JP2009244351A - 光デバイスの制御方法および光デバイス制御装置 - Google Patents

光デバイスの制御方法および光デバイス制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】非線形制御特性を有する光デバイスに対し、安定で良好な応答が得られる光デバイスの制御方法および光デバイス制御装置を提供する。
【解決手段】VOA制御装置100では、VOA10を制御するための制御量を出力光強度(出力光22)としている。VOA10は、強い非線形特性を有していることから、制御演算部130ではVOA10の非線形特性を反映した制御を行うために、少なくとも1以上の乖離量と制御パラメータの演算過程を含む制御方式を用いている。また、制御パラメータ演算部140と記憶部150とをさらに備え、制御パラメータ演算部140でVOA10の非線形特性を反映した制御パラメータの更新を行っている。VOA10の制御量である出力光強度に従って更新された制御パラメータ値を用いることで、VOA10を安定に制御できる操作量を算出している。
【選択図】図1

Description

本発明は、主に光通信分野で用いられる光デバイスの制御方法および制御装置に関し、特に非線形な制御特性を有する光デバイスの制御方法および制御装置に関する。
光通信分野では、光ファイバや光増幅器等の各種光デバイスが用いられている。そのような光デバイスの中で、たとえば可変光減衰器(VOA)のように非線形な制御特性を有する光デバイスが知られている。VOAは、代表的なものとして光導波路に位相シフターを付加したPLC型マッハツェンダ干渉計(MZI)を用いたものがある。このVOAでは、光減衰量または出力光強度を制御量とし、位相シフタへの操作量を適宜更新することでこの制御量が所望の値になるように調整している。VOAの操作量を適宜更新するのに用いる制御方式として、たとえば特許文献1に見られるように、制御量の目標値と現在値との乖離量に基づいて操作量を更新するフィードバック制御方式が一般に用いられる。
従来のフィードバック制御方式の概要を、図10、11を用いて説明する。図10は、従来のフィードバック制御を用いてVOAを制御する構成を示すブロック図である。また、図11は、従来のフィードバック制御の処理の流れを示すフローチャートである。従来のフィードバック制御では、VOA901の制御量の現在値902と目標値903との乖離量904を減算部905で算出して制御演算部906に入力する。制御演算部906では、乖離量904をもとに、たとえばこれに比例する操作量変更値を求めて前回の操作量に加算し、これを次に与えるべき操作量としてVOA901に出力する。このような処理を一定周期で繰り返し行うことにより、制御量の現在値を目標値に維持するように制御する。
特開2005−241705号公報
しかしながら、VOAのような非線形な制御特性を有する光デバイスの制御では、制御量の値が大きいときと小さいときとでは、同じ操作量に対して過渡応答特性が大きく異なっている。そのため、乖離量の大きさだけで操作量を決定すると、オーバーシュートしたり発振する等の不安定な制御となる。また、オーバーシュートや発振等を抑えるために操作量を小さくすると、応答性の悪い制御となってしまう。
そこで、本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、非線形制御特性を有する光デバイスに対し、安定で良好な応答が得られる光デバイスの制御方法および光デバイス制御装置を提供することを目的とする。
本発明の光デバイスの制御方法の第1の態様は、制御量とこれを制御するための操作量との間に非線形特性を有する光デバイスに対し、前記制御量の目標値と現在値との乖離量を所定の制御手段に入力して前記操作量を算出する光デバイスの制御方法であって、前記制御手段は少なくとも1以上の乖離量と制御パラメータとの演算過程を含み、前記制御量の現在値または前記操作量の現在値に基づいて前記制御パラメータを更新する第1のプロセスと、前記更新された制御パラメータを用いて前記制御手段により前記操作量を算出する第2のプロセスと、を有し、前記第1のプロセスと前記第2のプロセスとが所定の周期で処理されることを特徴とする。
本発明の光デバイスの制御方法の他の態様は、前記光デバイスは、可変光減衰器であることを特徴とする。
本発明の光デバイスの制御方法の他の態様は、前記制御量は、前記可変光減衰器の出力光強度であることを特徴とする。
本発明の光デバイスの制御方法の他の態様は、前記制御量は、前記可変光減衰器への入力信号光の入力光強度と出力光強度との差からなる光減衰量であることを特徴とする。
