JP2009134940A - 色変換フィルタの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バンクを別途形成しなくても所望の位置に色変換層を形成することができる、インクジェット法を用いた色変換フィルタの製造方法の提供。
【解決手段】(a)透明基板上に、n種類(nは2以上の整数)のカラーフィルタ層を独立して形成する工程であって、異なる2種のカラーフィルタ層の境界において少なくとも2種類のカラーフィルタ層を重ね合わせてバンクを形成する工程と、(b)インクジェット法を用いて蛍光材料を含むインクをm種類(mはn−1以下の自然数)のカラーフィルタ層の上に付着させてm種の色変換層を形成する工程とを含み、n種類のカラーフィルタ層の1つは撥液性カラーフィルタ層であり、バンクの最上層は撥液性カラーフィルタ層であり、撥液性カラーフィルタ層の上には前記色変換層を形成しないことを特徴とする色変換フィルタの製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】(a)透明基板上に、n種類(nは2以上の整数)のカラーフィルタ層を独立して形成する工程であって、異なる2種のカラーフィルタ層の境界において少なくとも2種類のカラーフィルタ層を重ね合わせてバンクを形成する工程と、(b)インクジェット法を用いて蛍光材料を含むインクをm種類(mはn−1以下の自然数)のカラーフィルタ層の上に付着させてm種の色変換層を形成する工程とを含み、n種類のカラーフィルタ層の1つは撥液性カラーフィルタ層であり、バンクの最上層は撥液性カラーフィルタ層であり、撥液性カラーフィルタ層の上には前記色変換層を形成しないことを特徴とする色変換フィルタの製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、色変換フィルタの形成方法に関する。特に、高精度なパターンを有する色変換層を含む色変換フィルタの製造方法に関する。
近年、ディスプレイ分野においては、マルチカラー表示またはフルカラー表示が可能な、多色発光型ディスプレイの開発が行なわれている。特に、有機EL素子の特性を有効に利用し得る、高精細な多色発光型有機ELディスプレイの開発が盛んに行なわれている。なぜなら、有機EL素子は、低電圧の印加によって高い電流密度を得ることができ、それによって高い発光輝度および発光効率を実現することができるからである。
有機EL素子を用いて多色発光を実現する方法の一つとして色変換法がある。色変換法は有機EL素子の発光を吸収し、吸収波長と異なる波長分布の発光を行う色変換膜を有機EL素子の前面に配設して多色を表現する方法であり、色変換膜としては高分子樹脂へ蛍光色素を分散させたものが開示されている(特許文献1参照)。本方式は有機ELが単色でよいため製造が容易であり、大画面ディスプレイへの展開が積極的に検討されている。
また、前述の色変換膜とカラーフィルタ層を組み合わせることによって良好な色再現性が得られる等の特徴を有している。しかし開示されている色変換膜で十分な効率を得るためにはその膜厚を10μm程度まで厚くする必要があり、その上面に有機EL素子を形成するためには色変換層の凹凸を平滑にする技術や、色変換層から生じる水分を遮断する技術等、特殊な技術を要する。これはパネルのコストアップにつながる。
上記問題点を解決する方策として、有機EL素子の電極間にドライプロセスにて色変換能を有する層を配設することが挙げられる(特許文献2参照)。また、有機EL素子の出力側に、色変換物質を蒸着もしくはスパッタなどのドライプロセスにより堆積する方法が開示されている(特許文献3および4参照)。最適な色変換材料を選択できれば、これらに開示された構造にて、水分発生の問題のない高効率且つ薄膜(1μm以下)の色変換素子が実現できる。
ドライプロセスにより色変換層を形成する場合には、下地となる層の全面に色変換層を形成するため、3原色(赤色(R)、緑色(G)および青色(B))のそれぞれを発光する領域の分離ができない。このため、何らかの手段によって、特定の原色に対応する微細パターン(サブピクセル)を有する色変換層の形成が必要となる。ドライプロセスにおいてパターン状の薄膜形成する方法の例として、メタルマスクによる塗分け法が知られている(特許文献3参照)。
しかしながら、メタルマスクはその性質上、貫通した開口部を必須とすることから、メタルマスクの強度を確保するためには隣接する開口部間の間隔(すなわち、フレームの幅)を確保する必要がある。したがって、メタルマスクの高精細化には限界が存在する。また、メタルマスクの背後への蒸着物質の回り込みが生じることからも、メタルマスクを用いて形成するパターンの微細化には限界がある。実際、150ピクセル毎インチ(ppi)の精細度レベルが限界であり、それを超える高精細なパターンの形成は困難である。
さらには、基板が大きくなるにつれてメタルマスクの剛性に対する要求が増大し、剛性が不足した場合にはマスクが撓むという問題点もある。この問題のため、基板の大面積化に問題がある。加えて、メタルマスクを成膜基板上に配置する際のパターンずれなどの理由による歩留りの低下が発生して、低コスト化が困難になるという問題もある。
