JP2009244479A - 感光性樹脂組成物、物品、及びパターン形成方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、物品、及びパターン形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】最終的に得られるポリイミドの化学構造を問わず大きな溶解性コントラストを得られ、形状が良好なパターンを得ることができ、簡便に合成できて安価に入手可能な、高感度の感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表わされる繰り返し単位を有するポリイミド前駆体、及び、光酸発生剤を含有する、感光性樹脂組成物である。
Figure 2009244479

(式(1)中、RおよびRはそれぞれ独立にヘミアセタール結合を有する1価の有機基。)
【選択図】なし

Description

本発明は、電磁波によるパターニング工程を経て形成される製品又は部材の材料(例えば、電子部品、光学製品、光学部品の成形材料、層形成材料又は接着剤など)として好適に利用することが出来る、ポリイミド前駆体を用いた感光性樹脂組成物、及び、当該樹脂組成物を用いて作製した物品、並びに当該樹脂組成物を用いたパターン形成方法に関するものである。
高分子材料は、加工が容易、軽量などの特性から身の回りのさまざまな製品に用いられている。1955年に米国デュポン社で開発されたポリイミドは、耐熱性に優れることから航空宇宙分野などへの適用が検討されるなど、開発が進められてきた。以後、多くの研究者によって詳細な検討がなされ、耐熱性、寸法安定性、絶縁特性といった性能が有機物の中でもトップクラスの性能を示すことが明らかとなり、航空宇宙分野にとどまらず、電子部品の絶縁材料等への適用が進められた。現在では、半導体素子の中のチップコーティング膜や、フレキシブルプリント配線板の基材などとしてさかんに利用されてきている。
ポリイミドは、ジアミンと酸二無水物から合成される高分子である。ジアミンと酸二無水物を溶液中で反応させることで、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸(ポリアミック酸)となり、その後、脱水閉環反応を経てポリイミドとなる。一般に、ポリイミドは溶媒への溶解性に乏しく加工が困難なため、前駆体の状態で所望の形状にし、その後、加熱を行うことでポリイミドとする場合が多い。ポリイミド前駆体は熱や水に対し不安定な場合が多く、保存安定性がよくない(非特許文献1)。この点を考慮し、分子構造に溶解性に優れた骨格を導入し、ポリイミドとした後に溶媒に溶解して成形又は塗布できるように改良が施されたポリイミドも開発されたが、これを用いる場合には前駆体方式に比べ耐薬品性や、基板との密着性に劣る傾向にある。そのため、目的に応じて前駆体を用いる方式と溶媒溶解性ポリイミドを用いる方式とが使い分けられている。
また、技術の進歩に従いポリイミドを所望の形状にパターニングしたいとの要求も出てきた。その為、紫外線等の電磁波を用い、露光・現像等のプロセスを通してパターン形成できるポリイミドも開発された。ポリイミドをパターニングするためには、いくつかの手法が提案されている。
その一つがポリイミド前駆体の状態で露光と現像によるパターニングを行い、その後、熱処理等によりイミド化を行ってポリイミドのパターンを得る方法である。もう一つは、それ自体は感光性を持たないポリイミド自身の上に有機物や金属等でレジストパターンを形成し、その開口部をヒドラジン、無機アルカリ、有機アルカリ等の溶液や有機極性溶媒、またはそれらの混合物で処理して分解又は溶出させることにより、パターンを得る方法である。
前者は、溶媒溶解性に優れる前駆体を用いることで加工特性に優れ、後者は、高温の熱処理等が必要とされるイミド化のプロセスをパターン形成後に行う必要が無いという利点があり、それぞれの用途に応じて使い分けられている。
20世紀後半から目覚しい発展を遂げてきた半導体分野において、現在、主に前駆体を利用するタイプのパターニング可能なポリイミドが用いられている。それは、シリコンウェハ上にポリイミドを形成するため、イミド化に必要な300℃〜400℃という高温の熱処理にも基板が耐えられることが、その理由の一つとして挙げられる。
前駆体を利用するタイプのポリイミドをパターニングする手段としても、種々の手法が提案されている。その代表的な手法は、以下の2つに大別される。
(1) ポリイミド前駆体自身にはパターニング能力がなく、感光性樹脂層をその表面に形成し、その感光性樹脂のパターンによってポリイミド前駆体がパターニングされる手法。
(2) ポリイミド前駆体自身に感光性部位を導入し、その作用によりパターン形成する手法、または、ポリイミド前駆体に感光性成分を混合し樹脂組成物とし、その感光性成分の作用でパターン形成する手法。さらには、感光性部位の導入と感光性成分の混合の両方を組み合わせた手法。
上記(1)のグループに属する手法の代表的なものとして、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸がアルカリ溶液に可溶であることを利用し、その塗膜上にアルカリ現像可能なレジストを塗布し、所望の形状に電磁波を照射後、レジストの現像と同時に、現像によって現れたレジストの開口部から露出したポリアミック酸も現像液に溶出させパターンを形成した後、ポリアミック酸が不溶なアセトン等の有機溶媒で表面のレジスト層を剥離し、その後にイミド化を行い、ポリイミドパターンを得るものがある。
一方、上記(2)のグループに属する手法の代表的なものとして:
(a) ポリイミド前駆体のポリアミック酸に、電磁波の露光前は溶解抑止剤として作用し、露光後は、カルボン酸を生成し溶解促進剤となる、ナフトキノンジアジド誘導体を混合し、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法;(特許文献1)
(b) ポリイミド前駆体のポリアミック酸に、電磁波の露光により塩基性物質となるジヒドロピリジン誘導体等の化合物を混合し、露光後に、適度な温度で加熱することにより、露光部に発生した塩基性物質の作用で露光部の現像液に対する溶解性が向上し、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでポジ型のパターン形成を行い、その後、完全にイミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法(特許文献2);
(c) ポリイミド前駆体としてラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する骨格を結合させたものを用い、そこに光ラジカル発生剤を混合することで露光部に架橋構造を形成して現像液に対する溶解性を低下させ、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法(特許文献3);
(d) ポリイミド前駆体のポリアミック酸と塩基性部位を有するラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物を混合することで、両者をイオン結合させ、そこに増感剤を混合することで露光部にラジカル対を形成して現像液に対する溶解性を低下させ、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくすることでパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法(特許文献4);
及び、
(e) ポリイミド前駆体のポリアミック酸に、光酸(または光塩基)発生剤と架橋剤を混合し、露光後、加熱することで露光によって発生した酸(または塩基)の作用によって架橋を進行させ、現像液に対する溶解性を低下させることで、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度のコントラストを大きくしてパターン形成を行い、その後、イミド化を行い、ポリイミドパターンを得る手法;
などが提案されている。
上記(1)のグループに属する手法は、プロセスが煩雑になるものの、用いるポリイミド前駆体の組成の自由度が大きく、また、感光性成分等を混合していないため最終的なポリイミドにはポリイミド以外の不純物を含まず、信頼性が高いという特徴がある。
一方、(2)のグループに属する手法では、ポリイミド前駆体(または、ポリイミド前駆体樹脂組成物)自身がパターン形成能を有するため、(1)のグループで用いたようなレジスト層が必要なく、プロセスが大幅に簡便になるという特徴がある。一方でこれらには、感光性を付与するために導入、または添加されている成分が、ポリイミドとなる部分に対して重量で20〜40%も含まれており、それらは前駆体からポリイミドへ変化させる加熱処理(イミド化)の工程で、一部は分解し揮発するが、感光性付与成分の分解物の一部はポリイミド膜中へ残存する。この残存物は、アウトガスや信頼性低下の原因となる。(非特許文献2)
特に、多層の配線基板に用いる場合、絶縁層として用いられるポリイミド層は積層されるため、積層された下層から揮発成分が発生すると層間に気泡が発生し、配線基板の特性を低下させる。
また、(c)、(d)の感光性ポリイミドは溶剤現像であり、作業環境が悪化する、また、廃液の処理比等のコストがかかるという課題がある。
さらに(c)の感光性ポリイミドは、ポリアミック酸のカルボキシル基と架橋成分である(メタ)アクリロイル基がエステル結合で連結されているため、ポリアミック酸が加水分解されにくく、保存安定性が良好である一方、合成経路が煩雑であり、コストが高いと言う課題もある。
このような課題に対して、より簡便に感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物を得ようとする試みが行われてきた。
特許文献5及び特許文献6では、光反応性基を有するビニルエーテルとポリアミック酸の反応物と光ラジカル発生剤の組み合わせによるネガ型感光性ポリイミドが提案されている。しかしながら、架橋反応によってパターンを形成するため、光反応性部位が高分子量化し、イミド化時に光反応性部位の分解物が残存しやすくなる。その為、イミド化後の塗膜にポリイミド以外の成分が残存しアウトガス等の原因となる課題があった。また、架橋性成分を多く含有している為に、合成時及び/または保存時にゲル化しやすいという問題や、光ラジカル発生剤やその増感剤としてアミノ基を含む化合物を添加しているために、経時的にビニルエーテル由来の部位がポリアミック酸から脱離してしまい、パターン形成能が低下すると言った課題もあった。
特許文献7では、ポリアミック酸のカルボキシル基にエステル結合でフェノール性水酸基を導入したポリイミド前駆体に、ビニルエーテル部位を2つ有した化合物、及び光酸発生剤を添加した樹脂組成物溶液が提案されている。これを用いて塗膜を得ると、成膜時の加熱によりフェノール性水酸基とビニルエーテルが反応しアセタール結合が生成し、ポリイミド前駆体が架橋される。その後露光し、酸を発生させ加熱により、露光部のみアセタール結合を切断し、アルカリ水溶液で現像を行うことでポジ型のパターンを得ると言うものである。
しかしながら、架橋剤として機能するビニルエーテル基を複数有するポリマーを、ポリイミド前駆体に対して25%程度添加する必要がある点、ポリアミック酸にフェノール性水酸基を導入する必要があり合成が煩雑になる点、また、塗膜形成時にビニルエーテルとポリイミド前駆体を反応させることから、塗膜の形成条件等にパターンの形状などが大きく左右され、プロセスの変動に影響を受けやすいと言う課題があった。
さらには、架橋されることで架橋剤が高分子の一部となることにより分解性、揮発性が低く、イミド化後も架橋剤やフェノール性水酸基成分由来の分解残渣がポリイミド中に残存し、アウトガスの発生源となるという課題があった。
特開昭52−13315号公報 特開平6−43648号公報 特開昭61−293204公報 特公昭59−52822公報 特開2001−194784号公報 特開2002−121382号公報 特開2005−115249号公報 Kreuz, J. A., "J Polym Sci Part A: Polym Chem", 1990, 28, p.3787. 「躍進するポリイミドの最新動向III」 住べテクノリサーチ刊、2004年、p.39
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、その目的は、最終的に得られるポリイミドの化学構造を問わず大きな溶解性コントラストを得られ、結果的に、十分なプロセスマージンを保ちつつ、形状が良好なパターンを得ることができ、しかも簡便に合成できて安価に入手可能な、高感度の感光性樹脂組成物を提供するものである。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、下記式(1)で表わされる繰り返し単位を有するポリイミド前駆体、及び、光酸発生剤を含有する。
Figure 2009244479