本発明の光デバイスの制御方法の他の態様は、前記第1のプロセスと前記第2のプロセスとは、並列して処理されることを特徴とする。
本発明の光デバイスの制御方法の他の態様は、前記制御手段は、フィードフォワード制御もしくはフィードバック制御を用いることを特徴とする。
本発明の光デバイスの制御方法の他の態様は、前記制御パラメータは、前記制御量または前記操作量を変数とする事前に作成された関数に前記制御量の現在値または前記操作量の現在値を代入して算出されることを特徴とする。
本発明の光デバイスの制御方法の他の態様は、前記制御パラメータは、前記制御量または前記操作量の大きさ毎に値が設定されたパラメータテーブルから前記制御量の現在値または前記操作量の現在値に対応する値が決定される、または前記パラメータテーブルの値と前記制御量の現在値または前記操作量の現在値とから所定の算出式に基づいて算出されることを特徴とする。
本発明の光デバイスの制御方法の他の態様は、前記関数または前記パラメータテーブルは、動作点によらず前記制御量の過渡応答が略等しくなるように決定される、ことを特徴とする。
本発明の光デバイスの制御装置の第1の態様は、制御量とこれを制御するための操作量との間に非線形特性を有する光デバイスに対し、前記操作量を算出して前記制御量を制御する光デバイス制御装置であって、前記光デバイスの少なくとも出力光強度を入力して前記制御量を出力する入力処理部と、前記入力処理部から前記制御量を入力して所定の目標値との乖離量を算出する減算部と、前記減算部から前記乖離量を入力して所定の制御パラメータを含む制御手段を用いて前記操作量を算出する制御演算部と、前記制御演算部から前記操作量を入力して前記光デバイスへの操作信号に変換する出力処理部と、を備え、前記入力処理部から前記制御量を入力して前記制御パラメータを決定する制御パラメータ演算部をさらに備えることを特徴とする。
本発明の光デバイスの制御装置の第2の態様は、制御量とこれを制御するための操作量との間に非線形特性を有する光デバイスに対し、前記操作量を算出して前記制御量を制御する光デバイス制御装置であって、前記光デバイスの少なくとも出力光強度を入力して前記制御量を出力する入力処理部と、前記入力処理部から前記制御量を入力して所定の目標値との乖離量を算出する減算部と、前記減算部から前記乖離量を入力して所定の制御パラメータを含む制御手段を用いて前記操作量を算出する制御演算部と、前記制御演算部から前記操作量を入力して前記光デバイスへの操作信号に変換する出力処理部と、を備え、前記制御演算部から前記操作量を入力して前記制御パラメータを決定する制御パラメータ演算部をさらに備えることを特徴とする。
本発明の光デバイスの制御装置の他の態様は、前記光デバイスは可変光減衰器であることを特徴とする。
本発明の光デバイスの制御装置の他の態様は、前記入力処理部は、前記可変光減衰器への入力信号光の入力光強度をさらに入力し、前記入力光強度と前記出力光強度との差である光減衰量を前記制御量として出力することを特徴とする。
本発明の光デバイスの制御装置の他の態様は、前記制御量または前記操作量の大きさ毎に値が設定されたパラメータテーブルを保存する記憶部をさらに備え、前記制御パラメータ演算部は、前記記憶部から前記パラメータテーブルを読み込み、前記パラメータテーブルから前記制御量の現在値または前記操作量の現在値に対応する値を前記制御パラメータに設定する、または前記パラメータテーブルの値と前記制御量の現在値または前記操作量の現在値とから所定の算出式に基づいて前記制御パラメータを算出することを特徴とする。
本発明の光デバイスの制御装置の他の態様は、前記制御パラメータ演算部と前記制御演算部とは、それぞれ並列して処理されていることを特徴とする。
本発明によれば、非線形特性を有する光デバイスに対し、制御量の現在値に従って制御パラメータを調整して制御に用いるようにすることで、安定で良好な応答が得られる光デバイスの制御方法および光デバイス制御装置を提供することが可能となる。
本発明の好ましい実施の形態における光デバイスの制御方法および光デバイス制御装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。以下では、光デバイスとしてVOAを例に説明する。
