JP2009267206A - 配線パターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ひび割れが発生しない、線幅再現性、接着性、導電性に優れ、更にはデキャップ性に優れる配線パターンを形成すること。
【解決手段】基材にカチオン性化合物を含む液体により下引き層を形成し、その上にゼータ電位が−100mV以上、0mV以下である導電性インクをインクジェット記録装置で射出する配線パターン形成方法において、カチオン性化合物としてカチオン性界面活性剤または分子量が100以上100000以下のカチオン性ポリマーの少なくとも一つを含むことを特徴とする配線パターン形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録による配線パターンの形成方法に関する。
インクによるパターンニングをインクジェットで行う際、バンクを設けて凹凸を形成し、凹部にインクを注入する方法が主に行われている。しかし、バンクを設けてパターンを作成する方法はレジスト等を使用するため多数の工程が必要であり、コストがかかることやレジスト層の廃棄も環境に良くないことが問題となっている。
それに対して、レジストを使用しないパターンニングも行われている。我々はガラス等の基材に直接導電性インクを描画する場合、細線性は取れるものの、密着性が悪いという問題が発生することを見い出した。そのため、樹脂等を基材に塗布し、インクとの密着性を確保する下引き層を設けるという対応をとっていた。
ところが、下引き層として樹脂を用いた場合、インクの描画条件によっては、描画したラインの中央に大きなひび割れが発生することがわかった。ひび割れはインクが乾燥する際、粒子が液の端に寄ってしまい、中央部分の厚みが薄くなる「マランゴニ対流」が原因と見られる。また、下引き層に樹脂を用いた場合、その密着層はμmオーダーの膜厚を持つため、密着層の更なる薄膜化が求められる。
一方、レジストを使用しないパターニング方法としては、カチオン性界面活性剤をパターンニングし、負電荷を持つ触媒を吸着させて、配線を形成する方法などが提示されている(例えば、特許文献1参照)。また、ひび割れを防止する方法として、金属インクにポリマーを添加する方法が提示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、特許文献1の方法では、カチオン性界面活性剤はインクジェットで描画した直後にマランゴニ対流が発生し、中央部分が薄くなることが予想される。そのため、そのパターンニングの上に触媒を付与しても、カチオン性界面活性剤の量が少ないパターンニング中央部分の付与量は少ないままであるため中央部分のムラは解消されず、ひび割れの発生が懸念される。
また、特許文献2の方法では、インクの凝集が発生しやすくなり、インクのポットライフが低下することが懸念される。また、インクの凝集によりノズル詰まりも発生しやすくなる可能性があるため、インクジェットでの使用はノズル径が小さいほど困難になると思われる。
特許3922378号公報 特開2007−194174号公報
本発明の目的は、ひび割れが発生しない、線幅再現性、接着性、導電性に優れ、更にはデキャップ性に優れる配線パターンを形成することである。
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
1.基材上にカチオン性化合物を含む液体により下引き層を形成し、その上にゼータ電位が−100mV以上、0mV以下である導電性インクをインクジェット記録装置で射出する配線パターン形成方法において、カチオン性化合物としてカチオン性界面活性剤または分子量が100以上100000以下のカチオン性ポリマーの少なくとも一つを含むことを特徴とする配線パターン形成方法。
2.前記カチオン性化合物を含む液体によりインクジェット記録装置を用いてパターン状に下引き層を形成することを特徴とする前記1に記載の配線パターン形成方法。
3.前記カチオン性化合物における対アニオンとして、硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、次亜硫酸イオン、炭酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、メタリン酸イオン、ホウ酸イオン、スルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ヒドロキシベンゼンスルホン酸イオンなど)、カルボン酸イオン(ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸、乳酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸イオン、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸イオン、サリチル酸イオンなど)、フェノールイオン(フェノールイオン、クレゾールイオン、レゾルシンイオン)から選ばれることを特徴とする前記1または2に記載の配線パターン形成方法。
4.前記カチオン性ポリマーの分子量が200以上20000以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の配線パターン形成方法。
5.前記インクジェット記録装置は吐出孔を有するノズルプレート、吐出孔に連通する圧力室、圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生素子、圧力発生素子に電圧を印加する電圧印加手段及び静電力を用いた電界印加手段を有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の配線パターン形成方法。
