JP5168058B2 - ポリイミド前駆体、ポリイミド前駆体樹脂組成物、及び電子部品 - Google Patents
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Description
ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸は一般に室温において加水分解されやすく分子量低下が起こることが知られている。これは、ポリアミック酸を得る重付加反応が平衡反応であることに由来するといわれている。つまり、ポリアミック酸のアミド結合は常に、酸無水物とアミノ基に解裂したり再結合したりを繰り返している。そうして系中に含まれる酸無水物基が、同じく系中の水分と反応しジカルボン酸となると、上記の平衡反応の系からはずれ、アミド結合が切れる方向へ(ポリアミック酸の分子量が小さくなる方向へ)平衡が移動するからだといわれている(非特許文献1)。
しかし、ポリアミック酸は1段階で合成が可能であるのに対して、特許文献1のようなポリアミック酸エステルは、ジハーフエステル化合物を合成しその後にジアミンとジシクロヘキシルカルボジイミドなどの縮合剤を用いて脱水縮合するため、2段階の反応になることと縮合剤を除去するための精製が必要であり、製造コストがかかるという課題がある。
さらには、エステル結合は熱分解しにくいため、300℃以上の熱処理によってポリイミド前駆体からポリイミドへとイミド化した後にも、エステル部位由来の分解残渣が残存してしまい、線熱膨張係数や湿度膨張係数などのポリイミドの特性を低下させてしまう原因となっていた。
発明者は、上記ポリイミド前駆体のヘミアセタールエステル結合について詳細に検討を行うことにより、上記式(1)のR 3 、R 4 に対応し反応性基を有する有機基が35モル%以下となるようなビニルエーテル化合物によって、ヘミアセタールエステル結合を介してポリイミド前駆体へと導入された保護基は、高い熱安定性と保存安定性を有すること、さらには、ヘミアセタールエステル結合は加熱によって速やかに分解するため、イミド化後のポリイミドにその分解物の残存が極めて少ないことを見出した。これにより、保存時はカルボキシル基が保護され安定な状態であるにもかかわらず、イミド化後はほぼ純粋なポリイミドとなるポリイミド前駆体を得ることができる。
ポリアミック酸とビニルエーテルとの反応性や、それらの反応によって形成されるヘミアセタールエステル結合の熱安定性は、ヘミアセタールエステル結合に結合する置換基の化学構造によって決まる。本発明のように、ヘミアセタールエステル結合に結合する置換基Aのうちエーテル酸素原子に結合する炭素の級数が異なるA1とA2、A1とA3、又はA1とA2とA3からそれぞれ1種以上ずつ組み合わせた2種以上を含むポリイミド前駆体は、2種以上のヘミアセタールエステル結合の熱分解温度の違いが比較的大きい。そのため、熱分解温度の異なる置換基の導入比率に伴って、加熱による部分的なヘミアセタールエステル結合の分解の分解率の制御を安定的に行いやすくなる。
本発明のポリイミド前駆体においては、2種以上の化学構造を有する保護基がヘミアセタールエステル結合を介して結合している為、適宜加熱によってヘミアセタールエステル結合の分解による脱保護反応を選択的に行うことが可能である。従って、塩基性溶液に対する溶解性をより安定的に制御できる。
また、ポリイミド前駆体はヘミアセタールエステル結合を有していれば、広範な構造のポリイミド前駆体を選択できる為、構造選択の幅が広い。従って、そのイミド環化物の特性を生かすことの出来る分野に広く応用される。
本発明に係るポリイミド前駆体は、窒素原子を含まない溶媒を選択し、ビニルエーテル化合物を含有することで、保存安定性が極めて良好となる。
本発明に係るポリイミド前駆体は、下記式(1)で表わされる繰り返し単位を含む。
上記の実験結果を元に、2種以上の構造の異なる置換基をヘミアセタールエステル結合により導入されたポリイミド前駆体が、その導入された置換基それぞれの構造に由来する分解温度によって、段階的に分解することを、そのポリイミド前駆体の合成方法と共に見出した。
