JP2009256224A - エアゾール組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】噴射物が柔軟なシャーベット状になり、皮膚への付着性に優れ、関節などの曲面部への適用が可能で、長時間付着して塗布部を持続して冷却させるエアゾール組成物を開発する。
【解決手段】水性原液と液化ガスとからなるエアゾール組成物であって、前記水性原液がたんぱく質と界面活性剤とを含有し、たんぱく質が水性原液中に2〜10重量%含有されており、前記水性原液と前記液化ガスとの配合比が50/50〜10/90(重量比)である。
【選択図】図2

Description

本発明は、エアゾール組成物に関する。さらに詳しくは、たんぱく質と界面活性剤とを含有する水性原液と、液化ガスとからなるエアゾール組成物に関する。
特許文献1には、塗布後のべたつき感が少ない、噴射時シャーベット状をなすエアゾール組成物の技術が開示されている。
特許文献2には、塗布時のべたつき感を抑え、さらさら感を有するエアゾール組成物であって、肌に対して適した冷却温度が持続すると共に、顔へも適用可能なエアゾール組成物の技術が開示されている。
特許文献3には、噴射内容物がシャーベット状に氷結する粉末配合エアゾール組成物をハンカチまたはコットンに吹き付け、吹き付け部を肌に押し当てることにより、制汗および冷感を付与する方法が開示されている。
特開平11−5715号公報 特開2002−114633号公報 特開2002−114659号公報
特許文献1〜3の技術は、噴射物が薄く固い平面的なシャーベット状を呈するため、柔軟性が悪く、皮膚の熱により容易に割れて剥がれ落ちる、または流れ落ちるといった問題があり、たとえば関節などの曲面部分には、適用できないという問題がある。
本発明のエアゾール組成物は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、噴射物が柔軟なシャーベット状になり、皮膚への付着性に優れ、関節などの曲面部への適用が可能で、長時間付着して塗布部を持続して冷却させるエアゾール組成物を得ることを目的としている。
本発明にかかわるエアゾール組成物は、水性原液と液化ガスとからなるエアゾール組成物であって、前記水性原液がたんぱく質と界面活性剤とを含有し、前記たんぱく質が水性原液中に2〜10重量%含有され、前記水性原液と前記液化ガスとの配合比が50/50〜10/90(重量比)であることを特徴としている。
前記たんぱく質が、ゼラチンであることが好ましい。
本発明にかかわるエアゾール組成物により、皮膚などに噴射すると、噴射物が柔軟なシャーベット状になり、皮膚への付着性に優れ、関節などの曲面部への適用が可能で、長時間付着して塗布部を持続して冷却させることが可能である。
本発明のエアゾール組成物は、水性原液と液化ガスとからなるエアゾール組成物であって、前記水性原液がたんぱく質と界面活性剤とを含有し、前記たんぱく質が水性原液中に2〜10重量%含有され、前記水性原液と前記液化ガスとの配合比が50/50〜10/90(重量比)である。
なお、本発明において、前記たんぱく質は、たんぱく質加水分解物を含む概念である。
前記たんぱく質は、液化ガスの気化熱により冷却されて柔軟なシャーベットを形成し患部に長時間付着して冷却すると共に、適度な接着性を付与して、関節などの曲面部に塗布した際にも加えられる外力に対して噴射物を割れにくくし、塗布部から剥がれたり流れ落ちにくくする、などの効果を得る目的で用いられる。
前記たんぱく質の代表例としては、たとえばコラーゲン加水分解物、カチオン化加水分解コラーゲン、ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲン、ケラチン、ケラチン加水分解物、カチオン化加水分解ケラチン、エラスチン、エラスチン加水分解物、カゼイン、カゼインナトリウム、カゼイン加水分解物、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、その他大豆タンパク、小麦タンパク、グルテリン、ホエー粉末、フィブロイン、グルカゴン、卵白、非熱凝固卵白、卵白リゾチーム、アルブミンフィブリノーゲン、ヘモグロビン、グロブリンおよびこれらの加水分解物などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらたんぱく質やたんぱく質加水分解物およびそれらの誘導体のなかでは、とくに噴射物が柔軟なシャーベット状になりやすく、皮膚への接着性に優れることから、ゼラチンおよびゼラチン加水分解物が好ましい。
前記たんぱく質の配合量は、水性原液中2〜10重量%、さらには3〜8重量%であることが好ましい。たんぱく質の配合量が2重量%よりも少ない場合は噴射物が柔軟なシャーベット状になりにくく、また、接着性が不充分になる傾向があり、10重量%よりも多い場合は水性原液の粘度が高くなりすぎ液化ガスと混ざりにくく乳化が困難になり、乳化したとしてもエアゾール組成物の粘度が高くなるためスプレー状に噴射できなくなる。また、粘着性が高くなりすぎ、べたつくなど使用感が悪くなる傾向がある。