さらには、基板が大きくなるにつれてメタルマスクの剛性に対する要求が増大し、剛性が不足した場合にはマスクが撓むという問題点もある。この問題のため、基板の大面積化に問題がある。加えて、メタルマスクを成膜基板上に配置する際のパターンずれなどの理由による歩留りの低下が発生して、低コスト化が困難になるという問題もある。
上記のドライプロセスにおける問題点に対処するために、インクジェット法を用いて色変換層を形成する技術が提案されている(特許文献5〜8参照)。インクジェット法により、精密パターニングを行う際は、微量液滴を精密塗出させる必要性があることから、増粘原因となるインク固形分比をあまり上げられない。従って、必要膜厚に対して液滴の体積は必然的に大きなものとなるため、精度良くパターンを形成する解決策として、基板側にバンクを形成する方法が提案されている(特許文献9参照)。バンクは形状だけでなく、濡れ性の制御が重要である。具体的には壁面はインクに対して撥液性を有し、下地は親液性を有する状態にすることが必要となる。濡れ性を制御する方法としては、プラズマ処理等の表面処理を行う方法が提案されている(特許文献9参照)。
一方、色変換層を伴わないカラーフィルタ方式(光源光の特定波長域のみを透過させることによって所望の波長を有する光を外部に放出する方式)のディスプレイにおいて、工程数の増加および製造コストの増加を抑制することを目的として、複数種のカラーフィルタ層を重ね合わせて所望の領域に遮光部を形成する方法が提案されている(特許文献10参照)。
インクジェット法の利点はインクの利用効率が非常に高く、膜の作製コストを抑えられる点にある。しかしながら、インクジェット法によって色変換層を形成する提案は、いずれにおいても、別途形成するバンクを用いている。複雑なバンク構成プロセスの必要性は、色変換フィルタの製造コストの増大を招く。したがって、本発明が解決しようとする課題はバンク形成による基板作製工数の増加を抑え、低コストで色変換膜のパターニングが行うことができる色変換フィルタの製造方法を提供することにある。
前述の課題を解決する手段について鋭意検討した結果、以下の方法で課題を解決できることを見出した。
本発明の色変換フィルタの製造方法は:(a)透明基板上に、それぞれ異なる波長域の光を透過する、n種類のカラーフィルタ層を独立して形成する工程であって、異なる2種のカラーフィルタ層の間に位置するブラックマトリクス上において、少なくとも2種類のカラーフィルタ層を重ね合わせてバンクを形成する工程と;(b)インクジェット法を用いて蛍光色素を含むインクをm種類のカラーフィルタ層の上に付着させて、特定の波長の光を吸収し、吸収した波長と異なる波長を含む光を出力するm種の色変換層を形成する工程とを含み、nは2以上の整数であり、mはn−1以下の自然数であり、前記n種類のカラーフィルタ層の1つは、前記インクに対して撥液性を有する成分を含む撥液性カラーフィルタ層であり、前記バンクの最上層は、前記撥液性カラーフィルタ層であり、前記撥液性カラーフィルタ層の上には前記色変換層を形成しないことを特徴とする。ここで、前記撥液性を有する成分がフッ素系表面改質剤であってもよい。また、上記の方法において、nは3であることができ、その際に、工程(a)において形成されるバンクは、2種または3種のカラーフィルタ層を重ね合わせて形成することができる。
以上の構成を採ることによって、バンク形成の工程を別途追加することなしに、部分的に濡れ性の制御を行ったカラーフィルタ層の重ね合わせによって、インクジェット法で色変換層を形成する際のバンクを形成することが可能となる。具体的には、撥液性カラーフィルタ層32を最上層とするバンクを用いることによって高精細度のパターンを有する色変換層を、簡便な方法を用い、低コストで作製することができる。したがって、本発明は、近年、益々高精細度な表示装置の開発が要請されている各種フラットパネルディスプレイの製造に適用可能な点で有望である。
本発明の色変換フィルタの製造方法は:(a)透明基板上に、それぞれ異なる波長域の光を透過する、n種類のカラーフィルタ層を独立して形成する工程であって、異なる2種のカラーフィルタ層の境界において、少なくとも2種類のカラーフィルタ層を重ね合わせてバンクを形成する工程と;(b)インクジェット法を用いて蛍光色素を含むインクをm種類のカラーフィルタ層の上に付着させて、特定の波長の光を吸収し、吸収した波長と異なる波長を含む光を出力するm種の色変換層を形成する工程とを含み、nは2以上の整数であり、mはn−1以下の自然数であり、前記n種類のカラーフィルタ層の1つは、前記インクに対して撥液性を有する成分を含む撥液性カラーフィルタ層であり、前記バンクの最上層は、前記撥液性カラーフィルタ層であることを特徴とする。以下、n=3(R,G,B)、m=2(R,G)の場合について、本発明の好適な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の単なる一例であって、当業者であれば、適宜設計変更可能である。図1は、本発明の製造方法を示す図であり、(a)〜(e)は各工程を示す断面図である。図2は、本発明の製造方法によって得られる色変換フィルタの上面図であり、図1(a)〜(e)の各断面図は、切断線Ie−Ieの位置の断面に相当する。