VOAは、入力光の光強度を所定の大きさだけ減衰させて出力するものであるが、VOAの操作量である印加電圧と出力量である光減衰量との間には、強い非線形特性が存在する。VOAの印加電圧に対する光減衰量の変化の一例を図2に示す。所定の印加電圧までは、これを高くしていくと光減衰量も増加していくが、その増加量は印加電圧が高くなるにつれてより大きくなっている。その結果、印加電圧が低いときと高いときとでは同じ印加電圧の増加量に対して光減衰量の増加量が大きく異なる、といった非線形特性が見られる。本発明の光デバイスの制御方法および光デバイス制御装置は、このような非線形特性を有する光デバイスを対象に、動作点によらずほぼ一定の過渡応答特性が得られる制御を実現するものである。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るVOA制御方法および制御装置を、図1に示すブロック図を用いて説明する。本実施形態のVOA制御装置100が制御対象とするVOA10は、入力光21を入力するとこれを所定の光減衰量だけ減衰させて出力光22として出力する。VOA制御装置100は、VOA10による光減衰量を制御するために、VOA10からの出力光22を光カプラ11で分岐して出力信号光23として入力し、これをもとに操作量を算出して操作信号24としてVOA10に出力している。
本実施形態のVOA制御装置100では、VOA10を制御するのに用いる制御量を出力光22の強度、すなわち出力光強度としている。そして、出力光強度が所定の目標値に一致するように、出力光強度一定制御を行っている。光カプラ11で分岐された出力信号光23は、入力処理部110のPD(Photo Diode)111で電気信号に変換されたのち、A/D変換部112でデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、出力光強度31として減算部170の減算側〔−側〕に入力され、目標値設定部120に設定された出力光強度の制御量目標値32との乖離量33が算出される。乖離量33は。制御演算部130に入力され、これをもとにVOA10に対する操作量34が算出される。制御演算部130で算出された操作量34は、D/A変換部160(出力処理部)で電気信号の操作信号24に変換されてVOA10に入力される。以上の処理を周期的に実行させることにより、制御量の出力光強度が目標値設定部120に設定された制御量目標値32に一致するようにVOA10が制御される。
VOA制御装置100の制御対象であるVOA10は、図2に示したような強い非線形特性を有していることから、VOA制御装置100ではVOA10の非線形特性を反映した制御方式を用いている。すなわち、本実施形態のVOA制御装置100は、上記構成に加えて、制御パラメータ演算部140と記憶部150とをさらに備える構成としており、制御パラメータ演算部140でVOA10の非線形特性を反映した制御パラメータの更新を行っている。
制御演算部130では、VOA10の非線形特性を反映した制御を行うために、1つ以上の制御パラメータを有する制御方式を用いている。そして、VOA10の制御量である出力光強度に従って更新された制御パラメータの値を用いることで、VOA10を安定に制御できる操作量を算出している。制御パラメータの更新は制御パラメータ演算部140で行い、制御演算部130はこれを入力して用いている。1つ以上の制御パラメータを有する制御方式として、フィードフォワード制御もしくはフィードバック制御を用いることができ、その中でもパラメータテーブル参照による制御、P(比例)制御、PI(比例・積分)制御、PID(比例・積分・微分)制御、あるいは少なくとも1以上の乖離量と制御パラメータとの演算過程を必要とする制御方式、のいずれを用いることが、演算時の負荷や、過渡応答特性の向上の点で有効である。
制御パラメータ演算部140は、入力処理部110から出力される出力光強度31を入力し、これに基づいて制御パラメータを更新している。制御演算部130で用いる制御方式がP制御の場合にはその比例定数が、PI制御の場合にはその比例定数と積分定数が、PID制御の場合にはその比例定数、積分定数、微分定数が、それぞれ制御パラメータ演算部140で更新される制御パラメータとなる。
制御パラメータ演算部140において、制御パラメータを更新する方法を、一実施例を用いて説明する。ここでは、制御演算部130において、フィードバック制御の一例としてPID制御方式を用いてVOA10の操作量を算出しているものとする。このとき、制御パラメータ演算部140では入力処理部110から入力した出力光強度31に基づいて比例定数、積分定数、および微分定数が算出される。出力光強度をもとに各制御パラメータの値を決定する方法として、たとえば事前に設定されたパラメータテーブルを用いる方法がある。すなわち、制御量の大きさ毎に各制御パラメータの値が設定されたパラメータテーブルを事前に作成し、これを記憶部150に記憶させておく。記憶部150として、たとえば不揮発記憶装置、又は揮発記憶装置を用いることができる。
