JP2009258094A - クロマトグラフィー分析用ストリップ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】クロマトグラフィー分析用ストリップの検出領域における標識試薬の非特異的な結合による偽陽性反応を抑制し、試験の成否を確実に判定することによって被検出物質の精度の高い測定を可能にするクロマトグラフィー分析用ストリップを提供する。
【解決手段】被検出物質を検出するクロマトグラフィー分析用ストリップ1であって、捕捉試薬が固定化されている検出領域14aを備え、該捕捉試薬が該被検出物質に特異的に結合する特異結合物質と非イオン性界面活性剤を含む、クロマトグラフィー分析用ストリップ1。
【選択図】図6

Description

本発明は、クロマトグラフィー分析用ストリップ及びその製造方法に関する。
液体試料中の被検出物質を検出するクロマトグラフィー分析用ストリップは、ラテラルフロー式のメンブレンアッセイに使用する小型のアッセイ装置であり、医療分野において汎用されている。上記クロマトグラフィー分析用ストリップは、専門の臨床検査設備等を備えていない小規模病院や患者の自宅における簡易診断を可能にする。また、上記ストリップは、ウイルスや細菌による感染症の診断、花粉症等のアレルギーの診断、妊娠の有無の判定、尿検査や血液検査における臨床パラメータの測定等において有用である。
上記クロマトグラフィー分析用ストリップとしては、例えば特許文献1〜3に記載のものが知られており、それぞれ、免疫クロマトグラフィーテストストリップ(特許文献1)、イムノクロマト法テストストリップ(特許文献2)、ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置(特許文献3)と呼ばれている。
特許文献1に記載された免疫クロマトグラフィーテストストリップにおいて、被検出物質を含む液体試料を吸収パッド(採取部材)に添加すると、液体試料が毛細管現象によって、被検出物質に特異的に結合する親和性物質が固定化された表示担体(標識試薬)を保持している標識試薬保持部に移動する。すると、被検出物質と標識試薬とが結合体を形成して検出領域へと移動し、この結合体が、検出領域に固定されている捕捉試薬によって捕捉される。そして、結合体を構成している表示担体の性質に基づいて、被検出物質が検出される。
一般に、クロマトグラフィー分析用ストリップにおける標識試薬としては、色素、放射性物質、酵素、金コロイド、着色ラテックス粒子等の表示担体に、被検出物質に特異的に結合する抗体又は抗原が固定化されたものが用いられる。また、捕捉試薬としては、被検出物質に特異的に結合する抗体又は抗原が用いられる。
また、クロマトグラフィー分析用ストリップにおいては、標識試薬に特異的に結合するが被検出物質には結合しない対照試薬を固定化した対照試薬固定部が、検出領域より液体試料の移動方向における下流側に設けられ、試験成立の可否を判定するのに使用されている(特許文献4)。対照試薬固定部は、検出領域より液体試料の移動方向における下流側に設けられているため、対照試薬固定部において標識試薬が捕捉され、そこにラインが検出された場合には、測定に必要な量の液体試料及び標識試薬が捕捉試薬固定部を通過し、試験が成立したことを意味する。一方、対照試薬固定部において標識試薬が捕捉されず、ラインが検出されない場合には、たとえ検出領域で被検出物質が検出された場合であっても、測定に必要な量の液体試料及び標識試薬がそこを通過していない可能性があるため、その試験は不成立であるとみなされる。
さらに最近では、対照試薬固定部で検出される色と捕捉試薬固定部で検出される色の強度を比較することにより、陽性又は陰性の判断ができるクロマトグラフィー分析用ストリップが報告されている(特許文献5)。
特開2003−121445号公報 特開2004−161685号公報 特開2004−245831号公報 特開2006−194785号公報 特開2006−265138号公報 特開2006−84351号公報 特許第3519451号公報 特開2001−41962号公報 特許第3859027号公報 特開2004‐258024号公報
しかしながら、従来、クロマトグラフィー分析用ストリップにおいては、試料中の共存物や測定系に使用する材料に起因して非特異的な結合が生じ、それにより偽陽性反応が生じる場合があった。
このような非特異的な結合を抑制するための定法(非特異反応抑制法)として、アルブミンやカゼインなどの蛋白性因子、各種界面活性剤等をブロッキング剤として用いるブロッキング処理が知られている。例えば、グラスファイバーやニトロセルロースなどの検出部材に、被検出物質に対する特異結合物質を物理吸着又は化学結合させたものを用いるイムノクロマト法においては、試料に上記ブロッキング剤を添加する(特許文献6)、試料を滴下する採取部材を上記ブロッキング剤溶液で前処理する(特許文献7)、標識試薬を含む溶液に上記ブロッキング剤を添加する(特許文献8)、特異結合物質を固定化した検出部材を上記ブロッキング剤溶液で前処理する(特許文献9、10)などの操作が行われる。
しかし、上記の非特異反応抑制法は、主に試料、採取部材又は検出部材に対して施すものであるため、効果が期待できるのは、試料、採取部材又は検出部材の物性に非特異結合の原因が存在する場合や、全体のバックグラウンドを低下させることを目的とする場合に限られる。このように、従来の方法によっては、クロマトグラフィー分析用ストリップにおいて偽陽性反応を抑制する効果が、必ずしも十分に得られなかった。
そこで、本発明は、さらに優れた偽陽性反応抑制効果を有するクロマトグラフィー分析用ストリップ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記偽陽性反応を抑制するための方法について鋭意検討した結果、被検出物質に特異的に結合する特異結合物質と非イオン性界面活性剤とを含むものを捕捉試薬として検出領域に固定化することが有効であることを見出し、本発明に到った。
