JP2009241725A - 車両用操舵反力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】緊急に障害物を回避する際のハンドル操作性を十分に高めることができる車両用操舵反力制御装置を提供する。
【解決手段】車両用操舵反力制御装置に、運転者の身体から操舵力が伝えられるハンドルと、前記操舵力に抗する操舵反力をハンドルに付与する操舵反力付与手段8と、緊急に障害物を回避するための緊急ハンドル操作が必要であるか否かを判定する緊急ハンドル操作要否判定手段46と、緊急ハンドル操作要否判定手段46により緊急ハンドル操作が必要であると判定されたとき、ハンドル操作が容易となるように運転者の運転姿勢を強制的に変更する運転姿勢変更手段48と、運転姿勢変更手段48により運転姿勢が変更されるとき、操舵反力を低減する操舵反力低減手段40,42と、を設ける。
【選択図】図4
【解決手段】車両用操舵反力制御装置に、運転者の身体から操舵力が伝えられるハンドルと、前記操舵力に抗する操舵反力をハンドルに付与する操舵反力付与手段8と、緊急に障害物を回避するための緊急ハンドル操作が必要であるか否かを判定する緊急ハンドル操作要否判定手段46と、緊急ハンドル操作要否判定手段46により緊急ハンドル操作が必要であると判定されたとき、ハンドル操作が容易となるように運転者の運転姿勢を強制的に変更する運転姿勢変更手段48と、運転姿勢変更手段48により運転姿勢が変更されるとき、操舵反力を低減する操舵反力低減手段40,42と、を設ける。
【選択図】図4
Description
本発明は、運転者の操舵力に抗する操舵反力を制御する車両用操舵反力制御装置に関する。
近年、自動車のハンドルには、運転者の操舵力に抗する操舵反力が与えられるようにしてあり、これにより、ハンドルが過剰に回転してしまうことが防止される。ハンドルに与えられる操舵反力に関して、その操舵反力を運転状況に応じて制御する技術が提案されており、例えば、特許文献1の技術では、車速と路面状況に応じてハンドルの操舵反力が制御されるようにしてある。
ところで、運転席のシートの前後位置、ハンドルの位置、及びシートベルトの引き込み量等といった運転者の着座姿勢に関わる各要素は、運転時の疲労、視認性及び操作性等を考慮して調整することができる。通常の運転に適した着座姿勢となるようにシートの前後位置等が調整された場合、一般に、運転者は、図1(a)に示すように腕を曲げた姿勢でハンドルを握ることとなる。しかし、このように腕を曲げた姿勢で運転しているときに、緊急に障害物を避けるようにハンドル操作する場合、運転者の関節の動きがハンドルに効率よく伝わり難いため、高い操作性を確保できない問題がある。なお、特許文献2には、車両の制動力を状況に応じて制御することで、緊急に障害物を回避する際の操作性を向上する技術が開示されているが、特許文献2の技術を利用しても、緊急ハンドル操作を行う際の運転者の姿勢は通常時と同じであるため、緊急時のハンドル操作性を十分に高めることはできない。
このような問題に鑑みて、前方の障害物を検出するカメラ等により緊急ハンドル操作が必要なことが検出されたとき、運転者が緊急ハンドル操作を行いやすいように図1(b)に示すように腕を伸ばした運転姿勢となるように、瞬時に、例えば、運転席のシートを後方にスライド移動させたり、シートベルトの引き込み量を増大させたり、ハンドルを低い位置に移動させたりすることが考えられる。
しかしながら、図1(b)に示すように運転者が腕を伸ばした姿勢で運転する場合、通常の運転姿勢よりも運転者の操舵力がハンドルに伝わり難くなる。そのため、運転者にはハンドルが重たく感じられ、緊急時のハンドル操作性が十分に向上しない問題がある。
そこで、本発明は、緊急に障害物を回避する際のハンドル操作性を十分に高めることができる車両用操舵反力制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願の第1の発明に係る車両用操舵反力制御装置は、
運転者の身体から操舵力が伝えられるハンドルと、
前記操舵力に抗する操舵反力を前記ハンドルに付与する操舵反力付与手段と、
緊急に障害物を回避するための緊急ハンドル操作が必要であるか否かを判定する緊急ハンドル操作要否判定手段と、