本発明の配線パターン形成方法により、ひび割れが発生しない、線幅再現性、接着性、導電性に優れ、更にはデキャップ性に優れる配線パターンを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明における配線パターンは、カチオン性化合物を下引きとすることと、その上にゼータ電位がマイナスの値を示す導電性インクを描画することを特徴とする。
我々は導電性インクとして銀インクを用いて、ガラス等の基材にそのまま描画しても、作製した配線パターンの密着性が確保できなかったため、樹脂を下引き層に用いて配線パターンを形成することを試みた。確かに密着性は得られたが、粒子が液の淵に集まる傾向があり(所謂マランゴニ対流と呼ばれる現象の発生)、配線の断面を真横から見ると凹型に金属膜が形成され、配線パターンの中央部分の銀量が少なくなるため、乾燥させると中央部に大きなひび割れが発生した。そのため、形成されるパターンの形状を制御する必要があった。
本発明者は、上記課題について鋭意検討を進めた結果、カチオン性化合物を下引きに用いることにより、銀インク描画時のマランゴニ対流を抑えることができることを見出した。また、カチオン性化合物自体をインクジェットで描画してカチオン性の下引きを形成することにより、銀インク描画時のマランゴニ対流を制御できることも見出した。
ゼータ電位が負の領域を持つ銀インクは、銀粒子が負の電荷を持つ保護剤や分散剤にくるまれていることにより分散状態を保っている。そのため、銀インクをカチオン性化合物の下引きの上に描画すると、下引きに接した途端に銀粒子をくるんでいる保護剤が剥ぎ取られ、即座に銀粒子が析出する。このため、銀粒子の移動が発生しにくくなり、問題となっていたマランゴニ対流による銀粒子のムラが解消されることがわかった。
更に銀粒子が析出しやすくなるため、低温での焼結も可能になる。
微小インク液滴を安定に吐出するインクジェット記録装置として、吐出孔を有するノズルプレート、吐出孔に連通する圧力室、圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生素子、圧力発生素子に電圧を印加する電圧印加手段及び静電力を用いた電界印加手段とを有するインクジェット記録装置が知られている。このような電圧印加手段と電界印加手段とを用いた吐出方式のインクジェット記録装置において、より精密に配線を形成することができ、本発明に至った次第である。
(カチオン性化合物、それを含む液体)
本発明におけるカチオン性化合物を含む液体のうち、インクジェットによるパターン状に下引き層を形成する場合、カチオン性化合物を含むインク(実施例では、カチオン性化合物インク)と言う。
本発明におけるカチオン性化合物は、カチオン性界面活性剤またはカチオン性ポリマーのことである。カチオン性化合物の対アニオンとしては、ハロゲン化物イオンを用いると形成される銀配線の信頼性が低下する傾向があるため、ハロゲン化物イオンを極力含まないことが好ましい。
対アニオンの例としては、硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、次亜硫酸イオン、炭酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、メタリン酸イオン、ホウ酸イオン、スルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ヒドロキシベンゼンスルホン酸イオンなど)、カルボン酸イオン(ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸、乳酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸イオン、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸イオン、サリチル酸イオンなど)、フェノールイオン(フェノールイオン、クレゾールイオン、レゾルシンイオン)が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩類、脂肪族あるいは芳香族第4級アンモニウム塩類、ピリジニウム、イミダゾリウム等の複素環第4級アンモニウム塩類、及び脂肪族または複素環を含むホスホニウムまたはスルホニウム塩類等が挙げられる。
カチオン性ポリマーとしては、ポリマー主鎖または側鎖に第1〜3級アミン、第4級アンモニウム塩基、または第4級ホスホニウム塩基などを有するポリマーが挙げられる。
カチオン性ポリマーの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン−ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物などが挙げられる。または、化学工業時報平成10年8月15日及び25日に記載されるカチオン性ポリマー、「高分子薬剤入門」(三洋化成工業株式会社発行、p787、1992年)に記載される高分子染料固着剤が例として挙げられる。
カチオン性ポリマーの重量平均分子量としては、接着性やインク化する際のデキャップ性の観点から、100〜100000の範囲であることが好ましく、更に好ましくは200〜20000の範囲である。デキャップ性とは、インクジェットでインクを射出する際、出射間隔をあけた直後の液滴吐出速度に遅れが発生することを言う。
カチオン性ポリマーは概ね水溶性基を有するために水溶性を示すが、例えば、共重合成分の組成によって水に溶解しないことがある。水に難溶であっても、水混和性有機溶媒を用いて溶解し使用することも可能である。
ここで水混和性有機溶媒とは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類など、水に対して概ね10%以上溶解し得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
