JP2009252546A - 紫外線用放電ランプおよびこれを備えたランプユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】光センサの蛍光体の水分やオゾンによる劣化を防止すると共に、光センサに入射される大気による紫外線の変動を防止することを可能にしたエキシマランプおよびそのエキシマランプを備えたランプユニットを提供することにある。
【解決手段】発光ガスが封入された放電空間54を有する誘電体からなる放電容器51と、該放電容器51と前記放電空間54を介して対向させた電極52,53と、からなる紫外線用放電ランプ5において、該紫外線用放電ランプ5の周辺のガス雰囲気の変動の影響を受けない当該紫外線用放電ランプ5の任意の領域に、受光した紫外線を可視光に変換する蛍光ガラス56を設けたことを特徴とする紫外線用放電ランプである。
【選択図】図2

Description

本発明は、紫外線用放電ランプおよびこれを備えたランプユニットに係わり、特に、エキシマランプ等の紫外線用放電ランプから放射される真空紫外線等の紫外線を可視光に変換する機能を備えた紫外線用放電ランプおよびこれを備えたランプユニットに関する。
従来、半導体基板や液晶基板の製造工程には、基板の洗浄を目的として真空紫外線を照射するエキシマランプを備えた紫外線照射装置が用いられる。この紫外線照射装置は、エキシマランプを内部に搭載するランプユニットを備え、ランプユニットに、エキシマランプの強度を測定する光センサを備えたものがある。その光センサは、エキシマランプからの真空紫外線を可視光に変換する変換部材と、可視光を検知する光検知素子とからなる。特許文献1および特許文献2には、光センサおよびこれを備えたランプユニットについて記載されている。
図19は、従来技術に係る、エキシマランプ107の長手方向に対して直交する切断面から見た紫外線照射装置100の構成を示す断面図である。
同図に示すように、この紫外線照射装置100は、エキシマランプ107を具備するランプユニット101(図上部)と、半導体基板や液晶基板等からなる被照射物Wを搬送する搬送機構102(図下部)とから構成されている。ランプユニット101は、複数のエキシマランプ107と、エキシマランプ107を略取り囲むと共に下方が開口された筐体103と、前記開口に蓋をすると共に真空紫外線A2を透過する、例えば、石英ガラスからなる光照射窓109と、エキシマランプ107と光センサ108との間に設けられた隔壁104と、エキシマランプ107に対向する隔壁104の一部に設けられた貫通孔105に配置された光センサ108とから構成されている。さらに、筐体103の側壁には、ガス導入管106が設けられ、ランプ点灯時、筐体103の内部に、例えば、窒素ガスのような不活性ガスを流入させる。また、搬送機構102は、ランプユニット101の筐体103を載置すると共に、内部に並列配置された複数のローラ110と、各ローラ110の両端に設けられると共にローラ110を回転駆動させる駆動体111とから構成されている。
図20は、図19に示したランプユニット101に具備されたエキシマランプ107の構成を示す図であり、図20(a)は、直方体状に形成されたエキシマランプ107の斜視図、図20(b)は、エキシマランプ107の放電容器115の管軸方向に対して直交するE−E面から見た断面図である。
これらの図に示すように、このエキシマランプ107は、6面構造からなる直方体の放電容器115と、放電容器115の6面構造のうち対向する上下両面上に1対の外部電極113,114が設けられている。放電容器115は、長方形の板状部材の4枚を各長辺の端面を順次接続して構成された4面構造の筒状体に、その長手方向の両端を長方形の板状部材からなる端壁部112で封止されて構成されている。放電容器115は、誘電性を有すると共に真空紫外線を透過する、例えば、石英ガラスからなり、放電容器115の放電空間116には、例えば、キセノン(Xe)ガスのような希ガスが発光ガスとして封入されている。1対の外部電極113,114は、例えば、銅と低融点ガラスとを混合した導電性ペーストを放電容器115の上下両面上に網状に塗布し焼成して形成されている。1対の外部電極113,114は、放電容器115の長手方向に沿って設けられることにより、誘電体からなる放電容器115の上下両面と放電空間116とを介して対向される。1対の外部電極113,114には、高周波電源が接続され、ランプ点灯時、一方の外部電極113に高周波の高電圧が印加され、他方の外部電極114が接地される。
図21は、図19に示したランプユニット101に具備された光センサ108の構成を示す断面図である。
同図に示すように、光センサ108は、6面構造からなる直方体からなり、この直方体の一面に内部空間に貫通するエキシマランプ107からの真空紫外線を取り込む開口部124を有する箱体117と、箱体117内部に配置され開口部124から箱体117内に入射された真空紫外線を可視光に変換する変換体119と、箱体117内部に配置され変換体119で変換れた可視光を検知する光検知素子122とから構成されている。さらに、箱体117から、光検知素子122が可視光を検知したときに発生する電気信号を流すケーブル123が引き出されている。変換体119は、真空紫外線を透過する、例えば、石英ガラスからなる光導入窓118と、光導入窓118を透過した真空紫外線を可視光に変換する蛍光体119と、蛍光体119で変換された可視光を透過する、例えば、ソーダガラスからなる光導出窓120とから構成されている。光導入窓118と光導出窓120は板状からなり、これらに蛍光体119が挟まれ、かしめ部材121により固定されて変換体119として構成されている。光センサ108の役割は、エキシマランプ107の紫外線の強度を測定するものであり、これに基づいてエキシマランプ107の真空紫外線の強度が基準値に対して適切か、または大き過ぎたり小さ過ぎたりしないかを判定する。
この紫外線照射装置100のランプ点灯時の動作を図19ないし図21を用いて説明する。
ランプ点灯時、エキシマランプ107の1対の外部電極113,114に、高周波の高電圧が印加されると、放電容器115の放電空間116に封入された発光ガスが電離されてエキシマ発光が開始される。放電空間116で発生したエキシマ発光からは200nm以下の波長からなる真空紫外線が放射され、この真空紫外線が光透過性の放電容器115を透過し、網状の外部電極113の網目からなる開口部から外部に放射される。ランプユニット101の筐体103内部は、ガス導入管106から導入された不活性ガスで置換されるので、エキシマランプ107からの真空紫外線は酸素に吸収されることなく、筐体103の内部から放射することができる。放射された真空紫外線は、光照射窓109を通って、搬送機構102側に透過される。搬送機構102のローラ110によって搬送された被照射物Wが光照射窓109に対向すると、光照射窓109を透過した真空紫外線が被照射物Wに照射される。搬送機構102の内部は、大気状態であるため、光照射窓109を透過した真空紫外線は酸素に吸収されるが、搬送された被照射物Wを光照射窓109に近接させることにより、真空紫外線は酸素に全てが吸収されことなく、被照射物Wを照射することができる。
エキシマランプ107から放射される真空紫外線の一部は、筐体103の内部を通って、光センサ108にも入射される。この真空紫外線は、光センサ108の箱体117に設けた開口部124から内部に取り込まれ、開口部124に対向配置された変換体119の光導入窓118に入射する。光導入窓118を透過した真空紫外線は蛍光体119により可視光に変化され、可視光は光導出窓120を透過する。光導出窓120を透過した可視光は、光導出窓120に対向配置された光検知素子122に入射される。光検知素子122は可視光を検知して、電気信号に換え、光検知素子122に接続されたケーブル123から電気信号として外部に伝達される。
図19に示した紫外線照射装置100は、エキシマランプ107と被照射物Wとの間に光照射窓109を介在させているが、真空紫外線を透過する光照射窓109は非常に高価であることから、光照射窓109を設けない紫外線照射装置も従来存在している。
図22は、エキシマランプ107の長手方向に対して直交する切断面から見た、光照射窓が設けられていない紫外線照射装置100の構成を示す断面図である。
