JP2004061848A - 照明光学系およびプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のプロジェクタの照明光学系を構成するインテグレータ光学系の光学部品を利用して、異なったアスペクト比を有する電気光学装置の照明効率を低下させることなく容易に構成する。
【解決手段】この照明光学系は、光源装置から重畳レンズの光の入射面までの光路中に設けられた第1のトロイダル面と、第1のトロイダル面から重畳レンズの光の射出面までの光路中に設けられた第2のトロイダル面とで構成され、所定の領域上を照明する光の照明領域のアスペクト比を、第1のアスペクト比から第2のアスペクト比に変換するための光学系を備える。
【選択図】 図2
【解決手段】この照明光学系は、光源装置から重畳レンズの光の入射面までの光路中に設けられた第1のトロイダル面と、第1のトロイダル面から重畳レンズの光の射出面までの光路中に設けられた第2のトロイダル面とで構成され、所定の領域上を照明する光の照明領域のアスペクト比を、第1のアスペクト比から第2のアスペクト比に変換するための光学系を備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この本発明は、画像を投写表示するプロジェクタに関し、特に、プロジェクタに用いられる照明光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プロジェクタでは、照明光学系から射出された光によって、液晶ライトバルブなどの電気光学装置を照明する。そして、電気光学装置を照明した光を、画像信号(画像情報)に応じて変調し、投写光学系を介してスクリーン上に投写することにより画像表示を実現する。
【0003】
図7は、従来のプロジェクタの光学系の要部を平面的に見た概略構成図である。尚、図7においては、互いに直交する3つの方向を便宜的にx方向(横方向)、y方向(縦方向)、z方向(光軸と平行な方向)とする。プロジェクタ1000は、照明光学系100と、色光分離光学系200と、3つの液晶ライトバルブ300R,300G,300Bと、クロスダイクロイックプリズム400と、投写レンズ(投写光学系)500とを備えている。
【0004】
図8は、図7の照明光学系100を拡大して示す説明図である。この照明光学系100は、光源装置120と、2つのレンズアレイ140,150と、偏光変換光学系160と、重畳レンズ170とを備えている。各光学部品は、それぞれの中心軸がシステム光軸1000axに一致するように順に配置されている。この照明光学系100は、照明対象LAを均一に照明するためのインテグレータ光学系を構成している。なお、図8において、照明光学系100が照明する照明対象LAは、図7の液晶ライトバルブ300R,300G,300Bに対応する。
【0005】
光源装置120は、ランプ(放電灯)122と、回転放物面形状の凹面を有するリフレクタ124とを備えている。ランプ122としては、高圧水銀放電灯や、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が利用される。ランプ122は、リフレクタ124の回転放物面の焦点近傍に配置されている。ランプ122から射出された光は、リフレクタ124によって反射され、ほぼ平行な光(略並行光)に変換される。
【0006】
なお、リフレクタとしては回転楕円面形状の反射凹面を有するリフレクタを用いるようにしてもよい。この場合に、光源装置から射出される光を略並行光とする場合には、光源装置の射出開口面近傍に平行化レンズを配置することが好ましい。
【0007】
光源装置120から射出された略平行光は、第1のレンズアレイ140に入射する。第1のレンズアレイ140は、マトリクス状に配列された複数の小レンズ140sを有している。従って、第1のレンズアレイ140は、光源装置120から射出された略平行な光線束を複数の部分光線束に分割して射出する。
【0008】
第2のレンズアレイ150は、マトリクス状に配列された複数の小レンズ150sを有しており、第1のレンズアレイ140とほぼ同様である。第2のレンズアレイ150は、第1のレンズアレイ140から射出された部分光線束のそれぞれの中心軸をシステム光軸1000axとほぼ平行に揃える機能を有している。また、第2のレンズアレイ150は、重畳レンズ170とともに、第1のレンズアレイ140の各第1の小レンズ140sの像を照明対象LA上で結像させる機能を有している。なお、照明対象LA上の照明領域は、第1のレンズアレイの第1の小レンズ140sとほぼ相似な形状となる。
【0009】
第1のレンズアレイ140の各第1の小レンズ140sから射出された部分光線束は、図8に示すように、第2のレンズアレイ150の各第2の小レンズ140sを介して、その近傍位置、すなわち、偏光変換光学系160内において集光される。
【0010】
偏光変換光学系160は、2つの偏光変換素子アレイ160A,160Bとを備えている。第1および第2の偏光変換素子アレイ160A,160Bは、システム光軸1000axに対して、対称となるように配置されている。
【0011】
図9は、図8の偏光変換素子アレイ160Aを拡大して示す説明図である。図9(A)は、第1の偏光変換素子アレイ160Aの斜視図を示しており、図9(B)は、+y方向から見たときの平面図を示している。偏光変換素子アレイ160Aは、遮光板162と、偏光ビームスプリッタアレイ164と、偏光ビームスプリッタアレイ164の光射出面に選択的に配置された複数のλ/2位相差板166とを備えている。なお、第2の偏光変換素子アレイ160Bについても同様である。
【0012】
偏光ビームスプリッタアレイ164は、図9(A),(B)に示すように、略平行四辺形の断面形状を有する柱状のガラス材164cが複数貼り合わされて構成されている。各ガラス材164cの界面には、偏光分離膜164aと反射膜164bとが交互に形成されている。なお、偏光分離膜164aとしては誘電体多層膜が用いられ、反射膜164bとしては誘電体多層膜や金属膜が用いられる。
【0013】
遮光板162は、開口面162aと遮光面162bとがストライプ状に配列されて構成されている。開口面162aと遮光面162bは、それぞれ偏光分離膜164aと反射膜164bとに対応して設けられている。また、遮光面162bは、2つの偏光変換素子アレイ160A,160Bの間隙に対応して設けられている。これにより、第1のレンズアレイ140(図8)から射出された部分光線束は、開口面162aを介して偏光ビームスプリッタアレイ164の偏光分離膜164aのみに入射し、反射膜164bには入射しない。なお、遮光板162としては、平板状の透明体(例えばガラス板)に遮光性の膜(例えばクロム膜や、アルミニウム膜、誘電体多層膜など)を選択的に形成したものを用いることができる。また、アルミニウム板のような遮光性の平板にストライプ状の開口部を設けたものを用いることも可能である。さらに、偏光ビームスプリッタアレイ164のガラス材164cに、遮光性の膜を直接形成するようにしてもよい。
【0014】
第1のレンズアレイ140(図8)から射出された各部分光線束の主光線(中心軸)は、図9(B)に実線で示すように、システム光軸1000axとほぼ平行に遮光板162の開口面162aに入射する。開口面162aを通過した部分光線束は、偏光分離膜164aにおいて、s偏光の部分光線束とp偏光の部分光線束とに分離される。なお、s偏光は、偏光分離膜164aの入射面に垂直な偏光方向であり、p偏光は、偏光分離膜164aの入射面に平行な偏光方向であるとする。p偏光の部分光線束は、偏光分離膜164aを透過して、偏光ビームスプリッタアレイ164から射出される。一方、s偏光の部分光線束は偏光分離膜164aで反射され、反射膜164bにおいてさらに反射された後に、偏光ビームスプリッタアレイ164から射出される。なお、偏光ビームスプリッタアレイ164の光射出面において、p偏光の部分光線束の主光線とs偏光の部分光線束の主光線とは、互いにほぼ平行となっている。
【0015】
λ/2位相差板166は、偏光ビームスプリッタアレイ164の光射出面のうち、偏光分離膜164aを透過したp偏光の部分光線束の光射出面だけに形成されている。λ/2位相差板166は、入射する直線偏光光を、偏光方向が直交する直線偏光光に変換する機能を有している。したがって、p偏光の部分光線束は、λ/2位相差板166によって、s偏光の部分光線束に変換されて射出される。これにより、偏光変換素子アレイ160Aに入射した偏りのない部分光線束(s+p)は、s偏光の部分光線束に変換されて射出されることとなる。なお、s偏光の部分光線束の光射出面だけにλ/2位相差板166を配置することにより、偏光変換素子アレイ160Aに入射する部分光線束をp偏光の部分光線束に変換して射出することもできる。
