JP2009243383A - 触媒装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】触媒装置1は、内燃機関の排気ガスを浄化する触媒を内部に担持したセラミックス製の触媒担体10と、触媒担体10を収容する外筒13と、外筒13と触媒担体10との間に介設される保持マット12と、を備え、外筒13の内表面の少なくとも一部に、内燃機関の排気ガス中においてステンレス材よりも酸化しやすい材料が配されたものである。
【選択図】図3
Description
そこで、容器内面の面粗度を粗くして、容器内面とマットとの摩擦係数を大きくすることにより、摩擦によってマット及び触媒担体を固定する手法が考えられる。しかしながら、この手法を用いた場合、容器内面とマットとの摩擦による抵抗が大きくなるため、触媒担体をマットとともに圧入することが難しくなってしまう。
この構成によれば、マットと触媒担体とを収容する外筒の内面に、ステンレス材料よりも酸化しやすい所定材料が配されているので、この触媒装置の使用に伴って所定材料が酸化し、所定材料の表面における面粗度が粗くなる。このため、所定材料の表面の摩擦係数が高まるので、この所定材料とマットとの摩擦によって、マット及び触媒担体を定位置に固定することができる。また、上記所定材料は、使用開始前の酸化が進行していない状態では面粗度が高くないため、外筒にマットとともに触媒担体を圧入する工程では、スムーズに圧入を行うことができる。そして、上記触媒装置の使用開始後、外筒に配された所定材料は、排気ガスに晒されることで、排気ガス中の酸化性気体及び/又は排気ガスの高温の影響により速やかに酸化されて、面粗度が粗くなる。従って、使用開始後すみやかにマット及び触媒担体を固定できるようになる。このように、本発明の構成によれば、簡単な構成によってマットと触媒担体とを固定できる。
また、上記所定材料は外筒の内表面の少なくとも一部に露出しており、上記所定材料で外筒の全部を構成してもよいし、外筒の内表面に露出するように一部のみを上記所定材料で構成してもよい。
この場合、排気ガス中において、より低温で酸化が進行する材料を上記の所定材料とすることにより、排気ガスに晒された場合に速やかに酸化されて面粗度が粗くなるので、排気ガスが高温になりにくい環境においても、排気ガスに晒されるようになってから速やかにマット及び触媒担体を固定できるようになる。
また、上記構成において、前記所定材料はSP(一般炭素鋼)材で構成されてもよい。
この場合、安価かつ加工性に優れた材料である炭素鋼を用いて、触媒担体及びマットを簡単に固定できる構成を、容易に実現できる。
この場合、外筒の内面に配された所定材料に、マットを構成する材料と同一の組成又は当該材料と共通する元素を含む組成の添加材料が添加されており、この所定材料がマットに接している。このため、互いに接する外筒の内面とマットとの間の親和性が非常に高いので、マットと外筒の内面とを良好に付着させることができ、マット及び触媒担体を固定できる。
また、排気ガスが高温になりにくい環境においても、排気ガスに晒されるようになってから速やかにマット及び触媒担体を固定できるようになる。
さらに、安価かつ加工性に優れる炭素鋼を用いて、触媒担体及びマットを簡単な構成で固定できる構成を、容易に実現できる。
さらにまた、外筒の内面に配された所定材料に、マットを構成する材料と同一の組成又は当該材料と共通する元素を含む組成の添加材料が添加されているので、互いに接する外筒の内面とマットとの間の親和性が非常に高く、マットを外筒の内面に良好に付着させ、マット及び触媒担体を強固に定位置に固定できる。
図1は、本発明の実施形態に係る触媒装置1を備えた排気マフラ100を模式的に示す図である。排気マフラ100は、自動二輪車に設けられ、自動二輪車のエンジン(不図示)から延びる排気管110の後端に接続され、排気管110を通った高温・高圧の排気ガスを減圧して外部に排出するサイレンサとして機能する。
筒状本体120は、複数(本例では2枚)の隔壁131、132を介して内部空間が複数(本例では3つ)の膨張室A、B、Cに仕切られており、筒状本体120の前端部121を排気管110の端部110Aが貫通して膨張室B内に固定され、排気管110の端部110Aに最も近接する第1隔壁131に、触媒装置1が貫通して固定されている。
また、第1隔壁131には、触媒装置1からずれた位置に、第1連通管135と第2連通管136とが貫通して固定され、第1連通管135は、膨張室Aと膨張室Bとを連通し、第2連通管136は、膨張室Aを横断して第2隔壁132を貫通し、膨張室Bと膨張室Cとを連通させる。筒状本体120の後端部122には、テールパイプを構成する管部材138が貫通して固定され、管部材138が膨張室Cと排気マフラ100外の空間とを連通する。