同図に示すように、この紫外線照射装置100も、エキシマランプ107を具備するランプユニット101(図上部)と、被照射物Wを搬送する搬送機構102(図下部)とから構成されている。ランプユニット101は、複数のエキシマランプ107と、エキシマランプ107を略取り囲むと共に下方面が開口された筐体103と、エキシマランプ107と光センサ108との間に設けた隔壁104と、エキシマランプ107に対向する隔壁104の一部に設けた貫通孔105に配置された光センサ108とから構成されている。隔壁104のエキシマランプ107に対向する面には、エキシマランプ107の長手方向に沿って伸びるガス導入管123が設けられ、ランプ点灯時、筐体103の内部に、例えば、窒素ガスのような不活性ガスが導入される。なお、エキシマランプ107、光センサ108、および搬送機構102は、それぞれ図20に示したものと同様に構成されているので、説明を省略する。
この紫外線照射装置100のランプ点灯時の動作を図22を用いて説明する。
ランプ点灯時、エキシマランプ107の1対の外部電極113,114に、高周波の高電圧が印加されると、放電容器115の放電空間116に封入された発光ガスが電離されてエキシマ発光が開始される。放電空間116で発生したエキシマ発光からは200nm以下の波長からなる真空紫外線が放射され、この真空紫外線が光透過性の放電容器115を透過し、網状の外部電極113の網目からなる開口部から外部に放射される。この紫外線照射装置100は、光照射窓を備えていないので、エキシマランプ107と搬送機構102のローラ109が対向配置されることから、筐体103の内部には、ランプ点灯時においても大気が流入される。エキシマランプ107から照射された真空紫外線は、筐体103の下方開口面を通って、搬送機構102側に放射される。搬送機構102のローラ110には、被照射物Wが搬送され、エキシマランプ107に対向される。筐体103の開口部を通った真空紫外線は、被照射物Wに照射される。被照射物Wは大気状態下にあり、エキシマランプ107から放射された真空紫外線は、酸素に吸収されるが、被照射物Wとエキシマランプ107の放電容器115とを近接させることにより、真空紫外線が酸素に全て吸収されることなく被照射物Wを照射することができる。
エキシマランプ107から照射された真空紫外線の一部は、筐体103の内部を通って、光センサ108側にも放射される。筐体103の内部は、筐体103の下方開口面から大気が流入されるが、ガス導入管125から不活性ガスが導入されるので、筐体103内に流入された大気中の酸素にエキシマランプ107から放射された真空紫外線が吸収されることを抑制することができる。光センサ108に入射された真空紫外線は、筐体103の内部に存在する大気中の酸素に一部吸収されて、光センサ108に入射される。なお、光センサ108への紫外線入射後の動作は、図20に示した紫外線照射装置の光センサ108と同様であるので、説明を省略する。
特許第3127750号公報 特開平9−210771号公報
図19および図22に示した紫外線照射装置100においては、エキシマランプ107を点灯していない状態においては、ガス導入管106,125から窒素等の不活性ガスが導入されず、筐体103内が大気状態になることがある。そのため、光センサ108の蛍光体119が残留する水分や酸素等により劣化する問題がある。また、蛍光体119は、箱体117と一体となるように設けられていることから、蛍光体119を交換するためには、劣化していない光検知素子122をも交換しなければならない問題もあった。
また、図22に示した紫外線照射装置100においては、光センサ108の箱体117の内部には大気が存在するため、エキシマランプ107からの真空紫外線を箱体117の開口部124から内部に取り込むと、箱体117内部の大気中の酸素に真空紫外線が吸収されてオゾンが発生する。このオゾンによって、箱体117内部に設けた蛍光体119が曝されて劣化する問題があり、エキシマランプ107のランプ寿命よりも蛍光体119の寿命の方が短いといった問題があった。
さらに、図22に示した紫外線照射装置100においては、筐体103の下方開口面から大気が流入するが、被照射物Wの搬送によって、その大気の流入が一定ではなく、エキシマランプ107と光センサ108との間に介在する大気の濃度が、被照射物Wの搬送により随時変動し、エキシマランプ107から光センサ108に放射される真空紫外線の大気中における酸素への吸収量も随時変動する。そのため、筐体103の下方開口された紫外線照射装置100においては、エキシマランプ107と被照射物Wとの間は近接されているので、エキシマランプ107から被照射物Wへの真空紫外線の強度は変動していないにも拘わらず、エキシマランプ107から光センサ108に入射される真空紫外線が酸素への吸収量により変動してしまい、エキシマランプ107から被照射物Wに入射される真空紫外線の強度と、光センサ108に入射される真空紫外線の強度が対応しない問題があった。
本発明の目的は、上記の問題点に鑑みて、光センサの蛍光体の水分やオゾンによる劣化を防止すると共に、光センサに入射される大気による紫外線の変動を防止することを可能にした紫外線用放電ランプおよびその紫外線用放電ランプを備えたランプユニットを提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような手段を採用した。
第1の手段は、発光ガスが封入された放電空間を有する誘電体からなる放電容器と、該放電容器と前記放電空間を介して対向させた電極と、からなる紫外線用放電ランプにおいて、該紫外線用放電ランプの周辺のガス雰囲気の変動により放電容器からの紫外線の量が変動しない当該紫外線用放電ランプの任意の領域に、前記受光した紫外線を可視光に変換する蛍光ガラスを設けたことを特徴とする紫外線用放電ランプである。
第2の手段は、第1の手段において、前記電極に網目を形成または前記電極に無電極部を形成し、前記蛍光ガラスは、前記網目または前記無電極部に対向することを特徴とする紫外線用放電ランプである。
第3の手段は、第1の手段において、前記放電容器の外方を覆うと共に当該放電容器から出射した紫外線を透過する流路管を備え、前記蛍光ガラスは、前記流路管の表面に設けられていることを特徴とする紫外線用放電ランプである。
第4の手段は、第1の手段において、前記放電容器は、管状に形成され、前記蛍光ガラスは、前記放電容器の長手方向における端壁部に設けられていることを特徴とする紫外線用放電ランプである。
第5の手段は、第1の手段において、前記蛍光ガラスは、前記放電容器の内面に設けられていることを特徴とする紫外線用放電ランプである。
第6の手段は、第1の手段において、前記蛍光ガラスは、前記放電容器の壁面の一部を構成するように設けられていることを特徴とする紫外線用放電ランプである。
第7の手段は、第1の手段ないし第5の手段のいずれか1つの手段において、前記蛍光ガラスの紫外線用放電ランプに対向する面の形状が、前記紫外線用放電ランプの外面形状と合うように形成されていることを特徴とする紫外線用放電ランプである。
第8の手段は、紫外線用放電ランプと可視光を受光する光センサを筐体内に設けたランプユニットにおいて、前記紫外線用放電ランプが、前記第1の手段ないし第7の手段のいずれか1つの手段に記載の紫外線用放電ランプであって、前記蛍光ガラスが、出射した可視光が前記光センサで受光されるように設置されていることを特徴とするランプユニットである。
第9の手段は、第8の手段において、前記蛍光ガラスの前記光センサに対向する光出射面が、凸状に形成されていることを特徴とするランプユニットである。
請求項1に記載の発明によれば、蛍光ガラスは、紫外線用放電ランプの周辺のガス雰囲気の変動の影響を受けないで、紫外線を可視光に変換することができる。
請求項2に記載の発明によれば、放電容器と放電空間を介して対向させた網状電極に蛍光ガラスを設けても、蛍光ガラスは、放電空間から十分な真空紫外線を受光でき、好適に可視光に変換することができる。
請求項3に記載の発明によれば、流路管の内部には真空紫外線をほとんど吸収しない不活性ガスが流通させるので、流路管に設けた蛍光ガラスは、放電空間から十分な真空紫外線を受光でき、好適に可視光に変換することができる。
請求項4に記載の発明によれば、放電容器が管状に形成されていても、放電空間で発生したエキシマ発光による真空紫外線は、端壁部以外における内面の単位面積の光強度と比べて、端壁部における内面の単位面積の光強度の方が大きいので、端壁部に設けた蛍光ガラスは、放電空間から十分な真空紫外線を受光でき、好適に可視光に変換することができる。
請求項5に記載の発明によれば、放電容器の内面に蛍光ガラスを設けても、蛍光ガラスは放電空間から十分な真空紫外線を受光でき、好適に可視光に変換することができる。