すなわち、本発明は、被検出物質を検出するクロマトグラフィー分析用ストリップであって、捕捉試薬が固定化されている検出領域を備え、捕捉試薬が、被検出物質に特異的に結合する特異結合物質と非イオン性界面活性剤とを含む、クロマトグラフィー分析用ストリップである。本発明のクロマトグラフィー分析用ストリップは、非イオン性界面活性剤を捕捉試薬に含むことにより、優れた偽陽性反応抑制効果を有する。
上記クロマトグラフィー分析用ストリップは、被検出物質に特異的に結合する標識試薬が保持されている標識試薬保持部を更に備えていてもよい。また、標識試薬に特異的に結合する対照試薬が固定化されている対照試薬固定部を更に備えていてもよい。
また、本発明は、上記クロマトグラフィー分析用ストリップを製造する方法であって、特異結合物質と非イオン性界面活性剤とを含む捕捉試薬溶液を用いて上記捕捉試薬を検出領域に固定化する固定化工程と、上記捕捉試薬を固定化させた検出領域に、ブロッキング液を塗布又は浸漬するブロッキング工程と、をこの順に含む、クロマトグラフィー分析用ストリップの製造方法である。このような方法により、優れた偽陽性反応抑制効果を有するクロマトグラフィー分析用ストリップが得られる。
上記方法は、ブロッキング工程の後に、ブロッキング液を塗布又は浸漬した検出領域を洗浄処理する洗浄工程を含んでもよい。また、固定化工程の後、ブロッキング工程の前に、上記溶液を固定化させた検出領域を乾燥させる乾燥工程を含んでもよい。さらに、ブロッキング工程の後に、ブロッキング液を塗布又は浸漬した検出領域を乾燥させる乾燥工程を含んでもよく、ブロッキング工程の後に洗浄工程を含む場合には、洗浄工程の後に、洗浄処理した検出領域を乾燥させる乾燥工程を含んでもよい。
本発明のクロマトグラフィー分析用ストリップによれば、偽陽性反応が抑制され、高精度な分析が可能となる。本発明のクロマトグラフィー分析用ストリップによれば、試料中の共存物や測定系に使用する材料に起因する非特異的な反応が抑制される。そのため、非特異結合を生じやすい生体試料等を用いた場合でも、被検出物質と特異結合物質との反応の特異性が向上し、検出領域において被検出物質の量に応じたより正確な発色が得られ、陽性又は陰性の判断の確実性を高めることができる。すなわち、偽陽性反応が抑制され、被検出物質の精度の高い測定が可能となり、その結果、各種疾患の診断や生命現象の解明においてより正確な評価結果を提供することが可能となる。
本発明に係るクロマトグラフィー分析用ストリップの第1の実施形態を示す平面図である。 本発明に係るクロマトグラフィー分析用ストリップの第1の実施形態を示す側面端面図である。 本発明に係るクロマトグラフィー分析用ストリップの第2の実施形態を示す平面図である。 本発明に係るクロマトグラフィー分析用ストリップの第2の実施形態を示す側面端面図である。 本発明に係るクロマトグラフィー分析用ストリップの第3の実施形態を示す平面図である。 本発明に係るクロマトグラフィー分析用ストリップの第3の実施形態を示す側面端面図である。 第3の実施形態に係るストリップ1(0.1%NP−40)について、総IgE値の異なる6種の検体を用いて3回ずつ試験を行った結果を示す図である。 NP−40の濃度が異なる5種のストリップ1について、総IgE値の異なる4種の検体を用いて3回ずつ試験を行った結果を示す図である。 添加剤が異なる6種のストリップ1について、総IgE値の異なる5種の検体を用いて3回ずつ試験(試験1〜3)を行った結果を示す図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。なお、特に明記しない限り、「%」は「質量対容量百分率(w/v%)」を表す。
クロマトグラフィー分析用ストリップとは、一般的に、ラテラルフロー式のメンブレンアッセイに使用する小型のアッセイ装置のことである。アッセイ装置の形状がストリップ形状をしていることから単にテストストリップとも呼ばれる。例えば、上記免疫クロマトグラフィーテストストリップ(特許文献1)、イムノクロマト法テストストリップ(特許文献2)、ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置(特許文献3)等がこれに含まれる。
被検出物質は、それと特異的に相互作用する分子が存在するか、又はその存在が予想される分子であれば特に制限はない。そのような被験出物質としては、リガンド・レセプター間の相互作用における生理活性物質又はそのアナログや、酵素反応における基質又はそのアナログ、抗原抗体反応おける抗原又はそのアナログなどが挙げられる。これらに該当するものであれば特に制限はなく、例えば、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖鎖、脂質、又はこれらの複合体(糖蛋白、糖脂質、脂肪酸修飾を受けたタンパク質やDNA、RNAなどの核酸)などが本実施形態の「被検出物質」となり得る。その他、治療薬を想定した低分子化合物や抗体の一部分(Fab´フラグメントなど)のような人工的な物質であっても構わない。
捕捉試薬は、被検出物質に特異的に結合する特異結合物質と非イオン性界面活性剤を含む。捕捉試薬が非イオン性界面活性剤を含むことによって、偽陽性反応抑制効果に優れたクロマトグラフィー分析用ストリップが得られる。
被検出物質に特異的に結合する特異結合物質としては、リガンド・レセプターの関係における受容体や、酵素反応における酵素又はその活性部位・認識部位を含むドメイン、抗原抗体反応における抗体又は抗原認識を行う可変領域などが挙げられる。相互作用又は特異結合する分子間であれば、被検出物質と特異結合物質とは相互に入れ替わっても構わない。
