JP2009258744A - プロジェクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】画像形成領域での照度ムラの発生を抑制できるプロジェクタを提供すること。
【解決手段】プロジェクタは、光変調装置の画像形成領域を均一に照明する均一照明光学系41を備える。均一照明光学系41は、複数の第1レンズ4121により光束を複数の部分光束に分割する第1レンズアレイ412と、複数の第2レンズ4131を有する第2レンズアレイ413と、光束の偏光方向を略1種類に揃える偏光変換素子414とを備える。偏光変換素子414は、第1方向に長手方向を有する偏光分離層4141と、第1方向に略直交する第2方向Bに沿って偏光分離層と交互に配置される反射層4142と、入射する偏光光の偏光方向を変換する位相差層4144とを備える。第1レンズ4121の第1方向における焦点位置は、第2レンズアレイ413近傍に設定され、第2方向Bにおける焦点位置は偏光変換素子414近傍に設定されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、光源と、当該光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して画像を形成する光変調装置と、形成された前記画像を投射する投射光学系とを備えたプロジェクタに関する。
従来、画像情報に応じた光学像を形成して、当該光学像をスクリーン等に拡大投射するプロジェクタが知られている。このようなプロジェクタとして、光源と、当該光源から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置と、当該変調された光学像としての光束を投射する投射レンズとを備えたプロジェクタが知られている。
近年、形成画像の画質や色再現性を向上させた、いわゆる三板式プロジェクタが考案されている。このような三板式プロジェクタは、光源としてのランプから射出された光束を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する色分離光学系と、分離された色光ごとに設けられ、入射する色光を画像情報に応じて変調する光変調装置としての複数の液晶パネルと、各液晶パネルで変調された色光を合成して光学像を形成する色合成光学装置とを備えて構成されている。
ここで、液晶パネル等の光変調装置の画像形成領域は、均一に照明される必要がある。このため、ランプから射出された光束を複数の部分光束に分割した後、当該部分光束を光変調装置の画像形成領域に重畳させて、当該画像形成領域を均一に照明するインテグレータ照明光学系を備えたプロジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載のプロジェクタでは、インテグレータ照明光学系として、ランプから射出された光束の光軸に直交する面内に、複数の小レンズがマトリクス状に配列された第1レンズアレイと、当該複数の小レンズに対応する複数の小レンズを有する第2レンズアレイと、第2レンズアレイの各小レンズから射出された光束の偏光方向を揃える偏光変換素子と、当該偏光変換素子から入射する光束を液晶パネルの画像形成領域に重畳させる重畳レンズとを備えている。そして、このインテグレータ照明光学系によって、ランプから射出された光束の照明領域における光量の均一化が図られ、液晶パネルの画像形成領域が均一に照明される。
特開2005−234126号公報
しかしながら、このようなプロジェクタに用いられる光源ランプでは、光源ランプの電極間の中心から発光部が移動する場合がある。このため、プロジェクタを構成する各光学部品の位置決め固定後に、このような発光部の移動が生じた場合、形成される光学像に色ムラが生じる場合があるという問題がある。
このような問題から、光源ランプの発光部が、光学部品の位置決め固定後に電極間の略中央から移動した場合でも、光変調装置の画像形成領域における照度ムラを抑制できるプロジェクタが要望されてきた。
本発明の目的は、光源ランプの発光部が光学部品の位置決め固定後に移動した場合でも、画像形成領域における照度ムラの発生を抑制することができるプロジェクタを提供することである。
前記した目的を達成するために、本発明のプロジェクタは、光源と、当該光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置と、形成された前記光学像を投射する投射光学系とを備えたプロジェクタであって、前記光源から射出された光束を均一化して、前記光変調装置の画像形成領域を均一に照明する均一照明光学系を備え、前記均一照明光学系は、前記光源から射出された光束の光軸に略直交する面内に複数の第1レンズを有し、当該複数の第1レンズにより前記光束を複数の部分光束に分割する第1レンズアレイと、前記第1レンズアレイの前記複数の第1レンズに応じた複数の第2レンズを有する第2レンズアレイと、前記第1レンズアレイの光束射出側に配置され、前記第1レンズアレイから射出された光束の偏光方向を略1種類に揃える偏光変換素子とを備え、前記偏光変換素子は、前記光源から射出された光束の光軸に略直交する面内における第1方向に長手方向を有し、入射光束における一方の偏光方向を有する偏光光を透過し、他方の偏光方向を有する偏光光を反射する偏光分離層と、前記光源から射出された光束の光軸および前記第1方向に略直交する第2方向に沿って前記偏光分離層と交互に配置され、前記偏光分離層で反射した偏光光を、前記偏光分離層を透過した偏光光と同じ方向に反射する反射層と、前記偏光分離層または前記反射層に対応する位置に配置され、入射する偏光光の偏光方向を他の偏光方向に変換する位相差層とを備え、前記各第1レンズの前記第1方向における焦点位置は、当該第1レンズから射出された光束の光軸方向の前記第2レンズアレイ近傍に設定され、前記各第1レンズの前記第2方向における焦点位置は、当該第1レンズから射出された光束の光軸方向の前記偏光変換素子近傍に設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、光源において発光部が移動した場合でも、光変調装置の画像形成領域における照度ムラの発生を抑制することができる。
すなわち、第1レンズアレイを構成する複数の第1レンズの第1方向における焦点位置が、当該第1レンズから射出される光束の光軸方向における偏光変換素子近傍に設定されているため、当該第1レンズから射出された光束は、偏光変換素子に対して狭い照明範囲で入射する。この際に、光源における発光部が、偏光変換素子の偏光分離層および反射層の配列方向である第1方向に移動した場合、発光部における当該発光部の移動方向側の端部位置から射出された光が第1レンズを介することで形成される部分光束は、その略全ての光が偏光変換素子の光束入射面に入射せず、発光部における中心近傍から射出された光が第1レンズを介することで形成される部分光束は、その略全ての光が、偏光変換素子の光束入射面に入射するようになる。すなわち、発光部におけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される各部分光束が、それぞれ割合を変えて光束入射面に入射するのではなく、発光部におけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される部分光束のうち、一部の部分光束を構成する光の略全てが、偏光変換素子の光束入射面に入射することとなる。
これによれば、発光部におけるある位置から射出された光により形成される部分光束の略全ての光が、光変調装置の画像形成領域に重畳されて入射することとなるため、第1方向における一方の端部側の光が減じられた部分光束が光変調装置の画像形成領域に重畳される場合と異なり、当該画像形成領域の第1方向における一方の端部側と、他方の端部側との照明強度(照度)に大きな差が生じることを抑制することができる。従って、光変調装置の画像形成領域における照度ムラの発生を抑制することができる。
また、第1レンズの第2方向における焦点位置が、当該第1レンズから射出される光束の光軸における第2レンズアレイ近傍に設定されているため、第1レンズから射出された部分光束は、当該部分光束が入射すべき対応する第2レンズに対して狭い照明範囲で入射する。この際、光源における発光部が、当該光源から射出された光束の光軸に直交する面内における第1方向に直交する第2方向に移動した場合、当該移動方向の発光部の外側から射出された光により形成される部分光束は、対応する第2レンズに入射せず、当該発光部における中心近傍および当該移動方向とは反対側の端部から射出された光により形成される部分光束のみが、それぞれ対応する第2レンズに入射するようになる。
これによれば、前述の場合と同様に、発光部におけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される略全ての部分光束が、それぞれ割合を変えて対応する第2レンズに入射するのではなく、発光部におけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される各部分光束のうち、一部の部分光束を構成する光の略全てが、対応する第2レンズに入射することとなる。そして、対応する第2レンズに入射した部分光束は、前述のように、重畳レンズにより光変調装置の画像形成領域に重畳されることとなるため、第2方向における一方の端部側の光が減じられた部分光束が光変調装置の画像形成領域に重畳された場合とは異なり、画像形成領域の第2方向における一方の端部側と、他方の端部側との照明強度(照度)に大きな差が生じることを抑制することができる。従って、画像形成領域における照度ムラの発生を抑制することができる。
本発明では、前記均一照明光学系から射出された光束を、複数の色光に分離する色分離光学系を備え、前記光変調装置は、前記複数の色光ごとに、当該色光の光路上にそれぞれ配置され、前記各光変調装置の光路後段には、当該各光変調装置から射出された各色光を合成する色合成光学装置が設けられていることが好ましい。
