JP2009266580A - 色変換フィルタの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規の蛍光材料の使用に際して、生産装置の構成変更を行う必要がなく、低コストで色変換膜のパターニングが行える方法を提案することにある。
【解決手段】(a)透明基板上に複数種のカラーフィルタ層を形成する工程と、(b)上記カラーフィルタ層の全面に、無機膜を形成する工程であって、上記無機膜を、色変換層材料に対して親液性を有するSiOxNy(但し、x≧0、y≧0、x,yはともに0でない)から形成する工程と、(c)上記複数種のカラーフィルタ層の境界位置で、上記無機膜上に、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂からなるバンクを形成する工程と、(d)上記無機膜および上記バンクに対して表面処理を施す工程と、(e)上記無機膜上に、インクジェット法を用いて、特定の波長の光を吸収し、吸収した波長と異なる波長を含む光を出力する色変換層を形成する工程とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、色変換フィルタの製造方法に関する。特に、高精度なパターンを有する色変換層を含む色変換フィルタの製造方法に関する。
有機EL素子を用いて多色発光を実現する方法の1つとして、色変換方式がある。色変換方式は、有機EL素子の発光を吸収して波長分布変換を行って異なる波長分布を有する光を放射する色変換膜を、有機EL素子の前面に配設して多色を実現する方法である。そのような色変換層として、高分子樹脂中に蛍光色素を分散させた構成が提案されている(特許文献1参照)。色変換方式は、用いる有機EL素子が1種(単色)であるために製造が容易であり、大画面ディスプレイへの展開が積極的に検討されている。
さらに、色変換方式は、特定の波長域の光を透過させるカラーフィルタをさらに組み合わせることによって、良好な色再現性が得られるなどの有利な特徴を有する。しかしながら、提案されている色変換層によって十分な効率を得るためには、色変換層の膜厚を10μm程度とする必要がある。加えて、色変換層の上面に有機EL素子を形成するためには、色変換層上面の凹凸を平坦にする技術、および色変換層から生じる水分を遮断する技術などの特殊な技術を必要とする。これらの点は、ディスプレイのコストアップをもたらす。
また、樹脂分散型色変換層の問題点を解決する方策として、蒸着法、スパッタ法などのドライプロセスを用いて色変換層を形成する方法が提案されている(特許文献2参照)。この方法においては、最適な色変換層の材料を選択すれば、水分発生の問題のない高効率かつ膜厚1μm以下の色変換層を形成できる。
上記の問題点を解決する更なる方策として、構成材料を含むインクを調製し、インクジェット法を用いて、パターン化された色変換層を形成する方法が考えられる。インクジェット法により高精細のパターンを形成する際には、微量の液滴を精密に吐出させる必要性があり、インクの増粘の原因となる固形分含有量をあまり大きくすることはできない。したがって、必要な膜厚を得るための液滴の体積が必然的に大きくなる。液滴の体積増大に対する解決策として、基板にバンクを形成する方法が提案されている(特許文献3〜6参照)。高精細度のパターンを形成するためには、バンクの形状だけではなく、バンク表面の濡れ性を制御することが重要である。具体的には、バンク表面がインクに対して撥液性を有し、かつ下地となる面がインクに対して親液性を有する状態に制御することが必要である。表面の濡れ性を制御する方法としては、プラズマ処理などの表面処理を行う方法が知られている(特許文献7参照)。
特開平8−286033号公報 特開平2−216790号公報 特開2000−353594号公報 特開2001−291583号公報 特開2005−78911号公報 特開2005−78911号公報 特開2000−353594号公報
インクジェット法を用いて色変換層を形成することの利点は、インクの利用効率が非常に高く、それによって色変換層の形成コストを抑制することができる点にある。しかしながら、高精細なパターンを得るためには、濡れ性の制御が必要である。たとえば、特許文献7に記載の方法では、(a)異なる濡れ性を有する2種の材料を用いてバンクを形成する複雑な工程、(b)複数のガスを使用し、かつそれらのガスの混合比を制御したプラズマ処理(フッ素プラズマ/酸素プラズマ)を行う工程などが開示されている。
さらに、インクジェット法によりパターニングする際には、これら蛍光材料をインクに調整する必要があるが、使用蛍光材料によって溶解させるための溶媒が異なる。例えば、新規の蛍光材料が従来使用していたインクと逆の極性溶媒に可溶であった場合、極性の変更に合わせて、バンク形成材料の選択、および表面処理の新たな開発が必要となり、生産装置の構成変更を伴い実質的なコストアップにつながる。
従って、本発明が解決しようとする課題は、新規の蛍光材料の使用に際して、生産装置の構成変更を行う必要がなく、低コストで色変換膜のパターニングが行える方法を提供することにある。
本発明の色変換フィルタの製造方法は、(a)透明基板上に複数種のカラーフィルタ層を形成する工程であって、該複数種のカラーフィルタ層のそれぞれは、第1の方向に延びる複数のストライプ形状部分から構成される工程と、(b)上記カラーフィルタ層の全面に、無機膜を形成する工程と、(c)前記複数種のカラーフィルタ層の境界位置で、上記無機膜上に、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂からなるバンクを形成する工程であって、上記バンクは第1の方向に延びる複数のストライプ形状部分から構成される工程と、(d)上記無機膜および上記バンクに対して表面処理を施す工程と、(e)上記無機膜上に、インクジェット法を用いて、特定の波長の光を吸収し、吸収した波長と異なる波長を含む光を出力する色変換層を形成する工程とを含み、特に、上記無機膜を、色変換層材料に対して親液性を有するSiOxNy(但し、x≧0、y≧0、x,yはともに0でない)から形成することを特徴とする。本発明の色変換フィルタの製造方法は、各種の大画面ディスプレイの製造に適用することができる。