最初に、任意選択的であるが、図1(a)に示すように、透明基板10上にブラックマトリクス20を形成する。ブラックマトリクス20は、塗布法(スピンコートなど)を用いて透明基板10全面に形成した後に、フォトリソグラフ法などを用いてパターニングしてもよいし、あるいはスクリーン印刷法などを用いてパターン状に形成してもよい。ブラックマトリクス20は、第1の方向および第2の方向(第1の方向と直交する方向)に延びるストライプ形状部分から構成され、複数の開口部を有する格子状の形状を有する一体の層として構成される。ブラックマトリクス20の開口部がサブピクセルを形成する位置となる。
透明基板10は、光透過性に富み、かつブラックマトリクス20、カラーフィルタ層30(R,G,B)、ならびに後述する色変換層40および有機EL素子の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐える材料を用いて形成される。さらに寸法安定性に優れた材料を用いることが好ましい。また、多色発光ディスプレイの性能低下を引き起こさない材料が好ましい。透明基板10の材料の例は、ガラス、各種プラスチック、各種フィルムなどを含む。
ブラックマトリクス20は、可視光を遮断して、コントラストを向上させることを主たる目的とする、任意選択的に設けてもよい層である。ブラックマトリクス20は、通常のフラットパネルディスプレイ用の材料を用いて形成することができる。特に、後述する色変換層40を形成するためのインクに含まれる溶剤に対する耐性を有することが望ましい。ブラックマトリクス20を設ける場合、少なくとも2種類のカラーフィルタ層を重ね合わせて形成されるバンク(隔壁)は、ブラックマトリクス20上に形成される。本発明においては、コントラストを向上させることに加えて、十分なバンクの高さを確保する目的においても、ブラックマトリクスを設けることが好ましい。ブラックマトリクス20の膜厚は、後述するバンクの高さの条件を満たす限りにおいて、任意に設定することができる。
次に、それぞれ異なる波長域の光を透過する、n種(nは2以上の整数である)のカラーフィルタ層30を独立して形成する。カラーフィルタ層30は、可視光の特定波長域を透過させ、透過光を所望の色相とし、および透過光の色純度を向上させるための層である。n種のカラーフィルタ層30の内の1種は、色変換層を形成するためのインクに対して撥液性を有する成分を含む撥液性カラーフィルタ層32である。
n種のカラーフィルタ層30の内、その上に色変換層を形成されないものを撥液性カラーフィルタ層32とすることが好ましい。したがって、撥液性カラーフィルタ層32は、n種のカラーフィルタ層30の内、最も短波長の領域の光を透過させる層であることが望ましい。すなわち、RGBの3種のカラーフィルタ層30を用いる場合には、青色(B)を撥液性カラーフィルタ層32Bとすることが望ましい。また、撥液性カラーフィルタ層32は、n種のカラーフィルタ層30の内で最後に形成される。形成順序を最後にすることによって、異なる2種のカラーフィルタ層30の境界に形成されるバンクの最上層を撥液性カラーフィルタ層32とすることができる。
撥液性カラーフィルタ層32以外のカラーフィルタ層30は、フラットパネルディスプレイ用の市販の材料を用いて形成することができる。本発明においてバンク形成に活用するフィルターについては、色変換層を形成するためのインクに対して溶解しないことが求められる。近年はフォトレジストに顔料を分散させた、顔料分散型カラーフィルターが良く用いられ、これらは光・熱にて3次元架橋させた後は有機溶媒に対して不溶性となるため、本発明においても問題なく使用できる。図1に示したように3種のカラーフィルタ層を用いる場合、500nm〜600nmの波長域の光を透過する緑色カラーフィルタ層30G、および600nm以上の波長域の光を透過する赤色カラーフィルタ層30Rを用いることが望ましい。
撥液性カラーフィルタ層32は、フラットパネルディスプレイ用の市販の材料に対して撥液性を有する成分を添加した混合物を用いて形成することができる。本発明の撥液性を有する成分は、カラーフィルタ層形成後に膜表面に多く分布し、表面の撥液性を制御する成分である。本発明においては、フッ素系表面改質剤、シリコーン系表面改質剤、炭化水素系表面改質剤などを、撥液性を有する成分として使用することができる。色変換層形成用インクの極性に依存せずに撥液性を発現することができるフッ素系表面改質剤を用いることが望ましい。図1に示したように3種のカラーフィルタ層を用いる場合、400nm〜550nmの波長域の光を透過する撥液性青色カラーフィルタ層32Bを用いることが望ましい。
第1に、図1(b)に示すように、赤色カラーフィルタ層30Rを形成する。赤色カラーフィルタ層30Rは、望ましくは、第1の方向に延びるストライプ形状の複数の部分から構成される。この際に、図1(b)に示すように、赤色カラーフィルタ層30Rは、赤色サブピクセル100Rとなる開口部を覆い、かつ赤色サブピクセル100Rに隣接するブラックマトリクス20(すなわち、緑色カラーフィルタ層30Gおよび撥液性青色カラーフィルタ層32Bとの境界であり、異色のサブピクセルとの境界となるブラックマトリクス20)上に重なるように形成される。
