JPWO2008114492A1 - 光出力制御装置及びその制御方法 - Google Patents

光出力制御装置及びその制御方法 Download PDF

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修司 井上
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Abstract

光出力制御装置は、励起レーザ光を波長変換する波長変換素子と、前記波長変換素子を温度制御する加熱・冷却器と、前記波長変換素子の温度を検出する温度検出器と、温度目標値と前記温度検出値とが一致するように前記加熱・冷却器を制御する温度制御器と、前記波長変換素子の光出力を検出する光出力検出器と、前記光出力検出器によって検出した前記光出力と前記温度検出器によって検出した前記温度検出値とから、前記光出力を最大にする温度を求めて、前記温度検出値との温度差を出力する光出力最大化制御器と、前記光出力最大化制御器からの出力である温度差を前記温度目標値に加算する加算器と、を備え、前記温度目標値に前記温度差を加算して温度目標値を補正して前記光出力を最大にする温度に制御する。

Description

本願は、日本国に2007年3月19日に出願した特願2007−70433号の日本特許出願を優先権主張の基礎とするものであり、この日本特許出願の内容は本願明細書の一部をなすものとしてここに挙げておく。
本発明は、光出力制御装置、特に、ディスプレイに用いる波長変換素子を用いたレーザ光源の光出力制御装置及びその制御方法に関する。
波長変換素子を用いたレーザ光源装置では、波長変換素子から出力される光出力を最大にするために波長変換素子を最適な温度に保つことが要求される。波長変換素子には、光出力が最大となる温度(以後、「最適温度」と呼ぶ。)が存在して、その最適温度を中心としてそれより高温側及び低温側で光出力が低下していく山なりの温度特性を持つ。最適温度は、波長変換素子自身の特性や入力されるレーザ光の波長により決まる。従って、波長変換素子の温度が変動したり、入力するレーザ光の波長が変動したりすると最適温度が変化する。
これに対して、従来では、温度を変化させて光出力が最大となる温度を求めることにより温度の最適値を探していた(例えば、特許文献1参照。)。これは、温度を少しずつ変化させてそのときの光出力を検出して、検出された値を比較する動作を繰り返し、光が最大となる温度を探して最適温度とするものである。この動作を続けることにより常に光出力を最大に近い値に保とうとするものである。
図6は、特許文献1に記載された、従来の波長変換素子(KTP結晶)の温度制御装置の構成を示すブロック図である。その構成を簡単に説明する。この信号処理装置は、温度指令値と温度検出器5からの温度検出値との差分を求め、加熱・冷却器12を駆動するための適当な制御量を出力する温度制御器11と、その出力でKTP結晶71を加熱・冷却する加熱・冷却器12と、KTP結晶71の温度を検出する温度検出器5と、温度設定値を変えるための設定温度制御ブロック72と、そのブロックの出力を温度目標値に加算する加算器4とからなる。設定温度制御ブロック72で温度目標値を変化させる値を出力し、温度目標値に加算することで温度目標値を変化させ、そのときの光出力を検出して比較する動作を繰り返し、光が最大となる温度を探して最適温度とする。そしてこの動作を続けることにより常に光出力を最大に近い値に保とうとするものである。
特開平10−20351号公報
しかし、従来の方法は波長変換素子の温度を変化させて光出力を変動させることにより最適温度を探すため、光出力が常に変動するという課題があった。また、温度を変化させるには一般に時間がかかるので最適温度が見つかるまでに時間を要するという課題があった。そのため、ディスプレイの光源として用いた場合には輝度が変化したり、輝度が安定するまでに時間がかかったりして好ましくない。
本発明の目的は、前記従来の課題を解決するもので、最適温度を探すために光出力を変動させず、最適温度を探すまでの時間が短い波長変換素子の光出力制御装置及び光出力制御方法を提供することである。
前記従来の課題を解決するために、本発明に係る光出力制御装置は、励起レーザ光を波長変換する波長変換素子と、
前記波長変換素子を温度制御する加熱・冷却器と、
前記波長変換素子の温度を検出する温度検出器と、
温度目標値と前記温度検出値とが一致するように前記加熱・冷却器を制御する温度制御器と、