前記緊急ハンドル操作要否判定手段により緊急ハンドル操作が必要であると判定されたとき、ハンドル操作が容易となるように運転者の運転姿勢を強制的に変更する運転姿勢変更手段と、
前記運転姿勢変更手段により前記運転姿勢が変更されるとき、前記操舵反力を低減する操舵反力低減手段と、を備えたことを特徴とする。
運転者の身体から操舵力が伝えられるハンドルと、
前記操舵力に抗する操舵反力を前記ハンドルに付与する操舵反力付与手段と、
緊急に障害物を回避するための緊急ハンドル操作が必要であるか否かを判定する緊急ハンドル操作要否判定手段と、
前記緊急ハンドル操作要否判定手段により緊急ハンドル操作が必要であると判定されたとき、ハンドル操作が容易となるように運転者の運転姿勢を強制的に変更する運転姿勢変更手段と、
前記運転姿勢変更手段により前記運転姿勢が変更されるとき、前記操舵反力を低減する操舵反力低減手段と、を備えたことを特徴とする。
本願の第2の発明に係る車両用操舵反力制御装置は、第1の発明において、
前記緊急ハンドル操作要否判定手段は、車両の前方監視による障害物の検出または単位時間当たりの操舵角の変化量の検出に基づき、緊急ハンドル操作の要否を判断することを特徴とする。
前記緊急ハンドル操作要否判定手段は、車両の前方監視による障害物の検出または単位時間当たりの操舵角の変化量の検出に基づき、緊急ハンドル操作の要否を判断することを特徴とする。
本願の第3の発明に係る車両用操舵反力制御装置は、第1または第2の発明において、
前記運転姿勢変更手段は、運転者の体格に応じて、前記ハンドルを握る運転者の腕が概ね伸びた状態となるように前記運転姿勢を変更することを特徴とする。
前記運転姿勢変更手段は、運転者の体格に応じて、前記ハンドルを握る運転者の腕が概ね伸びた状態となるように前記運転姿勢を変更することを特徴とする。
本願の第4の発明に係る車両用操舵反力制御装置は、第1〜第3の発明において、
前記運転姿勢変更手段は、運転席に関してシートの前後位置、シートベルトの引き込み量またはハンドルの位置の少なくともいずれか1つを変更することにより、前記運転姿勢を変更することを特徴とする。
前記運転姿勢変更手段は、運転席に関してシートの前後位置、シートベルトの引き込み量またはハンドルの位置の少なくともいずれか1つを変更することにより、前記運転姿勢を変更することを特徴とする。
本願の第5の発明に係る車両用操舵反力制御装置は、第1〜第4の発明において、
前記操舵力を検知する操舵力検知手段を備え、
前記操舵反力低減手段は、前記操舵力検知手段により検知された操舵力に応じて決められる操舵反力を低減することを特徴とする。
前記操舵力を検知する操舵力検知手段を備え、
前記操舵反力低減手段は、前記操舵力検知手段により検知された操舵力に応じて決められる操舵反力を低減することを特徴とする。
本願の第6の発明に係る車両用操舵反力制御装置は、第5の発明において、
前記操舵力検知手段は、通常の運転時の運転者の機械インピーダンスを検出することにより前記操舵力を検知することを特徴とする。
前記操舵力検知手段は、通常の運転時の運転者の機械インピーダンスを検出することにより前記操舵力を検知することを特徴とする。
本願の第1の発明によれば、運転者が緊急ハンドル操作を行う際、運転姿勢変更手段によりハンドル操作が容易となるように運転者の運転姿勢が強制的に変更されるとともに、操舵反力低減手段により操舵反力が低減されることで、運転姿勢の変更に伴う操舵力の低下に対応することができるため、緊急ハンドル操作の操作性が大きく向上し、車両の安全性を高めることができる。
本願の第2の発明によれば、車両の前方監視による障害物検出または単位時間当たりの操舵角の変化量に基づき、緊急ハンドル操作の要否を簡易に精度良く判定することができる。
本願の第3の発明によれば、運転姿勢変更手段により運転姿勢が変更されたとき、運転者が腕を概ね伸ばした状態でハンドルを握ることとなるため、運転者はハンドルを素早く且つ大きく回転させることができ、緊急時のハンドル操作性を十分に高めることができる。
本願の第4の発明によれば、運転姿勢変更手段により運転姿勢を変更する際、運転席に関してシートの前後位置、シートベルトの引き込み量またはハンドルの位置の少なくともいずれか1つを変更することにより、簡易な構造により迅速且つ確実に運転姿勢を変更することができる。
