JP2009264651A - 衝撃音発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】衝撃音発生時に固形物の放出が有効に抑制されると共に、燃焼容器内の緊塞圧力及び衝撃音の音量が環境温度に影響され難い衝撃音発生装置を提供する。
【解決手段】衝撃音発生装置15は、底壁17と、該底壁17の周囲より立設された筒状の周壁18と、該周壁18の前端部に取着されガス排出孔19を設けた板状の蓋体21とにより燃焼容器16が構成され、該燃焼容器16内にガス発生剤30が収容されると共に、底壁17にはガス発生剤30を燃焼させるための点火具28及び伝火薬29を備えている。そして、燃焼容器16内でのガス発生剤30の燃焼に基づく燃焼容器16内の緊塞圧力の増大により、ガス排出孔19が拡大してその開口面積が増加し、緊塞圧力が15〜30MPaに調整されるようになっている。ガス排出孔19は、蓋体21の中心部から放射状に延びる複数のスリットにより構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、飛翔体の発射訓練、有害鳥獣の撃退、雪崩の誘発等に用いられる衝撃音発生装置に関するものである。さらに詳しくは、衝撃音発生時に固形物の放出が抑制されると同時に、燃焼容器内の緊塞圧力及び衝撃音の音量が環境温度に影響され難い衝撃音発生装置に関するものである。
従来から音を発生させ、その音を利用した各種装置が知られている。例えば、有害な鳥獣を撃退するための鳥獣撃退装置が数多く知られている。この鳥獣撃退装置は、樹脂(高分子)フィルム製の袋体に2対1のモル比で水素ガスと酸素ガスとを封入し、この混合ガスを点火手段により反応させて衝撃音を発生させ有害鳥獣等を撃退するものである。この鳥獣撃退装置は構造が簡単で、反応時に水が生成するだけであるため環境面で優れているという特徴がある。しかしながら、構造が簡単であっても、この鳥獣撃退装置を複数回作動させるためには、各ガスを貯蔵するボンベが必要となり、そのため例えば山岳地帯等の足場の悪い場所での使用には操作性の観点から問題があった。また、音が四方に伝搬するために音の指向性という観点からも問題があった。
また、山岳地帯等で使用される衝撃音発生装置として、人工的に小規模な雪崩を予め誘発させ、大規模な雪崩を防止するための装置として雪崩誘発弾も知られている。但し、この雪崩誘発弾は、音で雪崩を誘発するというよりは、弾頭部に爆薬を収納し、それを推進薬の燃焼により飛翔させて雪面に撃ち込んで爆薬を爆破させる雪崩誘導弾であって、爆破の衝撃により小規模の雪崩を発生させるものである。
さらに、音を利用する装置として、飛翔体の発射訓練等において実際の飛翔体を使用しないで音だけを発生させることにより、発射装薬の取扱者やその他の訓練者に臨場感を与えるための音の発生装置も知られている。例えば、仮比重の小さい薄い板状物を積層した蓋栓を用いて発射装置内の空包薬から発生するガスを密閉し、密閉されたガス圧によって蓋栓が破壊するときに音を発生させるものである。しかし、この音発生装置は、蓋栓が破壊するときに音の発生と同時に破片が前方に飛び出すことが避けられず、取扱性の面で改良の余地があった。
近年、これらの問題点を解決するための提案がなされている。具体的には、音発生装置として、空包容器、ガス発生剤、着火部、点火部、空包容器に固定された破裂板を有する空包であって、破裂板の中央部を破裂板周辺部よりガス発生剤の燃焼で壊れやすい構造とした空包が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この空包によれば、破裂板の中央部を選択的に壊れやすくすることにより、破裂板破片量の低減及び飛散距離の低減を図ることができる。
さらに、本願出願人等は、次のような発射音発生装置を提案した(例えば、特許文献2を参照)。すなわち、発射音発生装置は、底壁及び底壁の周囲より立設された周壁並びに周壁の前端部に蓋をして内部に収容空間を形成する蓋体からなる筐体によって構成され、該筐体の底壁に設けられる点火具と、収容空間の点火具に近接する位置に配置される着火薬と、収容空間に装填されるガス発生剤とを備えている。前記筐体は飛翔体が装填されない訓練用の発射装置に組み込まれるものであり、筐体の周壁又は蓋体にガス発生剤の燃焼ガスにより筐体内に緊塞圧力を生じるように構成されたガス排出孔を複数有している。この発射音発生装置によれば、緊塞部の破片が放出されるのを防止でき、取扱性を良好にできると共に、発射音を周辺へ十分に到達させることができる。
特開2006−349284号公報(第2頁、第4頁及び図1) 特開2003−279297号公報(第2頁、図1及び図2)
しかしながら、特許文献1に記載の空包や特許文献2に記載の発射音発生装置においては、前方への破片の飛散は抑制されるものの、使用時における環境温度によって燃焼容器内の燃焼圧力が変化すると共に、それに伴って発生する衝撃音の音量も大きく変化するという欠点があった。さらに、高温環境下ではガス発生剤の燃焼による燃焼圧力の過度の上昇によって燃焼容器が損傷を受けたり、その一方低温環境下ではガス発生剤が燃焼しても燃焼圧力の不足によって破裂板が破裂しなかったりする場合があるという問題も抱えていた。