(式(1)中、Rは、4価の有機基、Rは、2価の有機基であり、繰り返されるR同士及びR同士はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。RおよびRはそれぞれ独立に下記式(2)の構造を有する1価の有機基であり、それらは同一であっても異なっていてもよく、繰り返されるR同士及びR同士はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2009244479
(式(2)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、または1価の有機基であり、Rは1価の有機基である。R、R、R、Rはそれぞれ互いに結合して環状構造を示していても良い。)
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる、上記式(1)で表わされる繰り返し単位を有するポリイミド前駆体は、ポリアミック酸のカルボキシル基がビニルエーテル化合物などとの反応により、ヘミアセタールエステル構造になっている。発明者は、上記ポリイミド前駆体のヘミアセタールエステル結合について詳細に検討を行うことにより、ヘミアセタールエステル結合が、酸存在下、または、酸存在下の加熱によって、加水分解され、ポリアミック酸と、ビニルエーテル、又は、アセトアルデヒドとアルコールとなることを見出した。従って、この反応を利用し、上記式(1)で表わされる繰り返し単位を有するポリイミド前駆体と光酸発生剤とを組み合わせれば、露光部のみ、発生した酸の作用によりヘミアセタールエステル結合が切断され、塩基性水溶液に可溶なポリアミック酸とすることができる。つまり、そのようにして、露光部のみポリアミック酸となったものを、塩基性水溶液で現像することにより、未露光部が残存したポジ型パターンを得ることが出来る。一方で、上記ポリイミド前駆体は、γ−ブチロラクトン等の溶媒に易溶であるが、ポリアミック酸は、難溶であるため、ヘミアセタールエステル結合が分解した後に、γ−ブチロラクトン等の溶媒で現像することにより、露光部のパターンが残存するネガ型パターンも得ることが出来る。本発明は、用いる現像液を変える事により、ポジ像、ネガ像の両方を得ることが出来る。このようにして、本発明の感光性樹脂組成物は、最終的に得られるポリイミドの化学構造を問わず大きな溶解性コントラストを得られ、結果的に十分なプロセスマージンを保ちつつ、形状が良好なパターンを得ることができる。
前記ポリイミド前駆体は、ポリアミック酸とビニルエーテル化合物を混合し室温で撹拌するのみで得られる為、低コストで非常に簡便に入手することが可能である。芳香族カルボン酸とビニルエーテル化合物の反応は、脂肪族カルボン酸との場合と挙動が若干異なる。脂肪族カルボン酸とビニルエーテル化合物との反応は加熱や酸触媒が必要な場合が多いが、発明者は、鋭意検討の結果、芳香族カルボン酸とビニルエーテル化合物は室温で撹拌するのみで得られることを見出した。さらに、その際に窒素原子を含有しない溶媒を用いることでポリアミック酸とビニルエーテル化合物の反応収率を劇的に向上させることに成功し、ポリアミック酸のカルボキシル基をほぼ完全にヘミアセタールエステル結合とすることが可能となった。
また、本発明の感光性樹脂組成物中の光酸発生剤は、触媒的にヘミアセタールエステル結合の分解を促進するので、少量の酸でもパターンを得ることが可能である。つまり、ヘミアセタールエステル結合と光酸発生剤を組み合わせた本発明の感光性樹脂組成物は、単位重量あたりのコストが高い光酸発生剤の添加量を抑制できコスト削減になるばかりでなく、高い感度であり、さらに最終的に得られる硬化膜(ポリイミド膜)中への光酸発生剤由来の成分の残存を抑制することが出来る。
また、ヘミアセタールエステル結合は、200℃以下の加熱により、ポリアミック酸とビニルエーテル、または、アセトアルデヒド、アルコールなどに分解する。ヘミアセタールエステル結合の熱分解によって発生するこれらの化合物は、200℃以下に沸点を持つ常温で液体の場合が多く、加熱の過程でその大部分が揮発する。さらに、イミド化に要する250℃以上の加熱によって、ほぼ全てが膜中より放散されると推測される。その為、最終的に得られたポリイミド膜は、感光性付与成分由来の分解物の残存がほとんどなく、純粋なポリイミド膜に非常に近いものが得られる。
上記ポリイミド前駆体(A)の一つとしては、前記ポリイミド前駆体において、前記式(2)中のR、R、Rが水素である構造、すなわち、下記式(1’)で表されるポリイミド前駆体(A1)を用いることができる。
Figure 2009244479
(式(1’)中、Rは、4価の有機基、Rは、2価の有機基であり、繰り返されるR同士及びR同士はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。Rは1価の有機基である。繰り返されるR同士はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
本発明の感光性樹脂組成物においては、前記ポリイミド前駆体において、前記式(2)中のRが、炭素数2〜30の1価の有機基であり、活性水素を含有しないことが、保存安定性の点から好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物においては、前記ポリイミド前駆体において、前記式(2)中のRの酸素と結合する炭素原子が1級であることが、熱安定性の点から好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物においては、前記ポリイミド前駆体において、前記式(2)中のRが、炭素数2〜30の1価の有機基であり、エーテル結合を含有することが、基板への密着性や保存安定性、耐はじき性、分解物の揮発性の観点から好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物においては、酸性物質、及び、アミンを実質的に含まないことが保存安定性の点から好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、前記光酸発生剤が、436nm、405nm、365nmの波長の電磁波のうち少なくとも1つの波長に吸収を有することが感光性の点から好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物の一実施形態においては、更に増感色素を添加することにより、照射感度を向上させることができる。アミノ基や水酸基等の活性水素は、上記ポリイミド前駆体のヘミアセタールエステル結合の分解を促進するために、上記感光性樹脂組成物の安定性を損なうことから、上記増感色素はアミノ基などの活性水素を骨格に含まない方が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物においては、前記ポリイミド前駆体において、前記式(1)中のR及び/又はRに、芳香環を含むことが、最終的に得られるポリイミド膜の耐熱性良好となり線熱膨張係数が小さくなるために好ましい。
さらに、前記式(1)中のRが、芳香族テトラカルボン酸二無水物由来の骨格であることが、ヘミアセタール結合を形成する反応が触媒を用いずとも室温で速やかに進行するため、合成が容易であることから好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物においては、前記ポリイミド前駆体において、前記式(1)中のRのうち33モル%以上が、下記式(3)で表わされるいずれかの構造であることが好ましい。
Figure 2009244479
上記のような構造を有するポリアミック酸は、高耐熱、低線熱膨張率を示すポリイミドの前駆体であるばかりではなく、芳香族カルボン酸を有している為、室温でビニルエーテル化合物と反応し、ヘミアセタールエステル結合を生成することが可能である。さらには、上記のような芳香族カルボン酸から得られるヘミアセタールエステル結合は、脂肪族カルボン酸から得られるヘミアセタールエステル結合よりも、より低温の加熱により熱分解する為、イミド化時の加熱の際により速やかに分解し、最終的に得られるポリイミド中のビニルエーテル由来の分解物が少ない。その為、上記式(3)で表わされる構造の含有量は前記式(1)中のRのうち100モル%に近ければ近いほど、本発明の目標を達成しやすくなるが、少なくとも前記式(1)中のRのうち33%以上含有すれば目的を達成できる。
本発明の感光性樹脂組成物においては、前記ポリイミド前駆体において、前記式(1)中のRのうち33モル%以上が下記式(4)で表わされるいずれかの構造であることが好ましい。
Figure 2009244479

(R10は2価の有機基、酸素原子、硫黄原子、又はスルホン基であり、R11及びR12は1価の有機基、又はハロゲン原子である。)
上記のような構造を有する場合、最終的に得られるポリイミドの耐熱性が向上する。その為、前記式(1)中のRのうち100モル%に近ければ近いほど、本発明の目標を達成しやすくなるが、前記式(1)中のRのうち少なくとも33%以上含有すれば目的を達成できる。
本発明の感光性樹脂組成物においては、保存安定性の点から、窒素原子を含有しない溶媒を含むことが好ましく、更に、窒素原子を含有する溶媒を含まないことが保存安定性の点から好ましい。
また、保存安定性を向上させる観点から、組成物中の水分含有量が1重量%以下であることが好ましい。芳香族カルボン酸から形成されるヘミアセタールエステル結合は、水の存在下室温で分解する。つまり、上記ポリイミド前駆体は、水と作用し、ポリアミック酸とアセトアルデヒドとアルコールなってしまう。さらに、アルコールはヘミアセタールエステル結合と交換反応を起こし、アセタールとカルボキシル基を生成する。つまり、水1分子が、2つのヘミアセタールエステル結合を分解することになる為、上記感光性樹脂組成物の保存安定性を低下させる。
本発明の感光性樹脂組成物においては、更にビニルエーテル化合物を含むことが、保存安定性を向上させる観点から好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物においては、イミド化後のガラス転移温度が260℃以上であることが耐熱性の観点から好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物においては、イミド化後の線熱膨張係数が60ppm以下であることが寸法安定性の観点から好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物においては、イミド化後の湿度膨張係数が40ppm以下であることが寸法安定性の観点から好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、塗料又は印刷インキ、或いは、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料の形成材料として好適に用いられる。
本発明の物品は、上記本発明の感光性樹脂組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料いずれかの物品である。
本発明のパターン形成方法は、上記本発明の感光性樹脂組成物からなる膜又は成形体の表面に、所定のパターン状に電磁波を照射する露光工程と、露光部又は未露光部のいずれか一方が溶解する溶媒を現像液として用いて現像する現像工程を有する。
本発明のパターン形成方法においては、前記露光工程後前記現像工程前に、加熱処理を行って、前記膜又は成形体の露光部の現像液に対する溶解性を選択的に変化させても良い。
本発明のパターン形成方法は、前記現像工程において塩基性水溶液を用いて現像し、ポジ型パターン形成方法であっても良い。
本発明のパターン形成方法においては、前記現像工程後、前記膜又は成形体を加熱する工程を有し、当該加熱温度の最高温度が251℃以上400℃以下であることが好ましい。このような温度で加熱することにより、ポリイミド前駆体のイミド化が充分に進行して実質的に全てのカルボン酸が消失するので最終的に得られたポリイミド膜は低吸湿性及び高耐熱性を実現する上、感光性付与成分由来の分解物の残存がほとんどなくなり、信頼性の高いポリイミド膜が得られる。
以上に述べたように、本発明によれば、簡便に合成が可能なポリイミド前駆体と光酸発生剤を混合するだけで、大きな溶解性コントラストが得られ、結果的に、十分なプロセスマージンを保ちつつ、形状が良好なパターンを得ることができ、しかも安価で高感度の感光性樹脂組成物を得ることができる。
また、ポリイミド前駆体はヘミアセタールエステル結合を有していれば、広範な構造のポリイミド前駆体を選択できる為、構造選択の幅が広い。さらには、目的応じて、多くの種類の光酸発生剤を選択することが可能であり、感光性樹脂組成物としての構造の選択肢が多い。
また、現像液も特に限定されず、ポリイミド前駆体に合わせて適宜、有機溶剤、塩基性水溶液、酸性水溶液、中性水溶液等を用いることができる。特に、環境汚染性が低く、安価な塩基性水溶液を利用できるので、産業上利用価値が高い。さらには、現像液を変化させることのみで、ポジ像、ネガ像の両方を得ることが出来る。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、窒素原子を含まない溶媒を選択し、ビニルエーテル化合物を含有することで、保存安定性が良好となる。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明において、電磁波とは、化合物の分子内解裂反応を引き起こすことが可能なものであればよく、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、下記式(1)で表わされる繰り返し単位を有するポリイミド前駆体、及び、光酸発生剤を含有する。
Figure 2009244479