請求項6に記載の発明によれば、放電容器の壁面の一部を蛍光ガラスとなるように構成しても、蛍光ガラスは放電空間から十分な真空紫外線を受光でき、好適に可視光に変換することができる。
請求項7に記載の発明によれば、放電容器から照射される紫外線が蛍光ガラスに好適に入射させることができ、紫外線を蛍光ガラスにより好適に可視光に変換することができる。
請求項8に記載の発明によれば、光照射窓を設けない場合、ランプユニットの下方面の開口部から内部に大気が流入しても、蛍光ガラスにより、真空紫外線を速やかに可視光に変換しているので、真空紫外線の大気への吸収を防止することができる。さらに、ランプユニットの下方開口面には被照射物が搬送されることにより、ランプユニット内部に大気が流入され、酸素濃度が変動しても、酸素濃度の変動の影響を受けることなく、蛍光ガラスにより変換された可視光を光センサにより好適に検知することができる。また、光照射窓を設けまたは設けない場合、エキシマランプを点灯していない状態においては、ランプユニット内に窒素等の不活性ガスが導入されず、大気状態になっても、蛍光ガラス内の蛍光体は残留する水分や酸素等により劣化されることがない。さらに、蛍光ガラスは、光センサと別体に設けられているので、蛍光ガラスを交換するために、劣化していない光センサ内の光検知素子をも交換しなければならない問題もなくなる。
請求項9に記載の発明によれば、蛍光ガラスにより変換された可視光に指向性を持たせることができ、光センサにおいて蛍光ガラスからの可視光を好適に検知することができる。
本発明の第1の実施形態を図1ないし図3を用いて説明する。
図1は、本実施形態の発明に係るランプユニット2を具備し、エキシマランプ5の長手方向に対して直交する切断面から見た紫外線照射装置1の構成を示す断面図である。
同図に示すように、紫外線照射装置1は、箱状に構成された筐体4内に紫外線用放電ランプとしてのエキシマランプ5と光センサ6とを備えるランプユニット2(図上方)と、ランプユニット2を載置すると共に被照射物Wを搬送する搬送機構3(図下方)とから構成されている。
より詳細には、ランプユニット2は、エキシマランプ5と、エキシマランプ5に設けられた蛍光ガラス56から放射される可視光A1を受光する光センサ6と、エキシマランプ5と光センサ6とを収納すると共に支持する筐体4とから構成されている。また、搬送機構3は、ランプユニット2の筐体4を載置すると共に、内部に並列配置された複数のローラ31と各ローラ31を回転駆動させる駆動体32とを備えている。搬送機構3の搬入口33から搬入された被照射物Wは、ローラ31上に載置され、ローラ31が回転駆動されることにより、エキシマランプ5の直下に搬入される。エキシマランプ5から放射された真空紫外線A2は、光照射窓42を介して、被照射物Wに照射される。被照射物Wは、光照射窓42に近接されるので、真空紫外線が酸素に全て吸収されることなく、被照射物Wを十分に照射することができる。真空紫外線が照射された被照射物Wは搬出口34から搬出される。
図2(a)は、図1に示したエキシマランプ5の拡大斜視図、図2(b)は図2(a)のA−A切断面から見たエキシマランプ5の断面図、図2(c)は、図1に示した光センサの拡大断面図である。
図2(a)、(b)に示すように、エキシマランプ5は、管状の、例えば、直方体状の、例えば、石英ガラス体からなる放電容器51を有し、放電容器51は真空紫外線を放射する石英ガラスから構成され、その長手方向に対して垂直方向の断面が長方形である。放電容器51の内部には、例えば、キセノンガスが封入される。放電容器51の上下両面には、放電容器51の長手方向に亘って高周波電源に接続された一対の外部電極52,53が設けられている。外部電極52,53は、例えば、銅と低融点ガラスとを混合した導電性ペーストを放電容器51の外面に網状に塗布して焼成することによって形成される。蛍光ガラス56は、エキシマランプ5の一方の外部電極52の網目からなる開口部57に対向する位置に封着材57によって固定される。ここで、外部電極52,53は、放電容器51上にスクリーン印刷で形成される。そのため、外部電極52,53の厚さは極めて薄く、開口部57の高さも非常に低いものとなり、真空紫外線がエキシマランプ5の周辺のガス雰囲気の変動を受けない任意の領域とすることができる。
なお、図示されていないが、蛍光ガラス56は、エキシマランプ5の一方の外部電極52の網目からなる開口部57に対向する位置に封着材57によって固定する以外に、放電容器51上の一方の網状の外部電極52の一部に外部電極52が除去された無電極部を形成し、この無電極部に対向する位置に封着材57によって固定するようにしてもよい。
図2(c)に示すように、光センサ6は、エキシマランプ5に取り付けられた蛍光ガラス56からの放射された可視光A1を取り込む開口部611を有す箱体61と、開口部611から箱体61の内部に取り込まれた可視光A1を検知する光検知素子62とから構成されている。
ここで用いられる蛍光ガラスとは、特許庁編「技術動向シリーズ 特許からみたガラス技術」発明協会発行、昭和53年11月1日、144頁〜145頁に記載される蛍光ガラスの中で、真空紫外線を受けて蛍光を発するガラスであり、例えば、シリカ(SiO)を主成分とするガラス中に希土類元素(Tb、Eu)等の蛍光物質を1%程度分散させたものである。この蛍光ガラスは、ガラス母体を溶融して、蛍光物質である、例えば、希土類元素を微量添加することによって形成することができる。このように形成された蛍光ガラスは、その希土類元素がガラス母体中で特定のイオン状態を保つようになり、このイオンが真空紫外線をうけて蛍光を発する。この蛍光ガラスは、例えば、172nmの領域の真空紫外線が照射されると、主に波長が540nmの緑色の蛍光、すなわち、可視光を発する。本発明に用いられる蛍光ガラスは、希土類元素をガラス母体中で特定のイオン状態に保つもの以外にも、希土類元素が固体を維持したままガラス母体中に封入されるものも含み、このときの希土類元素はシリカ(SiO)で覆われる。
蛍光ガラス56は、蛍光物質をイオンまたは固体として含有することにより、放電容器51の母材となる、例えば、石英ガラスとは溶融温度が異なる。このため、蛍光ガラス51を外部電極52の網目からなる開口部57に対向するように固定するためには、真空紫外線への耐久性を有する封着材58が用いられる。
封着材58の形成方法としては、例えば、サブミクロンに造粒した金粒子を、例えば、ターピネオールを主成分とする溶剤(結着材)と有機溶剤とに混合して作ったペーストを用いる方法がある。このペーストを、外部電極52の開口部57に対向するように配置された蛍光ガラス56と放電容器51との間に塗布する。このペーストは真空紫外線を透過しないので、図2(b)に示すように、外部電極52の開口部57からの真空紫外線を蛍光ガラス56に照射するため、外部電極52の開口部57と蛍光ガラス56との間にペーストを介しないで対向配置する部分を形成して、ペーストを塗布する。ペースト塗布後、ペーストを乾燥させ、500℃に加熱することによってペースト中の有機溶剤が酸化されることによって二酸化酸素となって蒸発し、硬化されて封着材58となる。これにより、封着材58を介して放電容器51と蛍光ガラス56とは固定される。このペーストを構成する金属材料は、金粒子に限定されるものではなく、例えば、銀,白金,銅,鉛,錫,アンチモンからなる金属粒子またはそれらの合金粒子を用いることができる。これらの金属粒子または合金粒子は、真空紫外線への耐久性を有することから、エキシマランプ5のランプ寿命である3000時間以上であっても、接着機能を失うことがない。
封着材58は、上記以外にも、例えば、金属アルコキシド溶液を使用する方法もある。金属アルコキシド溶液は、ゾルゲル液ともよばれ、セラミック薄膜の原料でもある。この金属アルコキシド溶液は、例えば、アルミニウムイソプロポキシドに少量の水を加え加水分解し、これをエタノールに溶解することによって得られる。このとき、高濃度で安定に溶解させるため脂肪酸を添加することもある。得られた金属アルコキシド溶液は、金属含有率が3〜5%であり、これを外部電極52の開口部57に対向するように配置された蛍光ガラス56と放電容器51との間に塗布し、仮乾燥させてゲル化する。金属アルコキシド溶液が、真空紫外線を透過しない場合は、図2(b)に示すように、外部電極52の開口部57からの真空紫外線を蛍光ガラス56に照射するため、外部電極52の開口部57と蛍光ガラス56との間に金属アルコキシド溶液を介しないで対向配置する部分を形成して、金属アルコキシドを塗布して仮乾燥される。仮乾燥されてゲル化した金属アルコキシド溶液は、粘着性を有するので蛍光ガラス56は放電容器51に仮固定される。その後、500℃で数十分加熱することによってゲル化した金属アルコキシド溶液中の有機成分が酸化されることによって二酸化酸素となって蒸発し、硬化された金属酸化物からなる封着材58が形成される。これにより、封着材58を介して放電容器51と蛍光ガラス56とは固定される。ここで得られた金属酸化物からなる封着材58は、真空紫外線への耐久性を有することから、エキシマランプ5のランプ寿命である3000時間以上であっても、接着機能を失うことがない。
