JP2009256703A - 高耐食性溶融Zn系めっき鋼材 - Google Patents

高耐食性溶融Zn系めっき鋼材 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、Zn系溶融めっき鋼材において、めっき成分が2%以上のAl濃度においても裸耐食性と塗装後の耐食性を高いレベルで両立した高耐食性溶融Zn系めっき鋼板を提供する。
【解決手段】めっき層中にAlを2〜12%、好ましくは2〜6%、Mgを0.6〜4%、Caを0.06%以上で、かつMgはAlの80%以内、CaはMgの3%以上10%以内の割合の濃度で含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなる合金めっき層を有することを特徴とする高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼材。さらに、Cr、Mn、Co、Ni、Cuから選ばれる1種ないし2種以上を合計で0.02〜3%、Ti、V、Nb、W、Zr、Mo、La、Ce、Hf、Yから選ばれる1種ないし2種以上を合計で0.02〜0.5%含有しても良い。
【選択図】なし

Description

本発明は、高耐食性表面処理鋼材に関し、特に、高耐食性の溶融Zn系合金めっき鋼材に関する。
Zn(亜鉛)系めっき鋼材は、自動車、家電、建材等、幅広い分野で使用されているが、長期間の防錆効果を確保するため、通常、高付着量のZn系めっきが施されている。
この理由は、Znめっきの腐食速度が鋼材に対し遅いことに加え、地鉄が露出した場所において、Fe(地鉄)より腐食電位の低いZnが犠牲防食機能を発揮するので、単位面積当たりのZn量が多い程、つまり、めっき付着量が多いほど、Znの消費で得られる上記耐食・防錆効果を、長期間、保持することができるからである。
また、通常、鋼材に塗装を施して耐食性を確保する場合、塗装後の鋼材において、地鉄に達する疵が塗膜に生じたとき、疵部及びその周辺の鋼材の腐食に従い、塗膜に膨れを伴う腐食が進行することがある。この腐食形態に対しても、Zn系めっき鋼材は、めっきのない裸鋼材に比べ、優れた耐食性を発揮する。なお、本明細書においては、このような塗装後の塗膜の膨れを伴う腐食進行に対する耐食性を、塗装後耐食性と表記する。この塗装後耐食性に対しても、めっきは高付着量である方が有利である。
しかし、めっき付着量が多くなると、鋼材の加工性、溶接性等の必要特性が劣化する傾向にあるので、可能であれば、より低付着量のめっきで、高耐食性を確保することが望ましい。それ故、亜鉛めっきに合金元素を添加し、低付着量で、十分な耐食性を確保することが、これまで、数多く提案されている。
実際に、Zn-Ni系合金めっき、Zn-Fe系合金めっき等は、自動車用鋼材を中心に広く実用化されているし、また、Zn-Al系合金めっきは、建築用鋼材を中心に広く適用されている。特に、Zn-Al系合金めっきの更なる耐食性向上のため、MgやSiを添加しためっき鋼材が、特許文献1及び2に開示されており、また実用化されている。
しかし、めっきへのAlの添加は、その添加量によっては、塗装後耐食性を劣化させる。この原因の一つは、Alを高濃度で添加すると、めっき層と塗膜との密着性を担う化成処理性が劣化して、塗膜の密着性が損なわれる為である。
一方、Alの添加量が、十分な化成処理性を確保し得る比較的低濃度の量であっても、アルカリ環境下でのAlの溶解性が、Znより高いため、塗膜下で生じる腐食のカソード反応により、めっきの曝される水溶液環境がアルカリ化した時に、めっきの耐食性が劣化して、塗膜の膨れの進行が促進されるという(アルカリブリスターと呼ばれる)問題が生じやすい。
Zn系めっきの添加成分となり得る、Al以外の耐食性向上元素としては、Mgが非常に有効である。しかし、Alが少ないめっき浴において、Mgを添加すると、Mgの酸化により酸化物系のドロスが発生し、めっき外観が劣化したり、操業性が悪くなったり、めっき浴中のMg濃度が急速に低下したり、といった問題がある。
