JP5697373B2 - 発射装薬 - Google Patents

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Description

本発明は、りゅう弾砲のような分離装填弾の射撃に使用される発射装薬に関する。
以下の特許文献1、特許文献2に記載されるように、同一モジュールで1〜5又は6モジュールを使用して射撃を行うことが可能な、りゅう弾砲用のモジュール式発射装薬やユニット型発射装薬(以下、モジュール式発射装薬という。)は、一般に、図1に示すように、主に、発射薬、焼尽容器、点火薬筒、及び点火薬により構成されている。
発射装薬を設計する際の重要な項目の一つとして、発射薬、焼尽部品、点火薬の組成や重量によって決定されるガス発生速度について、5又は6モジュールを使用した射撃時に、図2で示すような燃焼室内の負差圧(燃焼室内後方の圧力から前方の圧力を引いた差圧の内、負になる圧力のこと)等の異常圧力が極力生じないようにガス発生速度を調整することが挙げられる。
また、1モジュールを使用して射撃を行なう場合には、発生圧力が小さくなるため、飛翔体が砲内で停止する「停弾」を発生させないことも重要である。
特許文献1、特許文献2に記載された発射装薬では、5又は6モジュールを使用した射撃時にも負差圧等の異常圧力を極力生じさせないように、発射装薬の構成部品である発射薬として、ガス発生速度の比較的緩やかなものが使用されている。しかしながら、ガス発生速度の比較的緩やかな発射薬を用いた場合には、2モジュール以上を使用して射撃した場合に比べて1モジュールを使用して射撃した場合の飛翔体の初速安定性が悪くなる恐れがある。
特許文献1、特許文献2に記載されたものとは異なる方式のモジュール式装薬として、以下の特許文献3に記載されるようなBi-Modular Charge System (BMCS)がある。かかるシステムでは、1〜2モジュールを使用する場合には、ガス発生速度の速い発射薬を入れた発射装薬を用い、3〜6モジュールを使用する場合には、比較的ガス発生速度の緩やかな発射薬を入れた発射装薬を用いるため、該システムは、特許文献1、特許文献2に記載された同一の1〜5又はは6モジュールを発射装薬として使用することができるものではない。
以下の特許文献4には、粗い粒子の発射薬の隙間に小粒発射薬を混合して充填された2種類の発射薬を用いた発射装薬に係る発明が開示されている。該発明は、発射薬の高充填化を目的としたものであり、飛翔体の初速安定化については何ら言及されていない。また、特許文献4に記載されたように2種類の発射薬を混合した場合、小粒発射薬の分布は、粗い粒子の発射薬の量や保管・運搬時の状況に依存するため一定ではない。そのため、点火薬から全ての小粒発射薬へ点火する状況も毎回一定ではないと考えられる。
以下の特許文献5には、発射装薬の点火薬筒外周に発火性硬質発泡層を巻くことにより、該発火性硬質発泡層が火管からの火炎により燃焼し、より短い時間で発射薬に点火することを目的とした発明が開示されている。該発火性硬質発泡層は、特許文献5の図1に記載されるように、点火薬筒内面に点火薬が配置されていないことや、該発火性硬質発泡層には一般的に点火薬用途で使用される黒色火薬を用いていることから、特許文献1で示す点火薬と同様の働きをするものである。よって特許文献5に記載される発明は、点火薬を発射薬に近づけることによって発射薬への着火性を改善することを目的としたものであり、飛翔体の初速安定化については何ら言及されていない。
特開2005−265352号公報 特開平5−118793号公報 Bi-Modular Charge System(BMCS), Jane's Ammunition Handbook 2006-2007, Edited by Leland Ness and Anthony G Williams, p678 特表2004−531441号公報 特許第3699180号