【0016】
なお、上記偏光変換光学系160は、システム光軸100axに対して対称に配置された2つの偏光変換素子アレイ160A,160Bを備える場合を示しているが、1つの偏光変換素子アレイを備えるようにしてもよい。
【0017】
第1のレンズアレイ140から射出された複数の部分光線束は、上記のように、偏光変換光学系160によって各部分光線束ごとに2つの部分光線束に分離されるとともに、それぞれ偏光方向の揃ったほぼ1種類の直線偏光光に変換される。偏光方向の揃った複数の部分光線束は、図8に示す重畳レンズ170によって照明対象LA上で重畳される。このとき、照明対象LAを照射する光の強度分布は、ほぼ均一となっている。
【0018】
以上のように、照明光学系100(図8)は、偏光方向の揃った照明光(s偏光光)を射出し、図7の色光分離光学系200を介して、液晶ライトバルブ300R,300G,300Bをほぼ均一に照明する。すなわち、照明光学系100の2つのレンズアレイ140,150と、重畳レンズ170とは、照明対象LA(液晶ライトバルブ300R,300G,300Bを)をほぼ均一に照明するためのインテグレータ光学系を構成している。
【0019】
図7の照明光学系100から射出された光は、色光分離光学系200において赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離される。色光分離光学系200は、2枚のダイクロイックミラー220,240と、リレー光学系250とを備えている。
【0020】
第1のダイクロイックミラー220は、赤色光成分を反射するとともに、緑色光成分および青色光成分を透過する。第1のダイクロイックミラー220で反射された赤色光は、さらに、反射ミラー230で反射され、フィールドレンズ262を介して赤色光用の液晶ライトバルブ300Rの光入射面に照射される。このフィールドレンズ262は、照明光学系100Bから射出された各部分光線束をその中心光線(主光線)に対してほぼ平行な光線束に変換する機能を有している。なお、他の液晶ライトバルブ300G,300Bの前に設けられたフィールドレンズ264,260も同様である。
【0021】
第1のダイクロイックミラー220を透過した緑色光と青色光のうちで、緑色光は第2のダイクロイックミラー240によって反射され、フィールドレンズ264を介して緑色光用の液晶ライトバルブ300Gの光入射面に照射される。一方、青色光は、第2のダイクロイックミラー240を透過し、入射側レンズ252、リレーレンズ256、射出側レンズ(フィールドレンズ)260、および反射ミラー254,258を有するリレー光学系250を介して、青色光用の液晶ライトバルブ300Bの光入射面に照射される。青色光にリレー光学系250が用いられているのは、青色光の経路が他の色光の経路よりも長いため、光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ252に入射した光の像をそのまま、射出側レンズ260に伝えるためである。なお、2枚のダイクロイックミラー220,240は、それぞれガラス板等の透明板に対応する誘電体多層膜をコーティングすることにより形成される。
【0022】
液晶ライトバルブ300R,300G,300Bは、液晶パネルと、その光入射面側および光射出面側に配置された偏光板とによって構成されている。照明光学系100から射出される偏光光の偏光方向は、通常、液晶ライトバルブの光入射面側に配置された偏光板が透過可能な方向に設定される。
【0023】
各液晶ライトバルブ300R,300G,300Bの光入射面側の光変調領域(「画像形成領域」あるいは「光入射領域」とも呼ぶ。)に入射した光は、画像信号に応じて変調される。各液晶ライトバルブ300R,300G,300Bには、液晶パネルに画像信号を供給して駆動させるための図示しない駆動部が接続されている。各液晶ライトバルブ300R,300G,300Bにおいて画像信号に応じて変調された変調光線束は、各色の画像をあらわす画像光として射出される。
【0024】
各液晶ライトバルブ300R,300G,300Bから射出された各色の画像光は、クロスダイクロイックプリズム400に入射される。クロスダイクロイックプリズム400は、3色の画像光を合成する色光合成光学系としての機能を有する。クロスダイクロイックプリズム400には、赤光を反射する誘電体多層膜410と、青光を反射する誘電体多層膜420とが、4つの直角プリズムの界面に略X字状に形成されている。3色の画像光は、これらの誘電体多層膜によって合成されて、投写レンズ500に向けて射出される。クロスダイクロイックプリズム400から射出された3色の画像光の合成光は、投写レンズ500によってスクリーン上に投写される。これにより、スクリーン上にカラー画像が表示されることとなる。
【0025】
ところで、プロジェクタによって表示される画像は均一で明るいことが好ましく、これに組み込まれた照明光学系から射出された照明光の利用効率(照明効率)が高いことが望ましい。そこで、液晶ライトバルブにおける照明効率を向上させるには、一般に、液晶ライトバルブの光変調領域をより効率よく照明することが望まれている。
【0026】
ここで、照明光学系による照明領域の外形形状は、第1のレンズアレイ140を構成する各第1の小レンズ140sの外形形状にほぼ相似となる。
【0027】
そこで、通常、液晶ライトバルブにおける照明効率をより向上させるために、通常、第1の小レンズ140sの外形形状を、照明領域としての液晶ライトバルブの光変調領域とほぼ相似となるように設定している。具体的には、液晶ライトバルブの光変調領域のアスペクト比(横と縦の寸法の比率)は4:3が一般的であるので、第1の小レンズ140sのアスペクト比も4:3に設定している。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液晶ライトバルブの種類として、光変調領域のアスペクト比が16:9であるものも存在している。このアスペクト比が16:9の液晶ライトバルブを用いてプロジェクタを構成しようとした場合に、上記プロジェクタ1000における各光学部品、特に、インテグレータ光学系を構成する第1と第2のレンズアレイをそのまま利用した場合には、図10に示すように、光変調領域のアスペクト比と照明領域のアスペクト比が異なるために、無駄な照明領域が発生し、照明効率の低下を招くという問題がある。
【0029】
なお、上記問題は液晶ライトバルブを例に説明したが、プロジェクタに用いられる他の電気光学装置においても同様の問題が発生する。
【0030】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、従来のプロジェクタの電気光学装置とは異なったアスペクト比を有する電気光学装置を用いたプロジェクタを、従来のプロジェクタの照明光学系を構成するインテグレータ光学系の光学部品を利用して、電気光学装置の照明効率を低下させることなく容易に構成する技術を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の一部を少なくとも解決するため、本発明の照明光学系は、
光源装置と、
前記光源装置から射出された光線束を複数の部分光線束に分割するために、第1のアスペクト比を有する複数の第1の小レンズを有する第1のレンズアレイと、
前記複数の第1の小レンズに対応する複数の第2の小レンズを有する第2のレンズアレイと、
前記第1および第2のレンズアレイを介して入射する複数の部分光線束を、第2のアスペクト比を有する所定の領域上で重畳する重畳レンズと、
前記光源装置から前記重畳レンズの光の入射面までの光路中に設けられた第1のトロイダル面と、前記第1のトロイダル面から前記重畳レンズの光の射出面までの光路中に設けられた第2のトロイダル面とで構成され、前記所定の領域上を照明する光の照明領域のアスペクト比を、前記第1のアスペクト比から前記第2のアスペクト比に変換するための光学系と、を備えることを特徴とする。
【0032】