これに対し、特許文献3において、0.2〜15%(以降、成分の%はmass%を表す)のMg、及び0.05〜1%のAlを含有するZn系めっきに、0.01〜5%のCaを添加することで、Alが1%以下の低濃度であってもMgの酸化を抑制し、外観不良や浴面酸化の心配のないZn系めっき鋼板が開示されている。
この特許文献3において、低Al濃度のZnめっき浴にMgを添加する、という課題の定性的な解決法は一応提示されている。しかし、先の特許文献1、特許文献2でも示されるように、厳しい腐食環境での耐食性を得るためには、1%程度までのAl含有量では、不十分である。
従って、1%以上のAl含有量でめっき自体の裸耐食性を向上させながら、かつ、良好な塗装後耐食性を発揮するめっき成分の開発が望まれていた。
特許第3179401号公報 特許第3179446号公報 特開2001-81538号公報
本発明は、Zn系溶融めっき鋼材において、めっき成分が1%以上のAl濃度において、裸耐食性を向上させながら、塗装後耐食性も良好な高耐食性溶融Zn系めっき鋼材を提供することを目的とする。
本発明者らは、特許文献1〜3に開示された技術を参考に、Al、Mg、Caの量を最適化することにより、裸耐食性を向上させながら、塗装後耐食性も良好な高耐食性溶融Zn系めっき鋼材の開発に取り組んだ。
これらの成分の中でも、特にCaには、添加の方法によっては、顕著に塗装後耐食性を向上させる効果があることを見出したが、従来、Zn系めっきには、Caを安定して溶融させることが難しく、この課題解決のためには更なる研究を必要とした。
その過程で、Zn系めっきに残存し難いCaが、Mgを添加溶解した後のZn浴には、そうでないZn浴によりも数倍以上の濃度で残存することを見出し、かつ、そうしてCaを十分に添加したZn系のめっきにおいては、Alの濃度が2%以上であっても、塗装後耐食性が非常に良好となることを見出した。特にAl、Mg、Caの濃度を最適なバランスの範囲内に制御することで、裸耐食性と塗装後耐食性を高いレベルで両立する組成範囲を見出したのである。
本発明は、こうした知見に基づいてなされたもので、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1) めっき層中に、mass%で、Alを2〜12%、Mgを0.6〜4%、Caを0.06%以上含有し、かつ各成分の関係が、下記式1及び式2を満たす範囲であり、残部がZn及び不可避的不純物からなる合金めっき層を有することを特徴とする高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼材。
Mg% ≦ 0.8×Al% ・・・ (式1)
0.03×Mg% ≦ Ca% ≦ 0.1×Mg% ・・・ (式2)
ここで、Mg%、Ca%、Al%はそれぞれ、Mg、Ca、Alのmass%含有率。
(2) めっき層中に、mass%で、Alを2〜6%、Mgを0.6〜4%、Caを0.06%以上含有し、かつ各成分の関係が、下記式1及び式2を満たす範囲であり、残部がZn及び不可避的不純物からなる合金めっき層を有することを特徴とする高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼材。
Mg% ≦ 0.8×Al% ・・・ (式1)
0.03×Mg% ≦ Ca% ≦ 0.1×Mg% ・・・ (式2)
ここで、Mg%、Ca%、Al%はそれぞれ、Mg、Ca、Alのmass%含有率。
(3) 前記合金めっき層中の成分としてさらに、Cr、Mn、Co、Ni、Cuから選ばれる1種ないし2種以上を合計で0.02〜3mass%含有する前記(1)又は(2)に記載の高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼材。
(4) 前記合金めっき層中の成分としてさらに、Ti、V、Nb、W、Zr、Mo、La、Ce、Hf、Yから選ばれる1種ないし2種以上を合計で0.02〜0.5mass%含有する(1)〜(3)のいずれかの項に記載の高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼材。