このような色変換フィルタの製造方法においては、上記色変換層材料が非極性材料である場合には、上記無機膜をSiOxNy(但し、x/y≦1/2)とするとともに、工程(e)での表面処理をNプラズマ処理とし、上記プラズマ処理後、バンクの純水に対する接触角が25度以下である時間内に、上記無機膜の凹部上に色変換層を形成することが望ましい。また、色変換層材料が非極性材料である場合には、上記無機膜をSiNy(但し、y≠0)から形成することがさらに望ましい。
これに対し、上記色変換層材料が極性材料である場合には、上記無機膜をSiOxNy(但し、x/y≧2)とするとともに、工程(e)での表面処理をNプラズマ処理と加熱処理との組み合わせとすることが望ましい。また、色変換層材料が極性材料である場合には、上記無機膜をSiOx(但し、x≠0)から形成することがさらに望ましい。
以上のような構成をとることによって、インクジェット法を用いて、高精細度のパターンを有する色変換層の新規な作製方法を、新規の蛍光材料に伴う生産装置の構成変更を行うことなく、低コストで提供することができる。従って、本発明の方法によって得られる色変換フィルタによれば、高精細度を有するフラットパネルディスプレイの低コスト化が実現される。
<本発明の原理>
発明者らは、前述の課題を解決する手段について鋭意検討した結果、以下の方法で課題を解決できるとの知見を得た。
上述したとおり、インクジェット法により色変換層の高精細度のパターンを形成するためには、下地となる無機膜が色変換層材料に対して親液性を有し、かつバンク表面がインクに対して撥液性を有する状態に制御することが必要である。
具体的には、無機膜の表面に対するインクの接触角が小さい状態で、かつ、バンクの表面に対するインクの接触角が大きい状態で、色変換層を形成することが必要である。ここで、色変換層材料とは、インクジェット法により色変換層を形成するための溶液であり、色変換機能を有する材料およびインクジェット法での塗工に適する溶媒等から構成される。以下、色変換材料を、単に「インク」と称する場合がある。
そこで、まず、無機膜に用いる材料の選定を行った。その結果、無機膜は、色変換層材料に対して親液性を有するSiOxNy(但し、x≧0、y≧0、x,yはともに0でない)から形成するがよいとの知見を得た。
次に、インクの極性が非極性または極性のいずれであっても、生産装置の構成変更を行うことなく、低コストで色変換膜のパターニングが行える方法を実現すべく、インクの極性に応じた無機膜材料のさらに具体的な選定について検討した。
ここで、インクの代わりに、純水を用いて、好適な無機膜材料の選定を行った。純水を使用したのは、以下のような理由による。即ち、本来であれば、非極性材料または極性材料の各インクを用いて、無機膜に対するこれらインクの接触角を評価し、好適な無機膜材料を選定すべきである。しかしながら、インクジェット用のインクは、塗布条件の安定化のため、揮発性の高いものと揮発性の低いものとを混合して使用する場合がある。このため、インクによる接触角の評価によれば、接触角に関する数値が正確なものでなくなるおそれがある。本発明においては、上記接触角は、全て、CA−X:協和界面化学(株)製を用いて、純水を充填したシリンジから、各試料に純水滴下し、各試料と純水とのなす角度を測定して求めた。
純水は、極性材料である。このため、以下の記載においては、無機膜に対して求めた純水の接触角が大きい場合には、無機膜に対する非極性材料のインクの接触角は小さくなる一方、無機膜に対する極性材料のインクの接触角は大きくなることに留意されたい。
インクが非極性材料の場合に好適な無機膜の選定を行った。この場合は、無機膜に対する純水の濡れ性が大きい、即ち、接触角が50〜65度、望ましくは60〜65度となる、当該材料を選定する必要がある。その結果、発明者らは、インクが非極性材料の場合に好適な無機膜材料として、SiOxNy(但し、x/y≦1/2)が該当するとの知見を得た。なお、無機膜中に酸素が全く存在しない場合(即ち、無機膜がSiNy(但し、y≠0)である場合)には、無機膜に対する純水の接触角が最も大きくなるとの知見を併せて得た。
インクが極性材料の場合に好適な無機膜の選定を行った。この場合は、無機膜に対する純水の濡れ性が小さい、即ち、接触角が5〜10度となる、当該材料を選定する必要がある。その結果、発明者らは、インクが極性材料の場合に好適な無機膜材料として、SiOxNy(但し、x/y≧2)が該当するとの知見を得た。なお、無機膜中に窒素が全く存在しない場合(即ち、無機膜がSiOx(但し、x≠0)である場合)には、無機膜に対する純水の接触角が最も小さくなるとの知見を併せて得た。
次に、色変換層材料の極性が非極性または極性のいずれであっても、生産装置の構成変更を行うことなく、低コストで色変換膜のパターニングが行える方法を実現すべく、色変換層材料の極性に応じたバンク処理条件の具体的な選定について検討した。
ここでも、インクの代わりに純水を用いて、好適なバンク処理条件の選定を行った。上述したとおり、純水は、極性材料である。このため、以下の記載においては、バンクに対して求めた純水の接触角が大きい場合には、バンクに対する非極性材料のインクの接触角は小さくなる一方、バンクに対する極性材料のインクの接触角は大きくなることに留意されたい。