カチオン性化合物を含む液体を基材に塗布する方法としては特に限定されないが、例えば、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー方式、バーコート法、スピンコート法、刷毛による方法等を挙げることができる。
(カチオン性化合物を含むインク)
本発明におけるカチオン性化合物を含むインクとは、カチオン性化合物を水などの液体に溶解させた液体のことを言う。本発明に係るカチオン性化合物を含むインクにおけるカチオン性化合物の添加量は、射出性やパターン描画後の観点から導電性インクが含有する金属の総質量に対し1質量%以上、10質量%以下が好ましい。また、ノズル詰まり防止のために、全体質量の40質量%まで有機溶剤を添加しても構わない。
(導電性インク)
本発明で用いられる導電性インクは、金属コロイドを含むゼータ電位が−100mV以上、0mV以下の値を示す溶液のことを言う。金属コロイドに含まれる金属としては、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、錫、タングステン、イリジウム、プラチナ及び金よりなる群の1種以上より選択される金属、合金、もしくは金属複合体などが挙げられる。
導電性インクの作製方法の例の一つとして、特開平10−66861号公報に記載されている銀インクの作製方法が挙げられる。特開平10−66861号公報の実施例には、金属化合物として硝酸銀、分散剤としてクエン酸ナトリウム、還元剤として硫酸第一鉄を用い、これらを温度管理した上で2000〜6000rpmの攪拌下に適宜混合し、反応させて銀微粒子のコロイド液を得て、更に沈降分離することにより得た固形部に0.4モル濃度の硝酸ナトリウム溶液を加えて鉄分を除去し、更に3000Gの重力で遠心分離して銀固形分を得て、それを水に再分散させることにより銀コロイド液が得られる。イオン化したカルボキシル基の電気的反発により、銀コロイド粒子を良好に分散できる。
本発明で用いられる金属コロイド液中の金属の粒子径は1〜100nm、好ましくは1〜50nmである。粒径が1nm未満の金属微粒子を用いてもよいが、そのような金属微粒子の製造は極めて困難であり、コスト高になるので実用的ではない。また、粒径が100nmを超える金属微粒子を用いると、本発明で用いているような微小インク液滴を吐出するインクジェット記録装置ではノズル詰まりなどが発生しやすくなる。
インクの分散媒中における金属微粒子の濃度は、最大80質量%程度にすることが可能であるが、用途に応じて適宜希釈して使用することができる。通常は、インクにおける金属微粒子の含有量は2〜50質量%とすることが好ましい。
(インクジェットインクの物性)
本発明に係るインクジェットインク(カチオン性化合物を含むインク、及び導電性インク)は、粘度は0.9mPa・s以上、20mPa・s以下が好ましい。更には2mPa・s以上、10mPa・s以下が射出安定性の観点から好ましく、3mPa・s以上、7mPa・s以下が最も好ましい。本発明で言うインクの粘度(mPa・s)は25℃で測定した粘度値であり、従来公知の粘度計を用いて求めることができる。
本発明に係るインクジェットインクにおいては、表面張力は20mN/m以上、60mN/m以下が好ましい。更には射出安定性の観点から30mN/m以上、50mN/m以下が好ましい。本発明で言うインクの表面張力(mN/m)は、25℃で測定した表面張力値であり、その測定方法は一般的な界面化学、コロイド化学の参考書等において述べられているが、例えば、新実験化学講座第18巻(界面とコロイド)、日本化学会編、丸善株式会社発行:P.68〜117を参照することができる。
本発明に係るインクジェットインクの電気伝導度は、25℃において0.1μS/cm以上、1000μS/cm以下が好ましいが、描画性の観点から、1μS/cm以上、500μS/cm以下が更には好ましい。インクの電気伝導度の測定は、JIS K 0130(1995)に記載の方法に示されるような方法に従って容易に行うことができる。
(インクジェット記録装置)
本発明においては、上記説明した、カチオン性化合物を含むインク、及び導電性インクを用いて、圧力印加手段と電界印加手段とを備えたインクジェット記録装置により吐出してパターン像を形成することを特徴の一つとする。
本発明に係る圧力印加手段と電界印加手段とを備えたインクジェット記録装置について、詳細を説明する。
一般に、電子回路等で要求されている微細な線幅のパターンを高精細に描画するには、インクジェット記録装置から射出するインク液滴をより微細化する必要がある。
しかしながら、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)や電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)のみの出力手段を用いて、極微小インク液滴を吐出した場合、ノズルから吐出したインク液滴に付与される運動エネルギーは、インク液滴の半径の3乗に比例して小さくなるため、微小液滴は空気抵抗に耐えるほどの十分な運動エネルギーを確保できず、空気対流などによる擾乱を受け、正確な着弾が困難となる。
更にインク液滴が微細になるほど表面張力の効果が増すために、液滴の蒸気圧が高くなり蒸発量が激しくなる。このため、微細液滴は飛翔中の著しい質量の消失を招き、着弾時に液滴の形態を保つことすら難しいという問題があった。このように着弾位置の高精度化はインク液滴の微細化と相反する課題であり、これら2つを同時に実現することに対し障害を抱えていた。
本発明においては、上記課題を解決する方法として、圧力印加手段と電界印加手段とを用いた射出方法を適用することを特徴とする。
この射出方法は0.1〜100μmの内径の吐出口を有するノズルを用い、本発明に係るインクジェットインクに任意波形の電圧を印加して、この導電性インクを帯電させることにより、そのインク液滴を吐出口から樹脂層を有するインク受容基材に吐出する方法である。