第2に、図1(c)に示すように、緑色カラーフィルタ層30Gを形成する。緑色カラーフィルタ層30Gもまた、望ましくは、第1の方向に延びるストライプ形状の複数の部分から構成され、形成される位置が異なる点を除いて、赤色カラーフィルタ層30Rと同様の形状を有する。すなわち、緑色カラーフィルタ層30Gは、緑色サブピクセル100Gとなる開口部を覆う。そして、緑色カラーフィルタ層30Gと赤色カラーフィルタ層30Rとの間(すなわち、赤色サブピクセル100Rと緑色サブピクセル100Gとの間)の部位においては、ブラックマトリクス20と赤色カラーフィルタ層30Rの積層体に重なるように緑色カラーフィルタ層30Gが形成される。一方、緑色カラーフィルタ層30Gは、撥液性青色カラーフィルタ層32Bとの境界となるブラックマトリクス20上に重なるように形成される。
第3に、図1(d)に示すように、撥液性青色カラーフィルタ層32Bを形成する。撥液性青色カラーフィルタ層32Bは、2種の部分から構成される。第1の部分は、形成される位置が異なる点を除いて、赤色および緑色カラーフィルタ層30(R,G)と同様の第1の方向に延びるストライプ形状の複数の部分から構成される。第1の部分は、青色サブピクセル100Bとなる開口部を覆う。同時に、青色サブピクセル100Bと赤色サブピクセル100Rとの境界において、撥液性青色カラーフィルタ層32Bは、ブラックマトリクス20と赤色カラーフィルタ層30Rとの積層体に重なるように形成される。さらに、青色サブピクセル100Bと緑色サブピクセル100Gとの境界において、撥液性青色カラーフィルタ層32Bは、ブラックマトリクス20と緑色カラーフィルタ層30Gの積層体に重なるように形成される。以上の領域に形成される撥液性カラーフィルタ層32Bの第1の部分によって、青色サブピクセル100B/赤色サブピクセル100R間、および青色サブピクセル100B/緑色サブピクセル100G間において、ブラックマトリクス20と2種のカラーフィルタ層の積層構造を有するバンクが形成され、その最上層は撥液性青色カラーフィルタ層32Bである。
一方、撥液性青色カラーフィルタ層32Bの第2の部分は、赤色サブピクセル100Rと緑色サブピクセル100Gとの境界に位置する緑色カラーフィルタ層30Gの上に形成される。第2の部分は、第1の方向に延びるストライプ形状の複数の部分から構成されるが、その形成位置および幅が前述の赤色および緑色カラーフィルタ層30(R,G)ならびに撥液性青色カラーフィルタ層32Bの第1の部分と異なる。したがって、赤色サブピクセル100R/緑色サブピクセル100G間において、ブラックマトリクス20と3種のカラーフィルタ層の積層構造を有するバンクが形成され、その最上層は撥液性青色カラーフィルタ層32Bを最上層である。
上述のカラーフィルタ層30および撥液性カラーフィルタ層32のそれぞれは、塗布法(スピンコートなど)を用いて透明基板10全面に形成した後に、フォトリソグラフ法などを用いてパターニングを実施することによって形成してもよいし、あるいはスクリーン印刷法などを用いてパターン状に形成してもよい。また、上記の説明では、赤色カラーフィルタ層30R、緑色カラーフィルタ層30G、および撥液性青色カラーフィルタ層32Bの順序で3種のカラーフィルタ層(30、32)を形成したが、撥液性カラーフィルタ層32を最後に形成することを条件として、その形成順序は適宜変更することができる。
以上の工程によって、異なる2種のカラーフィルタ層(30、32)の境界に、ブラックマトリクス20、および2種ないし3種のカラーフィルタ層が積層されたバンクが形成される。本発明における「バンクの高さ」は、バンクを構成する各層(ブラックマトリクス20およびカラーフィルタ層(30、32))の膜厚の合計と、当該バンクに隣接し、透明基板10に接するカラーフィルタ層30の膜厚との差を意味する。本発明における「バンクの高さ」は、後述する色変換層を形成するためのインクの粘度、バンクの濡れ性、サブピクセルの精細度、色変換層40の膜厚などのパラメータに依存して決定されるため、厳密に定義することは難しいが、本発明の目的においては色変層層40の膜厚の4倍〜10倍の高さを有することによって、色変換層の混色を防止できることが見いだされている。
次に、図1(e)に示すように、m種(mはn−1以下の整数である)のカラーフィルタ層30の上(サブピクセル100に相当する位置)に、インクジェット法を用いて、色変換層40を形成する。RGBの3種のカラーフィルタ層を用いる場合、少なくとも赤色変換層40Rが形成され、加えて緑色変換層40Gを形成してもよい。図1(e)には、赤色サブピクセル100R上方に赤色変換層40Rが形成され、および緑色サブピクセル100G上方に緑色変換層40Gが形成され、青色サブピクセル100B上には色変換層が形成されていない色変換フィルタを示した。
色変換層40を形成するためのインクは、少なくとも1種の蛍光材料と、溶媒とを含む。本発明において好適に用いることができる蛍光材料は、Alq3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体)などのアルミキレート系色素、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、クマリン135などのクマリン系色素、ソルベントイエロー43、ソルベントイエロー44のようなナフタルイミド系色素などの低分子有機蛍光色素を含む。また、蛍光材料として、ポリフェニレン系、ポリアリーレン系、ポリフルオレン系に代表される各種高分子発光材料を用いてもよい。