ここで封着材58を形成するための金属アルコキシド溶液としては、アルミニウム,チタン,シリカ,イットリウム等からなるアルコキシド溶液を用いることができる。なお、ゲル化した金属アルコキシド溶液中の有機成分を酸化させる方法として、加熱による酸化反応を採用したが、加熱をせずに常温で紫外線を照射することによって酸化反応させる方法でもかまわない。この紫外線による酸化反応の場合、ゲル化した金属アルコキシド溶液中の有機成分における水素や炭素結合を分解するために、その結合エネルギー以上の紫外線(具体的には300nm以下の波長の紫外線)を照射すればよい。
図3は、図1に示した紫外線照射装置1において、エキシマランプ5の長手方向に沿った切断面から見たランプユニット2の断面図である。
同図に示すように、筐体4は、エキシマランプ5側の下面に光照射窓42が設けられて閉口されると共に、エキシマランプ5の四面(エキシマランプ5の一対の外部電極52,53が設けられていない四面)の外方を取り囲むように設けられる。さらに、筐体4には、筐体4に蓋をするように隔壁41が設けられ、隔壁41には、エキシマランプ5の両端を支持するランプ保持体43が設けられると共に、蛍光ガラス56から放射された可視光A1を通過させる貫通孔411が設けられ、貫通孔411の上面には、可視光A1を受光するための光センサ6が設置されている。
次に、このランプユニット2の動作を図3を用いて説明する。
ランプ点灯時、外部電極52,53間に印加された高周波・高電圧により、放電容器51と放電空間54を介して電極52,53間で放電が開始される。放電空間54で発生したエキシマ発光により放電容器51から真空紫外線が照射される。外部電極52の開口部57と対向するように設けられた蛍光ガラス56には、真空紫外線A2が好適に照射され、蛍光ガラス56は、イオン化または固体化した蛍光物質により、真空紫外線A2を可視光A1に変換する。可視光A1は、蛍光ガラス56に対向する光センサ6の光検知素子62に照射され、光検知素子62は可視光A1を検知する。このようにして、放電容器51の放電空間54から放射された真空紫外線A2は、蛍光ガラス56により、速やかに可視光A1に変換される。可視光A1は、筐体4の内部に充填された不活性ガスへの吸収がなく、また光センサ6の箱体61の内部の大気への吸収もない。すなわち、光検知素子62は、高照度の可視光A1を照射されることから、照度不足による非検知となる問題もない。さらに、真空紫外線を可視光A1に変換する蛍光物質が、蛍光ガラス56中に存在することからオゾンに曝されることがない。その上、蛍光ガラス56の寿命はエキシマランプ5のランプ寿命よりも長いので、エキシマランプ5のランプ寿命期間に、光検知素子62が可視光A1を検知できなくなる問題もない。さらに、放電容器51の外面に蛍光ガラス56を設けたことにより、エキシマランプ5の交換と共に、蛍光ガラス56も交換することができる。またその上、光検知素子62と蛍光ガラス56は別体であることから、エキシマランプ5を交換しても、光検知素子62を交換せずに連続的に使用することができる。また、蛍光ガラス56における放電容器51に対向する面が、放電容器51の平坦な外周面と係合するように平坦面で形成されているので、放電容器51から照射される真空紫外線が蛍光ガラス56に好適に入射させることができる。
次に、本発明の第2の実施形態を図4および図5を用いて説明する。
図4は、本実施形態の発明に係るランプユニット2を具備し、エキシマランプ5の長手方向に対して直交する切断面から見た紫外線照射装置1の構成を示す断面図である。
同図に示すように、紫外線照射装置1は、箱状に構成された筐体4内にエキシマランプ5と光センサ6とを備えるランプユニット2(図上方)と、ランプユニット2を載置すると共に被照射物Wを搬送する搬送機構3(図下方)とから構成されている。より詳細には、ランプユニット2は、エキシマランプ5と、エキシマランプ5に設けられた蛍光ガラス56から放射される可視光A1を受光する光センサ6と、エキシマランプ5と光センサ6とを収納すると共に支持する筐体4とからから構成される。第1の実施形態に係る図1に示した紫外線照射装置1とは異なり、ランプユニット2の筐体4の下面に光照射窓が設けられておらず、筐体4の下方面が開口されている点で相違する。なお、搬送機構3は、図1に示した同符号の構成に対応するので、説明を省略する。また、エキシマランプ5および光センサ6の構成も、図2(a)〜図2(c)に示した同符号の構成に対応するので、説明を省略する。
図5は、図4に示した紫外線照射装置1において、エキシマランプ5の長手方向に沿った切断面から見たランプユニット2の断面図である。
同図に示すように、筐体4は、エキシマランプ5側の下方面が開口され、エキシマランプ5の四面(エキシマランプ5の一対の外部電極52,53が設けられていない四面)の外方を取り囲むように設けられる。さらに、筐体4には、筐体4に蓋をするように隔壁41が設けられ、隔壁41には、エキシマランプ5の両端を支持するランプ保持体43が設けられると共に、蛍光ガラス56から放射された可視光A1を通過させる貫通孔411が設けられ、貫通孔411の上面には可視光A1を受光するための光センサ6が設置されている。
次に、このランプユニット2の動作を図5を用いて説明する。
ランプ点灯時、外部電極52,53間に印加された高周波・高電圧により、放電容器51と放電空間54を介して電極52,53間で放電が開始される。放電空間54で発生したエキシマ発光により放電空間54からの真空紫外線が放射される。外部電極52の開口部57と対向するように設けられた蛍光ガラス56には、真空紫外線が好適に照射され、蛍光ガラス56のイオン化または固体化した蛍光物質により、可視光A1に変換される。可視光A1は、蛍光ガラス56に対向された光センサ6の光検知素子62に照射され、光検知素子62は可視光を検知する。このようにして、放電容器51の放電空間54から放射された真空紫外線は、蛍光ガラス56により、速やかに可視光A1に変換される。可視光A1は、筐体4の内部に導入された不活性ガスによる吸収はなく、光センサ6の箱体61内部の大気への吸収もない。すなわち、光検知素子62は、高照度の可視光A1を照射されることから、照度不足による非検知となる問題もない。さらに、真空紫外線を可視光A1に変換する蛍光物質が、蛍光ガラス56中に存在することからオゾンに曝されることがない。また、筐体4の下面が開口されているので、被照射物Wが搬送されると、この搬送によって筐体4内部に大気の対流がおきる。そのため、蛍光ガラス56と光センサ6との間には、大気の変動や、エキシマランプ5から放射された真空紫外線により発生したオゾンが対流により流入する可能性がある。しかし、本実施形態の発明においては、放電容器54に接するように設けた蛍光ガラス56により、速やかに可視光A1に変換され、可視光A1は大気やオゾンに吸収されないので、光検知素子62には、高照度の可視光を照射することができ、照度不足による非検知となる問題が発生しない。
次に、本発明の第3の実施形態を図6ないし図8を用いて説明する。
図6は、本実施形態の発明に係るランプユニット2を具備し、エキシマランプ5の長手方向に対して直交する切断面から見た紫外線照射装置1の構成を示す断面図である。
同図に示すように、紫外線照射装置1は、箱状に構成された筐体4内にエキシマランプ7と光センサ6とを備えるランプユニット2(図上方)と、ランプユニット2を載置すると共に被照射物Wを搬送する搬送機構3(図下方)とから構成されている。より詳細には、ランプユニット2は、エキシマランプ7と、エキシマランプ7に設けられた蛍光ガラス76から放射される可視光A1を受光する光センサ6と、エキシマランプ7と光センサ6とを収納すると共に支持する筐体4とからから構成される。第2の実施形態に係る図4に示した紫外線照射装置1と比較すると、エキシマランプ7が直管状の3重管から構成されている点で相違する。なお、搬送機構3は、図1に示した同符号の構成に対応しており、また、光センサ6の構成も、図2(c)に示した同符号の構成に対応しているので、説明を省略する。
