JP2009256566A - アミノ基含有ポリジエンの製造方法、ブロック共重合体の製造方法、アミノ基含有ポリジエン、およびブロック共重合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、1,3−ビス(ジフェニルエテニル)ベンゼン又はその誘導体と有機リチウム化合物との反応生成物と、共役ジエン化合物とを反応させて共役ジエン化合物の重合体であるポリジエンを得る工程(1)と、得られたポリジエンと所定の変性剤とを反応させる工程(2)とを有するアミノ基含有ポリジエンの製造方法である。本発明のアミノ基含有ポリジエンの製造方法は、工程(1)および工程(2)から選ばれる1以上の工程を所定の化合物の存在下に行うことを特徴とする。また、本発明は前記アミノ基含有ポリジエンを用いたポリアミノ酸ブロックとポリジエンブロックとを有するブロック共重合体の製造方法である。
【選択図】なし
Description
このカップリング剤を用いた反応では、ポリイソプレン末端へのアミノ基の導入率(変性率ともいう)が低く、20〜30%にとどまってしまうことが問題であった。この問題を解決するものとして、非特許文献1においては、ポリイソプレンの末端にアミノ基を導入するための変性剤としてN−(トリメチルシリル)ベンズアルジミンに代表されるイミン化合物を用いることでイソプレンブロックの末端に対して平均して90%近くのアミノ基を導入することができることが記載されている。
そこで、安価な変性剤として、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジメチルメトキシシランに代表されるシランカップリング剤を見出した。しかしながら、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジメチルメトキシシランを公知の方法により作製したポリイソプレンの変性剤として用いると、イソプレンブロックの末端に対するアミノ基の導入率(変性率)は平均しても、高々80%程度であり、A−B−A型ブロック共重合体を製造する材料としては十分ではなかった(詳細は比較例1を参照)。
R5及びR6は、それぞれが独立した基であってもよく、相互に結合して環状構造を形成していてもよい。R5及びR6が相互に結合していない場合には、R5及びR6は両方ともトリアルキルシリル基を示し、当該トリアルキルシリル基の珪素に結合する3つのアルキル基は相互に独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。R5とR6が相互に結合して環状構造を形成する場合には、当該環状構造は、R5およびR6が結合する窒素原子を含め、少なくとも2個の珪素原子、及び1〜10個の炭素原子で構成される。]
(i)共役ジエンの重合体(ポリジエン)として、前記一般式(3)で表される化合物および前記一般式(4)で表される化合物から選ばれる化合物(以下、「化合物D」ともいう)の存在下に、反応生成物(a)と共役ジエン化合物とを反応させて得られたものを用い、変性剤として前記一般式(5)で表される化合物を用いると、ポリジエンブロック末端へのアミノ基の導入率(変性率)が向上する。
(ii)前記一般式(5)で表される化合物と、共役ジエン重合体[前記(i)の方法で得られるものを含む]とを、化合物Dの存在下に反応させると、ポリジエン構造において、側鎖に二重結合を有する1,2付加構造に比べ、通常、エラストマー特性に優れる1,4付加構造の割合が増加する。
従って、本発明によれば、アミノ基の導入率の高いアミノ基含有ポリジエン重合体を得ることができる。さらに、本発明で使用する前記一般式(5)で表される化合物は、安価であるので低コストである
上記態様により得られるA−B−A型トリブロック共重合体は、生体適合性に優れ、かつ、物理的強度に優れているので好ましい。
A、A´は共役ジエン化合物をモノマー単位とするポリジエン重合鎖を示し、Y、Y´は水素または下記一般式(10)で示される官能基を示し、YおよびY´の少なくとも一方は下記一般式(10)で示される官能基である。]
すなわち、本発明のアミノ基含有ポリジエンは、反応性が高く入手容易なブチルリチウムを用いて、安価な一般式(5)で表される化合物を用いて製造可能であるうえに、アミノ基の導入率が高いので、ポリアミノ酸ブロック−ポリジエンブロック共重合体を製造する材料として好適である。