即ち、この射出方法はノズルの吐出口の内径が0.1〜100μmであり、電界強度分布が狭くなっているため、ノズル内に供給された導電性インクに任意波形の電圧を印加することにより電界を集中させることができる。その結果、形成されるインク液滴を微小で、且つ形状の安定化したものとすることができる。従って、従来よりも微細な、例えば、1pl(ピコリットル)未満の複数のインク液滴からなるインク液滴パターンを樹脂層表面に形成することができる。
また、電界強度分布が狭くなっているため、ノズル内の導電性インクに印加する総印加電圧を低減することができる。また、インク液滴はノズルから吐出された直後、電界と電荷の間に働く静電力により加速されるが、ノズルから離れると電界は急激に低下するので、その後は空気抵抗により減速する。しかしながら、微小液滴で且つ電界が集中したインク液滴は樹脂層に近づくにつれ、鏡像力により加速される。この空気抵抗による減速と鏡像力による加速とのバランスをとることにより、微小液滴を安定に飛翔させ、着弾精度を向上させることが可能となる。
図1は、本発明に好ましく適用できる圧力印加手段と電界印加手段とを用い導電性インク吐出装置の一例を示した概略断面図である。
図1において、導電性インク吐出装置120は、帯電可能な導電性インクの液滴を先端部からインク受容基材Kに向かって吐出する超微細径のノズル121と、ノズル121の先端部に対向する面側には位置され、その対向面でインク受容基材Kを支持する対向電極123と、ノズル121内の流路122に導電性インクを供給する導電性インク供給手段と、ノズル121内の導電性インクに任意波形の吐出電圧を印加する吐出電圧印加手段(電圧印加手段)125とを備えている。なお、上記ノズル121と導電性インク供給手段の一部の構成と吐出電圧印加手段125の一部の構成とは、ノズルプレート126と一体的に形成されている。
ノズル121は、ノズルプレート126の下面層126cから垂設され、この下面層126cと一体的に形成されている。ノズル121の先端部は、対向電極123に指向している。ノズル121の内部には、その先端部からその中心線に沿って貫通するノズル内流路122が形成されている。
ノズル121は、例えば、ガラスなどの電気絶縁体により、超微細径で形成されている。ノズル121の各部の寸法の具体例を挙げると、ノズル内流路122の内部直径は1μm、ノズル121の先端部における外部直径は2μm、ノズル121の根元、即ち、上端部の直径は5μm、ノズル121の高さは100μmに設定されている。また、ノズル121の形状は限りなく円錐形に近い円錐台形に形成されている。このようなノズル121はその全体がノズルプレート126の下面層126cと共に絶縁性の樹脂材により形成されている。
なお、ノズル121の各寸法は上記一例に限定されるものではない。特に吐出口の内径については、電界集中の効果により液滴の吐出を可能とする吐出電圧が1000V未満を実現する範囲であって、例えば、100μm以下であり、より望ましくは20μm以下であって、現行のノズル形成技術により溶液を通す貫通穴を形成することが実現可能な範囲である内径、例えば、0.1μmをその下限値とする。
導電性インク供給手段は、ノズルプレート126の内部であってノズル121の根元となる位置に設けられると共にノズル内流路122に連通する溶液室124と、図示しない外部の導電性インクタンクからインク室124に導電性インクを導く供給路127と、インク室124への溶液の供給圧力を付与する図示しない供給ポンプとを備えている。
上記供給ポンプは、ノズル21の先端部まで導電性インクを供給し、当該先端部からこぼれ出さない範囲の供給圧力を維持して導電性インクの供給を行う。
吐出電圧印加手段125は、ノズル121内の導電性インクに吐出電圧を印加してこの導電性インクを帯電させることにより、この導電性インクの液滴をノズル121の吐出口からインク受容基材Kに向かって吐出させるものである。この吐出電圧印加手段125は、ノズルプレート126の内部であってインク室124とノズル内流路122との境界位置に設けられた吐出電圧印加用の吐出電極128と、この吐出電極128に常時,直流のバイアス電圧を印加するバイアス電源130と、吐出電極128にバイアス電圧に重畳して吐出に要する電位とするパルス電圧を印加する吐出電圧電源129とを備えている。
吐出電極128は、インク室124内部において導電性インクに直接接触し、導電性インクを帯電させると共に吐出電圧を印加する。
バイアス電源130によるバイアス電圧は、導電性インクの吐出が行われない範囲で常時電圧印加を行うことにより、吐出時に印加すべき電圧の幅を予め低減し、これによる吐出時の反応性の向上を図っている。
一例を挙げると、バイアス電圧はDC300Vで印加され、パルス電圧は100Vで印される。従って、吐出の際の重畳電圧は400Vとなる。
ノズルプレート126は、最も上層に位置する上面層126aと、その下に位置する導電性インクの供給路を形成する流路層126bと、この流路層126bの更に下に形成される下面層126cとを備え、流路層126bと下面層126cとの間には、吐出電極128が介挿されている。
対向電極123は、ノズル121に垂直な対向面を備えており、かかる対向面に沿うようにインク受容基材Kの支持を行う。ノズル121の先端部から対向電極123の対向面までの距離は、例えば100μm等、一定に保持されている。
また、対向電極123は接地されているため、常時、接地電位を維持している。従って、パルス電圧の印加時にはノズル121の先端部と対向面との間に生じる電界による静電力により吐出された液滴を対向電極123側に誘導する。
なお、導電性インク吐出装置120は、ノズル121の超微細化による当該ノズル121の先端部での電界集中により電界強度を高めることで液滴の吐出を行うことから、対向電極123による誘導がなくとも液滴の吐出を行うことは可能ではあるが、ノズル121と対向電極123との間での静電力による誘導が行われた方が望ましい。この場合、ノズル121から吐出され空気抵抗により減速する液滴を、鏡像力により加速することができる。従って、これら空気抵抗による減速と鏡像力による加速とのバランスをとることにより、微小液滴を安定に飛翔させ、着弾精度を向上させることができる。またなお、帯電した液滴の電荷を対向電極123の接地により逃がすことも可能である。