そこで、本発明の目的とするところは、衝撃音発生時に固形物の放出が有効に抑制されると共に、燃焼容器内の緊塞圧力及び衝撃音の音量が環境温度に影響され難い衝撃音発生装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、燃焼容器の構成について鋭意研究した結果、蓋体のガス排出孔が燃焼容器内の圧力により変形し、ガス排出孔の開口面積を調整できる構造とすることにより、前記目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明における第1の発明の衝撃音発生装置は、底壁と、該底壁の周囲より立設された筒状の周壁と、該周壁の前端部に取着されガス排出孔を設けた板状の蓋体とにより燃焼容器が構成され、該燃焼容器内にガス発生剤が収容されると共に、前記底壁にはガス発生剤を燃焼させるための点火部材を備えたものである。そして、前記燃焼容器内でのガス発生剤の燃焼に基づく燃焼容器内の緊塞圧力の増大により、ガス排出孔が拡大してその開口面積が増加し、緊塞圧力が15〜30MPaに調整されるように構成されていることを特徴とする。
第2の発明の衝撃音発生装置は、第1の発明において、前記燃焼容器内の温度が−50℃以上0℃以下の場合には緊塞圧力が15〜20MPa及び燃焼容器内の温度が0℃を超え、60℃以下の場合には緊塞圧力が20〜30MPaとなるように構成されていることを特徴とする。
第3の発明の衝撃音発生装置は、第1又は第2の発明において、前記燃焼容器内の温度が51℃の場合の緊塞圧力と−32℃の場合の緊塞圧力との差が10MPa以内であり、かつ燃焼容器内の温度が51℃の場合の衝撃音の音量と−32℃の場合の衝撃音の音量との差が12dB以内となるように構成されていることを特徴とする。
第4の発明の衝撃音発生装置は、第1から第3のいずれか1項に記載の発明において、前記ガス排出孔は、蓋体の中心部から放射状に延びるスリットにより構成されていることを特徴とする。
第5の発明の衝撃音発生装置は、第1から第4のいずれか1項に記載の発明において、前記蓋体は、鉄系材料により形成され、その厚さが1〜5mmに形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
第1の発明の衝撃音発生装置においては、燃焼容器内でのガス発生剤の燃焼に基づく燃焼容器内の緊塞圧力の増大により、ガス排出孔が拡大してその開口面積が増加するように構成されている。このため、蓋体が燃焼容器内の緊塞圧力の増大を受け、破裂してその破片が飛散するのを効果的に抑えることができる。さらに、燃焼容器内の緊塞圧力が15〜30MPaに調整されることから、環境温度によって燃焼容器内の緊塞圧力及び衝撃音の音量が大きく変化するのを抑制することができる。
従って、衝撃音発生装置では、衝撃音発生時に固形物の放出が有効に抑制されると共に、燃焼容器内の緊塞圧力及び衝撃音の音量が環境温度に影響され難いという効果を発揮することができる。
第2の発明の衝撃音発生装置では、燃焼容器内の温度が−50℃以上0℃以下の場合には緊塞圧力が15〜20MPa及び燃焼容器内の温度が0℃を超え、60℃以下の場合には緊塞圧力が20〜30MPaとなるように構成されている。このため、第1の発明の効果に加えて、燃焼容器内の緊塞圧力は燃焼容器内の温度、すなわち環境温度が低温である場合及び高温である場合に応じて適切に設定され、衝撃音の音量を環境温度に拘らず一定に近づけることができる。
第3の発明の衝撃音発生装置では、前記燃焼容器内の温度が51℃の場合の緊塞圧力と−32℃の場合の緊塞圧力との差が10MPa以内であり、かつ燃焼容器内の温度が51℃の場合の衝撃音の音量と−32℃の場合の衝撃音の音量との差が12dB以内となるように構成されている。従って、第1又は第2の発明の効果に加えて、燃焼容器内の温度、すなわち環境温度の変化に対して緊塞圧力及び衝撃音の音量の変化を十分に抑制することができる。
第4の発明の衝撃音発生装置では、ガス排出孔は蓋体の中心部から放射状に延びるスリットにより構成されている。このため、第1から第3のいずれかの発明の効果に加えて、環境温度の変化に伴う緊塞圧力及び衝撃音の音量の変化を容易に抑制することができると共に、燃焼ガスの排出に伴う圧力を均一に分散させることができる。
第5の発明の衝撃音発生装置では、蓋体が鉄系材料により形成され、その厚さが1〜5mmに形成されている。このため、第1から第4のいずれかの発明の効果を一層有効に発揮させることができる。
以下、本発明の最良の形態と思われる実施形態について詳細に説明する。
図1に示すように、発射装置10は通常の火砲(砲弾)を模して作製されたもので、後端側(図1の下端側)の直径の大きな円筒状をなす薬室部(燃焼室)11と前端側の直径の小さな円筒状をなす砲身部12とが中間のテーパ部13を介して接続され、後端部が鎖栓14により密閉されるように構成されている。この発射装置10は、訓練用の空包などの射撃に使用される。該発射装置10の薬室部11の後端部には衝撃音発生装置15が収容されている。なお、前記鎖栓14は発射装置10の軸線と直交方向に移動可能に構成され、衝撃音発生装置15を発射装置10内に装填及び取り出しできるようになっている。