A、A´は共役ジエン化合物をモノマー単位とするポリジエン重合鎖を示し、Z、Z´は水素または前記一般式(10)で示される官能基に由来する基、または下記一般式(12)で示されるポリアミノ酸重合鎖を示し、ZおよびZ´の少なくとも一方は下記一般式(12)で示されるポリアミノ酸重合鎖である。]
まず、ブロック共重合体の原料となるアミノ基含有ポリジエンの製造方法について説明する。
アミノ基含有共役ポリジエンは、前記一般式(1)で表される化合物[化合物(1)という]と化合物(2)との反応生成物(a)と、共役ジエン化合物とを反応させて、前記共役ジエン化合物の重合体を得る工程(1)と、前記共役ジエン化合物の重合体と下記一般式(5)で表される化合物とを反応させる工程(2)とを経て作製される。本発明では、工程(1)および工程(2)から選ばれる1以上の工程において、前記一般式(3)で表される化合物および下記一般式(4)で表される化合物から選ばれる一種以上の化合物が使用される。
工程(1)では、化合物(1)と化合物(2)との反応生成物(a)を、共役ジエン化合物と反応させることにより共役ジエン重合体(ポリジエン)が得られる。
<化合物(1)>
工程(1)で用いる化合物(1)は、二以上の反応性官能基を有する化合物であり、前記一般式(1)で表される化学構造を有するものである。
前記一般式(1)中、R1は、水素、又は炭素数1〜16のアルキル基を示す。mおよびnはそれぞれ1〜5の整数を示し、mが2以上の整数である場合には、R1は相互に同一であっても異なっていてもよい。nが2以上の整数である場合には、R1は相互に同一であっても異なっていてもよい。
上記のR1のうち、水素又は炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、水素又は炭素数1〜4のアルキル基であることが更に好ましい。
工程(1)で用いる化合物(2)は、前述の化合物(1)と反応してアニオン重合開始剤を生成し得る化合物であり、その化学構造が一般式:RLi(Rは、炭素数1〜16のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基を示す)で表される有機リチウム化合物である。
化合物(1)と化合物(2)との反応により得られる反応生成物(a)は、共役ジエン化合物との反応の際に二官能性のアニオン重合開始剤として作用する。
化合物(1)と化合物(2)との反応は、公知の方法に準じて行うことができ、例えば、化合物(1)と化合物(2)とを非極性溶媒中で反応させることにより、反応生成物(a)を作製することができる。
工程(1)において反応生成物(a)と反応させる共役ジエン化合物は、その分子構造中に共役ジエン結合を有するものであれば特に限定されない。共役ジエン化合物の具体例としては、イソプレン、ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、ミルセン、クロロプレン等を挙げることができる。なかでも、イソプレン、及びブタジエンが好ましい。
前記一般式(3)中の、R7、R8、R9、R9'、R10およびR11は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を示し、pは1〜5の整数を示す。
前記一般式(3)で表されるオキソラニル化合物(化合物(3))の具体例としては、ビス(2−オキソラニル)メタン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、1,1−ビス(2−オキソラニル)エタン、2,2−ビス(2−オキソラニル)ブタン、2,2−ビス(5−メチル−2−オキソラニル)プロパン、2,2−ビス(3,4,5−トリメチル−2−オキソラニル)プロパン、トリマー性2,5−ビス(2−オキソラニル−2−プロピル)オキソラン等を挙げることができる。これらのうち、2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンが好ましい。
前記一般式(4)中、R12、R13、R14およびR15は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を示し、X2およびX3は炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリロキシル基、硫黄原子を含む官能基、リン原子を含む官能基を示す。
工程(2)では、上述の工程(1)で得られたポリジエンと、一般式(5)で表される化合物(以下、化合物(5)ともいう)とを反応させる。