このような色分離光学系としては、所定波長の色光を透過し、他の波長の色光を反射するダイクロイックミラーや、入射光束を全反射する全反射ミラーを備えた構成を例示することができる。また、色合成光学装置としては、クロスダイクロイックプリズムや、複数のダイクロイックミラーを備えた構成を例示することができる。
本発明によれば、色分離光学系にて分離された色光を、複数の光変調装置がそれぞれ変調し、当該変調された色光を色合成光学装置が合成して光学像を形成するプロジェクタにおいて、色ムラを抑制したカラー画像を形成することができる。
ここで、色分離光学系がダイクロイックミラーや全反射ミラーを備える構成である場合には、色分離光学系に入射した光束は、所定波長の色光が分離される過程で、各ミラーによって反射を繰り返す。このため、前述のように、光源における発光部の位置が電極間の略中央から移動して、当該光源から射出された光束の照明領域における照明強度(照度)が均一でなくなってしまう場合には、各光変調装置の画像形成領域における照明強度(照度)が高い側と低い側とが揃わなくなってしまう場合がある。このような場合、これら各画像形成領域を透過し、色合成光学装置で合成された画像においては、ある色光に由来する画像と、他の色光に由来する画像との照明強度の高い側と低い側とが一致せず、これによって、形成画像に色ムラが生じてしまうことがある。
これに対し、光源における発光部の位置が移動した場合であっても、均一照明光学系により、各光変調装置の画像形成領域が略均一に照明されることとなるので、各画像形成領域で照度ムラの発生を抑制することができ、各画像形成領域において輝度ムラのない画像をそれぞれ形成することができる。これにより、輝度ムラのない各画像を合成することで、色ムラの発生を抑制した光学像(カラー画像)を形成することができる。
従って、入射する色光を変調する光変調装置が複数設けられ、当該各光変調装置により変調された色光を合成して光学像を形成する色合成光学装置が設けられている場合においても、色ムラの発生を抑えた光学像を形成することができる。
また、本発明では、前記第1レンズは、トーリックレンズで構成されていることが好ましい。
本発明によれば、第1レンズがトーリックレンズで構成されていることにより、第1方向および第2方向で異なる焦点位置を有する第1レンズを、簡易に形成することができる。従って、第1レンズアレイの製造を簡易に行うことができほか、構成を簡略化することができる。
本発明の第1実施形態に係るプロジェクタの概略構成を示す模式図。 前記実施形態における第1レンズの第2方向の焦点位置を示す模式図。 前記実施形態における第1レンズの第1方向の焦点位置を示す模式図。 前記実施形態における偏光変換素子の構成を示す模式図。 前記実施形態に対する第1の比較例における第2方向の光束の光路を示す図。 図5の一部を拡大して示す図。 前記実施形態に対する第1の比較例における発光部の第2方向への移動量と液晶パネルでの照度分布との関係を示す図。 前記実施形態における第2方向の光束の光路を示す図。 図8の一部を拡大して示す図。 前記実施形態における発光部の第2方向への移動量と液晶パネルでの照度分布との関係を示す図。 本発明の第2実施形態に係る第1レンズの第2方向の焦点位置を示す模式図。 前記実施形態における第1レンズの第1方向の焦点位置を示す模式図。
〔1.第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)プロジェクタ1の構成
図1は、本実施形態に係るプロジェクタ1の概略構成を模式的に示す図である。
プロジェクタ1は、光源から射出される光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、形成した光学像をスクリーン(図示略)上に拡大投射するものである。このプロジェクタ1は、図1に示すように、外装筺体2と、投射光学装置としての投射レンズ3と、光学ユニット4等を備える。
なお、図1において、図示は省略するが、外装筺体2内において、投射レンズ3および光学ユニット4以外の空間には、プロジェクタ1内部を冷却する冷却ファン等で構成される冷却ユニット、プロジェクタ1内部の各構成部材に電力を供給する電源ユニット、およびプロジェクタ1全体を制御する制御装置等が配置されるものとする。
外装筺体2は、合成樹脂等から構成され、図1に示すように、投射レンズ3および光学ユニット4を内部に収納配置する全体略直方体状に形成されている。この外装筺体2は、図示は省略するが、プロジェクタ1の天面、前面、背面、および左右両側面をそれぞれ構成するアッパーケースと、プロジェクタ1の底面、前面、および背面をそれぞれ構成するロアーケースとで構成され、前記アッパーケースおよび前記ロアーケースは互いにねじ等で固定されている。
なお、外装筺体2は、合成樹脂等に限らず、その他の材料にて形成してもよく、例えば、金属等により構成してもよい。
光学ユニット4は、前記制御装置による制御の下、光源から射出された光束を、光学的に処理して画像情報に対応した光学像(カラー画像)を形成するユニットである。この光学ユニット4は、図1に示すように、外装筺体2の背面に沿って延出するとともに、外装筺体2の側面に沿って延出する平面視略L字形状を有している。
投射レンズ3は、光学ユニット4にて形成された光学像(カラー画像)を図示しないスクリーン上に拡大投射する投射光学系である。この投射レンズ3は、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成されている。
(2)光学ユニット4の構成
光学ユニット4は、図1に示すように、照明光学装置41と、色分離光学装置42と、リレー光学装置43と、電気光学装置44と、これら光学部品41〜44を内部に収納配置するとともに、投射レンズ3を所定位置で支持固定する光学部品用筐体45とを備える。
図2は、照明光学装置41を上方から見た模式図である。また、図3は、照明光学装置41を水平方向から見た模式図である。
照明光学装置41は、電気光学装置44を構成する後述する液晶パネル441の画像形成領域をほぼ均一に照明するための均一照明光学系である。この照明光学装置41は、図1に示すように、光源装置411と、第1レンズアレイ412と、第2レンズアレイ413と、偏光変換素子414と、重畳レンズ415とを備えて構成されている。
光源装置411は、図1から図3に示すように、放射状の光線を射出する光源ランプ416と、当該光源ランプ416から射出された放射光を反射して、所定位置に収束させるリフレクタ417と、当該リフレクタ417にて収束される光束を照明光軸Aに対して平行化する平行化凹レンズ418とを備えている。
このうち、光源ランプ416は石英ガラス管を備えて構成され、当該光源ランプ416には、図2および図3(図3においては構成の一部にのみ符号を付す)に示すように、中央部分が略球状に膨出する管球部4161と、当該管球部4161の両側から互いに離間する方向に延出する一対の封止部4162,4163とが形成されている。この管球部4161内には、放電空間Sが形成され、当該放電空間S内に、一対の電極4164,4165と、水銀、希ガスおよび少量のハロゲンとが封入されている。
このような光源ランプ416としては、高輝度発光する種々の光源ランプを採用することができ、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプおよび超高圧水銀ランプ等を採用することができる。
一対の封止部4162,4163の内部には、一対の電極4164,4165の他に、当該一対の電極4164,4165と電気的に接続されるモリブデン製の金属箔4166,4167がそれぞれ挿入され、当該一対の封止部4162,4163は、ガラス材料等で封止されている。これら各金属箔4166,4167には、さらに電極引出線としてのリード線4168,4169がそれぞれ接続され、当該リード線4168,4169は、光源装置411の外部まで延出している。そして、これらリード線4168,4169に対して電圧を印加すると、金属箔4166,4167を介して電極4164,4165間に電位差が生じて放電が発生し、図2および図3に示すように、発光部Dが生成されて管球部4161内部が発光する。
リフレクタ417は、図2に示すように、光源ランプ416の一方の封止部4163(光束射出方向の基端側に位置する封止部4163)に装着され、凹曲面状の反射部4171を備えた透光性を有するガラス製の成形品である。この反射部4171における光源ランプ416に対向する側には、回転楕円面形状のガラス面に、金属薄膜が蒸着された反射面4172が形成されている。なお、本実施形態では、リフレクタ417は、回転楕円面を有する楕円面リフレクタで構成されているが、回転放物面を有する放物面リフレクタで構成してもよい。この場合には、平行化凹レンズ418を省略した構成とする。
このようなリフレクタ417の反射部4171内部に配置される光源ランプ416は、通常状態での発光部Dの中心Oがリフレクタ417の反射面4172の回転楕円面形状の第1焦点位置の近傍となるように配置される。そして、光源ランプ416を点灯すると、発光部Dから放射された光束のうち、リフレクタ417に向かった光束は、当該リフレクタ417の反射面4172で反射されて、回転楕円面の第2焦点位置に収束する収束光となる。
ここで、光源ランプ416には、図2に示すように、副反射鏡416Aが設けられている。この副反射鏡416Aは、光源ランプ416の他方の封止部4162(リフレクタ417が装着される側とは反対側の封止部4162)に装着され、当該副反射鏡416Aには、略半球面状の反射部416A1が形成されている。
この反射部416A1は、光源ランプ416の管球部4161の前方側(光束射出方向の先端側)の略半分を覆うように形成されており、略椀形状に形成されている。そして、反射部416A1には、当該反射部416A1の内面が光源ランプ416の管球部4161の球面に倣う、半球面状の反射面416A2が形成されている。
このような副反射鏡416Aを光源ランプ416に装着することにより、当該光源ランプ416の発光部Dから放射された光束のうち、前方側に放射される光束が、副反射鏡416Aにより発光部Dに向けて反射され、光源ランプ416からリフレクタ417の反射面4172に直接入射する光束と同様に、リフレクタ417へと入射し、第2焦点位置に向かって収束する。