図7(a)は、図6に示したエキシマランプ7の長手方向に沿った拡大断面図、図7(b)は、図7(a)のB−B切断面から見たエキシマランプ7の断面図である。
これらの図に示すように、このエキシマランプ7は、例えば、石英ガラスからなる直管状2重管で構成されている。外管711内には、放電ガスとして、例えば、キセノシガスが充填され、外管711の管軸方向の両端は気密に封止する封止部が形成されている。内電極73は、コイル状の、例えば、タングステンからなる内電極73の長手方向の両端に、棒状の、例えば、タングステンからなる内部リード771,772を、コイル状の内電極73と棒状の内部リード771,772の長手方向への中心軸が一致するように配置し、溶接等により接合させて形成されている。内管712内には、内電極73が管軸方向に延在するように配置され、内管712は、管状の誘電体材料から構成され、管軸方向の両端が外管711に接しないように離隔されると共に、内電極73の外周を包囲するように配置される。外管711の封止部の両端には突出する、例えば、タングステンからなる外部リード791,792が配置され、外管711の封止部は管軸方向の両端のパイプ体を溶融状態にして圧潰するピンチシール法により形成され、外管711の封止部内には内部リード771,772と外部リード791,792とを電気的に接続する、例えば、モリブデンからなる箔781,782が埋設される。また、外管711の封止部はパイプ体を溶融状態にして内部を減圧することにより形成するシュリンクシール法により形成しても良い。外管711の径方向の外周面には、網状の、例えば、銅・ニッケル合金からなる外電極72が密着して配置されていると共に、外電極72は外管711の管軸方向において内管712の管軸方向の両端より短くなるように配置されている。外管711の外方には、例えば、石英ガラスからなる円筒状の流路管74が外管711と同軸上に設けられ、その両端に、例えば、セラミックからなるベース741,742が設けられている。ベース741,742には外電極72が大気に曝されることによる悪影響を防止するために、例えば、窒素ガスのような不活性ガスを流路管74に導入するためのガス導入管8が設けられている。ベース741,742には、外管711と流路管74とを同軸上に保持する保持部が設けられる。流路管74の外周面には封着材761によって固定された蛍光ガラス76が設けられる。
図8は、図6に示した紫外線照射装置1において、エキシマランプ7の長手方向に沿った切断面から見たランプユニット2の断面図である。
同図に示すように、筐体4は、下方面が開口され、エキシマランプ7の四面を取り囲むように設けられる。さらに、筐体4には、筐体4に蓋をするように隔壁41が設けられ、隔壁41には、エキシマランプ5の両端を支持するランプ保持体43が設けられると共に、蛍光ガラス76から放射された可視光A1を通過させる貫通孔411が設けられ、貫通孔411の上面には可視光A1を受光するための光センサ6が設置されている。
次に、このランプユニット2の動作を図8を用いて説明する。
ランプ点灯時、外電極72と内電極73間に高周波・高電圧を印加することにより、外管711と内管712間の放電空間75を介して電極72,73間で放電が開始される。放電空間75で発生したエキシマ発光により外管711から真空紫外線が照射される。流路管74上に設けられた蛍光ガラス76には、真空紫外線が好適に照射され、蛍光ガラス76により可視光A1に変換される。可視光A1は、蛍光ガラス76に対向して設けられた光センサ6の光検知素子62に照射され、光検知素子62は可視光を検知する。このようにして、放電空間75から放射された真空紫外線は、蛍光ガラス76により、速やかに可視光A1に変換される。可視光A1は、筐体4の内部に導入された不活性ガスによる吸収はなく、光センサ6の箱体61内部の大気への吸収もない。すなわち、光検知素子62は、高照度の可視光A1を照射されることから、照度不足による非検知となる問題もない。さらに、真空紫外線を可視光A1に変換する蛍光物質が、蛍光ガラス76中に存在することからオゾンに曝されることがない。また、筐体4の下方面が開口されているので、被照射物Wが搬送されると、この搬送によって筐体4内部に大気の対流がおきる。そのため、蛍光ガラス76と光センサ6との間には、大気の変動や、エキシマランプ7から放射された真空紫外線により発生したオゾンが対流により流入する可能性がある。しかし、本実施形態の発明においても、流路管74上に設けた蛍光ガラス76により、速やかに可視光に変換され、可視光は大気やオゾンに吸収されないので、光検知素子62には、高照度の可視光を照射することができ、照度不足による非検知となる問題が発生しない。
なお、第1および第2の実施形態のランプユニット2においては、放電容器51が直管状1重管のエキシマランプ5を使用する場合について説明し、第3の実施形態のランプユニット2においては、直管状3重管のエキシマランプ7を用いる場合について説明したが、使用するエキシマランプとしては、これの形状を有するエキシマランプに限定されるものではなく、例えば、直管状の2重管からなるエキシマランプを用いてもよい。以下に、直管状の2重管からなるエキシマランプの構成について簡単に説明する。
図9(a)は、直管状のエキシマランプ9の管軸方向に沿った断面図、図9(b)は、エキシマランプ9の管軸方向に対して直交する切断面から見た断面図、図9(c)は、図9(a)、(b)に示された蛍光ガラス96の拡大斜視図である。
同図において、エキシマランプ9の放電容器91は、円筒状の外側管912の内方に、円筒状の内側管911を配置し、互いの管軸が一致するように設け、その長手方向の両端にリング状の端壁部95を設けて封止される。放電容器91は、誘電性を有すると共に真空紫外線を透過する、例えば、石英ガラスからなる。放電容器91の封止された放電空間94には、例えば、キセノン(Xe)ガスのような希ガスが発光ガスとして封入される。放電容器91の外側管912の外周面には、その外周面に密着するように網状の、例えば、銅・ニッケル合金からなる外電極92が設けられる。放電容器91の内側管911の内周面には、その内周面に密着するように円筒状の、例えば、銅・ニッケル合金からなる内電極93が設けられる。外電極92と内電極93とは、このように設けられることにより、誘電体からなる放電容器91の外側管912と内側管911と放電空間94とを介して対向される。この直管状の2重管からなるエキシマランプ9の放電容器91上に蛍光ガラス96が設けられ、蛍光ガラス96には、真空紫外線が好適に照射され、可視光A1を放射する。可視光A1は、蛍光ガラス96に対向して設けられた光センサ6に向けて放射される。なお、図9(b)、(c)に示すように、蛍光ガラス96のエキシマランプ9に対向する面の形状が、エキシマランプ9の外面形状と合うように形成されているので、放電容器91から照射される紫外線が蛍光ガラス96に好適に入射させることができ、真空紫外線を蛍光ガラス96により好適に可視光に変換することができる。
次に、本発明の第4の実施形態を図10および図11を用いて説明する。
図10は、本実施形態の発明に係り、エキシマランプ5の長手方向に沿う切断面から見たランプユニット2の構成を示す断面図、図11(a)は、図10に示したエキシマランプ5の斜視図、図11(b)は、図11(a)のD−D切断面から見たエキシマランプ5一部拡大図である。
これらの図に示すように、このランプユニット2は、箱状に構成された筐体4内にエキシマランプ5と、エキシマランプ5に設けられた蛍光ガラス56から放射される可視光A1を受光する光センサ6と、エキシマランプ5と光センサ6とを収納すると共に支持する筐体4とからから構成され、筐体4の下方面が開口されている。なお、エキシマランプ5の構成は、図2(a)、(b)に示した同符号の構成に対応し、光センサ6の構成は、図2(c)に示した同符号の構成に対応するので、説明を省略する。
本実施形態に係るランプユニット2と、第2の実施形態に係る図5に示したランプユニット2とを比較すると、本実施形態のランプユニット2は、直方体状の放電容器51の長手方向における端部にある端壁部55に蛍光ガラス56を設けられている点、および筐体4の側面側に光センサ6が設けられている点で、第2の実施形態のランプユニット2と相違する。つまり、本実施形態のランプユニット2は、放電容器51の端壁部55に蛍光ガラス56を設けると共に、蛍光ガラス56に対向するように、筐体4と蛍光ガラス56との間に隔壁41を設け、隔壁41において蛍光ガラス56に対向する部分に貫通孔411が設けられ、貫通孔411の側面に光センサ6が設置されている。