別法として、前述の蛍光材料に第2蛍光材料を加えた2種の蛍光材料の混合物を用いて色変換層を形成してもよい。この構成においては、前述の蛍光材料が色変換層40への入射光、好ましくは有機EL素子の発する青色〜青緑色の光を吸収し、吸収したエネルギーを第2蛍光材料に移動させ、第2蛍光材料が所望の波長の光を放射する。本発明において第2蛍光材料として好適に用いることができる蛍光材料は、ジエチルキナクリドン(DEQ)などのキナクリドン誘導体;4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM−1、(I))、DCM−2(II)、およびDCJTB(III)などのシアニン色素;ローダミンB、ローダミン6Gなどのキサンテン系色素;ピリジン1などのピリジン系色素;4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラフェニル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(IV);ルモゲンFレッド;ナイルレッド(V)などの低分子有機蛍光色素を含む。あるいはまた、各種低分子発光材料、各種高分子EL発光材料も適用できる。
第2蛍光材料を用いる場合、第2蛍光材料が濃度消光を起こさないことが重要である。なぜなら、第2蛍光材料が所望の光を放射する材料であり、その濃度消光は色変換の効率の低下をもたらすからである。本発明の色変換層40における第2蛍光材料の濃度の上限は、用いる材料に依存して変化し得る。一般的には、本発明の色変換層40における第2蛍光材料の好ましい濃度は、色変換層40の総構成分子数を基準として、10モル%以下、好ましくは0.01〜10モル%、より好ましくは0.1〜5モル%の範囲内である。このような範囲内の濃度で第2蛍光材料を用いることによって、濃度消光を防止すると同時に、十分な変換光強度を得ることが可能となる。
第2蛍光材料を添加する構成は、入射光の吸収ピーク波長と色変換の発光ピーク波長との差を大きくすることができるため、青色から赤色への変換時など波長シフト幅が大きい場合に有効である。さらに、機能が分離されたことによって、蛍光材料の選択肢を広げることが可能となる。
本発明における色変換層形成のためのインク用溶媒は、上記蛍光材料を溶解することができる任意の溶媒を用いることができる。たとえば、トルエンなどのベンゼン系など非極性溶媒、クロロホルム、アルコール系、ケトン系などの極性溶媒を、インク用溶媒として用いることができる。インク用溶媒は、単一成分で構成されてもよく、粘度、蒸気圧および/または溶解性複数の溶媒の混合物であってもよい。
本発明において、少なくとも1種の蛍光材料を、溶媒中に混合することによってインクを作製することができる。水分および酸素の影響を排除するため、不活性ガス(たとえば、窒素またはアルゴンなどの希ガス)雰囲気下でインクを作製することが好ましい。インクを作製する前に、溶媒中の水分および酸素を除去するために、脱気処理、水分吸収剤による処理、酸素吸収剤による処理、蒸留などの当該技術において知られている任意の手段を用いて溶媒を前処理してもよい。
作製したインクは、所望される解像度での塗布が可能であることを条件として、当該技術において知られている任意のインクジェット装置および方法を用いて、カラーフィルタ層30上に付着される。インクジェット装置および方法は、サーマルインクジェット方式であっても、ピエゾインクジェット方式であってもよい。
付着の後に、溶媒を蒸発させて除去し、少なくとも1種の蛍光材料からなる色変換層40を形成する。溶媒の除去は、前述の不活性ガス雰囲気下または真空中で、溶媒が蒸発する温度まで加熱することによって実施することができる。なお、インク中の蛍光材料の劣化または熱分解が発生しないように、加熱温度を設定することが望ましい。
本発明の色変換層40は、2000nm(2μm)以下、好ましくは100〜2000nm、より好ましくは100〜1000nmの膜厚を有する。インク中の蛍光材料の濃度が小さい場合、インクの付着および溶媒の除去を複数回にわたって反復することによって、所望の膜厚の色変換層40を形成してもよい。
以上の工程を実施して得られる色変換層40は、カラーフィルタ層30と同様に第1の方向に延びるストライプ形状を有する。赤色変換層40Rを例として説明する。図1(e)に示すように、緑色サブピクセル100G/赤色サブピクセル100R間のバンクおよび青色サブピクセル100B/赤色サブピクセル100R間のバンクによって、緑色および青色サブピクセル110(G,B)への拡散が防止され、赤色サブピクセル100R上で、赤色カラーフィルタ層30Rと同様の第1の方向に延びるストライプ形状を有する赤色変換層40Rが形成される。図1に示した例においては、重なり合う2種のカラーフィルタ層(30、32)の膜厚の合計に加えて、ブラックマトリクス20の膜厚もバンクの高さに寄与するので、インクジェット方法を用いて付着されるインクの必要部位以外への拡散をより有効に防止することができる。また、図2に示すように、緑色サブピクセル100G/赤色サブピクセル100R間のバンクおよび青色サブピクセル100B/赤色サブピクセル100R間のバンクの両方において、最上層は撥液性青色カラーフィルタ層32Bであり、バンクの高さに加えて、撥液性青色カラーフィルタ層32Bによってインクがはじかれることによって、隣接する緑色および青色サブピクセル100(G,B)への拡散が防止される。