第1のトロイダル面および第2のトロイダル面によって構成される光学系は、像面上で縦方向と横方向の倍率が異なる像を生ずる光学系である。かかる光学系は、これを有しない場合において所定の領域上で形成される第1のアスペクト比の照明領域を、第2のアスペクト比の照明領域に変換することが可能である。これにより、上記照明光学系では、第2のアスペクト比を有する所定の領域を効率よく照明することができる。従って、上記照明光学系では、第1のアスペクト比の領域を照明するための照明光学系における第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイを利用して、照明効率を低下させることなく、容易に第2のアスペクト比の領域を照明することが可能となる。
【0033】
なお、トロイダル面は、縦方向と横方向の一方の曲率が0である場合も含む。
【0034】
ここで、前記第1のトロイダル面は、前記第1のトロイダル面を有するトーリックレンズを前記光源装置から前記重畳レンズの光の入射面までの光路中に備えることにより容易に構成することができる。
【0035】
また、前記第1のトロイダル面は、前記第1のレンズアレイにおける前記複数の第1の小レンズが形成されている面とは反対の面に形成されることによっても容易に構成することができる。
【0036】
あるいは、前記第1のトロイダル面は、前記第2のレンズアレイにおける前記複数の第2の小レンズが形成されている面とは反対の面に形成されることによっても容易に構成することができる。
【0037】
特に、第1のレンズアレイまたは第2のレンズアレイに第1のトロイダル面を形成する場合には、第1のレンズアレイまたは第2のレンズアレイの若干の設計変更を伴うものの、新たに設計をやり直す場合に比べてはるかに容易である。また、部品点数の増加も伴わないという利点もある。
【0038】
また、第2のトロイダル面は、前記重畳レンズの光の入射面に形成されるようにしてもよい。
【0039】
こうすれば、第2のトロイダル面を、部品を増やすことなく容易に構成することができる。
【0040】
本発明の上記各照明光学系は、プロジェクタの照明光学系として利用することができる。すなわち、本発明の第1のプロジェクタは、
上記いずれかの照明光学系と、
前記所定の領域として、前記第2のアスペクト比の光変調領域を有し、前記光変調領域に入射した光を画像信号に応じて変調し、画像を表す画像光を生成する電気光学装置と、
前記電気光学装置で得られる画像光の表す画像を投写する投写光学系と、を備えるようにすることができる。
【0041】
上記第1のプロジェクタは、上記照明光学系を適用しているので、電気光学装置の第2のアスペクト比を有する光変調領域を効率よく照明することができる。これにより、照明光学系の照明光を効率よく利用することができ、明るい投写画像を実現することが可能である。
【0042】
第2のプロジェクタは、
上記いずれかの照明光学系と、
前記照明光学系から射出された光を複数の色光に分離する色光分離光学系と、前記所定の領域として、前記第2のアスペクト比の光変調領域を有し、前記光変調領域に入射した各色光を画像信号に応じて変調し、各色の画像を表す画像光を生成する複数の電気光学装置と、
前記複数の電気光学装置で生成された前記各色の画像光を合成する色光合成光学系とを備え、
前記色光合成光学系によって得られた合成光を投写する投写光学系と、を備えるようにすることができる。
【0043】
上記第2のプロジェクタによれば、上記第1のプロジェクタと同様に、明るいカラー画像を投写表示することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。尚、以下の実施例においては、互いに直交する3つの方向を便宜的にx方向(横方向)、y方向(縦方向)、z方向(光軸と平行な方向)とする。
【0045】
図1は、本発明のプロジェクタの要部を平面的に見た概略構成図である。プロジェクタ1000Aは、従来例のプロジェクタ1000の液晶ライトバルブ300R,300G,300Bを、アスペクト比が16:9である液晶ライトバルブ300R’,300G’,300B’に置き換えて、照明光学系100を照明光学系100Aに置き換えた点に特徴を有している。他の点は、従来例のプロジェクタ1000と同じである。以下の説明では、照明光学系100Aについて説明する。
【0046】
図2は、照明光学系100Aを拡大して示す説明図である。この照明光学系100Aは、従来の照明光学系100の重畳レンズ170を重畳レンズ170Aに置き換え、偏光変換光学系160と重畳レンズ170Aとの間の光路中に、トーリックレンズ180を備えている点に特徴を有している。このトーリックレンズ180は、入射面182が平面で、射出面184が凹状の第1のトロイダル面を有している。また、重畳レンズ170Aは、入射面172が、トーリックレンズ180の凹状の第1のトロイダル面と相補的な特性を示す凸状の第2のトロイダル面を有し、射出面174が重畳機能をなす凸面(「重畳レンズ面」とも呼ぶ。)を有している。なお、トーリックレンズ180の射出面184を第1のトロイダル面184と呼ぶこともある。重畳レンズ170Aの入射面172を第2のトロイダル面172と呼び、射出面174を重畳レンズ面174と呼ぶこともある。
【0047】
図3は、トーリックレンズ180の第1のトロイダル面184および重畳レンズ170Aの第2のトロイダル面172の機能について示す説明図である。なお、説明を容易にするため、重畳レンズ170Aを第2のトロイダル面172に相当する平凸レンズと、重畳レンズ面184に相当する平凸レンズとに分けて示している。
【0048】
図3(A)に示すように、従来の照明光学系100のように、第1および第2のトロイダル面が設けられていない場合において、第1のレンズアレイ140の各第1の小レンズ140sから射出される部分光線束が照明するx方向の照明サイズをDaとする。図3(B)に示すように、トーリックレンズ180の第1のトロイダル面184は光を発散する機能を有しているので、各第1の小レンズ140sから射出される部分光線束が照明するx方向の照明サイズDa’は、照明サイズDaよりも大きくすることができる。また、y方向の照明サイズも、x方向の照明サイズと同様に大きくすることができる。
【0049】
ここで、トロイダル面は、x方向とy方向の曲率が異なる円環面を有しているので、x方向およびy方向の曲率を変化させることによりx方向とy方向の照明サイズを変化させることが可能である。従って、本実施例の照明光学系100Aでは、トーリックレンズ180の第1のトロイダル面184および重畳レンズ170Aの第2のトロイダル面172を調整することにより、従来例における照明光学系100における4:3の第1のアスペクト比を有する従来の照明領域の形状を、16:9の第2のアスペクト比を有する照明領域の形状となるように変換することが可能である。
【0050】
さらに、重畳レンズ170Aのトロイダル面172は以下に示すように設定されている。
【0051】
トーリックレンズ180に入射する部分光線束の中心軸(主光線)は、システム光軸1000ax上に一致していない場合には、トーリックレンズ180のトロイダル面184によって拡散されるので、システム光軸1000axに対して平行でなく傾斜することになる。ここで、重畳レンズ面174は、平行光を、照明対象、すなわち、液晶ライトバルブの光変調領域の中心(システム光軸1000ax上の点)で集光するように設定されている。トーリックレンズ180から、射出される各部分光線束の中心軸は、システム光軸1000axに対して傾斜しているので、仮にトロイダル面を有しない従来の重畳レンズ170と同様な重畳レンズに入射した場合には、液晶ライトバルブの光変調領域の中心で重畳されないことになる。そこで、重畳レンズ170Aのトロイダル面172は、このような各部分光線束の中心軸のずれを補正するような形状および特性を有するように設定されている。
【0052】
以上説明したように、本実施例のプロジェクタ1000Aは、4:3のアスペクト比を有する液晶ライトバルブを用いた従来のプロジェクタ1000における光学部品、特に照明光学系100の第1および第2のレンズアレイ140,150をそのまま利用して、16:9のアスペクト比を有する液晶ライトバルブを用いたプロジェクタを、照明効率を低下させることなく容易に構成することが可能である。
【0053】
ここで、トーリックレンズ180の第1のトロイダル面184と、重畳レンズ170Aの第2のトロイダル面172とに対応する2つのトーリックレンズを、重畳レンズの射出面側に配置することも考えられるが、このように配置した場合、トロイダル面の曲率が大きくなり、レンズが厚くなる。上記実施例のように配置すれば、トロイダル面の曲率を小さくすることができるため、レンズを薄くすることができ、レンズが軽くなり、レンズを製造しやすいという有利な点がある。