制御パラメータ演算部140は、所定の周期で入力処理部110から現在の出力光強度31を入力すると、記憶部150から読み込んだパラメータテーブルの該当する出力光強度の欄を参照し、ここに設定された各制御パラメータの値を選択して制御パラメータ演算部140に出力する。あるいは、記憶部150から読み込んだパラメータテーブルから、現在の出力光強度に近い欄の各制御パラメータの値を選択し、これを所定の算出式〔たとえば補間演算の算出式〕に代入して現在の出力光強度に対応する各制御パラメータの値を算出する。制御パラメータを更新する別の方法として、パラメータテーブルを用いる代わりに、事前に作成された制御量を変数とする関数を用い、これに制御量の現在値を代入して算出するようにすることも可能である。
出力光強度に対応させて各制御パラメータの値を設定したパラメータテーブルの一例を図3に示す。同図に示すパラメータテーブルは、制御量である出力光強度をV1からV16までに区分し、それぞれの光主力強度において好適な制御パラメータの値を事前に設定している。制御パラメータ演算部140では、入力処理部110から入力した出力光強度31の現在値をパラメータテーブルの制御量の欄の値と比較し、たとえばパラメータテーブルの制御量が現在の出力光強度に最も近いものを検出し、その欄の値を各制御パラメータの値に選択する。例えば、現在の制御量がV2であった場合には、図3のパラメータテーブルに基づいて比例定数にKp2、積分定数にKi2、微分定数にKd2が選択される。
記憶部150に記憶させるパラメータテーブルは、図2に示したようなVOA11の非線形特性を補償するように製造工程等でその特性を取得し、事前に決定されたパラメータ値で形成されている。すなわち、各出力光強度においてVOA11与える操作量によって発生する過渡応答特性が、動作点によらずほぼ一定となるように制御パラメータの値を決定している。
本実施形態のVOA10の制御方法を、図4に示すフローチャートを用いてさらに詳細に説明する。本実施形態の制御方法では、第1ステップとして、制御パラメータ演算部140で制御パラメータの算出に用いる式やデータ等を事前に作成し、これを制御パラメータ演算部140または記憶部150に持たせる。記憶部150には、たとえば図3に示したパラメータテーブル等を保存しておく。また、第2ステップとして、目標値設定部120に制御量の制御量目標値32を設定しておく。
第3ステップ以降の処理は、所定の時間間隔で周期的に実行される。
まず第3ステップでは、入力処理部110においてVOA10から入力した出力信号光23をPD111で電気信号に変換し、さらにA/D変換部112でデジタル信号の出力光強度31に変換する。出力光強度31は、VOA制御装置100における制御量の現在値となる。
第4ステップでは、制御量の出力光強度31を減算部170に入力し、ここで目標値設定部120に設定された制御量目標値32との乖離量33を算出して制御演算部130に入力する
第5ステップでは、制御パラメータ演算部140において、出力光強度31を入力して制御パラメータを更新する。ここでは、記憶部150に記憶されているパラメータテーブル(図3)を読み込み、これを用いて制御量の現在値、すなわち出力光強度31に対応する制御パラメータの値を決定する。本実施形態では、制御演算部130でPID制御を行うものとしていることから、PID制御に用いる制御パラメータ、すなわち比例定数、積分定数、微分定数(それぞれKp、Ki、Kdとする)の値を決定する。ここで決定された制御パラメータKp、Ki、Kdの値は、制御演算部130に出力されて更新される。
第6ステップでは、制御演算部130において、減算部170から入力した乖離量33をもとに、所定の制御演算を行って操作量を算出する。本実施形態では、制御演算部130でPID制御をおこなうものとしており、現在の乖離量33の値をEn、1周期前の乖離量33の値をEn-1とすると、操作量は次式
Figure 2009244351
で算出される。ここで、制御パラメータKp、Ki、Kdの値には、制御パラメータ演算部140から最後に入力して更新された値を用いている。
第7ステップでは、制御演算部130で算出された操作量を、D/A変換部160で電気信号に変換し、これを操作信号24としてVOA10に出力する。VOA10では、VOA制御装置100から入力した操作信号に従って電圧が印加されることで、光減衰量が調整されて出力光強度が制御される。