図2に示すように、衝撃音発生装置15を構成する燃焼容器16は、底壁17と、該底壁17の周囲より立設された円筒状の周壁18と、該周壁18の前端部にガス排出孔19を設けた蓋をして内部に収容空間20を形成する有蓋円筒状の蓋体21とから構成されている。その周壁18前端の外周面には雄ねじ部22が螺刻されると共に、蓋体21はその周板23内周面に雌ねじ部24を有し、該雌ねじ部24が周壁18前端の雄ねじ部22に螺合されることにより、燃焼容器16の前端部に固定されている。
図2及び図3に示すように、蓋体21の中心部には、十字状に交差して延びるスリット25により形成されたガス排出孔19が設けられている。該ガス排出孔19のスリット25が交差する部分には円弧部26が形成され、ガス排出孔19の開口面積が拡げられている。この円弧部26が形成されていることにより、蓋体21の中心部に円形状の空孔が設けられ、燃焼容器16内からのガスの排出が容易になって緊塞圧力の抑制が促進されるようになっている。ガス排出孔19の形状は、該ガス排出孔19の総開口面積、ガス排出孔19の加工性などに基づいて設定される。
この燃焼容器16を構成する底壁17、周壁18及び蓋体21の材料としては、衝撃音発生装置15が作動するときに生じるガスの圧力や熱に対して耐え得る必要があり、炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄系材料、アルミニウム系材料、真鍮等の銅系材料などの金属材料が使用可能である。これらの材料の中では、ガス発生剤の急速な燃焼による衝撃に対する強度と燃焼ガスに対する耐熱性の面から鉄系材料を用いるのが最も好ましい。また、蓋体21の厚さは、その強度を保持すると共に、燃焼容器16内の緊塞圧力の増大によってガス排出孔19が拡大してその開口面積を増加させるべく変形させるために、1〜5mmであることが好ましい。蓋体21の厚さが1mmより薄い場合には、蓋体21の強度が不足し、燃焼容器16内の緊塞圧力の増大に耐えきれなくなって破断する。そのため、所望とする衝撃音が得られなくなり、また破片が前方に飛び出し取扱性の面で問題が生じる。その一方、5mmより厚い場合には、燃焼容器16内の緊塞圧力の増大に伴ってガス排出孔19を形成する蓋体21の部分が変形し難くなり、ガス排出孔19の開口面積が増加せず、緊塞圧力が過大になったり、衝撃音が異常に高くなったりして好ましくない。
ここで、ガス排出孔19の開口面積は、次のような手順で決定される。まず、所定の開口面積をもつガス排出孔19を備えた衝撃音発生装置15について、環境温度が常温(例えば+21℃)である場合の試験を実施する。その結果、燃焼容器16内の緊塞圧力が高い場合には、ガス排出孔19の開口面積を拡げて再度試験を行い、燃焼容器16内の緊塞圧力が23MPa程度となるように開口面積を設定する。次に、環境温度が低温(例えば−32℃)である場合、及び高温(例えば+51℃)である場合の試験を実施する。そして、燃焼容器16内の緊塞圧力が15〜30MPa及び衝撃音の音量が108〜128dB(デシベル)となるように、最も適切な開口面積を決定する。
ガス排出孔19の開口面積は、0.5〜3cm程度であることが好ましい。この開口面積が0.5cm未満の場合には、燃焼容器16内の緊塞圧力が過度に上昇する傾向が強く、衝撃音の音量も高くなり過ぎて好ましくない。一方、3cmを超える場合には、燃焼容器16内の緊塞圧力が不足し、所望とする衝撃音が得られなくなって好ましくない。
燃焼容器16の底壁17の中心部には雌ねじ孔27が設けられ、その雌ねじ孔27には点火部材としての点火具28の雄ねじ28aが螺合されている。なお、前記鎖栓14には貫通孔14aが透設され、点火具28に接続される図示しないリード線が挿通されるようになっている。その点火具28の前方位置の収容空間20には点火部材を構成する伝火薬29が配置されている。収容空間20の伝火薬29より前方位置にはガス発生剤30が装填されている。
燃焼容器16は発射装置10内に装填可能なようにその外径は発射装置10の薬室部11の内径と同等以下であり、燃焼容器16の長さも発射装置10の薬室部11内に装填できる長さが適宜選択される。燃焼容器16の外径は、発射装置10内に円滑に着脱でき、かつ発射装置10内に位置決めできるように発射装置10の内径より1〜2mm小さいことが好ましい。
また、コスト面や取扱性から燃焼容器16の外径を小さく設計する場合には、図4に示したように燃焼容器16の外側に筒状の装填ガイド31を設けた構造とすることが好ましい。すなわち、燃焼容器16の底壁17は拡径され、その外周面に雄ねじ17aが形成され、該雄ねじ17aに装填ガイド31の下端部内周面の雌ねじ31aが螺合され、連結されている。装填ガイド31の外径は、発射装置10内に円滑に着脱でき、かつ発射装置10内に位置決めできるように発射装置10の内径より1〜2mm小さく設定することが好ましい。
燃焼容器16の長さは、発射装置10の薬室部11の長さに対して1/2以下であることが好ましい。その理由は、燃焼容器16の重量を軽減し、発射装置10への燃焼容器16の装填及び取り出しを容易にするためである。また、コスト面や取扱性から燃焼容器16の長さを短く設計した場合には、前述のように燃焼容器16の外側に装填ガイド31を設けることが好ましく、その場合の装填ガイド31の長さは、発射装置10への燃焼容器16の装填及び取り出しを容易にするために発射装置10の薬室部11の長さに対して1/2以下であることが好ましい。