放電容器51の内部におけるエキシマ発光は、四方八方に向かって照射される。端壁部55から見ると、放電容器51の長手方向における放電空間54は長いため、端壁部55に向かって照射されるエキシマ発光の単位面積当たりの光強度は、外部電極52,53が設けられた放電容器51の面に向かって放射されるエキシマ発光の単位面積当たりの光強度よりも大きい。このため、端壁部55に設けた蛍光ガラス56に、強い光強度を有する真空紫外線を照射することができ、十分に真空紫外線を照射された蛍光ガラス56からは好適に可視光A1を放射することができる。
次に、本発明の第5の実施形態を図12を用いて説明する。
図12は、本実施形態の発明に係り、第1ないし第4の実施形態に係るエキシマランプに代えて適用可能なエキシマランプ5の長手方向に直交する切断面から見たエキシマランプ5の構成を示す断面図である。
同図に示すように、蛍光ガラス56がエキシマランプ5の放電容器51に封着材581によって固定されている。封着材581については、第1の実施形態に係る発明において、封着材58の形成方法について述べたが、それらの封着材58は、真空紫外線の光透過性を有していないので、放電容器51と蛍光ガラス56との間に封着材58が介在しない部分を設けなければならなかった。これに対して、封着材581は、光透過性を有していることから、放電容器51と蛍光ガラス56との間全体に設けることができる。この封着材581は、第1の実施形態において述べた方法において、金属アルコキシド溶液にシリカを含有させたものである。この封着材581によれば、真空紫外線として、例えば172nmの波長に対して光透過性を有することから、放電容器51から放射される真空紫外線が封着材581を透過して蛍光ガラス56を照射することができる。
第2の実施形態の図5に示すような光照射窓を設けない筐体4のように、筐体4の内部に大気が流入するランプユニット2においては、外部電極52の厚みによっては、外部電極52の開口部57に大気が流入するおそれがある。それに対して、図12に示すように、外部電極52の開口部57にシリカを含む封着材581を設け、放電容器51と蛍光ガラス56を固定することにより、外部電極52の開口部57に大気が流入することを防止できる。そのため、大気が流入することによる真空紫外線の強度への影響を回避することができる。
次に、本発明の第6の実施形態を図13を用いて説明する。
図13は、本実施形態の発明に係り、第1ないし第4の実施形態に係るエキシマランプに適用可能なエキシマランプ5の長手方向に直交する切断面から見たエキシマランプ5の構成を示す断面図である。
同図に示すように、エキシマランプ5に設けられる蛍光ガラス561の可視光が放射される面を凸状、例えば、半球状に形成する。蛍光ガラス561をこのように構成することにより、蛍光ガラス561から出射される可視光に指向性を持たせることができるので、光センサ6は好適に可視光を検知することができる。
次に、本発明の第7の実施形態を図14を用いて説明する。
図14は、本実施形態の発明に係り、第1ないし第4の実施形態に係るエキシマランプに適用可能なエキシマランプ5の長手方向に直交する切断面から見たエキシマランプ5の構成を示す断面図である。
同図に示すように、エキシマランプ5に設けられる蛍光ガラス56を放電容器51の内面に封着材58によって固定して設けることもできる。
次に、本発明の第8の実施形態を図15を用いて説明する。
図15は、本実施形態の発明に係り、第1ないし第4の実施形態に係るエキシマランプに適用可能なエキシマランプ5の長手方向に直交する切断面から見たエキシマランプ5の構成を示す断面図である。
同図に示すように、蛍光ガラス562を放電容器51の一部に設けた開口部に嵌合するように、封着材58により固定して設けることもできる。
上記の第1ないし第8の実施形態において説明したように、本発明の紫外線を可視光に変換する蛍光ガラスは、紫外線用放電ランプの周辺のガス雰囲気の変動により放電容器からの紫外線の量が変動しない当該紫外線用放電ランプの任意の領域に設けられる。具体的には、紫外線は放電容器の外面や流路管の外面から放射されると、周辺のガス雰囲気の変動を受けてその光量が変動するおそれがあるが、本発明では、紫外線の光量がガス雰囲気の変動を受けない領域、すなわち放電容器の外面を含む領域や流路管の外面を含む領域に、蛍光ガラスを設けたことにより、周辺のガス雰囲気が変動しても、その光量を低下させずに、放電空間からの紫外線を蛍光ガラスに照射することができる。
次に、本発明に係るランプユニットの効果を確認するための実験について説明する。実験1はランプユニットの寿命テストであり、実験2は真空紫外線の酸素吸収による光センサで検知される光強度の変動を見る実験である。
実験1
実験1に用いたランプユニットは、第2の実施形態に係る図5に示したランプユニットAと、図16に示す比較例としてのランプユニットBと、従来技術に係る図22に示したランプユニットCである。各ランプユニットA、B、Cを構成するエキシマランプの放電容器および外部電極は、図20に示す仕様のものを用いた。放電容器は、直方体状の石英ガラスからなり、その長手方向の長さ(発光長)が800mm、その幅(放電容器の横方向の長さ)が40mm、その高さ(放電容器の縦方向の長さ)が15mm、放電容器の厚みは2.5mmである。放電容器の放電空間には、400torrのキセノンガスが封入される。本発明に係る図5に示すランプユニットAの放電容器の外面には、10mm×10mm×1mmの蛍光ガラスが金ペーストを用いて固定される。また、比較例に係る図16に示すランプユニットBの放電容器の外面には蛍光体粉末を塗布し、1000℃で焼成して固定した。各ランプユニットA、B、Cにおける放電容器の外面から光センサまでの距離は70mmである。
各ランプユニットA、B、Cは、300Wの点灯電力が給電され、各ランプユニットの放電容器の外面から照射される172nmの真空紫外線の光強度は、点灯初期において60mW/cmであり、そのときの放電容器の最大温度は200℃である。このような点灯条件で1分点灯し、1分消灯のサイクルで点滅動作させ、この点滅動作を1時間行なった後、30分休止させる方法で3000時間ランプ点灯を行なった。このランプ点灯時間において、各ランプユニットA、B、Cの放電容器の外面から照射された真空紫外線の光強度(mW/cm)を測定すると共に、真空紫外線を測定したときにおいて、各ランプユニットの筐体に設けた光センサが検知した可視光の光強度(mA)を測定した。
図17は、実験1の結果を示すグラフである。同図において、横軸はランプ点灯時間、縦軸は放電容器の外面における真空紫外線の光強度(mW/cm)に対する、光センサが検知した可視光の光強度(mA)の相対光強度(%)である。各ランプユニットA〜Cの測定結果は、各曲線A〜Cに対応する。
同図に示すように、本発明に係るランプユニットA(図5参照)の場合、ランプ点灯初期には、放電容器51の外面における真空紫外線の光強度が60mW/cmであったのに対し、光センサ6から出力された可視光の光強度は6mAであった。このときの相対光強度値は、0.1mA/mW/cmとなる。また、ランプ点灯を3000時間行なったとき、放電容器51の外面における真空紫外線の光強度が50mW/cmであったのに対し、光センサ6から出力された信号が5mAであった。このときも、相対光強度値は、0.1mA/mW/cmとなる。なお、放電容器51の外面からの真空紫外線の光強度が低下したのは、放電容器51を構成する石英ガラスの劣化によるものであると考えられる。このように、ランプ点灯時間が経過しても、本発明に係るランプユニットAでは、放電容器51から照射される真空紫外線の光強度に対して、光センサ6が検知している可視光の光強度が一致していることが分かる。すなわち、蛍光ガラス56による真空紫外線を可視光へ変換する効率は、3000時間経過しても低下することがない。したがって、本発明に係るランプユニットAのようにエキシマランプ5の放電容器に蛍光ガラス56を設けることにより、放電容器51からの真空紫外線の光強度を検知することができる。さらに筐体4の下方面が開口されていて内部に大気が流入しても、放電容器51に設けた蛍光ガラス56により、真空紫外線を速やかに可視光に変換していることにより、真空紫外線の大気への吸収が防止されていることが分かる。