前記界面活性剤は、エアゾール容器内で水性原液と液化ガスとを乳化させる、前記たんぱく質と相まって、液化ガスの気化熱を噴射物に伝わりやすくして柔軟なシャーベットを形成しやすくする、などの目的で配合される。
前記界面活性剤としては、たとえば、モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;モノステアリン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;POEラノリンアルコールなどのポリオキシエチレンラノリンアルコール;POE硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;モノオレイン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;モノパルミチン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノイソステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POEソルビット、テトラステアリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;などのHLBが10〜19、好ましくは11〜18であるものがあげられる。HLBが10よりも小さい場合は、液化ガスが連続相になりやすく噴射物がシャーベット状になりにくく、HLBが19よりも大きい場合は液化ガスを乳化しにくくなる傾向がある。
前記界面活性剤の配合量は、水性原液中0.01〜10重量%、さらには0.1〜8重量%であることが好ましい。界面活性剤の配合量が0.01重量%よりも少ない場合は、水性原液と液化ガスとが乳化しにくくなり、噴射物がシャーベット状になりにくく、10重量%よりも多い場合は皮膚上で残りやすくなり使用感が低下する。
前記たんぱく質と界面活性剤を溶解する溶媒は水であり、水性原液の水性成分を構成する。またエアゾール容器内部では液化ガスと乳化し、噴射されると液化ガスの気化熱により冷却されてシャーベット状となる。
前記水としては、たとえば、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水などがあげられる。
前記水の配合量は、水性原液中50〜97重量%、さらには60〜95重量%であることが好ましい。水の配合量が50重量%よりも少ない場合は液化ガスと乳化しにくく、噴射物がシャーベット状になりにくく、97重量%よりも多い場合はたんぱく質を必要量配合しにくくなり噴射物が柔軟なシャーベット状になりにくい。
本発明に用いられる水性原液は、用途や目的などに応じて有効成分、アルコール類、たんぱく質以外の水溶性高分子、油分、粉体などを配合することができる。
前記有効成分としては、たとえば、クロタミトン、d−カンフルなどの鎮痒剤、サリチル酸メチル、インドメタシン、ピロキシカム、フェルビナク、ケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤;オキシコナゾール、クロトリマゾール、スルコナゾール、ビフォナゾール、ミコナゾール、イソコナゾール、エコナゾール、チオコナゾール、ブテナフィン、およびこれらの塩酸塩、硝酸塩、酢酸塩などの塩、などの抗真菌剤;酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;アラントイン、グリシルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤;塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、リドカイン、塩酸リドカインなどの局所麻酔剤;ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤;パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、感光素、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌消毒剤;l−メントール、カンフルなどの清涼剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤;ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジルなどの消臭剤;N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、カプリル酸ジエチルアミドなどの害虫忌避剤;グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;酸化亜鉛、酸化チタン、オクチルトリメトキシシラン被覆酸化チタンなどの紫外線散乱剤;レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、ジベンゾイルチアミン、リボフラビンおよびこれらの混合物などのビタミン類;アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤;シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;アルブチン、コウジ酸などの美白剤;天然香料、合成香料などの各種香料;などがあげられる。
