JP4361852B2 - 制御装置 - Google Patents
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Description
図11(a)中の破線で囲まれている部分に着目すると、計測された複数の温度TC1,TC2,TC3に基づき温度差(TC2−TC3)および温度変化率dTC3/dtを算出する状態量変換が行なわれていることが理解できる。すなわち、図11(a)の温度調節計は、温度差(TC2−TC3)および温度変化率dTC3/dtを算出する状態量変換部1041を備えていることになる(図11(b))。
以上のように、実際の状態量そのものだけではなく、状態量差を制御系に取り込む努力は従来から行なわれており、特に状態量差を制御対象として制御系を構成するケースでは、制御系に前記状態量変換部が設けられる。
PV1’=0.5PV1+0.5PV2 ・・・(1)
PV2’=PV2−PV1 ・・・(2)
また、状態量変換部3003の入出力の関係をマトリックスで表現すると、以下のようになる。
MV1’=MV1+(−0.5Kp2/0.5Kp1)MV2 ・・・(4)
MV2’=(Kp1/Kp2)MV1+MV2 ・・・(5)
また、クロスコントローラ4005の入出力の関係をマトリックスで表現すると、以下のようになる。
実際のアクチュエータには出力の上下限があり、コントローラはこの上下限を考慮した操作量算出をしなければならない。つまり、アクチュエータの出力が上限値あるいは下限値に達して状態量の変化に限界が生じている状態においては、コントローラは必要以上に操作量の算出結果を高くしたり低くしたりしてはならない。PID等のコントローラがアクチュエータの物理的な上下限を考慮しない場合、積分ワインドアップという問題が生じる。
また、通常のコントローラでは、制御対象の特性に合わせてパラメータの調整を行なわなければならない。パラメータ調整の例としては、PIDコントローラにおけるPIDパラメータ調整がある。従来、このようなパラメータ調整を実現するための調整方法や自動調整機能などが考案されているが、この調整方法や自動調整機能は基本的にコントローラとアクチュエータと制御対象と計測手段とが物理的に対応していることが必要条件になる。
以下、本発明では、例えば状態量平均値のような基準となる絶対的な状態量を基準状態量、例えば状態量差のような相対的な状態量を相対状態量と称する。また、基準状態量に対する設定値を基準状態量設定値、基準状態量の計測値を基準状態量計測値、相対状態量に対する設定値を相対状態量設定値、相対状態量の計測値を相対状態量計測値、基準状態量設定値と基準状態量計測値との差を基準制御偏差、相対状態量設定値と相対状態量計測値との差を相対制御偏差と称する。状態量としては、例えば温度、圧力、流量などがある。
次に、本発明では、変換した状態量について状態量設定値との制御偏差を算出する。算出した制御偏差をそのままコントローラに入力すると、コントローラの操作量と実際のアクチュエータの出力とが1対1に対応しなくなるので、制御偏差を状態量変換行列の逆行列により再変換した上でコントローラに入力することを考える。
図4は、本発明の実施の形態となる制御装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態は、図2で説明した原理に基づくものであり、制御ループが3個で、基準状態量として3個の制御ループの状態量平均値を採用し、相対状態量として各状態量の差を採用する場合の例であるが、2個以上の制御ループであれば同様の原理で、同様の制御系を構成できる。
Er10=SP1−PV1 ・・・(12)
Er20=SP2−PV2 ・・・(13)
Er30=SP3−PV3 ・・・(14)
行列修正部32は、第1の制御系が最大偏差制御系jである場合、予め定められた式(15)のような状態量変換行列Tを選択する。
行列修正部32は、第2の制御系が最大偏差制御系jである場合、予め定められた式(16)のような状態量変換行列Tを選択する。
行列修正部32は、第1の制御系が最大偏差制御系jである場合、予め定められた式(18)のような状態量変換行列Tを選択する。
MV1=(100/Pb1){1+(1/Ti1s)+Td1s}Er1
・・・(23)
式(23)において、Pb1は比例帯、Ti1は積分時間、Td1は微分時間、sはラプラス演算子である。なお、PID制御演算部25−1は、算出した操作量MV1がアクチュエータA11の出力の下限値OL1より小さい場合、操作量MV1=OL1とし、算出した操作量MV1がアクチュエータA11の出力の上限値OH1より大きい場合、操作量MV1=OH1とする操作量上下限処理を積分ワインドアップの対策として行う。
MV2=(100/Pb2){1+(1/Ti2s)+Td2s}Er2
・・・(24)
式(24)において、Pb2は比例帯、Ti2は積分時間、Td2は微分時間である。PID制御演算部25−2は、算出した操作量MV2がアクチュエータA12の出力の下限値OL2より小さい場合、操作量MV2=OL2とし、算出した操作量MV2がアクチュエータA12の出力の上限値OH2より大きい場合、操作量MV2=OH2とする操作量上下限処理を積分ワインドアップの対策として行う。
MV3=(100/Pb3){1+(1/Ti3s)+Td3s}Er3
・・・(25)
式(25)において、Pb3は比例帯、Ti3は積分時間、Td3は微分時間である。PID制御演算部25−3は、算出した操作量MV3がアクチュエータA13の出力の下限値OL3より小さい場合、操作量MV3=OL3とし、算出した操作量MV3がアクチュエータA13の出力の上限値OH3より大きい場合、操作量MV3=OH3とする操作量上下限処理を積分ワインドアップの対策として行う。
操作量MV2出力部24−2は、PID制御演算部25−2によって算出された操作量MV2をアクチュエータA12に出力する(ステップS122)。アクチュエータA12は、操作量MV2に基づいて第2の状態量を制御するために動作する。