本願の第5の発明によれば、運転者による操舵力に応じて操舵反力が決定され、緊急ハンドル操作時には、そのようにして決定された操舵反力について操舵反力の低減制御が行われるため、緊急ハンドル操作時においても、運転者に適した操舵反力をハンドルに付与することができ、緊急時のハンドル操作性を一層向上させることができる。
本願の第6の発明によれば、通常の運転時の運転者の機械インピーダンスを検出することにより、運転者による操舵力を簡易且つ精度よく検知することができる。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
先ず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る車両用操舵反力制御装置において用いられる「人間−機械モデル(生体運動インピーダンス)」について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る車両用操舵反力制御装置が適用されたステアリング装置及びそのステアリング装置を操舵する運転者を示す模式図であり、図2は、本発明の実施形態に係る人間−機械系のインピーダンスを1自由度の並列モデルで示す人間−機械系モデルである。
自動車においては、運転者は、自動車に備わった機械システム、例えば、図1に示すようにハンドルを操作したり、その他各種ペダル、ギアシフトレバーなどを操作したりする。その際、運転者は、そのような機械システムの操縦系と接触してその機械特性、例えば、ハンドルやペダルの操作反力などを知覚し、状況に応じて身体各部位の姿勢や筋を調節して自らの運転特性を巧みに変化させている。具体的に、ハンドル操作に関して、運転者は車両速度や道路のカーブの曲率などに応じて腕全体をかたくしたり、やわらかくしたりする。本明細書では、このような人間(運転者)の運動特性を、慣性Mh、剛性Kh、粘性Bh、といった機械インピーダンスを用いて表現する。
一方、機械としての例えばステアリング装置に関しては、ステアリングの慣性Ms、剛
性Ks、粘性Bsにより、ステアリング回転軸周りの動特性を表現する。ハンドル(ステアリングホイール)を握る運転者の操作力(操舵力)は、ハンドル側からみるとハンドルの回転に対する抵抗とみなすことができる。本明細書ではこの抵抗のことを、運転者の「人間インピーダンス」とよぶ。人間インピーダンスは運転者の操作力を規定する値である。操作力は運転者によって異なるから、運転者によって人間インピーダンスは異なるといえる。従って、この人間インピーダンスを求めることで、運転者に応じた操舵反力を設定することが可能である。
性Ks、粘性Bsにより、ステアリング回転軸周りの動特性を表現する。ハンドル(ステアリングホイール)を握る運転者の操作力(操舵力)は、ハンドル側からみるとハンドルの回転に対する抵抗とみなすことができる。本明細書ではこの抵抗のことを、運転者の「人間インピーダンス」とよぶ。人間インピーダンスは運転者の操作力を規定する値である。操作力は運転者によって異なるから、運転者によって人間インピーダンスは異なるといえる。従って、この人間インピーダンスを求めることで、運転者に応じた操舵反力を設定することが可能である。
ここで、ステアリング装置の回転軸周りの動特性は、以下の(1)式で表される。
上記(1)式において、Msはステアリングの慣性、Bs(θ)、Ks(θ)は、操舵角度θを変数とする可変粘弾性、θvは操舵力τに対するステアリングの理想角度、θcは剛性に関する平衡点である。
一方、本明細書では、人間−機械系(ステアリング系)を、図2のようにモデリングして表現する。上述したように、図2において、Mhは人間側の慣性、Khは人間側の剛性、Bhは人間側の粘性であり、Msは機械側の慣性、Ksは機械側の剛性、Bsは機械側の粘性である。ここで、人間と機械系の各インピーダンス特性は、操舵角度及び操作力(操舵力)によって変化する。
人間側インピーダンス及び機械側インピーダンスの結合モデルを図2に示すように機械インピーダンスを用いて1自由度の並列モデルで表現すると、人間−ステアリング系全体の減衰係数ζは、以下の(2)式で表される。
上記(2)式において、ζ(ゼータ)は、人間−機械系全体の減衰係数である。本発明においては、これら系全体の減衰係数ζにより、運転者のインピーダンス特性(Mh、Kh、Bh)に応じて、ステアリング操舵インピーダンス特性(Ms、Ks、Bs)、ひいてはステアリング操舵特性を調節するようにしている。本実施形態では、人間系のインピーダンス及び機械系のインピーダンスが結合した図2に示すモデル及び(2)式を用いて、後述するようにステアリング特性、例えば操舵反力を制御する。
