JP2009242795A - 塗料組成物および塗膜形成方法 - Google Patents

塗料組成物および塗膜形成方法 Download PDF

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充香 井賀
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Abstract

【課題】明度が低く、かつ高い彩度および/または優れた光輝感を有し、従来にない新規な意匠性を備える塗膜を形成し得る塗料組成物、およびそのような塗膜の形成方法を提供すること。
【解決手段】本発明の塗料組成物は、アルミナ、雲母、シリカおよびガラスフレークからなる群から選ばれる少なくとも1種の基材に、ニッケルまたは銀を含み粒径が2nm〜80nmである微粒子が付着している、光輝材を含有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光輝材を含有する塗料組成物および該塗料組成物を用いた塗膜の形成方法に関する。
近年、例えば自動車車体等に用いられるメタリック塗装の意匠性について、車種等に応じた多様性が求められている。例えば、重厚かつ鮮やかな印象を出すために、塗膜の明度が低く、かつ、彩度および/または光輝感の高い塗膜が求められている。しかし、従来のメタリック塗装では、塗膜の明度を下げると、同時に彩度および/または光輝感も低下してしまう。
特公平6−70195 特開平3−239769
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、明度が低く、かつ高い彩度および/または優れた光輝感を有し、従来にない新規な意匠性を備える塗膜を形成し得る塗料組成物、およびそのような塗膜の形成方法を提供することにある。
本発明の塗料組成物は、アルミナ、雲母、シリカおよびガラスフレークからなる群から選ばれる少なくとも1種の基材に、ニッケルまたは銀を含み粒径が2nm〜80nmである微粒子が付着している、光輝材を含有する。
好ましい実施形態においては、上記微粒子の付着率は、上記基材に対して0.5〜10重量%である。
好ましい実施形態においては、上記基材の厚さが0.1〜1μmである。
好ましい実施形態においては、上記基材がその表面に被覆層を有し、該被覆層の屈折率が該基材の屈折率よりも0.5以上高い。
好ましい実施形態においては、上記被覆層が酸化チタンを含む層であり、該酸化チタンを含む層の割合が上記基材と該酸化チタンを含む層との合計量に対して、10〜50重量%である。
好ましい実施形態においては、上記基材の粒径が5〜40μmであり、密度が2〜4g/cmである。
好ましい実施形態においては、上記基材が、アルミナ、シリカおよびガラスフレークからなる群から選ばれる基材であり、上記微粒子が無電解メッキにより付着している。
本発明のさらに別の局面によれば、複層塗膜の形成方法が提供される。この複層塗膜の形成方法は、上記の塗料組成物が塗装された上に、さらにクリヤー塗料を塗装する。
本発明のさらに別の局面によれば、上記の塗料組成物の塗膜を有する物品が提供される。
本発明によれば、アルミナ、雲母、シリカおよびガラスフレークからなる群から選ばれる少なくとも1種の基材に、ニッケルまたは銀を含む微粒子が付着している光輝材を含有させることにより、明度が低く、かつ高い彩度および/または優れた光輝感を有し、従来にない新規な意匠性を備える塗膜を形成し得る塗料組成物、およびそのような塗膜の形成方法を提供することができる。上記基材種としては特に、アルミナ、シリカ、およびガラスフレークを用いたものが好ましい結果を与える。
本発明の好ましい実施形態に用いられる光輝材における微粒子の付着状態を説明するための模式図である。 銀、ニッケル、金および銅についての消衰係数と照射される光線の波長との関係を表すグラフ図である。 比較例1において倍率2万倍で観察した電界放出型走査顕微鏡写真である。 実施例11において倍率2万倍で観察した電界放出型走査顕微鏡写真である。 実施例12において倍率2万倍観察した電界放出型走査顕微鏡写真である。 実施例12において倍率10万倍観察した電界放出型走査顕微鏡写真である。
A.光輝材
本発明の塗料組成物に用いられる光輝材は、基材の表面にニッケルまたは銀を含む微粒子が付着しているか、または基材が被覆層を有する場合は該被覆層の表面に当該微粒子が付着している。本明細書において「付着している」とは、物理的な付着ではなく、例えば無電解メッキなどにより化学的に付着していることを意味する。