そして、当該リフレクタ417にて収束された光束は、平行化凹レンズ418によって照明光軸Aに対して略平行な平行光に変換される。これにより、光源装置411から射出される照明光束の中心軸は、照明光軸Aに一致する。
第1レンズアレイ412は、図2および図3に示すように、照明光軸Aに略直交する面内に複数の小レンズである第1レンズ4121が、マトリクス状に配列された構成を有している。これら第1レンズ4121は、照明光軸A方向から見て略矩形状の輪郭を有している。各第1レンズ4121は、光源装置411から射出される光束を、複数の部分光束に分割する。なお、第1レンズアレイ412の各第1レンズ4121の焦点位置については、後に詳述する。
第2レンズアレイ413は、第1レンズアレイ412と略同様な構成を有しており、第1レンズ4121に対応する小レンズである第2レンズ4131(図2から図4参照)がマトリクス状に配列された構成を有している。この第2レンズアレイ413は、重畳レンズ415とともに、第1レンズアレイ412の各第1レンズ4121の像を電気光学装置44の後述する液晶パネル441の画像形成領域に結像させる機能を有している。
図4は、偏光変換素子414を部分的に拡大した断面図である。
偏光変換素子414は、図1に示すように、第2レンズアレイ413と重畳レンズ415との間に配置され、第1レンズアレイ412で分割された複数の部分光束の偏光方向を揃えるものである。
この偏光変換素子414は、図4に示すように、照明光軸Aに対して略45°に傾斜し交互に配列された偏光分離層4141および反射層4142と、これら偏光分離層4141および反射層4142が形成されるガラス部材4143と、入射光束の偏光方向を変換する位相差層4144と、入射光束を遮光する遮光板4145とを備えている。
なお、偏光分離層4141および反射層4142は、図4に示すように、照明光軸Aに直交する面内における第1方向(垂直方向、図3中矢印C方向)に長手方向を有し、照明光軸Aおよび第1方向に直交する第2方向(水平方向、図2および図4中矢印B方向)に交互に配列されている。
ここで、第1レンズアレイ412で分割された各部分光束は、対応する偏光分離層4141に応じた光束入射面414Aから当該偏光分離層4141にそれぞれ入射する。そして、偏光変換素子414は、光束入射面414Aの第1方向に沿ったそれぞれの幅が、偏光分離層4141の第1方向に沿ったそれぞれの幅(偏光分離層4141の長手方向の幅)に略等しく、光束入射面414Aの第2方向に沿ったそれぞれの幅が、偏光分離層4141の第2方向に沿ったそれぞれの幅に略等しくなるように構成されている。
偏光分離層4141は、ランダムな偏光光束を2種類の直線偏光に分離する層であり、入射光束のうち一方の偏光光を透過して、他方の偏光光を反射する誘電体多層膜により構成されている。
反射層4142は、偏光分離層4141で反射された偏光光を、偏光分離層4141を透過した偏光光と同じ方向、すなわち、偏光変換素子414の光束射出側に向かって反射する層であり、単一金属材料または合金等で形成された反射膜により構成されている。
ガラス部材4143は、内部を光束が透過するものであり、本実施形態では、白板ガラス等を加工して形成されている。
位相差層4144は、ガラス部材4143の光束射出側に設けられ、当該ガラス部材4143から射出された光束の偏光方向を90°回転させて他方の直線偏光の偏光方向と同一にするものである。
具体的に、位相差層4144は、ガラス部材4143の光束射出端面のうち、偏光分離層4141を透過した直線偏光が射出される部分に貼り付けられ、偏光分離層4141を透過した当該直線偏光の偏光方向を90°回転させる。
なお、位相差層4144をガラス部材4143の光束射出端面のうち、反射層4142で反射された直線偏光が射出される部分に貼り付け、反射層4142で反射された直線偏光の偏光方向を90°回転させる構成とすることも可能である。
遮光板4145は、ガラス部材4143の光束入射側に配置されている。この遮光板4145は、ステンレスまたはアルミニウム合金等で形成され、反射層4142に対応する位置に設けられている。このため、偏光変換素子414は、第1レンズアレイ412および第2レンズアレイ413から射出された部分光束が、反射層4142に対して直接入射しないように構成されている。
すなわち、遮光板4145は、第1レンズアレイ412および第2レンズアレイ413から射出された部分光束を、偏光分離層4141のみに入射させるように構成されており、反射層4142に入射しようとする不要光は、遮光板4145によって遮光される。従って、第2レンズアレイ413から射出された部分光束のほとんどは、遮光板4145で覆われていないガラス部材4143の光束入射側の面である光束入射面414Aに入射し、当該ガラス部材4143を介して、偏光分離層4141に入射する。
以上説明した偏光変換素子414の偏光分離層4141が、P偏光を透過し、S偏光を反射する場合について、図4を用いて説明する。
第2レンズアレイ413の第2レンズ4131から射出された部分光束は、遮光板4145間を通過して、偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射した後、ガラス部材4143を介して偏光分離層4141に入射する。この偏光分離層4141は、当該部分光束に含まれるP偏光を透過し、光路を90°変換するようにしてS偏光を反射層4142に向かって反射する。
反射層4142に入射したS偏光は、当該反射層4142で反射されることによって光路が光束射出側に向かって90°変換され、照明光軸Aと略同一方向に進む。
一方、偏光分離層4141を透過したP偏光は、位相差層4144に入射し、当該位相差層4144によって偏光方向が90°回転されることにより、S偏光として射出される。これにより、偏光変換素子414からは、略1種類のS偏光が射出される。
ここで、直線偏光を変調するタイプの液晶パネルを用いたプロジェクタでは、1種類の直線偏光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源装置411から射出される光の略半分を利用できない。このため、本実施形態では、偏光変換素子414を用いることで、光源装置411からの射出光を略1種類の直線偏光に変換し、電気光学装置44での光の利用効率を高めている。
このようにして、偏光変換素子414によって略1種類の直線偏光に変換された各部分光束は、重畳レンズ415によって、電気光学装置44の後述する液晶パネル441の画像形成領域(光変調面)上にほぼ重畳される。
色分離光学装置42は、図1に示すように、2枚のダイクロイックミラー421,422と、反射ミラー423とを備え、ダイクロイックミラー421,422により照明光学装置41から射出された複数の部分光束を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する色分離光学系である。
リレー光学装置43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433、および反射ミラー432,434を備え、色分離光学装置42で分離された赤色光を赤色光用の液晶パネル441Rまで導く機能を有している。
この際、色分離光学装置42のダイクロイックミラー421では、照明光学装置41から射出された光束の赤色光成分と緑色光成分とが透過するとともに、青色光成分が反射する。ダイクロイックミラー421によって反射した青色光は、反射ミラー423で反射し、フィールドレンズ419を通って青色光用の液晶パネル441Bに達する。このフィールドレンズ419は、第2レンズアレイ413から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の緑色光および赤色光用の液晶パネル441G,441Rの光入射側に設けられたフィールドレンズ419も同様である。
ダイクロイックミラー421を透過した赤色光と緑色光のうち、緑色光はダイクロイックミラー422によって反射し、フィールドレンズ419を通って緑色光用の液晶パネル441Gに達する。一方、赤色光はダイクロイックミラー422を透過してリレー光学装置43を通り、さらにフィールドレンズ419を通って赤色光用の液晶パネル441Rに達する。なお、赤色光にリレー光学装置43が用いられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ419に伝えるためである。なお、リレー光学装置43には、3つの色光のうち赤色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、青色光を通す構成としてもよい。
電気光学装置44は、色分離光学装置42から射出される3つの色光を画像情報に応じてそれぞれ変調し、変調した各色光を合成して光学像(カラー画像)を形成する。
この電気光学装置44は、図1に示すように、光変調装置としての液晶パネル441(赤色光用の液晶パネルを441R、緑色光用の液晶パネルを441G、および青色光用の液晶パネルを441Bとする)と、これら各液晶パネル441の光束入射側にそれぞれ配置される3つの入射側偏光板442と、各液晶パネル441の光束射出側にそれぞれ配置される3つの視野角補償板443と、3つの視野角補償板443の光束射出側にそれぞれ配置される3つの射出側偏光板444と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム445とを備えて構成されている。
入射側偏光板442には、偏光変換素子414で偏光方向が略一方向に揃えられた各色光が入射し、当該入射側偏光板442は、入射した光束のうち、偏光変換素子414で揃えられた光束の偏光方向と略同一方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。この入射側偏光板442は、例えば、サファイアガラスまたは水晶等の透光性基板上に偏光層が貼付された構成を有している。