(式(1)中、Rは、4価の有機基、Rは、2価の有機基であり、繰り返されるR同士及びR同士はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。RおよびRはそれぞれ独立に下記式(2)の構造を有する1価の有機基であり、それらは同一であっても異なっていてもよく、繰り返されるR同士及びR同士はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2009244479
(式(2)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、または1価の有機基であり、Rは1価の有機基である。R、R、R、Rはそれぞれ互いに結合して環状構造を示していても良い。)
本発明者は、イミド化後に感光性成分の残留物が少なく、室温における保存安定性が良好な感光性ポリイミドを得ることを目的に、酸、及び加熱の作用により容易に解裂し、カルボキシル基を生成するヘミアセタールエステル結合に着目し研究を進めたところ以下のような知見を得た。
ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸は一般に室温において加水分解されやすく分子量低下が起こることが知られている。これは、ポリアミック酸を得る重付加反応が平衡反応であることに由来するといわれている。つまり、ポリアミック酸のアミド結合は常に、酸無水物とアミノ基に解裂したり再結合したりを繰り返している。そうして系中に含まれる酸無水物基が、同じく系中の水分と反応しジカルボン酸となると、上記の平衡反応の系からはずれ、アミド結合が切れる方向へ(ポリアミック酸の分子量が小さくなる方向へ)平衡が移動するからだといわれている。
その為、同じくポリイミドの前駆体であるポリアミック酸エステルは、カルボン酸がエステル化されている為、分子鎖が切れる逆反応は進行せず、分子量の低下が見られない。
これらの知見から発明者は、ポリアミック酸のカルボキシル基をヘミアセタールエステル化することで保存安定性を付与し、ヘミアセタールエステル結合を光酸発生剤から発生された酸の作用により切断することで、パターン形成を可能とし、しかも、イミド化に伴う加熱の過程で、残存するヘミアセタールエステル結合も、熱分解しポリアミック酸へ戻り、分解物は揮発することから、感光性成分由来の残存物が膜中にない感光性ポリイミドを創出できるのではないかと考え、鋭意検討し本発明にいたった。
特にヘミアセタールエステル結合は、エステル結合に比べ加熱のみで容易に熱分解することから、より低温の加熱によって結合の解裂が起こる。ポリイミド前駆体の多くは、一般に加熱に伴い140℃付近の温度から徐々にイミド化が進行して行くと言われており、イミド化率の上昇に伴い膜のガラス転位温度(Tg)が上昇していく。Tgが上昇すると、分子鎖の振動が抑制されるため、膜内部からの物質の揮発が困難になる。その点、ヘミアセタールエステル結合の場合は、場合により、室温付近から分解する為、イミド化率が低い状態で分解反応が起こる。そのため、ヘミアセタールエステル結合をポリイミド前駆体に組み合わせた場合は、分解成分の揮発性が良好であり、ポリイミド前駆体からポリイミドにする際の加熱の過程で、分解成分が揮発し、ポリイミド膜中に残存するヘミアセタールエステル結合部位由来の分解物がほとんどないという特徴を有する。
その為、本発明におけるヘミアセタールエステル結合によってポリイミド前駆体主鎖と結合して後に脱離させたい部位(以後、保護部位、という)は、分子量が小さく、分解後の構造の揮発性が高いほうが分解物のポリイミド膜への残存を抑制する点から好ましい。
さらに保護部位には、実質的に架橋性(反応性)部位を含まない方がポリイミド前駆体を合成中のゲル化を抑制でき、さらには、膜中への残存物を抑制できるので好ましい。
前記ポリイミド前駆体は、ポリアミック酸とビニルエーテル化合物を混合し室温で撹拌するのみで得られる為、低コストで非常に簡便に入手することが可能である。芳香族カルボン酸とビニルエーテル化合物の反応は、脂肪族カルボン酸との場合と挙動が若干異なる。脂肪族カルボン酸とビニルエーテル化合物との反応は加熱や酸触媒が必要な場合が多いが、発明者は、鋭意検討の結果、芳香族カルボン酸とビニルエーテル化合物は室温で撹拌するのみで得られることを見出した。さらに、その際に窒素原子を含有しない溶媒を用いることで劇的にポリアミック酸とビニルエーテル化合物の反応収率を向上させることに成功し、ポリアミック酸のカルボキシル基をほぼ完全にヘミアセタールエステル結合とすることが可能となった。
上記ヘミアセアセタールエステル結合を有するポリイミド前駆体と光酸発生剤とを含有する感光性樹脂組成物は、下記のような手法でパターンを得ることができる。
所望の形状のパターンが描かれたマスクを介して露光を行うことにより、露光部のみに酸を発生させることができる。その後、必要に応じて加熱を行うことにより露光部でのみ、その酸の作用によりヘミアセタールエステル結合が解裂し、カルボキシル基となる。ヘミアセタールエステル結合が分解されてポリアミック酸になると、有機溶媒に対する溶解性が低下し、高沸点の極性溶媒にのみ可溶となる。或いは、塩基性水溶液に対して可溶となる。未露光部においては、ヘミアセタールエステル結合のままのため上記ポリイミド前駆体は、多くの有機溶媒に可溶であるが、水性溶液には難溶である。
このようにして、露光部、未露光部において各種溶液に対する溶解性が変化するため、露光やその後の必要に応じた加熱の後に、露光部が溶解し未露光部が溶解しない溶液で処理すればポジ型のパターンが、逆に露光部が不溶で未露光部が可溶となる溶液で処理すればネガ型のパターンを得ることが出来る。
本発明の感光性樹脂組成物中の光酸発生剤は、触媒的にヘミアセタールエステル結合の分解を促進するので、少量の酸でもパターンを得ることが可能である。つまり、ヘミアセタールエステル結合と光酸発生剤を組み合わせた本発明の感光性樹脂組成物は、単位重量あたりのコストが高い光酸発生剤の添加量を抑制できコスト削減になるばかりでなく、高い感度であり、さらに最終的に得られる硬化膜(ポリイミド膜)中への光酸発生剤由来の成分の残存を抑制することが出来る。
また、光酸発生剤は、市販されている種類も多いことから選択の幅が広く、高感度の物も選択できる為、高感度の感光性樹脂組成物とすることが出来る。さらには、光酸発生剤の種類によっては、露光し酸を発生させた後に加熱することにより、発生した酸が未分解の光酸発生剤を分解しさらに酸を生成するという化学増幅の機構を取ることも可能であり、その場合は、さらに高感度の感光性樹脂組成物となる。
本発明に用いられるカルボキシル基がヘミアセタールエステル化されたポリイミド前駆体は、ポリアミック酸とビニルエーテルを混合するだけで得られることから非常に安価に入手が可能である。さらに、このポリイミド前駆体と光酸発生剤を混合するという簡便な手法で感光性樹脂組成物を調整することが可能である。また、化学増幅の機構を用いることにより、より少量の光酸発生剤の添加で高い感度を示す。
さらには、適用できるポリイミド前駆体の選択範囲が広くその感光性樹脂組成物とその環化物の特性を生かすことの出来る分野に広く応用される。
次に、本発明の感光性樹脂組成物に用いられる各成分を説明する。
本発明で用いられるポリイミド前駆体は、下記式(1)で表わされる繰り返し単位を有する。
Figure 2009244479
(式(1)中、Rは、4価の有機基、Rは、2価の有機基であり、繰り返されるR同士及びR同士はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。RおよびRはそれぞれ独立に下記式(2)の構造を有する1価の有機基であり、それらは同一であっても異なっていてもよく、繰り返されるR同士及びR同士はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2009244479
(式(2)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、または1価の有機基であり、Rは1価の有機基である。R、R、R、Rはそれぞれ互いに結合して環状構造を示していても良い。)
式(1)において、一般に、Rは、テトラカルボン酸二無水物由来の構造であり、Rはジアミン由来の構造である。
本発明のポリイミド前駆体に適用可能な酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、
2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルプロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ぺリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
最終的に得られるポリイミド膜の耐熱性、線熱膨張係数や、前駆体への保護反応の反応性などの観点から好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物は、芳香族テトラカルボン酸二無水物であることが好ましく、特に好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物、メロファン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物が挙げられる。
なかでも、ヘミアセタールエステル結合の安定性の観点から、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物が特に好ましい。
併用する酸二無水物としてフッ素が導入された酸二無水物や、脂環骨格を有する酸二無水物を用いると、ポリイミド前駆体の透明性が向上する。また、ピロメリット酸二無水物、メロファン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの剛直な酸二無水物を用いると、最終的に得られるポリイミドの線熱膨張係数が小さくなるので好ましい。なかでも、ヘミアセタールエステル結合の安定性の観点から、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、が特に好ましい。
酸二無水物として脂環骨格を有する場合、ポリイミド前駆体の透明性が向上するため、高感度の感光性樹脂組成物となる。さらに、ヘミアセタールエステル結合を形成する反応の際に加熱や触媒が必要となる場合があるが、安定性の比較的高いヘミアセタールエステル結合を形成することが可能であるので保存安定性を重視する場合は好ましい。
一方、芳香族のテトラカルボン酸二無水物を用いた場合、耐熱性に優れ、低線熱膨張係数を示す感光性樹脂組成物となる。さらにヘミアセタールエステル結合を形成する反応が室温で進行するため、非常に容易に目的のポリイミド前駆体を得ることが出来る。さらに、より低温で分解するため、イミド化後の膜に分解物が残りにくいというメリットがある。従って、本発明の感光性樹脂組成物においては、前記ポリイミド前駆体において、前記式(1)中のRのうち33モル%以上が、下記式(3)で表わされるいずれかの構造であることが好ましい。
Figure 2009244479
上記のような構造を有するポリアミック酸は、高耐熱、低線熱膨張率を示すポリイミドの前駆体であるばかりではなく、芳香族カルボン酸を有している為、室温でビニルエーテル化合物と反応し、ヘミアセタールエステル結合を生成することが可能である。さらには、上記のような芳香族カルボン酸から得られるヘミアセタールエステル結合は、脂肪族カルボン酸から得られるヘミアセタールエステル結合よりも、より低温の加熱により熱分解する為、イミド化時の加熱の際により速やかに分解し、最終的に得られるポリイミド中のビニルエーテル由来の分解物が少ない。その為、上記式(3)で表わされる構造の含有量は前記式(1)中のRのうち100モル%に近ければ近いほど、本発明の目標を達成しやすくなるが、少なくとも前記式(1)中のRのうち33%以上含有すれば目的を達成できる。中でも上記式(3)で表わされる構造の含有量は前記式(1)中のRのうち50モル%以上であることが好ましく、更に、70モル%以上であることが好ましい。
一方、本発明のポリイミド前駆体に適用可能なジアミン成分も、1種類のジアミン単独で、または2種類以上のジアミンを併用して用いることができる。用いられるジアミン成分は限定されるわけではないが、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、
3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、
ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、
1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、
1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
ジアミンは、目的の物性によって選択することができ、p−フェニレンジアミンなどの剛直なジアミンを用いれば、最終的に得られるポリイミドは低膨張率となる。剛直なジアミンとしては、同一の芳香環に2つアミノ基が結合しているジアミンとして、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2、6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノアントラセンなどが挙げられる。
さらに、2つ以上の芳香族環が単結合により結合し、2つ以上のアミノ基がそれぞれ別々の芳香族環上に直接又は置換基の一部として結合しているジアミンが挙げられ、例えば、下記式(5)により表されるものがある。具体例としては、ベンジジン等が挙げられる。
Figure 2009244479


(aは1以上の自然数、アミノ基はベンゼン環同士の結合に対して、メタ位または、パラ位に結合する。R11及びR12は1価の有機基、又はハロゲン原子である。)
さらに、上記式(5)において、他のベンゼン環との結合に関与せず、ベンゼン環上のアミノ基が置換していない位置に置換基を有するジアミンも用いることができる。これら置換基は、1価の有機基であるがそれらは互いに結合していてもよい。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
また、最終的に得られるポリイミドを光導波路、光回路部品として用いる場合には、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると1μm以上の波長の電磁波に対しての透過率を向上させることができる。
一方、ジアミンとして、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどのシロキサン骨格を有するジアミンを用いると、最終的に得られるポリイミドの弾性率が低下し、ガラス転移温度を低下させることができる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
また、前記ポリイミド前駆体においては、前記式(1)中のRのうち33モル%以上が下記式(4)で表わされるいずれかの構造であることが好ましい。
Figure 2009244479


(R10は2価の有機基、酸素原子、硫黄原子、又はスルホン基であり、R11及びR12は1価の有機基、又はハロゲン原子である。)
上記のような構造を有する場合、最終的に得られるポリイミドの耐熱性が向上する。その為、前記式(1)中のRのうち100モル%に近ければ近いほど、本発明の目標を達成しやすくなるが、前記式(1)中のRのうち少なくとも33%以上含有すれば目的を達成できる。中でも上記式(4)で表わされる構造の含有量は前記式(1)中のRのうち50モル%以上であることが好ましく、更に、70モル%以上であることが好ましい。
また、式(1)中、RおよびRはそれぞれ独立に下記式(2)の構造を有する1価の有機基であり、それらは同一であっても異なっていてもよく、繰り返されるR同士及びR同士はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2009244479


(式(2)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、または1価の有機基であり、Rは1価の有機基である。R、R、R、Rはそれぞれ互いに結合して環状構造を示していても良い。)
上記式(2)で表されるヘミアセタールエステル結合は、例えば以下のようなカルボキシル基とビニルエーテル化合物との反応により得ることができる。
Figure 2009244479