被検出物質と特異結合物質との間の結合様式は、特異的な相互作用に基づくものであれば特に制限はない。例えば、リガンドのレセプターへの結合、酵素による基質の認識、遺伝子(DNA又はRNA)の相補鎖間でのアニーリング(二本鎖形成)などの様式が挙げられる。
本実施形態に係るクロマトグラフィー分析用ストリップは、抗原抗体反応に基づくイムノアッセイに好適に用いられる。この場合、被検出物質は抗原又は抗体のいずれでも構わない。抗原としては、蛋白質、ペプチド、糖、脂質、核酸又はこれらの複合体に限らず、金属や化学物質など抗体で認識しうるものであれば特に制限はない。
特に、被検出物質が蛋白性因子(ペプチド、蛋白質など)であり、特異結合物質がその蛋白性因子に対する抗体であることが好ましい。さらに、被検出物質が免疫グロブリンであることが好ましく、そのサブクラスは、IgA、IgE、IgM、IgGのいずれでも構わないが、より好ましくはアレルギーなどの疾患との関連が明確で、存在比が少ないIgEを用いることが有用である。またIgEは、アレルギーの原因となる特定のアレルゲンと結合する特異IgE、アレルゲンを限定しない非特異IgE(総IgE)のいずれでも構わない。
被検出物質の存在を示す検出方法は、通常用いられる方法であれば特に制限されない。標識試薬としては、表示担体(色素、放射性物質、磁性粒子、蛍光粒子、酵素、金属コロイド又は着色ラテックス粒子等)に、被検出物質に特異的に結合する親和性物質(被検出物質に特異的に結合する抗体、抗原、アプタマー等)が固定化されたものが挙げられる。
標識試薬の表示担体としては、被検出物質の有無の判定に特別な装置等を必要とせず、赤い着色を目視により容易に確認できることや、廃棄処分における安全性の観点などから、金属コロイド粒子が特に好ましい。
先に述べた金属コロイド粒子は、表面が負に帯電しているため、正電荷を帯びた蛋白性因子あるいはそのドメインと電気的に引き合う性質を持つ。また、金の表面は疎水性であり、例えば蛋白質の疎水性部分と結合する。さらに金原子は硫黄原子との間で供与結合(配位結合)を行うことが知られており、硫黄原子を含むアミノ酸、例えばシステインやメチオニン及びこれらを含むペプチドや蛋白質と強い結合を生じる。
これらの結合様式は、金コロイド粒子と、被検出物質に特異的に結合する特異結合物質とを結合させ、標識した特異結合物質すなわち標識試薬の形成を可能とする一方で、それ以外の物質との結合も生じる可能性があり、しばしば偽陽性反応の原因となる。例えば、金コロイド粒子と固定化した捕捉試薬とが結合を形成した場合、被検出物質の有無にかかわらず発色反応を示すこととなる。
捕捉試薬に非イオン性界面活性剤を含むことにより、非イオン性界面活性剤が電荷、疏水結合、配位結合(供与結合)などによる非特異結合を抑制し、目的とする抗原−抗体間の特異的相互作用のみを検出することが可能となる。すなわち、偽陽性反応を抑制することが可能となる。
非イオン性界面活性剤としては、上記非特異結合を抑制するものであれば特に制限はないが、市販品として、「NP−40」((株)同仁化学研究所製)、「Tween20」、「Tween80」(東京化成工業株式会社製)、Brij35、Brij58(タカラバイオ株式会社)、「Triton X−100」(GEヘルスケア バイオサイエンス株式会社製)などが挙げられる。なかでも、NP−40、Tween20、Triton X−100のいずれか1種類以上を使用することが好ましく、特にNP−40を使用することが好ましい。これらは比較的極性が低いため、蛋白質などの生体高分子に対する変性作用が少なく、これらがより本来の高次構造を保った状態で分子間相互作用を行うことが期待できる。
一般的には、捕捉試薬は、これら非イオン性界面活性剤を含まない。例えば、捕捉試薬を溶液として調製した場合、その溶液(捕捉試薬溶液)は、上記特異結合物質以外には、特許文献6では10mMクエン酸緩衝液(pH4.5)、特許文献7では50μg/mL;BSA含有50mMトリス緩衝液(pH8.2)、特許文献9では50mMリン酸生理食塩水(pH7.2)などの媒体を含むのみである。本実施形態においては、この捕捉試薬は非イオン性界面活性剤を含む。
非イオン性界面活性剤を溶液として用いる場合、その濃度は0.001〜10w/v%であることが望ましい。また、特異結合物質及び非イオン性界面活性剤を含む捕捉試薬溶液を調製する場合、特異結合物質の含有量を1としたときの非イオン性界面活性剤の含有量の比が0.01〜100の範囲であることが望ましい。
捕捉試薬を検出領域に固定化する際には、特異結合物質及び非イオン性界面活性剤を含む捕捉試薬溶液を用いて固定化してもよく、特異結合物質を含む溶液と非イオン性界面活性剤を含む溶液とを別々に調製してこれらの溶液を順に用いて固定化してもよい。その際、いずれの溶液を先に用いてもよい。
捕捉試薬を検出領域に固定化する方法としては、特異結合物質及び非イオン性界面活性剤を含む捕捉試薬溶液を、固定化する固相に塗布した後、媒体を蒸発させて除く方法が挙げられる。媒体は、これらの分子を溶解させることが可能であれば特に制限はなく、水以外にも、メタノール、エタノール、クロロホルムなどの有機溶媒及びこれらの混合物が挙げられる。また、水に関しては本技術分野で一般に用いられる緩衝液、例えばリン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、グッド緩衝液などの緩衝液を用いても差支えなく、必要に応じてBSA、卵白アルブミン、乳蛋白等の安定化剤などの添加材を加えても差支えない。
標識試薬は、液体試料又は液体試料中の被検出物質と接触することが可能であれば、どのような方法でアッセイ系に添加されても特に制限はないが、液体試料が添加される採取部材と捕捉試薬が固定化されている検出領域との間に保持されることが好ましい。
上記クロマトグラフィー分析用ストリップは、アッセイの正確性を判断する指標として検出領域の下流に、対照試薬固定部を設けることが好ましい。対照試薬としては、標識試薬に対する抗体、例えば、標識試薬を構成している被検出物質に対する抗体に対する抗体を例示できる。