光変調装置としての液晶パネル441は、詳しい図示を省略するが、一対の透明なガラス基板間に電気光学物質である液晶素子が密閉封入した構成を有し、前記制御装置からの駆動信号に応じて、液晶素子の配向状態が制御され、入射側偏光板442から射出された偏光光束の偏光方向を変調する。
視野角補償板443は、フィルム状に形成され、液晶パネル441に光束が斜方入射した場合(パネル面の法線方向に対して傾斜して入射した場合)の当該液晶パネル441で生じる複屈折による常光と異常光との間に生じる位相差を補償する。この視野角補償板443は、負の一軸性を有する光学異方体であり、その光学軸がフィルム面内の所定方向に向きかつ、該フィルム面から面外方向に所定角度傾斜するように配向している。
この視野角補償板443としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等の透明支持体上に配向層を介してディスコティック(円盤状)化合物層を形成したもので構成でき、WVフィルム(富士写真フィルム社製)を採用できる。
射出側偏光板444は、液晶パネル441から射出され視野角補償板443を介した光束のうち、入射側偏光板442における光束の透過軸と直交する偏光方向を有する光束のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。
クロスダイクロイックプリズム445は、射出側偏光板444から射出された色光毎に変調された変調光を合成して光学像(カラー画像)を形成する。このクロスダイクロイックプリズム445は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層層が形成されている。これら誘電体多層層は、投射レンズ3と対向する側(G色光側)に配置された射出側偏光板444を介した色光を透過し、残り2つの射出側偏光板444(R色光側およびB色光側)を介した色光を反射する。このようにして、各入射側偏光板442、各液晶パネル441、各視野角補償板443、および各射出側偏光板444にて変調された各色光が合成されてカラー画像が形成される。
(3)第1レンズ4121の焦点位置
第1レンズアレイ412を構成する複数の第1レンズ4121は、前述のように、光源装置411から射出された光束を複数の部分光束に分割して、対応する第2レンズアレイ413の第2レンズ4131に射出する。これら第1レンズ4121は、トーリックレンズで構成されており、第2方向(偏光変換素子414の偏光分離層4141および反射層4142の配列方向である水平方向、図2中矢印B方向)における焦点位置と、第1方向(偏光変換素子414の偏光分離層4141および反射層4142の長手方向である垂直方向、図3中矢印C方向)における焦点位置とが、それぞれ異なるように構成されている。
なお、このような第1レンズ4121をトーリックレンズで構成することにより、第1方向および第2方向の各焦点位置を自由に設定することができるだけでなく、このような第1レンズ4121を容易に構成することができる。
このうち、第1レンズ4121の第2方向の焦点位置は、図2に示すように、当該第1レンズ4121から射出される光束の光軸方向における偏光変換素子414近傍、具体的には、対応する第2レンズ4131を介して入射する偏光変換素子414の偏光分離層4141の略中央に設定されている。
また、第1レンズ4121の第1方向の焦点位置は、図3に示すように、当該第1レンズ4121から射出される光束の光軸方向における第2レンズアレイ413近傍、具体的には、対応する第2レンズ4131の略中央に設定されている。
(4)光源ランプ416から射出された光の光路
(4-1)本実施形態に対する第1の比較例における光路
ここで、第1レンズアレイ412Aの各第1レンズ412A1の焦点位置が、第2レンズアレイ413近傍に設定されている第1の比較例について説明する。
図5は、第1の比較例としての第1レンズ412A1を備えた光学ユニット4における光源ランプ416から射出された光束の光路を示す模式図である。また、図6は、図5の一部を拡大して示す図である。なお、第1レンズアレイ412Aは、当該第1レンズアレイ412Aを構成する各第1レンズ412A1の第2方向における焦点位置が、第2レンズアレイ413近傍に設定されている点が、本実施形態の第1レンズアレイ412と異なるが、複数の第1レンズ412A1を有する構成は第1レンズアレイ412と同様である。
なお、図5および図6においては、説明を簡略化するために、照明光軸A方向の収差を含んでいない。また、図5および図6では、第1レンズアレイ412Aの複数の第1レンズ412A1のうち、1つの第1レンズ412Aに着目し、当該第1レンズ412A1に対応する第2レンズ4131および偏光変換素子414の対応部分を図示している。
図5および図6に示すように、光源ランプ416における発光部Dの中心Oが電極間の略中央に位置する場合、発光部Dの中心Oから射出された光(実線)、発光部Dの中心Oから第2方向(図5および図6中矢印B方向)における外側の位置O1から射出された光(破線)、および、発光部Dの第2方向における最も外側の位置O2から射出された光(一点鎖線)は、リフレクタ417および平行化凹レンズ418を介して、第1レンズアレイ412Aの第1レンズ412A1に入射する。そして、当該各光が第1レンズ412A1を介することで形成される部分光束は、第1レンズ412A1から対応する第2レンズアレイ413の第2レンズ4131に入射するが、光の射出位置が発光部Dにおける中心Oから遠ざかるにしたがって、その光により形成される部分光束が第2レンズ4131に入射する位置は、当該部分光束が由来する光の射出位置が発光部Dの中心Oから遠ざかった方向とは逆の方向にずれる。
例えば、発光部Dにおける中心Oから第2方向の最も外側の位置O2から射出された光(一点鎖線)が第1レンズ412A1を介することで形成される部分光束は、対応する第2レンズ4131において、当該光が射出された位置から発光部Dの中心Oに向かう方向の端部寄りに入射する。そして、第2レンズ4131に入射した光は、それぞれ偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射するが、第1レンズ4121の第2方向の焦点位置が第2レンズアレイ413近傍に設定されているため、当該第2レンズ4131から射出された光束は、広がりながら大きな照明範囲をもって光束入射面414Aに入射する。
しかしながら、発光部Dの中心Oが、電極4164,4165間の略中央に位置する場合には、当該発光部Dの第2方向における中央から射出された光により形成される部分光束も、最も外側から射出された光により形成される部分光束も、それぞれ略全ての光が偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射する。これは、全ての第1レンズ412A1においても同様であり、これらの部分光束が液晶パネル441の画像形成領域で重畳される。これにより、液晶パネル441の画像形成領域は均一な明るさで照明される。
次に、第1の比較例において、光源ランプ416における発光部Dが第2方向(矢印B方向)に移動した場合を説明する。
光源ランプ416における発光部Dが、電極4164,4165間の略中央から第2方向(矢印B方向)に移動した場合、第1レンズ412A1を介して対応する第2レンズ4131に入射する部分光束は、前述のように、全体的に、当該発光部Dの移動方向とは反対方向側に偏って第2レンズ4131に入射し、さらに、偏光変換素子414の光束入射面414Aにおいても当該反対方向側に偏って入射する。
例えば、発光部Dが、図5における上方(図5中矢印B方向の一方側)に移動した場合、第1レンズ412A1から射出された光束は、対応する第2レンズ4131の図5における下方(図5中矢印B方向の他方側)の端部寄りに入射し、さらに、光束入射面414Aの下方の端部寄りに入射する。
このため、発光部Dの位置がより大きく第2方向に移動した場合には、第1レンズ412A1から射出された部分光束は、当該部分光束が由来する光の射出位置が、発光部Dの中心Oから当該発光部Dの移動方向に遠ざかるにしたがって、光束入射面414Aには入射しづらくなる。
具体的に、発光部Dの位置が図5における上方に移動した場合、当該移動した発光部Dから射出された光により形成される部分光束は、発光部Dの中心Oが電極間の略中央に位置する場合の部分光束よりも、発光部Dの移動方向とは反対方向側に偏って、対応する第2レンズ4131に入射し、さらに、偏光変換素子414の光束入射面414Aにおいても、当該反対方向側に偏って入射する。ここで、第1の比較例の第1レンズ412A1の焦点位置は、図5および図6に示すように、第2レンズ4131の近傍に設定されており、第1レンズ412A1から射出された部分光束は、第2レンズ4131近傍で最も収束する一方で、偏光変換素子414の光束入射面414A近傍では次第に広がりながら入射する。このため、偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射する部分光束の照明範囲は大きくなってしまう。
従って、発光部Dが第2方向へ所定距離移動すると、発光部Dから射出された光のうち、当該発光部Dの中心Oから射出された光により形成される部分光束の略全ては、偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射するが、当該発光部Dの移動方向側の端部位置から射出された光により形成される部分光束では、当該発光部Dの移動方向とは反対側の端部の一部の光が、偏光変換素子414の光束入射面414Aから外れ、遮光板4145に入射する。
さらに、発光部Dが第2方向へ前記所定距離以上に移動すると、発光部Dにおける当該発光部Dの移動方向側の端部位置から射出された光により形成される部分光束における一部の光だけでなく、当該移動方向側の端部よりも中心Oに近い位置から射出された光により形成される部分光束における一部の光も、偏光変換素子414の光束入射面414Aから外れて、遮光板4145に入射してしまう。