以上のような導電性インク吐出装置120は、図示しない駆動機構により、インク受容基材Kの搬送方向に対して直交する方向に走査自在とされた走査型の導電性インク吐出装置としてもよい。この場合において、導電性インク吐出装置120に複数のノズル121を配列するようにしてもよい。また、導電性インク吐出装置120は、インク受容基材Kの搬送方向に対して直交する方向に多数のノズル121を配列してなるライン型の導電性インク吐出装置としてもよい。
更に、本発明に適用可能なインクジェット記録装置の詳細構成について、図を用いて説明する。
本発明の配線パターン作製方法においては、本発明に係るインクジェットインクを、吐出孔を有するノズルプレート、吐出孔に連通する圧力室、圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生素子、圧力発生素子に電圧を印加する電圧印加手段、及び静電力を用いた電界印加手段を有するインクジェット記録装置を用いて導電性パターンの作製することを特徴とする。
(液滴吐出ヘッド)
本発明で好ましく用いられる液滴吐出ヘッドの一例を図2及び図3に従って説明する。
図2は液滴吐出ヘッドの例であるインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドと称する。)Aを構成している、ノズルプレート1、ボディプレート2、圧力発生手段3を模式的に示している。
ここでは、はじめに吐出手段の一つである圧力発生手段として圧電素子を用いた場合について説明する。
ノズルプレート1には、インク吐出のための吐出孔11を複数配列してある。また、ボディプレート2には、ノズルプレート1を貼り合わせることで、圧力室となる圧力室溝24、インク供給路となるインク供給路溝23及び共通インク室となる共通インク室溝22、並びにインク供給口21が形成されている。
そして、ノズルプレート1の吐出孔11とボディプレート2の圧力室溝24とが一対一で対応するようにノズルプレート1とボディプレート2とを貼り合わせることで流路ユニットMを形成する。ここで、以後、上記で説明に使用した圧力室溝、供給路溝、共通インク室溝の各符号はそれぞれ圧力室、供給路、共通インク室にも使用する。
ここで、図3は、この記録ヘッドAにおいて、ノズルプレート1、ボディプレート2、圧電素子3を組み立てた後、ノズルプレート1のY−Y、及びボディプレート2のX−Xの位置での断面を模式的に示している。
図3が示しているように、流路ユニットMに圧電素子3をインク吐出用アクチュエータとしてボディプレート2のノズルプレート1を接着する面と反対の各圧力室24の底部25の面に接着することで、記録ヘッドAが完成する。この記録ヘッドAの各圧電素子3に駆動電圧が印加され、圧電素子3から発生する振動が圧力室24の底部25に伝えられ、この底部25の振動により圧力室24内の圧力を変動させることで吐出孔11からインク滴を吐出させる。
(駆動電圧)
本発明に係るインクジェット記録装置における圧電素子の駆動電圧と、吐出孔における液体の挙動との関連について説明する。
本発明で用いる液滴吐出ヘッドは、吐出孔を有するノズルプレートと、前記吐出孔に連通する圧力室と、前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生素子を有しており、圧力発生素子に所定の駆動電圧を印加することにより圧力室内の液体に圧力変動を生じさせることにより前記吐出孔から液体が吐出するものである。この液体吐出の状態は、圧力変動の程度、換言すると圧力発生素子への駆動電圧に応じて変化する。一般に、液体吐出の状態は実際には駆動電圧だけではなく、他のさまざまな要因によって影響を受けるものであるのだが、ここでは駆動電圧による影響について説明する。
液滴を吐出する際に圧力発生手段に印加する駆動電圧Veの波形の例として、図4及び図5に記載の波形を挙げることができる。但し、これらの波形に限られない。
(静電力を利用した液滴吐出法)
静電力を利用した液滴吐出法に用いられる電界印加手段については、前述の図1を用いて説明したが、更に図6に示す液滴吐出装置の一例に従って説明する。
図6は、液滴吐出ヘッドBを用いて構成した液体吐出装置60の全体構成を示す模式的である。液滴吐出ヘッドBに利用するノズルプレート1の、例えば、大径部15の内周面に、例えば、NiP、Pt、Au等の導電素材よりなるノズル内の液体を帯電させるための静電電圧印加手段である帯電用電極50を設ける。帯電用電極50を設けることで、帯電用電極50がノズルプレート1の大径部15内の液体に接触する。静電電圧電源51から帯電用電極50と吐出される液滴が着弾する基材53を備えた対向電極54との間に静電電圧が印加されると、大径部15内の液体が同時に帯電される。この帯電により、液滴吐出ヘッドのノズル孔11と対向する位置に設けてある対向電極54との間、特に液体と吐出される液滴が着弾する基材53との間に静電吸引力が発生されるようにすることができる。
各圧力室24に対応する背面部分には、圧力発生手段としての圧電素子3がそれぞれ設けられている。圧電素子3には、圧電素子3に駆動電圧を印加して圧電素子3を変形させるための駆動電圧電源52が接続されている。圧電素子3は、駆動電圧電源52からの駆動電圧の印加により変形して、ノズル内の液体に圧力を生じさせてノズル11の吐出孔13に液体のメニスカスを形成させるようになっている。ここで、上記で述べたように吐出孔13の存在する吐出面12に撥液層45が設けてあることで、ノズルの吐出孔13部分に形成される液体のメニスカスが吐出孔13の周囲の吐出面12に広がることによるメニスカス先端部への電界集中の低下を効果的に防止することができる。なお、55は駆動電圧電源52や静電電圧電源51等の液体吐出装置60を制御する制御部である。