前記有効成分の配合量は、水性原液中0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%配合される。有効成分の配合量が0.05重量%よりも少ない場合は、有効成分の効果が充分に発揮できない傾向があり、20重量%よりも多い場合は、有効成分濃度が高くなりすぎ、有効成分によっては人体へ悪影響を及ぼす場合がある。
前記アルコール類は、使用感を向上させるだけでなく、水に溶解しにくい有効成分を溶解するための溶媒として、また噴射したときの拡がりやすさや凍りやすさを調整してシャーベットの盛り上がり(立体感)を調整するなどの目的で用いられる。
前記アルコール類としては、たとえば、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数が2〜3個の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなどの2〜3価のポリオール、などがあげられる。
前記アルコール類を配合する場合の配合量は、水性原液中1〜30重量%であることが好ましく、さらには3〜25重量%であることが好ましい。前記アルコール類の配合量が1重量%よりも少ない場合は前述の効果が得られにくく、30重量%を超える場合は水性原液と液化ガスとが乳化しにくく、噴射物が凍りにくくなってシャーベット状になりにくくなる。
前記たんぱく質以外の水溶性高分子は、水性原液の粘度を調整する、噴射物の固さを調整する、などの目的で用いられる。
前記たんぱく質以外の水溶性高分子としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ニトロセルロース、結晶セルロースなどのセルロース系高分子;キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガムなどのガム質;デキストラン、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ペクチン、デンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、アルギン酸ナトリウム、変性ポテトスターチ、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーなどの水溶性高分子;などがあげられる。
前記たんぱく質以外の水溶性高分子は、水性原液中に0.05〜10重量%含有され、0.1〜5重量%含有することが好ましい。水溶性高分子の含有量が0.05重量%未満の場合は、前述の効果が得られにくく、10重量%を超える場合は水性原液の粘度が高くなりすぎ、液化ガスと乳化するときに手間がかかり、さらに使用感が低下する。
前記油分は、水性原液と液化ガスとの乳化状態を調整する、皮膚への接着性を調整するなど噴射物の状態を調整する、などの目的で用いられる。
前記油分としては、たとえば、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、イソパラフィンなどの炭化水素油;アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、乳酸セチル、ステアリン酸イソセチル、セトステアリルアルコール、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのエステル油;メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコール;アボガド油、マカダミアナッツ油、シア脂、オリーブ油、ツバキ油などの油脂;ミツロウ、ラノリンロウなどのロウ類;などがあげられる。
前記油分の配合量は、水性原液中1〜20重量%、さらには3〜15重量%であることが好ましい。油分の配合量が1重量%よりも少ない場合は、油分を配合する効果が得られにくく、20重量%よりも多い場合は乾燥性が悪くなるなど、使用感が低下する。
前記粉体は、水性原液と液化ガスとを乳化しやすくする、乳化安定性を向上させるなど、乳化補助剤として用いられる。また、粉体自体が有効成分として作用したり、他の有効成分を担持する担体、付着剤などとしても用いられる。