【0054】
なお、本発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0055】
(1)上記実施例では、照明光学系100Aの重畳レンズとして、入射面172にトロイダル面を有し、射出面174に重畳レンズ面174を有するように一体形成された重畳レンズ170Aを備える場合を例に示しているが、トーリックレンズ180のトロイダル面184によって、上述したように発生する光の中心軸の傾斜を補正して、システム光軸1000axに平行に戻すような特性を有するトロイダル面を有するトーリックレンズと、従来例の重畳レンズ170のような通常の重畳レンズとを2つ配置するようにしてもよい。
【0056】
(2)上記実施例では、トーリックレンズ180を偏光変換光学系160と重畳レンズ170Aとの間の光路中に配置した場合を例に説明しているが、光源装置120と偏光変換光学系160との間の光路中にトーリックレンズ180を配置することも可能である。
【0057】
図4は、変形例としての照明光学系100Bを示す説明図である。この照明光学系100Bは、トーリックレンズ180を第1のレンズアレイ140と、第2のレンズアレイ150との間の光路中に配置した例を示している。この照明光学系100Bを用いても、実施例と同様に、4:3のアスペクト比を有する液晶ライトバルブを用いた従来のプロジェクタ1000の光学部品、特に照明光学系100の第1および第2のレンズアレイ140,150をそのまま利用して、16:9のアスペクト比を有する液晶ライトバルブを用いたプロジェクタを、照明効率を低下させることなく容易に構成することが可能である。ただし、トーリックレンズ180のトロイダル面184および重畳レンズ170Aのトロイダル面172の形状や特性は、トーリックレンズ180の配置位置の変更に伴って、適宜変更する必要があり、以下の変形例においても同様である。
【0058】
なお、この変形例の照明光学系100Bでは、トーリックレンズ180を、第1のレンズアレイ140と第2のレンズアレイ150との間に配置する場合を例に説明しているが、光源装置120と第1のレンズアレイ140との間、あるいは、第2のレンズアレイ150と偏光変換光学系160との間に配置するようにしてもよい。
【0059】
図5は、別の変形例としての照明光学系100Cを示す説明図である。この照明光学系100Cは、変形例の照明光学系100Bにおける第1のレンズアレイ140とトーリックレンズ180とを一体形成し、一体形成されたレンズアレイ140Cの第1の小レンズ140sの形成面を光の入射面側とし、トロイダル面144を光の射出面側として配置した例を示している。
【0060】
この照明光学系100Cでは、第1のレンズアレイ140をそのまま利用することができない。しかしながら、第1のレンズアレイ140Cは、第1のレンズアレイ140におけ第1の小レンズ140sが形成されている面とは反対の平らな面をトロイダル面とすることにより容易に構成できるので、16:9のアスペクト比を有する小レンズによるレンズアレイを新たに設計して製造する場合に比べて容易に設計して製造することが可能である。
【0061】
図6は、さらに別の変形例としての照明光学系100Dを示す説明図である。この照明光学系100Dは、照明光学系100Bにおける第2のレンズアレイ150とトーリックレンズ180とを一体形成し、一体形成されたレンズアレイ150Dの第2の小レンズ150sの形成面を光の射出面側とし、トロイダル面152を光の入射面側として配置した例を示している。
【0062】
この照明光学系100Dにおいては、第2のレンズアレイ150をそのまま利用することができない。しかしながら、照明光学系100Cと同様に、第2のレンズアレイ150Dは、第2のレンズアレイ150における第2の小レンズ150sが形成されている面とは反対の平らな面をトロイダル面とすることにより容易に構成できるので、16:9のアスペクト比を有する小レンズによるレンズアレイを新たに設計して製造する場合に比べて容易に設計して製造することが可能である。
【0063】
なお、上記変形例100Cおよび100Dのように、第1のレンズアレイ140または第2のレンズアレイ150と、トーリックレンズ180とを一体形成するのではなく、第1のレンズアレイ140または第2のレンズアレイ150の平らな面とトーリックレンズ180の平らな面とを光学接着剤によって貼り合わせるようにしてもよい。
【0064】
(3)上記実施例および各変形例の照明光学系における各レンズの向きは、それぞれ別々に反対向きに配置するようにしてもよい。
【0065】
(4)上記実施例および各変形例では、第1のアスペクト比アが4:3で第2のアスペクト比が16:9である場合を例に説明しているが、これに限定されるものではなく、種々の異なった第1のアスペクト比と第2のアスペクト比に対して、本発明を適用することが可能である。
【0066】
(5)上記実施例では、透過型の液晶ライトバルブを用いたプロジェクタを例に説明しているが、反射型の液晶ライトバルブを用いた場合にも本発明を適用することが可能である。
【0067】
また、液晶ライトバルブを用いたプロジェクタだけでなく、他の電気光学装置、例えば、DMD(ディジタル・マイクロミラー・デバイス:TI社の商標)を用いたプロジェクタ等にも本発明を適用することが可能である。
【0068】
(6)上記実施例では、カラー画像を表示するプロジェクタを例に説明しているが、モノクロ画像を表示するプロジェクタに本発明を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロジェクタの要部を平面的に見た概略構成図である。
【図2】照明光学系100Aを拡大して示す説明図である。
【図3】トーリックレンズ180の第1のトロイダル面184および重畳レンズ170Aの第2のトロイダル面172の機能について示す説明図である。
【図4】変形例としての照明光学系100Bを示す説明図である。
【図5】別の変形例としての照明光学系100Cを示す説明図である。
【図6】さらに別の変形例としての照明光学系100Dを示す説明図である。
【図7】従来のプロジェクタの要部を平面的に見た概略構成図である。
【図8】図7の照明光学系100を拡大して示す説明図である。
【図9】図8の偏光変換素子アレイ160Aを拡大して示す説明図である。
【図10】4:3のアスペクト比を有する照明領域と、16:9のアスペクト比を有する液晶ライトバルブの光変調領域との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1000…プロジェクタ
1000A…プロジェクタ
1000ax…システム光軸
100…照明光学系
100A…照明光学系
100B…照明光学系
100C…照明光学系
100D…照明光学系
120…光源装置
122…ランプ(放電灯)
124…リフレクタ
140…第1のレンズアレイ
140s…第1の小レンズ
140C…レンズアレイ
144…トロイダル面
150…第2のレンズアレイ
150s…小レンズ
150D…第2のレンズアレイ
152…トロイダル面
160…偏光変換光学系
160A…偏光変換素子アレイ
162…遮光板
162a…開口面
162b…遮光面
164…偏光ビームスプリッタアレイ
164a…偏光分離膜
164b…反射膜
164c…ガラス材
166…λ/2位相差板
170…重畳レンズ
170A…重畳レンズ
172…入射面(トロイダル面)
174…射出面(重畳レンズ面)
180…トーリックレンズ
182…入射面
184…射出面(トロイダル面)
300R,300G,300B…液晶ライトバルブ
300R’,300G’,300B’…液晶ライトバルブ
400…クロスダイクロイックプリズム
410…誘電体多層膜
420…誘電体多層膜
500…投写レンズ(投写光学系)
【発明の属する技術分野】
この本発明は、画像を投写表示するプロジェクタに関し、特に、プロジェクタに用いられる照明光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プロジェクタでは、照明光学系から射出された光によって、液晶ライトバルブなどの電気光学装置を照明する。そして、電気光学装置を照明した光を、画像信号(画像情報)に応じて変調し、投写光学系を介してスクリーン上に投写することにより画像表示を実現する。
【0003】