インクが非極性材料の場合に好適なバンク処理条件の選定を行った。この場合は、表面処理後のバンク表面に対する純水の濡れ性が小さい、即ち、接触角が5〜10度となる、当該バンク処理条件を選定する必要がある。その結果、発明者らは、インクが非極性材料の場合に好適なバンク処理条件として、表面処理をNプラズマ処理が該当するとの知見を得た。
図2は、Nプラズマ処理後(またはNプラズマ処理および加熱処理)後の、アクリル樹脂に対する純水の接触角の経時変化を示すグラフである。バンクには、後述するように、光硬化型または光熱硬化型樹脂(たとえば、硬化性部位を含むアクリル樹脂など)を使用する。同図によれば、当該Nプラズマ処理を施した後の、バンクに対する純水の接触角は、当初は相当小さく、かつ経時的に増大することが判明した。バンクに対する極性材料である純水の接触角が図2に示すとおりであるから、バンクに対する非極性材料であるインクの接触角は、Nプラズマ処理後には相当大きく、かつ、経時的に低減するものと考えられる。
非極性材料であるインクを用いる場合には、バンクに対するインクの接触角が十分大きい状態に維持されている間に、色変換層を形成すべきである。換言すれば、バンクに対する極性材料である純水の接触角が相当小さい、図2に示すところでは25度以下である時間内に、色変換層を形成することが肝要である。当該時間は、同図によれば、1時間程度であることが判る。
インクが極性材料の場合に好適なバンク処理条件の選定を行った。この場合は、表面処理後のバンク表面に対する純水の濡れ性が大きい、即ち、接触角が60〜65度となる、当該バンク処理条件を選定する必要がある。その結果、発明者らは、インクが極性材料の場合に好適なバンク処理条件として、表面処理をNプラズマ処理と100℃以上での加熱処理との組み合わせが該当するとの知見を得た。
図2に示すところによれば、当該Nプラズマ処理と150℃での加熱処理とを施した後の純水に対するバンクの接触角は50度程度で安定することが判明した。バンクに対する極性材料である純水の接触角が図2に示すとおりであるから、バンクに対する極性材料であるインクの接触角も、Nプラズマ処理および加熱処理を施した後には、相当大きく、かつ、経時的に低減しないものと考えられる。
極性材料であるインクを用いる場合にも、バンクに対するインクの接触角が大きい状態に維持されている間に、色変換層を形成すべきである。換言すれば、バンクに対する極性材料である純水の接触角が相当大きい、少なくとも図2に示す時間内であれば、バンクに対する純水の接触角を十分に大きく維持できるため、好適に色変換層を形成することができるといえる。
このようなバンク表面の処理条件の選定は、以下の具体的理由に基づく。即ち、バンク材料である光硬化性樹脂または光熱硬化性樹脂は、表面に様々な反応基が露出しているため、通常、その極性は小さい。このようなバンク材料にプラズマ処理(例えば、Nプラズマ処理)を施すと、その直後は、樹脂表面にラジカルが存在し、該ラジカルはC=C二重結合などのπ結合の軌道上にある1個のπ電子を奪い、1つの安定な結合を形成する。これに対し、残ったπ電子はもう1つの炭素上へ戻り、そこが新たなラジカル部位となり、極性が大きくなる。
このように、バンク材料にNプラズマ処理のみを行った場合は、樹脂の表面が窒素原子で終端されており、極性の大きなエステル結合(R−COO−R’)が形成されにくいが、プラズマ処理直後は、樹脂表面にラジカルが存在し、極性が大きくなる。このため、その後の時間経過を伴うと、2つのラジカル同士が再結合して反応が停止し、バンク表面の極性は小さくなると考えられる。よって、色変換層材料に非極性材料を用いる場合には、バンク表面の極性を大きくすることが肝要なため、バンクの表面処理をNプラズマ処理とし、当該表面の極性がある程度大きなうちに、色変換層を形成することが好ましい。
これに対し、バンク材料にNプラズマ処理に加えて100℃以上の加熱処理を行った場合は、ラジカル同士の再結合を促進し、ラジカル同士が再結合して反応が停止し、極性の小さなバンク表面が形成される。このため、加熱後の時間経過を伴っても、バンク表面の極性は小さなままであると考えられる。よって、色変換層材料に極性材料を用いる場合には、バンクの表面処理をNプラズマ処理と100℃以上の加熱処理との組み合わせとし、少なくとも図2に示す時間内に色変換層を形成することが好ましい。
以上のように、色変換層材料の極性に応じて、無機膜材料を好適に選定するとともに、バンク表面の処理条件を好適に選定する。これにより、色変換層材料のインクジェット法による形成直前に、無機膜表面を色変換層材料に対して親液性とするとともに、バンク表面を色変換層材料に対して撥液性とすることができ、色変換層の高精細度のパターンを形成することができる。
<色変換フィルタの製造方法>
図1に本発明の製造方法で形成された色変換フィルタを示す。図1の色変換フィルタは、透明基板10の上に、ブラックマトリクス12、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の3種のカラーフィルタ層14,16,18、これらのカラーフィルタ層14,16,18上に形成された無機膜20、無機膜20上で異種のカラーフィルタ層14,16,18の境界位置に設けられたバンク22、ならびに赤色および緑色カラーフィルタ層14,16の上に設けられた赤色および緑色の2種の色変換層24,26を有し、無機膜20の一部、バンク22ならびに赤色変換層24および緑色変換層26の上部表面には、バリア膜28が形成されている。
(カラーフィルタ層14,16,18を形成する工程)