前記波長変換素子の光出力を検出する光出力検出器と、
前記光出力検出器によって検出した前記光出力と前記温度検出器によって検出した前記温度検出値とから、前記光出力を最大にする温度を求めて、前記温度検出値との温度差を出力する光出力最大化制御器と、
前記光出力最大化制御器からの出力である温度差を前記温度目標値に加算する加算器と、
を備え、
前記温度目標値に前記温度差を加算して温度目標値を補正して前記光出力を最大にする温度に制御することを特徴とする。
また、本発明に係る波長変換素子の光出力制御方法は、
(a)波長変換素子の設計時の光出力が最大となる最適温度を、前記波長変換素子を温度制御するための温度目標値T に設定するステップと、
(b)前記波長変換素子の温度Tを検出するステップと、
(c)前記波長変換素子の光出力Pを検出するステップと、
(d)前記波長変換素子の設計時の前記最適温度T を仮に設定した最適温度Ttmpとするステップと、
(e)検出した前記温度Tと、仮に設定した最適温度Ttmpと、最大光出力P を用いて、検出した前記温度における光出力Ptmpを算出するステップと、
(f)算出した前記光出力Ptmpと検出した前記光出力Pとの差の絶対値がある範囲ΔP内に入るか否かを判定するステップと、
(g)前記ステップ(f)で前記絶対値が所定範囲ΔP内に入っていない場合には、検出した前記光出力Pと算出した前記光出力Ptmpとの大小を判定するステップと、
(h)前記ステップ(g)で、P―Ptmp>0である場合には、前記仮の最適温度Ttmpから所定温度ΔTを差し引いた値(Ttmp−ΔT)を新たなTtmpとして置き換えて、ステップ(e)に戻り、
(i)前記ステップ(g)で、P−Ptmp<0である場合には、前記仮の最適温度Ttmpに所定温度ΔTを加算した値(Ttmp+ΔT)を新たなTtmpとして置き換えて、ステップ(e)に戻り、
(j)前記ステップ(f)で前記絶対値が所定範囲ΔP以内に入っている場合には、その時点の仮の最適温度Ttmpを最適温度Tとして出力するステップと、
(k)前記最適温度Tと前記設計時の最適温度T との温度差ΔTを算出するステップと、
(l)前記温度目標値T に前記温度差ΔTを加算して、更新後の温度目標値(T +ΔT)になるように前記波長変換素子を温度制御するステップと、
を含むことを特徴とする。
本発明に係る光出力制御装置は、温度指令値と温度検出器5からの温度検出値との差分を求め、加熱・冷却器12を駆動するための適当な制御量を出力する温度制御器11と、その出力で波長変換素子2を加熱・冷却する加熱・冷却器12と、波長変換素子2の温度を検出する温度検出器5と、からなる従来の温度制御装置1と、波長変換素子2から発するレーザの光出力を検出する光出力検出器6と、温度検出器5から出力される温度検出値と、光出力検出器6から出力される光出力検出値とから波長変換素子の最適温度を得る温度特性同定器31と、温度特性同定器31で求めた最適温度と温度検出値との差を求める差分検出器32と、温度目標補正値にこの差分を加算する加算器4とからなる。
温度目標値に、温度特性同定器31から出力される波長変換素子2の最適温度と温度検出値との差分を加えて新たな温度目標値を得て、温度制御装置1で波長変換素子2の温度が新たな温度目標値に一致するように制御する。波長変換素子2から出力される光出力と温度検出値とから、予め分かっている波長変換素子2の温度−光出力特性の関係式を用いて波長変換素子2の温度特性を算出し、その結果から波長変換素子2の光出力が最大になる温度を求めて最適温度として出力する。この最適温度と温度検出値との差を差分検出器32で演算し、それを温度目標値に加算器4で加算して新たな温度目標値を得て温度制御をする動作を連続して行う。
本発明に係る光出力制御装置によれば、温度を変化させながら光出力が最大になる温度を常に調べ続けるという動作を不要とすることができる。また、波長変換素子が固有の温度特性を持つことを利用して、光出力検出値と温度検出値とから現在の動作状態での光出力が最大になる温度を求めてその温度に保つように制御することができる。これにより、温度を変化させる過程で光出力が変化するのを防ぎ、常に安定した光出力を出力する光源として使用することができることを特徴とする。
本発明の装置によれば、温度をわざと変化させて光出力を変化させて最適温度を探さなくても、現在の波長変換素子の温度特性の把握により、光出力を最大にする最適温度を知ることができ、その温度に制御して光出力を最大にすることができる。