上記特徴を備えた、本実施形態のクロマトグラフィー分析用ストリップは、液体試料中の被検出物質を検出するクロマトグラフィー分析用ストリップであって、被検出物質に特異的に結合する標識試薬が保持されている標識試薬保持部と、捕捉試薬が固定化されている検出領域と、標識試薬に特異的に結合する対照試薬が固定化されている対照試薬固定部と、を備え、標識試薬保持部、検出領域及び対照試薬固定部は、上記液体試料がクロマトグラフィー分析用ストリップの中を毛細管現象によりこの順序で移動するようにクロマトグラフィー分析用ストリップの長手方向に配列されていることを特徴としている。
図1は、本発明のクロマトグラフィー分析用ストリップの第1の実施形態を示す平面図であり、図2は、本発明のクロマトグラフィー分析用ストリップの第1の実施形態を示す側面端面図である。
図1及び図2に示すクロマトグラフィー分析用ストリップ1は、検出部材14に捕捉試薬を固定した検出領域14aと対照試薬固定部14bとを設けており、検体採取側(上流側)に検出領域14a、その下流に対照試薬固定部14bが配列されている。
クロマトグラフィー分析用ストリップ1を用いて液体試料中の被検出物質を検出する際には、まず、検出部材14の液体試料の移動方向における上流側(以下、単に「上流側」)の端部に液体試料を滴下したり、検体(例えば、涙液、血液等)を直接接触させたりすることによって、液体試料がクロマトグラフィー分析用ストリップ1に添加される。添加された液体試料は、毛細管現象によって下流側に移動することとなる。
この場合、標識試薬は、液体試料又は検体が接触した場所と同じ場所に滴下するか、あるいは標識試薬が注がれた試験管等にクロマトグラフィー用ストリップ1の上流端を挿入するなどの方法でアッセイ系に加えることができる。標識試薬は被検出物質に結合すると結合体を形成する(以下、単に「被検出物質結合体」と称する)。被検出物質結合体は、毛細管現象によって更に下流側へと移動することとなる。
毛細管現象により検出領域14aに移動してきた被検出物質結合体は、検出領域14aに固定された捕捉試薬によって捕捉されることとなり、被検出物質結合体に含まれる表示担体の性質を利用して被検出物質結合体を検出すれば、被検出物質の有無を判定できる。例えば、標識試薬として、被検出物質に特異的に結合する抗体が固定化された金コロイドを使用した場合には、被検出物質結合体が捕捉されると、検出領域14a上に赤いラインが現れるため、このラインを目視確認すれば、液体試料中に被検出物質が存在すると判定できる。対照試薬固定部14bには、標識試薬に特異的に結合する対照試薬が、クロマトグラフィー分析用ストリップ1の長手方向に対して垂直な線状に固定されている。
毛細管現象により検出領域14aを通過してきた標識試薬は、対照試薬固定部14bに固定された対照試薬によって捕捉されることとなり、標識試薬に含まれる表示担体の性質を利用して標識試薬を検出すれば、被検出物質結合体が検出領域14aを通過したか否かを判定できる。例えば、標識試薬として、被検出物質に特異的に結合する抗体が固定化された金コロイドを使用した場合には、対照試薬固定部14bで標識試薬が捕捉されると、対照試薬固定部14b上に赤いラインが現れるため、このラインを目視確認すれば、被検出物質結合体が検出領域14aを通過し、アッセイが正しく行われたことを確認できる。
図3は、本発明のクロマトグラフィー分析用ストリップの実施形態の平面図を示すものであり、図4は本発明のクロマトグラフィー分析用ストリップの実施形態の側面図を示すものである。
本実施形態では、クロマトグラフィー分析用ストリップ1は、液体試料が添加される採取部材10と、標識試薬保持部12aを備える保持部材12と、検出領域14a及び対照試薬固定部14bを備える検出部材14と、上記液体試料を吸い上げる吸収部材16と、液不透過性の支持部材18と、を備え、採取部材10、保持部材12、検出部材14及び吸収部材16は、上記液体試料がこれらの部材の中を毛細管現象によりこの順序で移動するように支持部材18上でクロマトグラフィー分析用ストリップ1の長手方向に配列されていることが好ましい。
つまり図3及び4において、クロマトグラフィー分析用ストリップ1は、採取部材10と、保持部材12と、検出部材14と、吸収部材16と、支持部材18とを備えており、採取部材10、保持部材12、検出部材14及び吸収部材16は、採取部材10に添加された液体試料が、これらの部材の中を毛細管現象によりこの順序で移動するように、支持部材18上でクロマトグラフィー分析用ストリップ1の長手方向に配列されている。
この場合、標識試薬が保持された部分を標識試薬保持部12aとすると、標識試薬は、毛細管現象により上流から移動してきた液体試料中に溶出され、液体試料が更に下流側に移動する過程で、液体試料中の被検出物質に結合し被検出物質結合体を形成する。標識試薬保持部12aで形成された被検出物質結合体は、毛細管現象によって更に下流側へと移動することとなる。
クロマトグラフィー分析用ストリップ1は、採取部材10、保持部材12、検出部材14及び吸収部材16の各部材が、採取部材10にアプライされた液体試料が毛細管現象によりこの順序で移動するように支持部材18上に接着剤等で固定すれば作製できるが、採取部材10の下流側の端部、保持部材12及び検出部材14の上流側の端部の支持部材18とは反対側の表面を、粘着テープ等で接着し、さらに、検出部材14の下流側の端部、吸収部材16及び支持体18の下流側の端部を、下流側から挟み込むように粘着テープ等で接着して、支持部材18上に各部材を固定することが好ましい。この場合の粘着テープとしては、紙製の粘着テープを例示できる。