すなわち、発光部Dが第2方向へある程度移動した場合、発光部Dにおけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される各部分光束において、それぞれ一部の光が、偏光変換素子414の光束入射面414Aから外れて遮光板4145に入射する。また、第2方向に移動したある位置の発光部D内においては、発光部Dの中心Oから射出された光により形成される部分光束のうち、遮光板4145に入射する光の割合と、発光部Dの中心Oから当該発光部Dの移動方向に離れた位置から射出された光により形成される部分光束のうち、遮光板4145に入射する光の割合とを比較すると、後者である発光部Dから離れた位置から射出された光によって形成される部分光束に係る割合の方が大きい。
(4-2)第1の比較例における液晶パネル441での照度分布
図7は、上記比較例における発光部Dの第2方向への移動量と液晶パネル441での照度分布との関係を示す図である。詳述すると、図7において、実線は、発光部Dの中心Oが電極間の略中央に位置する場合での液晶パネル441での照度分布を示している。また、破線は、発光部Dの中心Oが電極間の略中央から第2方向へ移動した場合での液晶パネル441での照度分布を示し、一点鎖線は、破線で示した場合の発光部Dよりも当該発光部Dの中心が電極間の略中央からさらに第2方向に移動した場合での液晶パネル441での照度分布を示している。
上述したように、発光部Dが電極4164,4165間の略中央から第2方向へある程度移動した場合、発光部Dにおけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される部分光束のそれぞれ一部の光が、偏光変換素子414の光束入射面414Aから外れて遮光板4145に入射する。すなわち、発光部Dの中心Oが所定距離だけ第2方向に移動した場合では、当該発光部Dにおける光の射出位置に応じて、当該射出位置から射出された光により形成される部分光束における光束入射面414Aに入射する光の割合と、遮光板4145に入射する光の割合との関係がそれぞれ異なるものの、発光部Dから射出された光によって形成される各部分光束は、それぞれ一部が偏光変換素子414の遮光板4145に入射することで減じられた状態で液晶パネル441の画像形成領域を照明する。
例えば、発光部Dの中心Oから射出された光によって形成される部分光束が、その一方の端部側の一部の光を遮光板4145によって減じられて液晶パネル441の画像形成領域を照明するとともに、発光部Dの中心Oよりも当該発光部Dの移動方向側の位置から射出された光により形成される部分光束が、その一方の端部側の光を遮光板4145によって減じられて液晶パネル441の画像形成領域を照明することとなる。
このように、一方の端部側の一部の光が遮光板4145によって減じられた部分光束を、液晶パネル441の画像形成領域上に重畳させても、当該画像形成領域を均一な明るさで照明することはできず、図7における破線や一点鎖線のように、画像形成領域の一方の端部側の照度よりも、他方の端部側の照度の方が高い状態で、当該画像形成領域が照明されることとなる。
このようにして重畳された各光を液晶パネル441により変調して、各色光に応じた画像を形成すると、第2方向(水平方向)における一方の端部側の輝度が他方の端部側の輝度に比べて高い画像が形成される。ここで、各液晶パネル441の画像形成領域に重畳される各光束は、色分離光学装置42およびリレー光学装置43を構成する各ミラーによって反射を繰り返しており、また、これら各画像としての色光を合成するクロスダイクロイックプリズム445においても赤色光および青色光が反射される。このため、クロスダイクロイックプリズム445により各色光が合成されて形成される光学像においては、赤色画像、緑色画像および青色画像の各画像における輝度が高い側と低い側とが一致せず、これにより色ムラが生じてしまう。
(4-3)本実施形態に対する第2の比較例
次に、第2の比較例において、光源ランプ416における発光部Dの位置が第1方向に移動した場合を説明する。
この第2の比較例においては、第1レンズアレイを構成する第1レンズの第1方向(垂直方向)における焦点位置が、対応する偏光変換素子414の光束入射面414A近傍に設定されている。
この第2の比較例では、発光部の中心Oが電極4164,4165間の略中央に位置する場合には、前述のように、当該発光部Dの中心Oから射出された光は、第1レンズを介して、対応する第2レンズ4131の略中央に入射する。そして、発光部Dの第1方向における外側から射出された光は、第1レンズを介して、対応する第2レンズ4131における、当該光の射出位置が発光部Dの中心Oから遠ざかった方向とは反対方向の端部に入射する。この際、第1レンズの第1方向の焦点位置が、偏光変換素子414の光束入射面414A近傍に設定されていると、第1レンズから射出された光は、焦点に収束する前の大きな照明範囲をもって第2レンズ4131に入射する。しかしながら、発光部Dの中心Oが電極4164,4165間の略中央に位置する場合には、当該発光部Dの第1方向における中央から射出された光により形成される部分光束も、当該第1方向の最も外側から射出された光により形成される部分光束も、それぞれ略全ての光が第2レンズ4131に入射する。これは、全ての第1レンズ412A1においても同様であり、これらの部分光束が液晶パネル441の画像形成領域で重畳される。これにより、液晶パネル441の画像形成領域は、均一な明るさで照明される。
しかしながら、詳しい図示を省略したが、この第2の比較例においても、光源ランプ416における発光部Dの位置が電極4164,4165間の略中央から第1方向(垂直方向)に移動すると、前述の第1の比較例の場合と同様に、各液晶パネル441の画像形成領域において照度ムラが発生し、これにより、形成される光学像において色ムラが発生する。
詳述すると、光源ランプ416における発光部Dが第1方向に移動した場合、第1レンズを介して第2レンズ4131に入射する部分光束は、全体的に、当該発光部Dの移動方向とは反対方向側に偏って、対応する第2レンズ4131に入射する。このため、発光部Dの位置が、より大きく第1方向に移動した場合には、第1レンズから射出される部分光束は、当該光の射出位置が発光部Dの中心Oから当該発光部Dの移動方向に遠ざかるにしたがって、対応する第2レンズ4131に入射しづらくなる。
すなわち、当該第2の比較例における第1レンズの第1方向における焦点位置は、対応する偏光変換素子414の光束入射面414A近傍に設定されているので、当該第1レンズから射出される部分光束は、第2レンズ4131の近傍では次第に収束しながら入射し、偏光変換素子414の光束入射面414A近傍で最も収束する。
このため、部分光束の第2レンズ4131に入射する時点での照明範囲は大きくなっており、発光部Dが第1方向に所定距離移動すると、当該発光部Dの中心Oから射出された光により形成される部分光束においては、略全ての光が対応する第2レンズ4131に入射する。一方、発光部Dにおける当該発光部Dの移動方向側の端部位置から射出された光により形成される部分光束では、当該発光部Dの移動方向とは反対方向側の端部の一部の光が、対応する第2レンズ4131から外れ、第1方向に隣接する他の第2レンズ4131に入射する。
さらに、発光部Dが第1方向に前記所定距離以上に移動すると、発光部Dにおける当該発光部Dの移動方向側の端部位置から射出された光により形成される部分光束の一部の光だけでなく、移動方向側の端部よりも発光部Dの中心O側の位置から射出された光により形成される部分光束の一部の光も、対応する第2レンズ4131から外れ、隣接する他の第2レンズ4131に入射する。
すなわち、発光部Dが第1方向へある程度移動した場合、発光部Dにおけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される各部分光束のそれぞれ一部の光が、対応する第2レンズ4131から隣接する他の第2レンズ4131に入射してしまう。また、第1方向に移動したある位置の発光部D内においては、発光部Dの中心Oから射出された光により形成される部分光束における当該他の第2レンズ4131に入射する光の割合と、発光部Dの中心Oから当該発光部Dの移動方向に離れた位置から射出された光により形成される部分光束における当該他の第2レンズ4131に入射する光の割合とを比較すると、後者である発光部Dの中心Oから離れた位置から射出される光に係る割合の方が大きい。
このようにして隣接する他の第2レンズ4131に入射した部分光束は、液晶パネル441の画像形成領域に重畳されない。つまり、上述した第1の比較例と同様に、発光部Dにおける一方の端部側の光が、対応する第2レンズ4131に入射せずに減じられた部分光束を液晶パネル441の画像形成領域上に重畳させても、当該画像形成領域を均一な明るさで照明することはできず、画像形成領域の一方の端部側の照度よりも他方の端部側の照度の方が高い状態で画像形成領域が照明されてしまい、当該画像形成領域において照度ムラが発生する。そして、このような光束が画像形成領域を透過する過程で変調され、当該変調光がクロスダイクロイックプリズム445により合成されると、前述の場合と同様に、色ムラが発生した光学像が形成されてしまう。
(4-4)本実施形態における光路
次に、第2方向(水平方向、図8中矢印B方向)における焦点位置が対応する偏光分離層4141近傍に設定され、第1方向(垂直方向、図3中矢印C方向)における焦点位置が対応する第2レンズ4131近傍に設定されている本実施形態の第1レンズ4121について説明する。
図8は、第1方向における焦点位置が偏光変換素子414近傍に設定されている第1レンズ4121を備えた本実施形態の光学ユニット4における光源ランプ416から射出された光束の光路を示す図である。また、図9は、図8の一部を拡大して示す図である。なお、図8および図9においては、説明を簡略化するために、照明光軸A方向の収差を含んでいない。また、図8および図9では、第1レンズアレイ412の複数の第1レンズ4121のうち、ある一つの第1レンズ4121に着目し、当該第1レンズ4121に対応する第2レンズ4131および偏光変換素子414の対応部分を図示している。