燃焼容器16内の容積は、燃焼容器16の外径及び長さに基づいて決定されるが、発射装置10の容積の1/2以下であることが好ましい。そして、点火具28が点火されると点火具28前方に配置されている伝火薬29が着火され、さらに伝火薬29の着火による火炎でガス発生剤30全体が燃焼されるようになっている。点火具28としては、発射装置10の外部からの電気信号又は打撃によって点火する雷管が好ましい。
伝火薬29は点火具28の点火により速やかに点火されてガス発生剤30に火炎を伝播する。伝火薬29の種類は黒色火薬、ニトロセルロ−スを主成分とするシングルベース系点火薬、ボロン硝石系点火薬、又はマグネシウムとフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)との混合系点火薬等が使用できるが、一般に弾薬に用いられている黒色火薬やシングルベ−ス系点火薬が好ましい。特に好ましい伝火薬29は、黒色火薬である。
ガス発生剤30は伝火薬29の着火により燃焼容器16内にガスを発生させるものであり、伝火薬29の着火後、急速にガスを発生させることができるものであればいかなるものでも使用できるが、発射薬や推進薬等の火薬を用いたものが好ましい。ガス発生剤30は、組成及び形状によって燃焼容器16内におけるガス発生速度が変化する。また、使用する際の環境温度によってもガス発生速度が大きく変化する。但し、ガス排出孔19を設けた蓋体21が、燃焼容器16内の緊塞圧力により変形し、ガス排出孔19の面積が調整されることにより燃焼容器16内圧力を一定に保てるため、一般に用いられている既存の組成や形状のものが使用でき、また温度変化やガス発生剤量にあまり影響されずにほぼ一定の衝撃音の音量を得ることができる。
ガス発生剤30の燃焼によるガス発生速度は、+21℃の20MPa時において15〜35mm/秒であることが好ましい。このガス発生速度が15mm/秒より遅い場合、衝撃音発生装置15の衝撃音の音量が小さくなると共に、燃焼残渣が発生する傾向を示して好ましくない。その一方、35mm/秒より速い場合、衝撃音の音量が過大になる上に、蓋体21が破損するおそれがあって好ましくない。
ガス発生剤30として具体的には、ニトロセルロ−スを主とするシングルベ−ス系、ニトロセルロ−ス及びニトログリセリンを主とするダブルベ−ス系、又はニトロセルロ−ス、ニトログリセリン及びニトログアニジンを主とするとトリプルベ−ス系のガス発生剤が使用できる。また、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、硝酸アンモニウム、ニトラミン等の酸化剤と、ポリブタジエン、ポリエ−テルやポリエステル等の燃料兼粘結剤とからなるコンポジット系ガス発生剤を使用することもできる。これらの中では発射装置10に腐食等の影響を及ぼさない燃焼ガスを生成するという点から、シングルベース系、ダブルベース系又はトリプルベ−ス系の無煙火薬で構成されるガス発生剤30が好ましい。
ガス発生剤30の形状としては、一般にガス発生剤30に用いられている溝付き長管状、単孔管状、棒状、球状、板状、多孔管状等の形状が採用されるが、ガス発生剤30の安定な燃焼を確保するためには燃焼開始から終了まで燃焼面積が変化しない形状が好ましい。そのような観点から、溝付き長管状又は単孔管状が好ましい。さらに、燃焼途中のガス発生剤30がガス排出孔19から放出されないようにするためには、ガス発生剤30の粒子径がガス排出孔19の孔径より大きいことが好ましい。
ガス排出孔19の位置は、ガス排出に伴い衝撃音発生装置15及び発射装置10に加わる圧力(反動)を均一に分散させるために、蓋体21の中心部に配置することが好ましい。ガス排出孔19の形状やその開口面積の総計は、燃焼容器16内に生じるガス発生速度と衝撃音を発生させるのに必要な緊塞圧力に応じて適宜設定される。ガス排出孔19の形状は、ガス排出孔19の開口面積が所定範囲であればその形状は特に制限されないが、蓋体21の中心部から放射状に延びるスリット25(図3、図5(a)などを参照)により構成されることが好ましい。この場合、環境温度の変化に基づく緊塞圧力及び衝撃音の音量の変化を抑えることができると同時に、燃焼ガスの排出に伴う圧力を均一に分散させることができる。係るスリット25としては、蓋体21の強度や変形具合を考慮すれば十字状であることが最も好ましい。また、燃焼容器16内のガス発生剤30、伝火薬29及び点火具28の吸湿を防止するため、ガス排出孔19には、アルミニウム製のテープ等の吸湿防止用シールテープを貼り付けることも可能である。
ガス発生剤30が小粒状の場合、ガス排出孔19から未燃焼のガス発生剤30が飛び出し、発射装置10外に放出されて発射装置10前方の良好な取り扱い性が確保できなくなる。そのため、ガス発生剤30の前方位置の収容空間20に未燃焼のガス発生剤30が飛び出さないようにするための多孔板を配置することも可能である。