従って、圧電素子3による液体への圧力付与と帯電用電極50による液体への静電吸引力との相乗効果により効率的に液滴が吐出できる液滴吐出ヘッドとすることができる。換言すると、静電吸引力が働かない場合には飛翔中に空気抵抗の影響により、飛翔速度が低下して正規の着弾位置まで到達しないような微小な液滴を吐出する場合においても、静電吸引力の作用により正規の着弾位置に高い精度で着弾させることができ、良好なインクパターンを形成することができる。
(基材)
本発明に係るインクジェットインクを用いて導電性パターンを形成するのに用いるインク受容基材は、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム等の樹脂フィルム、ガラス−エポキシ基板、シリコン基板、セラミックス基板、ガラス基板等が挙げられる。
本発明で用いられる樹脂フィルムの材質としては特に限定はないが、例えば、ポリエステル系フィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム,ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム(アートン(JSR製)、ゼオネックス、ゼオネア(以上、日本ゼオン製))、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリアクリレート系フィルム、ポリアリレート系フィルム等を挙げることができる。また、これらの素材を主成分とする異なる材質のフィルムを積層したフィルムであってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《カチオン性化合物》
カチオン性化合物1:ポリN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩(花王製 カオーセラ3000)
カチオン性化合物2:ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(花王製 コータミン24P)
カチオン性化合物3:ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイト・二酸化硫黄共重合体(日清紡製 PAS−2401(平均分子量2000))
カチオン性化合物4:アリルアミン塩酸塩重合体(日清紡製 PAA−HCL−03(平均分子量3000))
カチオン性化合物5:ジアリルアミン塩酸塩(東京化成製 分子量133.62)
カチオン性化合物6:アリルアミン酢酸塩・ジアリルアミン酢酸共重合体(日清紡製 PAA−D19A(平均分子量100000))
《アニオン性化合物》
アニオン性化合物1:ラウリル硫酸ナトリウム(関東化学製 分子量288.38)
《カチオン性化合物またはアニオン性化合物を含むインク》
〔カチオン性化合物インク1の調製〕
下記に示す添加比率で水にカチオン性化合物1を混合し、溶解した。次いで、得られた溶液を0.45μmフィルターで濾過して、カチオン性化合物インク1を調製した。
カチオン性化合物1 0.86質量%
水 99.14質量%
〔カチオン性化合物インク2の調製〕
上記カチオン性化合物インク1の調製において、カチオン性化合物1に代えて、カチオン性化合物2を用いた以外は同様にして、下記に示す添加比率でカチオン性化合物インク2を調製した。
カチオン性化合物2 1.42質量%
水 98.56質量%
〔カチオン性化合物インク3の調製〕
上記カチオン性化合物インク1の調製において、カチオン性化合物1に代えて、カチオン性化合物3を用いた以外は同様にして、下記に示す添加比率でカチオン性化合物インク3を調製した。
カチオン性化合物3 1.20質量%
水 98.80質量%
〔カチオン性化合物インク4の調製〕
上記カチオン性化合物インク1の調製において、カチオン性化合物1に代えて、カチオン性化合物4を用いた以外は同様にして、下記に示す添加比率でカチオン性化合物インク4を調製した。
カチオン性化合物4 0.75質量%
水 99.25質量%
〔カチオン性化合物インク5の調製〕
上記カチオン性化合物インク1の調製において、カチオン性化合物1に代えて、カチオン性化合物5を用いた以外は同様にして、下記に示す添加比率でカチオン性化合物インク5を調製した。
カチオン性化合物5 0.30質量%
水 99.70質量%
〔カチオン性化合物インク6の調製〕
上記カチオン性化合物インク1の調製において、カチオン性化合物1に代えて、カチオン性化合物6を用いた以外は同様にして、下記に示す添加比率でカチオン性化合物インク6を調製した。
カチオン性化合物6 1.50質量%
水 98.50質量%
〔アニオン性化合物インク1の調製〕
上記カチオン性化合物インク1の調製において、カチオン性化合物1に代えて、アニオン性化合物1を用いた以外は同様にして、アニオン性化合物インク1を調製した。
アニオン性化合物1 0.30質量%
水 99.70質量%
《導電性インク(銀インク)》
〔銀インク1の調製〕
40質量%のクエン酸ナトリウム水溶液350mlに、調製直後の30質量%の硫酸第一鉄水溶液250mlを混合した。この混合液に10質量%の硝酸銀水溶液250mlを添加し、温度を20℃付近に維持し、攪拌機の回転速度を6,000rpmに維持しながら反応させて銀微粒子のコロイド液を得た。ここで得られた銀微粒子コロイド液の銀固形分濃度は0.1質量%以下であった。
次いで、この銀微粒子コロイド液を沈降分離により固形部と溶液部に分離し、得られた固形部に0.4モル濃度の硝酸ナトリウム溶液を加えて鉄分を洗い流した。その後、遠心分離機で3000Gの重力をかけて脱水し、銀固形分を回収した。得られた銀固形分を水からなる媒体中に分散させて、銀固形分濃度が3質量%の銀コロイド液を得た。