上記の第3ステップから第7ステップまでを所定の時間間隔で周期的に実行する。これにより、制御量である出力光強度が、目標値設定部120に設定された出力光強度の制御量目標値32に一致するように制御される。
VOA制御装置100における上記の処理には、CPU(Central Processing Unit),FGPA(Field Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、DSP(Digital Signal Processor)、その他のデジタルICを用いることができる。
また、制御演算部130における操作量の算出と制御パラメータ演算部140における制御パラメータの算出とを並列処理させることが可能である。制御パラメータ演算部140では、入力処理部110から入力した出力光強度31(制御量の現在値)に基づいて制御パラメータの値を決定し、制御演算部130では、制御量の現在値と制御量目標値32との乖離量33から操作量を算出している。これにより直列に演算を行うより高速に処理可能である。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るVOA制御方法および制御装置を、図5に示すブロック図を用いて説明する。本実施形態では、制御パラメータ演算部240における処理が、第1の実施形態の制御パラメータ演算部140と異なっている。本実施形態の制御パラメータ演算部240では、第1の実施形態の制御パラメータ演算部140が入力していた出力光強度31(制御量)に代えて、制御演算部130で算出された操作量34を入力するようにしている。
制御パラメータ演算部240において、1周期前の演算で算出した操作量34を用いて各制御パラメータを決定するために、記憶部150に記憶させるパラメータテーブルには、操作量の大きさ毎にパラメータ値が設定されたものを用いる。すなわち、本実施形態で用いるパラメータテーブルは、乖離量の大きさが同じであっても、操作量が大きいときと小さいときとで操作量の調整分が異なるように事前に設定しており、これにより、操作量が大きいときと小さいときとで同程度の過渡応答特性が得られるようにしている。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係るVOA制御方法および制御装置を、図6に示すブロック図を用いて説明する。本実施形態のVOA制御装置300では、VOA10から入力する信号として、出力光22から分岐した出力信号光23に加えて、入力光21を光カプラ12で分岐された入力信号光25を入力処理部310に入力する構成としている。入力処理部310では、入力信号光25をPD311で電気信号に変換したのちA/D変換部312から出力されたデジタル信号の出力光強度を光減衰量算出部313で両者の差を求めて光減衰量41に変換して出力する。本実施形態では、光減衰量41を制御量としている。
入力処理部310から出力される光減衰量41は減算部170に入力され、ここで目標値設定部120に設定された光減衰量の目標値との乖離量33が算出される。乖離量33は、制御演算部130に入力されて操作量の算出に用いられる。制御演算部130は、減算部170から入力した乖離量33をもとに、所定の演算式に基づいて操作量34を算出する。算出された操作量34は、D/A変換部160で電気信号に変換されてVOA10に入力される。
本実施形態では、制御量をVOA10の光減衰量としていることから、制御演算部130での操作量の演算に用いる制御パラメータが第1の実施形態および第2の実施形態のものとは異なる。そこで、制御量を光減衰量としたときの好適な制御パラメータを決定するためのパラメータテーブルを記憶部150に記憶させておき、制御パラメータ演算部140では、このパラメータテーブルを記憶部150から読み込んで各制御パラメータの値を算出するようにしている。なお、記憶部150に記憶させるパラメータテーブルは、光減衰量の大きさに従ってパラメータ値が設定されたテーブルであり、制御パラメータ演算部140では入力処理部310から入力した光減衰量41をもとにパラメータテーブルからそれぞれのパラメータ値を決定している。
なお、図6に示す本実施形態のVOA制御装置300では、制御パラメータ演算部140が入力処理部310から光減衰量41を入力してパラメータ値を決定するようにしているが、第2の実施形態と同様に、制御演算部130からの出力である操作量34を入力して用いるようにすることも可能である。この場合には、第2の実施形態と同様に、記憶部150には操作量の大きさに従ってパラメータ値が設定されたパラメータテーブルを用いるものとする