本発明が解決しようとする課題は、同一モジュールで1〜5又は6モジュールを使用して射撃を行うことが可能な、りゅう弾砲用のモジュール式発射装薬において、5又は6モジュール使用時に燃焼室内に負差圧等の異常圧力の問題が発生しないとともに、1モジュール使用時は飛翔体の初速安定化が図られる発射装薬を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、発射装薬のガス発生速度と飛翔体の初速安定化について鋭意研究し、実験を重ねた結果、発射装薬の主に燃焼初期のガス発生速度を高めることにより、前記課題を解決することができることを発見し、本発明を完成するに至った。
[1]発射薬、点火薬、焼尽容器、及び点火薬筒を主たる構成品とする発射装薬において、該発射薬として主発射薬とともに、該主発射薬よりもガス発生速度の速い1種類以上の初速安定化用発射薬を、該点火薬筒の外側に隣接して主発射薬とは分離して配置してあり、該初速安定化用発射薬の組成は、該主発射薬と同じ組成であり、かつ、該初速安定化用発射薬の重量は、該主発射薬と該初速安定化用発射薬を合計した発射薬全体重量の4.0%〜17.0%の範囲にあり、そして前記初速安定化用発射薬と前記主発射薬を組み合わせた場合の燃焼開始前における単位重量当りの発射薬表面積は、主発射薬のみの場合の燃焼開始前における単位重量当りの発射薬表面積を100%としたとき、140%〜180%の範囲にあることを特徴とする発射装薬。
本発明により、モジュール式発射装薬の1モジュールを使用した射撃の際に飛翔体の初速安定化が図れ、かつ、5又は6モジュールを使用した射撃の際にも、負差圧等の異常圧力の問題がない射撃を行うことができる。
特許文献1、特許文献2に記載された一般的なモジュール式発射装薬の断面図。 燃焼室後方と前方における負差圧発生を示すグラフ。 初速安定化用発射薬を点火薬筒の外側に主発射薬とは分離して配置した本発明に係る発射装薬の1例の断面図。 初速安定化用発射薬を点火薬筒の外側に主発射薬とは分離して配置した本発明に係る発射装薬の他の例の断面図。 初速安定化用発射薬を点火薬筒の外側に主発射薬とは分離して配置した本発明に係る発射装薬の他の例の断面図。 初速安定化用発射薬を点火薬筒の外側に主発射薬とは分離して配置した本発明に係る発射装薬の他の例の断面図。 密閉ボンブによる各種発射薬のガス発生速度の圧力−時間履歴を示すグラフ。 図6に示す発射装薬を6モジュール使用した場合の発射装薬編合の1例の模式図。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る発射装薬は、りゅう弾砲などの重火器用の発射装薬として用いることができ、同一モジュールにて1〜5又は6モジュールの射撃を行なうために使用されることができる。
本発明の一実施形態である発射装薬の断面図を図3に示す。本発明の発射装薬は、図1に示す従来技術の発射装薬の構成部材である発射薬を主発射薬とし、その主発射薬よりもガス発生速度の速い1種類以上の初速安定化用発射薬を付加した構成を有する。
該初速安定化用発射薬は、主に燃焼初期のガス発生速度を向上させる目的で追加する。全ての該初速安定化用発射薬はできるだけ同時に点火する必要があるため、該初速安定化用発射薬は、主発射薬の中に混合して配置するのではなく、点火薬筒の外側に主発射薬とは分離して配置する必要がある。そのため、本発明においては、該初速安定化用発射薬を配置する位置は、図3、図4、図5又は図6に示すように、点火薬筒の外側に主発射薬とは分離して配置させる必要がある。但し、その配置方法は、該初速安定化用発射薬が点火薬筒の外側に配置する限り任意でよい。例えば、該初速安定化用発射薬は、絹製等の袋又は焼尽性の容器に入れた状態で点火薬筒の外側に配置することができる。さらに、該初速安定化用発射薬を点火薬筒の外側に隣接して配置すれば、該初速安定化用発射薬への点火遅れをより軽減することができる。
該初速安定化用発射薬の組成としては、ニトロセルロースを基剤とする発射薬であるシングルベース、ニトロセルロース及びニトログリセリンを基剤とする発射薬であるダブルベース、ニトロセルロース、ニトログリセリン、及びニトログアニジンを基剤とする発射薬であるトリプルベース、又はRDXなどの爆薬成分やその他高エネルギー物質を含有する発射薬であるマルチベースなどの一般に主発射薬に用いられる組成であればどのようなものでも構わない。