この銀コロイド液は濃厚で黒色に見えるが薄めるとワインレッドであった。銀コロイド液のゼータ電位を大塚電子製「ELS」で測定したところ、−100mV以上、0mV以下の領域の値を示していた。銀コロイド液中の銀の平均粒子径は10nmであった。銀微粒子はクエン酸を吸着しており、その保護作用で安定化していた。
〔銀インク2の調製〕
銀ナノ粒子原料として、市販されている銀の超微粒子分散液(商品名:独立分散超微粒子Ag1T、真空冶金製)、具体的には、銀超微粒子35質量部、アルキルアミンとして、ドデシルアミン(分子量185.36、融点28.3℃、沸点248℃、比重d440=0.7841)7質量部、有機溶剤として、トルエン(沸点110.6℃、比重d420=0.867)58質量部を含む、平均粒子径3nmの銀超微粒子の分散液を利用した。なお、該銀超微粒子分散液Ag1Tの液粘度は1mPa・s(20℃)である。
先ず、1Lのナス型フラスコ中にて、銀超微粒子分散液Ag1T、500g(Ag35質量%含有)にドデシルアミン5.8gを添加、混合し、80℃で1時間加熱攪拌した。攪拌終了後、減圧濃縮により、Ag1T中に含まれる分散溶媒トルエンを脱溶剤した。
前記の脱溶剤後の混合物に対して、含有される銀超微粒子175質量部当たり、173.1質量部のテトラデカンを添加し、室温(25℃)で攪拌して、均一な分散液とした。攪拌終了後、0.2mメンブランフィルターで分散液の濾過を行った。得られた分散液は、液粘度(B型回転粘度計、測定温度20℃)3mPa・sの均一な濃紺色の高流動性ペースト状の銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子インク)であった。銀コロイド液のゼータ電位を大塚電子製「ELS」で測定したところ、0mV以上の領域の値を示していた。
《導電性パターンの作製》
比較例1
銀インク1を図6に記載の圧力印加手段と電界印加手段とを備えたインクジェット記録装置に装填し、アルカリ性水溶液で洗浄したガラス板上に、線幅10μmの直線を線間隔50μmで複数本を形成した。その後、形成したパターンを150℃で1時間乾燥させた。
比較例2
カチオン性化合物インク1を図6に記載の圧力印加手段と電界印加手段とを備えたインクジェット記録装置に装填し、アルカリ性水溶液で洗浄したガラス板上に、線幅10μmの直線を線間隔50μmで複数本を形成した。銀インク2を図6に記載の圧力印加手段と電界印加手段とを備えたインクジェット記録装置に装填し、カチオン性化合物インク1で形成したパターンの上に重ねて描画を行った。その後、形成したパターンを150℃で1時間乾燥させた。
比較例3
比較例2のカチオン性化合物インク1に代えて、アニオン性化合物1インク、銀インク2に代えて、銀インク1を用いた以外は同様にして、パターンを形成した。
実施例1
比較例2の銀インク2に代えて、銀インク1を用いた以外は同様にして、パターンを形成した。
実施例2
比較例2のカチオン性化合物インク1に代えて、カチオン性化合物インク2、銀インク2に代えて、銀インク1を用いた以外は同様にして、パターンを形成した。
実施例3
比較例2のカチオン性化合物インク1に代えて、カチオン性化合物インク3、銀インク2に代えて、銀インク1を用いた以外は同様にして、パターンを形成した。
実施例4
比較例2のカチオン性化合物インク1に代えて、カチオン性化合物インク4、銀インク2に代えて、銀インク1を用いた以外は同様にして、パターンを形成した。
実施例5
比較例2のカチオン性化合物インク1に代えて、カチオン性化合物インク5、銀インク2に代えて、銀インク1を用いた以外は同様にして、パターンを形成した。
実施例6
比較例2のカチオン性化合物インク1に代えて、カチオン性化合物インク6、銀インク2に代えて、銀インク1を用いた以外は同様にして、パターンを形成した。
〔線幅再現性の評価〕
形成したパターンについて光学顕微鏡で観察し、以下の評価を行った。
形成された各パターンの任意の50箇所における線幅を測定し、下式に従って平均線幅Waveと線幅ばらつき度を算出し、下記基準に従って細線再現性を評価した。
平均線幅Wave=(W1+W2+・・・+W50)/50×100(W1、W2、・・・、はそれぞれ1箇所目の測定位置の線幅、2箇所目の測定位置の線幅を表す。)
線幅ばらつき度=(|W1−Wave|+|W2−Wave|+・・・+|W50−Wave|)/50×100
線幅ばらつき度が小さいほど線幅が均一であり、好ましい。
○:線幅ばらつき度が1%未満である
△:線幅ばらつき度が1%以上、5%未満である
×:線幅ばらつき度が5%以上である。
〔ひび割れ(クラック)の有無の確認〕
形成したパターンについて、光学顕微鏡で観察し、以下の評価を行った。形成された各パターンの任意の50箇所において、ひび割れの有無を目視で観察した。
○:ひび割れが3箇所未満
△:ひび割れが3箇所以上6箇所未満
×:ひび割れが6箇所以上。
〔導電性の評価:表面比抵抗の測定〕
各試料を25℃、30%RHの条件下に24時間調湿した後、同条件下で川口電機製テラオームメーターVE−30を用いて印加電圧100Vで試料の表面比抵抗〔log(Ω/□)〕を測定し、下記の基準に従って導電性を評価した。
○:表面比抵抗値が10Ω/□未満である
△:表面比抵抗値が10Ω/□以上、100Ω/□未満である
×:表面比抵抗値が100Ω/□以上である。
〔接着性の評価〕
各導電性パターン表面を、イソプロピルアルコールを染み込ませた綿棒を用いて20回のワイピングを行った。次いで、ワイピングを行った各導電性パターンの細線について、光学顕微鏡を用いて50箇所の線幅を測定してその平均値を求め、ワイピング前後における線幅減少率を下式に従って測定して、これを接着性の尺度とし、下記の基準に従って接着性を評価した。
線幅減少率:(ワイピング前の線幅−ワイピング後の線幅/ワイピング前の線幅)×100(%)
○:線幅減少率が2%未満である