最初に、任意選択的工程であるが、透明基板10上にブラックマトリクス12を形成する。ブラックマトリクス12は、塗布法(スピンコートなど)を用いて透明基板10全面に形成した後に、フォトリソグラフ法などを用いてパターニングしてもよいし、あるいはスクリーン印刷法などを用いてパターン状に形成してもよい。ブラックマトリクス12は、第1の方向に延びる複数のストライプ形状部分から構成されてもよい。あるいはまた、ブラックマトリクス12は、第1の方向および第2の方向(第1の方向と直交する方向)に延びるストライプ形状部分から構成される、複数の開口部を有する格子状の形状を有する一体の層であってもよい。ブラックマトリクス12の開口部がサブピクセルを形成する位置となる。
透明基板10は、光透過性に富み、かつブラックマトリクス12、カラーフィルタ層14,16,18、ならびに後述する色変換層24,26、および(図示しない)有機EL素子の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐える材料を用いて形成される。さらに寸法安定性に優れた材料を用いることが好ましい。また、多色発光ディスプレイの性能低下を引き起こさない材料が好ましい。透明基板10の材料の例は、ガラス、各種プラスチック、各種フィルムなどを含む。
ブラックマトリクス12は、可視光を遮断して、コントラストを向上させるための層である。ブラックマトリクス12は、通常のフラットパネルディスプレイ用の材料を用いて形成することができる。ブラックマトリクスの12の膜厚は、前述の機能を満たす限りにおいて、任意に設定することができる。
次に、それぞれ異なる波長域の光を透過する、RGBの3種のカラーフィルタ層14,16,18を独立して形成する。カラーフィルタ層14,16,18は、可視光の特定波長域を透過させ、透過光を所望の色相とし、および透過光の色純度を向上させるための層である。カラーフィルタ層14,16,18は、フラットパネルディスプレイ用の市販の材料を用いて形成することができる。近年では、フォトレジスト中に顔料を分散させた、顔料分散型材料がよく用いられている。図1に示すように、3種のカラーフィルタ層を用いる場合、400nm〜550nmの波長域の光を透過する青色カラーフィルタ層18、500nm〜600nmの波長域の光を透過する緑色カラーフィルタ層16、および600nm以上の波長域の光を透過する赤色カラーフィルタ層14を用いることが好ましい。3種のカラーフィルタ層14,16,18のそれぞれは、第1の方向に延びる複数のストライプ形状部分から構成される。
上述のカラーフィルタ層14,16,18のそれぞれは、塗布法(スピンコートなど)を用いて透明基板10全面に形成した後に、フォトリソグラフ法などを用いてパターニングを実施することによって形成してもよいし、あるいはスクリーン印刷法などを用いてパターン状に形成してもよい。
(無機膜20を形成する工程)
次に、このようにして形成したカラーフィルタ層14,16,18上に、無機膜20を形成する。無機膜20は、インクジェット法により色変換層24,26を高精度に形成するために、色変換層24,26に対して親液性の下地を提供するための層である。
無機膜20は、上記のように色変換層材料に対して親液性を有する材料、即ちSiOxNy(但し、x≧0、y≧0、x,yはともに0でない)から形成する。ここで、無機膜20が色変換層材料(インク)に対して親液性であるとは、インクおよび無機膜20がともに極性材料である場合と、インクおよび無機膜20がともに非極性材料である場合との双方を含む。
無機膜20の具体的な選定については、上記インクが非極性材料である場合は、無機膜20をSiOxNy(但し、x/y≦1/2)とすることが好ましい。また、無機膜20をSiNy(但し、y≠0)から形成することがさらに好ましい。
これに対し、上記インクが極性材料である場合は、無機膜20をSiOxNy(但し、x/y≧2)とすることが好ましい。また、無機膜20をSiOx(但し、x≠0)から形成することがさらに好ましい。
ここで、分子の極性について検討すると、分子が極性を有する理由の1つに、分子を構成する異種原子同士の電気陰性度に差があることが挙げられる。SiOxNyを構成する原子の電気陰性度については、それぞれ、Si:1.90、O:3.44、N:3.04であり、SiとOとの間の電気陰性度の差は、SiとNとの間の電気陰性度の差よりも大きい。このため、SiOxNy中に、Oに比べてよりNが多く含まれる場合は、SiOxNyがより極性の弱い分子となる。
また、SiOxNyは、OおよびNの構成比に基づき、SiOとSiとの間の電気陰性度に関する物性値をとり、x/y≦1/2の場合はSiNyに近似した物性を示し、x/y≧2の場合はSiOxに近似した物性を示す。
無機膜20(SiOxNy(但し、x≧0、y≧0、x,yはともに0でない))は、スパッタ法またはCVD法により、各カラーフィルタ層14,16,18上に形成することができる。スパッタ法を用いる場合には、Siターゲットを用い、酸素(O)、窒素(N)、およびアルゴン(Ar)の混合比を変えて形成する。特に、無機膜20をSiOよりの組成条件で形成する場合は、SiOターゲットを用いることが、酸素欠損が少なく、かつ透過率の高い膜を形成できる点で好ましい。これに対し、CVD法を用いる場合には、原料ガスとしてモノシラン(SiH)、アンモニア(NH)、亜酸化窒素(NO)、および窒素(N)を用いて形成する。無機膜20をカラーフィルタ層14,16,18上に形成するという観点からは、特に、200℃以下の基板温度で形成することが好ましい。
このようにして、図1に示すような、各カラーフィルタ14,16,18の表面形状を踏襲した段差を有する無機膜20が得られる。
(バンク22を形成する工程)