緑色変換層40Gにおいても同様である。すなわち、青色サブピクセル100B/緑色サブピクセル100G間のバンクおよび赤色サブピクセル100R/緑色サブピクセル100G間に設けられ、最上層が撥液性青色カラーフィルタ層32Bであるバンクによって、赤色および青色サブピクセル100(R,B)への拡散が防止され、緑色サブピクセル100G上で、緑色カラーフィルタ層30Gと同様の第1の方向に延びるストライプ形状を有する緑色変換層40Gが形成される。
本発明の色変換フィルタの製造方法の変形例を図3に示す。この変形例は、上記の例と同様にn=3(R,G,B)、m=2(R,G)の場合に関し、隣接する2種のカラーフィルタ層の境界に、3種のカラーフィルタ層を積層したバンクを形成する。図3(a)は、本変形例によって得られる色変換フィルタの上面図であり、図3(b)切断線IIIb−IIIbの位置の断面図である。
本変形例は、撥液性カラーフィルタ層32以外のカラーフィルタ層30、すなわち赤色カラーフィルタ層30Rおよび緑色カラーフィルタ層30Gの形成する位置を除いて、前述の例と同様の手順によって実施される。
本変形例において、赤色カラーフィルタ層30Rは、赤色サブピクセル100Rとなるブラックマトリクス20の開口部、赤色サブピクセル100R/緑色サブピクセル100Gの境界のブラックマトリクス20、および赤色サブピクセル100R/青色サブピクセル100Bの境界のブラックマトリクス20の上に形成される第1の部分(前述の例で形成したもの)に加えて、緑色サブピクセル100G/青色サブピクセル100Bの境界に位置するブラックマトリクス20上の第2の部分から構成される。
同様に、緑色カラーフィルタ層30Gは、緑色サブピクセル100Gとなるブラックマトリクス20の開口部、緑色サブピクセル100G/赤色サブピクセル100Rの境界に形成された赤色カラーフィルタ層30R、および緑色サブピクセル100G/青色サブピクセル100Bの境界のブラックマトリクス20の上に形成される第1の部分(前述の例で形成したもの)に加えて、赤色サブピクセル100R/青色サブピクセル100Bの境界に位置する赤色カラーフィルタ層30R上の第2の部分から構成される。
以上のように赤色および緑色カラーフィルタ層30(R,G)を形成することによって、赤色サブピクセル100R/緑色サブピクセル100G間に設けられるバンクに加えて、赤色サブピクセル100R/青色サブピクセル100B間および緑色サブピクセル100G/青色サブピクセル100B間のバンクも、ブラックマトリクス20と3種のカラーフィルタ層(30,32)の積層体となる。したがって、各バンクをより高く形成することができ、色変換層40を形成するためのインクの拡散をより有効に防止することが可能となる。また、2種のカラーフィルタ層(30,32)(および、存在する場合にはブラックマトリクス20)の積層によってバンクを形成する場合に比較して、それぞれのカラーフィルタ層(30,32)の膜厚を薄くしても十分な高さのバンクが得られる。
加えて、図3(a)に示すように、本変形例においても、赤色変換層40Rを形成する位置の両側に位置するバンクの最上層は撥液性青色カラーフィルタ層32Bであるので、バンクの高さに加えて、撥液性青色カラーフィルタ層32Bによってインクがはじかれることによって、隣接する緑色および青色サブピクセル100(G,B)へのインクの拡散を防止することができる。緑色変換層40Gについても同様に、両側に位置するバンクの最上層は撥液性青色カラーフィルタ層32Bであるので、隣接する赤色および青色サブピクセル100(R,B)へのインクの拡散を防止することができる。
以上の説明においては、n=3およびm=2の場合について説明したが、たとえば緑色変換層40Gを省略することによって、n=3およびm=1の場合を実現できることは明らかであろう。また、nが2の場合、およびnが4以上の場合においても、最も短波長の領域の光を透過するカラーフィルタ層を撥液性カラーフィルタ層とすること、撥液性カラーフィルタ層の上に色変換層を形成しないこと、撥液性カラーフィルタ層を最後に形成して各バンクの最上層を撥液性カラーフィルタ層とすることによって、本発明を実施できることは、当業者にとって明らかであろう。
以上のように製造した色変換フィルタにおいて、色変換層40以下の層を覆うように、バリア層(不図示)を形成してもよい。バリア層は、水および/または酸素の介在によって劣化するような材料を用いて色変換層40を形成する場合に、色変換層40を保護して、その性能を安定して維持するために有用である。
バリア層は、電気絶縁性を有し、ガスおよび有機溶剤に対するバリア性を有し、かつ可視域における透明性に富む材料(400〜700nmの範囲で透過率50%以上)を使用して形成することができる。用いることができる材料は、たとえば、SiOx、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOxなどの無機酸化物、SiNxなどの無機窒化物、およびSiNxOyなどの無機酸化窒化物を含む。バリア層は、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法などの当該技術において知られている任意の手法により形成することができる。望ましくは、バリア層60は、色変換層40へのダメージを軽減するために、100℃以下の低温で実施することができ、かつ成膜の際の粒子の有するエネルギーの小さいCVD法を用いて形成される。良好なカバレッジを有することもCVD法の利点である。また、バリア層は、単一の層であってもよく、複数の層の積層体であってもよい。