VOA10が複数個直列に配列されているものを制御対象として、本発明の実施形態に係るVOA制御方法および制御装置を適用した実施例を、図7に示すブロック図を用いて説明する。VOA10を複数個直列に配列する構成は、VOA10の1台当たりの光減衰量が不足するときに用いられる。複数のVOA10が直列に配列されている場合には、これを一体に取り扱って制御することができる。図7では、第1の実施形態のVOA制御装置100を適用した実施例を示しているが、これに限らず他の実施形態のVOA制御装置を適用してもよい。
光カプラ11から入力される出力信号光23は、すべてのVOA10で減衰された結果の出力光強度となっていることから、減衰器170で算出される制御量目標値32との乖離量33は、すべてのVOA10を用いて調整すべき乖離量である。これに対し、制御演算部130で算出すべき操作量は、VOA1台毎に与える操作量である。そこで、制御演算部130では、減算部170から入力した乖離量33をVOA1台当たりの乖離量に換算し(たとえば減算部170から入力した乖離量33をVOA10の台数で除算する)、これをもとにVOA1台に対する操作量34を算出する。
複数のVOA10のそれぞれで制御特性が異なる場合には、制御演算部130において、個々のVOA10の特性に基づいてそれぞれの操作量を算出するようにすることができる。一例として、制御パラメータ演算部140から個々のVOA10に対する制御パラメータを入力し、これを用いて各VOA10の操作量を算出する。あるいは、代表的な(平均的な)特性のVOA10に対する操作量を算出し、これを個々のVOA10に対して補正して各VOA10に供給する操作量としてもよい。
制御パラメータ演算部140では、制御演算部130における操作量の算出方法に対応させて制御パラメータの決定方法が選択される。すなわち、制御演算部130において個々のVOA10の操作量を制御演算で算出する場合には、個々のVOA10の特性に基づいて事前に作成されたパラメータテーブルを記憶部150に記憶させ、これを読み込んでVOA10毎の制御パラメータを決定して制御演算部130に出力する。また、制御演算部130において代表的な特性のVOA10に対する操作量を算出する場合には、代表的な特性のVOA10を制御するためのパラメータテーブルを記憶部150に記憶させ、これを読み込んで代表的なVOA10に対する制御パラメータを決定し、これを制御演算部130に出力する。
なお、制御演算部130で個々のVOA10の操作量を算出する場合、制御パラメータ演算部140では代表的なVOA10に対するパラメータテーブルを用いて代表的なVOA10に対する制御パラメータを決定し、これを個々のVOA10毎に補正係数等を乗じてVOA10毎の制御パラメータを算出するようにしてもよい。
(第5の実施形態)
本発明の実施形態に係るVOA制御方法および制御装置を適用した別の実施例を、図8に示すブロック図を用いて説明する。本実施例では、複数個のVOA10が並列に配列されている場合を制御対象としている。VOA10を複数個並列に配列する構成は、例えば光経路切替モジュール等で用いられる。本実施例では、並列に配列された複数のVOA10のいずれか1つから出力光が出力されるものとする。なお、図8では、第1の実施形態のVOA制御装置100を適用した実施例を示しているが、これに限らず他の実施形態のVOA制御装置を適用してもよい。
複数のVOA10のいずれか1つから出力光22が出力されることから、VOA制御装置100では、1台のVOA10の制御を行えばよい。どのVOA10が出力光を出力しているかをVOA制御装置100側で把握できる場合には、個々のVOA10の特性に対応させて操作量を算出するようにすることができる。この場合には、図7に示した実施例と同様に、個々のVOA10に対するパラメータテーブルを記憶部150に持たせるようにするか、あるいは代表的なVOA10に対する制御パラメータを補正係数等で補正して用いるか、あるいは制御演算部130で代表的なVOA10に対する操作量を算出し、これを個々のVOA10に対して補正して用いるようにすることができる。
複数のVOA10のそれぞれで制御特性が異なる場合には、制御演算部130において、個々のVOA10の特性に基づいてそれぞれの操作量を算出するようにすることができる。このようにすることによって、複数のVOA10の過渡応答特性がほぼ等しくなり、光経路切替時に問題となる複数ある光経路の切替時間をほぼ同じとすることが可能となる。