次に、図3及び図4を参照して、本実施形態に係る車両用操舵反力制御装置を説明する。図3は、本実施形態に係る車両用操作反力制御装置を搭載した自動車1の概略構成を示す平面図である。図3に示すように、自動車1は、運転者により操作されるハンドル(ステアリングホイール)2と、操舵角センサ4と、運転者による操舵力を検知する操舵力検知手段としての操舵トルクセンサ6と、ハンドル2に操舵反力を与える操舵反力付与手段としての操舵反力発生モータ(電動パワーステアリングモータ)8とを備える。なお、本発明において、操舵反力付与手段は、電動パワーステアリングモータに限られず、例えば、油圧によるパワーステアリングで構成してもよい。
また、自動車1は、ハンドル2に連結された図示しないステアリングコラムの角度を調整するためのステアリングコラム角度調整用アクチュエータ18と、ステアリングコラムの角度を検知するためのステアリングステアリングコラム角度センサ16と、運転席のシート20を前後方向に移動させるためのシートスライド用アクチュエータ24と、シート20の前後方向のスライド量を検出するためのシートスライド量検出センサ22と、シートベルトを巻き取るためのシートベルト巻き取り用アクチュエータ28と、シートベルトの巻き取り量を検知するためのシートベルト巻き取りセンサ26とを備えている。さらに、自動車1は、自動車1の走行速度を検知するための車速センサ12と、衝突を予測するために前方の障害物を検出する障害物検出カメラ14とを備えている。
図3に示す各種機器は、図4に示すコントロールユニット(C/U)10により制御される。図4に示すように、コントロールユニット10には、操舵角センサ4、操舵トルクセンサ6、車速センサ12、ステアリングコラム角度センサ16、シートベルト巻き取りセンサ26、シートスライド量検出センサ22、及び障害物検出カメラ14からの信号が入力されるようになっている。
コントロールユニット10は、操舵角センサ4、操舵トルクセンサ6及び車速センサ12の信号を受けて、ステアリング系が所定の機械インピーダンスとなるように、操舵反力発生モータ8を制御する。コントロールユニット10は、ステアリングモータ30に接続されている。ステアリングモータ30は、コントロールユニット10の制御に基づき、図示しないステアリングロッドを駆動し、これにより、車輪が操舵される。
また、コントロールユニット10は、障害物検出カメラ14と車速センサ12の信号を受けて、必要に応じて後述の運転姿勢変更制御を行う。コントロールユニット10は、運転姿勢変更制御を行う際、必要に応じてシートスライド用アクチュエータ24、シートベルト巻き取り用アクチュエータ28及びステアリングコラム角度調整用アクチュエータ18を作動させる。
コントロールユニット10は、車輪角度制御部32、人間系インピーダンス算出部34、ステアリング系インピーダンス算出部36、減衰係数設定部38、減衰係数補正部40、減衰係数補正量算出部42、操舵反力制御部44、緊急ハンドル操作要否判定部46及び運転姿勢変更部48を備えている。コントロールユニット10におけるこれら各部の具体的な構成は、制御の処理の流れの説明と併せて後述する。なお、請求項の緊急ハンドル操作要否判定手段は緊急ハンドル操作要否判定部46で構成され、請求項の運転姿勢変更手段は運転姿勢変更部48で構成され、請求項の操舵反力低減手段は、減衰係数補正量算出部42と減衰係数補正部40とで構成される。
次に、図5を参照しながら、コントロールユニット10により車両用操舵反力制御装置を制御する際の基本的な処理の流れを説明する。
図5に示すように、先ず、ステップS1において、コントロールユニット10に各種センサの信号が入力される。具体的には、人間系インピーダンス算出部34に、操舵角センサ4から操舵角θが、操舵トルクセンサ6から操舵トルクτが入力され、減衰係数設定部38には、操舵角センサ4から操舵角θが、車速センサ12から車速Vが入力される。また、緊急ハンドル操作要否判定部46に、車速センサ12と障害物検出カメラ14からの信号が入力され、減衰係数補正量算出部42に、ステアリングコラム角度センサ16、シートベルト巻き取りセンサ26及びシートスライド量検出センサ22からの信号が入力される。