さらには、そのポリイミド前駆体を適切な条件で加熱することにより、ヘミアセタールエステル結合を介して導入された置換基の導入率に従い、所望の割合でヘミアセタールエステル結合の分解率を安定的に制御し、塩基性溶液に対する溶解速度を制御できることも確認した。
さらに保護部位Aのうち反応性基を有する有機基は35モル%以下である。従って、ポリイミド前駆体を合成中や保存時のゲル化を抑制でき、さらには、膜中への残存物を抑制できるので好ましい。中でも、膜中への残存物をなくす点からは、保護部位には実質的に架橋性(反応性)部位を含まない方が好ましい。
前記ポリイミド前駆体は、2種以上の異なる化学構造を有するビニルエーテル化合物を混合し、一度に添加しても、2種以上の異なる化学構造を有するビニルエーテル化合物を2回以上に分け段階的に添加しても合成が可能である。一度にビニルエーテルの混合体を添加する方法は、その反応性と各々の保護基の導入率を考慮し、その配合を決める必要があるが、より簡便に合成が可能であり、段階的に添加する方法は、より精密に導入率を制御できるという利点がある。
逆に熱安定性は、ヘミアセタールエステル結合のエーテル酸素に結合する炭素原子が1級の炭素の場合比較的熱安定性が高く、2級、3級となるにつれて、一般に熱分解温度が低下する傾向にある。また、同じ級数のものでも、その化学構造によって熱分解温度が変化する。また、出発物質のポリアミック酸のカルボキシル基の電子密度が高い方が低い場合に比べて形成されたヘミアセタールエステル結合は安定となる。
本発明において、ビニルエーテル化合物のエーテル結合に結合する炭素原子(または、式(2)のAにおいて酸素原子と結合している炭素原子)について、第1級炭素原子とは、結合している他の炭素原子が0個又は1個の場合をいい、第2級炭素原子とは、結合している他の炭素原子が2個の場合をいい、第3級炭素原子とは、結合している他の炭素原子が3個の場合をいう。
本発明のポリイミド前駆体の保護基の組み合わせとしては、1級と2級など、少なくとも級数の異なるものを組み合わせるので、熱分解温度の差を大きくしやすいため、よりヘミアセタールエステル結合の分解率の制御が容易となる。
それに対して、本発明のポリイミド前駆体は、ヘミアセタールエステル結合によりカルボキシル基が保護されている事により、比較的極性の低い溶媒に対しても溶解する。特にエステル結合を含む溶媒に対する溶解性が向上する。そのため、高濃度の塗膜形成用溶液を調製することも可能である。
本発明のポリイミド前駆体は、上記式(1)で表わされる繰り返し単位を含む。
本発明のポリイミド前駆体に適用可能な酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、
これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
なかでも、ヘミアセタールエステル結合の安定性の観点から、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物が特に好ましい。
3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、
1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
さらに、2つ以上の芳香族環が単結合により結合し、2つ以上のアミノ基がそれぞれ別々の芳香族環上に直接又は置換基の一部として結合しているジアミンが挙げられ、例えば、下記式(5)により表されるものがある。具体例としては、ベンジジン等が挙げられる。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
また、最終的に得られるポリイミドを光導波路、光回路部品として用いる場合には、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると1μm以上の波長の電磁波に対しての透過率を向上させることができる。
この場合の活性水素を有する置換基とは、ヘミアセタールエステル結合と交換反応可能な置換基を示し、具体的には水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる(化学辞典 東京化学同人)。