つまり、ヘミアセタールエステル結合をカルボン酸とビニルエーテル化合物の付加反応により形成する場合、上記式(2)のR、R、R、Rはビニルエーテル化合物の構造によって決まる。上記式(2)で表される構造は、ジヒドロピラン等環状ビニルエーテル化合物を用いて形成しても良いが、この場合には反応性が非常に悪く、反応時間が非常に長くなるため、非環状ビニルエーテル化合物を用いて形成することが好ましい。
、R、Rは、水素、または、置換または無置換のアルキル基、アリル基、アリール基が好ましい。特に原料入手の容易性から、水素であることが好ましい。また、1級、2級、3級のアミノ基や、水酸基などの活性水素を有する置換基は含まないことが好ましい。
この場合の活性水素を有する置換基とは、ヘミアセタールエステル結合と交換反応可能な置換基を示し、具体的には水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる(化学辞典 東京化学同人)。
上記式(2)のRは、炭素数が1以上の1価の有機基である。Rは、炭化水素骨格を有する基が例示される。それらは、ヘテロ原子等の炭化水素以外の結合や置換基を含んでいてもよいし、そのようなヘテロ原子の部分が芳香環に組み込まれて複素環となっていても良い。炭化水素骨格を有する基としては、例えば、直鎖又は分岐鎖或いは脂環式の飽和又は不飽和炭化水素基、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和ハロゲン化アルキル基、又は、フェニル、ナフチル等の芳香族基、さらには、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素骨格中にエーテル結合を含有する基(例えば、−(R−O)n−R’、ここでR及びR’は置換又は無置換の飽和又は不飽和炭化水素、nは1以上の整数;−R”−(O−R”’)、ここでR”及びR”’は置換又は無置換の飽和又は不飽和炭化水素、mは1以上の整数、−(O−R”’)はR”の末端とは異なる炭素に結合している;などが挙げられる。)、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素骨格中にチオエーテル結合を含有する基、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素骨格上にハロゲン原子、シアノ基、シリル基、ニトロ基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基等のヘテロ原子又はヘテロ原子を含有する基が結合してなるさまざまな基が挙げられる。
1級、2級、3級のアミノ基や、水酸基などの活性水素を有する置換基を含むと、ヘミアセタールエステル結合が分解しやすくなることから保存安定性が低下するので、上記式(2)のRは、活性水素を含有しないことが好ましい。
更に、上記式(2)のRは、反応性を有するエチレン性不飽和結合などが含まれる場合には、保存安定性が悪くなる傾向がある。そのため、反応性を有する不飽和結合を含有する場合であっても少量であることが好ましく、上記式(2)のR中に反応性を有する不飽和結合を含有する繰り返し単位は、式(1)で表される全繰り返し単位中に35モル%以下であることが好ましい。一方、ヘミアセタールエステル結合が切断された後のRの分解物をポリイミド膜中に残存し難くする点からは、上記式(2)のRには反応性を有する不飽和結合は含有しないことが好ましい。
上記式(2)のRは、特に基板への密着性や保存安定性、耐はじき性、分解物の揮発性の観点から、炭化水素骨格中にエーテル結合を含有することが好ましい。ポリオキシアルキレン骨格を含んでいても良い。ポリオキシアルキレン骨格を含む場合のオキシアルキレンの繰り返し数は15以下であることが分解物の揮発性の点から好ましい。
ヘミアセタールエステル結合は、加熱によりカルボン酸とその他の生成物に分解するが、その分解温度は、一般に上記式中のRにおいて、酸素原子と結合する炭素が、3級炭素<2級炭素<1級炭素の置換基の順で高くなる。
一方、ヘミアセタールエステル結合を得るためのビニルエーテル化合物とカルボン酸の反応は、一般に上記式中のRにおいて、酸素原子と結合する炭素が1級炭素<2級炭素<3級炭素の置換基の順で高い反応率を示す。
従って、上記式(2)のRにおいて、酸素原子と結合する炭素が1級炭素の場合、ポリイミド前駆体の安定性が高く、より長期の保存に耐えられる。さらには、成膜時などのプロセス中での加熱温度をより高く設定できるため、プロセス中での安定性が向上する。
上記式(2)のRにおいて、酸素原子と結合する炭素が3級炭素の場合、ポリイミド前駆体が若干不安定になるものの、より低温の加熱によりヘミアセタールエステル結合が分解する。その為、イミド化の為の加熱の過程でよりスムーズにヘミアセタールエステル結合の分解、及び、分解物の揮発が起こり、より短時間の加熱においても最終的に得られるポリイミド膜中の保護基由来の分解物の残存成分の量をより少なく、多くの場合は実質的にゼロにすることが出来る。また、短い反応時間でヘミアセタールエステル結合を有するポリイミド前駆体を得たい場合には、Rは3級の置換基であることが好ましい。
上記式(2)のRにおいて、酸素原子と結合する炭素が2級炭素の場合、上記の1級炭素の場合と3級炭素の場合の間の特性を示し、ポリイミド前駆体の保存安定性、保護基の脱離性、及びヘミアセタールエステル結合への反応性のバランスの取れた感光性樹脂組成物とすることが可能である。
前記式(2)中のRは、炭素数が2〜30であることが、分解物の揮発性の点から好ましく、炭素数が2〜15であることが更に好ましい。
前記式(2)中のRの構造において特に好ましい組み合わせは、酸素原子と結合する炭素が1級炭素、または2級炭素であり、さらに、直鎖または分岐または環状の飽和炭化水素骨格中にエーテル結合を1つ以上含み、且つ、活性水素を含まない構造である。
前記式(2)中のRとしては特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、シクロヘキシロキシプロピル基、等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物中に含まれるポリイミド前駆体を製造する方法としては、従来公知の手法を適用することができる。例えば、酸二無水物とジアミンから前駆体であるポリアミド酸を合成し、それにビニルエーテル化合物を反応させる方法などが挙げられるがこれに限定されない。テトラカルボン酸に2等量のビニルエーテル化合物を反応させ、ジカルボキシジヘミアセタールエステル化合物をとした後、ジアミンと脱水縮合反応によってポリマー化しても良い。
上記ポリイミド前駆体は、一般に、ポリアミック酸とビニルエーテル化合物から得られるが、発明者の検討結果によれば、その反応は、アミノ基や水酸基などの活性水素を有している溶媒中や、アミノ基や水酸基などの活性水素を有している化合物と共存下ではヘミアセタールエステル結合を得る収率が低い傾向があった。また、骨格中にニトロ基以外の形で窒素原子を含有する溶媒を用いた際も収率が低くなったことから、骨格中にニトロ基以外の形で窒素原子を含有する溶媒を含む場合も好ましくない。
一般に低線熱膨張係数を示すポリイミドは、芳香族ポリイミドである場合が多く、その前駆体である芳香族ポリアミック酸は、N−メチルピロリドンやジメチルアセトアミドのような窒素原子を含有するアミド系溶媒には高い溶解度を示すが、非アミド系溶媒のような窒素原子を含有しない溶媒には溶解性が低い場合が多い。特に、低膨張性を実現できる、Rが上記式(3)で表わされるいずれかの構造であり、且つRが上記式(5)で表わされるいずれかの構造であるような芳香族ポリアミック酸は、ラクトン類やスルホキシド類のような非アミド系溶媒には完全に溶解しない。ここで完全に溶解しないとは、反応時や塗膜形成時に必要な濃度、例えば23℃で溶媒中16.5重量%の濃度でポリアミック酸が完全に溶解できない状態をいう。
上述した特許文献5のような従来技術では、芳香族ポリアミック酸を溶媒中に溶解させた状態でビニルエーテル化合物と反応を行うようにしている。そのため従来は、低膨張性を実現できる、Rが上記式(3)で表わされるいずれかの構造であり且つRが上記式(5)で表わされるいずれかの構造であるような芳香族ポリアミック酸由来の100%ヘミアセタールエステル化したポリイミド前駆体を合成できていない。
しかし、本発明に用いられるヘミアセタールエステル結合を有するポリイミド前駆体は、カルボキシル基がヘミアセタールエステル化されることによって、溶解性が向上し非アミド系溶媒のような窒素原子を含有しない溶媒に対しても高い溶解性を示す。
その為、上記のポリアミック酸とビニルエーテル化合物との反応は窒素原子を含有しない溶媒で行うと反応効率が良好となるが、その場合は、当初、上述のように線膨張係数が低いポリイミドを達成するポリアミック酸は完全には溶けていない場合が多い。しかし、本発明においては、ポリアミック酸の反応の進行とともにポリイミド前駆体が反応溶媒に溶解して行き、最終的には完全に溶解するようにして調製した。
ポリアミック酸のカルボキシル基を100%へミアセタールエステル結合とした本発明のポリイミド前駆体を調製することが可能な点から、ポリアミック酸とビニルエーテルとの反応溶媒としては、窒素原子を含有しない溶媒の中でもラクトン類、スルホキシド類を用いることが好ましい。ラクトン類としては、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、δ−ヘキサノラクトンなどが挙げられ、スルホキシド類としては、ジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどが挙げられる。ジメチルスルホキシドは、高い溶解性を有する一方で、酸化され難く変異原性も確認されており、溶媒としての安定性や安全性に課題があるため、中でもラクトン類が特に好ましい。
また、ポリアミック酸のカルボキシル基を100%へミアセタールエステル結合とした本発明のポリイミド前駆体を調製することが可能な点から、ポリアミック酸とビニルエーテルの反応時の温度としては、5〜35℃が好ましく、更に10〜30℃が好ましい。これよりも反応温度が高い場合には、ヘミアセタールエステル結合の分解等の副反応が進行することから、100%へミアセタールエステル結合としたポリイミド前駆体を得られない傾向がある。
なお、本発明に用いられるポリイミド前駆体は、低沸点の非アミド系溶媒に対して高い溶解性を示すので、塗布などのプロセスにおいて操作性が向上する。
ビニルエーテル化合物は、所望のへミアセタールエステル結合の構造に合わせて適宜選択して用いられる。例えば具体的には、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素骨格を有するビニルエーテル化合物;シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、トリシクロデカニルビニルエーテル、トリシクロデカニルメチルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルメチルビニルエーテル等の脂環式飽和炭化水素骨格を含有するビニルエーテル化合物;エチレングリコールメチルビニルエーテル、エチレングリコールエチルビニルエーテル、エチレングリコールプロピルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、ポリエチレングリコールメチルビニルエーテル、ポリエチレングリコールエチルビニルエーテル、ポリエチレングリコールプロピルビニルエーテル、ポリエチレングリコールブチルビニルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルビニルエーテル、プロピレングリコールメチルビニルエーテル、プロピレングリコールエチルビニルエーテル、プロピレングリコールプロピルビニルエーテル、プロピレングリコールブチルビニルエーテル、ポリプロピレングリコールメチルビニルエーテル、ポリプロピレングリコールエチルビニルエーテル、ポリプロピレングリコールプロピルビニルエーテル、ポリプロピレングリコールブチルビニルエーテル、ポリプロピレングリコールオクチルビニルエーテル、ブチレングリコールメチルビニルエーテル、ブチレングリコールエチルビニルエーテル、ブチレングリコールプロピルビニルエーテル、ブチレングリコールブチルビニルエーテル、ポリブチレングリコールメチルビニルエーテル、ポリブチレングリコールエチルビニルエーテル、ポリブチレングリコールプロピルビニルエーテル、ポリブチレングリコールブチルビニルエーテル、ポリブチレングリコールオクチルビニルエーテル等の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素骨格中にエーテル結合を含有するビニルエーテル類などが挙げられる。
なお、上記のビニルエーテル化合物のうち、ポリオキシアルキレン残基を含む場合のお気しアルキレン残基の繰り返し数は、15以下となることが分解後の揮発性の点から好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物中に含まれるポリイミド前駆体は、塗膜を形成する前の保存安定性の点からは、上記式(1)で表わされる繰り返し単位を100モル%含有することが好ましい。上記式(1)で表わされる繰り返し単位の構造のうち、ヘミアセタールエステル結合が切れてカルボキシル酸を有する構造となっている繰り返し単位が含まれていると、存在するカルボキシル酸の触媒効果でヘミアセタールエステル結合の分解が進行しやすい。
しかしながら、上記式(1)で表わされる繰り返し単位の構造のうち、ヘミアセタールエステル結合が切れてカルボキシル基を有する構造となっている繰り返し単位が若干含まれている状態であっても、パターン形成は可能である。従って、本発明の感光性樹脂組成物中に含まれるポリイミド前駆体は、上記式(1)で表わされる繰り返し単位を70モル%以上含有することが好ましく、更に90モル%以上、より更に98モル%以上含有することが望ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物中に含まれるポリイミド前駆体は、活性水素を含まなければ、ポリイミド前駆体、及び、または、ポリベンゾオキサゾール前駆体などの高分子の繰り返し単位と上記式(1)で示される繰り返し単位が混在していてもよい。しかし、良好なパターンを形成するためには、上記式(1)の繰り返し単位は、ポリイミド前駆体の全繰り返し単位中に少なくとも25モル%以上含むことが好ましく、更に50モル%以上、より更に70モル%以上、特に90モル%以上含むことが好ましい。
活性水素を含まないポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体、その他高分子化合物の例としては、ポリアミド酸エステルの繰り返し単位、ポリアミドフェノールエステルの繰り返し単位、ポリアミドフェノールエーテルの繰り返し単位、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレン、ポリエステルなどが挙げられる。
また、本発明のポリイミド前駆体においては、ポリマーの末端が、酸無水物基、または活性水素を含まない構造で末端封止されていることが、保存安定性の点から好ましい。
酸無水物基、または活性水素を含まない構造で末端封止する方法としては、例えば、アミン末端のポリイミド前駆体の場合は、無水酢酸でアミド化する方法や、フタル酸無水物や2,3−ナフタル酸無水物などの酸無水物で末端をアミック酸とする方法などが挙げられる。
末端が、芳香族カルボン酸であれば活性水素を持っていても、室温でビニルエーテルと反応しヘミアセタールエステル化されるので、この場合は、保存安定性を低下させない。
本発明の感光性樹脂組成物中に含まれるポリイミド前駆体は、感光性樹脂組成物とした際の感度を高め、マスクパターンを正確に再現するパターン形状を得るために、1μmの膜厚のときに、露光波長のいずれかに対して少なくとも5%以上の透過率を示すことが好ましく、15%以上の透過率を示すことが更に好ましい。
露光波長に対してポリイミド前駆体の透過率が高いということは、それだけ、照射光のロスが少ないということであり、高感度の感光性樹脂組成物を得ることができる。
また、一般的な露光光源である高圧水銀灯を用いて露光を行う場合には、少なくとも436nm、405nm、365nmの波長の電磁波のうち1つの波長の電磁波に対する透過率が、厚み1μmのフィルムに成膜した時で好ましくは5%以上、さらに好ましくは15%、さらに好ましくは50%以上である。
ポリイミド前駆体の重量平均分子量または、数平均分子量のいずれかは、その用途にもよるが、3,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましく、7,000〜100,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量または、数平均分子量のいずれかが3,000未満であると、塗膜又はフィルムとした場合に十分な強度が得られにくい。また、加熱処理等を施しポリイミドとした際の膜の強度も低くなる。一方、重量平均分子量または、数平均分子量のいずれかが1,000,000を超えると粘度が上昇し、溶解性も落ちてくるため、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜又はフィルムが得られにくい。