本実施形態の第1レンズ4121においても、発光部Dの中心Oが電極4164,4165間の略中央に位置している場合には、当該発光部Dの第2方向における中央から射出された光により形成される部分光束も、当該第2方向における最も外側から射出された光により形成される部分光束も、それぞれ略全ての光が第2レンズ4131に入射するとともに、偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射する。これは第1レンズアレイ412を構成する全ての第1レンズ4121においても同様であり、これら第1レンズ4121から射出された部分光束により、液晶パネル441の画像形成領域が均一な明るさで照明される。
ここで、本実施形態において、光源ランプ416における発光部Dが電極4164,4165間の略中央から第2方向(水平方向、図8および図9中矢印B方向)に移動した場合について説明する。
光源ランプ416における発光部Dが第2方向(水平方向)に移動した場合、第1レンズ4121を介して対応する第2レンズ4131に入射する部分光束は、全体的に、当該発光部Dの移動方向とは反対方向側に偏って第2レンズ4131に入射し、さらに、偏光変換素子414の光束入射面414Aにおいても当該反対方向側に偏って入射する。
前述した第1の比較例に対し、本実施形態の第1レンズ4121の第2方向における焦点位置は、当該第1レンズ4121から射出された部分光束の光軸(部分光束の中心軸)における偏光変換素子414近傍に設定されていることにより、図8および図9に示すように、光源ランプ416から射出され、第1レンズ4121を介した部分光束は、偏光変換素子414の光束入射面414A近傍で最も収束するため、偏光変換素子414の光束入射面414Aでの当該部分光束の照明範囲を小さくすることができる。
従って、偏光変換素子414においては、入射する部分光束の照明範囲は小さくなっており、発光部Dが第2方向に所定距離移動すると、当該発光部Dにおける中心Oから射出された光により形成される部分光束の略全ての光が、偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射する。これに対し、発光部Dにおける当該発光部Dの移動方向側の端部近傍から射出された光により形成される部分光束の略全ての光は、偏光変換素子414の光束入射面414Aから外れて遮光板4145に入射する。
発光部Dが第2方向へさらに前記所定距離以上移動すると、発光部Dにおける当該発光部Dの移動方向側の端部位置から射出された光により形成される部分光束の略全ての光だけでなく、当該移動方向側の端部よりも中心Oに近い位置から射出された光により形成される部分光束の略全ての光も、偏光変換素子414の光束入射面414Aから外れ、遮光板4145に入射するようになる。すなわち、発光部Dが第2方向にある程度移動した場合、当該発光部Dにおけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される各部分光束のうち、一部の部分光束の略全ての光が、偏光変換素子414の光束入射面414Aから外れて、遮光板4145に入射する。また、発光部Dの第2方向への移動量が大きいほど、偏光変換素子414の光束入射面414Aから外れて遮光板4145に入射する部分光束となる光が射出される発光部Dにおける範囲が大きくなる。
このため、本実施形態では、第1の比較例のように発光部Dにおけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される部分光束のそれぞれ一部の光が、偏光変換素子414の光束入射面414Aから外れて遮光板4145に入射するのではなく、発光部Dにおけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される各部分光束のうち、一部の部分光束の略全ての光が、偏光変換素子414の光束入射面414Aから外れて、遮光板4145に入射することとなる。
なお、第2方向において、第1レンズ4121の焦点位置が、当該第1レンズ4121から射出された部分光束の光軸における偏光変換素子414近傍に設定されていることにより、第2レンズ4131に入射する部分光束は最も収束する前なので、当該部分光束の照明範囲は大きくなる。しかしながら、第2レンズ4131の第2方向に沿ったそれぞれの幅は、偏光変換素子414の光束入射面414Aの第2方向に沿ったそれぞれの幅よりも広いため、発光部Dが第2方向にある程度移動した場合でも、偏光変換素子414の遮光板4145によって当該部分光束が遮光される前に、当該部分光束の一部の光が対応する第2レンズ4131に入射しなくなることはない。
(4-5)本実施形態おける液晶パネル441での照度分布
図10は、本実施形態における発光部Dの第2方向への移動量と液晶パネル441での照度分布との関係を示す図である。詳述すると、図10において、実線は、発光部Dが電極4164,4165間の略中央に位置する場合での液晶パネル441での照度分布を示している。また、破線は、発光部Dが電極4164,4165間の略中央から第2方向へ移動した場合での液晶パネル441での照度分布を示し、一点鎖線は、破線で示した場合の発光部Dの位置よりもさらに第2方向に移動した場合での液晶パネル441での照度分布を示している。
上述したように、発光部Dが第2方向へ所定距離移動した場合、当該発光部Dにおけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される部分光束のうち、一部の部分光束の略全ての光が、偏光変換素子414の光束入射面414Aから外れて遮光板4145に入射する。
つまり、例えば、発光部Dの中心Oから射出された光により形成される部分光束では、その略全ての光が液晶パネル441の画像形成領域を照明する。これに対し、発光部Dの中心Oよりも当該発光部Dの移動方向側の位置から射出された光により形成される部分光束では、その略全ての光が遮光板4145によって遮られ、液晶パネル441の画像形成領域を照明しないこととなる。
このように、本実施形態では、発光部Dが電極4164,4165間の略中央から第2方向へ移動した場合に、発光部Dにおいて、液晶パネル441の画像形成領域上に重畳される部分光束となる光を射出できる範囲が小さくなるものの、発光部Dの残りの範囲から射出された光により形成される部分光束の略全ての光は、液晶パネル441の画像形成領域上に重畳される。これにより、画像形成領域における照度は全体的に減少するものの、当該照度は、液晶パネル441の画像形成領域において均一となる。
以上のように、本実施形態の構成において、発光部Dから射出された各光により形成される部分光束が液晶パネル441の画像形成領域に重畳された際に、第2方向における一方の端部側と他方の端部側との照明強度に差が生じることが抑えられるので、画像形成領域における照度ムラの発生が抑制される。
また、このように、光源ランプ416における発光部Dが第2方向に移動した場合でも、各液晶パネル441の画像形成領域が略均一に照明されるので、当該各画像形成領域を透過した赤(R)、緑(G)、青(B)の各色光をクロスダイクロイックプリズム445により合成して形成される光学像を、色ムラを抑えた光学像とすることができる。
一方、第1レンズアレイ412を構成する各第1レンズ4121の第1方向(垂直方向)における焦点位置は、当該第1レンズ4121から射出された光束の光軸における第2レンズアレイ413近傍に設定されている。これにより、光源ランプ416における発光部Dが第1方向(垂直方向)に移動した場合でも、各液晶パネル441の画像形成領域での照度ムラの発生を抑制でき、形成画像における色ムラの発生を抑制することができる。
以下、さらに詳述する。
光源ランプ416における発光部Dが、電極4164,4165間の略中央から第1方向に移動した場合、第1レンズ4121を介して対応する第2レンズ4131に入射する部分光束は、全体的に、当該発光部Dの移動方向とは反対側に偏って、対応する第2レンズ4131に入射する。
このため、発光部Dの位置がより大きく第1方向に移動した場合には、第1レンズ4121から射出された部分光束は、当該部分光束に由来する光の射出位置が、発光部Dの中心Oから当該発光部Dの移動方向に遠ざかるにしたがって、対応する第2レンズ4131に入射しづらくなる。
ここで、本実施形態では、第1レンズ4121の第1方向(垂直方向)における焦点位置が、当該第1レンズ4121から射出される部分光束の光軸における第2レンズ4131の近傍に設定されているため、当該第1レンズ4121から射出された部分光束は、対応する第2レンズ4131に小さな照明範囲で入射する。
このため、発光部Dが第1方向へ所定距離移動すると、当該発光部Dにおける中心Oから射出された光により形成される部分光束の略全ての光が、対応する第2レンズ4131に入射する。一方、発光部Dにおける当該発光部Dの移動方向側の端部位置から射出された光により形成される部分光束の略全ての光は、対応する第2レンズ4131から外れて、当該第2レンズ4131に対して第1方向に隣接する他の第2レンズ4131に入射する。
発光部Dが第1方向にさらに前記所定距離以上移動すると、発光部Dにおける当該発光部Dの移動方向側の端部位置から射出された光により形成される部分光束の略全ての光だけでなく、当該移動方向側の端部よりも中心Oに近い位置から射出された光により形成される部分光束の略全ての光も、対応する第2レンズ4131に対して第1方向に隣接する他の第2レンズ4131に入射する。
すなわち、発光部Dが第1方向へある程度移動した場合、発光部Dにおけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される各部分光束のうち、一部の部分光束の略全ての光が、対応する第2レンズ4131から外れ、当該第2レンズ4131に対して第1方向に隣接する他の第2レンズ4131に入射する。また、発光部Dの第1方向への移動量が大きいほど、発光部Dにおいて、対応する第2レンズ4131から外れて第1方向に隣接する他の第2レンズ4131に入射する部分光束となる光が射出される範囲が大きくなる。