図7は、従来のプロジェクタの光学系の要部を平面的に見た概略構成図である。尚、図7においては、互いに直交する3つの方向を便宜的にx方向(横方向)、y方向(縦方向)、z方向(光軸と平行な方向)とする。プロジェクタ1000は、照明光学系100と、色光分離光学系200と、3つの液晶ライトバルブ300R,300G,300Bと、クロスダイクロイックプリズム400と、投写レンズ(投写光学系)500とを備えている。
【0004】
図8は、図7の照明光学系100を拡大して示す説明図である。この照明光学系100は、光源装置120と、2つのレンズアレイ140,150と、偏光変換光学系160と、重畳レンズ170とを備えている。各光学部品は、それぞれの中心軸がシステム光軸1000axに一致するように順に配置されている。この照明光学系100は、照明対象LAを均一に照明するためのインテグレータ光学系を構成している。なお、図8において、照明光学系100が照明する照明対象LAは、図7の液晶ライトバルブ300R,300G,300Bに対応する。
【0005】
光源装置120は、ランプ(放電灯)122と、回転放物面形状の凹面を有するリフレクタ124とを備えている。ランプ122としては、高圧水銀放電灯や、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が利用される。ランプ122は、リフレクタ124の回転放物面の焦点近傍に配置されている。ランプ122から射出された光は、リフレクタ124によって反射され、ほぼ平行な光(略並行光)に変換される。
【0006】
なお、リフレクタとしては回転楕円面形状の反射凹面を有するリフレクタを用いるようにしてもよい。この場合に、光源装置から射出される光を略並行光とする場合には、光源装置の射出開口面近傍に平行化レンズを配置することが好ましい。
【0007】
光源装置120から射出された略平行光は、第1のレンズアレイ140に入射する。第1のレンズアレイ140は、マトリクス状に配列された複数の小レンズ140sを有している。従って、第1のレンズアレイ140は、光源装置120から射出された略平行な光線束を複数の部分光線束に分割して射出する。
【0008】
第2のレンズアレイ150は、マトリクス状に配列された複数の小レンズ150sを有しており、第1のレンズアレイ140とほぼ同様である。第2のレンズアレイ150は、第1のレンズアレイ140から射出された部分光線束のそれぞれの中心軸をシステム光軸1000axとほぼ平行に揃える機能を有している。また、第2のレンズアレイ150は、重畳レンズ170とともに、第1のレンズアレイ140の各第1の小レンズ140sの像を照明対象LA上で結像させる機能を有している。なお、照明対象LA上の照明領域は、第1のレンズアレイの第1の小レンズ140sとほぼ相似な形状となる。
【0009】
第1のレンズアレイ140の各第1の小レンズ140sから射出された部分光線束は、図8に示すように、第2のレンズアレイ150の各第2の小レンズ140sを介して、その近傍位置、すなわち、偏光変換光学系160内において集光される。
【0010】
偏光変換光学系160は、2つの偏光変換素子アレイ160A,160Bとを備えている。第1および第2の偏光変換素子アレイ160A,160Bは、システム光軸1000axに対して、対称となるように配置されている。
【0011】
図9は、図8の偏光変換素子アレイ160Aを拡大して示す説明図である。図9(A)は、第1の偏光変換素子アレイ160Aの斜視図を示しており、図9(B)は、+y方向から見たときの平面図を示している。偏光変換素子アレイ160Aは、遮光板162と、偏光ビームスプリッタアレイ164と、偏光ビームスプリッタアレイ164の光射出面に選択的に配置された複数のλ/2位相差板166とを備えている。なお、第2の偏光変換素子アレイ160Bについても同様である。
【0012】
偏光ビームスプリッタアレイ164は、図9(A),(B)に示すように、略平行四辺形の断面形状を有する柱状のガラス材164cが複数貼り合わされて構成されている。各ガラス材164cの界面には、偏光分離膜164aと反射膜164bとが交互に形成されている。なお、偏光分離膜164aとしては誘電体多層膜が用いられ、反射膜164bとしては誘電体多層膜や金属膜が用いられる。
【0013】
遮光板162は、開口面162aと遮光面162bとがストライプ状に配列されて構成されている。開口面162aと遮光面162bは、それぞれ偏光分離膜164aと反射膜164bとに対応して設けられている。また、遮光面162bは、2つの偏光変換素子アレイ160A,160Bの間隙に対応して設けられている。これにより、第1のレンズアレイ140(図8)から射出された部分光線束は、開口面162aを介して偏光ビームスプリッタアレイ164の偏光分離膜164aのみに入射し、反射膜164bには入射しない。なお、遮光板162としては、平板状の透明体(例えばガラス板)に遮光性の膜(例えばクロム膜や、アルミニウム膜、誘電体多層膜など)を選択的に形成したものを用いることができる。また、アルミニウム板のような遮光性の平板にストライプ状の開口部を設けたものを用いることも可能である。さらに、偏光ビームスプリッタアレイ164のガラス材164cに、遮光性の膜を直接形成するようにしてもよい。
【0014】
第1のレンズアレイ140(図8)から射出された各部分光線束の主光線(中心軸)は、図9(B)に実線で示すように、システム光軸1000axとほぼ平行に遮光板162の開口面162aに入射する。開口面162aを通過した部分光線束は、偏光分離膜164aにおいて、s偏光の部分光線束とp偏光の部分光線束とに分離される。なお、s偏光は、偏光分離膜164aの入射面に垂直な偏光方向であり、p偏光は、偏光分離膜164aの入射面に平行な偏光方向であるとする。p偏光の部分光線束は、偏光分離膜164aを透過して、偏光ビームスプリッタアレイ164から射出される。一方、s偏光の部分光線束は偏光分離膜164aで反射され、反射膜164bにおいてさらに反射された後に、偏光ビームスプリッタアレイ164から射出される。なお、偏光ビームスプリッタアレイ164の光射出面において、p偏光の部分光線束の主光線とs偏光の部分光線束の主光線とは、互いにほぼ平行となっている。
【0015】
λ/2位相差板166は、偏光ビームスプリッタアレイ164の光射出面のうち、偏光分離膜164aを透過したp偏光の部分光線束の光射出面だけに形成されている。λ/2位相差板166は、入射する直線偏光光を、偏光方向が直交する直線偏光光に変換する機能を有している。したがって、p偏光の部分光線束は、λ/2位相差板166によって、s偏光の部分光線束に変換されて射出される。これにより、偏光変換素子アレイ160Aに入射した偏りのない部分光線束(s+p)は、s偏光の部分光線束に変換されて射出されることとなる。なお、s偏光の部分光線束の光射出面だけにλ/2位相差板166を配置することにより、偏光変換素子アレイ160Aに入射する部分光線束をp偏光の部分光線束に変換して射出することもできる。
【0016】
なお、上記偏光変換光学系160は、システム光軸100axに対して対称に配置された2つの偏光変換素子アレイ160A,160Bを備える場合を示しているが、1つの偏光変換素子アレイを備えるようにしてもよい。
【0017】
第1のレンズアレイ140から射出された複数の部分光線束は、上記のように、偏光変換光学系160によって各部分光線束ごとに2つの部分光線束に分離されるとともに、それぞれ偏光方向の揃ったほぼ1種類の直線偏光光に変換される。偏光方向の揃った複数の部分光線束は、図8に示す重畳レンズ170によって照明対象LA上で重畳される。このとき、照明対象LAを照射する光の強度分布は、ほぼ均一となっている。
【0018】
以上のように、照明光学系100(図8)は、偏光方向の揃った照明光(s偏光光)を射出し、図7の色光分離光学系200を介して、液晶ライトバルブ300R,300G,300Bをほぼ均一に照明する。すなわち、照明光学系100の2つのレンズアレイ140,150と、重畳レンズ170とは、照明対象LA(液晶ライトバルブ300R,300G,300Bを)をほぼ均一に照明するためのインテグレータ光学系を構成している。
【0019】
図7の照明光学系100から射出された光は、色光分離光学系200において赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離される。色光分離光学系200は、2枚のダイクロイックミラー220,240と、リレー光学系250とを備えている。
【0020】