〔基材〕
上記基材は、アルミナ、雲母、シリカおよびガラスフレークからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、好ましくはアルミナ、シリカ、またはガラスフレーク、さらに好ましくはアルミナである。上記基材にアルミナ、シリカまたはガラスフレークを用いれば、明度が低く高彩度でかつ光輝感に優れる塗膜を得ることができる。
上記基材の形状は、特に限定されない。具体例としては、鱗片状、球状、板状および破砕粒状が挙げられる。好ましくは鱗片状である。
上記基材の厚さは、好ましくは0.1〜1μmであり、さらに好ましくは0.4〜0.8μmである。
上記基材の粒径は、好ましくは5〜40μmであり、さらに好ましくは5〜30μmである。
上記基材の密度は、好ましくは2〜4g/cmであり、さらに好ましくは3〜4g/cmある。
1つの実施形態においては、上記基材は、その表面に被覆層を有していてもよい。この場合、該被覆層の屈折率は、基材の屈折率よりも0.5以上高いことが好ましい。このような被覆層の具体例としては、二酸化チタン(屈折率2.30)、酸化ジルコニウム(屈折率2.40)、酸化鉄(屈折率2.36)などの無機化合物を含む被覆層が挙げられる。好ましくは、二酸化チタンを含む被覆層である。
上記被覆層の割合は、上記基材と該被覆層との合計量に対して10〜50重量%であり、好ましくは20〜45重量%である。上記被覆層の厚さは、特に限定されないが、100〜500nmが好ましい。
上記基材は市販品を用いてもよい。アルミナを有する基材の市販品の具体例としては、メルク株式会社製 商品名「Xirallic T60−22WNT」、「Xirallic T60−10WNT」が挙げられる。雲母を有する基材の市販品の具体例としてはメルク株式会社製 商品名「Iriodin 103WNT」が挙げられる。シリカを有する基材の市販品の具体例としては、メルク株式会社製 商品名「Colorstream T20−01WNT」が挙げられる。ガラスフレークを有する基材の市販品の具体例としては、日本硝子株式会社製 商品名「Metashine MC102RSA1」が挙げられる。これら市販品の基材は、多くの場合、二酸化チタンを含む被覆層により被覆されている。
〔微粒子〕
本発明で用いられる微粒子は、ニッケルまたは銀を含む。該微粒子は、ニッケルまたは銀を含む合金であってもよい。好ましくは、該微粒子はニッケルあるいはニッケル/リン合金を含む。微粒子に含有させる金属は、所望の塗色に応じて選択することができる。例えば、塗膜明度を低下させ、かつ彩度が高く鮮やかで光輝感の高い塗色を所望する場合は銀が好適に用いられ、特に明度を低くして漆黒度をより強調し、かつ光輝感や彩度を維持できる塗色を所望する場合はニッケルが好適に用いられる。
1つの実施形態においては、微粒子に含まれる金属の消衰係数は波長480nmにおいて好ましくは2.6〜3.2である。別の実施形態においては、微粒子に含まれる金属の消衰係数は波長560nmにおいて好ましくは3.0〜3.6である。さらに、当該消衰係数は、波長380nm〜780nmにおいて波長が大きくなるにつれて単調増加している。このような消衰係数を有する金属を含む微粒子を用いれば、明度の低い塗膜を形成し得る塗料組成物を得ることができる。微粒子にニッケルまたは銀を用いれば、上記範囲の消衰係数を有する効果と、ニッケルまたは銀の反射光から得られる色調とが相まって、意匠性に優れた塗膜を得ることができる。また、ニッケルまたは銀を含む微粒子による光の散乱・吸収の効果により、当該微粒子を特定の形態で基材に付着させた光輝材を含有する本発明の塗料組成物は、独特の意匠性を有する塗膜を形成し得る。さらに、基材が上記被覆層を有する光輝材を用いれば、当該被覆層による光の干渉と、当該微粒子による光の散乱・吸収との相乗効果により、より意匠性に優れる塗膜を形成し得る塗料組成物を得ることができる。特に、被覆層として二酸化チタンを含む被覆層を用いれば、当該相乗効果は非常に大きいと考えられ、その結果得られる塗料組成物は、低明度でありながら、高い彩度および/または優れた光輝感を有する塗膜を形成し得る。なお、消衰係数とは、ナノオーダーの金属に吸収される光の減衰度合を示す値である。すなわち、金属に光が照射されると反射光を発生し、これを目視した場合は、金属光沢となる。しかし、金属の大きさがナノオーダーの大きさになると、照射された光は反射されるだけではなく、当該ナノオーダーの金属に吸収される、という性質を持つようになる。この光を吸収する性質は、クラマース−クロニッヒの関係として下記式1で表される関係があることが知られている(E.D.Palik著、Handbook of optical constants of solids)。