このように、本発明のポリイミド前駆体は、ヘミアセタールエステル結合に結合する置換基Aのうちヘミアセタールエステル結合のエーテル酸素原子に結合する炭素の級数が異なるものを2種以上含むので、原料のビニルエーテル化合物の反応性の違いや、ヘミアセタールエステル結合の熱分解温度の違いが比較的大きくなる。従って、本発明によれば、異なる2種以上のヘミアセタールエステル結合の導入比率の制御を安定的に行いやすい。また、加熱によるヘミアセタールエステル結合の分解率の制御をより安定的に行うことが可能となる。すなわち、保護部位の化学構造によりヘミアセタールエステル結合の分解温度が異なることから、ポリイミド前駆体が2種以上のヘミアセタールエステル結合を有していた場合、より低温で分解するヘミアセタールエステル結合の化学構造に対応した温度で加熱する事によって、ヘミアセタールエステル結合の分解率をそのヘミアセタールエステル結合の導入率に対応した形で段階的に制御することが可能となる。
上記の加熱条件は、ポリイミド前駆体の1wt%重DMSO溶液をNMRチューブ中で加熱した場合や、厚み800μmの無アルカリガラス上に塗布し、ホットプレートによって加熱した場合などが例示され、分解率の測定方法は、NMRによるヘミアセタールエステル結合由来の水素のピークと芳香環やアミド基の水素のピークの積分比や、IRスペクトルによる、ビニルエーテル由来のピークの積分比などから求められる。
更に、上記式(2)中のAは、反応性を有するエチレン性不飽和結合などの反応性基が含まれる場合には、保存安定性が悪くなる傾向がある。さらには、イミド化後のポリイミドに分解残渣が残存しやすくなる。そのため、反応性を有する不飽和結合を含有する場合であっても少量であることが好ましく、上記式(2)のAのうち反応性基を有する有機基は35モル%以下である。ヘミアセタールエステル結合が切断された後のAの分解物をポリイミド膜中に、より残存し難くする点からは、上記式(2)のAには反応性基は含有しないことが好ましい。なお、上記反応性基には、エチレン性不飽和結合のほか、グリシジル基やオキセタニル基、イソシアヌル基が含まれる。
前記式(2)において、Aとしては特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、シクロヘキシロキシプロピル基、2-テトラヒドロピラニル基、等が挙げられる。
原料入手の容易性からは、上記式(6−1)〜(6−3)のXはそれぞれ水素又はアルコキシ基であることが好ましい。
上述した特許文献3のような従来技術では、芳香族ポリアミック酸を溶媒中に溶解させた状態でビニルエーテル化合物と反応を行うようにしている。そのため従来は、低膨張性を実現できる、R1が上記式(3)で表わされるいずれかの構造であり且つR2が上記式(5)で表わされるいずれかの構造であるような芳香族ポリアミック酸由来の100%ヘミアセタールエステル化したポリイミド前駆体を合成できていない。
その為、上記のポリアミック酸とビニルエーテル化合物との反応は窒素原子を含有しない溶媒で行うと反応効率が良好となるが、その場合は、当初、上述のように線膨張係数が低いポリイミドを達成するポリアミック酸は完全には溶けていない場合が多い。しかし、本発明においては、ポリアミック酸の反応の進行とともにポリイミド前駆体が反応溶媒に溶解して行き、最終的には完全に溶解するようにして調製した。
なお、本発明に用いられるポリイミド前駆体は、低沸点の非アミド系溶媒に対して高い溶解性を示すので、塗布などのプロセスにおいて操作性が向上する。
なお、上記1級、2級、及び3級のビニルエーテル化合物のうち、ポリオキシアルキレン残基を含む場合のオキシアルキレン残基の繰り返し数は、15以下となることが分解後の揮発性の点から好ましい。
酸無水物基、または活性水素を含まない構造で末端封止する方法としては、例えば、アミン末端のポリイミド前駆体の場合は、無水酢酸でアミド化する方法や、フタル酸無水物や2,3−ナフタル酸無水物などの酸無水物で末端をアミック酸とする方法などが挙げられる。