また、波長変換素子の動作中の特性の変動に対し、検出した波長変換素子の温度と光出力から、温度特性の同定を随時行うことで常に最適温度に制御し、光出力を最大にすることができる。
本発明の実施の形態1に係る光出力制御装置の構成を示すブロック図である。 (a)は、波長変換素子の光出力の温度特性を示す図であり、(b)は、光出力の最大値付近の拡大図である。 (a)は、波長変換素子の最適温度Tが設計値T からずれている様子を示す概略図であり、(b)は、本発明の実施の形態1における説明図である。 光出力最大化制御器において光出力が最大となる最適温度を求める方法のフローチャートである。 (a)は、P―Ptmp>0であるときの様子を示す概略図であり、(b)は、P―Ptmp<0であるときの様子を示す概略図である。 従来の波長変換素子(KTP結晶)の温度制御装置の構成を示すブロック図である。
本発明の実施の形態に係る光出力制御装置について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において、実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光出力制御装置のブロック図である。この光出力制御装置は、波長変換素子2と、温度検出器5と、光出力検出器6と、温度制御装置1と、光出力最大化制御器3と、加算器4とを備える。波長変換素子2は、レーザ光源(図示せず)からの励起レーザ光を波長変換して出力する。温度検出器5は、波長変換素子の温度を検出する。光出力検出器6は、波長変換素子の光出力を検出する。温度制御装置1は、波長変換素子2を温度制御する加熱・冷却器12と、温度目標値と温度検出値とが一致するように加熱・冷却器12を制御する温度制御器11とを備える。光出力最大化制御器3は、光出力検出器6によって検出した光出力と温度検出器5によって検出した温度検出値とから、光出力を最大にする温度を求めて、温度検出値との温度差を出力する。加算器4は、光出力最大化制御器3からの出力である温度差を温度目標値に加算する。
また、光出力最大化制御器3は、温度検出器5からの温度検出値と光出力検出器6からの光出力検出値とから最適温度を得る温度特性同定器31と、温度特性同定器31によって得られた最適温度と温度検出値との差を得る差分検出器とを備える。
この光出力制御装置の動作の概略について説明する。まず、加熱・冷却器12で波長変換素子2を加熱・冷却し、温度検出器5で波長変換素子2の温度を検出して温度検出値を得る。一方、波長変換素子2の光出力を光出力検出器6で検出して光出力検出値を得る。温度検出値と光出力検出値を用いて光出力最大化制御器3で最適温度を求めると共に、その最適温度と温度検出値との差を求める。その後、加算器4で温度目標値に上記温度差を加算して温度制御器11に入力して、この出力で加熱・冷却器12を制御する。
さらに、図2(a)及び(b)を用いて、波長変換素子2の光出力の温度特性を説明する。図2(a)は、波長変換素子2の出力の温度特性を示す図である。波長変換素子2は、ある温度を中心に光出力が最大になり、その温度の高温側、低温側の両側で光出力は急激に減少する温度特性をもつ。この光出力の温度特性を表す曲線形状は一般にsinc関数で表されることが知られている。図2の(b)は、光出力の最大値近辺の拡大図である。ここで、光出力が最大となる最適温度とそのときの光出力の設計値をそれぞれT 、P とする。
次に、図3(a)及び(b)を用いて、波長変換素子2の光出力の温度特性が設計時とはずれている場合における光出力最大化制御器3の動作を説明する。図3(a)は、波長変換素子2の最適温度Tが設計値T からずれている様子を示す概略図である。設計時の最適温度をT とした時の温度特性の計算値を実線で示し、実際の温度特性を破線で示す。最適温度T のとき最大光出力P が得られ、任意の温度Tのときの光出力Pは、T、T
をパラメータとする関数、P=f(T、T 、P )と表される。破線で表される実際の特性では、最適温度がT、そのときの光出力はP であるとする。このとき最適温度をT として温度制御すると、図3(b)に示すように光出力は最大値P より小さい値であるPになってしまう。そこで、温度検出値Tとそのときの光出力検出値Pに対して最適温度をTとすると、
=f(T、T、P
という関係になることを利用すると、T、P、P からTを求めることができる。
図4は、光出力最大化制御器3の温度特性同定器31において、最適温度Tを求める処理のフローチャートである。