(5) 前記合金めっき付着量が150g/m2/片面以下であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかの項に記載の高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼材。
(6) (1)〜(5)のいずれかの項に記載の高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼材のめっき上に塗膜を有することを特徴とする高耐食性塗装めっき鋼材。
本発明の高耐食性溶融Zn系めっき鋼材は、比較的安価な添加成分であるAlを有効利用して裸材および塗装材の両者における高耐食性を高いレベルで実現した。これは、自動車、建築・住宅、等に広く適用することが可能で、従来と同様の製造性を保持しながら、部材の寿命を向上させ、資源の有効利用、環境負荷の低減、メンテナンスの労力・コストの低減等に資することにより、産業の発展に大きく寄与するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
始めに、めっき層中の各成分の限定理由を述べる。
Alは、裸耐食性向上を目的に添加する成分で有り、2%未満ではその効果が認められないため、下限濃度は2%とする。また、12%を超えると塗装後耐食性が悪化し、MgやCaの添加量を調整しても、塗膜膨れの抑制が困難であるため、Alの上限濃度は12%とする。又、スポット溶接性の観点からは、6%を超えると(電極チップへのAl拡散が顕著になるなど)連続溶接性が低下するため、6%以下とすることが、より望ましい。
Mgも、Alと同じく本発明めっき鋼材において、Znめっきの耐食性を向上させる重要な元素であり0.6%未満では、Mgを添加していないときに比較して、明瞭な耐食性向上効果を認めることが難しい為、その下限濃度を0.6%とする。尚、Mgの添加は原則として裸耐食性も塗装後耐食性も向上させるが、本発明における合金元素組成近辺では、4%を超えるMg濃度では、塗装後耐食性に対する悪影響が見られたため、Mgの上限濃度は4%とする。また、本発明組成では、Caの添加により、Mgの酸化をある程度抑制されているが、Mg濃度がAlの80%を超えると、Caの共存化であっても、Mgの酸化が著しくなり、ドロスが発生する等、めっき浴の安定性を損なうため、Mgの添加量はAlの添加量に対して、80%を上限とする。この関係は、式に表すと、以下の式1となる。
Mg% ≦ 0.8×Al% ・・・ (式1)
ここで、Mg%はMgのmass%添加量、Al%はAlのmass%添加量である。
CaはMgの酸化を抑制してめっき浴の安定性を向上させることで、めっきの表面性状を良好にし、かつ、酸化物の巻き込み抑制により、耐食性向上にも寄与するが、それ自体も特に腐食生成物のアルカリ環境での安定性を向上させるなどして、耐食性に寄与する元素である。また本発明の濃度範囲では、特に塗装後耐食性に良好な寄与を及ぼす元素であることも新たに見出している。
Caの濃度は、Mgの濃度により、適正な範囲が存在する。Mgのmass%での濃度をMg%とすると、Caの下限濃度はmass%で0.03×Mg%である。この濃度未満では、CaによるMgの酸化抑制が不十分であると同時に、塗装後耐食性に対する効果も不十分となる。Caの上限濃度はmass%で0.1×Mg%である。この濃度を超えると、Ca自体が酸化され始め、浴面酸化を促進してしまう。これは、Caが、単独ではZnと溶解し難く、Mgと共存して初めて、ある程度の固溶量を示すためと発明者らは考えている。Caのmass%をCa%で示すと、以上の関係は下記の式2となる。
0.03×Mg% ≦ Ca% ≦ 0.1×Mg% ・・・ (式2)
例えば、図1は、後に述べる実施例で使用した鋼材のめっき成分の内、Al濃度が2〜12%の鋼種を選択して、Mg濃度とCa濃度に対して、プロットした図である。実線の領域が本発明めっき成分の範囲である。本発明成分である○プロットにおいては全て塗装後耐食性が良好であり、本発明成分領域外の●プロットにおいては全て塗装後耐食性が不足していた。こうした実施例により、本発明成分範囲を決定した。