末端が、芳香族カルボン酸であれば活性水素を持っていても、室温でビニルエーテルと反応しヘミアセタールエステル化されるので、この場合は、保存安定性を低下させない。
ここで用いている分子量とは、公知の手法により得られる分子量であり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値が例示され、数平均分子量は1H-NMRスペクトルから求めた末端部の繰り返し単位由来のピークと非末端部の繰り返し単位由来のピークの積分比から求める方法などが例示される。
本発明のポリイミド前駆体樹脂組成物は、ビニルエーテル化合物を含有することから、保存安定性が飛躍的に向上する。この場合、ポリイミド前駆体の2種以上のヘミアセタールエステル結合の構造に対応する2種以上のビニルエーテル化合物を含有することが、保護率の安定性の観点から好ましい。
しかし、ヘミアセタールエステル結合を有するポリイミド前駆体はビニルエーテル化合物と共存させることで、加水分解によって生成したカルボン酸が、再度、ヘミアセタールエステル化される。すなわち、合成直後のヘミアセタールエステル結合を有するポリイミド前駆体と同様、実質的に全てのカルボキシル基がヘミアセタールエステル化されたポリイミド前駆体となる。その為、上記ポリイミド前駆体はビニルエーテル化合物と共存させることにより樹脂組成物としての保存安定性が良好となる。
このサイクルが続くことで、空気中などから樹脂組成物中に混入した水分などが消費され、ヘミアセタールエステル結合が再生されることから、良好な溶液安定性を示す。
ビニルエーテル化合物の量が多ければ多いほど保存安定性が良好となる一方、特に芳香族骨格を多く含んだポリイミド前駆体を用いた場合には、溶解性が低下する傾向ある。
その為、保存安定性を良好にする観点では、ポリイミド前駆体樹脂組成物中の固形分が析出しない範囲でビニルエーテル化合物の量が出来るだけ多い方がよい。
ビニルエーテル化合物の選択によっては、溶剤の代わりになる場合もあるため、含有量はビニルエーテル化合物の種類によって適宜選択される。
また、本発明に係る樹脂組成物において、上記ポリイミド前駆体の固形分は、得られる膜物性、特に膜強度や耐熱性の点から、樹脂組成物中の溶剤と後述するビニルエーテル化合物を除いた固形分全体に対し、30重量%以上、50重量%以上含有することが好ましい。
ヘミアセタールエステル結合は、水酸基などの活性水素を有する化合物と共存するとそれらとの交換反応が起こる場合がある。通常ヘミアセタール結合はヘミアセタールエステル結合よりも安定であるため、上記ポリイミド前駆体と水酸基含有化合物が共存すると、ヘミアセタールエステル結合が水酸基により消費されポリアミック酸が生成する。つまり、上記ポリイミド前駆体は水酸基など活性な水素を有する化合物と共存させると安定性が低下する。ヘミアセタールエステル結合の分解反応の速度は、その化学構造により異なり、ヘミアセタールエステル結合を生成する反応の速度が速いほど、分解の速度も速い傾向がある。
なおここで” 強酸性物質や塩基を実質的に含まない”とは、強酸性物質や塩基による保存安定性の低下が観察されないほど組成物中の強酸性物質や塩基の含有量が少ないことをいう。具体的には、組成物中の強酸性物質又は塩基含有率が0.005重量%未満程度、更に0.001重量%未満である状態をいう。
また、ポリイミド前駆体の合成反応により得られた溶液をそのまま用い、必要に応じて他の成分を混合しても良い。
本発明の樹脂組成物に含まれるビニルエーテル化合物は、その構造の選択により、当該溶剤の代わりになる場合もある。その場合には、ポリイミド前駆体樹脂組成物を溶解、分散又は希釈するための溶剤は含まれなくても良い。
この中でも、保存安定性が高く、溶解性に優れ高濃度の溶液を調製できる観点から、ラクトン類、スルホキシド類を用いることが好ましい。
例えば、本発明の樹脂組成物から得られるポリイミドの窒素中で測定した5%重量減少温度は、250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがさらに好ましい。特に、はんだリフローの工程を通るような電子部品等の用途に用いる場合は、5%重量減少温度が300℃以下であると、はんだリフローの工程で発生した分解ガスにより気泡等の不具合が発生する恐れがある。