(a)まず、波長変換素子2の温度検出値T、光検出値Pを得る[A]。
(b)設計時の最適温度T を仮の最適温度Ttmpとして設定する(Ttmp=T )[B]。
(c)温度検出値T、仮に設定した最適温度Ttmp、最大光出力P を用いて、
tmp=f(T、Ttmp、P
から光出力Ptmpを得る[C]。
(d)このPtmpとPとの差の絶対値がある範囲ΔP内に入るか否かを判定する[D]。
(e)絶対値が所定範囲ΔP内に入っていなければPとPtmpとの大小を判定する[E]。
(f)P―Ptmp>0であるときの様子を図5(a)に示す。実線は最適温度をTtmpとした時の計算値を示し、破線は実際値を示す。この場合は、図5(a)に示すように実際の最適温度Tは仮の温度Ttmpより低いところにある。よってTtmpから所定温度ΔTを差し引いた値を新たなTtmpとする[F]。その後、[C]に戻る。
ここでは、最適温度のずれは小さいものとし、実際の最適温度Tと設計時の最適温度T とは、温度Tからみて同じ側にあるものとしている。
(g)一方、P−Ptmp<0であるときの様子を図5(b)に示す。図5(a)と同様に実線で最適温度をTtmpとした時の計算値を示し、破線で実際値を示す。この場合は図5(b)に示すように実際の最適温度Tは仮の温度Ttmpより高いところにある。よってTtmpに所定温度ΔTを加算して新たなTtmpとする[G]。その後、[C]に戻る。
(h)一方、判定[D]でΔP以内に入っていれば、その時のTtmpをTとして終了する[H]。これで最適温度Tが求まる。
以上の処理を定期的に実施することにより、波長変換素子2の光出力の温度特性が設計時とずれる場合があっても最新の最適温度Tを求めることができる。
この光出力制御装置における制御方法では、上記最適温度Tが得られた後、次のようにして波長変換素子2の光出力が最大となるように制御する。
(1)上記最適温度Tと検出温度Tとの差ΔTを差分検出器32で求めて出力する。なお、この検出温度Tは、温度制御器11によって温度制御され、ほぼ温度目標値T と一致しているものとする。したがって、ΔT=T−T となる。
(2)温度目標値T に上記ΔTを加算器4で加算して、温度目標値を更新する。
(3)更新後の温度目標値(T +ΔT)になるように温度制御装置1で波長変換素子2を温度制御する。温度制御の結果、(T +ΔT)は実際の最適温度Tとほぼ一致するので、波長変換素子21の光出力を最大値P とすることができる。
上述の通り、本発明は好ましい実施の形態により詳細に説明されているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的範囲内において多くの好ましい変形例及び修正例が可能であることは当業者にとって自明なことであろう。
本発明に係る光出力制御装置は、最適温度を得るために波長変換素子の制御温度を振って光出力を可変することなく光出力を最大にする最適温度に制御することができ、また、最適温度の変動にも追従することができる。そこで、この光出力制御装置をディスプレイの光源に使用した場合にも、輝度をふらつかせることなく最適温度に制御して光出力を最大化することができる。
本願は、日本国に2007年3月19日に出願した特願2007−70433号の日本特許出願を優先権主張の基礎とするものであり、この日本特許出願の内容は本願明細書の一部をなすものとしてここに挙げておく。
本発明は、光出力制御装置、特に、ディスプレイに用いる波長変換素子を用いたレーザ光源の光出力制御装置及びその制御方法に関する。
波長変換素子を用いたレーザ光源装置では、波長変換素子から出力される光出力を最大にするために波長変換素子を最適な温度に保つことが要求される。波長変換素子には、光出力が最大となる温度(以後、「最適温度」と呼ぶ。)が存在して、その最適温度を中心としてそれより高温側及び低温側で光出力が低下していく山なりの温度特性を持つ。最適温度は、波長変換素子自身の特性や入力されるレーザ光の波長により決まる。従って、波長変換素子の温度が変動したり、入力するレーザ光の波長が変動したりすると最適温度が変化する。
これに対して、従来では、温度を変化させて光出力が最大となる温度を求めることにより温度の最適値を探していた(例えば、特許文献1参照。)。これは、温度を少しずつ変化させてそのときの光出力を検出して、検出された値を比較する動作を繰り返し、光が最大となる温度を探して最適温度とするものである。この動作を続けることにより常に光出力を最大に近い値に保とうとするものである。