該初速安定化用発射薬の重量については、主発射薬と初速安定化用発射薬を合計した発射薬全体重量(以下、単に「発射薬全体重量」ともいう。)の4.0%〜17.0%の範囲とすることが好ましい。4.0%未満であると、負差圧等の異常圧力発生は抑制できるものの、初速安定化用発射薬のガス発生量が少なすぎて1モジュール使用時の飛翔体の初速安定化効果が低くなる。一方、17.0%を超えると、1モジュール使用時の飛翔体の初速安定化効果は高くなるものの、負差圧等の異常圧力発生を抑制することが困難になる。さらに、1モジュール使用時の飛翔体の初速安定化と、5又は6モジュール使用時の負差圧等の異常圧力抑制との両者のバランスを考慮した場合に、該初速安定化用発射薬の重量は、発射薬全体重量の9.0%〜13.0%の範囲とすることがより好ましい。
燃焼初期のガス発生速度を速くするためには、一般的には、初速安定化用発射薬を主発射薬よりも小さくことや、同一体積で比較して発射薬表面積を大きくさせること、ポーラス状にするなど嵩密度を軽くすることなどの手段がある。
該初速安定化用発射薬の具体的な形状としては、球状、棒状、円柱状、単孔管状、7孔管状、19孔管状、6角19孔など、主発射薬よりも燃焼初期のガス発生速度が速くなる形状であればどのようなものであってもよい。
該初速安定化用発射薬と主発射薬を組み合わせた場合の燃焼開始前の単位重量あたりの発射薬表面積は、主発射薬のみの場合の燃焼開始前の単位重量あたりの発射薬表面積を100%とするとき、120〜180%の範囲とする。ここで、該初速安定化用発射薬と主発射薬を組み合わせた場合の燃焼開始前の単位重量あたりの発射薬表面積とは、1つのモジュール内に配置した該初速安定化用発射薬と主発射薬の全発射薬表面積を、全発射薬重量で除した表面積のことをいう。
本発明の発射装薬から発生するガス発生速度は、主に、主発射薬と1種類以上の該初速安定化用発射薬の複数発射薬を組み合わせて燃焼させた場合のガス発生速度となる。その合計されたガス発生速度のうち、主に燃焼初期のガス発生速度が、飛翔体の初速を安定化させるために必要なガス発生速度の範囲に入っていることが重要であり、主発射薬のガス発生速度に応じて該初速安定化用発射薬が有すべきガス発生速度は変化する。
そのため、飛翔体の初速を安定化させるために本発明の発射装薬が有すべきガス発生速度の範囲は、主発射薬と該初速安定化用発射薬それぞれのガス発生速度の範囲ではなく、主発射薬と該初速安定化用発射薬を組み合わせて燃焼させた際に発生する燃焼ガスのガス発生速度として規定する必要がある。
以下、飛翔体の初速を安定化させるために必要な、主発射薬と該初速安定化用発射薬を組み合わせて燃焼させた場合のガス発生速度の範囲の求め方を説明する。
本発明に係る発射装薬において、主発射薬と該初速安定化用発射薬を組み合わせて燃焼させた場合のガス発生速度としては、密閉空間の中で発射薬を燃焼させて発射薬のガス発生速度を測定する密閉ボンブ装置を用いて、発射薬の装てん密度0.2g/ccの条件下、燃焼初期を5〜45MPa間とし、その間の平均ガス発生速度を算出する場合に、4.7〜8.0MPa/msecの範囲に該当するものが好ましい。平均ガス発生速度が4.7MPa/msec未満であると、ガス発生速度が遅すぎて初速安定化効果がほとんど得られず、一方、8.0MPa/msecを超えると、負差圧等の異常圧力を抑制することが困難になる。さらに、1モジュール使用時の飛翔体の初速安定化と、5又は6モジュール使用時の負差圧等の異常圧力との両者のバランスを考慮した場合には、同条件において、平均ガス発生速度が5.5〜6.5MPa/secの範囲のものがより好ましい。
以下に、実施例、比較例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(発射装薬の製造方法)
初速安定化用発射薬を含む発射装薬を、以下の方法で製造した。
主発射薬については、その組成はトリプルベース、組成比率は代表的なM30組成(ニトロセルロース(28.00重量%)、ニトログリセリン(22.50重量%)、ニトログアニジン(47.70重量%)、安定剤(1.5重量%)、消炎剤(0.3重量%))とし、形状及び寸法は、6角19孔、外径は13.5mm、長さは13.5mm、孔径は0.5mmとした。製造方法は、原材料を溶剤とともに捏和機に仕込み均質になるまで混合、捏和し、それ以降は公知の溶剤圧伸方法を用いて製造した。