ここで用いている重量平均分子量とは、公知の手法により得られる分子量であり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値が例示され、数平均分子量は1H-NMRスペクトルから求めた末端部の繰り返し単位由来のピークと非末端部の繰り返し単位由来のピークの積分比から求める方法などが例示される。
本発明に係る感光性樹脂組成物において、上記ポリイミド前駆体は、別々に合成した2種以上のポリイミド前駆体をブレンドしてもよい。その目的に応じて、1級のビニルエーテル化合物を用いて合成されたポリイミド前駆体、2級のビニルエーテル化合物を用いて合成されたポリイミド前駆体、3級のビニルエーテル化合物を用いて合成されたポリイミド前駆体を適宜混合して用いても良い。
本発明に係る感光性樹脂組成物において、上記ポリイミド前駆体の固形分は、得られるパターンの膜物性、特に膜強度や耐熱性の点から、溶剤を含む感光性樹脂組成物全体中に、0.1重量%〜80重量%であることが好ましく、0.5重量%〜50重量%であることがさらに好ましい。固形分濃度が0.1重量%よりも小さい場合は、得られる塗膜の膜厚が薄く、表面に凹凸のある基板に対しての追従性が低下し、塗布むらが発生しやすい。一方、固形分濃度が80重量%より大きい場合は、粘度が大きくなり塗布途中での溶媒の揮発等による膜厚むらが発生しやすくなる。
また、本発明に係る感光性樹脂組成物において、上記ポリイミド前駆体の固形分は、得られるパターンの膜物性、特に膜強度や耐熱性の点から、感光性樹脂組成物中の溶剤と後述するビニルエーテル化合物を除いた固形分全体に対し、30重量%以上、50重量%以上含有することが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、必須の成分として光酸発生剤を含む。本発明における光酸発生剤としては、電磁波を吸収することにより分解して酸を発生するものであれば、公知のものを特に制限なく使用することができる。本発明に用いられる光酸発生剤としては、それ自体が電磁波の照射によって分解、または分子内転移等の反応がおこり、中性から酸性へ変化する化合物が好適に用いられる。光酸発生剤は、単独で使用しても2種以上混合して用いても良い。
光酸発生剤の例としては、ジフェニルヨードニウムスルホネートなどのヨードニウム塩類、トリフェニルスルホニウムトリフレートなどのスルホニウム塩類、o − ニトロベンジルスルホネート、酢酸o − ニトロベンジル酢酸エステルなどのベンジルエステル類、1 、2 、3 − トリス( スルホニルオキシ) ベンゼンなどのスルホン酸フェニルエステル類、N − フタルイミドトシレート、コハク酸イミドスルホネートなどのN − イミドスルホネート類、ジシクロヘキシルジアゾジスルホンなどジアゾジスルホン類、ナフトキノンジアジドなどジアゾ類、ビストリクロロメチルフェニルトリアジンなどのハロメチル類、ジフェニルジスルホンなどのジスルホン類、スルホン酸オキシムエステル、ケトスルホン化合物、α − ケトスルホネート類などが挙げられる。
光酸発生剤は、溶剤を含む感光性樹脂組成物全体中に、0.005重量%〜20重量%であることが、感度の観点から好ましい。また、本発明に係る感光性樹脂組成物において、光酸発生剤は、感光性樹脂組成物中の溶剤と後述するビニルエーテル化合物を除いた固形分全体に対し、0.01〜30重量%含まれることが感度の観点から好ましく、0.1重量%〜10重量%含まれることが、イミド化後の光酸発生剤由来の分解物を抑制する観点からより好ましい。特にアウトガス発生の観点からは、より光酸発生剤の量はより少ないことが望まれる。
本発明に用いられる光酸発生剤としては、436nm、405nm、365nmの波長の電磁波のうち少なくとも1つの波長に吸収を有することが好ましい。
上記感光性樹脂組成物に含まれるポリイミド前駆体は、一般に、330nm以下の波長に強い吸収を有する。その為、上記感光性樹脂組成物に含まれる光酸発生剤は、ポリイミド前駆体が透過しやすい波長領域の光の作用によって、酸を発生することが好ましく、330nm以上の波長領域に吸収を有することが好ましい。さらには、一般に露光に用いられる光源である高圧水銀灯の発光波長のうち、強度が大きい、436nm、405nm、365nmの波長の光のうち、少なくとも1つの波長の光に吸収を有していることが好ましく、その中でも、436nm、405nmの波長に吸収を有することが特に好ましい。
本発明に用いられる光酸発生剤としては、具体的には少なくとも365nm以上のいずれかの波長におけるモル吸光係数が1以上であることが好ましく、10以上であることがさらに好ましく、50以上であることがより好ましい。
また、イミド化後の膜中への光酸発生剤由来の分解物の残存を抑制する観点から、窒素雰囲気下、400℃におけるポリイミドの熱重量減少率が50%以下であることが好ましく、30%以下であることがさらに好ましく、10%以下であることがより好ましい。
特に、ポリイミド中への分解残渣の残存を抑制したい場合には、窒素雰囲気下、300℃におけるポリイミドの熱重量減少率が50%以下であることが好ましく、30%以下であることがさらに好ましく、10%以下であることがより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、活性水素を含まないことが好ましく、活性水素を含有する化合物を含まないことが好ましい。特に、水を含まないことが好ましい。これらを含むと、ヘミアセタールエステル結合が徐々に分解し、保存安定性が低下する。
ヘミアセタールエステル結合は、水酸基などの活性水素を有する化合物と共存するとそれらとの交換反応が起こる場合がある。通常ヘミアセタール結合はヘミアセタールエステル結合よりも安定であるため、上記ポリイミド前駆体と水酸基含有化合物が共存すると、ヘミアセタールエステル結合が水酸基により消費されポリアミック酸が生成する。つまり、上記ポリイミド前駆体は水酸基など活性な水素を有する化合物と共存させると安定性が低下する。ヘミアセタールエステル結合の分解反応の速度は、その化学構造により異なり、ヘミアセタールエステル結合を生成する反応の速度が速いほど、分解の速度も速い傾向がある。
また保存安定性を良好にする観点から、感光性樹脂組成物中の水分含有量は1重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以下であることがさらに好ましい。さらには、実質的に水分を含まないことがもっとも好ましい。なおここで”実質的に水を含まない”とは、水による保存安定性の低下が観察されないほど組成物中の水の含有量が少ないことをいう。具体的には、組成物中の含水率が0.005重量%未満程度、更に0.001重量%未満である状態をいう。
さらに、アセタール結合は酸や塩基の存在下、加水分解が触媒的に進行する。その為、感光性樹脂組成物中に酸性物質や塩基を実質的に含まないことで保存安定性を向上させることが出来る。なおここで”酸性物質や塩基を実質的に含まない”とは、酸性物質や塩基による保存安定性の低下が観察されないほど組成物中の酸性物質や塩基の含有量が少ないことをいう。具体的には、組成物中の酸性物質又は塩基含有率が0.005重量%未満程度、更に0.001重量%未満である状態をいう。
感光性樹脂組成物を溶解、分散又は希釈する溶剤としては各種の汎用溶剤を用いることが出来る。これらは単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。ただ、感光性樹脂組成物の保存安定性を高めるためには、活性水素を含まない溶媒を用いることが好ましい。さらに、同様の目的から骨格中にアミド結合など窒素原子を含有しない溶媒であることが好ましい。また、窒素原子を含有する溶媒を含まないことが好ましい。
また、ポリイミド前駆体の合成反応により得られた溶液をそのまま用い、そこに光酸発生剤や、必要に応じて他の成分を混合しても良い。
後述するビニルエーテル化合物は、その構造の選択により、当該溶剤の代わりになる場合もある。その場合には、感光性樹脂組成物を溶解、分散又は希釈するための溶剤は含まれなくても良い。
使用可能な汎用溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、蓚酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。これらの溶媒は単独若しくは組み合わせて用いられる。
この中でも、溶解性に優れ高濃度の溶液を調製できる観点から、ラクトン類、スルホキシド類を用いることが好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、ビニルエーテル化合物を含有することが、保存安定性が飛躍的に向上する点から好ましい。
上記ポリイミド前駆体を単離すると、保存の過程で時間の経過とともに空気中の水分等の作用により加水分解され、徐々にカルボン酸へ戻る。特に、比較的安定な脂肪族カルボン酸とビニルエーテル化合物からなる脂肪族ヘミアセタールエステル結合と異なり、芳香族カルボン酸とビニルエーテル化合物の反応などから得られる芳香族ヘミアセタールエステル結合は、両者を混合するだけで室温で反応が進行する反面、単体で存在すると空気中の水分などと反応し加水分解される場合が多い。
しかし、ヘミアセタールエステル結合を有するポリイミド前駆体はビニルエーテル化合物と共存させることで、加水分解によって生成したカルボン酸が、再度、ヘミアセタールエステル化される。すなわち、合成直後のヘミアセタールエステル結合を有するポリイミド前駆体と同様、実質的に全てのカルボキシル基がヘミアセタールエステル化されたポリイミド前駆体となる。その為、上記ポリイミド前駆体はビニルエーテル化合物と共存させることにより樹脂組成物としての、保存安定性が良好となる。
上記感光性樹脂組成物に空気中などから、水などの活性水素を有する化合物が混入した場合、上記ポリイミド前駆体がポリアミック酸へと分解する。しかしこのような場合であっても、ビニルエーテル化合物と共存している場合、ポリアミック酸がビニルエーテル化合物と反応し、ヘミアセタールエステル結合が再生される。さらにこの場合、ポリアミック酸と同時に生成するアセトアルデヒドも酸化され難く、酢酸になり難くなる。さらに、アルコールも、他のヘミアセタールエステル結合と交換反応によってアセタール化合物となる為、結果的に感光性樹脂組成物中に、活性水素を含まない状態となる。
従って、活性水素を含む化合物の量に対して、過剰のビニルエーテルが含まれている場合には、活性水素によって形成されたポリアミック酸が、速やかにヘミアセタールエステル結合となるために、実質的に上記感光性樹脂組成物の特性は変化しない。
このサイクルが続くことで、空気中などから感光性樹脂組成物中に混入した水分などが消費され、ヘミアセタールエステル結合が再生されることから、良好な溶液安定性を示す。
ビニルエーテル化合物の含有量としては、溶剤を含む感光性樹脂組成物全体中に1重量%〜90重量%であることが好ましく5重量%〜70重量%であることがさらに好ましい。またビニルエーテル化合物は、溶媒を含む場合には、溶媒100重量部に対して、55重量部以上含まれていることがポリイミド前駆体の保存安定性の点から好ましい。ビニルエーテル化合物の選択によっては、ビニルエーテル化合物が溶媒の代わりになり、溶媒を含まない場合もあり得るため、含有量はビニルエーテル化合物の種類によって適宜選択される。
ビニルエーテル化合物の量が多ければ多いほど保存安定性が良好となる一方、特に芳香族骨格を多く含んだポリイミド前駆体を用いた場合には、溶解性が低下する傾向ある。
その為、保存安定性を良好にする観点では、ポリイミド前駆体などの感光性樹脂組成物中の固形分が析出しない範囲でビニルエーテル化合物の量が出来るだけ多い方がよい。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、ポリイミド前駆体と、光酸発生剤と、必要に応じて溶媒だけの単純な混合物であってもよいが、さらに適宜、増感剤等のその他の成分を配合して、感光性樹脂組成物を調製してもよい。
ポリイミド前駆体を透過する波長の電磁波のエネルギーを光酸発生剤が充分利用できる様にし、感度を向上させたい場合に、増感剤の添加が効果を発揮する場合がある。
特に、ポリイミド前駆体の吸収が360nm以上の波長にもある場合には、増感剤の添加による効果が大きい。増感剤と呼ばれる化合物の具体例としては、チオキサントン及び、ジエチルチオキサントンなどのその誘導体、クマリン系及び、その誘導体、ケトクマリン及び、その誘導体、ケトビスクマリン、及びその誘導体、シクロペンタノン及び、その誘導体、シクロヘキサノン及び、その誘導体、チオピリリウム塩及び、その誘導体、チオキサンテン系、キサンテン系及び、その誘導体などが挙げられる。しかし、これらには活性水素基を持たないことが感光性樹脂組成物の保存安定性の観点から好ましい。
クマリン、ケトクマリン及び、その誘導体の具体例としては、3,3’−カルボニルビスクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)等が挙げられる。
チオキサントン及び、その誘導体の具体例としては、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
さらに他にはベンゾフェノン、アセトフェノン、フェナントレン、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、1,2−ベンズアンスラキノン、1,2−ナフトキノン、などが挙げられる。
これらは、光酸発生剤との組み合わせによって、特に優れた効果を発揮する為、光酸発生剤の構造によって最適な増感作用を示す増感剤が適宜選択される。
また、本発明に係る感光性樹脂組成物には、本発明の目的と効果を妨げない限り、加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、それらは多孔質や中空構造であってもよい。また、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
その他の任意成分の配合割合は、任意成分の性質により適宜選択され特に限定されないが、感光性樹脂組成物の溶剤と後述するビニルエーテル化合物を除いた固形分全体に対し、0.1重量%〜30重量%の範囲が好ましい。0.1重量%未満だと、添加物を添加した効果が発揮されにくく、30重量%を超えると、最終的に得られる樹脂硬化物の特性が最終生成物に反映されにくい。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、さまざまなコーティングプロセスや成形プロセスに用いられて、膜(フィルム)や3次元的形状の成形体を作製することができる。
本発明の感光性樹脂組成物より得られるポリイミドは、その前駆体の感光性付与成分であるヘミアセタールエステル化部位の脱離性が優れるため感光性付与成分由来の分解残渣の含有が少ない。その為、ポリイミドの耐熱性、寸法安定性、絶縁性等の本来の特性も損なわれておらず、良好である。
例えば、本発明の感光性樹脂組成物から得られるポリイミドの窒素中で測定した5%重量減少温度は、250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがさらに好ましい。特に、はんだリフローの工程を通るような電子部品等の用途に用いる場合は、5%重量減少温度が300℃以下であると、はんだリフローの工程で発生した分解ガスにより気泡等の不具合が発生する恐れがある。
ここで、5%重量減少温度とは、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量から5%減少した時点(換言すればサンプル重量が初期の95%となった時点)の温度である。同様に10%重量減少温度とはサンプル重量が初期重量から10%減少した時点の温度である。
本発明の感光性樹脂組成物から得られるポリイミドのガラス転移温度は、耐熱性の観点から260℃以上であることが好ましい。半田リフローの工程がある電子部材などでは、重要である。光導波路のように熱成形プロセスが考えられる用途においては、120℃〜400℃程度のガラス転移温度を示すことが好ましく、200℃〜370℃程度のガラス転移温度を示すことがさらに好ましい。
ここで本発明におけるガラス転移温度は、感光性樹脂組成物から得られるポリイミドをフィルム形状にすることが出来る場合には、動的粘弾性測定によって、tanδ(tanδ=損失弾性率(E’’)/貯蔵弾性率(E’))のピーク温度から求められる。動的粘弾性測定としては、例えば、粘弾性測定装置Solid Analyzer RSA II(Rheometric Scientific社製)によって、周波数1Hz、昇温速度5℃/minにより行うことができる。感光性樹脂組成物から得られるポリイミドをフィルム形状にできない場合には、示差熱分析装置(DSC)のベースラインの変曲点の温度で判断する。