それに対して、比較例に係るランプユニットB(図16参照)の場合、ランプ点灯初期には、放電容器51の外面における真空紫外線の光強度が60mW/cmであったのに対し、光センサ6から出力された可視光の光強度は6mAであった。このとき、相対光強度値は、0.1mA/mW/cmとなる。ランプ点灯を3000時間行なったとき、放電容器51の外面における真空紫外線の光強度が50mW/cmであったのに対し、光センサ6から出力された信号が2.5mAであった。このとき、相対光強度値は、0.050mA/mW/cmとなる。比較例のランプユニットBは、ランプ点灯初期において、放電容器51から照射される真空紫外線が大気に吸収される前に蛍光体59を照射していることから、光センサ6からの出力値はランプユニットAと同様の結果となっている。しかしながら、筐体4の内部に大気が流入することから、放電容器51の外面に設けられた蛍光体59はオゾンに曝されることになり、劣化される。これにより、ランプ点灯経過に伴い、蛍光体59による真空紫外線の可視光への変換効率が低下する。このように、比較例のランプユニットBでは、放電容器51から照射される真空紫外線の光強度に対して、光センサが検知している可視光の光強度が、ランプ点灯時間経過に伴い一致しなくなっている。これは、蛍光体59の劣化が、従来技術に係るランプユニットCよりも大きいことに起因すると考えられ、単に蛍光体59を放電容器51の外面に設けただけでは、本発明のような優れた効果を得られるものではないことを示している。
また、従来技術に係るランプユニットC(図22参照)の場合、ランプ点灯初期には、放電容器の外面における真空紫外線の光強度が60mW/cmであったのに対し、光センサ108から出力された信号が5mAであった。このとき、相対光強度値は、相対光強度値は、0.083mA/mW/cmとなる。ランプ点灯を3000時間行なったとき、放電容器107の外面における真空紫外線の光強度が50mW/cmであったのに対し、光センサ108から出力された光強度が3.3mAであった。このとき、相対光強度値は、0.066mA/mW/cmとなる。なお、放電容器115の外面からの真空紫外線の光強度が低下したのは、放電容器115を構成する石英ガラスの劣化によるものであると考えられる。従来技術に係るランプユニットCは、ランプ点灯初期において、放電容器115から照射される真空紫外線が筐体103の内部の大気に吸収され、光センサ108の開口部における172nmの真空紫外線の光強度は10mW/cmであったにもかかわらず、光センサ108から出力される信号が5mAと大きい。これは、光センサ103の箱体の内部に、蛍光体が光検知素子に近接配置されることにより、蛍光体により変換された可視光が四方に拡散される前に光検知素子に検知されるためと考えられる。これに対し、3000時間経過すると、光センサ108の内部に配置された蛍光体は、箱体の内部で発生したオゾンにより劣化され、蛍光体による真空紫外線の可視光への変換効率が低下する。このように、従来技術に係るランプユニットCでは、放電容器115から照射される真空紫外線の光強度に対して、光センサ108が検知している可視光の光強度が、ランプ点灯時間経過に伴い一致しなくなっている。特に、2000時間を境に蛍光体の劣化が著しくなり、3000時間経過後には、相対光強度は80%までに低下している。
以上のように、比較例のランプユニットBおよび従来技術のランプユニットCは、ランプ点灯時間の経過に伴い蛍光体が劣化し、光センサが検知する光強度が、放電容器から照射されている真空紫外線の光強度に対して一致しないことが明確である。このようなランプユニットの場合、エキシマランプが照度低下していないにも関わらず、光センサが検知している光強度が著しく低下していることから、ランプ寿命前のエキシマランプを交換してしまう問題がある。また、光センサが検知した光強度を基にエキシマランプに入力される電力を変動させるフイードバック機能を有するランプユニットにおいては、エキシマランプが照度が低下していないにも関わらず、光センサが検知している光強度が著しく低下していることから、入力電力を上昇させてエキシマランプの照度を上げるように働いてしまう。この場合、被照射物Wへ過剰に真空紫外線が照射されて、被照射物Wが破損する問題があり、同時に過剰に電力が入力されたエキシマランプは急激に劣化してランプ寿命を短くしてしまう問題がある。特に、従来技術のランプユニットCにおいては、真空紫外線を可視光に変換する蛍光体が光センサに設けられていることから、ランプ点灯時間経過に伴う蛍光体の劣化という問題を解決するためには、光センサを交換することになり、劣化していない光検知素子までも交換する問題がある。
これに対し、本発明に係るランプユニットAでは、ランプ点灯時間が経過しても、放電容器51から照射される真空紫外線の光強度に対して、光センサ6が検知している可視光の光強度が一致していることから、ランプ寿命前にエキシマランプ5を交換してしまうことを防止できる。また、光センサ6が検知した光強度を基にエキシマランプ5に入力される電力を変動させるフイードバック機能を本発明に係るランプユニットAに設けたとき、エキシマランプ5から照射される真空紫外線が過剰になることを防止できると共に、エキシマランプ5への入力電力を適切に行なうことができることから、入力電力によるランプ寿命の低下を防止できる。さらに、本発明に係るランプユニットAにおいては、蛍光ガラス56をエキシマランプ5に設けていることから、エキシマランプ5のランプ寿命に伴うランプ交換のときには、蛍光ガラス56も新規のものに交換され、蛍光ガラス56による劣化は問題とならない。その上、光センサ6に設けた光検知素子は、エキシマランプ5が交換されても、継続して使用することができる。特に、筐体4の内部に大気が流入する本発明に係るランプユニットAにおいては、放電容器51の外面に設けた電極の開口部に対向するように蛍光ガラス56を設けたことにより、放電容器51から照射される真空紫外線を蛍光ガラス56により可視光に変換することができ、可視光が大気に吸収されることなく光センサを好適に照射することができる。
実験2
実験2に用いたランプユニットは、図1で示した光照射窓を設けた本発明に係るランプユニットDと、図4で示した光照射窓を設けない本発明に係るランプユニットEと、図19に示した光照射窓を設けた従来技術のランプユニットFと、図22で示した光照射窓を設けない従来技術のランプユニットGである。各ランプユニットD〜Gのエキシマランプを構成する放電容器および電極は、実験1で用いたものと同一のものを用いた。各ランプユニットの筐体は、その幅が200mmで、その長さが1000mmで、その高さが50mmである。各ランプユニットD〜Gの実験時における筐体の内部雰囲気は、光照射窓を設けた本発明に係るランプユニットDと光照射窓を設けた従来技術に係るランプユニットFとは、窒素ガスが流入されて窒素雰囲気で置換される。光照射窓を設けない本発明に係るランプユニットEと光照射窓を設けない従来技術に係るランプユニットGとは、ガス導入管から窒素ガスが毎分300リットル導入される。各ランプユニットD〜Gにおける放電容器の外面から光センサまでの距離は70mmである。各ランプユニットD〜Gは、エキシマランプへの入力電力を変動させることにより、エキシマランプの放電容器の外面における172nmの真空紫外線の光強度(mW/cm)に対する光センサに検知される光強度(mA)を測定した。
図18は、実験2の結果を示すグラフである。横軸は放電容器の外面における172nmの真空紫外線の光強度(mW/cm)の測定値であり、縦軸が光検知で検知した可視光の光強度(mA)の測定値である。各ランプユニットD〜Gの測定結果は、各曲線D〜Gに対応する。