ポリジエンと化合物(5)との反応により、通常、末端アミノ基に化合物(5)の構造の一部が保護基として結合した形の、3級アミノ基含有ポリジエンが生成する。その後、上記生成物である3級アミノ基含有ポリジエンの3級アミノ基を脱保護して1級アミノ基とし、両末端に1級アミノ基を有するアミノ基含有ポリジエンを得る。
化合物(5)は、ポリジエンを変性させることが可能であるとともに、3級アミノ基含有ポリジエンを調製可能なもの(いわゆる、変性剤)であり、前記一般式(5)で表される化合物である。
形成された3級アミノ基含有ポリジエンを脱保護させることにより、その両末端に1級アミノ基を有するアミノ基含有ポリジエンを得ることができる。
次に本発明のアミノ基含有ポリジエンを用いたブロック共重合体の製造方法について説明する。
本発明のブロック共重合体の製造方法においては、上述した方法により得られたアミノ基含有ポリジエンと、前記一般式(6)で表される化合物、前記一般式(7)で表される化合物、および前記一般式(8)で表される化合物から選ばれる一種以上の化合物(以下、「化合物E」ともいう)とを反応させることにより、たとえば、前記一般式(11)で示すような、アミノ酸ブロック(A)及びポリジエンブロック(B)を有するブロック共重合体が得られる。
すなわちアミノ基含有ポリジエンと、化合物Eとを混合し加熱すると、アミノ基含有ポリジエンが重合開始剤として作用して、二酸化炭素を脱離して、アミド結合(ペプチド結合)を生成しながら、ポリアミノ酸ブロック−ポリジエンブロック共重合体が作製される。
以下、ブロック共重合体の製造方法において用いる化合物について説明する。
前記一般式(6)中、R16は、水素原子又は炭素数1以上の一価の有機基を示し、R16としては、炭素数3〜20の炭化水素基、及び、エステル構造を有する一価の有機基が好ましく、特に、−R20−COO−R21(式中、R20はメチレン基、又は炭素数2〜10のアルキレン基を示し、R21は炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜20の芳香環含有炭化水素基を示す)で表される基が好ましい。
前記一般式(7)中、R17は、水素原子または電子吸引性基を示し、R18は水素原子又は炭素数1以上の一価の有機基を示し、rは1〜5の整数を示し、rが2以上の整数である場合には、複数のR17は相互に同一であっても異なっていてもよい。
R17の電子吸引性基としては、具体的には、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、パーフルオロアルキル基及びパークロロアルキル基などを挙げることができ、なかでもニトロ基が特に好ましい。R18としては炭素数3〜20の炭化水素基、及び、エステル構造を有する一価の有機基が好ましく、特に、−R20−COO−R21(式中、R20はメチレン基、又は炭素数2〜10のアルキレン基を示し、R21は炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜20の芳香環含有炭化水素基を示す)で表される基が好ましい。
前記一般式(8)中、R19は、水素原子又は炭素数1以上の一価の有機基を示す。R19の一価の有機基としては、炭素数3〜20の炭化水素基、及び、エステル構造を有する一価の有機基が好ましく、−R20−COO−R21(式中、R20はメチレン基、又は炭素数2〜10のアルキレン基を示し、R21は炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜20の芳香環含有炭化水素基を示す)で表される基が特に好ましい。
前記一般式(8)で表される化合物(8)の具体例としては、N−(N´−サクシンイミジロキシカルボニル)−γ−ベンジル−L−グルタメート、N−(N´−サクシンイミジロキシカルボニル)−β−ベンジル−L−アスパルテート、N−(N´−サクシンイミジロキシカルボニル)−L−ロイシン、N−(N´−サクシンイミジロキシカルボニル)−L−フェニルアラニン、N−(N´−サクシンイミジロキシカルボニル)−L−プロリン、N−(N´−サクシンイミジロキシカルボニル)−O−ベンジル−L−チロシン等が挙げられる。なかでも、N−(N´−サクシンイミジロキシカルボニル)−γ−ベンジル−L−グルタメート、N−(N´−サクシンイミジロキシカルボニル)−β−ベンジル−L−アスパルテート、N−(N´−サクシンイミジロキシカルボニル)−O−ベンジル−L−チロシンが好ましい。