<実施例1>
1737ガラス(コーニング社製)上に、カラーモザイクCK−7001(富士フィルム株式会社から入手可能)を塗布し、フォトリソグラフ法を用いて、複数の矩形状開口部を有するブラックマトリクスを形成した。ブラックマトリクスは、1μmの膜厚を有した。矩形状開口部のそれぞれ(サブピクセルに相当する)は、長さ方向300μm×幅方向100μmを有し、隣接する矩形状開口部間の間隔は長さ方向30μmおよび幅方向10μmであった。本実施例においては、長さ方向に640個、横方向に1440個(RGB各色当たり480個)の矩形状開口部を配列し、合計921600個の矩形状開口部(サブピクセル)を形成した。
1737ガラス(コーニング社製)上に、カラーモザイクCK−7001(富士フィルム株式会社から入手可能)を塗布し、フォトリソグラフ法を用いて、複数の矩形状開口部を有するブラックマトリクスを形成した。ブラックマトリクスは、1μmの膜厚を有した。矩形状開口部のそれぞれ(サブピクセルに相当する)は、長さ方向300μm×幅方向100μmを有し、隣接する矩形状開口部間の間隔は長さ方向30μmおよび幅方向10μmであった。本実施例においては、長さ方向に640個、横方向に1440個(RGB各色当たり480個)の矩形状開口部を配列し、合計921600個の矩形状開口部(サブピクセル)を形成した。
次に、カラーモザイクCR−7001(富士フィルム株式会社から入手可能)を塗布し、フォトリソグラフ法を用いて、長さ方向に延びる複数のストライプ形状部分からなる赤色カラーフィルタ層を形成した。複数のストライプ形状部分のそれぞれが、両側に隣接するブラックマトリクスの長さ方向に延びる部分に重畳するように形成した。また、複数のストライプ形状部分のそれぞれは、1μmの膜厚および120μmの幅を有し、210μmの間隔で配置された。
次に、カラーモザイクCG−7001(富士フィルム株式会社から入手可能)を塗布し、フォトリソグラフ法を用いて、長さ方向に延びる複数のストライプ形状部分からなる緑色カラーフィルタ層を形成した。複数のストライプ形状部分のそれぞれが、片側に隣接するブラックマトリクスの長さ方向に延びる部分および反対側に隣接するブラックマトリクス/赤色カラーフィルタ層の積層体に重畳するように形成した。また、複数のストライプ形状部分のそれぞれは、2μmの膜厚および120μmの幅を有し、210μmの間隔で配置された。
次に、カラーモザイクCB−7001(富士フィルム株式会社から入手可能)に、フッ素系表面改質剤(F−482、大日本インキ製)を0.1質量%添加して、塗布混合物を得た。得られた混合物を塗布し、フォトリソグラフ法を用いて、長さ方向に延びる複数のストライプ形状部分からなる撥液性青色カラーフィルタ層を形成した。撥液性カラーフィルタ層は、青色サブピクセルとなる開口部、ならびに隣接するブラックマトリクス/赤色カラーフィルタ層の積層体およびブラックマトリクス/緑色カラーフィルタ層の積層体に重畳するストライプ形状の第1の部分と、ブラックマトリクス/赤色カラーフィルタ層/緑色カラーフィルタ層の積層体上のストライプ形状の第2の部分から形成された。ここで、第1の部分は、1μmの膜厚および120μmの幅を有し、210μmの間隔で配置された。一方、第2の部分は、1μmの膜厚および10μmの幅を有し、320μmの間隔で配置された。
得られた赤色サブピクセル/青色サブピクセル間のバンクは、ブラックマトリクス/赤色カラーフィルタ層/撥液性青色カラーフィルタ層の積層構造からなり、赤色サブピクセルおよび青色サブピクセルのいずれに対しても2μmの高さを有した。また、緑色サブピクセル/青色サブピクセル間のバンクは、ブラックマトリクス/緑色カラーフィルタ層/撥液性青色カラーフィルタ層の積層構造からなり、緑色サブピクセルに対して2μmの高さを有し、青色サブピクセルに対して3μmの高さを有した。さらに、赤色サブピクセル/緑色サブピクセル間のバンクは、ブラックマトリクス/赤色カラーフィルタ層/緑色カラーフィルタ層/撥液性青色カラーフィルタ層の積層構造からなり、赤色サブピクセルに対して4μmの高さを有し、緑色サブピクセルに対して3μmの高さを有した。
次いで、トルエン1000重量部、およびクマリン6と第2蛍光材料としてのジエチルキナクリドン(DEQ)の混合物(モル比はクマリン6:DEQ=48:2)50重量部を混合して、緑色変換層用インクを調製した。調製した緑色変換層用インクを用いて、膜厚500nmの緑色変換層を形成した。緑色変換層の形成は、窒素雰囲気中でインクジェット装置(ライトレックス製Litrex 120L)用いて各サブピクセルに40pLのインクを付着させる工程と、インクを付着させた構造物を窒素雰囲気を破ることなしに真空乾燥炉中に移動させ、1.0×10−3Paの圧力の下で100℃に加熱してトルエンを除去する工程とを、所要の膜厚が得られるまで反復することによって実施した。