図6は、特許文献1に記載された、従来の波長変換素子(KTP結晶)の温度制御装置の構成を示すブロック図である。その構成を簡単に説明する。この信号処理装置は、温度指令値と温度検出器5からの温度検出値との差分を求め、加熱・冷却器12を駆動するための適当な制御量を出力する温度制御器11と、その出力でKTP結晶71を加熱・冷却する加熱・冷却器12と、KTP結晶71の温度を検出する温度検出器5と、温度設定値を変えるための設定温度制御ブロック72と、そのブロックの出力を温度目標値に加算する加算器4とからなる。設定温度制御ブロック72で温度目標値を変化させる値を出力し、温度目標値に加算することで温度目標値を変化させ、そのときの光出力を検出して比較する動作を繰り返し、光が最大となる温度を探して最適温度とする。そしてこの動作を続けることにより常に光出力を最大に近い値に保とうとするものである。
特開平10−20351号公報
しかし、従来の方法は波長変換素子の温度を変化させて光出力を変動させることにより最適温度を探すため、光出力が常に変動するという課題があった。また、温度を変化させるには一般に時間がかかるので最適温度が見つかるまでに時間を要するという課題があった。そのため、ディスプレイの光源として用いた場合には輝度が変化したり、輝度が安定するまでに時間がかかったりして好ましくない。
本発明の目的は、前記従来の課題を解決するもので、最適温度を探すために光出力を変動させず、最適温度を探すまでの時間が短い波長変換素子の光出力制御装置及び光出力制御方法を提供することである。
前記従来の課題を解決するために、本発明に係る光出力制御装置は、励起レーザ光を波長変換する波長変換素子と、
前記波長変換素子を温度制御する加熱・冷却器と、
前記波長変換素子の温度を検出する温度検出器と、
温度目標値と前記温度検出値とが一致するように前記加熱・冷却器を制御する温度制御器と、
前記波長変換素子の光出力を検出する光出力検出器と、
前記光出力検出器によって検出した前記光出力と前記温度検出器によって検出した前記温度検出値とから、前記光出力を最大にする温度を求めて、前記温度検出値との温度差を出力する光出力最大化制御器と、
前記光出力最大化制御器からの出力である温度差を前記温度目標値に加算する加算器と、
を備え、
前記温度目標値に前記温度差を加算して温度目標値を補正して前記光出力を最大にする温度に制御することを特徴とする。
また、本発明に係る波長変換素子の光出力制御方法は、
(a)波長変換素子の設計時の光出力が最大となる最適温度を、前記波長変換素子を温度制御するための温度目標値T に設定するステップと、
(b)前記波長変換素子の温度Tを検出するステップと、
(c)前記波長変換素子の光出力Pを検出するステップと、
(d)前記波長変換素子の設計時の前記最適温度T を仮に設定した最適温度Ttmpとするステップと、
(e)検出した前記温度Tと、仮に設定した最適温度Ttmpと、最大光出力P を用いて、検出した前記温度における光出力Ptmpを算出するステップと、
(f)算出した前記光出力Ptmpと検出した前記光出力Pとの差の絶対値がある範囲ΔP内に入るか否かを判定するステップと、
(g)前記ステップ(f)で前記絶対値が所定範囲ΔP内に入っていない場合には、検出した前記光出力Pと算出した前記光出力Ptmpとの大小を判定するステップと、
(h)前記ステップ(g)で、P―Ptmp>0である場合には、前記仮の最適温度Ttmpから所定温度ΔTを差し引いた値(Ttmp−ΔT)を新たなTtmpとして置き換えて、ステップ(e)に戻り、
(i)前記ステップ(g)で、P−Ptmp<0である場合には、前記仮の最適温度Ttmpに所定温度ΔTを加算した値(Ttmp+ΔT)を新たなTtmpとして置き換えて、ステップ(e)に戻り、
(j)前記ステップ(f)で前記絶対値が所定範囲ΔP以内に入っている場合には、その時点の仮の最適温度Ttmpを最適温度Tとして出力するステップと、
(k)前記最適温度Tと前記設計時の最適温度T との温度差ΔTを算出するステップと、
(l)前記温度目標値T に前記温度差ΔTを加算して、更新後の温度目標値(T +ΔT)になるように前記波長変換素子を温度制御するステップと、
を含むことを特徴とする。