本発明のブロック共重合体としては、生体適合性に優れかつ物理的強度に優れているという観点からA−B−A型トリブロック共重合体が好ましい。
本発明においては、アミノ基含有ポリジエンとして前記一般式(9)で表されるアミノ基含有ポリジエンを用いて、これを化合物Eと重合させると、高収率でブロック共重合体が得られるので好ましい。
酸化防止剤の添加量は、ブロック共重合体の全質量に対して通常0.4〜0.6%である。
本発明により得られるポリアミノ酸ブロック−ポリジエンブロック共重合体は、溶液流延法、押出成形法、カレンダー法などの従来公知の方法により成形することが可能であるが、これに限定されるものではない。特に加熱加工法にあっては、老化防止剤のような熱安定剤を付与することによって、加熱による物性低下を緩和することが可能である。
上述の成形法のうち、本発明により得られるポリアミノ酸ブロック−ポリジエンブロック共重合体を用いた成膜の作製方法としては、例えば、溶液流延法などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
溶液流延法による成膜において、ポリアミノ酸ブロック−ポリジエンブロック共重合体を調製するのに用いられる溶媒は、ポリアミノ酸ブロック−ポリジエンブロック共重合体を溶解するものであれば特に限定されるものではないが、両ブロックに対して良溶媒であることが好ましい。このような溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ベンゼン、トリフルオロエタノール等が挙げられる。
<試験法および評価方法>
実施の際に用いた試薬、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
sec−ブチルリチウム(s−BuLi)のシクロヘキサン溶液(1.3mol/l)は、公知の技術であるGilmanの二重滴定法(Gilman.H他、J.Am.Chem.Soc.66.1515−1516(1944))を用いることにより、有効リチウム濃度1.1mol/lと算出されたものを用いた。
400MHz核磁気共鳴スペクトル分析装置(商品名「ECX−400」、日本電子社製)を使用し、乾燥したアミノ基含有ポリジエン100mgを重クロロホルム0.75mlに溶解して得た測定用試料を分析することにより、数平均分子量(Mn(g/mol))、及び1級アミノ基の導入率(変性率(%))を測定した。これらの値はそれぞれ、反応生成物(a)の芳香族C−Hに由来するシグナルに対して、数平均分子量はポリイソプレンの不飽和C−H由来のシグナル、1級アミノ基は脱保護後の末端変性基上のSi(珪素)に結合したメチル基由来のシグナルとの積分比からそれぞれ算出した。
クロロホルム100部にブロック共重合体3部を溶解して得た溶液をガラス板上に流延した後、室温でクロロホルムを揮散させ、減圧下で十分に乾燥させることで、厚さ約30μmのフィルムを得た。得られたフィルムを用いてJIS K−7113−1981に準拠して引張試験を行い、引張強度(MPa)及び伸び(%)を測定した。引張強度が10MPa以上であれば物理的強度に優れると判断した。
脱水したシクロヘキサン/ヘプタン混合溶剤100mlに、1,3−ジ(1−フェニルエテニル)ベンゼン(DPEB)3.00gを溶解させた溶液を、内容積300mlのガラス製反応容器に入れた。乾燥窒素雰囲気下、前記反応容器にsec−ブチルリチウム(s−BuLi)のシクロヘキサン溶液(有効リチウム濃度:1.1mol/l)18.5mlを添加し、50℃で3時間撹拌することにより重合開始剤溶液a1を調製した。なお、重合開示剤溶液a1中のLi濃度は0.17mol/lである。
内容積500mlの耐圧ガラス製反応容器に、脱水したシクロヘキサン/ヘプタン混合溶剤332mlと、添加剤として2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパン(BTHFP、比重1.00g/ml、FW=184.27)0.11ml(0.601mmol)を入れ、乾燥窒素雰囲気下、合成例1で調製した重合開始剤溶液a1を数滴添加した。反応液が黄色になることを確認した後、重合開始剤溶液a1を13.8ml(Li量2.40mmol)と脱水したイソプレン36.0gとを更に添加し、50℃で30分振とうして重合反応を行った。