次に、ステップS2において、人間系のインピーダンスである、慣性Mh、粘性Bh、剛性Khが算出される。これは、後述するように、ステップS1で入力された操舵角θ及び操舵力τに基づいて、所定のマップにより算出される。
次に、ステップS3において、人間−ステアリング系全体の減衰係数ζが設定される。これは、後述するように、ステップS1で入力された車速V、操舵角θ及び操舵角の変化量Δθに基づいて、所定のマップにより算出される。
次に、ステップS4において、緊急ハンドル操作要否判定部46により緊急ハンドル操作が必要であるか否かが判定される。具体的には、例えば、車速センサ12により検知された自動車1の走行速度と、障害物検出センサ14により検出された前方の障害物までの距離Lと、走行速度ごとに予め設定された距離の閾値Lminとに基づいて、距離Lが閾値Lminよりも小さいか否かによって、前方の障害物を回避するために緊急ハンドル操作が必要であるか否かが判定される。すなわち、距離Lが閾値Lminよりも小さいときは緊急ハンドル操作が必要であると判定され、距離Lが閾値Lmin以上であるときは緊急ハンドル操作が不要であると判定される。ただし、緊急ハンドル操作の要否を判定する方法はこれに限定されず、例えば、操舵角センサ4により検出される操舵角の単位時間当たりの変化量に基づいて、緊急ハンドル操作の要否を判定するようにしてもよい。ステップS4で緊急ハンドル操作が必要であると判定されるとステップS5に進み、ステップS4で緊急ハンドル操作が不要であると判定されるとステップS8に進む。
ステップS5では、運転姿勢変更部48により、緊急ハンドル操作が容易となるように運転姿勢を変更する運転姿勢変更制御が行われる。本実施形態では、運転姿勢変更制御が行われると、コントロールユニット10の制御に基づき、シートスライド用アクチュエータ24、シートベルト巻き取り用アクチュエータ28及びステアリングコラム角度調整用アクチュエータ18が作動し、運転席に関して、シート20の前後位置、シートベルトの巻き取り量、及びステアリングコラムの角度が調整される。具体的には、通常の運転時と比べて、シート20が後方に移動し、シートベルトの巻き取り量が増大し、ステアリングコラムの角度が小さくなることでハンドル2の位置が低くなる。これにより、運転者の姿勢が、図1(b)に示すように腕を概ね伸ばした姿勢となるため、運転者の操作力(操舵力)がハンドル2に伝わりやすくなり、緊急時のハンドル操作性が大きく向上する。
基準値に対するシート20の後方への移動量、シートベルトの巻き取り量、及びステアリングコラムの角度に関しては、例えば図6に示すマップのように、運転者の体格に応じて予め記憶されており、マップに記憶された値を満たすようにシート20の位置等が調整される。運転者の体格は、例えば、ICカード、又はドアミラー等に設けたカメラによって検出することができる。
なお、本実施形態では、運転姿勢変更制御において、シート20の前後位置、シートベルトの巻き取り量、及びステアリングコラムの角度の全てが調整されるように構成されているが、それら3つの要素のうち少なくとも1つが調整されるようにすればよい。
続くステップS6では、減衰係数補正量算出部42により、ステップS3で設定された減衰係数ζの補正量Δζが決定される。減衰係数ζを補正することにより、ステップS5の運転姿勢の変更に伴って操舵力が低下しても、これに対応して、操舵反力を設定することが可能となる。本実施形態では、例えば図7に示す所定のマップから、シートスライド量検出センサ22により検出されたシート20の前後位置の変化量ΔLsと、シートベルト巻き取りセンサ26により検出された巻き取り量の変化量ΔLbと、ステアリングコラムの角度の変化量Δθとに対応する補正量Δζが読み取られることで、補正量Δζが決定される。ただし、本発明において、補正量Δζは、予め設定された計算式を用いて算出するようにしてもよい。
次のステップS7では、ステップS6で決定した補正量Δζを用いて、減衰係数ζが再設定されて、ステップS8に進む。具体的に、ステップS7における減衰係数ζの再設定は、ステップS3で設定された減衰係数ζからステップS6で決定された補正量Δζを減算した値(ζ−Δζ)が、新たな減衰係数ζとして再設定される。