次に、無機膜20上で、異種のカラーフィルタ層14,16,18の境界となる部分にバンク22を形成する。本発明において、バンク22は、第1の方向に延びる複数のストライプ形状部分から構成される。インクジェット法により高精細度のパターンを形成する場合には、吐出体積を精密に制御しながら微量液滴を吐出する必要があることから、インクの増粘の原因となるインクの固形分含有量をあまり大きくすることができない。このことによって、必要な膜厚を得るために必要なインクの体積が必然的に大きくなる。バンク22は、インクが所望の領域以外に拡散するのを防止する点において有効である。
バンク22は、後述する色変換層24,26を形成するためのインクに対して撥液性を有するものとする。バンク22は、光硬化型または光熱硬化型樹脂(たとえば、硬化性部位を含むアクリル樹脂など)を塗布し、フォトリソグラフィーによりパターニングを行うことによって形成することができる。あるいは、バンク22は、スクリーン印刷法などを用いて、所望の部位に熱可塑性樹脂(たとえば、アクリル樹脂など)または熱硬化性樹脂を付着させることによって形成することができる。
バンク22形成用の材料としては、
(1)アクロイル基またはメタクロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマーおよびオリゴマーと、光または熱重合開始剤からなる組成物膜を光または熱処理して、光ラジカルまたは熱ラジカルを発生させて重合させたもの、
(2)ポリビニル桂皮酸エステルと増感剤からなる組成物を光または熱処理により二量化させて架橋したもの、
(3)鎖状または環状オレフィンとビスアジドとからなる組成物膜を光または熱処理によりナイトレンを発生させ、オレフィンと架橋させたもの、または
(4)エポキシ基を有するモノマーと光酸発生剤とからなる組成物膜を光または熱処理により、酸(カチオン)を発生させて重合させたもの
などが挙げられる。特に上記(1)の光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂が高精細でパターニングが可能であり、耐溶剤性および耐熱性等の信頼性の面でも好ましい。
その他のバンク22形成用の材料としては、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルホン、ポリビニルブチラール、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ノルボルネン系樹脂、メタクリル樹脂、イソブチレン無水マレイン酸共重合樹脂、および環状オレフィン系等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、イミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ユリア樹脂、およびメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、またはポリスチレン、ポリアクリロニトリル、もしくはポリカーボネート等と、3官能性もしくは4官能性のアルコキシシランとを含むポリマーハイブリッド等を利用することもできる。
(無機膜20およびバンク22に対して表面処理を施す工程)
無機膜20およびバンク22の形成時には、レジスト残渣が付着するおそれがある。このため、当該残渣を排除し、無機膜20およびバンク22の本来の表面極性を維持するため、以下の表面処理を施す。
まず、上述したように、色変換層材料が非極性材料である場合には、無機膜20およびバンク22の表面にNプラズマ処理を施す。Nプラズマ処理は、Nガス2000SCCMのガスを流し、印加電力0.5kWとして、120sec間プラズマ処理を行う。特に、処理後1時間以内に続けて色変換層24,26の形成を行うことが、プラズマ処理直後のバンク22の樹脂表面にラジカルを存在させ、バンク22表面の極性を大きくすることができる点で好ましい。これにより、無機膜20およびバンク22上の表面の残渣がなくなり、無機膜20については本来あるべき表面極性である非極性状態とする一方、バンク22については本来あるべき表面極性である極性状態とすることができる。以上により、無機膜20の表面は色変換材料(インク)に対して親液性と、バンク22の表面は当該インクに対して撥液性とすることができる。
これに対し、上述したように、色変換層材料が極性材料である場合には、無機膜20およびバンク22の表面にNプラズマ処理および加熱処理を施す。Nプラズマ処理は、色変換層材料が非極性材料の場合と同様に行う。また、加熱処理は、ホットプレートまたはクリーンオーブンを用いて、150度まで昇温し、この温度で30秒〜1時間程度保持する。最高温度(150度)到達までの昇温時間は、各装置の熱容量の相異または加熱形式の相異などにより異なるが、具体的にはホットプレートでは3〜5分、クリーンオーブンでは10〜20分程度が必要である。また、保持時間を5〜30分とすることが、ラジカル同士の再結合を促進し、当該再結合による反応停止により、極性の小さなバンク22の表面が形成され、かつ生産性を損なわない時間内で表面処理を行うことができる点で好ましい。これにより、無機膜20およびバンク22上の表面の残渣がなくなり、無機膜20については本来あるべき表面極性である極性状態とする一方、バンク22については本来あるべき表面極性である非極性状態とすることができる。以上により、無機膜20の表面は色変換材料(インク)に対して親液性と、バンク22の表面は当該インクに対して撥液性とすることができる。
(色変換層24,26を形成する工程)
次に、インクジェット法を用いて、無機膜20の上に色変換層24,26を形成する。色変換層24,26は、光源からの光を吸収して、異なる波長分布の蛍光を発する機能を有する膜である。図1においては、赤色変換層24および緑色変換層26を形成する例を示す。必要に応じて、赤色変換層24のみを設けてもよい。あるいはまた、赤色変換層24および緑色変換層26に加えて、青色変換層(不図示)を設けてもよい。