初速安定化用発射薬についても、その組成は主発射薬同様トリプルベース、組成比率もM30とした。形状及び寸法は、単孔管状、外径は1.2mm、長さは8.0mm、孔径は0.2mmとした。製造方法については主発射薬同様であった。
焼尽部品については、ニトロセルロース(56重量%)とクラフトパルプ(28重量%)、汎用樹脂(15重量%)、安定剤(1重量%)を、水に懸濁してスラリーとし、それを吸引してフェルト状の筒体とし、金型で加温プレスして硬化させ、外径155mm、長さ150mm、端部内径d1=20mm中心部内径d2=35mmの中空点火薬筒を含む、柱状のものを製造した。
点火薬については、黒色火薬(等級1)5g、CBI(多孔質又はフレーク状のシングルベース火薬)5gを使用し、それらを絹製の袋に入れて点火薬筒の内側に設けた。
初速安定化用発射薬は、絹製の袋に充填した後、点火薬筒の外側に主発射薬と分離して配置し、その後、焼尽部品の内部に主発射薬を充填することで、本発明の発射装薬を製造した。
図3に、このようにして得た発射装薬の断面図を示す。
(密閉ボンブによるガス発生速度確認)
次に、発射薬および初速安定化用発射薬の基本的なガス発生速度を確認するために、密閉ボンブ装置を用いて燃焼試験を行なった。この密閉ボンブ装置(燃焼室容積249cc)を用い、密閉空間の中で発射薬を燃焼させた際に発生するガスの圧力−時間履歴を求めた。
密閉ボンブ試験で使用した発射薬量は、主発射薬と初速安定化用発射薬を合計した発射薬全体重量が0.2g/ccとなるようにし、初速安定化用発射薬の重量は、主発射薬と初速安定化用発射薬を合計した発射薬全体重量の0質量%、4質量%、9質量%、13質量%、17質量%とした。密閉ボンブ試験で得られた圧力−時間履歴の結果を図7に示し、燃焼初期を5〜45MPa間として、その間の平均ガス発生速度を算出した結果を、以下の表1に示す。
参考例1)
主発射薬と初速安定化用発射薬の重量をそれぞれ発射薬全体重量の96質量%、4質量%とし、その他は前述した製造方法に基づき発射装薬を試作した。
次に、本発明の効果を確認するため試験装置を用いて射撃試験を行った。試験装置は、155mm火砲に模して作られた短砲身を用い(砲身長約3m)、先ず飛翔体を燃焼室前方に装填した。飛翔体の質量は約43kgであった。次いで、発射装薬を1モジュール燃焼室に装填した。砲尾に付設されている閉鎖装置を閉鎖した後、火管を発火させ発射装薬を燃焼させた。
その際に、短砲身から飛翔する飛翔体の初速計測、及び燃焼室内の圧力−時間曲線の計測を行った。飛翔体の初速については、短砲身から3ヶ所の一定位置に設置した金属箔を塗した箔的より飛翔体の存速を算出し、そこから砲口離脱時の飛翔体の初速を算出した。また、燃焼室内の圧力−時間曲線の計測は、ピエゾセンサーを用いて燃焼室後方及び燃焼室前方での圧力を測定した。
以下に記載する比較例1で得られた飛翔体の初速ばらつきの標準偏差を100%として、参考例1で得られた飛翔体の初速ばらつきの標準偏差を比較した結果を、以下の表2に示す。表2から、参考例1の飛翔体の初速ばらつきの標準偏差は、比較例1の標準偏差の43%であり、飛翔体の初速ばらつきが軽減されたことが分かる。
(実施例2)
主発射薬及び初速安定化用発射薬の重量をそれぞれ発射薬全体重量の91質量%、9質量%とし、その他は参考例1と同様に発射装薬を試作して飛翔体の射撃試験を行なった。実施例2で得られた飛翔体の初速ばらつきの標準偏差についても、参考例1と同様に、比較例1の場合に対する割合で、表2に示す。表2から、実施例2の飛翔体の初速ばらつきの標準偏差は、比較例1の標準偏差の25%であった。
(実施例3)
主発射薬及び初速安定化用発射薬の重量をそれぞれ発射薬全体重量の87質量%、13質量%とし、その他は参考例1と同様に発射装薬を試作して飛翔体の射撃試験を行なった。実施例3で得られた飛翔体の初速ばらつきの標準偏差についても、参考例1と同様に、比較例1の場合に対する割合で、表2に示す。表2から、実施例3の飛翔体の初速ばらつきの標準偏差は、比較例1の標準偏差の20%であり、実施例2の場合よりも若干ではあるが初速ばらつきが軽減されることが確認された。