前記燃焼容器16内の緊塞圧力は、主にガス排出孔19の総開口面積と燃焼容器16内のガス発生速度の組み合わせによって決定される。なお、ガス排出孔19の総開口面積は、蓋体21の平面形状における総開口面積を意味する。より具体的には、燃焼容器16内のガス発生剤30の燃焼により、あるガス発生速度で燃焼容器16内にガスが生成する。燃焼容器16内で生成するガス発生量がガス排出孔19から排出されるガスの排出量より大きい燃焼初期では、燃焼容器16内の圧力は増加してガスが緊塞された状態になる。一方、燃焼容器16内のガス発生量がガス排出孔19から排出されるガスの排出量より小さくなる燃焼後期では、燃焼容器16内の圧力は低下し始める。主要な衝撃音は燃焼容器16内の圧力が最大圧力を経過した後、緊塞圧力が急激に低下しながら燃焼容器16の外にガスが一気に排出されるときに生じる。また、一般に緊塞圧力が高いほど発生する音は大きくなる傾向にある。
本実施形態では、燃焼容器16内でのガス発生剤30の燃焼に基づく燃焼容器16内の緊塞圧力の増大により、ガス排出孔19が拡大してその開口面積が増加したとき、緊塞圧力が15〜30MPaに調整されるように構成されている。緊塞圧力をこの範囲で管理することにより、衝撃音発生装置15の周辺に十分な音を到達させることができ、また異常な圧力上昇による燃焼容器16の破壊を防ぐことができる。緊塞圧力が30MPaより高い場合には、燃焼容器16内で生じた燃焼ガスが円滑にガス排出孔19から排出されず、異常な圧力上昇の原因となる。その一方、緊塞圧力が15MPaより低い場合には、所望とする十分な衝撃音を発生させることができなくなる。なお、この緊塞圧力の範囲は、燃焼中の燃焼容器16内の圧力が全てこの範囲に維持されるのではなく、最大圧力がこの範囲内に抑えられるという意味である。
ガス発生剤30の燃焼によって発生した燃焼ガスにより燃焼容器16が破壊されないようにするためには、燃焼容器16の底壁17と周壁18の強度及び蓋体21の強度に加え、周壁18と蓋体21の接合強度の合計強度が燃焼容器16内の燃焼ガスの発生圧力(30MPa)に耐え得る強度を上回ることが必要である。
また、燃焼容器16内の温度が−50℃以上0℃以下の場合には緊塞圧力が15〜20MPaとなるように構成され、燃焼容器16内の温度が0℃を超え、60℃以下の場合には緊塞圧力が20〜30MPaとなるように構成されている。この場合、緊塞圧力は燃焼容器16内が低温の場合と高温の場合とに対応して設定され、衝撃音の音量を温度によらず一定範囲に保持することができる。なお、燃焼容器16内の温度は、ガス発生剤30の燃焼前には環境温度に相当する。
さらに、燃焼容器16内の温度が51℃の場合の緊塞圧力と−32℃の場合の緊塞圧力との差が10MPa以内となるように構成され、燃焼容器16内の温度が51℃の場合の衝撃音の音量と−32℃の場合の衝撃音の音量との差が12dB以内となるように構成されている。このように構成することにより、燃焼容器16内の温度変化、つまり環境温度の変化に対して緊塞圧力及び衝撃音の音量の変化を極力抑えることができる。
さて、衝撃音発生装置15を用いて衝撃音を発生させる場合には、まず発射装置10の外部からの電気信号によって点火具28が点火される。この点火具28の点火により、その前方に位置する伝火薬29が着火され、その火炎によってガス発生剤30が燃焼して燃焼ガスが発生する。
ガス発生剤30の燃焼初期には、燃焼容器16内の燃焼ガスによる圧力が増大して燃焼ガスが燃焼容器16内に緊塞された状態になり、その後燃焼容器16内の緊塞圧力が最大圧力に到達する。このとき、燃焼容器16内の緊塞圧力が増大するに従ってガス排出孔19の開口面積が徐々に大きくなり、緊塞圧力が次第に開放される。このため、ガス発生剤30の燃焼後期には、燃焼容器16内の緊塞圧力は低下する。この過程で、燃焼容器16内の緊塞圧力が最大圧力を経過した後、緊塞圧力が急激に低下しながらガス排出孔19から燃焼容器16外にガスが一気に排出されるときに衝撃音が発生する。その結果、衝撃音発生装置15から側方30m地点にて108〜128dB程度の衝撃音が得られ、衝撃音発生装置15の周辺に十分なる音を到達させることができる。
以上の実施形態により発揮される作用及び効果につき、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態における衝撃音発生装置15においては、ガス発生剤30の燃焼に基づく燃焼容器16内の緊塞圧力の増大により、ガス排出孔19を形成する切片21aが外方へ反り返るように変形し(図6(b)参照)、ガス排出孔19が拡大してその開口面積が増加し、燃焼ガスの排出が容易になる。このため、蓋体21が燃焼容器16内の緊塞圧力の増大を受け、破裂してその破片が飛散するのを効果的に抑えることができる。さらに、燃焼容器16内の緊塞圧力が環境温度に拘らず15〜30MPaに調整されることから、環境温度の変化によって燃焼容器16内の緊塞圧力及び衝撃音の音量が大きく変化するのを抑えることができる。
従って、衝撃音発生装置15では、衝撃音発生時に蓋体21の破片等の固形物の放出が有効に抑制されると共に、燃焼容器16内の緊塞圧力及び衝撃音の音量が環境温度に影響され難いという効果を発揮することができる。よって、緩慢なガス発生条件でも十分な音量の衝撃音を発することができ、逆に急激かつ多量のガス発生条件でも燃焼容器16の蓋体21が破壊されることを抑制することができる。このため、衝撃音発生装置15を飛翔体の発射訓練のほか、有害鳥獣の撃退、雪崩の誘発等に好適に使用することができる。