さらに、耐食性を向上させるために、Cr、Mn、Co、Ni、Cuから選ばれる1種ないし2種以上を合計で0.02〜3%含有させることが出来る。これらの元素は、裸耐食性の向上にも若干寄与するが、塗装後耐食性を向上させるために特に寄与する。この下限未満の濃度ではその効果が明らかでなく、上限を超えると、浴の安定性を損ない、高融点金属間化合物等によるドロス発生が多くなって、操業性劣化やめっき鋼材の外観不良の発生する可能性が高まる。
また、さらに、Ti、Nb、W、Zr、Mo、La、Ce、Hf、Yから選ばれる1種ないし2種以上を合計で0.02〜0.5%含有させることも、耐食性向上の観点から有効である。これらの元素も裸耐食性の向上に若干寄与するが、特に、製造後経時変化により、大気中での酸化被膜の成長でめっき表面が黒化する現象に対して、その黒化を抑制する効果が高い。この下限未満の濃度ではその効果が明らかでなく、上限を超えると、高融点金属間化合物や酸化物等のドロス発生が多くなって、浴の安定性を損ない、操業性劣化やめっき鋼材の外観不良の発生する可能性が高まる。
なお、Feは基材の鋼材とめっき浴との反応により、浴組成、浴温や進入基材温度、浸漬時間、などの操業条件やめっき付着量によって、0.02〜3%程度、めっきに含有されるが、これは不可避的不純物と考え、本発明では特に規定しない。
本発明によるめっき鋼材のめっきの付着量は、スポット溶接性を確保する観点から片面辺り150g/m2以下とするが、50g/m2/片面以下が望ましい。付着量が少ないほど、スポット溶接性は良好になるが、耐食性を確保するために、最低10g/m2の付着量が必要である。望ましくは、15g/m2以上、50g/m2以下の範囲程度が耐食性-スポット溶接性のバランスが良好である。ただし、めっき後の溶接性を多少犠牲にするのであればめっき付着量は180g/m2/片面まで許容しうる。
本発明のめっきを鋼板に適用する場合、通常は、両面にほぼ同量のめっきを付着させ使用するが、表裏のめっき付着量を変えたり、或いは片面の耐食性が塗装等で確実に保証されるような用途であれば、片面のみにめっきを付着させた鋼板も有用であり、いずれも、本発明の範囲である。
本発明鋼材の基材としての鋼材の材質には、特に限定はなく、Alキルド鋼、極低炭素鋼、高炭素鋼、各種高張力鋼、Ni、Cr含有鋼等が使用可能である。製鋼方法や、鋼の強度、熱間圧延方法、酸洗方法、冷延方法等の鋼材の前処理加工についても特に制限がない。
めっきの製造方法に関しては、ゼンジミアタイプ、フラックスタイプ、又はプレめっきタイプ等の製造方法によらず、あらゆる溶融めっき方法に対して本技術は適用可能である。
本発明の高耐食性溶融Zn系めっき鋼材は、優れた裸耐食性を有する事から、無塗装でも問題なく使用できるが、特に、塗装後耐食性を向上させることの可能な本願発明の特徴より、塗装してめっき表面に塗膜を有する塗装表面処理鋼材も、好ましい適用形態といえる。使用する塗膜の種類は特に限定されないが、例えばポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ふっ素樹脂等が例として挙げられる。熱硬化型の樹脂塗膜も好適に使用可能であり、エポキシポリエステル塗料、ポリエステル塗料、メラミンポリエステル塗料、ウレタンポリエステル塗料などが挙げられる。
表1に示すような表面処理鋼材を、板厚0.8mmの冷延鋼板、肉厚10mmで辺の長さが10cmの等辺山形鋼及び板厚10mmの熱延鋼板を基材として作製した。
めっき浴は、高純度金属を混合溶解して目指す成分のめっき浴を作製したが、純Znを溶融した後、Alの一部、Mgの順に溶解し、CaはAl-Ca合金として最後に添加した。
冷延鋼板は、10cm×10cmに切断した後に、レスカ社のバッチ式の溶融めっき試験装置でめっきした。還元焼鈍した鋼板をめっき浴に浸漬することで付着させた。エアワイピングにより目付量を調整した。
等辺山形鋼は長手方向に10cm、熱延鋼板は10cm×10cmの正方形に切断し、るつぼ炉を用いて、フラックス法によるどぶ漬けめっきを施した。浸漬時間と引抜き速度で付着量を調整した。
上記のめっき試験片を以下に述べる各評価試験に供した。