操作量MV3出力部24−3は、PID制御演算部25−3によって算出された操作量MV3をアクチュエータA13に出力する(ステップS123)。アクチュエータA13は、操作量MV3に基づいて第3の状態量を制御するために動作する。
Gp11=1.2exp(−2.0s)/{(1+70.0s)(1+10.0s)}
・・・(26)
Gp12=1.6exp(−2.0s)/{(1+60.0s)(1+10.0s)}
・・・(27)
Gp13=2.0exp(−2.0s)/{(1+50.0s)(1+10.0s)}
・・・(28)
PV1=Gp11MV1 ・・・(29)
PV2=Gp12MV2 ・・・(30)
PV3=Gp13MV3 ・・・(31)
図8に示すシミュレーション結果は、前記先行出願を適用し、基準状態量を各制御ループの追従状態量の単純平均に固定し、W1=0.7、W2=4.0、W3=4.0に設定したことにより得られたものである。図7の結果と比べると、制御ループ間の状態量差を小さくするという先行出願の制御装置の効果が現れている。しかし、PID制御演算部25−3の操作量上限値OH3が16%という制約があるため、操作量MV1,MV2より先にMV3が飽和し、状態量計測値PV1,PV2にPV3が追従することができず、先行出願の本来の効果が大きく損なわれている。
Claims (4)
- n(nは2以上の自然数)個の並列なPID制御ループを有する制御系の制御装置において、
前記n個のPID制御ループの状態量の加重平均値であって特定の基準となる絶対的な状態量を基準状態量とし、状態量差である相対的な状態量を相対状態量としたとき、
前記n個のPID制御ループに入力される各状態量計測値とこれに対応する各状態量設定値との制御偏差を前記状態量計測値毎に算出する制御偏差算出部と、
前記算出されたn個の制御偏差を、前記基準状態量に対応する制御偏差または前記相対状態量に対応する制御偏差に変換するためのn×nの状態量変換行列により線形結合して前記基準状態量に対応する制御偏差または前記相対状態量に対応する制御偏差のいずれかに変換する制御偏差変換部と、
前記変換されたn個の制御偏差にそれぞれ対応し、制御の優先度を与える重み係数を乗算する重み係数設定部と、
PID制御演算部が算出するn個の操作量と前記n個のPID制御ループの各アクチュエータの出力とを1対1に対応させるために、前記重み係数が乗算されたn個の制御偏差を前記状態量変換行列の逆行列により再変換する逆行列再変換部と、
前記再変換されたn個の制御偏差に基づき各PID制御ループの操作量を算出して、算出したn個の操作量をそれぞれ対応するPID制御ループのアクチュエータに出力するPID制御演算部と、
前記変換される前の制御偏差の絶対値をPID制御ループ毎に算出し、絶対値が大きなPID制御ループほど前記加重平均値の加重を大きく適応修正することにより前記状態量変換行列および前記逆行列を適応的に修正する行列修正部とを備えることにより、
基準状態量と相対状態量に優先度を与えて制御するための制御偏差を算出することを特徴とする制御装置。 - n(nは2以上の自然数)個の並列なPID制御ループを有する制御系の制御装置において、
前記n個のPID制御ループの状態量の加重平均値であって特定の基準となる絶対的な状態量を基準状態量とし、状態量差である相対的な状態量を相対状態量としたとき、
前記n個のPID制御ループに入力されるn個の各状態量計測値を、基準状態量計測値または相対状態量計測値に変換するためのn×nの状態量変換行列により線形結合して前記基準状態量計測値または相対状態量計測値のいずれかに変換する状態量変換部と、
前記変換された基準状態量計測値とこれに対応する基準状態量設定値との制御偏差または前記変換された相対状態量計測値とこれに対応する相対状態量設定値との制御偏差のいずれかを前記変換された状態量計測値毎に算出する制御偏差算出部と、
前記算出されたn個の制御偏差にそれぞれ対応し、制御の優先度を与える重み係数を乗算する重み係数設定部と、
PID制御演算部が算出するn個の操作量と前記n個のPID制御ループの各アクチュエータの出力とを1対1に対応させるために、前記重み係数が乗算されたn個の制御偏差を前記状態量変換行列の逆行列により再変換する逆行列再変換部と、
前記再変換されたn個の制御偏差に基づき各PID制御ループの操作量を算出して、算出したn個の操作量をそれぞれ対応するPID制御ループのアクチュエータに出力するPID制御演算部と、
前記n個のPID制御ループに入力される各状態量計測値とこれに対応する各状態量設定値との制御偏差の絶対値をPID制御ループ毎に算出し、絶対値が大きなPID制御ループほど前記加重平均値の加重を大きく適応修正することにより前記状態量変換行列および前記逆行列を適応的に修正する行列修正部とを備えることにより、
基準状態量と相対状態量に優先度を与えて制御するための制御偏差を算出することを特徴とする制御装置。 - 請求項1記載の制御装置において、
前記状態量変換行列は、前記変換された制御偏差に、異なるPID制御ループの状態量計測値間の相対的な関係を与える相対制御偏差が含まれるように予め設定され、
前記相対制御偏差に乗算される前記重み係数は、前記相対制御偏差に対する制御の優先度が高くなるように予め設定されることを特徴とする制御装置。 - 請求項2記載の制御装置において、
前記状態量変換行列は、前記変換された状態量計測値に、異なるPID制御ループの状態量計測値間の相対的な関係を与える相対状態量計測値が含まれるように予め設定され、
前記相対状態量計測値に対応する制御偏差に乗算される前記重み係数は、前記相対状態量計測値に対する制御の優先度が高くなるように予め設定されることを特徴とする制御装置。
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