・ また、燃焼容器16内の温度が−50℃以上0℃以下の場合には緊塞圧力が15〜20MPa及び燃焼容器16内の温度が0℃を超え、60℃以下の場合には緊塞圧力が20〜30MPaとなるように構成されている。このため、燃焼容器16内の緊塞圧力が燃焼容器16内の温度が低温である場合及び高温である場合に応じて適切な範囲に設定され、衝撃音の音量を環境温度に拘らず一定に近づけることができる。
・ さらに、燃焼容器16内の温度が51℃の場合の緊塞圧力と−32℃の場合の緊塞圧力との差が10MPa以内であり、かつ燃焼容器16内の温度が51℃の場合の衝撃音の音量と−32℃の場合の衝撃音の音量との差が12dB以内となるように構成されている。従って、環境温度の変化に対して緊塞圧力及び衝撃音の音量の変化を十分に抑制することができる。
・ 前記ガス排出孔19は蓋体21の中心部から放射状に延びるスリット25により構成され、ガス排出孔19の開口面積を容易に拡げることができるようになっている。このため、環境温度の変化に伴う緊塞圧力及び衝撃音の音量の変化を容易に抑制することができると共に、燃焼ガスの排出に伴う圧力を均一に分散させることができる。
・ 前記蓋体21が鉄系材料により形成され、その厚さが1〜5mmに形成されていることにより、蓋体21の強度を保持しつつ、燃焼容器16内の燃焼ガスに基づく緊塞圧力の増大によるガス排出孔19の開口面積の増加を図ることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれら実施例の範囲に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例1の衝撃音発生装置15として、図5(a)、(b)に示す構造の装置を製作した。図5(a)はガス排出孔19を設けた蓋体21を示す平面図であり、図5(b)は衝撃音発生装置15を示す断面図である。
燃焼容器16の底壁17及び周壁18を鋼鉄(炭素鋼、S25C)を用いて作製した。燃焼容器16の蓋体21も同じ材質を用い、蓋体21の雌ねじ部24を周壁18の雄ねじ部22に螺合して蓋体21を周壁18に固定した。蓋体21は厚さ3mmの鋼鉄を使用し、先端部には15MPa以上になるとガス排出孔19の開口面積が増加し始めるように図5(a)に示したような幅2mmの十字状(断面積:1.57cm)となるガス排出孔19を形成した。燃焼容器16の周壁18の内径は約57mm、長さは約160mmで、収容空間20の容積は約400cm3とした。なお、ガス排出孔19を形成する円弧部26aは、蓋体21の中心部側が凸となるように円弧状に形成されている。
ガス発生剤30の組成として、ニトロセルロ−スとニトログリセリンを主成分とするダブルベ−ス系ガス発生剤を用いた。ガス発生剤30は外径約8.5mm、内径約2.5mm、長さ100mmの単孔管状薬であり、薬量は170gとした。燃焼容器16の底壁17には、電気式雷管からなる点火具28を取り付け、ガス発生剤30に均一に着火させるため伝火薬29として黒色火薬10gを点火具28近傍に配置した。そして、ポリエチレン袋に入れたガス発生剤30を燃焼容器16内に配置した後、蓋体21を取り付けた。その後、燃焼容器16を+51℃に設定されている恒温槽内に入れて24時間の調温を行った。
24時間の調温を行った後、燃焼容器16の周壁18に検圧器(PCB社製、商品名:ピエゾセンサ−)32を取付けた。そして、衝撃音発生装置15を水平に固定した後、点火具28を結線し、遠隔操作で通電することにより、点火具28を点火させ、伝火薬29を着火させてガス発生剤30を燃焼させた。その結果、燃焼容器16内に発生した燃焼ガスはガス排出孔19から排出され、衝撃音を発生すると同時に衝撃音発生装置15の前方に発煙を生じた。
衝撃音の音量(dB)は試験装置の側方30m地点に配置した騒音計(リオン(株)製、商品名:NA−27)により計測し、緊塞圧力(MPa)は前記検圧器32により計測した。なお、衝撃音の音量はJIS Z 1509による騒音計にて測定し、FASTの時定数にてA特性の周波数補正を行った値である。試験の結果を表1に示した。衝撃音発生時に固形物は放出されず、緊塞圧力は25MPaであり、衝撃音の音量は125dBであることを確認することができた。また、試験後に変形したガス排出孔19の状態を示す平面図及び部分断面図をそれぞれ図6(a)及び(b)に示した。
図6(a)、(b)に示すように、ガス排出孔19のスリット25の交差部分を形成する蓋体21の中心に位置する4つの切片21aが、収容空間20におけるガス発生剤30の燃焼圧力により外方へ湾曲変形している。このため、スリット25の交差部分の面積が拡大されると共に、各スリット25は交差部分に向かうに従って拡幅されるようにテーパ状に変形されている。ガス排出孔19を形成する円弧部26aは、ガス発生剤30の燃焼前(図5(a)の状態)に比べてアールが大きく(円弧の半径が大きく)なっている。
次に、燃焼容器16を調温する温度を−32℃とした際の試験も実施した。その試験結果を表1に示した。試験の結果、衝撃音発生時に固形物は放出されず、緊塞圧力は18MPaであり、衝撃音の音量は115dBを示した。緊塞圧力について+51℃と−32℃との差は7MPaであり、衝撃音の音量について+51℃と−32℃との差は10dBであることを確認することができた。