上記説明のように、本発明の光デバイスの制御方法および光デバイス制御装置によれば、制御量と操作量との間に非線形特性がある光デバイスに対し、その非線形特性を補償して制御量および操作量の大きさによらず同程度の過渡応答特性が得られる制御を実現することが可能となる。本発明によれば、制御パラメータを制御量または操作量の大きさに基づいて決定するようにすることで、制御量と操作量との間の非線形特性を補償している。これにより、発振や過度のオーバーシュートが発生しない安定した制御が可能となる。
なお、上記で制御対象とした光デバイスのVOAには、例えば図9に示すようなPLC型マッハツェンダ干渉計(MZI)を用いたものがある。同図に示すVOA10では、操作量として位相シフタ10aのヒータへの印加電圧があり、VOA制御装置100(VOA制御装置200または300でもよい)から印加電圧を指示する操作信号24がVOA10のヒータ制御部10bに入力される。ヒータ制御部10bは、操作信号24で指示された電圧をヒータに印加する。
本発明の光デバイス制御装置では、、MEMS技術を応用したVOAを制御対象とすることもできる。さらには、VOAに限らず非線形な制御特性を有する光デバイスに対しても、その非線形特性を補償して安定した制御を実現することが可能である。
また上記実施形態では、制御演算部130での制御演算としてPID制御方式を用いた場合を説明したが、これに限らずPP制御、PI制御、あるいはその他の1つ以上の制御パラメータを有する制御方式を用いてもよい。本発明の制御方法および制御装置では、少なくとも1以上の乖離量と制御パラメータの演算過程を含む制御方式において、この制御パラメータを制御対象である光デバイスの制御量または操作量の変化に応じて周期的に更新するようにしている。これにより、光デバイスの非線形特性を補償してほぼ一定の過渡応答特性が得られるようにしており、光デバイスの安定した制御が実現できる。
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る光デバイスの制御方法および光デバイス制御装置の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における光デバイスの制御方法および光デバイス制御装置の細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本発明の第1の実施形態に係るVOA制御方法および制御装置を説明するためのブロック図である。 VOAの非線形特性の一例を示す図である。 パラメータテーブルの1例を示す表である。 第1の実施形態に係るVOA制御方法を説明するためのフローチャートである。 第2の実施形態に係るVOA制御方法および制御装置を説明するためのブロック図である。 第3の実施形態に係るVOA制御方法および制御装置を説明するためのブロック図である。 複数のVOA(直列)を制御対象としたときの実施例を示すブロック図である。 複数のVOA(並列)を制御対象としたときの実施例を示すブロック図である。 VOAの1例を示すブロック図である。 従来のフィードバック制御を用いてVOAを制御する構成を示すブロック図である。 従来のフィードバック制御の処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
10 VOA
11、12 光カプラ
21 入力光
22 出力光
23 出力信号光
24 操作信号
25 入力信号光
31 出力光強度
32 制御量目標値
33 乖離量
34 操作量
41 光減衰量
100、200、300 VOA制御装置
110、310 入力処理部
111、311 PD
112、312 A/D変換部
120 目標値設定部
130 制御演算部
140、240 制御パラメータ演算部
150 記憶部
160 D/A変換部
170 減算部
313 減衰量算出部

Claims (15)

  1. 制御量とこれを制御するための操作量との間に非線形特性を有する光デバイスに対し、前記制御量の目標値と現在値との乖離量を所定の制御手段に入力して前記操作量を算出する光デバイスの制御方法であって、
    前記制御手段は少なくとも1以上の、前記乖離量と制御パラメータとの演算過程を含み、
    前記制御量の現在値または前記操作量の現在値に基づいて前記制御パラメータを更新する第1のプロセスと、
    前記更新された制御パラメータを用いて前記制御手段により前記操作量を算出する第2のプロセスと、を有し、
    前記第1のプロセスと前記第2のプロセスとが所定の周期で処理される
    ことを特徴とする光デバイスの制御方法。
  2. 前記光デバイスは、可変光減衰器である
    ことを特徴とする請求項1に記載の光デバイスの制御方法。