前記粉体としては、たとえば、タルク、酸化亜鉛、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、窒化ホウ素などがあげられる。
前記粉体の配合量は、水性原液中0.1〜5重量%、さらには0.3〜3重量%であることが好ましい。粉体の配合量が0.1重量%よりも少ない場合は、粉体を配合する効果が得られにくく、5重量%よりも多い場合はバルブや吐出部材の吐出孔で詰まりやすくなる。また静置した状態で長期間保存した場合、粉体が容器底部で固まりやすくなり(ケーキング)、均一な組成物を吐出し難くなる。
本発明に用いられる水性原液は、たんぱく質、界面活性剤、必要に応じて配合される有効成分などを水やアルコール類に溶解させて調製する。なお、水性原液は、必要に応じて油成分を乳化させたり、粉体を分散させてもよい。
前記液化ガスは、エアゾール容器内では液体であり、水性原液と乳化して乳化物を形成する。大気中に噴射されると気化し、気化熱により噴射物を冷却して柔軟なシャーベット状にする。
前記液化ガスとしては、たとえば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物である液化石油ガス、ジメチルエーテル、前記液化石油ガスとジメチルエーテルの混合物などがあげられる。
前記液化ガスのうち、水性原液と乳化しやすく安定性に優れており、噴射物が柔軟なシャーベット状になりやすい点から、液化石油ガスを液化ガス中に60重量%以上、さらには70重量%以上含有するものを用いることが好ましい。
本発明のエアゾール組成物は、たとえば、耐圧容器に水性原液を充填し、次いで液化ガスをアンダーカップ充填などで充填したのちバルブを固着し、エアゾール容器を振とうして水性原液と液化ガスとを乳化させることにより調製することができる。
前記水性原液と液化ガスとの配合比(重量比)は50/50〜10/90であり、45/55〜15/85であることが好ましい。配合比が50/50よりも大きい場合は、すなわち、液化ガスの配合量がエアゾール組成物中50重量%よりも少ない場合は、液化ガスの冷却能力が不充分であり、噴射物がシャーベット状になりにくく、また、配合比が10/90よりも小さい場合、すなわち、液化ガスの配合量が90重量%よりも多い場合は液化ガスを乳化しにくく、乳化が不安定になりやすい。
なおエアゾール組成物の圧力を調整するために、加圧剤として炭酸ガス、チッ素ガス、圧縮空気、酸素ガスなどの圧縮ガスを用いることができる。
本発明のエアゾール組成物は噴射物が柔軟なシャーベット状になり、皮膚に接着するのに適した粘着性を有するため、やけど治療薬、消炎鎮痛剤、鎮痒剤、皮膚保護剤、抗真菌剤、制汗剤、収斂剤、ほてり止めなど、皮膚に付着させる製品に好適に用いることができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
評価方法を下記に示す。
1)乳化
水性原液と液化ガスを充填した透明な耐圧容器(ポリエチレンテレフタレート製)を上下に振り、水性原液と液化ガスが乳化するのを目視観察し、それに要した回数を下記の水準に基づき評価した。
○:20回以内に乳化した。
△:20〜30回で乳化した。
×:30回振っても乳化しない。
2)噴射状態
得られたエアゾール組成物を25℃の恒温水槽中に1時間浸漬し、人工皮革に噴射したときの噴射状態を下記の水準に基づき評価した。
○1:スプレー状に噴射することができ、噴射物は指で押しても割れない柔軟で立体的なシャーベットを形成した。
○2:スプレー状に噴射することができ、噴射物は指で押しても割れない柔軟で平面的なシャーベットを形成した。
×1:スプレー状に噴射することができたが、噴射物は指で押すと割れる固いシャーベットを形成した。
×2:スプレー状に噴射することができたが、噴射物は発泡しシャーベットにならなかった。
×3:水性原液と液化ガスが分離した状態で噴射された。
×4:スプレー状に拡がらなかった。
3)噴射物の付着性
垂直に立てた人工皮革に噴射して、剥がれ落ちるまたは流れ落ちるまでの時間を測定した。
○:3分以上保持することができた。
△:保持時間が1分以上3分未満であった。
×:保持時間が1分未満であった。
実施例1
下記の水性原液を調製し、水性原液25gをアルミニウム製耐圧容器に充填した。アンダーカップ充填により液化石油ガス(*1)75gを充填し、耐圧容器の開口部にエアゾールバルブをクリンプした。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化石油ガスとを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお、エアゾールバルブはステム孔がφ0.4、ハウジングのアンダータップがφ1.5、ベーパータップがφ0.3であるものを用い、噴射部材は噴射孔がφ1.1であるものを用いた。評価結果を表1に示す。
<水性原液>
ゼラチン 5.0
l−メントール 0.3