(実施例2)
蓋体21として、厚さ3mmの鋼鉄製で、ガス排出孔19が図7(a)、(b)に示した形状の幅2mm(断面積:2.34cm)で、6本のスリット25が等角度で放射状に延びるガス排出孔19を有するものを用いた。また、ガス発生剤30を170g使用して試験を実施した。それらの結果を表1に示した。試験の結果、衝撃音発生時に固形物は放出されず、緊塞圧力について+51℃と−32℃との差は6MPaであり、衝撃音の音量について+51℃と−32℃との差は8dBであることを確認することができた。
(実施例3)
蓋体21として、厚さ2mmの鋼鉄製で、ガス排出孔19が図5(a)に示した形状の幅2mm(断面積:1.57cm)のものを用いた。また、ガス発生剤30を170g使用して試験を実施した。それらの結果を表1に示した。試験の結果、衝撃音発生時に固形物は放出されず、緊塞圧力について+51℃と−32℃との差は6MPaであり、衝撃音の音量について+51℃と−32℃との差は9dBであることを確認することができた。
(実施例4)
蓋体21として、厚さ3mmの鋼鉄製で、ガス排出孔19が図5(a)に示した形状の幅2mm(断面積:1.57cm)に形成され、そのガス排出孔19の部分をアルミニウム製のテ−プで封止したものを用いた。また、ガス発生剤30を170g使用して試験を実施した。それらの結果を表1に示した。試験の結果、衝撃音発生時に固形物は放出されず、緊塞圧力について+51℃と−32℃との差は7MPaであり、衝撃音の音量について+51℃と−32℃との差は10dBであることを確認することができた。
(実施例5)
蓋体21として、厚さ3mmの鋼鉄製で、ガス排出孔19が図5(a)に示した形状の幅1mm(断面積:0.80cm)のガス排出孔19を有するものを用いた。また、ガス発生剤30を170g使用して試験を実施した。それらの結果を表1に示した。試験の結果、衝撃音発生時に固形物は放出されず、緊塞圧力について+51℃と−32℃との差は9MPaであり、衝撃音の音量について+51℃と−32℃との差は10dBであることを確認することができた。
(比較例1)
図8(a)、(b)に示したように、貫通しない切り溝33を有し、ガス排出孔19を有さない蓋体21を用いて試験を実施した。また、ガス発生剤30を170gを使用して試験を行った。それらの結果を表1に示した。+51℃における試験の結果、衝撃音発生時に固形物は放出されなかったが、緊塞圧力が46MPaとなり、蓋体21と周壁18との結合部分の一部が破壊され、実用上問題となることが判明した。緊塞圧力について+51℃と−32℃との差は29MPaであり、衝撃音の音量について+51℃と−32℃との差は15dBであり、環境温度により大きく変化することを確認することができた。
(比較例2)
図8(a)、(b)に示したように、貫通しない切り溝33を有し、ガス排出孔19を有さない蓋体21を用いて試験を実施した。また、ガス発生剤30を100g使用して試験を行った。それらの結果を表1に示した。−32℃における試験の結果、緊塞圧力が12MPaと低く、蓋体21は開口していないことが判明した。そのため、衝撃音の音量が65dBと非常に小さいものとなった。緊塞圧力について+51℃と−32℃との差は12MPaであり、衝撃音の音量について+51℃と−32℃との差は55dBであり、環境温度により大きく変化することを確認することができた。
Figure 2009264651
表1に示した結果より、実施例1〜5においては、燃焼容器16内の緊塞圧力が15〜29MPaで衝撃音の音量が112〜127dBであり、衝撃音発生装置15の側方30m地点での音は十分に大きく、その音を認識するのに十分であった。また、緊塞圧力の最大値は29MPaであり、燃焼容器16が破壊されるような問題は生じなかった。以上の結果より、衝撃音発生装置15は、高温と低温との性能変化が非常に小さいものであり、従って環境温度に影響されないものであることを確認することができた。
それに対し、比較例1においては+51℃の試験時に蓋体21と周壁18との結合部分の一部が破壊されるという問題が生じ、また比較例2においては衝撃音発生装置15の側方30m地点での音が十分には認識できないという問題が生じた。従って、比較例においては、高温と低温との性能変化が大きく、環境温度に著しく影響を受けるため、衝撃音発生装置15として使用するのが困難であることを確認することができた。
なお、前記実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・ 前記蓋体21の中心部の厚さを外周部の厚さより薄く形成し、燃焼容器16内の緊塞圧力の増大により蓋体21の中心部の変形が容易になるように構成することもできる。この場合、蓋体21の厚さを中心部ほど薄くなるように、段差状に形成したり、テーパ状に形成したりすることができる。
・ 前記蓋体21に設けたスリット25を、蓋体21の中心部側が外周部側より幅広になるように形成し、燃焼容器16内の緊塞圧力の増大によりスリット25を形成する蓋体21の中心部の変形が容易になるように構成することもできる。
・ 前記蓋体21のガス排出孔19が設けられていない部分の厚さを厚く形成して補強したり、リブを形成して補強したりすることも可能である。