ここで、5%重量減少温度とは、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量から5%減少した時点(換言すればサンプル重量が初期の95%となった時点)の温度である。同様に10%重量減少温度とはサンプル重量が初期重量から10%減少した時点の温度である。
ここで本発明におけるガラス転移温度は、樹脂組成物から得られるポリイミドをフィルム形状にすることが出来る場合には、動的粘弾性測定によって、tanδ(tanδ=損失弾性率(E’’)/貯蔵弾性率(E’))のピーク温度から求められる。動的粘弾性測定としては、例えば、粘弾性測定装置Solid Analyzer RSA II(Rheometric Scientific社製)によって、周波数1Hz、昇温速度5℃/minにより行うことができる。樹脂組成物から得られるポリイミドをフィルム形状にできない場合には、示差熱分析装置(DSC)のベースラインの変曲点の温度で判断する。
ここで、本発明における湿度膨張係数とは、本発明で得られる樹脂組成物から得られるポリイミドのフィルムの湿度可変機械的分析装置(S−TMA)によって求めることができる。湿度可変機械的分析装置(例えばThermo Plus TMA8310改(リガク社製))によって、温度を25℃で一定とし、湿度を20%RHの環境下でサンプルが安定となった状態で、湿度を50%Rhに変化させ、それが安定となった際のサンプル長の変化を、湿度の変化(この場合50−20の30)で割り、その値を、サンプル長で割った値が湿度膨張係数である。評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2として得られる。
塗布方法についても、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法などの手法が挙げられるが、特に限定されず、公知の手法を用いることができる。本発明のパターン形成方法は、どの塗布方法で得られた膜においても用いることが出来る。
乾燥は、ホットプレートやオーブンなど、適宜、公知の加熱手法を用いることが出来る。
一般にポリアミック酸は150℃程度から徐々にイミド化が進行し、200℃以上の温度においてほぼイミド化が完了すると言われている。ただし、より高度な信頼性を求める場合には、より完全にイミド化を進行させることが必要であり、その場合は、最終的に得られるポリイミド膜のTg以上の温度での加熱が理想的である。しかし、一般には300℃〜400℃の温度で加熱すれば十分実用的な信頼性を示すポリイミド膜が得られる。
特に100℃以上の温度を加える際には、ポリイミドや基板の酸化を防止するため窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下で行うことが好ましい。さらに、ポリイミド中への残存物を減らすためには、減圧下で行うことが好ましい。
加熱によって保護基の分解率を選択的に制御できることから、塩基性溶液への溶解性を調整することが可能である為、塩基性溶液で現像を行う感光性樹脂組成物、特にポジ型感光性樹脂組成物の構成成分としての利用に好適である。
本発明に係るポリイミド前駆体および樹脂組成物は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等の特性が有効とされる広範な分野・製品、例えば、塗料又は印刷インキ、或いは、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材又は建築材料の形成材料として好適に用いられる。中でも、本発明のポリイミド前駆体樹脂組成物は、電子部品用絶縁材料として好適に用いられる。
