。また、複数のR4、R5、及びR6bは、それぞれにおいて同じでも異なっていてもよい。〕
    で表される化合物を主成分として含む請求項2〜6のいずれかに記載のタイヤ。
  8. (B)ケイ酸を含む無機充填材がシリカである請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ。
  9. (D)シランカップリング剤が、一般式(4a)
    a3-aSi−X−Sb−X−SiAa3-a ・・・(4a)
    〔式中、Aは炭素数1〜3のアルコキシ基又は塩素原子、Bは炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基あるいは炭素数7〜15のアリーレン基、aは1〜3の整数、bは1以上の整数で分布を有することもある。ただし、aが1のときは2つのBは同じであっても異なっていてもよく、aが2又は3のときは2つ又は3つのAは同じであっても異なっていてもよい。〕
    で表される化合物、一般式(4b)
    a3-aSi−X−Y ・・・(4b)
    [式中、A、B、X及びaは前記と同様であり、Yはメルカプト基、ビニル基、アミノ基、グリシドキシ基又はエポキシ基を示す。]
    で表される化合物、一般式(4c)
    a3-aSi−X−Sb−Z ・・・(4c)
    〔式中、A、B、X、a、bは前記と同様であり、Zはベンゾチアゾリル基,N,N−ジメチルチオカルバモイル基又はメタクリロイル基、炭素数1〜15の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。〕
    で表される化合物、及び一般式(4d)
    cdeSi−X−S−CO−X1 ・・・(4d)
    〔式中、A、B及びXは前記と同様であり、X1は炭素数1〜20の飽和又は不飽和アルキル基、又は炭素数6〜15のアリーレン基を示す。DはA、B、又は−[O(XO)n0.5−基であり、nは1〜4の整数で分布を有することがあり、Xは前記と同様である。また、c、d、及びeは、0≦c≦3、0≦d≦2、0≦e≦1、かつc+d+2e=3の関係を満たす数である。〕
    で表される化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項8に記載のタイヤ。
  10. 変性共役ジエン系重合体が、1,3−ブタジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体、又は1,3−ブタジエンもしくはイソプレンの単独重合体である請求項1〜9のいずれかに記載のタイヤ。
  11. 芳香族ビニル化合物が、スチレンである請求項10に記載のタイヤ。
  12. 変性共役ジエン系重合体のガラス転移点(Tg)が、10℃以下である請求項1〜11のいずれかに記載のタイヤ。
  13. 変性共役ジエン系重合体において、官能基が重合開始側末端、重合停止側末端、主鎖及び側鎖の中から選ばれる少なくとも一つの位置に存在する請求項1〜12のいずれかに記載のタイヤ。
  14. 変性共役ジエン系重合体が、有機アルカリ金属化合物又は希土類金属化合物を用いて重合したものである請求項1〜13のいずれかに記載のタイヤ。
  15. 有機アルカリ金属化合物が、ヒドロカルビルリチウム化合物、リチウムアミド化合物又は第1族金属アルコキシドである請求項14に記載のタイヤ。
  16. 第1族金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、又はセシウムである請求項15に記載のタイヤ。
  17. 変性共役ジエン系重合体の官能基が、窒素を含む官能基、珪素を含む官能基、酸素又は硫黄を含む官能基及び金属を含む官能基の中から選択された官能基である請求項1〜16のいずれかに記載のタイヤ。
  18. 窒素を含む官能基が、置換もしくは非置換のアミノ基、アミド残基、イソシアネート基、イミダゾリル基、インドリル基、ニトリル基、ピリジル基及びケチミン基の中から選択された官能基である請求項17に記載のタイヤ。
  19. 珪素を含む官能基が、加水分解によりシラノール基を生成する官能基である請求項17に記載のタイヤ。
  20. 珪素を含む官能基が、アルコキシシリル基、アルキルハロシリル基、シロキシ基、アルキルアミノシリル基及びアルコキシハロシリル基の中から選択された官能基である請求項17に記載のタイヤ。
  21. 酸素又は硫黄を含む官能基が、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、ジグリシジルアミノ基、サイクリックジチアン由来の官能基、エステル基、アルデヒド基、アルコキシ基、ケトン基、チオカルボキシ基、チオエポキシ基、チオグリシドキシ基、チオグリシジルアミノ基、チオエステル基、チオアルデヒド基、チオアルコキシ基及びチオケトン基の中から選択された官能基である請求項17に記載のタイヤ。
  22. 金属を含む官能基が、有機金属を含む官能基である請求項17に記載のタイヤ。
  23. 窒素を含む官能基が、一般式(5)
    Figure 2009269943
    [式中、R7及びR8は、それぞれ独立に炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。]
    で表される置換アミノ基、及び一般式(6)
    Figure 2009269943
    [式中、R9は、3〜16のメチレン基を有するアルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN−アルキルアミノ−アルキレン基を示す。]
    で表される環状アミノ基の中から選択される請求項18に記載のタイヤ。
  24. 変性共役ジエン系重合体が、活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、一般式(7)
    Figure 2009269943
    [式中、A1は(チオ)エポキシ基、(チオ)イソシアネート基、(チオ)ケトン基、(チオ)アルデヒド基、イミン残基、アミド残基、イソシアヌル酸トリエステル残基、(チオ)カルボン酸ヒドロカルビルエステル残基、(チオ)カルボン酸残基の金属塩、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化物残基、炭酸ジヒドロカルビルエステル残基、環状第2アミン残基、非環状第2アミン残基、ピリジン基及びシラザン基の中から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基であり;R10及びR11は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり;R12は単結合又は炭素数1〜20の二価の不活性炭化水素基であり;nは1〜3の整数であり;OR10が複数ある場合、複数のOR10はたがいに同一でも異なっていてもよく;R11が複数ある場合、複数のR11はたがいに同一でも異なっていてもよく;また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。]
    で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物、一般式(8)
    Figure 2009269943
    [式中、xは2〜6の整数を示し、R10〜R12及びnは前記と同じであり、また分子中に活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。]
    で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物、及び一般式(9)
    13 p−Si−(OR144-p ・・・(9)
    [式中、R13及びR14は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり;pは0〜2の整数であり;R13が複数ある場合、複数のR13はたがいに同一でも異なっていてもよく;OR14が複数ある場合、複数のOR14はたがいに同一でも異なっていてもよく;また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない。]
    で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物の中から選択される少なくとも1種を反応させて得られたものである請求項17、19又は20に記載のタイヤ。
  25. 変性共役ジエン系重合体が、(x)活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、分子内に1級アミノ基が保護され、かつ1つのヒドロカルビロキシ基と、1つの反応性基とが同じケイ素原子に結合した2官能性ケイ素原子を含む化合物を反応させて変性を行なう工程、及び(y)金属化合物からなる縮合促進剤の存在下、前記2官能性ケイ素化合物が関与する縮合反応を行なう工程、を施して得られたものである請求項17、19又は20に記載のタイヤ。
  26. 変性共役ジエン系重合体が、さらに、(z)共役ジエン系重合体の活性末端に結合してなる、2官能性ケイ素原子を含む化合物由来の基を加水分解処理し、該基中の保護された1級アミノ基を遊離のアミノ基に変換する脱保護工程を施して得られたものである請求項25に記載のタイヤ。
  27. (A)ゴム成分が、変性共役ジエン系重合体と他のジエン系ゴムとを含む請求項1〜26のいずれかに記載のタイヤ。
  28. 部材がトレッドである請求項1〜27のいずれかに記載のタイヤ。
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