・ 温度による緊塞圧力の差及び温度による衝撃音の音量の差を設定する低温側の温度を例えば−30℃、高温側の温度を例えば+50℃に設定したり、さらにそれぞれ任意の温度に設定したりすることができる。
・ 蓋体21の中心部から放射状に延びるスリット25の数を8本、10本等に設定することができ、またスリット25の幅を適宜広く設定したり、狭く設定したりすることができる。
・ 衝撃音発生装置15を備えた発射装置10を、垂直又は水平ではなく、所定角度の斜め方向に配置して使用することもできる。
さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
〇 前記燃焼容器内の緊塞圧力が15MPaに達したときにガス排出孔の開口面積が増加し始めるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の衝撃音発生装置。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果を有効に発揮させることができる。
〇 前記ガス排出孔は、複数のスリットが均等間隔で形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の衝撃音発生装置。このように構成した場合、ガスの排出を均等に行うことができ、請求項4又は請求項5に係る発明の効果を安定した状態で発揮することができる。
〇 前記スリットは十字状に形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の衝撃音発生装置。このように構成した場合、請求項4又は請求項5に係る発明の効果に加えて、ガス排出孔の構成を簡単にすることができる。
〇 前記スリットを形成する蓋体の切片は、緊塞圧力が15MPaに達したときに外方へ変形するように構成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の衝撃音発生装置。このように構成した場合、燃焼容器内の緊塞圧力を容易に開放することができ、請求項4又は請求項5に係る発明の効果を有効に発揮させることができる。
〇 前記鉄系材料は、炭素鋼又はステンレス鋼であることを特徴とする請求項5に記載の衝撃音発生装置。このように構成した場合、請求項5に係る発明の効果を有効に発揮させることができる。
実施形態における衝撃音発生装置を備えた発射装置を模式的に示す概略断面図。 衝撃音発生装置を模式的に示す概略断面図。 衝撃音発生装置を模式的に示す概略斜視図。 装填ガイドに収容された衝撃音発生装置を備えた発射装置を模式的に示す概略断面図。 (a)は実施例1における衝撃音発生装置を示す側面図、(b)は衝撃音発生装置を示す概略断面図。 (a)はガス発生剤が燃焼した後の衝撃音発生装置を示す側面図、(b)はその衝撃音発生装置を示す概略部分断面図。 (a)は実施例2における衝撃音発生装置を示す側面図、(b)はその衝撃音発生装置を示す概略断面図。 従来の衝撃音発生装置を示し、(a)は比較例1及び2における衝撃音発生装置を示す側面図、(b)はその衝撃音発生装置を示す概略断面図。
符号の説明
15…衝撃音発生装置、16…燃焼容器、17…底壁、18…周壁、19…ガス排出孔、21…蓋体、25…ガス排出孔を構成するスリット、28…点火部材としての点火具、29…点火部材としての伝火薬、30…ガス発生剤。

Claims (5)

  1. 底壁と、該底壁の周囲より立設された筒状の周壁と、該周壁の前端部に取着されガス排出孔を設けた板状の蓋体とにより燃焼容器が構成され、該燃焼容器内にガス発生剤が収容されると共に、前記底壁にはガス発生剤を燃焼させるための点火部材を備えた衝撃音発生装置において、
    前記燃焼容器内でのガス発生剤の燃焼に基づく燃焼容器内の緊塞圧力の増大により、ガス排出孔が拡大してその開口面積が増加し、緊塞圧力が15〜30MPaに調整されるように構成されていることを特徴とする衝撃音発生装置。
  2. 前記燃焼容器内の温度が−50℃以上0℃以下の場合には緊塞圧力が15〜20MPa及び燃焼容器内の温度が0℃を超え、60℃以下の場合には緊塞圧力が20〜30MPaとなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の衝撃音発生装置。
  3. 前記燃焼容器内の温度が51℃の場合の緊塞圧力と−32℃の場合の緊塞圧力との差が10MPa以内であり、かつ燃焼容器内の温度が51℃の場合の衝撃音の音量と−32℃の場合の衝撃音の音量との差が12dB以内となるように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の衝撃音発生装置。
  4. 前記ガス排出孔は、蓋体の中心部から放射状に延びるスリットにより構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の衝撃音発生装置。
  5. 前記蓋体は、鉄系材料により形成され、その厚さが1〜5mmに形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の衝撃音発生装置。
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