吸収部材16は、検出部材14から毛細管現象により移動してきた液体試料及び標識試薬を吸収する働きをするものであれば特に制限はなく、例えば、セルロース製の濾紙等を例示できる。支持部材18は、ポリエチレンテレフタラート等の液不透過性の素材であれば特に制限はなく、用途に合わせて適宜選択できる。
次に、クロマトグラフィー分析用ストリップ1の製造方法について述べる。本製造方法の特徴は、捕捉試薬を検出領域14aに固定化させる際に、被検出物質に特異的に結合する特異結合物質及び非イオン性界面活性剤を含む捕捉試薬溶液を用いる点である。その際、捕捉試薬溶液は、望ましくは検出部材14に塗布される。該捕捉試薬溶液を検出部材14に塗布する方法については、当技術領域で用いられる定法であれば特に制限はない。望ましくは、被検出物質の検出に必要な量の特異結合物質と、その結合に影響のない量の非イオン性界面活性剤を溶解させた捕捉試薬溶液を、高精度定量分注装置(BIODOT、XYZ3050)などを用いて検出部材14に塗布することにより捕捉試薬を検出部材14上に固定できる。
クロマトグラフィー分析用ストリップ1の製造方法において、捕捉試薬に用いる非イオン性界面活性剤はNP−40、Tween20、Tween80、Brij35、Brij58又はTriton X−100であることが望ましく、NP−40、Tween20、Triton X−100のいずれか1種類以上を使用することがより好ましく、より望ましいのはNP−40を用いる方法である。
クロマトグラフィー分析用ストリップ1においては、標識試薬に特異的に結合する対照試薬保持部14bを有することが望ましく、その対照試薬の固定化方法は、捕捉試薬と同様に、例えば、標識試薬の検出に必要な量の対照試薬を溶解させた溶液(対照試薬溶液)を対照試薬固定部14bに塗布することにより、検出部材14上に固定できる。
捕捉試薬と対照試薬とを固定化する検出部材14は、これらを確実に固定化することが可能なクロマトグラフィー用部材であれば特に制限はないが、最も効果を発揮する形態としては、濾紙、グラスファイバー、ニトロセルロース、酢酸セルロースを含むニトロセルロース膜などの多孔性抗体が挙げられ、特にニトロセルロース膜が好ましい。
クロマトグラフィー分析用ストリップ1の製造方法においては、上記捕捉試薬及び対照試薬を検出部材14に固定化した後、ブロッキング液を塗布又はブロッキング液に浸漬するブロッキング工程を行う必要がある。本ブロッキング工程により、検出領域14aのバックグラウンドの低下及び本発明の効果が及ばない非特異結合による偽陽性反応の抑制が可能となる。
また、ブロッキングに用いる高分子類としては、ウシ血清アルブミン、グロブリン、カゼイン、ゼラチン、スキムミルク等の蛋白質、ポリビニルアルコール、界面活性剤等が挙げられるが、より望ましくはカゼインを水溶液として用いる。ここで、カゼインを溶解する溶媒としては、緩衝作用を有する緩衝液であれば特に制限はない。
クロマトグラフィー分析用ストリップ1の製造方法においては、上記ブロッキング工程の後に、検出部材14を洗浄処理する洗浄工程を含むことが望ましい。本洗浄工程により、ブロッキング工程で付着した高分子類のうち、過剰な部分の除去が可能となる。
本洗浄工程に用いる洗浄液としては、本技術領域で一般的に用いられる緩衝作用を有する緩衝液であれば特に制限はない。また洗浄液中にスクロース、トレハロースなどの糖類、あるいはイオン性界面活性剤を加えることにより、検出部材14の濡れ性を向上させ、液体試料がストリップ1の上流から下流へとスムーズに展開するように出来る。
クロマトグラフィー分析用ストリップ1の製造方法においては、上記固定化工程の後、ブロッキング工程を行う前に、検出部材14を乾燥させる乾燥工程を含むことが望ましい。
捕捉試薬溶液及び対照試薬溶液を塗布した検出部材14を乾燥させる方法としては、本技術領域で用いられる方法、例えば凍結乾燥、真空乾燥、加熱乾燥など、いずれの方法によっても特に制限はない。望ましくは恒温槽に30〜60℃で15〜90分間、より望ましくは37℃で60分間静置することで、水を媒体にした場合は媒体の除去が可能であり、捕捉試薬の固定化を確実なものとすることが出来る。尚、上記対照試薬の固定化についても同様の工程を行うことが望ましい。
クロマトグラフィー分析用ストリップ1の製造方法においては、上記ブロッキング工程の後に乾燥工程を行うことが望ましい。上記ブロッキング工程の後に上記洗浄工程を行う場合は、該洗浄工程の後に乾燥工程を行うことが望ましい。該ブロッキング工程と該洗浄工程の間は、特に乾燥工程を含む必要はなく、該ブロッキング工程の後、そのまま洗浄工程に移行して差し支えない。
上記ブロッキング工程又は上記洗浄工程後の乾燥工程は、本技術領域で用いられる方法、例えば凍結乾燥、真空乾燥、加熱乾燥など、いずれの方法によっても特に制限はない。望ましくは、濾紙あるいはキムタオルなどの吸水性シート上に静置し、オーバーナイトで風乾し、乾燥後は湿度をコントロールできる保管庫などで、低湿度状態で保つ。
本実施形態に係る図3、4に記載のクロマトグラフィー分析用ストリップ1は、例えば、以下の(1)〜(7)の工程を含む製造方法により製造できる。
(1)保持部材12に、標識試薬を保持させ、標識試薬保持部12aを設ける。
(2)支持体18上に、検出部材14を接着又はラミネートにより固定する。
(3)検出部材14上の検出領域14aに捕捉試薬溶液を、対照試薬固定部14bに対照試薬溶液をそれぞれ線状に塗布する。
(4)検出部材14を30〜60℃で15〜90分間乾燥させ、捕捉試薬及び対照試薬を検出部材14上に固定する。
(5)捕捉試薬及び対照試薬を固定した検出部材14をブロッキング及び洗浄処理する。
(6)ブロッキング及び洗浄処理した検出部材14を乾燥させる。
(7)支持体18上に、採取部材10、保持部材12及び吸収部材16を接着する。
(8)このようにして形成した多層構造カードを、目的とする幅のストリップ状に切断する。