ステップS8では、ステアリング系インピーダンスが算出される。これは、ステップS2で算出された人間系のインピーダンスと、ステップS3で設定された減衰係数ζ又はステップS7で再設定された減衰係数ζと、上述した(2)式とにより、ステアリング系インピーダンスである慣性Ms、粘性Bs、剛性Ksが算出される。
最後に、ステップS9において、ステップS8で算出された慣性Ms、粘性Bs、剛性Ksが得られるように、操舵反力発生モータ8が制御される。
図8〜図11を参照しながら、上述した図5のステップS2における処理、即ち、人間系のインピーダンスである慣性Mh、粘性Bh、剛性Khの算出方法を説明する。図8は、人間系インピーダンスの算出処理を示すフローチャートであり、図9〜図11は、それぞれ、慣性Mh、粘性Bh、剛性Khを求めるためのマップである。ここで、これらのマップは、操舵角と操舵トルクによって変化する人間の機械インピーダンス特性を、所望の範囲において近似表現する数式モデルを用いて描画したものである。数式モデルに含まれるパラメータは、所望の範囲において異なる実験条件下で測定した十分な数の離散データをフィッティングすることで得られる。
図8に示すように、先ず、ステップS21において、図5のステップS1で入力された操舵角θ及び操舵トルクτが検出される。
次に、ステップS22において、ステップS21で検出された操舵角θ及び操舵トルクτと、図9〜図11のマップとに基づき、走行中に逐次、人間系インピーダンスである慣性Mh、粘性Bh、剛性Khが算出される。即ち、ステップS22においては、図9に示すマップにより、操舵角θ及び操舵トルクτに応じた慣性Mhが算出される。この図9に示すマップでは、操舵角θが大きくなるにつれて慣性Mhが小さくなるようなマップとなっている。また、図10に示すマップにより、操舵角θ及び操舵トルクτに応じた粘性Bhが算出される。この図10に示すマップでは、操舵トルクτが大きくなるにつれて粘性Bhが小さくなるようなマップとなっている。さらに、図11に示すマップにより、操舵角θ及び操舵トルクτに応じた剛性Khが算出される。この図11に示すマップでは、操舵トルクτが大きくなるにつれて剛性Khが大きくなるようなマップとなっている。なお、このステップS22においては、図8〜11のようなマップを運転者毎に設け、例えば、ICカードによる個人認識或いは車室内カメラによる個人認識により、運転者に応じたマップを利用しても良い。
次に、図12及び図13により、上述した図5のステップS3における処理、即ち、人間−ステアリング系全体の減衰係数ζの方法を説明する。図12は、本実施形態に係る人間−ステアリング系全体の減衰係数ζの算出処理を示すフローチャートであり、図13は、本実施形態に係る人間−ステアリング系全体の減衰係数ζを設定するためのマップである。
図12に示すように、先ず、ステップS31において、図5のステップS1で入力された操舵角θ及び車速Vが検出される。さらに、ステップS31においては、検出された操舵角θから所定時間毎の操舵角変化量Δθが算出される。
次に、ステップS32において、ステップS31で検出された操舵角θ、車速V及び操舵角変化量Δθと、図13に示すマップとに基づき、減衰係数ζが設定される。
例えば、図13に示すように、操舵角θ、車速V及び操舵角変化量Δθの各値に基づき、高速走行時且つ直進時であるか、或いは、高速走行時且つ操舵時(レーンチェンジ時)であるか、或いは、低速走行時且つ直進時であるか、或いは、低速走行時且つ操舵時であるかが判別される。そして、判別された条件に応じて、減衰係数ζが0.9、或いは、0.7、或いは、0.8、或いは、0.6と設定される。減衰係数ζが0.9及び0.8と比較的大きい場合は、安定性を重視した場合であり、減衰係数ζが0.7及び0.6と比較的小さい場合は、応答性を重視した場合である。ただし、減衰係数ζを設定するためのマップとしては、図13に示すマップに限られず、種々のマップを用いることが可能である。
次に、図14を参照しながら、上述した図4のステップS3における処理、即ち、ステアリングの機械系インピーダンスの算出処理について説明する。