第1のダイクロイックミラー220は、赤色光成分を反射するとともに、緑色光成分および青色光成分を透過する。第1のダイクロイックミラー220で反射された赤色光は、さらに、反射ミラー230で反射され、フィールドレンズ262を介して赤色光用の液晶ライトバルブ300Rの光入射面に照射される。このフィールドレンズ262は、照明光学系100Bから射出された各部分光線束をその中心光線(主光線)に対してほぼ平行な光線束に変換する機能を有している。なお、他の液晶ライトバルブ300G,300Bの前に設けられたフィールドレンズ264,260も同様である。
【0021】
第1のダイクロイックミラー220を透過した緑色光と青色光のうちで、緑色光は第2のダイクロイックミラー240によって反射され、フィールドレンズ264を介して緑色光用の液晶ライトバルブ300Gの光入射面に照射される。一方、青色光は、第2のダイクロイックミラー240を透過し、入射側レンズ252、リレーレンズ256、射出側レンズ(フィールドレンズ)260、および反射ミラー254,258を有するリレー光学系250を介して、青色光用の液晶ライトバルブ300Bの光入射面に照射される。青色光にリレー光学系250が用いられているのは、青色光の経路が他の色光の経路よりも長いため、光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ252に入射した光の像をそのまま、射出側レンズ260に伝えるためである。なお、2枚のダイクロイックミラー220,240は、それぞれガラス板等の透明板に対応する誘電体多層膜をコーティングすることにより形成される。
【0022】
液晶ライトバルブ300R,300G,300Bは、液晶パネルと、その光入射面側および光射出面側に配置された偏光板とによって構成されている。照明光学系100から射出される偏光光の偏光方向は、通常、液晶ライトバルブの光入射面側に配置された偏光板が透過可能な方向に設定される。
【0023】
各液晶ライトバルブ300R,300G,300Bの光入射面側の光変調領域(「画像形成領域」あるいは「光入射領域」とも呼ぶ。)に入射した光は、画像信号に応じて変調される。各液晶ライトバルブ300R,300G,300Bには、液晶パネルに画像信号を供給して駆動させるための図示しない駆動部が接続されている。各液晶ライトバルブ300R,300G,300Bにおいて画像信号に応じて変調された変調光線束は、各色の画像をあらわす画像光として射出される。
【0024】
各液晶ライトバルブ300R,300G,300Bから射出された各色の画像光は、クロスダイクロイックプリズム400に入射される。クロスダイクロイックプリズム400は、3色の画像光を合成する色光合成光学系としての機能を有する。クロスダイクロイックプリズム400には、赤光を反射する誘電体多層膜410と、青光を反射する誘電体多層膜420とが、4つの直角プリズムの界面に略X字状に形成されている。3色の画像光は、これらの誘電体多層膜によって合成されて、投写レンズ500に向けて射出される。クロスダイクロイックプリズム400から射出された3色の画像光の合成光は、投写レンズ500によってスクリーン上に投写される。これにより、スクリーン上にカラー画像が表示されることとなる。
【0025】
ところで、プロジェクタによって表示される画像は均一で明るいことが好ましく、これに組み込まれた照明光学系から射出された照明光の利用効率(照明効率)が高いことが望ましい。そこで、液晶ライトバルブにおける照明効率を向上させるには、一般に、液晶ライトバルブの光変調領域をより効率よく照明することが望まれている。
【0026】
ここで、照明光学系による照明領域の外形形状は、第1のレンズアレイ140を構成する各第1の小レンズ140sの外形形状にほぼ相似となる。
【0027】
そこで、通常、液晶ライトバルブにおける照明効率をより向上させるために、通常、第1の小レンズ140sの外形形状を、照明領域としての液晶ライトバルブの光変調領域とほぼ相似となるように設定している。具体的には、液晶ライトバルブの光変調領域のアスペクト比(横と縦の寸法の比率)は4:3が一般的であるので、第1の小レンズ140sのアスペクト比も4:3に設定している。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液晶ライトバルブの種類として、光変調領域のアスペクト比が16:9であるものも存在している。このアスペクト比が16:9の液晶ライトバルブを用いてプロジェクタを構成しようとした場合に、上記プロジェクタ1000における各光学部品、特に、インテグレータ光学系を構成する第1と第2のレンズアレイをそのまま利用した場合には、図10に示すように、光変調領域のアスペクト比と照明領域のアスペクト比が異なるために、無駄な照明領域が発生し、照明効率の低下を招くという問題がある。
【0029】
なお、上記問題は液晶ライトバルブを例に説明したが、プロジェクタに用いられる他の電気光学装置においても同様の問題が発生する。
【0030】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、従来のプロジェクタの電気光学装置とは異なったアスペクト比を有する電気光学装置を用いたプロジェクタを、従来のプロジェクタの照明光学系を構成するインテグレータ光学系の光学部品を利用して、電気光学装置の照明効率を低下させることなく容易に構成する技術を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の一部を少なくとも解決するため、本発明の照明光学系は、
光源装置と、
前記光源装置から射出された光線束を複数の部分光線束に分割するために、第1のアスペクト比を有する複数の第1の小レンズを有する第1のレンズアレイと、
前記複数の第1の小レンズに対応する複数の第2の小レンズを有する第2のレンズアレイと、
前記第1および第2のレンズアレイを介して入射する複数の部分光線束を、第2のアスペクト比を有する所定の領域上で重畳する重畳レンズと、
前記光源装置から前記重畳レンズの光の入射面までの光路中に設けられた第1のトロイダル面と、前記第1のトロイダル面から前記重畳レンズの光の射出面までの光路中に設けられた第2のトロイダル面とで構成され、前記所定の領域上を照明する光の照明領域のアスペクト比を、前記第1のアスペクト比から前記第2のアスペクト比に変換するための光学系と、を備えることを特徴とする。
【0032】
第1のトロイダル面および第2のトロイダル面によって構成される光学系は、像面上で縦方向と横方向の倍率が異なる像を生ずる光学系である。かかる光学系は、これを有しない場合において所定の領域上で形成される第1のアスペクト比の照明領域を、第2のアスペクト比の照明領域に変換することが可能である。これにより、上記照明光学系では、第2のアスペクト比を有する所定の領域を効率よく照明することができる。従って、上記照明光学系では、第1のアスペクト比の領域を照明するための照明光学系における第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイを利用して、照明効率を低下させることなく、容易に第2のアスペクト比の領域を照明することが可能となる。
【0033】
なお、トロイダル面は、縦方向と横方向の一方の曲率が0である場合も含む。
【0034】
ここで、前記第1のトロイダル面は、前記第1のトロイダル面を有するトーリックレンズを前記光源装置から前記重畳レンズの光の入射面までの光路中に備えることにより容易に構成することができる。
【0035】
また、前記第1のトロイダル面は、前記第1のレンズアレイにおける前記複数の第1の小レンズが形成されている面とは反対の面に形成されることによっても容易に構成することができる。
【0036】
あるいは、前記第1のトロイダル面は、前記第2のレンズアレイにおける前記複数の第2の小レンズが形成されている面とは反対の面に形成されることによっても容易に構成することができる。
【0037】
特に、第1のレンズアレイまたは第2のレンズアレイに第1のトロイダル面を形成する場合には、第1のレンズアレイまたは第2のレンズアレイの若干の設計変更を伴うものの、新たに設計をやり直す場合に比べてはるかに容易である。また、部品点数の増加も伴わないという利点もある。
【0038】
また、第2のトロイダル面は、前記重畳レンズの光の入射面に形成されるようにしてもよい。
【0039】
こうすれば、第2のトロイダル面を、部品を増やすことなく容易に構成することができる。
【0040】
