JP2009243417A - 触媒装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】触媒装置2は、内燃機関の排気ガスを浄化する触媒を担持したセラミックス製の触媒担体10と、触媒担体10を収容する外筒13と、外筒13と触媒担体10との間に介設される保持マット12とを備え、この触媒装置2が有する外筒13はステンレス材料よりも線膨張係数が低い材料により構成されたものである。
【選択図】図3
Description
上記の問題に鑑み、本発明は、触媒担体を容器に収容して構成される触媒装置において、高温環境下においても安定して触媒担体を保持することが可能な構成を、製造工数の増加や構成の複雑化を招くことなく実現することを目的とする。
この構成によれば、セラミックス製の触媒担体とマットとを収容する外筒を、ステンレス材料(例えば、JIS SUS430等)よりも線膨張係数が低い材料により構成したことにより、触媒装置の使用時に高温の排気ガスに晒されても、膨張による外筒の変形量が小さい。これにより、外筒と、外筒と触媒担体との間に介設されるマットとが離間したりすることがなく、常温時と同様に触媒担体を保持することが可能な触媒装置を実現できる。そして、この触媒装置の外筒に使用する材料をステンレス材料よりも線膨張係数が低い材料とすることで、複雑な構造を用いず、製造工数の増加や機構の複雑化を招くことなく、容易に実現可能である。また、温度上昇に伴う外筒の変形量が小さく抑えられるので、許容され得る精度の範囲が広がり、設計及び製造上の自由度が高まる等の利点がある。
さらに、純チタン、チタン合金およびチタン化合物のいずれか、若しくは、純チタン、チタン合金およびチタン化合物のいずれか1以上を含む合金からなる外筒は、融点が高いという利点を有しており、例えば、排気経路において内燃機関に近い位置に設置でき、また、高温の排気ガスに晒される環境下でも長期にわたって使用できる。上記の材料は軽量であるという利点を有しており、例えば自動二輪車や自動車に設置した場合の車体重量の軽量化、車体の設計上の自由度の向上、取り扱い性・作業性の向上等の有利な効果が得られる。
この場合、純チタン、チタン合金およびチタン化合物のいずれか、若しくは、純チタン、チタン合金およびチタン化合物のいずれか1以上を含む合金で構成される外筒を、同様に純チタン、チタン合金およびチタン化合物のいずれか、若しくは、純チタン、チタン合金およびチタン化合物のいずれか1以上を含む合金で構成された排気管に接合することによって、内燃機関の排気経路が構成される。このような外筒と排気管とは同種または類似種の金属であるため、溶接等によって容易に接合することができ、高い接合強度が得られる。そして、触媒担体及びマットを収容する外筒を、排気管の一部として使用することが可能となり、この触媒装置自体を収容する外装を用意する必要がなくなるので、コストの低減や軽量化を図ることができる。
ここで、排気管とは、内燃機関に接続される排気マニホールド、集合管、消音器(排気マフラ)、或いは、これらを接続するパイプ等である。
さらに、外筒は融点が高いという利点を有しており、高温の排気ガスに晒される環境下でも長期にわたって使用できる。上記の材料は軽量であるという利点を有しており、例えば自動二輪車や自動車に設置した場合の車体重量の軽量化、車体の設計上の自由度の向上、取り扱い性・作業性の向上等の有利な効果が得られる。
さらにまた、外筒と排気管とが同種または類似種の金属であるため、溶接等によって容易に接合することができ、高い接合強度が得られる、その上、触媒担体及びマットを収容する外筒を排気管の一部として使用することが可能となり、この触媒装置自体を収容する外装を用意する必要がなくなるので、コストの低減や軽量化を図ることができる。
また、マットの反発力により触媒担体が外筒内の所定位置に保持されるので、外筒に線膨張係数が低い材料を用いれば、高温の排気ガスに晒される環境下においても、外筒のサイズが常温のときと殆ど変わらないため、同様に触媒担体をマットの反発力によって外筒内に保持できる。
[第1の実施形態]