色変換層24,26を形成するためのインクは、少なくとも1種の色変換色素と、溶媒とを含む。本発明において用いることができる色変換色素は、Alq3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体)などのアルミキレート系色素;3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、クマリン135などのクマリン系色素;ソルベントイエロー43、ソルベントイエロー44のようなナフタルイミド系色素のような、低分子系有機蛍光色素を含む。あるいはまた、ポリフェニレン、ポリアリーレンおよびポリフルオレンに代表される高分子蛍光材料を、色変換色素として用いてもよい。
必要に応じて、色変換色素として、2種以上の色素の混合物を用いてもよい。色素混合物の使用は、青色光から赤色光への変換時などのように波長シフト幅が広い場合に有効な手段である。色素混合物は、前述の色素同士の混合物であってもよい。あるいはまた、前述の色素と、下記の色素との混合物であってもよい。
(1) ジエチルキナクリドン(DEQ)などのキナクリドン誘導体;
(2) 4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM−1)、DCM−2、およびDCJTBなどのシアニン色素;
(3) 4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラフェニル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン;
(4) ルモゲンFレッド;
(5) ナイルレッド;
(6) ローダミンB、ローダミン6Gなどのキサンテン系色素;および
(7) ピリジン1などのピリジン系色素。
本発明における色変換層形成のためのインク用溶媒は、上記の色変換色素を溶解することができる任意の溶媒を用いることができる。たとえば、トルエンなどの非極性有機溶媒、あるいはクロロホルム、アルコール系、ケトン系などの極性有機溶媒を、インク用溶媒として用いることができる。インク用溶媒は、単一成分で構成されてもよい。あるいはまた、粘度、蒸気圧、溶解性、流動性および/または濡れ性の調整を目的として、複数の溶媒を混合して、インク用溶媒を調製してよい。
本実施形態において、少なくとも1種の色変換色素を、溶媒中に混合することによってインクを作製することができる。水分および酸素の影響を排除するため、不活性ガス(たとえば、窒素またはアルゴンなどの希ガス)雰囲気下でインクを作製することが好ましい。インクを作製する前に、溶媒中の水分および酸素を除去するために、脱気処理、水分吸収剤による処理、酸素吸収剤による処理、蒸留などの当該技術において知られている任意の手段を用いて溶媒を前処理してもよい。
作製したインクは、所望される解像度での塗布が可能であることを条件として、当該技術において知られている任意のインクジェット装置および方法を用いて、バンク22で区画された無機膜20上に付着される。インクジェット装置および方法は、サーマルインクジェット方式であっても、ピエゾインクジェット方式であってもよい。インクジェット方法を用いて付着されたインクは、無機膜20上の溝によって当該溝の延在方向に広がる一方、バンク22によって必要部位以外に広がることが防止される。
付着の後に、溶媒を蒸発させて除去し、少なくとも1種の色変換色素からなる色変換層24,26を形成する。色変換層24,26は、2つのバンク22に挟まれた領域で、第1の方向に延びるストライプ形状を有する。溶媒の除去は、前述の不活性ガス雰囲気下または真空中で、溶媒が蒸発する温度まで加熱することによって実施することができる。この際に、インク中の色変換色素の劣化または熱分解が発生しないように加熱温度を設定することが好ましい。
なお、色変換層材料が非極性材料である場合には、上述したとり、無機膜20およびバンク22の表面処理として、これらに対し、事前にNプラズマ処理のみを施している。このため、図2に示すように、純水に対するバンク22の接触角は経時的に増大する。よって、バンク22の極性状態時に色変換層24,26を形成すべく、純水に対する当該接触角が25度以下である時に、色変換層24,26を形成することが好ましい。図2では、当該接触角が25度となる点がNプラズマ処理後約1時間であるため、色変換層24,26は、これらの表面処理を行った後、1時間以内に行うことが好ましい。
(バリア膜28を形成する工程)
最後に、任意選択的に、無機膜20、バンク22、ならびに赤色変換層24および緑色変換層36を覆うように、バリア層28を形成してもよい。バリア層28は、水および/または酸素の介在によって劣化する材料を用いて色変換層24,26を形成した場合に、色変換層24,26の特性を維持するという点において有効である。
バリア層28は、電気絶縁性を有し、ガスおよび有機溶剤に対するバリア性を有し、かつ可視域における透明性に富む材料(400〜700nmの範囲で透過率50%以上)を使用して形成することができる。用いることができる材料は、たとえば、SiOx、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOxなどの無機酸化物、SiNxなどの無機窒化物、およびSiNxyなどの無機酸化窒化物を含む。バリア層28は、前述の材料の単一の層であってもよく、複数の層の積層体であってもよい。
バリア層28は、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の手法により形成することができる。バリア層28の形成の際の色変換層24,26へのダメージを回避するという点においては、100℃以下の低温で実施することが好ましく、また、成膜に用いる粒子のエネルギーが小さいCVD法を用いて、バリア層28を形成することが好ましい。