N=n−ik ・・・(1)
(N:該当金属の複素屈折率、n:該当金属の屈折率、i:虚数、k:消衰係数)
例えば、銀、ニッケル、金、銅について、消衰係数と照射される光線の波長とは図2に示す関係を有する。可視光線の中心領域である480〜560nmにおける消衰係数をみると、銀およびニッケルは消衰係数が大きい。また、銀およびニッケルの消衰係数と波長との相関線は他の金属と異なり、直線に近い上に凸の曲線で単調増加している。このように消衰係数の大きな金属が付着した光輝材を含む塗料組成物により塗膜を形成した場合、塗膜を進む光の減衰効果が大きくなり、当該塗膜の明度を下げることができると考えられる。
上記微粒子の粒径は、好ましくは2〜80nmであり、より好ましくは5〜80nmであり、さらに好ましくは10〜70nm、特に好ましくは10〜60nmである。1つの実施形態においては、後述の微粒子の付着率が0.5〜5重量%の場合、微粒子の粒径の上限値としては、好ましくは40nm以下であり、より好ましくは35nm以下であり、さらに好ましくは30nm以下であり、下限値としては、好ましくは2nm以上であり、より好ましくは5nm以上であり、さらに好ましくは10nm以上である。別の実施形態においては、後述の微粒子の付着率が5〜10重量%の場合、微粒子の粒径の上限値としては、好ましくは60nm以下であり、より好ましくは50nm以下であり、下限値としては、好ましくは5nm以上であり、より好ましくは10nm以上であり、さらに好ましくは15nm以上であり、特に好ましくは20nm以上である。微粒子の粒径がこのような範囲であれば、低明度な塗膜を形成し得る塗料組成物を得ることができる。また、微粒子の粒径がこのような範囲であれば、当該微粒子は光を反射する性質と吸収する性質を兼ね備えることができ、また表面積が大きくなることにより反射および吸収が効率的に発現し、さらに微粒子からの散乱光の効果も大きくなるため、低明度でありながら、高い彩度および/または優れた光輝感を有する塗膜を形成し得る塗料組成物を得ることができる。さらに、このような微粒子の粒径の効果と、微粒子が上記消衰係数の大きい銀またはニッケルを含むことの効果とが複合されて、より優れた意匠性を発揮する塗膜を得ることができると考えられる。微粒子の粒径は、電界放出型走査顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800型)の観察により測定することができる。
上記微粒子は、できる限り真球状に近いことが好ましい。図1は、真球状の微粒子1が基材2に付着した光輝材10を示す模式図である。図1に示す形態であれば、微粒子1の基材2に接する面積が小さく、微粒子1と基材2との間に空隙3を設けることができる。また、微粒子が重なった場合であっても微粒子間に空隙4を設けることもできる。その結果、多くの光を基材2に到達させることができるので、基材2による干渉効果を最大限に活用することができる。したがって、上記形状の微粒子が付着した光輝材を含む塗料組成物は、当該干渉効果と微粒子による光の散乱・吸収による効果が複合されて従来にない独特の意匠性を発揮する塗膜を形成し得る。また、基材が被覆層を有する場合(図示せず)も同様の効果を得ることができる。上記のような効果が得られる限り、微粒子が真球状以外の任意の適切な形状(例えば、楕円球状、涙滴状)を有し得ることは言うまでもない。
上記球形の微粒子の真球度は、アスペクト比により表すことができる。上記微粒子のアスペクト比は、好ましくは1.00〜2.00であり、より好ましくは1.00〜1.50であり、さらに好ましくは1.00〜1.20である。なお、アスペクト比とは、球形微粒子の長軸の長さと短軸の長さとの比(長軸の長さ/短軸の長さ)であり、電界放出型走査顕微鏡観察像から求めることができる。
上記微粒子の付着率は基材に対して0.5〜10重量%であり、好ましくは1〜10重量%である。微粒子の付着率が0.5重量%未満である場合、明度の低下が不十分となるおそれがある。微粒子の付着率が10重量%を超えると明度と共に彩度および/または光輝感が低下するおそれがある。なお、上記微粒子の付着率は、所望の塗色に応じて選択され得る。例えば、微粒子よりも基材に由来する意匠を強調しながら、塗膜明度を低下させ、かつ微粒子の金属光沢を加えた塗色を所望する場合の微粒子の付着量は、基材に対して好ましくは0.5〜5重量%である。また、塗膜明度を低下させ、かつ基材由来の意匠に微粒子由来の発色を十分に加味させた塗色を所望する場合の微粒子の付着量は、基材に対して好ましくは5〜10重量%である。