本発明に係る光出力制御装置は、温度指令値と温度検出器5からの温度検出値との差分を求め、加熱・冷却器12を駆動するための適当な制御量を出力する温度制御器11と、その出力で波長変換素子2を加熱・冷却する加熱・冷却器12と、波長変換素子2の温度を検出する温度検出器5と、からなる従来の温度制御装置1と、波長変換素子2から発するレーザの光出力を検出する光出力検出器6と、温度検出器5から出力される温度検出値と、光出力検出器6から出力される光出力検出値とから波長変換素子の最適温度を得る温度特性同定器31と、温度特性同定器31で求めた最適温度と温度検出値との差を求める差分検出器32と、温度目標補正値にこの差分を加算する加算器4とからなる。
温度目標値に、温度特性同定器31から出力される波長変換素子2の最適温度と温度検出値との差分を加えて新たな温度目標値を得て、温度制御装置1で波長変換素子2の温度が新たな温度目標値に一致するように制御する。波長変換素子2から出力される光出力と温度検出値とから、予め分かっている波長変換素子2の温度−光出力特性の関係式を用いて波長変換素子2の温度特性を算出し、その結果から波長変換素子2の光出力が最大になる温度を求めて最適温度として出力する。この最適温度と温度検出値との差を差分検出器32で演算し、それを温度目標値に加算器4で加算して新たな温度目標値を得て温度制御をする動作を連続して行う。
本発明に係る光出力制御装置によれば、温度を変化させながら光出力が最大になる温度を常に調べ続けるという動作を不要とすることができる。また、波長変換素子が固有の温度特性を持つことを利用して、光出力検出値と温度検出値とから現在の動作状態での光出力が最大になる温度を求めてその温度に保つように制御することができる。これにより、温度を変化させる過程で光出力が変化するのを防ぎ、常に安定した光出力を出力する光源として使用することができることを特徴とする。
本発明の装置によれば、温度をわざと変化させて光出力を変化させて最適温度を探さなくても、現在の波長変換素子の温度特性の把握により、光出力を最大にする最適温度を知ることができ、その温度に制御して光出力を最大にすることができる。
また、波長変換素子の動作中の特性の変動に対し、検出した波長変換素子の温度と光出力から、温度特性の同定を随時行うことで常に最適温度に制御し、光出力を最大にすることができる。
本発明の実施の形態1に係る光出力制御装置の構成を示すブロック図である。 (a)は、波長変換素子の光出力の温度特性を示す図であり、(b)は、光出力の最大値付近の拡大図である。 (a)は、波長変換素子の最適温度Tが設計値T からずれている様子を示す概略図であり、(b)は、本発明の実施の形態1における説明図である。 光出力最大化制御器において光出力が最大となる最適温度を求める方法のフローチャートである。 (a)は、P―Ptmp>0であるときの様子を示す概略図であり、(b)は、P―Ptmp<0であるときの様子を示す概略図である。 従来の波長変換素子(KTP結晶)の温度制御装置の構成を示すブロック図である。
本発明の実施の形態に係る光出力制御装置について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において、実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光出力制御装置のブロック図である。この光出力制御装置は、波長変換素子2と、温度検出器5と、光出力検出器6と、温度制御装置1と、光出力最大化制御器3と、加算器4とを備える。波長変換素子2は、レーザ光源(図示せず)からの励起レーザ光を波長変換して出力する。温度検出器5は、波長変換素子の温度を検出する。光出力検出器6は、波長変換素子の光出力を検出する。温度制御装置1は、波長変換素子2を温度制御する加熱・冷却器12と、温度目標値と温度検出値とが一致するように加熱・冷却器12を制御する温度制御器11とを備える。光出力最大化制御器3は、光出力検出器6によって検出した光出力と温度検出器5によって検出した温度検出値とから、光出力を最大にする温度を求めて、温度検出値との温度差を出力する。加算器4は、光出力最大化制御器3からの出力である温度差を温度目標値に加算する。
また、光出力最大化制御器3は、温度検出器5からの温度検出値と光出力検出器6からの光出力検出値とから最適温度を得る温度特性同定器31と、温度特性同定器31によって得られた最適温度と温度検出値との差を得る差分検出器とを備える。