各めっきの付着量は、めっき層を酸溶解した時の質量減により測定し、めっき中の合金成分は、めっき層を酸溶解した溶液をICP(誘導結合プラズマ発光)分光分析により定量した。
裸耐食性は、無塗装の試験材について、JIS-Z-2371に記載されている塩水噴霧試験(SST)に準拠し、ただし、塩水濃度を10g/Lとした試験を300時間行った後の腐食減量で評価した。腐食減量が2g/m2未満を「◎」、2〜5g/m2を「○」、5g/m2以上を「×」とした。
塗装後耐食性試験は、試験材を市販のアルカリ脱脂液(pH=10.5、40℃、1分浸漬)により脱脂後、自動車用化成処理(日本ペイント製サーフダイン2500MZL)を施した後、自動車用カチオン電着塗装(日本ペイント製V20、20μm、170℃×20分焼き付け)を行い、一昼夜放置後、試験面に、被覆及びめっきを貫通して鋼材下地にまで達する、80mm長の直線の疵をカッターナイフで設け、SAE J2234に準拠した複合サイクル腐食試験に供した。2000時間後の塗膜膨れ幅により塗装後耐食性を評価し、最大ふくれ幅が3mm未満を「◎」、3mm以上5mm未満を「○」、5mm以上8mm未満を「△」、8mm以上を「×」とした。
耐黒変性試験は、各試験材を、温度50℃、相対湿度95%に設定した恒温恒湿試験機中に48時間設置した前後の色調変化につき、色差計にてL値(明度)の変化(ΔL)を測定した。ΔL<3の場合、黒変は目視では認められず「◎」とした、ΔLが3以上では目視にて黒変が僅かに認識され始めるので「○」とした。ΔLが5以上では製品として不適で有り「×」とした。尚、本実施例の範囲ではΔLが5以上のものはなかった。
溶接性評価は、冷延鋼板を基材とする試験材にのみ実施し、同一水準の試験材同士を、以下に示す溶接条件によりスポット溶接試験を行い、その連続打点数の調査を行った。先端径4.5mmφ、先端角120度、外径13mmφのCu-Cr製電極を使用した。50Hz電源により、10サイクルの通電を行った。1.7kNの加圧力で通電前30サイクル、通電後10サイクル、アップダウンスロープ無しで加圧した。なお、連続打点性調査における溶接電流値は板厚をt(mm)とした時の4√tで示されるナゲット径が得られる電流値I1(kA)及び溶着電流値I2(kA)の平均値を用い、4√tのナゲット径が維持された最大打点数を求めた。4000点以上の連続打点数が得られたものは特にスポット溶接性が優れるとして、「◎」とし、4000点には満たないが、3000点以上の連続打点数が得られたものを「○」、3000点には満たないが2000点以上の連続打点数が得られたものは「△」とした。2000点に満たなかったものは「×」とした。
ドロス性の評価は、めっき製造時のドロスの状態を目視で観察し、ドロスが多くめっきが困難なものを「×」、ドロス量が少なくめっき製造が容易で、付着しためっき表面性状も良好なものを「○」とした。
各試験の評価結果を表1に示した。また、Al濃度が2〜12%の鋼種を選択して、塗装後耐食性のデータをめっき中のMg濃度とCa濃度との関係で図1に示した。○が本発明例の成分であり、●が比較例の成分である。実線の領域が本発明めっき成分の範囲である。本発明例成分である○プロットにおいては全て塗装後耐食性が良好であり、本発明成分領域外の●プロットにおいては全て塗装後耐食性が不足していた。
Figure 2009256703
表1に示すように、本発明の溶融Zn系合金めっき鋼材は、裸耐食性と塗装後耐食性を高レベルでバランスしており、ドロス発生、及び、鋼板の場合はさらに、スポット溶接性の点で、十分な性能を保持している。
また、本発明成分の溶融めっき浴は、本発明成分範囲外の成分の溶融めっき浴よりも粘性が低いため、20g/m2以下の低付着量のめっき鋼板を、容易に作製できた。例えば、No.18の本発明鋼とNo.50の比較鋼は、引き抜き速度、ワイピング条件、及び、めっき浴温などの、付着量を制御するパラメーターを等しくして製造した。しかし、その付着量は、比較例のNo.50が60g/m2だったのに対して、本発明例のNo.18では20g/m2となった。