上記微粒子は、基材に直接付着してもよく、基材表面に形成された被覆層に付着してもよい。微粒子は、基材および/または被覆層の全表面を覆って付着してもよく、点在して付着してもよい。点在して付着すれば、微粒子による光の散乱効果が大きく、独特の意匠性を発揮する塗膜が得られる。さらに、基材が上記被覆層を有する場合、得られる塗料組成物は、当該被覆層による光の干渉効果と、微粒子による光の散乱・吸収による効果が複合されて従来にない独特の意匠性を発揮する塗膜を形成し得る。
上記微粒子の付着面積率は、上記微粒子の付着量が0.5〜5重量%の場合、上限値としては、好ましくは50%未満、より好ましくは40%未満、さらに好ましくは30%未満、特に好ましくは25%未満であり、下限値としては、好ましくは1%以上、より好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは2%以上である。上記微粒子の付着面積率は、上記微粒子の付着量が5〜10重量%の場合、上限値としては、好ましくは200%以下、より好ましくは190%以下、さらに好ましくは180%以下、特に好ましくは150%以下であり、下限値としては、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。上記微粒子の付着面積率がこのような範囲であれば、明度が低く高彩度でかつ光輝感により優れる塗膜を得ることができる。また、上記のとおり微粒子の形状が真球状に近ければ、微粒子の付着面積率が100%以上である場合においても、基材(基材が被覆層を有する場合は、基材および被覆層)による干渉効果が得られるので、従来にない独特の意匠性を発揮する塗膜を得ることができる。なお、ここで微粒子の付着面積率とは、光輝材の所定範囲(例えば、面積1270nm×953nm)を法線方向から観察した際の「微粒子の数×微粒子1個の断面積(付着面に対する法線方向から見て最大となる断面積)」を微粒子の付着面積とし、上記光輝材の所定範囲の面積に対する当該微粒子の付着面積の比率を意味する。また、上記微粒子の数および微粒子1個の断面積は、例えば、電界放出型走査顕微鏡観察を用いて得られた光輝材表面の画像を二値化処理して計測することができる。
上記微粒子を付着させる方法としては、例えば、金属粒子の析出速度および粒径を精密に制御して行う無電解メッキ法により、基材(および/または被覆層)表面に粒状の金属粒子を析出させる方法が好ましい。無電解メッキ法は、プラスチックやセラミックスのような不導体にもメッキが可能な方法である。無電解メッキ法は、金属粒子の析出速度および粒径を精密に制御し得るので、好ましい。好ましい無電解メッキ法としては、例えば、前処理として基材に任意の適切な触媒(例えば、パラジウム)を担持させる方法による前処理、引き続いて任意の適切な添加剤(例えば、界面活性剤、錯化剤、還元剤)を用いて金属粒子が凝集せずに均一に分散しているメッキ浴によってメッキを行う方法などが挙げられる。触媒を担持させる方法とメッキ浴によってメッキを行なう方法を効率よく組合わせることで所望の粒径を持った微粒子を基材表面に形成させることが可能である。
上記無電解メッキ法では、メッキ浴に含まれた還元剤が、基材表面に担持された触媒で酸化される。このときに放出される電子によってメッキ浴中の金属イオンまたは金属酸化物イオンが還元され、触媒付近から金属の析出が始まり基材に付着する。その結果、上記粒径を持った微粒子を基材表面に形成させることが可能となる。
上記還元剤としては、次亜リン酸、ホルムアルデヒド、水素化ボロン、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、ヒドラジンなどを用いることが考えられる。
上記錯化剤としては、コハク酸などのジカルボン酸、クエン酸、酒石酸などのオキシカルボン酸、グリシン、EDTA、アミノ酢酸などの有機酸、またはこれらのナトリウム塩などが用いられる。これらの錯化剤を用いることで、安定して上記金属微粒子を形成することができる。なお、上記の前処理は、無電解メッキの状態により省略することが可能である。これらの無電解メッキの条件は、上記微粒子が本願所望の粒径になるように選択すればよい。