この光出力制御装置の動作の概略について説明する。まず、加熱・冷却器12で波長変換素子2を加熱・冷却し、温度検出器5で波長変換素子2の温度を検出して温度検出値を得る。一方、波長変換素子2の光出力を光出力検出器6で検出して光出力検出値を得る。温度検出値と光出力検出値を用いて光出力最大化制御器3で最適温度を求めると共に、その最適温度と温度検出値との差を求める。その後、加算器4で温度目標値に上記温度差を加算して温度制御器11に入力して、この出力で加熱・冷却器12を制御する。
さらに、図2(a)及び(b)を用いて、波長変換素子2の光出力の温度特性を説明する。図2(a)は、波長変換素子2の出力の温度特性を示す図である。波長変換素子2は、ある温度を中心に光出力が最大になり、その温度の高温側、低温側の両側で光出力は急激に減少する温度特性をもつ。この光出力の温度特性を表す曲線形状は一般にsinc関数で表されることが知られている。図2の(b)は、光出力の最大値近辺の拡大図である。ここで、光出力が最大となる最適温度とそのときの光出力の設計値をそれぞれT 、P とする。
次に、図3(a)及び(b)を用いて、波長変換素子2の光出力の温度特性が設計時とはずれている場合における光出力最大化制御器3の動作を説明する。図3(a)は、波長変換素子2の最適温度Tが設計値T からずれている様子を示す概略図である。設計時の最適温度をT とした時の温度特性の計算値を実線で示し、実際の温度特性を破線で示す。最適温度T のとき最大光出力P が得られ、任意の温度Tのときの光出力Pは、T、T 、P をパラメータとする関数、P=f(T、T 、P )と表される。破線で表される実際の特性では、最適温度がT、そのときの光出力はP であるとする。このとき最適温度をT として温度制御すると、図3(b)に示すように光出力は最大値P より小さい値であるPになってしまう。そこで、温度検出値Tとそのときの光出力検出値Pに対して最適温度をTとすると、
=f(T、T、P
という関係になることを利用すると、T、P、P からTを求めることができる。
図4は、光出力最大化制御器3の温度特性同定器31において、最適温度Tを求める処理のフローチャートである。
(a)まず、波長変換素子2の温度検出値T、光検出値Pを得る[A]。
(b)設計時の最適温度T を仮の最適温度Ttmpとして設定する(Ttmp=T )[B]。
(c)温度検出値T、仮に設定した最適温度Ttmp、最大光出力P を用いて、
tmp=f(T、Ttmp、P
から光出力Ptmpを得る[C]。
(d)このPtmpとPとの差の絶対値がある範囲ΔP内に入るか否かを判定する[D]。
(e)絶対値が所定範囲ΔP内に入っていなければPとPtmpとの大小を判定する[E]。
(f)P―Ptmp>0であるときの様子を図5(a)に示す。実線は最適温度をTtmpとした時の計算値を示し、破線は実際値を示す。この場合は、図5(a)に示すように実際の最適温度Tは仮の温度Ttmpより低いところにある。よってTtmpから所定温度ΔTを差し引いた値を新たなTtmpとする[F]。その後、[C]に戻る。
ここでは、最適温度のずれは小さいものとし、実際の最適温度Tと設計時の最適温度T とは、温度Tからみて同じ側にあるものとしている。
(g)一方、P−Ptmp<0であるときの様子を図5(b)に示す。図5(a)と同様に実線で最適温度をTtmpとした時の計算値を示し、破線で実際値を示す。この場合は図5(b)に示すように実際の最適温度Tは仮の温度Ttmpより高いところにある。よってTtmpに所定温度ΔTを加算して新たなTtmpとする[G]。その後、[C]に戻る。
(h)一方、判定[D]でΔP以内に入っていれば、その時のTtmpをTとして終了する[H]。これで最適温度Tが求まる。
以上の処理を定期的に実施することにより、波長変換素子2の光出力の温度特性が設計時とずれる場合があっても最新の最適温度Tを求めることができる。
この光出力制御装置における制御方法では、上記最適温度Tが得られた後、次のようにして波長変換素子2の光出力が最大となるように制御する。
(1)上記最適温度Tと検出温度Tとの差ΔTを差分検出器32で求めて出力する。なお、この検出温度Tは、温度制御器11によって温度制御され、ほぼ温度目標値T と一致しているものとする。したがって、ΔT=T−T となる。
(2)温度目標値T に上記ΔTを加算器4で加算して、温度目標値を更新する。
(3)更新後の温度目標値(T +ΔT)になるように温度制御装置1で波長変換素子2を温度制御する。温度制御の結果、(T +ΔT)は実際の最適温度Tとほぼ一致するので、波長変換素子21の光出力を最大値P とすることができる。