△:線幅減少率が2%以上、10%未満である
×:線幅減少率が10%以上である。
〔カチオン性インク及びアニオン性インクのデキャップ耐性の評価〕
カチオン性インク及びアニオン性インクのデキャップ耐性について、以下の評価を行った。
ノズル口径が5μm、吐出インク液滴量が0.1plの図6に記載のインクジェット記録ヘッドを用いて、上記調製各インクについて、23℃、60%RHの環境下で初期状態として、出射間隔1ミリ秒時、インク液滴速度が8m/secとなるように、液滴吐出ヘッド内に設けられた圧電素子の駆動電圧及び静電力を決定した。
次いで、出射間隔時間を変化し、下式に従って液滴速度の相対比率を測定し、下記の基準に従ってデキャップ耐性の評価を行った。例えば、出射間隔1ミリ秒でインク液滴を100滴出射させ、最初の出射から間隔時間t秒後に、再び出射間隔1ミリ秒で100滴出射させ、間隔時間t秒後の最初のインク液滴の速度を測定して、これを間隔時間t後の液滴速度とする。
液滴速度の相対比率(%)=(出射間隔t秒後の液滴速度)/(出射間隔1ミリ秒の液滴速度=8m/sec)×100
◎:液滴速度の相対比率が70%以下となる間隔時間tが10秒以上である
○:液滴速度の相対比率が70%以下となる間隔時間tが1秒以上、10秒未満である
△:液滴速度の相対比率が70%以下となる間隔時間tが0.3秒以上、1秒未満である
×:液滴速度の相対比率が70%以下となる間隔時間tが0.3秒未満である。
Figure 2009267206
表より、本発明の配線パターン作製方法によって作製した導電性パターンは、上記いずれの評価においても、比較に対して優れた結果であることがわかる。
また、カチオン性化合物を含む液体をインクジェット記録装置で射出する代わりに、ディッピングでガラス板に塗布し、乾燥させ、銀インク1で配線パターンを描画した際も同様の結果が得られた。更に、図6で示す圧力印加手段と電界印加手段とを備えたインクジェット記録装置において、圧力印加手段のみを用いて上記各評価を行った結果、実施例(本発明)については、細線性が悪化する傾向が見られることもわかった。
本発明に好ましく適用できる圧力印加手段と電界印加手段とを備えたインクジェット記録装置の一例を示した概略断面図である。 本発明に好ましく適用できるインクジェット記録装置の液滴吐出ヘッドの一例を示す模式図である。 本発明に好ましく適用できるインクジェット記録装置の液滴吐出ヘッドの一例の断面を示す模式図である。 液滴吐出の際の駆動電圧Veの波形の一例を示す模式図である。 液滴吐出の際の駆動電圧Veの波形の他の一例を示す模式図である。 本発明に好ましく適用できるインクジェット記録装置の全体構成の一例を示す模式図である。
符号の説明
A インクジェット式記録ヘッド
1 ノズルプレート
2 ボディプレート
3 圧力発生手段
11 インク吐出のための吐出孔
21 インク供給口
22 共通インク室溝
23 インク供給路溝
24 圧力室となる圧力室溝
60 液体吐出装置
120 導電性インク吐出装置
121 ノズル
122 ノズル内流路
123、54 対向電極
124 インク室
125 吐出電圧印加手段
126 ノズルプレート
127 供給路
128 吐出電極
130 バイアス電源
K、53 インク受容基材

Claims (5)

  1. 基材上にカチオン性化合物を含む液体により下引き層を形成し、その上にゼータ電位が−100mV以上、0mV以下である導電性インクをインクジェット記録装置で射出する配線パターン形成方法において、カチオン性化合物としてカチオン性界面活性剤または分子量が100以上100000以下のカチオン性ポリマーの少なくとも一つを含むことを特徴とする配線パターン形成方法。
  2. 前記カチオン性化合物を含む液体によりインクジェット記録装置を用いてパターン状に下引き層を形成することを特徴とする請求項1に記載の配線パターン形成方法。
  3. 前記カチオン性化合物における対アニオンとして、硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、次亜硫酸イオン、炭酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、メタリン酸イオン、ホウ酸イオン、スルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ヒドロキシベンゼンスルホン酸イオンなど)、カルボン酸イオン(ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸、乳酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸イオン、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸イオン、サリチル酸イオンなど)、フェノールイオン(フェノールイオン、クレゾールイオン、レゾルシンイオン)から選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載の配線パターン形成方法。
  4. 前記カチオン性ポリマーの分子量が200以上20000以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線パターン形成方法。
  5. 前記インクジェット記録装置は吐出孔を有するノズルプレート、吐出孔に連通する圧力室、圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生素子、圧力発生素子に電圧を印加する電圧印加手段及び静電力を用いた電界印加手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線パターン形成方法。
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