このため、本実施形態では、前述した第2の比較例のように、発光部Dにおけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される部分光束のそれぞれの一部の光が、対応する第2レンズ4131から外れ、当該第2レンズ4131に対して第1方向に隣接する他の第2レンズ4131に入射するのではなく、発光部Dにおけるそれぞれ異なる位置から射出される光により形成される部分光束のうち、一部の部分光束の略全ての光が、対応する第2レンズ4131から外れて、当該第2レンズ4131に対して第1方向に隣接する他の第2レンズ4131に入射することとなる。
なお、第1方向において、第1レンズ4121の焦点位置が、当該第1レンズ4121から射出された部分光束の光軸における対応する第2レンズ4131近傍に設定されているので、偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射する部分光束は、次第に広がることとなり、当該部分光束の照明範囲は大きくなる。しかしながら、偏光変換素子414の光束入射面414Aの第1方向に沿ったそれぞれの幅は、第2レンズ4131の第1方向に沿ったそれぞれの幅よりも広い。このため、発光部Dが第1方向にある程度移動した場合でも、第1方向に隣接する他の第2レンズ4131に当該部分光束が入射する前に、当該部分光束の一部の光が、偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射しなくなるということはない。
上述したように、発光部Dが電極4164,4165間の略中央から第1方向へある程度移動した場合、当該発光部Dにおけるそれぞれ異なる位置から射出された光により形成される各部分光束のうち、一部の部分光束の略全ての光が、対応する第2レンズ4131から外れて、当該第2レンズ4131に対して第1方向に隣接する他の第2レンズ4131に入射する。このような隣接した他の第2レンズ4131に入射した光は、前述のように画像形成領域に重畳されない。
つまり、例えば、発光部Dの中心Oから射出された光により形成される部分光束では、当該部分光束の略全ての光が液晶パネル441の画像形成領域を照明する。一方、発光部Dの中心Oよりも当該発光部Dの移動方向側の位置から射出された光により形成される部分光束では、当該部分光束の略全ての光が、対応する第2レンズ4131に隣接する他の第2レンズ4131に入射し、液晶パネル441の画像形成領域を照明しないこととなる。
このように、本実施形態では、発光部Dが第1方向に移動した場合に、液晶パネル441の画像形成領域上に重畳される部分光束となる光を射出できる発光部D上の範囲が小さくなるものの、当該発光部D上の残りの範囲から射出された光により形成される部分光束の略全ての光は、液晶パネル441の画像形成領域上に重畳される。このため、当該画像形成領域における照度は、全体的に減少するものの、その照度は当該画像形成領域において均一である。これにより、液晶パネル441の画像形成領域における照度ムラの発生が抑制される。
また、発光部Dが第1方向に移動した場合でも、各液晶パネル441の画像形成領域が均一に照明されるので、当該画像形成領域により形成された赤(R)、緑(G)、青(B)の各色画像をクロスダイクロイックプリズム445で合成することで、色ムラを抑えた光学像を形成することができる。
以上のような本実施形態のプロジェクタによれば、以下の効果を奏することができる。
すなわち、第1レンズアレイ412を構成する各第1レンズ4121の第2方向(水平方向)の焦点位置は、当該第1レンズ4121から射出される光束の光軸における偏光変換素子414近傍に設定されている。
これによれば、光源ランプ416の発光部Dが第2方向に移動した場合に、当該発光部Dにおける光の射出位置に応じて、当該光が第1レンズ4121を介することで形成される部分光束が偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射するか否かが決定される。すなわち、発光部Dにおけるある位置から射出された光により形成される部分光束が光束入射面414Aに入射する場合には、当該部分光束の略全ての光が、遮光板4145によって遮光されずに光束入射面414Aに入射する。一方、発光部Dにおけるある位置から射出された光により形成される部分光束が光束入射面414Aに入射せず遮光板4145によって遮光される場合には、当該部分光束の略全ての光が、遮光板4145によって遮光される。このため、光束入射面414Aに入射した部分光束のほとんどは、その一部が減じられた光ではないため、当該部分光束を重畳することにより、液晶パネル441の画像形成領域を略均一に照明することができる。
従って、発光部Dが電極4164,4165間の略中央から第2方向に移動した場合でも、画像形成領域における照度ムラの発生を抑制することができる。
また、第1レンズ4121の第1方向における焦点位置は、当該第1レンズ4121から射出された光束の光軸において対応する第2レンズ4131近傍に設定されている。
これによれば、光源ランプ416の発光部Dが第1方向に移動した場合に、当該発光部Dにおける光の射出位置に応じて、当該光が第1レンズ4121を介することで形成される部分光束が、当該第1レンズ4121に対応する第2レンズ4131に入射するか否かが決定される。すなわち、発光部Dにおけるある位置から射出された光により形成される部分光束が対応する第2レンズ4131に入射する場合には、当該部分光束の略全ての光が、当該対応する第2レンズ4131に入射する。一方、発光部Dにおけるある位置から射出された光により形成される部分光束が対応する第2レンズ4131に隣接する他の第2レンズ4131に入射する場合には、当該部分光束の略全ての光が、当該隣接する第2レンズ4131に入射する。このため、対応する第2レンズ4131に入射した略全ての部分光束は、その一部が隣接する第2レンズ4131に入射することで減じられた光ではないため、当該部分光束を重畳することにより、液晶パネル441の画像形成領域を略均一に照明することができる。
従って、発光部Dが電極4164,4165間の略中央から第1方向に移動した場合でも、画像形成領域における照度ムラの発生を抑制することができる。
また、光学ユニット4は、光源装置411から射出された光束を、赤(R)、緑(G)、青(B)の三色の色光に分離する色分離光学装置42が設けられている。また、光変調装置としての液晶パネル441(441R,441G,441B)は、色光ごとに設けられ、当該液晶パネル441の光路後段には、変調された各色光を合成する色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム445が設けられている。これによれば、色再現性を高め、高輝度な光学像を形成できる。そして、この場合でも、前述の第1レンズ4121の焦点位置により、各液晶パネル441の画像形成領域が略均一に照明されるので、形成される光学像において色ムラが発生することを抑制することができる。従って、色ムラの発生を抑え、色再現性を向上させ、輝度を高めた光学像を形成することができる。
従って、本実施形態のプロジェクタ1では、光源ランプ416の発光部Dが光学部品の位置決め固定後に移動した場合でも、液晶パネル441の画像形成領域における照度ムラおよび投射画像の色ムラの発生を抑制することができる。
〔2.第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係るプロジェクタについて説明する。
本実施形態のプロジェクタは、第1実施形態で示したプロジェクタ1と同様の構成を備えるが、照明光学装置を構成する第2レンズアレイ413と偏光変換素子414の配置位置が逆となっている点で、プロジェクタ1と相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図11は、第1レンズアレイ412Bを構成する第1レンズ412B1の第2方向(水平方向)における焦点位置を示す模式図である。また、図12は、第1レンズ412B1の第1方向(垂直方向)における焦点位置を示す模式図である。すなわち、図11は、照明光学装置41Bを上方から見た模式図であり、図12は、照明光学装置41Bを側方から見た模式図である。
本実施形態のプロジェクタは、前述のプロジェクタ1と同様の構成を備え、詳しい図示を省略するが、外装筐体2、投射レンズ3および光学ユニット4等を備えて構成されている。
光学ユニット4は、照明光学装置41Bと、色分離光学装置42と、リレー光学装置43と、電気光学装置44と、これら光学部品41〜44を内部に収納配置するとともに、投射レンズ3を所定位置で支持固定する光学部品用筐体45とを備えている。
このうち、照明光学装置41Bは、図11および図12に示すように、光源装置411、第1レンズアレイ412B、第2レンズアレイ413、偏光変換素子414および重畳レンズ415を備えて構成されているが、前述の照明光学装置41とは異なり、偏光変換素子414と第2レンズアレイ413との配置位置が逆になっている。
第1レンズアレイ412Bは、第1レンズアレイ412と同様に、照明光軸A方向から見て略矩形状の輪郭を有する小レンズである第1レンズ412B1がマトリクス状に配列された構成を有しており、各第1レンズ412B1は、光源装置411から射出される光束を、複数の部分光束に分割する。
これら第1レンズ412B1の第2方向(水平方向、図11における矢印B方向)における焦点位置は、図11に示すように、当該第1レンズ412B1から射出される部分光束の光軸(光束の中心軸)における偏光変換素子414近傍に設定されている。詳述すると、第1レンズ412B1の第2方向における焦点位置は、対応する偏光変換素子414の偏光分離層4141の略中央に設定されている。
また、第1レンズ412B1の第1方向(垂直方向、図12における矢印C方向)における焦点位置は、図12に示すように、当該第1レンズ412B1から射出される部分光束の光軸(光束の中心軸)における第2レンズアレイ413近傍に設定されている。詳述すると、第1レンズ412B1の第1方向の焦点位置は、対応する第2レンズ4131の略中央に設定されている。