本発明の上記各照明光学系は、プロジェクタの照明光学系として利用することができる。すなわち、本発明の第1のプロジェクタは、
上記いずれかの照明光学系と、
前記所定の領域として、前記第2のアスペクト比の光変調領域を有し、前記光変調領域に入射した光を画像信号に応じて変調し、画像を表す画像光を生成する電気光学装置と、
前記電気光学装置で得られる画像光の表す画像を投写する投写光学系と、を備えるようにすることができる。
【0041】
上記第1のプロジェクタは、上記照明光学系を適用しているので、電気光学装置の第2のアスペクト比を有する光変調領域を効率よく照明することができる。これにより、照明光学系の照明光を効率よく利用することができ、明るい投写画像を実現することが可能である。
【0042】
第2のプロジェクタは、
上記いずれかの照明光学系と、
前記照明光学系から射出された光を複数の色光に分離する色光分離光学系と、前記所定の領域として、前記第2のアスペクト比の光変調領域を有し、前記光変調領域に入射した各色光を画像信号に応じて変調し、各色の画像を表す画像光を生成する複数の電気光学装置と、
前記複数の電気光学装置で生成された前記各色の画像光を合成する色光合成光学系とを備え、
前記色光合成光学系によって得られた合成光を投写する投写光学系と、を備えるようにすることができる。
【0043】
上記第2のプロジェクタによれば、上記第1のプロジェクタと同様に、明るいカラー画像を投写表示することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。尚、以下の実施例においては、互いに直交する3つの方向を便宜的にx方向(横方向)、y方向(縦方向)、z方向(光軸と平行な方向)とする。
【0045】
図1は、本発明のプロジェクタの要部を平面的に見た概略構成図である。プロジェクタ1000Aは、従来例のプロジェクタ1000の液晶ライトバルブ300R,300G,300Bを、アスペクト比が16:9である液晶ライトバルブ300R’,300G’,300B’に置き換えて、照明光学系100を照明光学系100Aに置き換えた点に特徴を有している。他の点は、従来例のプロジェクタ1000と同じである。以下の説明では、照明光学系100Aについて説明する。
【0046】
図2は、照明光学系100Aを拡大して示す説明図である。この照明光学系100Aは、従来の照明光学系100の重畳レンズ170を重畳レンズ170Aに置き換え、偏光変換光学系160と重畳レンズ170Aとの間の光路中に、トーリックレンズ180を備えている点に特徴を有している。このトーリックレンズ180は、入射面182が平面で、射出面184が凹状の第1のトロイダル面を有している。また、重畳レンズ170Aは、入射面172が、トーリックレンズ180の凹状の第1のトロイダル面と相補的な特性を示す凸状の第2のトロイダル面を有し、射出面174が重畳機能をなす凸面(「重畳レンズ面」とも呼ぶ。)を有している。なお、トーリックレンズ180の射出面184を第1のトロイダル面184と呼ぶこともある。重畳レンズ170Aの入射面172を第2のトロイダル面172と呼び、射出面174を重畳レンズ面174と呼ぶこともある。
【0047】
図3は、トーリックレンズ180の第1のトロイダル面184および重畳レンズ170Aの第2のトロイダル面172の機能について示す説明図である。なお、説明を容易にするため、重畳レンズ170Aを第2のトロイダル面172に相当する平凸レンズと、重畳レンズ面184に相当する平凸レンズとに分けて示している。
【0048】
図3(A)に示すように、従来の照明光学系100のように、第1および第2のトロイダル面が設けられていない場合において、第1のレンズアレイ140の各第1の小レンズ140sから射出される部分光線束が照明するx方向の照明サイズをDaとする。図3(B)に示すように、トーリックレンズ180の第1のトロイダル面184は光を発散する機能を有しているので、各第1の小レンズ140sから射出される部分光線束が照明するx方向の照明サイズDa’は、照明サイズDaよりも大きくすることができる。また、y方向の照明サイズも、x方向の照明サイズと同様に大きくすることができる。
【0049】
ここで、トロイダル面は、x方向とy方向の曲率が異なる円環面を有しているので、x方向およびy方向の曲率を変化させることによりx方向とy方向の照明サイズを変化させることが可能である。従って、本実施例の照明光学系100Aでは、トーリックレンズ180の第1のトロイダル面184および重畳レンズ170Aの第2のトロイダル面172を調整することにより、従来例における照明光学系100における4:3の第1のアスペクト比を有する従来の照明領域の形状を、16:9の第2のアスペクト比を有する照明領域の形状となるように変換することが可能である。
【0050】
さらに、重畳レンズ170Aのトロイダル面172は以下に示すように設定されている。
【0051】
トーリックレンズ180に入射する部分光線束の中心軸(主光線)は、システム光軸1000ax上に一致していない場合には、トーリックレンズ180のトロイダル面184によって拡散されるので、システム光軸1000axに対して平行でなく傾斜することになる。ここで、重畳レンズ面174は、平行光を、照明対象、すなわち、液晶ライトバルブの光変調領域の中心(システム光軸1000ax上の点)で集光するように設定されている。トーリックレンズ180から、射出される各部分光線束の中心軸は、システム光軸1000axに対して傾斜しているので、仮にトロイダル面を有しない従来の重畳レンズ170と同様な重畳レンズに入射した場合には、液晶ライトバルブの光変調領域の中心で重畳されないことになる。そこで、重畳レンズ170Aのトロイダル面172は、このような各部分光線束の中心軸のずれを補正するような形状および特性を有するように設定されている。
【0052】
以上説明したように、本実施例のプロジェクタ1000Aは、4:3のアスペクト比を有する液晶ライトバルブを用いた従来のプロジェクタ1000における光学部品、特に照明光学系100の第1および第2のレンズアレイ140,150をそのまま利用して、16:9のアスペクト比を有する液晶ライトバルブを用いたプロジェクタを、照明効率を低下させることなく容易に構成することが可能である。
【0053】
ここで、トーリックレンズ180の第1のトロイダル面184と、重畳レンズ170Aの第2のトロイダル面172とに対応する2つのトーリックレンズを、重畳レンズの射出面側に配置することも考えられるが、このように配置した場合、トロイダル面の曲率が大きくなり、レンズが厚くなる。上記実施例のように配置すれば、トロイダル面の曲率を小さくすることができるため、レンズを薄くすることができ、レンズが軽くなり、レンズを製造しやすいという有利な点がある。
【0054】
なお、本発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0055】
(1)上記実施例では、照明光学系100Aの重畳レンズとして、入射面172にトロイダル面を有し、射出面174に重畳レンズ面174を有するように一体形成された重畳レンズ170Aを備える場合を例に示しているが、トーリックレンズ180のトロイダル面184によって、上述したように発生する光の中心軸の傾斜を補正して、システム光軸1000axに平行に戻すような特性を有するトロイダル面を有するトーリックレンズと、従来例の重畳レンズ170のような通常の重畳レンズとを2つ配置するようにしてもよい。
【0056】
(2)上記実施例では、トーリックレンズ180を偏光変換光学系160と重畳レンズ170Aとの間の光路中に配置した場合を例に説明しているが、光源装置120と偏光変換光学系160との間の光路中にトーリックレンズ180を配置することも可能である。
【0057】
図4は、変形例としての照明光学系100Bを示す説明図である。この照明光学系100Bは、トーリックレンズ180を第1のレンズアレイ140と、第2のレンズアレイ150との間の光路中に配置した例を示している。この照明光学系100Bを用いても、実施例と同様に、4:3のアスペクト比を有する液晶ライトバルブを用いた従来のプロジェクタ1000の光学部品、特に照明光学系100の第1および第2のレンズアレイ140,150をそのまま利用して、16:9のアスペクト比を有する液晶ライトバルブを用いたプロジェクタを、照明効率を低下させることなく容易に構成することが可能である。ただし、トーリックレンズ180のトロイダル面184および重畳レンズ170Aのトロイダル面172の形状や特性は、トーリックレンズ180の配置位置の変更に伴って、適宜変更する必要があり、以下の変形例においても同様である。