図14に示すように、ステップS41において、図4のステップS2において算出された人間系の慣性Mh、粘性Bh、剛性Khに対して、図4のステップS3又はステップS7で設定された減衰係数ζとなるように、予め設定された計算式等を用いて、ステアリング系の慣性Ms、粘性Bs、剛性Ksが算出される。このようにして算出された慣性Ms、粘性Bs、剛性Ksが得られるように操舵反力発生モータ8を制御することで、図4のステップS2で定めた人間系インピーダンスに応じた操舵反力をハンドル2に与えることが出来る。また、運転姿勢変更制御が行われたときでも、それに応じて減衰係数ζが補正された後に慣性Ms、粘性Bs、剛性Ksが算出されるため、緊急ハンドル操作を行う際も最適な操舵反力をハンドル2に付与することができる。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態においては、運転者の操舵力に応じて操舵応力を決定する構成に本発明を適用する場合について説明したが、本発明は、その他の方法により操舵応力を決定する構成にも適用することができる。
1:自動車、2:ハンドル、4:操舵角センサ、6:操舵トルクセンサ、8:操舵反力発生モータ、10:コントロールユニット、12:車速センサ、14:障害物検出センサ、16:ステアリングコラム角度センサ、18:ステアリングコラム角度調整用アクチュエータ、20:シート、22:シートスライド量検出センサ、24:シートスライド用アクチュエータ、26:シートベルト巻き取りセンサ、28:シートベルト巻き取り用アクチュエータ、30:スライドモータ、32:車輪角度制御部、34:人間系インピーダンス算出部、36:ステアリング系インピーダンス算出部、38:減衰係数設定部、40:減衰係数補正部、42:減衰係数補正量算出部、44:操舵反力制御部、46:緊急ハンドル操作要否判定部、48:運転姿勢変更部。
Claims (6)
- 運転者の身体から操舵力が伝えられるハンドルと、
前記操舵力に抗する操舵反力を前記ハンドルに付与する操舵反力付与手段と、
緊急に障害物を回避するための緊急ハンドル操作が必要であるか否かを判定する緊急ハンドル操作要否判定手段と、
前記緊急ハンドル操作要否判定手段により緊急ハンドル操作が必要であると判定されたとき、ハンドル操作が容易となるように運転者の運転姿勢を強制的に変更する運転姿勢変更手段と、
前記運転姿勢変更手段により前記運転姿勢が変更されるとき、前記操舵反力を低減する操舵反力低減手段と、を備えたことを特徴とする車両用操舵反力制御装置。 - 前記緊急ハンドル操作要否判定手段は、車両の前方監視による障害物の検出または単位時間当たりの操舵角の変化量の検出に基づき、緊急ハンドル操作の要否を判断することを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵反力制御装置。
- 前記運転姿勢変更手段は、運転者の体格に応じて、前記ハンドルを握る運転者の腕が概ね伸びた状態となるように前記運転姿勢を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用操舵反力制御装置。
- 前記運転姿勢変更手段は、運転席に関してシートの前後位置、シートベルトの引き込み量またはハンドルの位置の少なくともいずれか1つを変更することにより、前記運転姿勢を変更することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用操舵反力制御装置。
- 前記操舵力を検知する操舵力検知手段を備え、
前記操舵反力低減手段は、前記操舵力検知手段により検知された操舵力に応じて決められる操舵反力を低減することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用操舵反力制御装置。 - 前記操舵力検知手段は、通常の運転時の運転者の機械インピーダンスを検出することにより前記操舵力を検知することを特徴とする請求項5に記載の車両用操舵反力制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008090243A JP2009241725A (ja) | 2008-03-31 | 2008-03-31 | 車両用操舵反力制御装置 |
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-
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