本発明に係るランプユニットD(図1参照)およびE(図4参照)は略同様の測定結果が得られた。これは、光照射窓を設けなくても、放電容器51の外面に蛍光ガラス56を設けたことにより、速やかに可視光に変換できるためである。これに対して、光照射窓を設けた従来技術に係るランプユニットF(図19参照)は、本発明に係るランプユニットDおよびEに比べて、光センサ108で検知される光強度が低下している。これは、筐体103内部が窒素で置換されていることにより、筐体103内部での真空紫外線の吸収はないが、光センサ108の内部は大気雰囲気であることから、光センサ108の内部での真空紫外線による吸収があることに起因すると考えられる。また、光センサ108の内部での真空紫外線が酸素に吸収されることによりオゾンが発生し、蛍光体の劣化があることに起因するためと考えられる。光照射窓を設けない従来技術に係るランプユニットG(図22参照)は、光照射窓109を設けた従来技術に係るランプユニットFに比べて、光センサ108で検知される光強度が著しく低下している。これは、筐体103の下方面が開口していることから、大気が流入し、大気中の酸素に放電容器115からの真空紫外線が吸収されることに起因するものと考えられる。また、光センサの内部は大気雰囲気であることから、光センサ108の内部での真空紫外線による吸収があることに起因することも考えられる。また、光センサ108の内部での真空紫外線が酸素に吸収されることによりオゾンが発生し、蛍光体の劣化があることに起因するものと考えられる。
以上のことから、本発明に係るランプユニットDおよびEは、放電容器51の外面に設けた開口部に対向するように蛍光ガラス56を設けたことにより、放電容器51からの真空紫外線を蛍光ガラス56により可視光に変換することができ、変換された可視光は大気中の酸素への吸収がないので、光センサ6の内部の光検知素子に好適に検知される。特に、光照射窓を設けないランプユニットEにおいて、筐体の内部に大気が流入しているが、放電容器51の外面に設けた開口部に対向するように蛍光ガラス56を設けたことにより、筐体4の内部で可視光は吸収されることなく、光センサ6の内部の光検知素子に好適に検知される。この効果については従来技術のランプユニットGと比較して明らかである。光照射窓を設けないランプユニットEにおいては、筐体4の下方開口面には被照射物Wが搬送されることにより、筐体4の内部に大気が流入され、筐体4内部における酸素濃度が変動する。光照射窓を設けない本発明に係るランプユニットEでは、筐体4内部での酸素濃度の変動を受けることなく、蛍光ガラス56により変換された可視光が光センサ6に好適に検知される。
第1の実施形態の発明に係るランプユニット2を具備し、エキシマランプ5の長手方向に対して直交する切断面から見た紫外線照射装置1の構成を示す断面図である。 図1に示したエキシマランプ5の拡大斜視図並びに断面図、および光センサの拡大断面図である。 図1に示した紫外線照射装置1において、エキシマランプ5の長手方向に沿った切断面から見たランプユニット2の断面図である。 第2の実施形態の発明に係るランプユニット2を具備し、エキシマランプ5の長手方向に対して直交する切断面から見た紫外線照射装置1の構成を示す断面図である。 図4に示した紫外線照射装置1において、エキシマランプ5の長手方向に沿った切断面から見たランプユニット2の断面図である。 第3の実施形態の発明に係るランプユニット2を具備し、エキシマランプ5の長手方向に対して直交する切断面から見た紫外線照射装置1の構成を示す断面図である。 図6に示したエキシマランプ7の長手方向に沿った拡大断面図および長手方向に対して直交する切断面から見た拡大断面図である。 図6に示した紫外線照射装置1において、エキシマランプ7の長手方向に沿った切断面から見たランプユニット2の断面図である。 直管状のエキシマランプ9の管軸方向に沿った断面図並びにエキシマランプ9の管軸方向に対して直交する切断面から見た断面図、および蛍光ガラスの拡大斜視図である。 第4の実施形態の発明に係り、エキシマランプ5の長手方向に沿う切断面から見たランプユニット2の構成を示す断面図である。 図10に示したエキシマランプ5の斜視図および一部拡大断面図である。 第5の実施形態の発明に係り、第1ないし第4の実施形態に係るエキシマランプに代えて適用可能なエキシマランプ5の長手方向に直交する切断面から見たエキシマランプ5の構成を示す断面図である。 第6の実施形態の発明に係り、第1ないし第4の実施形態に係るエキシマランプに適用可能なエキシマランプ5の長手方向に直交する切断面から見たエキシマランプ5の構成を示す断面図である。 第7の実施形態の発明に係り、第1ないし第4の実施形態に係るエキシマランプに適用可能なエキシマランプ5の長手方向に直交する切断面から見たエキシマランプ5の構成を示す断面図である。 第8の実施形態の発明に係り、第1ないし第4の実施形態に係るエキシマランプに適用可能なエキシマランプ5の長手方向に直交する切断面から見たエキシマランプ5の構成を示す断面図である。 比較例としてのランプユニットBの断面図である。 実験1の結果を示すグラフである。 実験2の結果を示すグラフである。 従来技術に係る、エキシマランプの長手方向に対して直交する切断面から見た紫外線照射装置の構成を示す断面図である。 図19に示したランプユニットに具備されたエキシマランプの構成を示す斜視図および断面図である。 図19に示したランプユニットに具備された光センサの構成を示す断面図である。 エキシマランプの長手方向に対して直交する切断面から見た、光照射窓が設けられていない紫外線照射装置の構成を示す断面図である。
符号の説明
1 紫外線照射装置
2 ランプユニット
3 搬送機構
31 ローラ
32 駆動体
33 搬入口
34 搬出口
4 筐体
41 隔壁
411 貫通孔
42 光照射窓
43 ランプ保持体
5 エキシマランプ
51 放電容器
52,53 外部電極
54 放電空間
55 端壁部
56 蛍光ガラス
561 蛍光ガラス
562 蛍光ガラス
57 開口部
58 封着材
581 封着材
59 蛍光体
6 光センサ
61 箱体
611 開口部
62 光検知素子
7 エキシマランプ
71 放電容器
711 外管
712 内管
72 外電極
73 内電極
74 流路管
741,742 ベース
75 放電空間
76 蛍光ガラス
761 封着材
771,772 内部リード
781,782 箔
791,792 外部リード
8 ガス導入管
9 エキシマランプ
91 放電容器
911 内側管
912 外側管
92 外電極
93 内電極
94 放電空間
95 端壁部
96 蛍光ガラス
97 封着材
W 被照射物
A1 可視光
A2 真空紫外線

Claims (9)

  1. 発光ガスが封入された放電空間を有する誘電体からなる放電容器と、該放電容器と前記放電空間を介して対向させた電極と、からなる紫外線用放電ランプにおいて、
    該紫外線用放電ランプの周辺のガス雰囲気の変動により該放電容器からの紫外線の量が変動しない当該紫外線用放電ランプの任意の領域に、前記紫外線を可視光に変換する蛍光ガラスを設けたことを特徴とする紫外線用放電ランプ。
  2. 前記電極に網目を形成または前記電極に無電極部を形成し、前記蛍光ガラスは、前記網目または前記無電極部に対向することを特徴とする請求項1に記載の紫外線用放電ランプ。
  3. 前記放電容器の外方を覆うと共に当該放電容器から出射した紫外線を透過する流路管を備え、前記蛍光ガラスは、前記流路管の表面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線用放電ランプ。
  4. 前記放電容器は、管状に形成され、前記蛍光ガラスは、前記放電容器の長手方向における端壁部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線用放電ランプ。
  5. 前記蛍光ガラスは、前記放電容器の内面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線用放電ランプ。
  6. 前記蛍光ガラスは、前記放電容器の壁面の一部を構成するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線用放電ランプ。
  7. 前記蛍光ガラスの紫外線用放電ランプに対向する面の形状が、前記紫外線用放電ランプの外面形状と合うように形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つの請求項に記載の紫外線用放電ランプ。
  8. 紫外線用放電ランプと可視光を受光する光センサを筐体内に設けたランプユニットにおいて、
    前記紫外線用放電ランプが、前記請求項1ないし請求項7のいずれか1つの請求項に記載の紫外線用放電ランプであって、前記蛍光ガラスが、出射した可視光が前記光センサで受光されるように設置されていることを特徴とするランプユニット。
  9. 前記蛍光ガラスの前記光センサに対向する光出射面が、凸状に形成されていることを特徴とする請求項8に記載のランプユニット。






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