図1は、本発明を適用した第1の実施形態に係る触媒装置1を備えた排気マフラ100を模式的に示す図である。排気マフラ100は、自動二輪車に設けられ、自動二輪車のエンジン(不図示)から延びる排気管110の後端に接続され、排気管110を通った高温・高圧の排気ガスを減圧して外部に排出するサイレンサとして機能する。
筒状本体120は、複数(本例では2枚)の隔壁131、132を介して内部空間が複数(本例では3つ)の膨張室A、B、Cに仕切られており、筒状本体120の前端部121を排気管110の端部110Aが貫通して膨張室B内に固定され、排気管110の端部110Aに最も近接する第1隔壁131に、触媒装置1が貫通して固定されている。
ここで、触媒装置1を構成する外筒13の外径は、排気管110の外径よりも僅かに大きく形成されており、図1に示すように外筒13の内部に端部110Aを入り込ませた状態で安定するようになっている。そして、端部110Aを外筒13に入り込ませた状態で、外筒13の端部13Aは、排気管110の外側面に溶接により接合されている。接合部105においては、端部13Aと排気管110とが直接接合されている。
筒状本体120の断面積は、筒状本体120に挿入される排気管110よりも大きく形成されるため、排気ガスが各膨張室A〜Cに流入する際に減圧される。また、触媒装置1を排気マフラ100の筒状本体120内に配置したため、触媒装置1のレイアウトスペースが容易に確保される。また、触媒装置1を排気管110の端部110Aと略同軸上に配置したため、排気管110の端部110Aから排出された排気ガスをその流れ方向を変えることなく触媒装置1に流入させることができる。
触媒担体10は、円筒形状に形成され、その円筒形状の外郭の内部に、軸線方向に沿って延びる多数の細孔5を有するハニカム状の多孔構造体である。触媒担体10の内部には、その多孔質構造に由来して大きな表面積が確保され、各々の細孔5に露出する多孔構造において、排気ガス成分を分解する白金、ロジウム及びパラジウムが触媒として担持されている。ここで、触媒担体10の断面形状は任意であり、断面形状は円形に限らず、楕円形や多角形等であっても良い。
触媒担体10の基材としては多孔質のセラミックスが用いられているため、白金やロジウム等の触媒が担持され易い。ここで、セラミックスの材質の好ましい一例としては、コージェライト、ムライト、アルミナ、アルカリ土類金属のアルミネート、炭化ケイ素、窒化ケイ素等、或いはこれらの類似物を含む各種耐熱性セラミックスを用いることが可能である。
図3に示すように触媒装置1は、保持マット12を介して外表面11が外筒13に保持された構成となっている。この触媒装置1を製造する過程においては、触媒担体10及び保持マット12を外筒13に収める工程で、触媒担体10に保持マット12を巻き付けた上で、これが予め筒形状に整形された外筒13に圧入される。従って、外筒13に収められた保持マット12は圧縮された状態となっており、保持マット12を構成する繊維の反発力によって、触媒担体10と保持マット12との間、及び、保持マット12と外筒13との間には押圧力が作用している。
触媒担体10は多孔質のセラミックス材料で構成されるため、その外表面11の面粗度は高く、保持マット12の表面も粗面である。従って、触媒担体10と保持マット12とは摩擦力により相互に移動しないよう保持される。また、保持マット12と外筒13も、図中符号Dで示す方向の排気ガスの圧に抗して、外筒13内の所定の位置に摩擦により保持されている。
まず、円筒形状に形成された触媒担体10の軸線方向の一端の一部を、白金、ロジウム及びパラジウムを含有する溶液(或いは、これらとともにアルミナ等を含むスラリー)に所定の長さ(深さ)だけ浸漬させる。次いで、一端が浸漬した状態の触媒担体10の他端に、溶液を吸上げ可能なポンプに接続されたチューブを接続する。このチューブは、全ての各細孔5から吸引を行えるように触媒担体10の他端に接続される。そして、ポンプにより上記チューブを介して吸引を行うことで、全ての細孔5から溶液が吸い上げられ、各細孔5の表面に溶液が接触し、各細孔5の表面に溶質である触媒が付着する。
その後、触媒担体10を上記溶液から引き上げて100℃にて10分間の熱風乾燥した後、450℃にて1時間焼成し、触媒担体10に触媒を担持させる。
