JP2009268463A - 食感および日持ちの改善されたもやし - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生の状態でのカルシウム含量が14mg/100g〜30mg/100gである、りょくとうもやし。もやしの生産方法であって、もやしが育つのに充分な湿度または水の存在下においてもやしを育成する工程;もやしが育つのに不十分な湿度において該もやしの水分を減少させる工程;および該水分の減少したもやしを、リン酸化オリゴ糖カルシウム塩含有水溶液と接触させる工程を包含する、方法。
【選択図】なし
Description
(項目1)
生の状態でのカルシウム含量が14mg/100g〜30mg/100gである、りょくとうもやし。
生の状態でのカルシウム含量が20mg/100g〜30mg/100gである、項目1に記載のりょくとうもやし。
生の状態での糖度が4.5%〜5.0%である、項目1に記載のりょくとうもやし。
もやしの生産方法であって、
もやしが育つのに充分な湿度または水の存在下においてもやしを育成する工程;
もやしが育つのに不十分な湿度において該もやしの水分を減少させる工程;および
該水分の減少したもやしを、リン酸化オリゴ糖カルシウム塩含有水溶液と接触させる工程
を包含する、方法。
前記もやしの育成工程が、相対湿度80%〜100%で行われる、項目4に記載の方法。
前記もやしの水分を減少させる工程が、相対湿度50%〜75%において行われる、項目5に記載の方法。
前記もやしの水分を減少させる工程が、温度15℃〜30℃で行われる、項目4に記載の方法。
前記もやしの水分を減少させる工程が、5時間〜20時間にわたって行われる、項目4に記載の方法。
前記もやしの水分を減少させる工程が、通常食用に供される大きさまで前記もやしが育った時点で行われる、項目4に記載の方法。
前記接触工程において、水分の減少したもやしが、リン酸化オリゴ糖カルシウム塩含有水溶液に浸漬される、項目4に記載の方法。
前記接触工程が、前記もやしの水分を減少させる工程の直後に行われる、項目4に記載の方法。
前記リン酸化オリゴ糖カルシウム塩含有溶液中のリン酸化オリゴ糖カルシウム塩の濃度がカルシウムに換算して0.005重量%〜1重量%である、項目4に記載の方法。
前記リン酸化オリゴ糖カルシウム塩が、糖部分とリン酸基とからなっているリン酸化オリゴ糖のカルシウム塩であり;該糖部分が、グルカンまたは還元グルカンである、項目4に記載の方法。
前記糖部分の重合度が、2〜8である、項目4に記載の方法。
前記リン酸基の数が、1〜2個である、項目4に記載の方法。
前記もやしがりょくとうもやし、大豆もやしまたはブラックマッペもやしである、項目1〜15のいずれか1項に記載の方法。
(1.1 種子)
本発明のもやしの生産においては、当該分野で通常用いられ得る種子を使用することができる。このような種子の例としては、豆類、穀類、野菜などの種子が挙げられる。種子は、好ましくは、りょくとう、大豆、ブラックマッペ、アルファルファ、ソバ、タデなどからなる群より選択される。
1つの好ましい実施形態では、本発明においては、りょくとうの種子を使用する。りょくとうの種子は、当該分野で通常使用される種子であり得る。
別の好ましい実施形態では、本発明においては、大豆の種子を使用する。大豆の種子は、当該分野で通常使用される種子であり得る。大豆の例としては、黄大豆(白大豆)、黒大豆、青大豆、茶大豆、紅大豆などが挙げられる。黄大豆(白大豆)または黒大豆が特に好ましい。
別の好ましい実施形態では、本発明においては、ブラックマッペの種子を使用する。ブラックマッペの種子は、当該分野で通常使用される種子であり得る。ブラックマッペは、けつるあずきまたは黒豆(こくとう)ともいう。
本発明では、リン酸化オリゴ糖カルシウム塩を使用する。本明細書で用いる場合、用語「リン酸化オリゴ糖」とは、分子内に少なくとも1個のリン酸基を有するオリゴ糖をいう。リン酸化オリゴ糖のリン酸基の数は特に限定されないが、リン酸化オリゴ糖1分子あたり10個以下が好ましく、5個以下がより好ましい。さらに好ましくは、リン酸化オリゴ糖のリン酸基の数は、リン酸化オリゴ糖1分子あたり1個、2個または3個であり、特に好ましくは1個または2個である。