100mlの3つ口フラスコを窒素気流下加熱し、十分乾燥させた後、空気中の水分に対して十分注意しながら、ジメチルアセトアミド溶媒で重合し、アセトンによって再沈殿生成後、乾燥させたBPDA−ODA(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸)の白色固体 1.98g、2−ビニロキシテトラヒドロピラン(THPVE:1級ビニルエーテル化合物、A1を誘導) 5g、乾燥させたγ−ブチロラクトン10mlを投入した。乾燥させた窒素気流下、室温(25℃)で、44時間マグネティックスターラーによって撹拌した。当初は、BPDA−ODAが溶解しなかったが、反応の進行とともに溶解し、褐色の溶液となった。その後、反応液の一部を乾燥させたジエチルエーテルで再沈殿し、BPDA−ODAのビニルエーテル部分保護体の白色固体を得た。1H−NMRによって解析を行い6.2ppm付近のヘミアセタールエステル結合の酸素と酸素の間の炭素に結合する水素のピークの積分値とジフェニルエーテルの芳香環の水素のピークの積分比より保護率(カルボキシル基に対するヘミアセタールエステル結合の反応率)が55%であることを確認した。そこでさらに、反応液に対してシクロヘキシルビニルエーテル(CVE:2級ビニルエーテル化合物、A2を誘導)を5g添加し、室温(25℃)で24時間攪拌した。反応液の一部を乾燥させたジエチルエーテルで再沈殿し、(ポリイミド前駆体1)の白色固体を得た。1H−NMRによって解析を行い6.2ppm付近のヘミアセタールエステル結合の酸素と酸素の間の炭素に結合する水素のピークの積分値とジフェニルエーテルの芳香環の水素のピークの積分比より保護率(カルボキシル基に対するヘミアセタールエステル結合の反応率)が100%であることを確認した。保護された置換基の割合はCVE/THPVE=35%/65%であった。GPCにより求めたポリスチレン換算の重量平均分子量は18600であった。
本発明における、重量平均分子量はサンプルを0.5重量%の濃度のN−メチルピロリドン(NMP)溶液とし、展開溶媒は、含水量500ppm以下の10mmol%LiBr−NMP溶液を用い、東ソー社製GPC装置(HLC−8120 使用カラム TSK gels α−M ;東ソー製 ×2)を用い、溶媒流量0.5mL/分、40℃の条件で測定を行った。重量平均分子量は、サンプルと同濃度のポリスチレン標準サンプルを基準に求めた。
実施例1と同じ手順で、CVEの添加のタイミングを変化させることで、ポリイミド前駆体2及び3を得た。
得られたポリイミド前駆体2及び3についての反応時間、保護率及び重量平均分子量を、ポリイミド前駆体1と共に、表1に示す。
100mLの3つ口フラスコを窒素気流下加熱し、十分乾燥させた後、空気中の水分に対して十分注意しながら、ジメチルアセトアミド溶媒で重合し、アセトンのよって再沈殿生成後、乾燥させたBPDA−ODA(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸)の白色固体 1.98g、2−ビニロキシテトラヒドロピラン(THPVE) 5g、シクロヘキシルビニルエーテル(CVE)5g、乾燥させたγ−ブチロラクトン10mlを投入した。乾燥させた窒素気流下室温(25℃)で、44時間マグネティックスターラーによって撹拌した。当初は、BPDA−ODAが溶解しなかったが、反応の進行とともに溶解し、褐色の溶液となった。その後、反応液の一部を乾燥させたジエチルエーテルで再沈殿し、BPDA−ODAのビニルエーテル保護体の白色固体を得た。(ポリイミド前駆体4)の白色固体を得た。1H−NMRによって解析を行い6.2ppm付近のヘミアセタールエステル結合の酸素と酸素の間の炭素に結合する水素のピークの積分値とジフェニルエーテルの芳香環の水素のピークの積分比より保護率(カルボキシル基に対するヘミアセタールエステル結合の反応率)が100%であることを確認した。保護された置換基の割合はCVE/THPVE=77%/23%であった。GPCにより求めたポリスチレン換算の重量平均分子量は18200であった。
実施例4と同じ手順で、CVEのかわりに、tert−ブチルビニルエーテル(t−BVE:3級ビニルエーテル化合物、A3を誘導)をそれぞれ用いることで、ポリイミド前駆体5を得た。
また、実施例4と同じ手順で、THPVEの代わりに、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(THP:1級ビニルエーテル化合物、A1を誘導)を用い、を用いることで、ポリイミド前駆体6を得た。