(実施例4)
主発射薬及び初速安定化用発射薬の重量をそれぞれ発射薬全体重量の83質量%、17質量%とし、その他は参考例1と同様に発射装薬を試作して飛翔体の射撃試験を行なった。実施例4で得られた飛翔体の初速ばらつきの標準偏差についても、参考例1と同様に、比較例1の場合に対する割合で、表2に示す。表2から、実施例4の飛翔体の初速ばらつきの標準偏差は、比較例1の標準偏差の22%であり、実施例3とほぼ同等の初速ばらつきであることが確認された。
参考例1、実施例2〜4を実施した結果、初速安定化用発射薬の重量が発射薬全体重量の9質量%以上であれば、1モジュール使用時の飛翔体初速について、より高い安定性が得られることが確認された。さらに、複数モジュール使用時に負差圧等の異常圧力をできるだけ生じさせないことを考慮する場合には、初速安定化用発射薬の重量はできるだけ少ない方が良いため、初速安定化用発射薬の重量を発射薬全体重量の9質量%とし、次の参考例5、参考例6を実施した。
参考例5)
参考例5として、初速安定化用発射薬の配置位置を変更した場合の効果を確認するための試験を行なった。
参考例5では、前記(発射装薬の製造方法)に従って得られた主発射薬、焼尽部品、点火薬筒、点火薬、及び初速安定化用発射薬を用いた。
参考例5では、初速安定化用発射薬の位置を、図6に示すように、点火薬から離れた位置に配置した。表2に示すように、初速安定化用発射薬の重量は、実施例2と同様に発射薬全体重量の9質量%とした。
参考例5の飛翔体の初速ばらつきの標準偏差は、比較例1の標準偏差の30%であり、初速安定化用発射薬の配置位置を変更しても初速ばらつきを抑制する効果があることが確認された。
参考例6)
参考例5で使用した発射装薬を用いて、図8に示すような6モジュールを使用した飛翔体の射撃試験を参考例5と同様に行なった。
参考例6で得られた飛翔体の初速ばらつきの標準偏差についても、参考例1と同様に、比較例1の場合に対する割合で、表2に示す。表2から、参考例6の飛翔体の初速ばらつきの標準偏差は、比較例1の標準偏差の28%であり、高い初速安定性があることが確認された。また、負差圧等の異常圧力については、比較例2と同程度の10MPa以下であり、問題のないことが確認された。
(比較例1)
比較例1では、前記(発射装薬の製造方法)に従って得られた主発射薬、焼尽部品、点火薬筒、及び点火薬を用いて、図1に示す従来技術の発射装薬を試作した。表2に示すように、比較例1の発射装薬は、初速安定化用発射薬を使用しないものであった。比較例1で用いた主発射薬の重量は、参考例1の主発射薬と初速安定化発射薬の合計重量と同じとし、比較例1についても参考例1同様に射撃を実施した。
(比較例2)
比較例1で用いた発射装薬と同じものを6モジュール使用して、参考例1と同様に射撃を実施した。
本発明に係る発射装薬を用いると、モジュール式発射装薬の1モジュールを使用した射撃の際に飛翔体の初速安定化が図れ、かつ、5又は6モジュールを使用した射撃の際にも、負差圧等の異常圧力の問題がない射撃を行うことができる。したがって、本発明に係る発射装薬は、りゅう弾砲のような分離装填弾の射撃に好適に利用されうる。
1 主発射薬
2 点火薬
3 焼尽容器
4 点火薬筒
5 初速安定化発射薬

Claims (1)

  1. 発射薬、点火薬、焼尽容器、及び点火薬筒を主たる構成品とする発射装薬において、該発射薬として主発射薬とともに、該主発射薬よりもガス発生速度の速い1種類以上の初速安定化用発射薬を、該点火薬筒の外側に隣接して主発射薬とは分離して配置してあり、該初速安定化用発射薬の組成は、該主発射薬と同じ組成であり、かつ、該初速安定化用発射薬の重量は、該主発射薬と該初速安定化用発射薬を合計した発射薬全体重量の4.0%〜17.0%の範囲にあり、そして前記初速安定化用発射薬と前記主発射薬を組み合わせた場合の燃焼開始前における単位重量当りの発射薬表面積は、主発射薬のみの場合の燃焼開始前における単位重量当りの発射薬表面積を100%としたとき、140%〜180%の範囲にあることを特徴とする発射装薬。
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