本発明においては、水が使用される。水は、軟水、中間水および硬水のいずれであってもよい。硬水とは、硬度20°以上の水をいい、中間水とは、硬度10°以上20°未満の水をいい、軟水とは、硬度10°未満の水をいう。水は、好ましくは軟水または中間水であり、より好ましくは軟水である。水はまた、イオン交換水、地下水、井戸水、水道水、蒸留水、滅菌水などであり得る。ミネラル分豊富かつ雑菌がほとんど含まれていないため、地下水が最も好ましい。
(2.1 高湿度条件での育成)
本発明においては、まず、もやしにする植物の種子を使用して、もやしが育つのに充分な湿度または水の存在下においてもやしを育成する。
通常の出荷に適切なサイズまで生育したもやしは、もやしが育つのに不十分な湿度において水分が減少させられる。本明細書中では、用語「もやしが育つのに不十分な湿度」とは、6時間置いた場合のもやしの生育が軸の長さで10%以下となる湿度をいう。もやしが育つのに不十分な湿度は、好ましくは約75%以下であり、より好ましくは約65%以下であり、最も好ましくは約60%以下である。もやしが育つのに不十分な湿度は、好ましくは約45%以上であり、より好ましくは約50%以上であり、最も好ましくは約55%以上である。このような湿度条件下にもやしを置くと、もやしから徐々に水分が失われる。
水分が減少したもやしは、次いで、リン酸化オリゴ糖カルシウム塩含有水溶液と接触させられる。接触は、任意の様式で行われる。例えば、浸漬、散水などが行われる。好ましくは、もやしは、リン酸化オリゴ糖カルシウム塩含有水溶液中に浸漬される。より好ましくは、もやしがリン酸化オリゴ糖カルシウム塩含有水溶液中に充分に漬かるように、もやしの上に重しが載せられる。
本発明のもやしがりょくとうもやしの場合、カルシウム含量が従来のりょくとうもやしよりも高まる。本発明のりょくとうもやしは、生の状態でのカルシウム含量が14mg/100g〜30mg/100gである。より好ましくは、本発明のりょくとうもやしの生の状態でのカルシウム含量は、20mg/100g以上であり、より好ましくは24mg/100g以上であり、さらに好ましくは約28mg/100g以上である。生の状態でのカルシウム含量は、例えば、27mg/100g以下、28mg/100g以下、27mg/100g以下、26mg/100g以下、25mg/100g以下などであってもよい。
りょくとうの種子を水で洗浄し、10%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に漬けて殺菌した後、充分に洗浄し、その後、常法に従って育成した。詳細には、りょくとうの種子を洗浄し、育成室に約1cmの厚さに蒔き、水を散水した。育成室の温度を約20℃±1℃に保持した。りょくとうもやしの育成期間中、育成室を暗黒条件に保ち、育成室の湿度を約80%以上に保った。水の散水を4時間毎に行った。りょくとう種子に水を散水し始めてから約1日でもやしの根が伸び始め、7日で出荷できるサイズに生育した。この時点でのりょくとうもやしの軸の長さは約5cmであった。
ポスカ1250gを水250Lに溶解して、もやし浸漬用ポスカ水溶液を調製した。そこに上記「1.りょくとうもやしの育成および水分減少処理」に従って乾燥処理したりょくとうもやしの第1サンプル64kgを投入して30分間浸漬した。もやしの浮遊を防止するため、4kg程度の重しを載せ、もやしの第1サンプル投入の30分後にもやしを取り出した(1回目)。1回目終了後の浸漬用水溶液にポスカ1250gを追加添加し、新たな乾燥処理りょくとうもやし(第2サンプル)64kgを投入した。もやしの浮遊を防止するため、4kg程度の重しを載せ、もやしの第2サンプル投入から30分後にもやしを取り出した。第2サンプルを取り出した後の浸漬用水溶液にポスカ2500gを追加添加し、新たな乾燥処理もやし64kg(第3サンプル)を投入した。もやしの浮遊を防止するため4kg程度の重しを載せ、第3サンプルの投入後30分後にもやしを取り出した。それぞれのサンプルについて、浸漬用水溶液から取り出した後にもやしを水で洗うことにより、表面に付着した水溶液を洗い流し、その後、水切りし、カルシウム含量を分析した。
ポスカ33.4gを水10Lに溶解して、もやし浸漬用ポスカ水溶液を調製した。比較のために、グルタミン酸カルシウム15gを水10Lに溶解して、もやし浸漬用グルタミン酸カルシウム水溶液を調製した。これらの水溶液の濃度はいずれも、カルシウムとして0.015重量%であった。対照として、水10Lのみを浸漬液として使用した。上記「1.りょくとうもやしの育成および水分減少処理」に従って乾燥処理したりょくとうもやし2.4kgを、もやし浸漬用ポスカ水溶液、もやし浸漬用グルタミン酸カルシウム水溶液または水にそれぞれ投入して1時間浸漬した。もやしの浮遊を防止するため2kg程度の重しを載せ、もやし投入から1時間後にもやしを取り出した。それぞれ、浸漬用水溶液から取り出した後にもやしを水で洗うことにより、表面に付着した水溶液を洗い流し、その後、水切りし、カルシウム含量および糖度を分析した。