得られたポリイミド前駆体5〜6についての反応時間、保護率及び重量平均分子量を、ポリイミド前駆体4と共に、表2に示す。
100mlの3つ口フラスコを窒素気流下加熱し、十分乾燥させた後、空気中の水分に対して十分注意しながら、ジメチルアセトアミド溶媒で重合し、アセトンのよって再沈殿生成後、乾燥させたBPDA−ODA(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸)の白色固体 1.98g、n−ブチルビニルエーテル(n−BVE) 5g、下記式で表されるVEEA(日本触媒社製)5g(モル比でn−BVE:VEEA=65:35)、乾燥させたγ−ブチロラクトン10mlを投入した。乾燥させた窒素気流下室温で、44時間マグネティックスターラーによって撹拌した。当初は、BPDA−ODAが溶解しなかったが、反応の進行とともに溶解し、褐色の溶液となった。その後、反応液の一部を乾燥させたジエチルエーテルで再沈殿し、BPDA−ODAのビニルエーテル保護体の白色固体を得た。(ポリイミド前駆体8)1H−NMRによって解析を行い6.2ppm付近のヘミアセタールエステル結合の酸素と酸素の間の炭素に結合する水素のピークの積分値とジフェニルエーテルの芳香環の水素のピークの積分比より保護率(カルボキシル基に対するヘミアセタールエステル結合の反応率)が100%であることを確認した。保護された置換基の割合はn−BVE/VEEA=65%/35%であった。
参考例1と同様の条件で、用いるビニルエーテルを、VEEA(日本触媒製)を10gのみに変更して反応を行った。(比較ポリイミド前駆体樹脂組成物1)その結果、200時間後に反応液がゲル化した。
参考例1と同様の条件で、n−ブチルビニルエーテル(n−BVE) 3.5g、VEEA(日本触媒社製)6.5g(モル比で1:1)に変更して反応を行った。(比較ポリイミド前駆体樹脂組成物2)の白色固体を得た。保護率は100%であり保護された置換基の割合はn−BVE/VEEA=50%/50%であった。その結果、290時間後に反応液がゲル化した。
実施例1のポリイミド前駆体において、使用したビニルエーテル化合物を、シクロヘキシルビニルエーテル(CVE)100%として、比較例3の比較ポリイミド前駆体3を得た。実施例1のポリイミド前駆体において、使用したビニルエーテル化合物を、2−ビニロキシテトラヒドロピラン(THPVE)100%として、比較例4の比較ポリイミド前駆体4を得た。
実施例4と同様の条件で、溶媒を、乾燥させたn−メチルピロリドンに変更して反応を行ったところ、保護率が23%となった。
実施例4と同様の条件で、溶媒を、乾燥させたジメチルアセトアミドに変更して反応を行ったところ、保護率が26%となった。
実施例4と同様の条件で、溶媒を乾燥させたテトラヒドロフラン:メタノール=4:1に変更して反応を行ったところ、反応開始後170時間後に保護率が67%であった。
ポリイミド前駆体1、比較ポリイミド前駆体3および4の0.5重量%重ジメチルスルホキシド溶液(非脱水)を用いて、加熱した際の保護率を測定した。保護率は、各温度においてNMRチューブ中において5分加熱を行ったのち、実施例1と同様に1H−NMRを用い、そのピークの積分比より求めた。加熱温度と各ポリイミド前駆体の保護率の関係を表したグラフを図1に示す。
この結果より、2種類のヘミアセタール結合を有するポリイミド前駆体1は、80℃から90℃にかけて段階的に脱保護反応(ヘミアセタール結合の分解)が進行していることが確認された。
ポリイミド前駆体1およびBPDA−ODAのそれぞれを、窒素雰囲気下、350℃ 1時間(室温からの昇温速度 10℃/min)で熱処理したサンプルについて、各々赤外分光スペクトルを測定したところ、ベースラインが若干ずれていたものの、主要なピークは全て同じ波数であり、ほぼ同じスペクトルを示した。このことから、本発明のポリイミド前駆体は、イミド化後の不純物の残存がほとんどないことがわかった。