重合反応後の反応液に、変性剤として、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン0.98gを添加した後、75℃以上で3時間振とうして変性反応を行った。次いで、メタノール2mlを添加して変性反応を終了させた。
変性反応終了後の上澄み液を回収して濃縮した後、シクロヘキサン50mlとメタノール200mlを用いた再沈殿操作を3回繰り返した。次いで、シクロヘキサン100mlとメタノール100mlの混合溶媒中、酢酸11.3gを用いてpHを3−4とし、室温下で3時間撹拌した後、水酸化ナトリウム水溶液(4.0mol/l)47.1gを用いて中和し、メタノール500mlを用いて重合体を沈殿させた。シクロヘキサン50mlとメタノール200mlを用いた再沈殿操作を5回繰り返した後、減圧下で溶剤を留去した。
真空下、60℃で十分に乾燥することで、その両末端に1級アミノ基を有するポリイソプレン(本発明のアミノ基含有ポリイソプレン)31.0gを得た。得られたアミノ基含有ポリイソプレンの数平均分子量(Mn)は32000、イソプレン単位の数は432個、及び変性率は90%であった。
シクロヘキサン/ヘプタン混合溶剤の量を262mlとし、BTHFPの量を0.67ml(3.65mmol)とし、反応液が黄色になることを確認した後に添加する重合開始剤溶液a1の量を83.9ml(Li量:14.6mmol)としたこと以外は、前述の実施例1の場合と同様にして30.5gの本発明のアミノ基含有ポリイソプレンを得た。得られたアミノ基含有ポリイソプレンのMnは5400、イソプレン単位の数は79個、及び変性率は86%であった。
シクロヘキサン/ヘプタン混合溶剤の量を323mlとし、BTHFP0.11mlに代えて添加剤としてテトラヒドロフラン(THF、比重0.888g/ml、FW=72.11)を9.1ml(112mmol)用いたこと以外は、前述の実施例1の場合と同様にして29.8gのアミノ基含有ポリイソプレンを得た。得られたアミノ基含有ポリイソプレンのMnは30000、イソプレン単位の数は440個、及び変性率は80%であった。
表1に、実施例1〜2および比較例1で得られたポリイソプレンのMn(千単位)、添加剤の種類、モノマー(共役ジエン化合物)、変性剤、添加剤とリチウムのモル比率[添加剤(mol)/Li(mol)]、変性率、収量、および収率を示した。表1中、メトキシシランとは、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルジメチルメトキシシランを示す(表4においても同様)。
なおモル比率の算出にあたり以下の式により添加剤(mol)およびLi(mol)を算出した。
添加剤(mol)=添加剤使用量(ml)×比重(g/ml)/FW(式量)
Li(mol)=
重合開始剤a1の使用量(ml)×重合開始剤a1中のLi濃度(0.17mol/l)
ジクロロメタン40g中に、実施例1で作製したアミノ基含有ポリイソプレン3200mg(0.1mmol)、及びγ−ベンジル−L−グルタミン酸N−カルボン酸無水物(BLG−NCA)2630mg(10mmol)を添加し、25℃で8時間重合した。反応溶液をメタノール1L(リットル)中に投入して生成した沈殿を、室温、減圧下で十分に乾燥させて乾燥物を得た。得られた乾燥物をジクロロメタンに溶解して得た溶液をヘキサン1L(リットル)中に投入して再沈殿処理を行い、室温、減圧下で十分に乾燥させて4.9gの本発明のブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体の引張強度及び伸びの測定結果を表2に示した。
実施例3で得たブロック共重合体2.0gに酸化防止剤(2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール)を8.0mg添加して本発明のブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体の引張強度及び伸びの測定結果を表2に示した。
実施例1で得たアミノ基含有ポリイソプレンに代えて、実施例2で得たアミノ基含有ポリイソプレンを540mg(0.1mmol)用いたこと以外は、実施例3の場合と同様にして2.7gのブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体の引張強度及び伸びの測定結果を表2に示した。