ポスカ33.4gを水10Lに溶解して、もやし浸漬用ポスカ水溶液を調製した。比較のために、グルタミン酸カルシウム15gを水10Lに溶解して、もやし浸漬用グルタミン酸カルシウム水溶液を調製した。これらの水溶液の濃度はいずれも、カルシウムとして0.015重量%であった。対照として、水10Lのみを浸漬液として使用した。上記「1.りょくとうもやしの育成および水分減少処理」に従って乾燥処理したりょくとうもやし2.4kgを、もやし浸漬用ポスカ水溶液、もやし浸漬用グルタミン酸カルシウム水溶液または水にそれぞれ投入して1時間浸漬した。もやしの浮遊を防止するため2kg程度の重しを載せ、1時間後にもやしを取り出した。それぞれ、浸漬用水溶液から取り出した後にもやしを水で洗うことにより、表面に付着した水溶液を洗い流した。
大好き:4点;
少し好き:3点;
ふつう:2点;
あまり好きではない:1点;
きらい:0点
ポスカ33.4gを水10Lに溶解して、カルシウムとして0.015重量%のもやし浸漬用ポスカ水溶液を調製した。対照として、水10Lのみを浸漬液として使用した。上記「1.りょくとうもやしの育成および水分減少処理」に従って乾燥処理したりょくとうもやし2.4kgをそれぞれもやし浸漬用ポスカ水溶液または水に投入して1時間浸漬した。もやしの浮遊を防止するため2kg程度の重しを載せ、1時間後にもやしを取り出した。浸漬用水溶液から取り出した後にもやしを水で洗うことにより、表面に付着した水溶液を洗い流し、その後、水切りした。これらのもやしをナイロン袋に入れ、気温4〜5℃の冷蔵庫で10日間保存したのち、パネラー6名によって官能評価を実施した。
大豆(黄大豆)の種子を水で洗浄し、10%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に漬けて殺菌した後、充分に洗浄し、その後、常法に従って育成した。詳細には、大豆の種子を洗浄し、育成室に約3cmの厚さに蒔き、水を散水した。育成室の温度を約17〜18℃に保持した。大豆もやしの育成期間中、育成室を暗黒条件に保ち、育成室の湿度を約80%以上に保った。水の散水を4時間毎に行った。大豆種子に水を散水し始めてから約1日でもやしの根が伸び始め、7日で出荷できるサイズに生育した。この時点での大豆の軸の長さは約5cmであった。
ポスカ50gを水10Lに溶解して、大豆もやし浸漬用ポスカ水溶液を調製した。対照は水10Lのみの浸漬液とした。そこに上記「2.大豆もやしの育成および水分減少処理」に従って乾燥処理した大豆(黄大豆)もやしのサンプル400gを投入して30分間浸漬した。もやしの浮遊を防止するため、2kg程度の重しを載せ、もやし投入の30分後にもやしを取り出した。それぞれのサンプルについて、浸漬用水溶液から取り出した後にもやしを水で洗うことにより、表面に付着した水溶液を洗い流し、その後、水切りし、カルシウム含量を分析した。
ポスカ50gを水10Lに溶解して、大豆もやし浸漬用ポスカ水溶液を調製した。対照は水10Lのみの浸漬液とした。そこに上記「2.大豆もやしの育成および水分減少処理」に従って乾燥処理した大豆(黄大豆)もやしのサンプル400gを投入して30分間浸漬した。もやしの浮遊を防止するため、2kg程度の重しを載せ、もやし投入の30分後にもやしを取り出した。これらの大豆もやしをナイロン袋に入れ、冷蔵庫で10日間の保存の間、パネラー12名による官能評価を経日的に実施した。その結果、対照の大豆もやしでは5日目以降、黒ずみや水分放出が発生し明らかな劣化が認められた。また対照の大豆もやしは腐敗臭や不快な臭いも発生していて食用不可の状態であった。一方、ポスカ処理大豆もやしでは10日目まで白色を維持しており水分放出も発生しておらず、9日目まで製造時の形態を維持していた。ポスカ処理大豆もやしは10日目まで腐敗臭も発生しておらず食用が可能で歯応えも維持した状態であった。