さらに、採取部材10と保持部材12は同一の部材で一体化したものでも構わない。逆に、液体試料が少ない場合は、より容積が少ない一体化した場合の方が液体試料のスムーズな展開が得られ、好ましい。
次に、本発明の第3の実施形態であるクロマトグラフィー用ストリップについて述べる。図5は、本発明のクロマトグラフィー分析用ストリップの第3の実施形態を示す平面図であり、図6は、本発明のクロマトグラフィー分析用ストリップの第3の実施形態を示す側面端面図である。
図5及び図6に示すクロマトグラフィー分析用ストリップ1は、採取部材10と保持部材12とが一体化し、単一の繊維基材であることを特徴としており、この点以外は、図3及び図4に示された第2の実施形態に係るクロマトグラフィー分析用ストリップ1と同一の構成からなっている。採取部材10と保持部材12とが一体化していることにより、クロマトグラフィー分析用ストリップ1の強度を高めることができ、また容量が少なくなることにより液体試料が採取部材10から保持部材12へ移動しやすくなる利点がある。
第3の実施形態に係るクロマトグラフィー分析用ストリップ1は、第2の実施形態に係るクロマトグラフィー分析用ストリップ1の製造方法で示した(1)〜(7)の工程により製造できる。
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。本実施例において、特に明記しない限り、「%」は「質量対容量百分率(w/v%)」を意味する。
(実施例1)イムノクロマトグラフィー分析用ストリップ1の作製及び試験
液体試料中のヒトIgE(免疫グロブリンE)を検出する用の、図5及び6に示されるクロマトグラフィー分析用ストリップ1を、以下の手順により作製した。標識試薬として金コロイド標識ヤギ抗ヒトIgE抗体、捕捉試薬を構成する特異結合物質として抗ヒトIgEモノクローナル抗体、捕捉試薬を構成する非イオン性界面活性剤として「NP−40」((株)同仁化学研究所製)、対照試薬として抗ヤギIgGモノクローナル抗体を用いた。
(作製手順)
(1)標識試薬溶液の調製
クエン酸金コロイド溶液(田中貴金属(株)製、粒子径40nm)及びヤギ抗ヒトIgE抗体を用いて、常法に従い、金コロイド標識ヤギ抗ヒトIgE抗体(標識試薬)溶液を得た。
(2)保持部材12への塗布
得られた標識試薬溶液を、520nmにおけるOD(Optical Density)が8(OD520=8)となるように調整し、保持部材12(17mm×250mmの短冊状)の長辺方向の片側端に、18μL/cmにて塗布した。塗布は、高精度定量分注装置(BioDot社製、「XYZ3050」)を用いて行った。
(3)保持部材12の乾燥
標識試薬溶液を塗布した保持部材12を、真空ポンプ(Savant社製、「GP100」)に連結したアクリル製密閉容器に入れ、真空ポンプによる吸引を17時間行い、乾燥させた。
(4)捕捉試薬溶液の調製
抗ヒトIgEモノクローナル抗体溶液(1mg/mL)に、非イオン性界面活性剤として「NP−40」((株)同仁化学研究所製)を、最終濃度が0.1%となるように加えて、捕捉試薬溶液を調製した。
(5)対照試薬溶液の調製
抗ヤギIgGモノクローナル抗体溶液(0.1mg/mL)に、ウシ血清アルブミン(シグマ(SIGMA)社製、「A7906−100G」)を、最終濃度が0.1%となるように加えて、対照試薬溶液を調製した。
(6)検出部材14(ニトロセルロース膜)への塗布
得られた捕捉試薬溶液及び対照試薬溶液を、ニトロセルロース膜(日本ミリポア(株)製、「SHF1800225」)に塗布した。その際、捕捉試薬溶液は1.0μL/cm、対照試薬溶液は1.25μL/cmにて塗布した。塗布は、量分注装置(BioDot社製、「XYZ3050」)を用いて行った。
(7)検出部材14(ニトロセルロース膜)の乾燥
捕捉試薬溶液及び対照試薬溶液を塗布したニトロセルロース膜を、恒温槽(アドバンテック(Advantech)(株)製、「CI−410」)の中で、37℃にて60分間静置した。
(8)ブロッキング及び洗浄
乾燥させたニトロセルロース膜(検出部材14)を、ブロッキング液(1%カゼイン/50mMホウ酸/pH8.5)に浸漬し、30分間静置した。その後、ニトロセルロース膜をブロッキング液から引き上げ、洗浄液(0.5%スクロース/0.05%コール酸ナトリウム/50mMホウ酸/pH7.5)に浸漬し、30分間静置した。
(9)検出部材14(ニトロセルロース膜)の乾燥
次いで、ニトロセルロース膜を洗浄液から引き上げ、「キムタオル」(日本製紙クレシア(株)製)の上に静置した。オーバーナイトでニトロセルロース膜を風乾して乾燥させ、乾燥後は使用時まで超低湿保管庫(東洋リビング(株)製、「スーパードライ」)の中で保管した。
(10)各部材の貼合せ(アッセンブリ)
検出部材14(ニトロセルロース膜)の上流側の端部(フロー開始部)の、検出領域14a及び対照試薬固定部14bが設けられている側の面に、保持部材12の標識試薬保持部側の端部を約1mm重ね合わせた。検出部材14の下流側の端部(フロー終了部)の、検出領域14a及び対照試薬固定部14bが設けられている側の面に、吸収部材16の端部を約1mm重ね合わせた。検出部材14の上記面と反対側から、支持部材18(Adhesives Research社製、「ARcare7815」)を、保持部材12、検出部材14及び吸収部材16を接着するように貼り合わせた。支持部材18と反対の側から、青色紙テープ(シャムロック(Shamrock)社製、ラベリングテープ、13mm幅)を、保持部材12と検出部材14とを接着するように貼り合わせた。さらに、50mm幅の青色紙テープを、検出部材14、吸収部材16及び支持部材18を接着するように、吸収部材16全体を覆うようにして貼り合わせた。
(11)裁断
得られた積層体を、フロー方向に沿って1.5mm幅に裁断し、クロマトグラフィー分析用ストリップ1を得た。裁断には、裁断機(Kinematic Automation社製、「Matrix2360」)を用いた。