B.塗料組成物
本発明の塗料組成物は、上記光輝材を含み、さらにビヒクル、溶剤、および/またはその他の成分を含み得る。
本発明の塗料組成物中の上記光輝材の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な含有割合を採用し得る。例えば、当該含有割合は、全固形分量に対して、上限値としては、好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下であり、特に好ましくは10重量%以下であり、最も好ましくは5重量%である。下限値としては、好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上である。上記光輝材の含有割合が50重量%より大きいと、塗料の流動性や作業性が低下したり、塗膜の密着性が劣ったりするおそれがある。上記光輝材の含有割合が1重量%より小さいと、所望の意匠が得られないおそれがある。
本発明に用いられるビヒクルとしては、目的に応じて任意の適切な樹脂が採用される。ビヒクルとしては、例えば、アクリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂およびフッ素系樹脂などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物をスプレー塗装する場合、塗料組成物中に溶剤を含有させることが好ましい。本発明に用いられる溶剤は、ビヒクルを溶解または分散するものである限り特に限定されない。具体例としては、水性溶剤および有機溶剤が挙げられる。水性溶剤の具体例としては、水が挙げられる。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等ケトン類、メタノール、エタノール、イロプロパノール、n−ブタノールなどアルコール類、n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテルなどエーテル類などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく組み合わせて用いてよい。
本発明の塗料組成物は、必要に応じて、任意の適切な硬化剤、有機顔料、レベリング剤、流動化助剤、脱気剤等の添加剤や助剤をさらに含んでもよい。このような任意成分の種類および使用量は、目的に応じて適切に選択され得る。なお、硬化剤としては、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物およびポリカルボン酸などが挙げられる。
C.塗膜形成方法
本発明の塗料組成物は、通常、被塗装物に対し、任意の適切な方法で塗布して塗膜を形成するのに用いられる。当該塗布方法としては、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、静電塗装などが挙げられる。得られる塗膜の膜厚は、用途等に応じて任意の適切な膜厚に設定し得る。一般的には乾燥膜厚で5〜40μmであることが好ましい。
本発明の塗料組成物を塗装する場合、基体の表面に下塗り塗料を塗装して下塗り層を形成した後、塗膜の形成を行うものであってもよい。上記下塗り塗料としては、任意の適切な塗料を採用することができる。上記下塗り層の膜厚は、用途に応じて任意の適切な膜厚に設定し得る。一般的には乾燥膜厚で10〜70μmであることが好ましい。
本発明の塗料組成物によって形成した塗膜上にクリヤー塗料を塗装し、複層塗膜を形成してもよい。上記クリヤー塗料としては、任意の適切なものを採用し得る。上記クリヤー塗料の塗装膜厚は、任意の適切な膜厚とすることができる。例えば、20〜50μmとすることができる。クリヤー塗料としては、特に限定されないが、例えば、酸・エポキシ硬化型クリヤー塗料、メラミン硬化型クリヤー塗料が挙げられる。1つの実施形態においては、本発明の塗料組成物を塗布した後の焼き付けを省略して上記クリヤー層を重ね塗りし、得られた複層塗膜を焼き付け硬化させてもよい。加熱温度としては、特に限定されないが、一般的には80〜180℃が好ましい。
D.用途
本発明の塗料組成物は、自動車車体、自動車部品、携帯電話、家電製品、ノートパソコン、建材ボード、装飾品などの塗料用途に好適に使用することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は質量基準である。
[製造例1]
<光輝材(1)の作製>