実施例1で得たアミノ基含有ポリイソプレンに代えて、比較例1で得たアミノ基含有ポリイソプレンを3400mg(0.1mmol)用いたこと以外は、実施例3の場合と同様にして5.0gのブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体の引張強度及び伸びの測定結果を表2に示した。
表2には用いたアミノ基含有ポリジエン、得られたブロック共重合体の収量と収率を合わせて示した。表2中、M/Iとはモノマー(BLG−NCA)と、開始剤(アミノ基含有重合イソプレン)とのモル比を示す。
ジクロロメタン40g中に、実施例1で得たアミノ基含有ポリイソプレン3200mg(0.1mmol)、及びN−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−L−グルタミン酸−γ−ベンジル(Np−BLG)4025mg(10mmol)を添加し、25℃で8時間重合した。反応溶液をメタノール1L(リットル)中に投入して生成した沈殿を、室温、減圧下で十分に乾燥させて乾燥物を得た。得られた乾燥物をジクロロメタンに溶解して得た溶液をヘキサン1L(リットル)中に投入して再沈殿処理を行い、室温、減圧下で十分に乾燥させて6.0gの本発明のブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体の引張強度及び伸びの測定結果を表3に示した。
実施例1で得たアミノ基含有ポリイソプレンに代えて、実施例2で得たアミノ基含有ポリイソプレンを540mg(0.1mmol)用いたこと以外は、実施例6の場合と同様にして3.9gの本発明のブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体の引張強度及び伸びの測定結果を表3に示した。
実施例1で得たアミノ基含有ポリイソプレンに代えて、比較例1で得たアミノ基含有ポリイソプレンを3400mg(0.1mmol)用いたこと以外は、実施例6の場合と同様にして6.1gのブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体の引張強度及び伸びの測定結果を表3に示した。
表3には用いたアミノ基含有ポリジエン、得られたブロック共重合体の収量と収率を合わせて示した。表3中、M/Iとはモノマー(Np−BLG)と、開始剤(アミノ基含有重合イソプレン)とのモル比を示す。
また、分子量の大きいアミノ基含有ポリジエンを用いると、伸びの大きいブロック共重合体が得られるということがわかった。
内容積500mlの耐圧ガラス製反応容器に、脱水したシクロヘキサン/ヘプタン混合溶剤331mlと、添加剤としてイソプロパノール(IPA、比重0.79g/ml、FW=60.09)0.129ml(1.68mmol)、sec−ブチルリチウム(s−BuLi)のシクロヘキサン溶液(有効リチウム濃度:1.1mol/l)1.52ml(Li(mol):1.672mmol)を入れ、乾燥窒素雰囲気下、合成例1で調製した重合開始剤溶液a1を数滴添加した。反応液が黄色になることを確認した後、重合開始剤溶液a1を13.8ml(Li量2.40mmol)と脱水したイソプレン36.0gとを更に添加し、50℃で30分振とうして重合反応を行った。
変性反応終了後の処理を実施例1と同様に行い、真空下、60℃で十分に乾燥することで、その両末端に1級アミノ基を有するポリイソプレン(本発明のアミノ基含有ポリイソプレン)29.5gを得た。得られたアミノ基含有ポリイソプレンの分子量分布(Mw/Mn)は1.19、数平均分子量(Mn)は32000、イソプレン単位の数は470個、及び変性率は91%であった。
また、イソプレン単位どうしの全ての結合中、1,4−結合含有率は89%、1,2−結合含有率は0%、及び3,4−結合含有率は10%であった。
ジクロロメタン40g中に、実施例8で作製したアミノ基含有ポリイソプレン3200mg(0.1mmol)、及びγ−ベンジル−L−グルタミン酸N−カルボン酸無水物(BLG−NCA)2630mg(10mmol)を添加し、25℃で8時間重合した。反応溶液をメタノール1L(リットル)中に投入して生成した沈殿を、室温、減圧下で十分に乾燥させて乾燥物を得た。得られた乾燥物をジクロロメタンに溶解して得た溶液をヘキサン1L(リットル)中に投入して再沈殿処理を行い、室温、減圧下で十分に乾燥させて5.2gのブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体の引張強度及び伸びの結果を表5に示した。