ブラックマッペ(黒豆)の種子を水で洗浄し、10%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に漬けて殺菌した後、充分に洗浄し、その後、常法に従って育成した。詳細には、ブラックマッペの種子を洗浄し、育成室に約1cmの厚さに蒔き、水を散水した。育成室の温度を約20℃±1℃に保持した。ブラックマッペもやしの育成期間中、育成室を暗黒条件に保ち、育成室の湿度を約80%以上に保った。水の散水を4時間毎に行った。ブラックマッペの種子に水を散水し始めてから約1日でもやしの根が伸び始め、7日で出荷できるサイズに生育した。この時点でのブラックマッペもやしの軸の長さは約10〜12cmであった。
ポスカ50gを水10Lに溶解して、ブラックマッペもやし浸漬用ポスカ水溶液を調製した。対照は水10Lのみの浸漬液とした。そこに上記「3.ブラックマッペもやしの育成および水分減少処理」に従って乾燥処理したブラックマッペもやしのサンプル400gを投入して30分間浸漬した。もやしの浮遊を防止するため、2kg程度の重しを載せ、もやし投入の30分後にもやしを取り出した。それぞれのサンプルについて、浸漬用水溶液から取り出した後にもやしを水で洗うことにより、表面に付着した水溶液を洗い流し、その後、水切りし、カルシウム含量を分析した。
ポスカ50gを水10Lに溶解して、ブラックマッペもやし浸漬用ポスカ水溶液を調製した。対照は水10Lのみの浸漬液とした。そこに上記「3.ブラックマッペもやしの育成および水分減少処理」に従って乾燥処理したブラックマッペもやしのサンプル500gを投入して30分間浸漬した。もやしの浮遊を防止するため、2kg程度の重しを載せ、もやし投入の30分後にもやしを取り出した。これらのブラックマッペもやしをナイロン袋に入れ、冷蔵庫で6日間の保存の間、パネラー4名による官能評価を経日的に実施した。その結果、対照のブラックマッペもやしでは4日目以降、黒ずみや水分放出が発生し明らかな劣化が認められた。また腐敗臭や不快な臭いも発生していて食用不可の状態であった。一方、ポスカ処理ブラックマッペもやしでは白色を維持しており水分放出も発生しておらず、5日目まで製造時の形態を維持していた。腐敗臭も発生しておらず食用が可能で歯応えも維持した状態であった。
Claims (16)
- 生の状態でのカルシウム含量が14mg/100g〜30mg/100gである、りょくとうもやし。
- 生の状態でのカルシウム含量が20mg/100g〜30mg/100gである、請求項1に記載のりょくとうもやし。
- 生の状態での糖度が4.5%〜5.0%である、請求項1に記載のりょくとうもやし。
- もやしの生産方法であって、
もやしが育つのに充分な湿度または水の存在下においてもやしを育成する工程;
もやしが育つのに不十分な湿度において該もやしの水分を減少させる工程;および
該水分の減少したもやしを、リン酸化オリゴ糖カルシウム塩含有水溶液と接触させる工程
を包含する、方法。 - 前記もやしの育成工程が、相対湿度80%〜100%で行われる、請求項4に記載の方法。
- 前記もやしの水分を減少させる工程が、相対湿度50%〜75%において行われる、請求項5に記載の方法。
- 前記もやしの水分を減少させる工程が、温度15℃〜30℃で行われる、請求項4に記載の方法。
- 前記もやしの水分を減少させる工程が、5時間〜20時間にわたって行われる、請求項4に記載の方法。
- 前記もやしの水分を減少させる工程が、通常食用に供される大きさまで前記もやしが育った時点で行われる、請求項4に記載の方法。
- 前記接触工程において、水分の減少したもやしが、リン酸化オリゴ糖カルシウム塩含有水溶液に浸漬される、請求項4に記載の方法。
- 前記接触工程が、前記もやしの水分を減少させる工程の直後に行われる、請求項4に記載の方法。
- 前記リン酸化オリゴ糖カルシウム塩含有溶液中のリン酸化オリゴ糖カルシウム塩の濃度がカルシウムに換算して0.005重量%〜1重量%である、請求項4に記載の方法。
- 前記リン酸化オリゴ糖カルシウム塩が、糖部分とリン酸基とからなっているリン酸化オリゴ糖のカルシウム塩であり;該糖部分が、グルカンまたは還元グルカンである、請求項4に記載の方法。
- 前記糖部分の重合度が、2〜8である、請求項4に記載の方法。
- 前記リン酸基の数が、1〜2個である、請求項4に記載の方法。
- 前記もやしがりょくとうもやし、大豆もやしまたはブラックマッペもやしである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
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