(検体の調製)
検体として、生理食塩水(大塚製薬(株)製)と、管理血清を生理食塩水で100倍希釈したものとを調製した。管理血清を生理食塩水で100倍希釈したもののうち、総IgE値が0.15(IU/mL)未満であるものを「N(<0.15)」、2.0(IU/mL)であるものを「VL(2.0)」、5.6(IU/mL)であるものを「QC4(5.6)」、10.8(IU/mL)であるものを「M01(10.8)」、21.0(IU/mL)であるものを「M00(21.0)」とした。生理食塩水の検体は、総IgE値が0(IU/mL)であるため「SL(0)」とした。陰性検体としてSL(0)及びN(<0.15)を、陽性検体として、VL(2.0)、QC4(5.6)、M01(10.8)及びM00(21.0)を用いた。
(試験)
得られた各検体10μLを、それぞれ1.5mLチューブ(アズワン(株)製)に採取した。そのチューブ内に、上記作成手順により得られたクロマトグラフィー分析用ストリップ1を入れた。その際、採取部材10(保持部材12)が各検体に浸るような方向で入れた。対照試薬固定部14bまで検体が浸透したことを確認後、別に用意した精製水30μLが入った1.5mLチューブにストリップ1を移した。その際、採取部材10(保持部材12)が精製水に浸るような方向で入れた。10分経過後、パラフィルム(American National Can社製)上にストリップ1を置き、目視により観察した。試験は、各検体についてn=3で行った。
(判定基準)
対照試薬固定部14bにラインが現れた場合を試験成立とした。一方、対照試薬固定部14bにラインが現れなかった場合は、検体の展開が好適に行われなかったことや、ストリップ1の不良が疑われるため、試験不成立とした。検出領域14aにラインが確認されなかった場合は陰性、対照試薬固定部14bのラインより薄いラインが認められた場合は弱陽性、対照試薬固定部14bのラインと同等以上に濃いラインが認められた場合は強陽性とした。
(結果)
試験結果を図7に示す。図7は、非イオン性界面活性剤(NP−40)を0.1%の濃度で含む捕捉試薬を用いて作製したクロマトグラフィー分析用ストリップ1について、総IgE濃度が異なる6種の検体(SL(0)、N(<0.15)、VL(2.0)、QC4(5.6)、M01(10.8)及びM00(21.0))を用いて、各検体につき3回ずつ試験を行った結果を示す図である。試験の結果、検体としてSL(0)及びN(<0.15)を用いた場合は陰性、VL(2.0)及びQC4(5.6)を用いた場合は弱陽性、M01(10.8)及びM00(21.0)を用いた場合は強陽性を示した。
(試験結果の数値化)
イムノクロマトリーダーICA1000M140(浜松ホトニクス)を用いて、試験後の各ストリップ1の検出領域14a及び対照試薬固定部14bの吸光度(mAbs)を測定した。各ストリップ1について、検出領域14aの吸光度測定値を対照試薬固定部14bの吸光度測定値で除した値(以下「(a/b)値」という。)を求めた。さらに、各検体について、(a/b)値の平均値(n=3)を求めた。表1に、総IgE濃度が異なる3種の検体(N(<0.15)、QC4(5.6)及びM00(21.0))について得られた(a/b)値の平均値(n=3)を示す。
なお、検出領域14aにラインが確認されなかった陰性検体Nにおいては、(a/b)値のばらつきが大きくなる傾向があり、(a/b)値の平均値(n=3)は0.02以下であった。
(実施例2)非イオン性界面活性剤の濃度
捕捉試薬を構成する非イオン性界面活性剤であるNP−40の濃度を、それぞれ、0、0.05、0.1、0.15、0.2%として、実施例1と同様にして、5種のクロマトグラフィー分析用ストリップ1を作製した。5種のストリップ1それぞれについて、実施例1と同様の試験を行った。ただし、陽性検体として、VL(2.0)、QC4(5.6)、M01(10.8)及びM00(21.0)を用いる代わりに、総IgE値が6.3(IU/mL)であるもの(B04(6.3))と、24.7(IU/mL)であるもの(B02(24.7))を用いた。
試験結果を図8に示す。図8は、NP−40の濃度が異なる5種のストリップ1について、総IgE濃度が異なる4種の検体(SL(0)、N(<0.15)、B04(6.3)及びB02(24.7))を用いて、各検体につき3回ずつ試験を行った結果を示す図である。
図8に示されるように、NP−40濃度が0%であるストリップ1について、検体としてSL(0)及びN(<0.15)を用いた場合、3本のストリップ1全てが弱陽性を示した。また、NP−40濃度が0.05%であるストリップ1について、上記2種の検体を用いた場合は、3本中2本のストリップ1が弱陽性を示し、1本が陰性を示した。すなわち、NP−40濃度が0%及び0.05%であるストリップ1においては、陰性検体であるSL(0)及びN(<0.15)において偽陽性反応が見られた。
一方、NP−40濃度がそれぞれ0.1、0.15、0.2%であるストリップ1について、上記2種の検体SL(0)及びN(<0.15)を用いた場合は、3本のストリップ1全てが陰性を示した。また、これらのストリップ1について、検体としてB04(6.3)及びB02(24.7)を用いた場合は、3本のストリップ1全てが陽性を示し、検出領域14aのラインは、NP−40の濃度が高いほど薄くなる傾向を示した。
上記NP−40の濃度が異なる5種のストリップ1それぞれについて、総IgE濃度が異なる3種の検体N(<0.15)、B04(6.3)及びB02(24.7)を用いた場合の(a/b)値の平均値(n=3)を、実施例1と同様にして求めた。結果を表2に示す。
表2に示されるように、捕捉試薬に非イオン性界面活性剤であるNP−40を加えると、NP−40の濃度依存的に、陰性検体における偽陽性反応が抑制されることが明らかとなった。
(実施例3)非イオン性界面活性剤の種類