アルミナ基材に二酸化チタンが被覆されている商品A(Xirallic T60−22WNT(メルク社製))を準備し、二酸化チタン層表面に無電解メッキ法により銀粒子を析出させた。具体的には、Xirallic T60−22WNTを水中に分散させ、得られた分散液中に還元剤、錯化剤を含む銀メッキ液を導入した。その後、濾過、乾燥さらに焼成し、光輝材(1)を得た。付着した銀粒子量は基材重量に対しての割合(付着率)で示され付着率が1.0重量%および銀粒子の粒径が18nmとなるように調製した。用いた基材の特数値を表1に示す。
[製造例2〜10]
<光輝材(2)〜(10)の作製>
Xirallic T60−22WNTに替えて表1に示す商品B〜Eを用い、銀粒子の付着率および粒径を表2または表3に示すように調製した以外は製造例1と同様にして、光輝材(2)〜(10)を得た。
[製造例11]
<光輝材(11)の作製>
銀メッキ液に替えてニッケル−リンメッキ液を用いた以外は、製造例1と同様にして、光輝材(11)を得た。
[製造例12〜20]
<光輝材(12)〜(21)の作製>
Xirallic T60−22WNTに替えて表1に示す商品B〜Eを用い、ニッケル−リン粒子の付着率および粒径を表2または表3に示すように調製した以外は製造例11と同様にして、光輝材(12)〜(21)を得た。
<下地塗膜の調製>
ブリキ板(長さ300mm、幅200mmおよび厚さ0.3mm)に塗料「オルガP−30−P 8005」(日本ペイント社製、ライトグレー 15度L値:87.0)を乾燥膜厚が40μmとなるようにエアースプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けて下地塗膜を形成し、下地塗膜とした。
[実施例1]
<塗料組成物の調製>
アクリル樹脂(数平均分子量約21000、水酸基価45、酸価15、固形分50重量%)と、メラミン樹脂(商品名、「ユーバン20N−60」、三井化学社製、固形分60重量%)とを80:20の固形分重量比で配合して得たビヒクル95部に対し、光輝材(1)を5部配合した。
次いで、有機溶剤(トルエン/キシレン/酢酸エチル/酢酸ブチルの重量比=70/15/10/5)とともに攪拌機により塗装適正粘度になるように攪拌混合し、塗料組成物を調製した。
<複層塗膜の形成>
上記下地塗膜の被塗面に、得られた塗料組成物を乾燥膜厚が15μmになるようにスプレー塗装した。塗装中のブースの雰囲気は温度25℃、湿度75%に保持した。塗装後7分間セッティングし、アクリル/メラミン樹脂系クリヤー塗料(商品名:「スーパーラックO−150クリヤー」、日本ペイント社製)を乾燥膜厚が35μmになるように塗装後、室温で10分間セッティングし、140℃の温度で30分間焼き付け、複層塗膜を得た。
[実施例2〜20]
光輝材(1)に替えて光輝材(2)〜(20)を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗料組成物を調製し、複層塗膜を得た。
[比較例1]
実施例1で用いた光輝材(1)に替えて、商品Aを用いた以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、複層塗膜を得た。
[比較例2〜5]
基材Aに替えて、表2または表3に示す商品B〜Eを用いた以外は、比較例1と同様にして、塗料組成物を調製し、複層塗膜を得た。
[比較例6]
光輝材(13)に替えて光輝材(21)を用いた以外は、実施例13と同様にして、塗料組成物を調製し、複層塗膜を得た。
<評価>
上記で得られた複層塗膜を下記の方法で評価した。結果を表2または表3に示す。
(明度)
MA68II(商品名、エックスライト社製)を用いて測定した。L*を塗膜の明度とし、受光角110度における金属粒子の有無により生じる明度の差(例えば、(実施例1、2、11または12の明度)−(比較例1の明度))をΔL*として評価した。
a:ΔL*<−10
b:−10≦ΔL*<−5
c:−5≦ΔL*
(彩度)
MA68II(商品名、エックスライト社製)を用いて測定した。C*を塗膜の彩度とし、受光角15度における金属粒子の有無により生じる彩度の差(例えば、(実施例1、2、11または12の彩度)−(比較例1の彩度))をΔC*として評価した。
a:5<ΔC*
b:−5<ΔC*≦5
c:ΔC*≦−5
(光輝感)
BYK−mac(商品名、BYK−Gardner社製)を用いて測定した。SGを塗膜の光輝感として評価し、受光角15度における金属粒子の有無により生じるSGの差(例えば、(実施例1、2、11または12のSG−(比較例1のSG)))をΔSGとして評価した。