ジクロロメタン40g中に、実施例8で作製したアミノ基含有ポリイソプレン3200mg(0.1mmol)、及びN−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−L−グルタミン酸−γ−ベンジル(Np−BLG)4025mg(10mmol)を添加し、25℃で8時間重合した。反応溶液をメタノール1L(リットル)中に投入して生成した沈殿を、室温、減圧下で十分に乾燥させて乾燥物を得た。得られた乾燥物をジクロロメタンに溶解して得た溶液をヘキサン1L(リットル)中に投入して再沈殿処理を行い、室温、減圧下で十分に乾燥させて6.2gのブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体の引張強度引張強度及び伸びの結果を表5に示した。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記合成例においては、化合物(1)として1,3−ジ(1−フェニルエテニル)ベンゼンを用い、化合物(2)としてsec−ブチルリチウムを用いたが、化合物(1)として1,3−ビス[(4−メチルフェニル)エテニル]ベンゼンなどの他の化合物を用い、化合物(2)としてn−ブチルリチウムやtert−ブチルリチウムなどを用いてもよい。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表される化合物と一般式RLi(Rは炭素数1〜16のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基を示す)で表される化合物(2)との反応生成物(a)と、共役ジエン化合物とを反応させて、前記共役ジエン化合物の重合体を得る工程(1)と、
前記共役ジエン化合物の重合体と下記一般式(5)で表される化合物とを反応させる工程(2)とを有し、
前記工程(1)および前記工程(2)から選ばれる1以上の工程を、下記一般式(3)で表される化合物および下記一般式(4)で表される化合物から選ばれる一種以上の化合物の存在下で行うことを特徴とするアミノ基含有ポリジエンの製造方法。
R5及びR6は、それぞれが独立した基であってもよく、相互に結合して環状構造を形成していてもよい。R5及びR6が相互に結合していない場合には、R5及びR6は、両方ともトリアルキルシリル基を示し、当該トリアルキルシリル基の珪素に結合する3つのアルキル基は相互に独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。R5とR6が相互に結合して環状構造を形成する場合には、当該環状構造は、R5およびR6が結合する窒素原子を含め、少なくとも2個の珪素原子、及び1〜10個の炭素原子で構成される。] - 下記一般式(6)で表される化合物、下記一般式(7)で表される化合物、および下記一般式(8)で表される化合物から選ばれる一種以上の化合物と、請求項1の製造方法により得られるアミノ基含有ポリジエンとを反応させることにより、ポリアミノ酸ブロック(A)とポリジエンブロック(B)とを有するブロック共重合体を得ることを特徴とするブロック共重合体の製造方法。
- 前記ブロック共重合体が、ポリアミノ酸ブロック(A)−ポリジエンブロック(B)−ポリアミノ酸ブロック(A)型のトリブロック共重合体であることを特徴とする請求項2に記載のブロック共重合体の製造方法。
- 下記一般式(9)で表されるアミノ基含有ポリジエン。
A、A´は共役ジエン化合物をモノマー単位とするポリジエン重合鎖を示し、Y、Y´は水素または下記一般式(10)で示される官能基を示し、YおよびY´の少なくとも一方は下記一般式(10)で示される官能基である。]
- 請求項4に記載のアミノ基含有ポリジエンと、下記一般式(6)で表される化合物、下記一般式(7)で表される化合物、および下記一般式(8)で表される化合物から選ばれる化合物とを重合させて得られるポリアミノ酸ブロック(A)とポリジエンブロック(B)とを有する下記一般式(11)で表されるブロック共重合体。
A、A´は共役ジエン化合物をモノマー単位とするポリジエン重合鎖を示し、Z、Z´は水素または前記一般式(10)で示される官能基に由来する基、または下記一般式(12)で示されるポリアミノ酸重合鎖を示し、ZおよびZ´の少なくとも一方は下記一般式(12)で示されるポリアミノ酸重合鎖である。]
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