上記ポリイミド前駆体樹脂組成物1を、ガラス上に貼り付けたユーピレックスS 50S(商品名:宇部興産)フィルムに塗布し、80℃のホットプレート上で10分乾燥させた後、乾燥させた後、剥離し、それぞれ膜厚20μmのフィルムを得た。
同様に、BPDA−ODAの15重量%NMP溶液をガラス上に貼り付けたユーピレックスS 50S(商品名:宇部興産)フィルムに塗布し、80℃のホットプレート上で10分乾燥させた後、剥離し、それぞれ膜厚15μmのフィルムを得た。
上記の2種のサンプルを、窒素雰囲気下、350℃ 1時間加熱し(昇温速度 10℃/分)、ポリイミド前駆体1、BPDA−ODA(それぞれ厚み11μm±1μm)、それぞれのイミド化物のフィルムを得た。
その結果、ポリイミド前駆体1のイミド化後のガラス転移温度は、263℃、BPDA−ODAのイミド化後のフィルムは、258℃であった。
上記ガラス転移温度測定用に作製したフィルム4種を幅5mm×長さ20mmに切断し、評価サンプルとして用いた。線熱膨張係数は、熱機械的分析装置Thermo Plus TMA8310(リガク社製)によって測定した。測定条件は、評価サンプルの観測長を15mm、昇温速度を10℃/min、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2とした。
その結果、ポリイミド前駆体1のイミド化後の線熱膨張係数は、45.5ppm、BPDA−ODAのイミド化後のフィルムは、43.9ppm、であった。
Claims (16)
- 下記式(1)で表わされる繰り返し単位を含むポリイミド前駆体。
- 前記式(2)中のR5、R6、R7が水素である、請求項1に記載のポリイミド前駆体。
- 前記式(2)中のAが、活性水素を含有しない炭素数1〜30の有機基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリイミド前駆体。
- 前記式(2)中のAが、エーテル結合を含有する、請求項1乃至3のいずれかに記載のポリイミド前駆体。
- ラクトン類及びスルホキシド類より選択される1種以上の溶媒中で、当該溶媒に完全に溶解しないポリアミック酸と、2種以上のビニルエーテル化合物とを、反応させて得られたものである、請求項1乃至4のいずれかに記載のポリイミド前駆体。
- ラクトン類及びスルホキシド類より選択される1種以上の溶媒中で、ポリアミック酸と2種以上のビニルエーテル化合物とを、ビニルエーテル化合物の1種類ずつを段階的に反応させて得られたものである、請求項1乃至5のいずれかに記載のポリイミド前駆体。
- ラクトン類及びスルホキシド類より選択される1種以上の溶媒中で、ポリアミック酸と2種以上のビニルエーテル化合物とを、反応温度が5℃〜35℃で反応させて得られたものである、請求項1乃至6のいずれかに記載のポリイミド前駆体。
- 重量平均分子量又は数平均分子量が3000〜1000000である、請求項1乃至7のいずれかに記載のポリイミド前駆体。
- ポリマーの末端が、酸無水物基、または活性水素を含まない構造で末端封止されている、請求項1乃至8のいずれかに記載のポリイミド前駆体。
- 前記請求項1乃至11のいずれかに記載のポリイミド前駆体とビニルエーテル化合物を含有する、ポリイミド前駆体樹脂組成物。
- 酸性物質、及び、アミンを実質的に含まない、請求項12に記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
- 更に溶媒を含み、当該溶媒100重量部に対して前記ビニルエーテル化合物が55重量部以上含まれている、請求項12又は13に記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
- 電子部品用絶縁材料として用いられる、請求項12乃至14のいずれかに記載のポリイミド前駆体樹脂組成物。
- 前記請求項1乃至11のいずれかに記載のポリイミド前駆体及び/又はその熱硬化物、或いは、前記請求項12乃至15のいずれかに記載のポリイミド前駆体樹脂組成物及び/又はその熱硬化物により少なくとも一部分が形成されている電子部品。
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