a:0.5<ΔSG
b:−0.4<ΔSG≦0.5
c:ΔSG≦−0.4
(微粒子付着量)
原子吸光分光光度法により測定し、光輝材に対する付着率(重量%)として評価した。
(微粒子の付着面積率)
電界放出型走査顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800型)を用いて光輝材表面を法線方向から観察し、観察した範囲の面積(1270nm×953nm)に対する微粒子の付着面積(微粒子の数×微粒子1個の断面積(付着面に対する法線方向から見て最大となる断面積))の比率を算出した。電界放出型走査顕微鏡による観察は、不作為に抽出した10箇所について行い、それぞれの箇所で算出された値を平均して、微粒子の付着面積率とした。
(微粒子の粒径)
電界放出型走査顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800型)の観察により測定した。電界放出型走査顕微鏡による観察は、不作為に抽出した10個の微粒子について行い、それらを平均して微粒子の粒径とした。
(微粒子のアスペクト比)
電界放出型走査顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800型)の観察により測定した。電界放出型走査顕微鏡による観察は、不作為に抽出した10個の微粒子について行い、それぞれ長軸の長さおよび短軸の長さを測定し、(長軸の長さの平均値/短軸の長さの平均値)より微粒子のアスペクト比を算出した。
<表面観察>
実施例11、12および比較例1で得られた光輝材の表面を電界放出型走査顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S−4800型)を用いて観察した。結果を図3〜6に示す。
表2および表3から明らかなように、銀またはニッケルを含む微粒子が付着した光輝材を用いることにより、低明度な塗膜が得られた。このように低明度な塗膜は、上記微粒子が特定の形状を有する場合に得ることができる(例えば、粒径が大きすぎる微粒子の場合は十分に明度を下げることができない(比較例6))。実施例1、3〜11、13〜20で得られた塗膜は低明度であっても、彩度が実質的に低下していないか、または高彩度化している塗膜が得られた。また、実施例1〜4、7〜14、17〜20で得られた塗膜は、低明度であっても、光輝感が実質的に低下していないか、または光輝感が向上している塗膜が得られた。これらのような特性を有する実施例1〜20で得られた塗膜は、従来にない新規な意匠性を備えていた。
本発明の塗料組成物は、自動車車体の塗装等に好適に利用され得る。
10 光輝材
1 微粒子
2 基材
3、4 空隙

Claims (9)

  1. アルミナ、雲母、シリカおよびガラスフレークからなる群から選ばれる少なくとも1種の基材に、ニッケルまたは銀を含み粒径が2nm〜80nmである微粒子が付着している、光輝材
    を含有する、塗料組成物。
  2. 前記微粒子の付着率が、前記基材に対して0.5〜10重量%である、請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 前記基材の厚さが0.1〜1μmである、請求項1または2に記載の塗料組成物。
  4. 前記基材がその表面に被覆層を有し、該被覆層の屈折率が該基材の屈折率よりも0.5以上高い、請求項1から3のいずれかに記載の塗料組成物。
  5. 前記被覆層が酸化チタンを含む層であり、該酸化チタンを含む層の割合が前記基材と該酸化チタンを含む層との合計量に対して、10〜50重量%である、請求項4に記載の塗料組成物。
  6. 前記基材の粒径が5〜40μmであり、密度が2〜4g/cmである、請求項1から5のいずれかに記載の塗料組成物。
  7. 前記基材が、アルミナ、シリカおよびガラスフレークからなる群から選ばれる基材であり、前記微粒子が無電解メッキにより付着している、請求項1から6のいずれかに記載の塗料組成物。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の塗料組成物が塗装された上に、さらにクリヤー塗料を塗装する、複層塗膜の形成方法。
  9. 請求項1から7のいずれかに記載の塗料組成物の塗膜を有する、物品。
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