実施例1の作製手順(4)において、非イオン性界面活性剤として、それぞれ「NP−40」、「Tween20」、「Triton X−100」を、最終濃度が0.1%となるように用いてクロマトグラフィー分析用ストリップ1を作製した。比較例として、非イオン性界面活性剤の代わりにエチレングリコールを最終濃度が1%又は3%となるように添加したもの、及び添加剤を何も加えなかったものも作製した。
これら6種のストリップ1について、実施例1と同様に3回ずつ試験を行った。ただし、陰性検体として、SL(0)と総IgE値が0.58(IU/mL)である「LN(0.58)」を用い、弱陽性検体として、総IgE値が2.31(IU/mL)である「HN(2.31)」及び総IgE値が9.39(IU/mL)である「WP(9.39)を用い、強陽性検体として、総IgE値が26.2(IU/mL)である「P(26.2)」を用いた。
試験結果を表3及び図9に示す。表3は、上記6種のストリップ1のうち、添加剤を何も加えなかったもの(添加剤なし)と、非イオン性界面活性剤として、それぞれ「NP−40」、「Tween20」、「Triton X−100」を用いたものの4種について、上記5種の検体を用いて、3回ずつ試験(試験1〜3)を行った結果を示す表である。表3における記号及び数字が示す意味は以下のとおりである。
+:総IgE値が0(IU/mL)である生理食塩水検体での偽陽性反応あり
−:総IgE値が0(IU/mL)である生理食塩水検体での偽陽性反応なし
0:陰性(検出領域14aのラインなし)
1:弱陽性(検出領域14aのラインが対照試薬固定部14bのラインより薄い)
2:強陽性(検出領域14aのラインが対照試薬固定部14bのラインと同等以上に濃い)
図9は、添加剤が異なる上記6種のストリップ1について、総IgE値が異なる上記5種の検体を用いて、3回ずつ試験(試験1〜3)を行った結果を示す図である。図9の試験1〜3それぞれにおいて、左から順に、検体としてSL(0)、LN(0.58)、HN(2.31)、WP(9.39)、P(26.2)を用いた場合の結果を示す。
表3及び図9に示されるように、添加剤なしのストリップ1は、陰性検体であるSL(0)及びLN(0.58)を用いた場合に、弱陽性を示した。すなわち、偽陽性反応が見られた。また、エチレングリコールを添加したストリップ1においても、上記2種の陰性検体を用いた場合に偽陽性反応が見られた。一方、非イオン性界面活性剤を添加したストリップ1においては、上記2種の陰性検体を用いた場合に偽陽性反応は見られず、いずれのストリップ1も陰性を示した。
検体としてHN(2.31)を用いた場合の検出領域14aのラインは、非イオン性界面活性剤のうちNP−40を添加したストリップ1において、最も濃く現れた。
添加剤が異なる上記6種のストリップ1について、総IgE濃度が異なる3種の検体LN(0.58)、WP(9.39)及びP(26.2)を用いた場合の(a/b)値の平均値(n=3)を、実施例1と同様にして求めた。結果を表4に示す。
表4に示されるように、非イオン性界面活性剤のうち「NP−40」を添加したストリップ1においては、検体の総IgE値とテストライン(検出領域14a)の発色強度が正比例の関係にあるのに対して、「Tween20」、「Triton X−100」を用いた場合はシグモイド状に濃度依存的に数値が増大しており、「NP−40」が最も好ましい界面活性剤であることが示唆された。
1…クロマトグラフィー分析用ストリップ、10…採取部材、12…保持部材、12a…標識試薬保持部、14…検出部材、14a…検出領域、14b…対照試薬固定部、16…吸収部材、18…支持部材(支持体)。

Claims (8)

  1. 被検出物質を検出するクロマトグラフィー分析用ストリップであって、
    捕捉試薬が固定化されている検出領域を備え、
    前記捕捉試薬が、前記被検出物質に特異的に結合する特異結合物質と非イオン性界面活性剤とを含む、クロマトグラフィー分析用ストリップ。
  2. 前記被検出物質に特異的に結合する標識試薬が保持されている標識試薬保持部を更に備える、請求項1に記載のクロマトグラフィー分析用ストリップ。
  3. 前記標識試薬に特異的に結合する対照試薬が固定化されている対照試薬固定部を更に備える、請求項2に記載のクロマトグラフィー分析用ストリップ。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のクロマトグラフィー分析用ストリップを製造する方法であって、
    前記特異結合物質と前記非イオン性界面活性剤とを含む捕捉試薬溶液を用いて前記捕捉試薬を前記検出領域に固定化する固定化工程と、
    前記捕捉試薬を固定化させた前記検出領域に、ブロッキング液を塗布又は浸漬するブロッキング工程と、をこの順に含む、クロマトグラフィー分析用ストリップの製造方法。
  5. 前記ブロッキング工程の後に、前記ブロッキング液を塗布又は浸漬した前記検出領域を洗浄処理する洗浄工程を含む、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記固定化工程の後、前記ブロッキング工程の前に、前記捕捉試薬を固定化させた前記検出領域を乾燥させる乾燥工程を含む、請求項4又は5に記載の製造方法。
  7. 前記ブロッキング工程の後に、前記ブロッキング液を塗布又は浸漬した前記検出領域を乾燥させる乾燥工程を含む、請求項4〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記洗浄工程の後に、前記洗浄処理した前記検出領域を乾燥させる乾燥工程を含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
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