筒状本体120の断面積は、筒状本体120に挿入される排気管110よりも大きく形成されるため、排気ガスが各膨張室A〜Cに流入する際に減圧される。また、触媒装置1を排気マフラ100の筒状本体120内に配置したため、触媒装置1のレイアウトスペースが容易に確保される。また、触媒装置1を排気管110の端部110Aと略同軸上に配置したため、排気管110の端部110Aから排出された排気ガスをその流れ方向を変えることなく触媒装置1に流入させることができる。
触媒担体10は、円筒形状に形成され、その円筒形状の外郭の内部に、軸線方向に沿って延びる多数の細孔5を有するハニカム状の多孔構造体であり、内部の表面積が大きく構成されている。ここで、触媒担体10の断面形状は任意であり、断面形状は円形に限らず、例えば、楕円形や多角形等であっても良い。多孔質のセラミックスからなる各細孔5の壁には、排気ガス成分を分解する白金、ロジウム及びパラジウムが触媒として担持されている。
触媒担体10の基材としては多孔質のセラミックスが用いられているため、白金やロジウム等の触媒が担持され易い。ここで、セラミックスの材質の好ましい一例としては、コージェライト、ムライト、アルミナ、アルカリ土類金属のアルミネート、炭化ケイ素、窒化ケイ素等、或いはこれらの類似物を含む各種耐熱性セラミックスを用いることが可能である。
図3に示すように触媒装置1は、保持マット12を介して外表面11が外筒13に保持された構成となっている。この触媒装置1を製造する過程においては、触媒担体10及び保持マット12を外筒13に収める工程で、触媒担体10に保持マット12を巻き付けた上で、これが予め筒形状に整形された外筒13に圧入される。従って、外筒13に収められた保持マット12は圧縮された状態となっており、保持マット12を構成する繊維の反発力によって、触媒担体10と保持マット12との間、及び、保持マット12と外筒13との間には押圧力が作用している。
触媒担体10は多孔質のセラミックス材料で構成されるため、その外表面11の面粗度は高く、保持マット12の表面も粗面である。従って、触媒担体10と保持マット12とは摩擦力により相互に移動しないよう保持される。また、保持マット12と外筒13も摩擦により保持されている。
このため、触媒装置1を排気マフラ100に収め、自動二輪車又は自動車に取り付けた場合、使用開始により触媒装置1の内部を排気ガスが流通すると、外筒13の内面は排気ガスに含まれる酸化性の気体や排気ガスの熱の影響によって、酸化される。
酸化物層13Aは、図3中に符号Dで示す排気ガスの流れに対して上流側に位置し、外筒13の内面が未浄化の排気ガスに晒される箇所にある。未浄化の排気ガスは、NOx(窒素酸化物)や酸素等の酸化性気体を含んでおり、これらの酸化性気体によって外筒13の内表面が酸化され、酸化物層13Aが形成される。
また、符号Dで示す排気ガスの流れに対して触媒担体10の下流側は、触媒担体10を通って浄化された排気ガスに晒される箇所であるが、浄化済みの排気ガスにも酸素等の酸化性気体が含まれているため、これらの酸化性気体によって、外筒13の内表面が酸化され、酸化物層13Bが形成される。
このため、外筒13の内面において、特に露出している部分は、触媒装置1の使用開始後に速やかに酸化されて、酸化物層13A、13Bが形成される。
また、外筒13の内面においては、酸化物層13A、13Bだけでなく、保持マット12により覆われた箇所においても酸化が進行するので、酸化物層13A、13Bは、保持マット12と接する箇所にも広がって形成される。
従って、保持マット12と酸化物層13A、13Bとの間の摩擦係数は極めて高くなっており、保持マット12と外筒13との位置をずらすことは容易ではない。言い換えれば、保持マット12は外筒13に対し、摩擦によって強く保持・固定されている。
例えば、酸化物層13Bが、保持マット12に接していない部分にのみ形成されている場合に、保持マット12が符号Dで示す排気ガスの圧力によりずれようとした場合、保持マット12の端部はすぐに酸化物層13Bに接し、強い摩擦が生じる。このため、保持マット12は、実質的に殆どずれていない位置において摩擦力によって保持されてしまう。
従って、外筒13の内表面の少なくとも一部が酸化され、面粗度の粗い酸化物層が形成されることで、保持マット12は、触媒担体10とともに、外筒13に保持及び固定される。
外筒13の材料としては上述した条件を満たす種々のものが挙げられるが、強度、加工性、酸化しやすさ、触媒装置1の使用開始前における表面の平滑性、重量等を勘案すると、ステンレスよりも酸化されやすい材料の中で、例えば、一般炭素鋼(SP材)等の鉄材や、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられる。これらの材料は、酸化被膜等の不動態が表面に形成されていないことが望ましい。このような材料を用いれば、より低温でも酸化が速やかに進行して、酸化物層13A、13Bが形成されるという利点があるので、低排気量の内燃機関の排気管に触媒装置1を配設した場合や、排気温度がそれほど高くならない場合であっても、保持マット12を外筒13に固定できる。