低粘度のめっき浴では、同様な付着量制御条件でも低付着量化が容易であると同時に、付着量のばらつきも少なくなり、これも低付着量化する際に有利である。しかし、例えば、No.20の実施例のように、8g/m2といった、極低付着量とする為には、引き抜き速度を極端に遅くする必要がある、という問題の他に、耐食性においても劣化が著しくなるという問題がある。つまり、平均付着量が低くなると、付着量の少ない部分ではめっきの付着量よりもめっき腐食減量が大きくなるため、めっき層が消失することとなる。めっき付着量が10g/m2を切る極低付着量の試験材は腐食試験後の平均腐食減量が5g/m2以下であっても、腐食試験後の断面観察で、ほとんどめっき層の残存していない部分が全体の半数に認められ、耐食性の劣化が顕著である。10g/m2以上の付着量であれば、めっき層の残存していない部分は全体の1割以下となり、15g/m2以上であれば、めっき層の残存していない部分は観察されなくなった。
Al濃度が6%以下のもの、及びCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuから選ばれる1種ないし2種以上を含有するものは塗装後の耐食性が特に優れる。Ti、Nb、W、Zr、Mo、La、Ce、Hf、Yから選ばれる1種ないし2種以上を含有するものは、耐黒変性が向上した。
本発明のめっき鋼材の成分範囲でない比較鋼材は、裸耐食性が優れていても、塗装後耐食性が十分でなく、成分によっては、ドロス発生が抑制できず、ドロス発生の抑制できないものは、残留したドロスにより裸耐食性も劣化した。
塗装後耐食性について、実施例の成分によりMg濃度とCa濃度の関係を示した図。

Claims (6)

  1. めっき層中に、mass%で、Alを2〜12%、Mgを0.6〜4%、Caを0.06%以上含有し、かつ各成分の関係が、下記式1及び式2を満たす範囲であり、残部がZn及び不可避的不純物からなる合金めっき層を有することを特徴とする高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼材。
    Mg% ≦ 0.8×Al% ・・・ (式1)
    0.03×Mg% ≦ Ca% ≦ 0.1×Mg% ・・・ (式2)
    ここで、Mg%、Ca%、Al%はそれぞれ、Mg、Ca、Alのmass%含有率。
  2. めっき層中に、mass%で、Alを2〜6%、Mgを0.6〜4%、Caを0.06%以上含有し、かつ各成分の関係が、下記式1及び式2を満たす範囲であり、残部がZn及び不可避的不純物からなる合金めっき層を有することを特徴とする高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼材。
    Mg% ≦ 0.8×Al% ・・・ (式1)
    0.03×Mg% ≦ Ca% ≦ 0.1×Mg% ・・・ (式2)
    ここで、Mg%、Ca%、Al%はそれぞれ、Mg、Ca、Alのmass%含有率。
  3. 前記合金めっき層中の成分としてさらに、Cr、Mn、Co、Ni、Cuから選ばれる1種ないし2種以上を合計で0.02〜3mass%含有する請求項1又は2に記載の高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼材。
  4. 前記合金めっき層中の成分としてさらに、Ti、V、Nb、W、Zr、Mo、La、Ce、Hf、Yから選ばれる1種ないし2種以上を合計で0.02〜0.5mass%含有する請求項1〜3のいずれかの項に記載の高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼材。
  5. 前記合金めっき付着量が150g/m2/片面以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼材。
  6. 請求項1〜5のいずれかの項に記載の高耐食性溶融Zn系合金めっき鋼材のめっき上に塗膜を有することを特徴とする高耐食性塗装めっき鋼材。
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