本発明の感光性樹脂組成物から得られるポリイミドは寸法安定性の観点から、線熱膨張係数は60ppm以下が好ましく、0ppm〜40ppmの範囲がさらに好ましい。半導体素子等の製造プロセスにおいてシリコンウェハ上に膜を形成する場合には、密着性、基板のそりの観点から0ppm〜25ppmの範囲がさらに好ましい。ここで、本発明における線熱膨張係数とは、本発明で得られる感光性樹脂組成物から得られるポリイミドのフィルムの熱機械的分析装置(TMA)によって求めることができる。熱機械的分析装置(例えばThermo Plus TMA8310(リガク社製)によって、昇温速度を10℃/min、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2として得られる。
本発明の感光性樹脂組成物から得られるポリイミドは、同様に寸法安定性の観点から、湿度膨張係数は40ppm以下が好ましく、20ppm以下がさらに好ましい。理想的には10ppm〜0ppmが好ましい。
ここで、本発明における湿度膨張係数とは、本発明で得られる感光性樹脂組成物から得られるポリイミドのフィルムの湿度可変機械的分析装置(S−TMA)によって求めることができる。湿度可変機械的分析装置(例えばThermo Plus TMA8310改(リガク社製))によって、温度を25℃で一定とし、湿度を20%RHの環境下でサンプルが安定となった状態で、湿度を50%Rhに変化させ、それが安定となった際のサンプル長の変化を、湿度の変化(この場合50−20の30)で割り、その値を、サンプル長で割った値が湿度膨張係数である。評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2として得られる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法について、説明する。
本発明のパターン形成方法は、前記本発明に係る感光性樹脂組成物からなる膜又は成形体の表面に、所定のパターン状に電磁波を照射する露光工程と、必要に応じて加熱する工程と露光部又は未露光部のいずれか一方が溶解する溶媒を現像液として用いて現像する現像工程を有する。
上記ポリイミド前駆体と光酸発生剤を含有する感光性樹脂組成物は、光の作用によって光酸発生剤から発生した酸の作用により、上記ポリイミド前駆体のヘミアセタールエステル結合が分解され、カルボキシル基へと変化することにより、水溶液、または、有機溶媒に対する溶解性が変化する。この溶解性の変化を利用し、所望のパターンに露光を行うことによって、可溶部を良溶媒で溶出させることによりパターンが得られる。
本発明に係る感光性樹脂組成物からなる膜又は成形体は、公知の方法により作製することができる。例えば膜は、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、乾燥させて得ることができる。このとき、基板とはポリイミド膜を形成したい対象物であり、銅やステンレス等の金属や、シリコンや金属酸化物、金属窒化物などの無機物、ポリイミドや、ポリベンゾオキサゾールなどの有機物などが例示されるが、本発明においては基板によって密着性等が若干変化するものの、パターン形成や得られる膜の特性については、本質的には変化しないので基板は特に限定されない。
塗布方法についても、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法などの手法が挙げられるが、特に限定されず、公知の手法を用いることができる。本発明のパターン形成方法は、どの塗布方法で得られた膜においても用いることが出来る。
乾燥は、ホットプレートやオーブンなど、適宜、公知の加熱手法を用いることが出来る。
露光工程においては、そのようにして得られた膜又は成形体について、所望のパターンが形成されたフォトマスクを介して、または、直接、パターン状に電磁波を照射する。
露光の光源は、特に限定されず公知のものであれば、どれを使ってもよいが、ポリイミド前駆体、特に高耐熱、低線熱膨張係数を示す芳香族ポリイミドの場合、350nm以下の波長に強い吸収を有する為、高感度の感光性樹脂組成物として用いるには、360nm以上の波長の光で露光を行うのがよい。これらの条件と入手の容易性、メンテナンスコストなどの観点から、高圧水銀灯やそれに類する光源を用いるのが好ましい。
露光工程に用いられる露光方法や露光装置は特に限定されることなく、密着露光でも間接露光でも良くステッパー、スキャナー、アライナー、密着プリンター、レーザー、電子線描画等、公知のあらゆる手段を用いることができる。
露光工程後現像工程前に、必要に応じて、加熱を行う。
適宜加熱を行うことにより、前記膜又は成形体の露光部においては、露光により発生した酸によって、ヘミアセタールエステル結合が分解され、カルボキシル基へと変化する。また、同時に露光により発生した酸によって光酸発生剤自身も分解され、より酸の濃度が濃くなる化学増幅の機構も働く。その為、より高感度の感光性樹脂組成物として機能する。
加熱する温度は、室温(23℃)から150℃の範囲が好ましい。この温度は、上記ポリイミド前駆体の式(1)におけるRや、式(2)におけるR8の構造に依存する。一般に、Rの電子吸引性が強い、またはR8の電子供与性が強いと、より低温でヘミアセタールエステル結合の分解が進行し、逆の場合、より高温での加熱が必要である場合が多い。加熱温度が高すぎると、未露光部のヘミアセタール結合の分解まで進行するため、露光部と未露光部のヘミアセタール結合の分解の差が大きくなる温度を適宜選択する。
加熱する温度は、上記ポリイミド前駆体の構造により適宜選択されるが、加熱時間は、5秒〜120分、生産性の観点から好ましくは30秒から30分を目安とすることができる。
加熱方法は公知の手法であれば、どの手法でもよい。
露光部においてヘミアセタールエステル結合が分解され、カルボキシル基へと変化した後、現像工程を行う。
本発明の感光性樹脂組成物は、酸の作用により、ヘミアセタールエステル結合が切れることで、露光部、未露光部において種々の溶媒に対する溶解性を変化させることが出来る。
本発明の感光性樹脂組成物の未露光部は、アルカリ水溶液に難溶性であり、アミド系を含む有機(極性)溶媒に可溶である。一方、露光部は、発生した酸の作用により上記ポリイミド前駆体のヘミアセタールエステル結合が切断されポリアミック酸となるので、主にアミド系有機溶媒やジメチルスルホキシドや、塩基性水溶液に可溶であり、ジメチルスルホキシドなど一部の溶媒を除く、非アミド系有機溶媒に不溶になる。
つまり、露光、必要に応じて露光後の加熱の後に、アルカリ水溶液で現像すれば、ポジ型パターンが得られ、γ−ブチロラクトンなどの非アミド系有機溶媒で現像すればネガ型のパターンが得られる。
このように本発明の感光性樹脂組成物は、現像液によって、ポジ型としてもネガ型としても用いることが可能である。
ポジ型の場合、より安価なアルカリ水溶液を用いることができると言う利点があり、ネガ型の場合、パターン部は、ヘミアセタールエステル化された部分が分解・揮発しポリアミック酸となっているため、ポリイミド膜中に保護基由来の残存物が残らないと言う利点がある。
他にも、上記ポリイミド前駆体に、酸により架橋反応するようなエポキシ基やオキセタニル基などを導入し、露光部を不溶化させ、ネガ型のパターンを得る手法などを用いることも可能である。但し、このような分子間架橋により溶解性を低下させるメカニズムによって、パターンを得るタイプのネガ型の感光性ポリイミドは、一般に、架橋部位が熱分解、及び揮発しにくく、イミド化後に感光性付与成分の分解残渣が膜中に残存しやすい。さらに有機溶媒現像である場合が多いことから、用いることができる用途が限定される。
現像工程に用いられる現像液としては、特に限定されず、塩基性水溶液、有機溶剤、酸性水溶液、中性水溶液など、用いられるポリイミド前駆体に合わせて適宜選択することが可能である。
塩基性水溶液としては、特に限定されないが、例えば、濃度が、0.01重量%〜30重量%、好ましくは、0.05重量%〜10重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化マグネシウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、その他、1級、2級、3級アミンの水溶液、水酸化物イオンとアンモニウムイオンの塩の水溶液等が挙げられる。
溶質は、1種類でも2種類以上でも良く、全体の重量の50%以上、さらに好ましくは70%以上、水が含まれていれば有機溶媒等を含んでいても良い。
有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノエーテル類(いわゆるセロソルブ類);メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、前記グリコールモノエーテル類の酢酸エステル(例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート)、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、シュウ酸ジメチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;塩化メチレン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドンなどのピロリドン類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の飽和炭化水素類、その他の有機極性溶媒類等が挙げられ、更には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及び、その他の有機非極性溶媒類等も挙げられる。これらの溶媒は単独もしくは組み合わせて用いられる。また、パターン形状を良くするためにこれら有機溶媒と水や、塩基性、酸性水溶液を組み合わせて、混合溶媒として用いても良い。
現像液自体のコストや廃液処理、さらには、生産設備のコストの観点からは、アルカリ水溶液による現像が好ましい。特に、最終的に得られたポリイミド膜に対して高い信頼性を求められている場合には、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物ではなく、有機系塩基であることが好ましい。特に入手の容易さやコストの観点からテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)であることが好ましい。
現像は、スプレー現像やディップ現像、パドル現像など公知の現像方法で行うことが出来る。現像時の温度は、好ましくは1℃〜80℃、より好ましくは、4℃〜60℃である。
現像の後に、必要に応じてリンスを行ってもよい。リンスは、水や水と上記有機溶媒の混合物、塩基性水溶液など適宜選択できる。
ポジ型で塗膜中への残渣をより低減させたい場合であって、後述するイミド化の加熱工程で保護基の完全な脱離が困難な場合には、工程は増えるが、現像してパターン形成後に、全体を露光し更に必要に応じて加熱し、保護基を脱離させてから、後述するイミド化を行う手法を取ることも出来る。
現像工程の後に、イミド化を行う。通常は、オーブンやホットプレートなどにより加熱することでイミド化を行う場合が多い。
一般にポリアミック酸は150℃程度から徐々にイミド化が進行し、200℃以上の温度においてほぼイミド化が完了すると言われている。ただし、より高度な信頼性を求める場合には、より完全にイミド化を進行させることが必要であり、その場合は、最終的に得られるポリイミド膜のTg以上の温度での加熱が理想的である。しかし、一般には300℃〜400℃の温度で加熱すれば十分実用的な信頼性を示すポリイミド膜が得られる。
本発明の感光性樹脂組成物の場合、ヘミアセタールエステル結合が、150℃程度でほぼ完全に分解することから、150℃以下の温度での加熱時間を長くすることで、保護基由来の成分のより完全な脱離を促進することが出来る。加熱時間は長ければ長いほどポリイミド中の残存物を減らす観点からは好ましいが、生産性とのバランスをとる上で40℃以上150℃以下の範囲の温度で通算1分〜180分で加熱されることが好ましく、5分〜120分の加熱が行われることが、より好ましい。
さらにその後、イミド化を完全に進行させるために、目的に応じて180℃〜450℃、好ましくは200℃〜400℃の範囲で加熱を行う。好ましくは、加熱温度の最高温度が251℃以上400℃以下である。
特に100℃以上の温度を加える際には、ポリイミドや基板の酸化を防止するため窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下で行うことが好ましい。さらに、ポリイミド中への残存物を減らすためには、減圧下で行うことが好ましい。
以上に述べたように、本発明に係る感光性樹脂組成物は、簡便に安価な原料で合成することが可能であるヘミアセタールエステル結合を有するポリイミド前駆体を含むことで、より安価に、高い感度を示す。加えて、ヘミアセタールエステル結合を有するポリイミド前駆体は、ヘミアセタールエステル結合が容易に分解し且つヘミアセタールエステル結合の分解によって発生したポリアミック酸以外の分解物の揮発性が高いことにより、最終的に得られるポリイミド膜中への残存物がほとんどない。さらには、ヘミアセタールエステル化は種々の骨格へ適用可能であるので、用いるポリイミド前駆体の骨格の選択の幅が広い。
本発明によれば、光酸発生剤の少量の添加によりパターン形成可能であるので、より感光性付与成分のポリイミド膜への残存が抑制できる。さらに化学増幅の機構を活用することが可能であるので、高感度という特徴を有する。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、当該組成物からなる膜又は成形体の表面に電磁波を照射して、照射部位を選択的に易溶化はまたは難溶化させてパターン形成が可能であるため、当該感光性樹脂組成物からなる膜又は成形体の表面を現像液から保護するためのレジスト膜を用いずに、現像を行うパターン形成が可能である。この方法は、パターン形成のプロセスが簡素であるというメリットを有する。中でも塩基性水溶液を用いる場合には、自然環境に対する負荷や労働衛生上の悪影響が小さい。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、印刷インキ、接着剤、充填剤、電子材料、光回路部品、成形材料、レジスト材料、建築材料、3次元造形、光学部材等、樹脂材料が用いられる公知の全ての分野・製品に利用できる。
上記本発明に係る感光性樹脂組成物は、広範な構造のポリイミド前駆体を選択できる為、それによって得られる硬化物は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等のポリイミドが特徴的に有する機能を付与することが可能であることから、ポリイミドが適用されている公知の全ての部材用のフィルム、塗膜又は3次元構造物として好適である。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等の特性が有効とされる広範な分野・製品、例えば、塗料又は印刷インキ、或いは、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料の形成材料として好適に用いられる。
特に、ポリイミド前駆体を含有する感光性樹脂組成物は、主にパターン形成材料(レジスト)として用いられ、それによって形成されたパターンは、ポリイミドからなる永久膜として耐熱性や絶縁性を付与する成分として機能し、例えば、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、電子部品、半導体装置、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材又は電子部材を形成するのに適している。
また、本発明においては、本発明に係る感光性樹脂組成物又はその熱硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料いずれかの物品が提供される。
(製造例1)
100mlの3つ口フラスコを窒素気流下加熱し、十分乾燥させた後、空気中の水分に対して十分注意しながら、ジメチルアセトアミド溶媒で重合し、アセトンのよって再沈殿生成後、乾燥させたBPDA−ODA(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4'−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸 NMRから求めた数平均分子量Mn=12000)の白色固体 0.99g、n−ブチルビニルエーテル(n-BVE) 5g、乾燥させたγ−ブチロラクトン5mlを投入した。乾燥させた窒素気流下室温で、112時間マグネティックスターラーによって撹拌した。当初は、BPDA−ODAが溶解しなかったが、反応の進行とともに溶解し、褐色の溶液となった。その後、反応液の半分を乾燥させたジエチルエーテルで再沈殿し、下記式で表されるBPDA−ODAのn−ブチルビニルエーテル保護体(ポリイミド前駆体1)の白色固体を定量的に得た。H−NMRによって解析を行い6.2ppm付近のヘミアセタールエステル結合の酸素と酸素の間の炭素に結合する水素のピークの積分値とジフェニルエーテルの芳香環の水素のピークの積分比より保護率(カルボキシル基に対するヘミアセタールエステル結合の反応率)が100%であることを確認した。
Figure 2009244479