以上のような本実施形態のプロジェクタによれば、前述のプロジェクタ1と同様の効果を奏することができる。
すなわち、第1レンズ412B1の第2方向(水平方向)の焦点位置が、対応する偏光変換素子414の偏光分離層4141の略中央に設定されているので、第1レンズ412B1を介して偏光変換素子414に入射する光束の照明範囲を小さくすることができる。
これによれば、光源ランプ416における発光部Dの位置が第2方向に移動し、当該移動方向とは反対方向に第1レンズ412B1から射出された光束の光路が移動した場合に、当該発光部Dにおける光の射出位置に応じて、当該光が第1レンズ412B1を介することで形成される部分光束が偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射するか否かが決定される。このため、発光部Dにおけるある位置から射出された光により形成される部分光束が偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射する場合には、当該部分光束の略全ての光を光束入射面414Aに入射させることができ、また、発光部Dにおけるある位置から射出された光により形成される部分光束が、偏光変換素子414の光束入射面414Aに入射せずに遮光板4145に入射する場合には、当該部分光束の略全ての光を光束入射面414Aに入射させないようにすることができる。
従って、光束入射面414Aに入射した光束により液晶パネル441の画像形成領域を略均一に照明することができるので、当該画像形成領域における照度ムラの発生を抑制することができ、ひいては、形成画像の色ムラの発生を抑制することができる。
また、第1レンズ412B1の第1方向(垂直方向)の焦点位置が、対応する第2レンズ4131の略中央に設定されているので、第1レンズ412B1を介して第2レンズ4131に入射する光束の照明範囲を小さくすることができる。
これによれば、光源ランプ416における発光部Dの位置が第1方向に移動し、当該移動方向とは反対方向に第1レンズ412B1から射出された光束の光路が移動した場合に、当該発光部Dにおける光の射出位置に応じて、当該光が第1レンズ412B1を介することで形成される部分光束が、対応する第2レンズ4131に入射するか否かが決定される。このため、発光部Dにおけるある位置から射出された光により形成される部分光束が、対応する第2レンズ4131に入射する場合には、当該部分光束の略全ての光を当該対応する第2レンズ4131に入射させることができ、また、発光部Dにおけるある位置から射出された光により形成される部分光束が、対応する第2レンズ4131に対して第1方向に隣接する他の第2レンズ4131に入射する場合には、当該部分光束の略全ての光を対応する第2レンズ4131に入射させないようにすることができる。
従って、第1レンズ412B1に対応する第2レンズ4131に入射した光束により、液晶パネル441の画像形成領域を略均一に照明することができるので、当該画像形成領域における照度ムラの発生を抑制でき、ひいては、形成画像の色ムラの発生を抑制することができる。
〔3.実施形態の変形〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、第1レンズ4121,4121Bの第2方向の焦点位置は、対応する偏光変換素子414の偏光分離層4141の略中央に設定されているとし、第1方向の焦点位置は、対応する第2レンズ4131の略中央に設定されているとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、第1レンズの第2方向の焦点位置は、当該第1レンズから射出される光束の光軸(光束の中心軸)における偏光変換素子近傍に設定されていればよく、また、第1方向の焦点位置は、当該第1レンズから射出される光束の光軸における第2レンズアレイ413近傍に設定されていればよい。
前記各実施形態では、プロジェクタ1は、3つの液晶パネル441R,441G,441Bを備えるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、2つ以下、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも、本発明を適用可能である。また、各液晶パネル441で変調された色光を合成する色合成光学装置は、クロスダイクロイックプリズム445により構成されるとしたが、複数のダイクロイックミラーにより構成するようにしてもよい。
前記各実施形態では、照明光軸Aに直交する面内において、偏光変換素子414の偏光分離層4141の長手方向を第1方向とし、当該第1方向に直交し、偏光分離層4141および反射層4142の配列方向を第2方向とし、また、これらのうち、第1方向は垂直方向に対応し、第2方向は水平方向に対応するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、第1方向が水平方向であってもよく、また、第2方向が垂直方向であってもよい。
前記各実施形態では、光学ユニット4は平面視略L字形状を有した構成を説明したが、これに限らず、例えば、平面視略U字形状を有した構成を採用してもよい。
また、前記各実施形態では、光束入射面と光束射出面とが異なる透過型の液晶パネル441を用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。
また、前記各実施形態では、プロジェクタ1は、副反射鏡416Aを有する光源装置411を備えた構成としたが、本発明はこれに限らず、副反射鏡のない光源装置を有する構成を採用してもよい。
前記各実施形態では、光変調装置として液晶パネル441を備えたプロジェクタ1を例示したが、入射光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置であれば、他の構成の光変調装置を採用してもよい。例えば、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶層以外の光変調装置を用いたプロジェクタにも、本発明を適用することも可能である。このような光変調装置を用いた場合、光束入射側および光束射出側の偏光板442,444は、省略することができる。
前記各実施形態では、スクリーンを観察する方向から画像投射を行なうフロントタイプのプロジェクタ1のみを例示したが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から画像投射を行なうリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
本発明は、プロジェクタに利用でき、特に複数の光変調装置を有するプロジェクタに好適に利用することができる。
1…プロジェクタ、3…投射レンズ(投射光学系)、41,41B…照明光学装置(均一照明光学系)、42…色分離光学装置(色分離光学系)、412,412B…第1レンズアレイ、413…第2レンズアレイ、414…偏光変換素子、416…光源ランプ(光源)、441(441R,441G,441B)…液晶パネル(光変調装置)、445…クロスダイクロイックプリズム(色合成光学装置)、4121,412B1…第1レンズ、4131…第2レンズ、4141…偏光分離層、4142…反射層、4144…位相差層、B…第2方向、C…第1方向。

Claims (3)

  1. 光源と、当該光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置と、形成された前記光学像を投射する投射光学系とを備えたプロジェクタであって、
    前記光源から射出された光束を均一化して、前記光変調装置の画像形成領域を均一に照明する均一照明光学系を備え、
    前記均一照明光学系は、
    前記光源から射出された光束の光軸に略直交する面内に複数の第1レンズを有し、当該複数の第1レンズにより前記光束を複数の部分光束に分割する第1レンズアレイと、
    前記第1レンズアレイの前記複数の第1レンズに応じた複数の第2レンズを有する第2レンズアレイと、
    前記第1レンズアレイの光束射出側に配置され、前記第1レンズアレイから射出された光束の偏光方向を略1種類に揃える偏光変換素子とを備え、
    前記偏光変換素子は、
    前記光源から射出された光束の光軸に略直交する面内における第1方向に長手方向を有し、入射光束における一方の偏光方向を有する偏光光を透過し、他方の偏光方向を有する偏光光を反射する偏光分離層と、
    前記光源から射出された光束の光軸および前記第1方向に略直交する第2方向に沿って前記偏光分離層と交互に配置され、前記偏光分離層で反射した偏光光を、前記偏光分離層を透過した偏光光と同じ方向に反射する反射層と、
    前記偏光分離層または前記反射層に対応する位置に配置され、入射する偏光光の偏光方向を他の偏光方向に変換する位相差層とを備え、
    前記各第1レンズの前記第1方向における焦点位置は、当該第1レンズから射出された光束の光軸方向の前記第2レンズアレイ近傍に設定され、
    前記各第1レンズの前記第2方向における焦点位置は、当該第1レンズから射出された光束の光軸方向の前記偏光変換素子近傍に設定されていることを特徴とするプロジェクタ。
  2. 請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
    前記均一照明光学系から射出された光束を、複数の色光に分離する色分離光学系を備え、
    前記光変調装置は、前記複数の色光ごとに、当該色光の光路上にそれぞれ配置され、
    前記各光変調装置の光路後段には、当該各光変調装置から射出された各色光を合成する色合成光学装置が設けられていることを特徴とするプロジェクタ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のプロジェクタにおいて、
    前記第1レンズは、トーリックレンズで構成されていることを特徴とするプロジェクタ。
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