上述の通り、本発明は好ましい実施の形態により詳細に説明されているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的範囲内において多くの好ましい変形例及び修正例が可能であることは当業者にとって自明なことであろう。
本発明に係る光出力制御装置は、最適温度を得るために波長変換素子の制御温度を振って光出力を可変することなく光出力を最大にする最適温度に制御することができ、また、最適温度の変動にも追従することができる。そこで、この光出力制御装置をディスプレイの光源に使用した場合にも、輝度をふらつかせることなく最適温度に制御して光出力を最大化することができる。

Claims (5)

  1. 励起レーザ光を波長変換する波長変換素子と、
    前記波長変換素子を温度制御する加熱・冷却器と、
    前記波長変換素子の温度を検出する温度検出器と、
    温度目標値と前記温度検出値とが一致するように前記加熱・冷却器を制御する温度制御器と、
    前記波長変換素子の光出力を検出する光出力検出器と、
    前記光出力検出器によって検出した前記光出力と前記温度検出器によって検出した前記温度検出値とから、前記光出力を最大にする温度を求めて、前記温度検出値との温度差を出力する光出力最大化制御器と、
    前記光出力最大化制御器からの出力である温度差を前記温度目標値に加算する加算器と、
    を備え、
    前記温度目標値に前記温度差を加算して温度目標値を補正して前記光出力を最大にする温度に制御することを特徴とする光出力制御装置。
  2. 前記光出力最大化制御器は、
    前記波長変換素子の温度特性を算出し、前記波長変換素子の光出力を最大にする温度を出力する温度特性同定器と、
    前記温度検出値と温度特性同定器からの出力温度との差分を計算する差分検出器と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の光出力制御装置。
  3. 前記光出力最大化制御器は、前記温度検出値と前記光出力検出値から前記波長変換素子の温度特性を算出し、前記波長変換素子の光出力を最大にする温度を求めることを特徴とする請求項1に記載の光出力制御装置。
  4. 前記光出力制御装置は、レーザ光源の光出力制御装置であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光出力制御装置。
  5. (a)波長変換素子の設計時の光出力が最大となる最適温度を、前記波長変換素子を温度制御するための温度目標値T に設定するステップと、
    (b)前記波長変換素子の温度Tを検出するステップと、
    (c)前記波長変換素子の光出力Pを検出するステップと、
    (d)前記波長変換素子の設計時の前記最適温度T を仮に設定した最適温度Ttmpとするステップと、
    (e)検出した前記温度Tと、仮に設定した最適温度Ttmpと、最大光出力P を用いて、検出した前記温度における光出力Ptmpを算出するステップと、
    (f)算出した前記光出力Ptmpと検出した前記光出力Pとの差の絶対値がある範囲ΔP内に入るか否かを判定するステップと、
    (g)前記ステップ(f)で前記絶対値が所定範囲ΔP内に入っていない場合には、検出した前記光出力Pと算出した前記光出力Ptmpとの大小を判定するステップと、
    (h)前記ステップ(g)で、P―Ptmp>0である場合には、前記仮の最適温度Ttmpから所定温度ΔTを差し引いた値(Ttmp−ΔT)を新たなTtmpとして置き換えて、ステップ(e)に戻り、
    (i)前記ステップ(g)で、P−Ptmp<0である場合には、前記仮の最適温度Ttmpに所定温度ΔTを加算した値(Ttmp+ΔT)を新たなTtmpとして置き換えて、ステップ(e)に戻り、
    (j)前記ステップ(f)で前記絶対値が所定範囲ΔP以内に入っている場合には、その時点の仮の最適温度Ttmpを最適温度Tとして出力するステップと、
    (k)前記最適温度Tと前記設計時の最適温度T との温度差ΔTを算出するステップと、
    (l)前記温度目標値T に前記温度差ΔTを加算して、更新後の温度目標値(T +ΔT)になるように前記波長変換素子を温度制御するステップと、
    を含むことを特徴とする波長変換素子の光出力制御方法。
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