なお、外筒13は、全てが上述したような酸化されやすい材料で構成されている必要はなく、例えば、図3に示す酸化物層13A、13Bの部分のみ、或いは、保持マット12の端部に接する部分や、この保持マット12の端部の近傍のみを、上記材料で構成してもよい。この場合も、保持マット12に接する部分又は保持マット12の端部の近傍に、酸化物層が形成されるので、保持マット12を外筒13に保持及び固定できる。
まず、円筒形状に形成された触媒担体10の軸線方向の一端の一部を、白金、ロジウム及びパラジウムを含有する溶液に所定の長さ(深さ)だけ浸漬させる。次いで、一端が浸漬した状態の触媒担体10の他端に、溶液を吸上げ可能なポンプに接続されたチューブを接続する。このチューブは、全ての各細孔5から吸引を行えるように触媒担体10の他端に接続される。そして、ポンプにより上記チューブを介して吸引を行うことで、全ての細孔5から溶液が吸い上げられ、各細孔5の表面に溶液が接触し、各細孔5の表面に溶質である触媒が付着する。ここで、触媒担体10は、各細孔5の表面に溶液を付着させる工程において、一端が所定の長さだけ溶液に浸漬されるため、触媒担体10の外表面11の一部には所定の長さに亘って溶液が付着している。
焼成の後、触媒担体10の外表面11に保持マット12を巻き付けて、この触媒担体10を保持マット12とともに外筒13に圧入することで、触媒装置1が形成される。
そして、外筒13の内面に、保持マット12を構成する材料と同一の組成又は当該材料と共通する元素を含む組成の添加材料が添加されている場合には、保持マット12と外筒13との親和性が高いため、加熱する際の温度がそれほど高くなくても、保持マット12と外筒13を強く密着、接着あるいは接合できる。
図4は、外筒13の高温耐力及びクリープ強度と触媒担体10の形状との相関を示す図表である。
図4中、Dは触媒担体10の径であり、Lは触媒担体10の軸方向の長さである。また、グラフは外筒13の高温耐力及びクリープ強度を示す。
この図4に示すように、外筒13のクリープ強度は、触媒担体10の径Dと長さLとの比に応じ変動し、径Dに対して長さLが短いほど高い。そして、外筒13のクリープ強度としては、図中に示すようにL/D=1.5の場合の基準値以上であることが好ましいので、径Dと長さLとがL/D≦1.5を満たすことが好ましいといえる。反対に、1.5<L/Dとなる領域では、外筒13における高温耐力及びクリープ強度が低くなるため、触媒装置1が、このような領域に該当しないようにすることが好ましい。
つまり、本実施形態の触媒装置1を、図1に示したように排気マフラ100内に固定して自動二輪車に取り付ける場合には、触媒担体10の径Dと長さLとが上記の要件を満たし、例えばD=40mmとした場合に、L=60〜120mmであることが好ましい。
例えば、上記実施の形態では、外筒13の全部又は一部が、一般炭素鋼等の、ステンレス材より酸化されやすい材料により構成されるものとして説明したが、外筒13を複数の層からなる構成として、保持マット12側に露出する層のみが上記材料で構成されてもよい。さらに、上記実施の形態では、白金、ロジウム及びパラジウムを触媒担体10に担持するものとして説明したが、イリジウムやセリウム酸化物等のその他の触媒物質を担持しても良い。外筒13の形状は円筒形に限定されず、中空の管であれば、楕円や多角形の断面形状を有する形状としてもよい。また、保持マット12は触媒担体10の外表面11の全てを覆うものに限らず、外表面11の一部が保持マット12に覆われずに露出していてもよい。その他の細部構成についても任意に変更可能であることは勿論である。
5 細孔
10 触媒担体
11 外表面
12 マット
13 外筒
13A、13B 酸化物層
100 排気マフラ
Claims (4)
- 内燃機関の排気ガスを浄化する触媒を内部に担持したセラミックス製の触媒担体と、
前記触媒担体を収容する外筒と、
前記外筒と前記触媒担体との間に介設されるマットと、を備え、
前記外筒の内表面の少なくとも一部に、前記内燃機関の排気ガス中においてステンレス材よりも酸化しやすい所定材料が配されたこと、
を特徴とする触媒装置。 - 前記所定材料は、前記内燃機関の排気ガス中においてステンレス材が酸化する温度よりも低温で酸化が進行する材料であること、を特徴とする請求項1記載の触媒装置。
- 前記所定材料はSP材で構成されたこと、を特徴とする請求項1又は2に記載の触媒装置。
- 前記所定材料には、前記マットを構成する材料と同一の組成又は当該材料と共通する元素を含む組成の添加材料が添加されており、
前記所定材料は前記外筒の内表面において前記マットに接する位置に配されたこと、を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の触媒装置。
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