トルエン1000重量部、およびクマリン6と第2蛍光材料としてのDCM−2の混合物(モル比はクマリン6:DCM−2=48:2)50重量部を混合して、赤色変換層用インクを調製した。調製した赤色変換層用インクを用いて、膜厚500nmの赤色変換層を形成した。赤色変換層の形成も、緑色変換層と同様に、各サブピクセルへの40pLのインクの付着およびトルエンの除去を反復して実施した。
次いで、真空を破ることなしに、緑色変換層および赤色変換層を形成した構造物を、プラズマCVD装置内に移動させた。プラズマCVD法を用いて、膜厚1μmの窒化シリコン(SiN)を堆積させてバリア層を形成し、色変換フィルタを得た。ここで、モノシラン(SiH4)、アンモニア(NH3)および窒素(N2)を原料ガスとして用いた。また、バリア層形成時のカラーフィルタの温度を100℃以下に維持した。
<比較例1>
撥液性青色カラーフィルタ層に代えて、フッ素系表面改質剤(F−482、大日本インキ製)を添加せずに、カラーモザイクCB−7001のみを用いて、撥液性を示さない青色カラーフィルタ層を形成したことを除いて、実施例1の手順を反復して、色変換フィルタ層を形成した。なお、撥液性を示さない青色カラーフィルタ層は、撥液性青色カラーフィルタ層と同様に、青色サブピクセルとなる開口部、ならびに隣接するブラックマトリクス/赤色カラーフィルタ層の積層体およびブラックマトリクス/緑色カラーフィルタ層の積層体に重畳するストライプ形状の第1の部分と、ブラックマトリクス/赤色カラーフィルタ層/緑色カラーフィルタ層の積層体上のストライプ形状の第2の部分から形成した。
撥液性青色カラーフィルタ層に代えて、フッ素系表面改質剤(F−482、大日本インキ製)を添加せずに、カラーモザイクCB−7001のみを用いて、撥液性を示さない青色カラーフィルタ層を形成したことを除いて、実施例1の手順を反復して、色変換フィルタ層を形成した。なお、撥液性を示さない青色カラーフィルタ層は、撥液性青色カラーフィルタ層と同様に、青色サブピクセルとなる開口部、ならびに隣接するブラックマトリクス/赤色カラーフィルタ層の積層体およびブラックマトリクス/緑色カラーフィルタ層の積層体に重畳するストライプ形状の第1の部分と、ブラックマトリクス/赤色カラーフィルタ層/緑色カラーフィルタ層の積層体上のストライプ形状の第2の部分から形成した。
<評価>
実施例1および比較例1で作製された921600個のサブピクセルを有する色変換フィルタのについて、所望されていない色変換層が形成されているサブピクセル(すなわち、混色が発生したサブピクセル)の数を測定した。結果を第1表に示す。
実施例1および比較例1で作製された921600個のサブピクセルを有する色変換フィルタのについて、所望されていない色変換層が形成されているサブピクセル(すなわち、混色が発生したサブピクセル)の数を測定した。結果を第1表に示す。
比較例1においては、バンク最上層の青色カラーフィルタ層が撥液性を有する成分を含まないために、一部のサブピクセルにおいて所望されない色変換層が形成されて混色が発生したのに対して、撥液性青色カラーフィルタ層32Bを最上層とするバンクを有する実施例1においては混色が発生しないことが分かる。このことから、撥液性カラーフィルタ層32を最上層とするバンクを用いることによって高精細度のパターンを有する色変換層を、簡便な方法で作製できることが明らかとなった。したがって、本発明は、近年、益々高精細度な表示装置の開発が要請されている各種ディスプレイの製造に適用可能な点で有望である。
10 透明基板
20 ブラックマトリクス
30(R,G) カラーフィルタ層
32(B) 撥液性カラーフィルタ層
40(R,G) 色変換層
100(R,G,B) サブピクセル
20 ブラックマトリクス
30(R,G) カラーフィルタ層
32(B) 撥液性カラーフィルタ層
40(R,G) 色変換層
100(R,G,B) サブピクセル
Claims (4)
- (a)透明基板上に、それぞれ異なる波長域の光を透過する、n種類のカラーフィルタ層を独立して形成する工程であって、異なる2種のカラーフィルタ層の境界において、少なくとも2種類のカラーフィルタ層を重ね合わせてバンクを形成する工程と、
(b)インクジェット法を用いて蛍光材料を含むインクをm種類のカラーフィルタ層の上に付着させて、特定の波長の光を吸収し、吸収した波長と異なる波長を含む光を出力するm種の色変換層を形成する工程と
を含み、
nは2以上の整数であり、mはn−1以下の自然数であり、
前記n種類のカラーフィルタ層の1つは、前記インクに対して撥液性を有する成分を含む撥液性カラーフィルタ層であり、
前記バンクの最上層は、前記撥液性カラーフィルタ層であり、
前記撥液性カラーフィルタ層の上には前記色変換層を形成しない
ことを特徴とする色変換フィルタの製造方法。 - 前記撥液性を有する成分がフッ素系表面改質剤であることを特徴とする請求項1に記載の色変換フィルタの製造方法。
- nが3であり、工程(a)において、バンクが2種のカラーフィルタ層を重ね合わせて形成されることを特徴とする請求項1に記載の色変換フィルタの製造方法。
- nが3であり、工程(a)において、バンクが3種のカラーフィルタ層を重ね合わせて形成されることを特徴とする請求項1に記載の色変換フィルタの製造方法。
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-
2007
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