(製造例2〜5)
製造例1と同様の条件で、n−ブチルビニルエーテルを表1に示す他のビニルエーテル化合物に変化させて合成を行った。いずれの実験もゲル化は起こらず定量的に保護率100%のポリイミド前駆体2〜5の白色個体を得た。ポリイミド前駆体5は、1H−NMRの積分比より保護基のn−BVE:VEEA比は=65:35であった。
Figure 2009244479

また同時に製造例1〜5で半分残した反応液を反応液1〜5とし、室温で保管後300時間までゲル化や沈殿物の生成等の変化はなかった。
◎モデル化合物の合成
(製造例6〜11)
製造例1と同様の手法で、下記の構造のモデル化合物1〜6を合成した。いずれの実験もゲル化は起こらず、カルボキシル基の保護率は100%であった。
Figure 2009244479

<保存安定性評価>
上記製造例で得られたモデル化合物1〜6の2重量%重ジメチルスルホキシド溶液(非脱水)について、室温で24時間保管後のヘミアセタールエステル結合の分解率を測定した。分解率は、製造例1と同様に1H−NMRを用いて保護率を測定し、下記式により求めた。
分解率(%)=(1−保管後の保護率/調製直後の保護率)×100
Figure 2009244479

PMDA、BPDAともに低線熱膨張係数を示すようなポリイミドに対して用いられる代表的な酸二無水物であるが、この結果より、酸二無水物ではPMDAよりBPDAを用いた方が安定性の高いヘミアセタールエステル結合を形成することが明らかとなった。さらに、保護に用いるビニルエーテルは、3級<2級<1級の順で安定性が高かった(分解率が小さい方が安定)。
溶液中で24時間後にはPMDA系はほぼ完全に分解していることが明らかとなった。
同様の実験を、上記製造例で得られたポリイミド前駆体1〜4の2重量%重ジメチルスルホキシド溶液(非脱水)について、室温で24時間保管後、及び120時間保管後のヘミアセタールエステル結合の分解率を測定した。分解率は、製造例1と同様に1H−NMRを用い、そのピークの積分比より求めた。
Figure 2009244479