焼成の後、触媒担体10の外表面11に保持マット12を巻き付けて、この触媒担体10を保持マット12とともに外筒13に圧入することで、触媒装置1が形成される。
なお、本第1の実施形態において外筒13は予め円筒形に形成されたものを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、キャニング、巻き締めによる方法がある。
キャニングにより触媒担体10を収容する場合には、保持マット12が巻き付けられた触媒担体10に、円筒を軸線方向に沿って複数の片に分割した形状の分割片をあてがって、これらの分割片どうしを溶接、接着及びボルト止め等により接合して外筒13を形成する。この方法では、複数の分割片を接合する際に、これら分割片が、保持マット12を圧縮するように押圧される。このため、外筒13に収容された状態で、触媒担体10及び保持マット12は、保持マット12の反発力により外筒13内の所定位置に保持される。
また、巻き締めにより触媒担体10を収容する場合には、保持マット12が巻き付けられた触媒担体10に、上述した外筒13の材料となる金属製の板材を巻き付けることで、この板材の端部どうしが溶接、接着及びボルト止め等により接合されて円筒形の外筒13が形成される。この方法では、板材を巻き付ける過程で、板材に対し、保持マット12を圧縮するような張力が加えられる。このため、外筒13に収容された状態で、触媒担体10及び保持マット12は、保持マット12の反発力により外筒13内の所定位置に保持される。
さらに、外筒13の材料としてあげられる純チタン、チタン合金およびチタン化合物のいずれか、若しくは、純チタン、チタン合金およびチタン化合物のいずれか1以上を含む合金は、融点が高いという利点を有しており、例えば、排気経路において内燃機関に近い位置に設置しても何ら問題がなく、また、高温の排気ガスに晒される環境下でも長期にわたって使用できる。上記の材料は軽量であるという利点を有しており、例えば自動二輪車や自動車に設置した場合の車体重量の軽量化、車体の設計上の自由度の向上、取り扱い性・作業性の向上等の有利な効果が得られる。
図4は、本発明を適用した第2の実施形態に係る排気管構造140を示す断面図である。
なお、本第2の実施形態において、上記第1の実施形態と同様に構成される部分については同符号を付して説明を省略する。
図4に示す排気管構造140は、触媒装置1のエンジン(図示略)側にチタン製排気管50を接合し、触媒装置1の排気マフラ(図示略)側にチタン製排気管55を接合して構成されるものである。排気管構造140は、エンジンの排気口と排気マフラとを繋ぐ排気経路の一部を構成する管路であり、具体的には、排気マニホールド、集合管、或いは、これらとエンジンまたは排気マフラとを繋ぐパイプである。符号Dで示す排気ガスの流れに対し、チタン製排気管50は触媒装置1の上流側に位置し、チタン製排気管55は触媒装置1の下流側に位置する。
また、チタン製排気管50及びチタン製排気管55は、いずれも、外筒13と同様のチタン系材料で構成されている。
なお、外筒13、チタン製排気管50、55は、溶接の容易性や材料調達の容易性、製造コスト等を勘案すると、全て同一の材料であることが好ましいが、外筒13、チタン製排気管50、55が同一の材料で構成されていない構造も許容され、上述したチタンを含む材料のうちいずれかであれば、外筒13、チタン製排気管50、55を異なる材料としてもよい。
すなわち、図4に示すように、テーパー部51の先端と外筒13の端部13Aとは同径であり。突き合わせ溶接により接合される。また、外筒13の端部13Bとチタン製排気管55の先端とは同径であり、同様に突き合わせ溶接により接合される。チタンを含む金属材料どうしの溶接は材料間の相性が良いため、容易に、十分な強度で接合できる。
図5は、本発明を適用した第2の実施形態に係る排気管構造140を示す断面図である。
なお、本第3の実施形態において、上記第1及び第2の実施形態と同様に構成される部分については同符号を付して説明を省略する。
図5に示す排気管構造150は、触媒装置2のエンジン(図示略)側にステンレス製排気管60を接合し、触媒装置2の排気マフラ(図示略)側にステンレス製排気管65を接合して構成されるものである。