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*2) 1.0
メチルパラベン 0.1
95%エタノール 2.5
タルク 1.0
精製水 90.1
合 計 100.0(重量%)
<エアゾール組成物>
水性原液/液化石油ガス(*1)=25/75(重量比)
*1:イソブタンとノルマルブタンの混合物、20℃での蒸気圧が0.15(MPa)
*2:NIKKOL PBC−44(商品名)、HLB12.5、日光ケミカルズ社製
実施例2
ゼラチンの配合割合を7%、精製水の配合割合を88.1%にしたほかは、実施例1と同じ配合で調製し、エアゾール組成物を製造した。評価結果を表1に示す。
実施例3
ゼラチンの配合割合を3%、精製水の配合割合を92.1%にしたほかは、実施例1と同じ配合で調製し、エアゾール組成物を製造した。評価結果を表1に示す。
実施例4
水性原液を20g、液化石油ガス(*1)80g充填したほかは、実施例1と同じ配合で調製し、エアゾール組成物を製造した。評価結果を表1に示す。
実施例5
水性原液を30g、液化石油ガス(*1)70g充填したほかは、実施例1と同じ配合で調製し、エアゾール組成物を製造した。評価結果を表1に示す。
実施例6
水性原液を40g、液化石油ガス(*1)60g充填したほかは、実施例1と同じ配合で調製し、エアゾール組成物を製造した。評価結果を表1に示す。
実施例7
エタノールを配合せず、精製水の配合割合を92.6%にしたほかは、実施例1と同じ配合で調製し、エアゾール組成物を製造した。評価結果を表1に示す。
比較例1
ゼラチンを配合せず、精製水の配合割合を95.1%にしたほかは、実施例1と同じ配合で調製し、エアゾール組成物を製造した。評価結果を表1に示す。
比較例2
ゼラチンの配合割合を1%、精製水の配合割合を94.1%にしたほかは、実施例1と同じ配合で調製し、エアゾール組成物を製造した。評価結果を表1に示す。
比較例3
ゼラチンの配合割合を12%、精製水の配合割合を83.1%にしたほかは、実施例1と同じ配合で調製し、エアゾール組成物を製造した。評価結果を表1に示す。
比較例4
ゼラチンの代わりにヒドロキシエチルセルロース(*3)を1%、精製水の配合割合を94.1%にしたほかは、実施例1と同じ配合で調製し、エアゾール組成物を製造した。評価結果を表1に示す。
*3:HEC SE850(商品名)、ダイセル化学工業社製
比較例5
ゼラチンの代わりにキサンタンガム(*4)を1%、精製水の配合割合を94.1%にしたほかは、実施例1と同じ配合で調製し、エアゾール組成物を製造した。評価結果を表1に示す。
*4:エコーガム(商品名)、大日本製薬社製
比較例6
ゼラチンの代わりにカルボキシビニルポリマー(*5)を0.1%、トリエタノールアミンを0.1%、精製水を94.9%配合したほかは、実施例1と同じ配合で調製し、エアゾール組成物を製造した。評価結果を表1に示す。
*5:カーボポール940(商品名)、BF Goodrich社製
比較例7
水性原液を5g、液化石油ガス(*1)95g充填したほかは、実施例1と同じ配合で調製し、エアゾール組成物を製造した。評価結果を表1に示す。
比較例8
水性原液を60g、液化石油ガス(*1)40g充填したほかは、実施例1と同じ配合で調製し、エアゾール組成物を製造した。評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、本願発明のエアゾール組成物(実施例1〜6)はスプレー状に噴射することができ、噴射物は立体的なシャーベット状になって付着した。また噴射物は弾力を有し柔軟なシャーベットであり、粘着性を有するため付着性に優れている。また、実施例7はスプレー状に噴射することができ、噴射物は平面的なシャーベット状になって付着した。また噴射物は柔軟性を有し、粘着性を有するため付着性に優れている。一方、ゼラチンの配合量が2%以下である比較例1と2は固いシャーベットになり、柔軟性がなく指で押すと割れた。ゼラチンの配合量が10%以上である比較例3は水性原液と液化ガスとが乳化しにくく、噴射してもスプレー状にならなかった。また、ゼラチン以外の水溶性高分子を使用し、水性原液の粘度を実施例1と同程度にした比較例4〜6は、いずれも柔軟なシャーベットにはならなかった。水性原液と液化ガスの配合比が10/90よりも小さい比較例7は、水性原液と液化ガスとが乳化しにくく分離した状態で噴射された。水性原液と液化ガスの配合比が50/50よりも大きい比較例8は、発泡してシャーベット状にならなかった。
以下、添付図面に沿って本願発明のエアゾール組成物を説明する。