  3. 前記制御量は、前記可変光減衰器の出力光強度である
    ことを特徴とする請求項2に記載の光デバイスの制御方法。
  4. 前記制御量は、前記可変光減衰器の入力光強度と出力光強度との差からなる光減衰量である
    ことを特徴とする請求項2に記載の光デバイスの制御方法。
  5. 前記第1のプロセスと前記第2のプロセスとは、並列して処理される
    ことを特徴とする請求項1乃至4に記載の光デバイスの制御方法。
  6. 前記制御手段は、フィードフォワード制御もしくはフィードバック制御のいずれかを用いることを特徴とする請求項1乃至5に記載の光デバイスの制御方法。
  7. 前記制御パラメータは、前記制御量または前記操作量を変数とする事前に作成された関数に前記制御量の現在値または前記操作量の現在値を代入して算出される
    ことを特徴とする請求項1乃至6に記載の光デバイスの制御方法。
  8. 前記制御パラメータは、前記制御量または前記操作量の大きさ毎に値が設定されたパラメータテーブルから前記制御量の現在値または前記操作量の現在値に対応する値が決定される、
    または前記パラメータテーブルの値と前記制御量の現在値または前記操作量の現在値とから所定の算出式に基づいて算出される
    ことを特徴とする請求項1乃至6に記載の光デバイスの制御方法。
  9. 前記関数または前記パラメータテーブルは、前記制御量または前記操作量の大きさによらず前記制御量の過渡応答が略等しくなるように決定される、
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の光デバイスの制御方法。
  10. 制御量とこれを制御するための操作量との間に非線形特性を有する光デバイスに対し、前記操作量を算出して前記制御量を制御する光デバイス制御装置であって、
    前記光デバイスの少なくとも出力光強度を入力して前記制御量を出力する入力処理部と、
    前記入力処理部から前記制御量を入力して所定の目標値との乖離量を算出する減算部と、
    前記減算部から前記乖離量を入力して所定の制御パラメータを含む制御手段を用いて前記操作量を算出する制御演算部と、
    前記制御演算部から前記操作量を入力して前記光デバイスへの操作信号に変換する出力処理部と、を備え、
    前記入力処理部から前記制御量を入力して前記制御パラメータを決定する制御パラメータ演算部をさらに備える
    ことを特徴とする光デバイス制御装置。
  11. 制御量とこれを制御するための操作量との間に非線形特性を有する光デバイスに対し、前記操作量を算出して前記制御量を制御する光デバイス制御装置であって、
    前記光デバイスの少なくとも出力光強度を入力して前記制御量を出力する入力処理部と、
    前記入力処理部から前記制御量を入力して所定の目標値との乖離量を算出する減算部と、
    前記減算部から前記乖離量を入力して所定の制御パラメータを含む制御手段を用いて前記操作量を算出する制御演算部と、
    前記制御演算部から前記操作量を入力して前記光デバイスへの操作信号に変換する出力処理部と、を備え、
    前記制御演算部から前記操作量を入力して前記制御パラメータを決定する制御パラメータ演算部をさらに備える
    ことを特徴とする光デバイス制御装置。
  12. 前記光デバイスは可変光減衰器である
    ことを特徴とする請求項10または11に記載の光デバイス制御装置。
  13. 前記入力処理部は、前記可変光減衰器の入力光強度をさらに入力し、
    前記入力光強度と前記出力光強度との差である光減衰量を前記制御量として出力する
    ことを特徴とする請求項12に記載の光デバイス制御装置。
  14. 前記制御量または前記操作量の大きさ毎に値が設定されたパラメータテーブルを保存する記憶部をさらに備え、
    前記制御パラメータ演算部は、前記記憶部から前記パラメータテーブルを読み込み、前記パラメータテーブルから前記制御量の現在値または前記操作量の現在値に対応する値を前記制御パラメータに設定する、または前記パラメータテーブルの値と前記制御量の現在値または前記操作量の現在値とから所定の算出式に基づいて前記制御パラメータを算出する
    ことを特徴とする請求項10乃至13に記載の光デバイス制御装置。
  15. 前記制御パラメータ演算部と前記制御演算部とは、それぞれ並列して処理されている
    ことを特徴とする請求項10乃至14に記載の光デバイス制御装置。

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