排気管構造150は、エンジンの排気口と排気マフラとを繋ぐ排気経路の一部を構成する管路であり、具体的には、排気マニホールド、集合管、或いは、これらとエンジンまたは排気マフラとを繋ぐパイプである。符号Dで示す排気ガスの流れに対し、ステンレス製排気管60は触媒装置2の上流側に位置し、ステンレス製排気管65は触媒装置1の下流側に位置する。
図6Aに示すように、外筒14の上流側の開口端である端部14Aには、孔14Cが形成されている。孔14Cは、外筒14を貫通する孔であり、外筒14の開口縁の周方向に沿って、所定の間隔をあけて複数形成されている。
ステンレス製排気管60の端部60Aは、端部14Aに対し、孔14Cよりも奥まで入り込んでおり、この状態で、端部60Aに対して接合片61が溶接される。接合片61は、外筒14の外側から孔14Cを通って端部60Aに接する形状を有する金属片であり、ステンレス製排気管60と同様のステンレス材料で構成される。
ステンレス製排気管65の端部65Aは、端部14Bに対し、孔14Dよりも奥まで入り込んでおり、この状態で、端部65Aに対して接合片66が溶接される。接合片66は、外筒14の外側から孔14Dを通って端部65Aに接する形状を有する金属片であり、ステンレス製排気管65と同様のステンレス材料で構成される。
加えて、排気管構造150においては、より安価なステンレス製排気管60、65を用いることにより、低コストで実現可能な形態となっている。この排気管構造150においても、上記第2の実施形態で説明したような利点、すなわち、触媒担体10及び保持マット12を収容するための外筒14を、排気管構造150の一部として利用でき、触媒装置2を収容するための外装等が必要なく、コストの低減及び軽量化を図ることができるという利点がある。
また、異種金属の接合となる外筒14とステンレス製排気管60、65との接合は、外筒14の端部14A、14Bに孔14C、14Dを形成して、外側から接合片61、66をあてがってプロジェクション溶接を行う方法により、容易に、かつ確実に行える。
例えば、上記実施形態では、外筒13、14は円筒形のものとして説明したが、本発明はこれに限定されず、中空の管であれば、楕円や多角形の断面形状を有する形状としてもよい。また、上記実施形態では、白金、ロジウム及びパラジウムを触媒担体10に担持するものとして説明したが、イリジウムやセリウム酸化物等のその他の触媒物質を担持しても良い。また、また、保持マット12は触媒担体10の外表面11の全てを覆うものに限らず、外表面11の一部が保持マット12に覆われずに露出していてもよい。その他の細部構成についても任意に変更可能であることは勿論である。
5 細孔
10 触媒担体
11 外表面
12 保持マット
13、14 外筒
50、55 チタン製排気管
60、65 ステンレス製排気管
61、66 接合片
100 排気マフラ
105 接合部
140、150 排気管構造
Claims (4)
- 内燃機関の排気ガスを浄化する触媒を担持したセラミックス製の触媒担体と、
前記触媒担体を収容する外筒と、
前記外筒と前記触媒担体との間に介設されるマットと、を備え、
前記外筒はステンレス材料よりも線膨張係数が低い材料により構成されたこと、
を特徴とする触媒装置。 - 前記外筒を構成する材料は純チタン、チタン合金およびチタン化合物のいずれか、若しくは、純チタン、チタン合金およびチタン化合物のいずれか1以上を含む合金であること、を特徴とする請求項1記載の触媒装置。
- 前記外筒が、純チタン、チタン合金およびチタン化合物のいずれか、若しくは、純チタン、チタン合金およびチタン化合物のいずれか1以上を含む合金で構成された排気管に接合されることにより、前記排気管とともに前記内燃機関の排気経路を構成すること、を特徴とする請求項2記載の触媒装置。
- 前記外筒内において、前記触媒担体及び前記マットは圧迫された状態で収容され、圧入された前記マットの前記触媒担体及び前記外筒に作用する反発力によって前記触媒担体を保持していること、を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の触媒装置。
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