保護基の構造の保存安定性に対する影響は、ポリイミド前駆体においても、モデル化合物における実験と同様の傾向を示した。特に1級のビニルエーテルでエーテル結合を有する保護基がついたポリイミド前駆体4は良好な保存安定性を示した。
また、モデル化合物との比較により、分子量が大きい方が、分解安定性が高くなることも確認された。
<熱分解性評価>
ポリイミド前駆体1〜4の2重量%重ジメチルスルホキシド溶液(非脱水)を用いて、加熱した際の保護率を測定した。保護率は、各温度においてNMRチューブ中において5分加熱を行ったのち、合成例1と同様に1H−NMRを用い、そのピークの積分比より求めた。加熱温度と各ポリイミド前駆体の保護率の関係を表したグラフを図1に示す。
図1に示されるように、熱分解性は、上記保存安定性と同様の傾向が示された。この結果より、溶液中では、120℃程度の加熱において、ヘミアセタールエステル結合が全て解裂していることがわかった。ポリイミド前駆体3は、調製直後は保護率が100%であったが測定作業中に保護基の分解が進行し、測定開始時の室温での保護率が100%ではなかった。
<塗膜の加熱時の安定性評価>
次に、赤外分光を用いて、実際の塗膜における加熱時の安定性を確認した。
サンプルは、ポリイミド前駆体2及びポリイミド前駆体4が合成された際の反応液2及び反応液4を用い、クロムめっきされたガラス上に膜厚1μm±0.1μmの塗膜を形成し、ホットプレート上で1分間に5℃の割合で室温から150℃まで昇温しながらリアルタイムでIRスペクトルを測定した。
得られたスペクトルのうち、アセタール部位由来の1120cm−1のピークについて、初期のピーク強度を100と規格化し、ピークの強度を温度に対してプロットした図を図2に示す。
両サンプルとも高温領域で約10程度の規格化強度のあたりでピーク強度が変化しなくなっている。これは、この部分にスペクトルのベースラインがある、または隣のピークの裾がかかっている為と思われる。そのことから、ポリイミド前駆体2については110℃付近、ポリイミド前駆体4は150℃付近でほぼ完全に保護基が解裂しているものと推定される。
また、加熱に伴い規格化ピーク強度が徐々に小さくなっているのは、膜中に残存するビニルエーテル化合物のピークと重なっていた為、ビニルエーテル化合物の膜からの揮発に伴い、強度が減少したものと考えている。
溶液での熱分解性評価に比べ、塗膜の場合30〜40℃ほど分解温度が上昇していた。
これらの結果より、特に、ポリイミド前駆体4については、膜の乾燥などのプロセス中でかかる熱に対して、高い安定性を示すことが確認された。
また、成膜時の様子としてポリイミド前駆体2は若干基板からはじく傾向があり基板密着性もそれほど高くはなかったが、ポリイミド前駆体4は均一な膜厚の塗膜が得られ、基板密着性も高かった。これは、保護基の化学構造に依存していると推測される。ポリイミド前駆体2の保護基はシクロヘキシル基であって、嵩高い疎水性の高い骨格であるのに対して、ポリイミド前駆体4の保護基はブトキシエチル基であって、柔軟性のある親水性の骨格であり、この点が密着性や成膜性に影響を与えていると考えられる。
<熱重量減少評価>
ポリイミド前駆体4について、窒素を50mL/minの流量で流しながら、10℃/minで昇温し熱重量減少を求めた。
その結果、300℃における重量減少が41.9%となった。脱保護及び、イミド化が完全に進行した際の理論的な重量減少41.5%に近い値となり、保護基の脱離反応とイミド化がほぼ完全に進行していることが確認された。このことから、本発明のポリイミド前駆体を用いると、分解物のポリイミド膜中への残存はなく、アウトガスや信頼性低下が起こらないことが示唆された。
<赤外分光評価>
ポリイミド前駆体4およびBPDA−ODAのそれぞれを、窒素雰囲気下、350℃ 1時間(室温からの昇温速度 10℃/min)で熱処理したサンプルについて、各々赤外分光スペクトルを測定したところ、ベースラインが若干ずれていたものの、主要なピークは全て同じ波数であり、ほぼ同じスペクトルを示した。
<酸を加えたときの分解性評価>
酸としてパラトルエンスルホン酸(p−Tos)を添加し、上記熱分解性評価と同様の条件で酸を添加した際のポリイミド前駆体の分解挙動を測定した。加熱温度と各ポリイミド前駆体の保護率の関係を表したグラフを図3に示す。
その結果、酸存在下では室温においても分解が進行していることが確認された。さらに、両サンプルとも50〜60℃付近で完全に保護基が脱離していることがわかる。このようにして酸の有無により、保護率を変化させることが可能であることから、現像液に対する溶解性の差が大きいと推測され、十分なパターン形成能があると判断される。
<パターン形成評価>
ポリイミド前駆体2の反応液2を利用し下記のような割合で各材料を混合し感光性樹脂組成物1とした。
BPDA−ODA−CVE 11.3重量部
CVE 43.2重量部
γ−ブチロラクトン 45.5重量部
イルガキュアPAG103(光酸発生剤:チバスペシャリティケミカルズ製)
0.57重量部(BPDA−ODA−CVEの5wt%)
下記のような条件で、塗膜を形成し、種々の照射量で露光し、露光後加熱を行い、その後現像し、リンスを行った。
初期膜厚: 1.6μm
乾燥: 50℃ 10分
露光後加熱: 50℃ 5分
現像: 2.38wt%TMAH水溶液 2分(23℃)
リンス: H2O:IPA=97:3 15秒(23℃)
上記感光性樹脂組成物1から得られた塗膜を、用いて種々露光量を変化させて感度曲線を作成した。結果を図4に示す。
その結果、25mJ/cm2という高い感度を示すことが確認された。
次に、感光性樹脂組成物1を用いてパターン形成を以下の条件で試みた。その結果得られたパターンの現像後イミド化前とイミド化後の顕微鏡画像を図5に示す。
膜厚: 1.6μm(現像後)、0.9μm(イミド化後)
乾燥: 50℃ 10分
露光量: 70mJ/cm2
露光後加熱: 50℃ 5分
現像: 2.38wt%TMAH 2分(23℃)
リンス: H2O:IPA=97:3 15秒(23℃)
イミド化: 350℃ 1時間
図5に示されるように、ラインアンドスペース4μm/4μmという高い解像度で良好なパターンが得られ、イミド化後もパターン崩れ等なく良好なパターンを維持していた。
さらに、感光性樹脂組成物を室温において120時間保存後においても、同様のパターン適性を示した。これは、感光性樹脂組成物の調製に反応液を用いたため、水分により分解した保護基が、反応液中のビニルエーテルにより再生された為と推測される。
以上のことから、本発明の感光性樹脂組成物は高い感度と解像度を有し、高い保存安定性を示すことが明らかとなった。
<イミド化後のガラス転移温度>
上記感光性樹脂組成物1を、ガラス上に貼り付けたユーピレックスS 50S(商品名:宇部興産)フィルムに塗布し、80℃のホットプレート上で10分乾燥させた後、剥離し、膜厚20μmのフィルムを得た。
同様に、BPDA−ODAの15重量%NMP溶液をガラス上に貼り付けたユーピレックスS 50S(商品名:宇部興産)フィルムに塗布し、80℃のホットプレート上で10分乾燥させた後、剥離し、膜厚15μmのフィルムを得た。
上記の2種のサンプルに紫外線をアライナー(光源は高圧水銀灯)によって、365nmの波長での換算で、500mJ/cm2照射し、120℃のホットプレート上で10分加熱した後、窒素雰囲気下、350℃ 1時間加熱し(昇温速度 10℃/分)、感光性樹脂組成物1 (厚み12μm)、及びBPDA−ODA (厚み11μm)のイミド化物のフィルムをそれぞれ得た。
上記のフィルムを、粘弾性測定装置Solid Analyzer RSA II(Rheometric Scientific社製)によって、周波数1Hz、昇温速度5℃/minで動的粘弾性測定を行った。
その結果、感光性樹脂組成物1のイミド化後のガラス転移温度は、262℃であり、BPDA−ODAのイミド化後のガラス転移温度は、258℃であった。この違いは、光酸発生剤の含有の有無によるものと推測される。
<イミド化後の線熱膨張係数>
上記ガラス転移温度測定用に作製したフィルムを、それぞれ幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとして用いた。線熱膨張係数は、熱機械的分析装置Thermo Plus TMA8310(リガク社製)によって測定した。測定条件は、評価サンプルの観測長を15mm、昇温速度を10℃/min、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2とした。
その結果、感光性樹脂組成物のイミド化後の線熱膨張係数は、42.1ppmであり、BPDA-ODAのフィルムのイミド化後の線熱膨張係数は、43.9ppmであった。この違いは、光酸発生剤の含有の有無によるものと推測される。
<イミド化後の湿度膨張係数>
上記ガラス転移温度測定用に作製したフィルムを幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとして用いた。湿度膨張係数は、湿度可変機械的分析装置Thermo Plus TMA8310改(リガク社製)によって測定した。温度を25℃で一定とし、湿度を20%RHの環境下でサンプルが安定となった状態で、湿度を50%Rhに変化させ、それが安定となった際のサンプル長の変化を、湿度の変化(この場合50−20の30)で割り、その値を、サンプル長で割った値を湿度膨張係数とした。評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2とした。
その結果、感光性樹脂組成物のイミド化後の湿度膨張係数は、21.6ppmであり、BPDA-ODAのイミド化後の湿度膨張係数は、21.8ppmであった。この違いは、光酸発生剤の含有の有無によるものと推測される。
加熱温度と各ポリイミド前駆体の保護率の関係を表したグラフである。 アセタール部位由来の1120cm−1のピークの強度を温度に対してプロットした図である。 加熱温度と各ポリイミド前駆体の保護率の関係を表したグラフである。 感光性樹脂組成物1から得られた塗膜の感度曲線である。 パターンの現像後イミド化前とイミド化後の顕微鏡画像である。

Claims (27)

  1. 下記式(1)で表わされる繰り返し単位を有するポリイミド前駆体、及び、光酸発生剤を含有する、感光性樹脂組成物。
    Figure 2009244479
    (式(1)中、Rは、4価の有機基、Rは、2価の有機基であり、繰り返されるR同士及びR同士はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。RおよびRはそれぞれ独立に下記式(2)の構造を有する1価の有機基であり、それらは同一であっても異なっていてもよく、繰り返されるR同士及びR同士はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 2009244479
    (式(2)中、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、ハロゲン原子、または1価の有機基であり、Rは1価の有機基である。R、R、R、Rはそれぞれ互いに結合して環状構造を示していても良い。)
  2. 前記ポリイミド前駆体において、前記式(2)中のR、R、Rが水素である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記ポリイミド前駆体において、前記式(2)中のRが、炭素数2〜30の1価の有機基であり、活性水素を含有しない、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記ポリイミド前駆体において、前記式(2)中のRの酸素と結合する炭素原子が1級である、請求項1乃至3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記ポリイミド前駆体において、前記式(2)中のRが、炭素数2〜30の1価の有機基であり、エーテル結合を含有する、請求項1乃至4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  6. 酸性物質、及び、アミンを実質的に含まない、請求項1乃至5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  7. 電磁波の露光により、ポジ型のパターンが形成される、請求項1乃至6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  8. 塩基性水溶液によって現像可能である、請求項1乃至7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  9. 前記光酸発生剤が、436nm、405nm、365nmの波長の電磁波のうち少なくとも1つの波長に吸収を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  10. 活性水素を含有しない増感色素を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  11. 前記ポリイミド前駆体において、前記式(1)中のR及び/又はRに、芳香環を含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  12. 前記ポリイミド前駆体において、前記式(1)中のRが、芳香族テトラカルボン酸二無水物由来の骨格である、請求項1乃至11のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  13. 前記ポリイミド前駆体において、前記式(1)中のRのうち33モル%以上が、下記式(3)で表わされるいずれかの構造である、請求項1乃至12のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2009244479
  14. 前記ポリイミド前駆体において、前記式(1)中のRのうち33モル%以上が、下記式(4)で表わされるいずれかの構造である、請求項1乃至13のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2009244479
    (R10は2価の有機基、酸素原子、硫黄原子、又はスルホン基であり、R11及びR12は1価の有機基、又はハロゲン原子である。)
  15. 窒素原子を含有しない溶媒を含む、請求項1乃至14のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  16. 窒素原子を含有する溶媒を含まない、請求項1乃至15のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  17. ビニルエーテル化合物を含む、請求項1乃至16のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  18. 組成物中の水分含有量が1重量%以下である、請求項1乃至17のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  19. イミド化後のガラス転移温度が260℃以上である、請求項1乃至18のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  20. イミド化後の線熱膨張係数が60ppm以下である、請求項1乃至19のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  21. イミド化後の湿度膨張係数が40ppm以下である、請求項1乃至20のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  22. 塗料又は印刷インキ、或いは、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料の形成材料として用いられる、請求項1乃至21のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  23. 前記請求項1乃至22のいずれかに記載の感光性樹脂組成物又はその硬化物により少なくとも一部分が形成されている、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料いずれかの物品。
  24. 前記請求項1乃至22のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる膜又は成形体の表面に、所定のパターン状に電磁波を照射する露光工程と、露光部又は未露光部のいずれか一方が溶解する溶媒を現像液として用いて現像する現像工程を有する、パターン形成方法。
  25. 前記露光工程後前記現像工程前に、加熱処理を行う、請求項24に記載のパターン形成方法。
  26. 前記現像工程において塩基性水溶液を用いて現像し、ポジ型である、請求項24又は25に記載のパターン形成方法。
  27. 前記現像工程後、前記膜又は成形体を加熱する工程を有し、当該加熱温度の最高温度が251℃以上400℃以下である、請求項24乃至26のいずれかに記載のパターン形成方法。
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