以上の説明においては、図1を参照して、3種のカラーフィルタ層14,16,18を用いた例を示した。しかしながら、無機膜を、色変換層材料に対して親液性を有するSiOxNyから形成することを条件として、本発明の製造方法が、2種または4種以上のカラーフィルタ層を用いた色変換フィルタの製造に適用できることは明らかである。
<色変換フィルタの形成>
(実施例1:色変換層材料が非極性材料である場合)
実施例1の色変換フィルタは、図1に従い、以下のように形成した。
透明基板10(コーニング社製1737ガラス)上に、カラーモザイクCK−7001(富士フィルム株式会社から入手可能)を塗布し、フォトリソグラフ法を用いて、複数の矩形状開口部を有するブラックマトリクス12を形成した。ブラックマトリクス12は、1μmの膜厚を有していた。矩形状開口部のそれぞれ(サブピクセルに相当する)は、縦方向300μm×横方向100μmを有し、隣接する矩形状開口部間の間隔は、縦方向30μmおよび横方向10μmであった。
次に、カラーモザイクCR−7001(富士フィルム株式会社から入手可能)を塗布し、フォトリソグラフ法を用いて、縦方向に延びる複数のストライプ形状部分からなる赤色カラーフィルタ層14を形成した。複数のストライプ形状部分のそれぞれは、図1に示すようにストライプ形状部分の両側縁がブラックマトリクス12に重畳し、1μmの膜厚および110μmの幅を有し、220μmの間隔で配置された。
次に、カラーモザイクCG−7001およびCB−7001(いずれも富士フィルム株式会社から入手可能)を用いたことを除いて、赤色カラーフィルタ層14と同様の手順を用いて、緑色カラーフィルタ層16および青色カラーフィルタ層18を形成した。緑色カラーフィルタ層16および青色カラーフィルタ層18の両方においても、複数のストライプ形状部分のそれぞれは、ストライプ形状部分の両側縁がブラックマトリクス12に重畳し、1μmの膜厚および110μmの幅を有し、220μmの間隔で配置された。
次に、無機膜20を形成した。原料ガスとしてモノシラン(SiH)、アンモニア(NH)、および窒素(N)を用い、プラズマCVD装置にて、膜厚300μmの窒化シリコン(SiN)を形成した。
さらに、バンク22を形成した。光硬化性アクリル樹脂(V259PA/P5、新日鐵化学製)を塗布し、フォトリソグラフィー法によってパターニングを行い、異なるカラーフィルタ層14,16,18の境界となる部分であって、かつ、無機膜20上に、縦方向に延びる複数のストライプ形状部分からなるバンク22を形成した、バンク22を構成するストライプ形状部分のそれぞれは、10μmの幅、および5μmの高さを有していた。
次いで、無機膜20とバンク22の表面処理を行った。Nガス2000SCCMのガスを流し、圧力100Pa、印加電力0.5kWとし、120sec間プラズマ処理を行った。
このように表面処理がなされた無機膜20とバンク22とにより画成された領域に、赤色変換層24および緑色変換層26を形成した。なお、これらの形成は、バンク22の純水に対する接触角が25度以下である時間内(プラズマ処理後1時間以内)に行った。
赤色変換層24については、非極性有機溶媒のトルエン1000重量部、および第1色素であるクマリン6と第2色素である4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(4−ジメチルアミノスチリル) 4H−ピラン(DCM)との混合物(モル比はクマリン6:DCM=48:2)50重量部を混合して、インクを調製した。このインクは、非極性材料である。調製したインクをインクジェット装置(Litrex 120L ライトレックス製)に装填した。次いで、窒素雰囲気中で無機膜20上に、1サブピクセルあたり42pLのインクを付着させた。窒素雰囲気を破ることなしに、インクを付着させたカラーフィルタを真空乾燥炉中に移動させ、1.0×10-3Paの圧力の下で100℃に加熱してトルエンの除去を行った。得られた赤色変換層24は500nmの膜厚を有していた。
緑色変換層26については、非極性有機溶媒のトルエン1000重量部、および第1色素であるクマリン6と第2色素であるジエチルキナクリドン(DEQ)との混合物(モル比はクマリン6:DEQ=48:2)50重量部を混合して、インクを調製した。このインクは、非極性材料である。調製したインクをインクジェット装置(Litrex 120L ライトレックス製)に装填した。次いで、窒素雰囲気中で無機膜20上に、1サブピクセルあたり42pLのインクを付着させた。窒素雰囲気を破ることなしに、インクを付着させたカラーフィルタを真空乾燥炉中に移動させ、1.0×10-3Paの圧力の下で100℃に加熱してトルエンの除去を行った。得られた緑色変換層26は500nmの膜厚を有していた。
次いで、真空を破ることなしに、赤色変換層24および緑色変換層26を形成した積層体を、プラズマCVD装置内に移動させた。プラズマCVD法を用いて、膜厚1μmの窒化シリコン(SiN)を堆積させてバリア層28を形成し、実施例1の色変換フィルタを得た。ここで、モノシラン(SiH4)、アンモニア(NH3)および窒素(N2)を原料ガスとして用いた。また、バリア層形成時の積層体の温度を100℃以下に維持した。
(実施例2:色変換層材料が極性材料である場合)
実施例1と同様に透明基板10にブラックマトリックス12および各カラーフィルタ層14,16,18を形成した。
次に、実施例1のSiNxの代わりにスパッタリング装置を用いて無機膜20としてSiOxを300nm形成した。
さらに、実施例1と同様にバンク22を形成した。