図1は、本発明のエアゾール組成物の実施例1におけるエアゾール組成物の噴射状態の経時変化を説明するための説明図であり、図1(a)は噴射直後、図1(b)は噴射1分後の噴射物の状態、図1(c)は、3分後の噴射物の状態である。図2は、本発明のエアゾール組成物の実施例1におけるエアゾール組成物の噴射物の付着性を説明するための説明図であり、図2(a)は、噴射直後の状態、図2(b)は、指で押圧する様子の説明図、図2(c)は、押圧後の状態を説明する説明図である。図3は、比較例1におけるエアゾール組成物の噴射状態の経時変化を説明するための説明図であり、図3(a)は、噴射直後、図3(b)は、噴射1分後の状態である。図4は、比較例1におけるエアゾール組成物の噴射物の付着性を説明するための説明図であり、図4(a)は、噴射直後、図4(b)は、指で押圧する様子の説明図、図4(c)は、押圧後の状態を説明する説明図である。
噴射物の状態について、図1(a)〜(c)に示されるように、実施例1のエアゾール組成物の噴射物1は、噴射後も形状が変化することなく、噴射直後の形状を維持していた。一方、図3(a)、図3(b)に示されるように、比較例1のエアゾール組成物の噴射物2は、噴射直後より形状を維持することができず、下方向へ流れ始め、噴射1分後には大幅に流れ落ちた。
次に、噴射物の付着性について、図2(a)〜(c)に示されるように、実施例1のエアゾール組成物の噴射物1(押圧するために平坦部1aに対して突出部1bを形成するよう噴射)について、指で突出部1bを押圧したとき(図2(b)参照)、突出部1bは形状が破壊されること無く形状が曲げられた。また、押圧後(図2(c)参照)は、形状が回復した(図2(c)参照)。一方、図4(a)〜(c)に示されるように、比較例1のエアゾール組成物の噴射物2は、指で押圧したとき(図4(b)参照)、比較例1のエアゾール組成物の噴射物2は弾力性を有さないため、ヒビ3を生じた。また、押圧後は(図4(c)参照)、ヒビ3は回復せず、形状が破壊されたままであった。
次に処方例を示す。
処方例1(やけど治療薬)
下記の原液を調製し、原液30gをアルミニウム製耐圧容器に充填した。アンダーカップ充填により液化石油ガス70gを充填し、耐圧容器の開口部にエアゾールバルブをクリンプした。次いでエアゾール容器を上下に振り、原液と液化石油ガスとを乳化させてエアゾール組成物を製造した。
<原液>
ゼラチン 5.0
ブフェキサマック 0.2
リドカイン 0.1
アクリノール 0.1
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*2) 1.5
酸化亜鉛 3.0
タルク 1.0
メチルパラベン 0.1
精製水 89.0
合 計 100.00(重量%)
<エアゾール組成物>
原液/液化石油ガス(*1)=30/70(重量比)
処方例2(かゆみどめ)
下記の原液を使用した以外は処方例1と同様にして、エアゾール組成物を製造した。
<原液>
ゼラチン 5.0
尿素 10.0
塩酸ジフェンヒドラミン 1.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.5
酢酸トコフェロール 0.5
メチルパラベン 0.1
エタノール 10.0
製水 72.9
合 計 100.0(重量%)
<エアゾール組成物>
原液/液化石油ガス(*1)=30/70(重量比)
処方例3(消炎鎮痛剤)
下記の原液を使用した以外は処方例1と同様にして、エアゾール組成物を製造した。
<原液>
ゼラチン 5.0
フェルビナク 1.0
l−メントール 0.5
エタノール 5.0
トリエタノールアミン 1.0
精製水 87.5
合 計 100.0(重量%)
<エアゾール組成物>
原液/液化石油ガス(*1)=30/70(重量比)
以上、本発明のエアゾール組成物によれば、皮膚などに噴射すると、噴射物が柔軟なシャーベット状になり、皮膚への付着性に優れ、関節などの曲面部への適用が可能で、長時間付着して塗布部を持続して冷却させることが可能なエアゾール組成物を得ることができる。噴射物が立体的なシャーベットを形成する場合は、皮膚からの熱が伝わりにくく、長時間シャーベットの状態を維持することができる。噴射物が平面的なシャーベットを形成する場合は、曲面部であっても剥がれにくく付着性に優れる。
本発明のエアゾール組成物の実施例1におけるエアゾール組成物の噴射状態の経時変化を説明するための説明図である。 本発明のエアゾール組成物の実施例1におけるエアゾール組成物の噴射物の付着性を説明するための説明図である。 比較例1におけるエアゾール組成物の噴射状態の経時変化を説明するための説明図である。 比較例1におけるエアゾール組成物の噴射物の付着性を説明するための説明図である。
符号の説明
1、2 噴射物
1a 平坦部
1b 突出部
3 ヒビ

Claims (2)

  1. 水性原液と液化ガスとからなるエアゾール組成物であって、
    前記水性原液がたんぱく質と界面活性剤とを含有し、
    前記たんぱく質が、水性原液中に2〜10重量%含有され、
    前記水性原液と前記液化ガスとの配合比が50/50〜10/90(重量比)であるエアゾール組成物。
  2. 前記たんぱく質が、ゼラチンである請求項1記載のエアゾール組成物。
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