【0058】
なお、この変形例の照明光学系100Bでは、トーリックレンズ180を、第1のレンズアレイ140と第2のレンズアレイ150との間に配置する場合を例に説明しているが、光源装置120と第1のレンズアレイ140との間、あるいは、第2のレンズアレイ150と偏光変換光学系160との間に配置するようにしてもよい。
【0059】
図5は、別の変形例としての照明光学系100Cを示す説明図である。この照明光学系100Cは、変形例の照明光学系100Bにおける第1のレンズアレイ140とトーリックレンズ180とを一体形成し、一体形成されたレンズアレイ140Cの第1の小レンズ140sの形成面を光の入射面側とし、トロイダル面144を光の射出面側として配置した例を示している。
【0060】
この照明光学系100Cでは、第1のレンズアレイ140をそのまま利用することができない。しかしながら、第1のレンズアレイ140Cは、第1のレンズアレイ140におけ第1の小レンズ140sが形成されている面とは反対の平らな面をトロイダル面とすることにより容易に構成できるので、16:9のアスペクト比を有する小レンズによるレンズアレイを新たに設計して製造する場合に比べて容易に設計して製造することが可能である。
【0061】
図6は、さらに別の変形例としての照明光学系100Dを示す説明図である。この照明光学系100Dは、照明光学系100Bにおける第2のレンズアレイ150とトーリックレンズ180とを一体形成し、一体形成されたレンズアレイ150Dの第2の小レンズ150sの形成面を光の射出面側とし、トロイダル面152を光の入射面側として配置した例を示している。
【0062】
この照明光学系100Dにおいては、第2のレンズアレイ150をそのまま利用することができない。しかしながら、照明光学系100Cと同様に、第2のレンズアレイ150Dは、第2のレンズアレイ150における第2の小レンズ150sが形成されている面とは反対の平らな面をトロイダル面とすることにより容易に構成できるので、16:9のアスペクト比を有する小レンズによるレンズアレイを新たに設計して製造する場合に比べて容易に設計して製造することが可能である。
【0063】
なお、上記変形例100Cおよび100Dのように、第1のレンズアレイ140または第2のレンズアレイ150と、トーリックレンズ180とを一体形成するのではなく、第1のレンズアレイ140または第2のレンズアレイ150の平らな面とトーリックレンズ180の平らな面とを光学接着剤によって貼り合わせるようにしてもよい。
【0064】
(3)上記実施例および各変形例の照明光学系における各レンズの向きは、それぞれ別々に反対向きに配置するようにしてもよい。
【0065】
(4)上記実施例および各変形例では、第1のアスペクト比アが4:3で第2のアスペクト比が16:9である場合を例に説明しているが、これに限定されるものではなく、種々の異なった第1のアスペクト比と第2のアスペクト比に対して、本発明を適用することが可能である。
【0066】
(5)上記実施例では、透過型の液晶ライトバルブを用いたプロジェクタを例に説明しているが、反射型の液晶ライトバルブを用いた場合にも本発明を適用することが可能である。
【0067】
また、液晶ライトバルブを用いたプロジェクタだけでなく、他の電気光学装置、例えば、DMD(ディジタル・マイクロミラー・デバイス:TI社の商標)を用いたプロジェクタ等にも本発明を適用することが可能である。
【0068】
(6)上記実施例では、カラー画像を表示するプロジェクタを例に説明しているが、モノクロ画像を表示するプロジェクタに本発明を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロジェクタの要部を平面的に見た概略構成図である。
【図2】照明光学系100Aを拡大して示す説明図である。
【図3】トーリックレンズ180の第1のトロイダル面184および重畳レンズ170Aの第2のトロイダル面172の機能について示す説明図である。
【図4】変形例としての照明光学系100Bを示す説明図である。
【図5】別の変形例としての照明光学系100Cを示す説明図である。
【図6】さらに別の変形例としての照明光学系100Dを示す説明図である。
【図7】従来のプロジェクタの要部を平面的に見た概略構成図である。
【図8】図7の照明光学系100を拡大して示す説明図である。
【図9】図8の偏光変換素子アレイ160Aを拡大して示す説明図である。
【図10】4:3のアスペクト比を有する照明領域と、16:9のアスペクト比を有する液晶ライトバルブの光変調領域との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1000…プロジェクタ
1000A…プロジェクタ
1000ax…システム光軸
100…照明光学系
100A…照明光学系
100B…照明光学系
100C…照明光学系
100D…照明光学系
120…光源装置
122…ランプ(放電灯)
124…リフレクタ
140…第1のレンズアレイ
140s…第1の小レンズ
140C…レンズアレイ
144…トロイダル面
150…第2のレンズアレイ
150s…小レンズ
150D…第2のレンズアレイ
152…トロイダル面
160…偏光変換光学系
160A…偏光変換素子アレイ
162…遮光板
162a…開口面
162b…遮光面
164…偏光ビームスプリッタアレイ
164a…偏光分離膜
164b…反射膜
164c…ガラス材
166…λ/2位相差板
170…重畳レンズ
170A…重畳レンズ
172…入射面(トロイダル面)
174…射出面(重畳レンズ面)
180…トーリックレンズ
182…入射面
184…射出面(トロイダル面)
300R,300G,300B…液晶ライトバルブ
300R’,300G’,300B’…液晶ライトバルブ
400…クロスダイクロイックプリズム
410…誘電体多層膜
420…誘電体多層膜
500…投写レンズ(投写光学系)
Claims (6)
- 照明光学系であって、
光源装置と、
前記光源装置から射出された光線束を複数の部分光線束に分割するために、第1のアスペクト比を有する複数の第1の小レンズを有する第1のレンズアレイと、
前記複数の第1の小レンズに対応する複数の第2の小レンズを有する第2のレンズアレイと、
前記第1および第2のレンズアレイを介して入射する複数の部分光線束を、第2のアスペクト比を有する所定の領域上で重畳する重畳レンズと、
前記光源装置から前記重畳レンズの光の入射面までの光路中に設けられた第1のトロイダル面と、前記第1のトロイダル面から前記重畳レンズの光の射出面までの光路中に設けられた第2のトロイダル面とで構成され、前記所定の領域上を照明する光の照明領域のアスペクト比を、前記第1のアスペクト比から前記第2のアスペクト比に変換するための光学系と、を備える、
照明光学系。 - 前記第1のトロイダル面を有するトーリックレンズを前記光源装置から前記重畳レンズの光の入射面までの光路中に備える請求項1記載の照明光学系。
- 前記第1のトロイダル面は、前記第1のレンズアレイにおける前記複数の第1の小レンズが形成されている面とは反対の面に形成されている、請求項1記載の照明光学系。
- 前記第1のトロイダル面は、前記第2のレンズアレイにおける前記複数の第2の小レンズが形成されている面とは反対の面に形成されている、請求項1記載の照明光学系。
- 前記第2のトロイダル面は、前記重畳レンズにおける光の入射面に形成されている、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の照明光学系。
- 画像を投写するプロジェクタであって、
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の照明光学系と、
前記所定の領域として、前記第2のアスペクト比の光変調領域を有し、前記光変調領域に入射した光を画像信号に応じて変調し、画像を表す画像光を生成する電気光学装置と、
前記電気光学装置で得られる画像光の表す画像を投写する投写光学系と、を備える、プロジェクタ。
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-
2002
- 2002-07-29 JP JP2002219874A patent/JP2004061848A/ja not_active Withdrawn
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