次いで、無機膜20およびバンク22の表面処理として、実施例1で行ったNプラズマ処理を施した後、続いてホットプレート上にて150℃で20分間加熱処理を行った。
このように表面処理がなされた無機膜20とバンク22とにより画成された領域に、赤色変換層24および緑色変換層26を形成した。
赤色変換層24については、極性有機溶媒のエタノール1000重量部、および第1色素であるトリ−8−ハイドロキノリンアルミニウム(Alq3)と第2色素であるローダミンBとの混合物(モル比はAlq3:ローダミンB=48:2)50重量部を混合して、インクを調製した。このインクは、極性材料である。調製したインクをインクジェット装置(Litrex 120L ライトレックス製)に装填した。次いで、窒素雰囲気中で無機膜20上に、1サブピクセルあたり42pLのインクを付着させた。窒素雰囲気を破ることなしに、インクを付着させたカラーフィルタを真空乾燥炉中に移動させ、1.0×10-3Paの圧力の下で100℃に加熱してトルエンの除去を行った。得られた赤色変換層24は500nmの膜厚を有していた。
緑色変換層26については、極性有機溶媒のエタノール1000重量部、およびトリ−8−ハイドロキノリンアルミニウム(Alq3)50重量部を混合して、インクを調製した。このインクは、極性材料である。調製したインクをインクジェット装置(Litrex 120L ライトレックス製)に装填した。次いで、窒素雰囲気中で無機膜20上に、1サブピクセルあたり42pLのインクを付着させた。窒素雰囲気を破ることなしに、インクを付着させたカラーフィルタを真空乾燥炉中に移動させ、1.0×10-3Paの圧力の下で100℃に加熱してトルエンの除去を行った。得られた緑色変換層26は500nmの膜厚を有していた。
最後に、実施例1と同様にバリア層28を形成し、実施例2の色変換フィルタを得た。
<評価>
実施例1および実施例2の色変換フィルタについて、混色の発生の有無を評価した。本発明における「混色」とは、インクが隣接する他の色の領域に回り込んで、赤色変換層24または緑色変換層26のいずれかが混色されたことを意味する。その結果を表1に示す。
Figure 2009266580
表1に示すように、無機膜として、色変換層材料に対して親液性を有するSiOxNy(但し、x≧0、y≧0、x,yはともに0でない)を用いた、実施例1,2においては、色変換層材料(インク)が非極性材料または極性材料のいずれであっても、混色なく色変換層が形成されたことが判る。
本発明によれば、所定の無機膜材料を用いることで、色変換層形成に際して下地となる無機膜を、インクに対して親液性を有する状態に制御することができる。また、このような条件に加えて、同一のバンク材料を用いながら所定のバンク表面処理を施すことで、色変換層形成に際して壁となるバンクを、インクに対して撥液性を有する状態に制御することができる。このため、本発明によれば、インクジェット法による色変換層の高精細度パターン形成を、新規の蛍光材料の使用に際して生産装置の構成変更を行うことなく、低コストで、行うことができる。従って、本発明は、今後益々低コスト化が要請されるフラットパネルディスプレイに用いる色変換フィルタを低廉に製造できる点で有望である。
本発明の方法により得られた色変換フィルタを示す断面図である。 プラズマ処理後(またはNプラズマ処理および加熱処理)後の純水に対するアクリル樹脂の接触角の経時変化を示すグラフである。
符号の説明
10 透明基板
12 ブラックマトリクス
14 赤色カラーフィルタ層
16 緑色カラーフィルタ層
18 青色カラーフィルタ層
20 無機膜
22 バンク
24 赤色変換層
26 緑色変換層
28 バリア層

Claims (5)

  1. (a)透明基板上に複数種のカラーフィルタ層を形成する工程であって、該複数種のカラーフィルタ層のそれぞれは、第1の方向に延びる複数のストライプ形状部分から構成される工程と、
    (b)前記カラーフィルタ層の全面に、無機膜を形成する工程であって、前記無機膜を、色変換層材料に対して親液性を有するSiOxNy(但し、x≧0、y≧0、x,yはともに0でない)から形成する工程と、
    (c)前記複数種のカラーフィルタ層の境界位置で、前記無機膜上に、光硬化性または光熱併用型硬化性樹脂からなるバンクを形成する工程であって、前記バンクは第1の方向に延びる複数のストライプ形状部分から構成される工程と、
    (d)前記無機膜および前記バンクに対して表面処理を施す工程と、
    (e)前記無機膜上に、インクジェット法を用いて、特定の波長の光を吸収し、吸収した波長と異なる波長を含む光を出力する色変換層を形成する工程と
    を含む、色変換フィルタの製造方法。
  2. 前記色変換層材料が非極性材料である場合に、前記無機膜をSiOxNy(但し、x/y≦1/2)とするとともに、工程(e)での表面処理をNプラズマ処理とし、前記プラズマ処理後、バンクの純水に対する接触角が25度以下である時間内に、前記無機膜上に色変換層を形成することを特徴とする、請求項1に記載の色変換フィルタの製造方法。
  3. 前記無機膜をSiNy(但し、y≠0)から形成することを特徴とする、請求項2に記載の色変換フィルタの製造方法。
  4. 前記色変換層材料が極性材料である場合に、前記無機膜をSiOxNy(但し、x/y≧2)とするとともに、工程(e)での表面処理をNプラズマ処理と加熱処理との組み合わせとすることを特徴とする、請求項1に記載の色変換フィルタの製造方法。
  5. 前記無機膜をSiOx(但し、x≠0)から形成することを特徴とする、請求項4に記載の色変換フィルタの製造方法。
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