JP2009241058A - 排水の処理方法および排水処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】活性汚泥槽に流入し、生物処理された排水を、該活性汚泥槽の外に設置された膜モジュールでろ過させる、ろ過工程と、前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とをバルブで縁切りし、前記膜モジュールを膜洗浄薬品により洗浄する薬品洗浄工程と、前記バルブで前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とを縁切りした状態で、水で前記膜モジュール内に残留している膜洗浄薬品をフラッシングする水フラッシング工程とを含み、膜洗浄薬品と反応して有害物質または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質と、膜洗浄薬品とを接触させない排水の処理方法。
【選択図】図1
Description
その理由の1つとしては、膜分離活性汚泥法は、膜モジュールの膜内部および膜表面の殺菌(洗浄)のために塩素あるいは塩素化合物(塩素系薬品)を膜洗浄薬品として定期的に注入する必要があるのに対し、工場排水、特に石油化学や石油精製プラントの排水には塩素と反応して強い毒性を持つ物質に変化する有機化合物が含まれていることが多いため、膜の洗浄時に前記の強い毒性をもつ物質が生成してしまうことが挙げられる。一般的に広く採用されている膜分離活性汚泥法は、図9に示すような、膜モジュール104を汚泥槽(曝気槽)101の中に浸漬し、吸引ポンプ105で吸引して、排水をろ過し、ろ過処理水を得るという浸漬式膜分離活性汚泥法である。このような浸漬式膜分離活性汚泥法では、膜洗浄の場合、バルブ106を閉鎖し、図中の矢印に示すように、通常は塩素系薬品を膜モジュール104に送る。このとき排水中に含まれる生物処理前の有機化合物、例えばフェノール107と塩素が反応して、有毒な塩素系有機化合物、例えばクロロフェノール108を生成する恐れがあった。クロロフェノールは、微量で強い異臭を呈するもので、ろ過処理水に微量でもクロロフェノールが含まれていると、ろ過処理水の再利用が大きく制限されることになる。
鉄やマンガン等の金属はアルカリ側では著しく溶解度が下がるため、酸洗浄の直後にアルカリ洗浄を行うと、膜表面や内部に於いて金属化合物が析出する危険性が高い。
そのような金属化合物の膜モジュールの膜表面および膜内部への析出を防ぐことが求められている。
そこで、本発明は、槽外型膜モジュールの洗浄の優位性を生かしつつ、副生成物や金属の析出の問題を解決し、膜分離活性汚泥法を石油化学や石油精製プラントのような工場排水へ安全に適用し得る排水処理方法および装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
(1)活性汚泥槽に流入し、生物処理された排水を、該活性汚泥槽の外に設置された膜モジュールでろ過させる、ろ過工程と、
前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とをバルブで縁切りし、前記膜モジュールを膜洗浄薬品により洗浄する薬品洗浄工程と、
前記バルブで前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とを縁切りした状態で、水で前記膜モジュール内に残留している、膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質、もしくは膜洗浄薬品をフラッシングする水フラッシング工程とを含み、膜洗浄薬品と反応して有害物質または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質と、膜洗浄薬品とを接触させないことを特徴とする排水の処理方法、
(2)活性汚泥槽に流入し、生物処理された排水を、該活性汚泥槽の外に設置された膜モジュールでろ過させる、ろ過工程と、
前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とをバルブで縁切りし、水で前記膜モジュールに残留している、膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質をフラッシングする第1の水フラッシング工程と、
前記バルブで前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とを縁切りした状態で、前記膜モジュールを膜洗浄薬品により洗浄する薬品洗浄工程と、
前記バルブで前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とを縁切りした状態で、水で膜洗浄薬品をフラッシングする第2の水フラッシング工程と
を含み、膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質と、膜洗浄薬品とを接触させないことを特徴とする排水の処理方法、
(3)活性汚泥槽に流入し、生物処理された排水を、該活性汚泥槽の外の膜ろ過槽に送り、該膜ろ過槽に設置された膜モジュールでろ過させる、ろ過工程と、
前記活性汚泥槽から前記膜ろ過槽へ排水を送る排水ポンプを停止し、水で前記膜モジュールに残留している、膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質をフラッシングする第1の水フラッシング工程と、
前記排水ポンプを停止した状態で、前記活性汚泥槽と前記膜ろ過槽をバルブで縁切し、前記前記膜モジュールを膜洗浄薬品により洗浄する薬品洗浄工程と、
前記排水ポンプを停止し、前記バルブで前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とを縁切りした状態で、水で前記膜モジュール内に残留している膜洗浄薬品をフラッシングする第2の水フラッシング工程と
を含み、膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質と、膜洗浄薬品とを接触させないことを特徴とする排水の処理方法、
(4)前記排水が塩素と反応して毒性のある塩素系有機物を生成する有機質を含む排水、または塩素もしくはアルカリ剤と反応して膜表面および/または膜内部に析出する金属化合物を形成する金属を含む排水であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の排水の処理方法、
(5)前記薬品洗浄工程後、水で膜モジュール内に残留している薬品を所定の濃度以下までフラッシングしてから槽外の膜モジュールと活性汚泥槽とを縁切する前記バルブを開放することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の排水の処理方法、
(6)前記フラッシングに用いられた水は、排水と接触する場所以外の系外に放出することを特徴とする(5)項に記載の排水の処理方法、
(7)前記薬品洗浄工程および前記水フラッシング工程を、自動分析計および/またはタイマーにより進行管理を行うことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の排水の処理方法、
(8)前記膜モジュールが、限外ろ過膜、精密ろ過膜、逆浸透膜、またはイオン交換膜を用いて形成されたことを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の排水の処理方法、
(9)前記バルブが3方弁である(1)〜(8)のいずれか1項に記載の排水の処理方法、
(10)活性汚泥槽と、前記活性汚泥槽の外に設置され、排水と活性汚泥の混合液を膜分離する膜モジュールと、前記膜モジュールの薬品洗浄時に槽外の膜モジュールと活性汚泥槽を縁切り可能なバルブとを備え、排水中に含まれる膜洗浄薬品と反応して有害物質または運転阻害物質生成しうる物質と膜洗浄薬品との接触を防止した排水処理装置、および、
(11)前記バルブが3方弁である(10)項に記載の排水処理装置
を提供するものである。
また、塩素やアルカリ剤と反応して膜モジュールの膜表面や膜内部に析出し、膜を閉塞するような金属化合物(膜閉塞物)を形成する金属としては、マンガン、鉄などが挙げられる。
また、膜洗浄薬品として塩酸などを用いた場合には、反応して金属化合物(膜閉塞物)を生成する可能性のある鉛化合物を含む排水が挙げられる。
上記の進行管理は、各工程の切り換え、具体的にはバルブの開閉やポンプの運転停止を予め設定した、pH、電気伝導度、薬品濃度、あるいは時間に達したときに行うようプログラムすることで行うことでできる。また、流量などもこのように決定して自動的に制御することができる。
各工程への具体的な切り換えは、適宜、決定することができるが、前記薬品洗浄工程後、水フラッシング工程は、膜モジュール内に残留している薬品を十分に、所定の濃度、例えば当初洗浄に用いた濃度の1/100未満の濃度までフラッシングするまで行ってから、槽外の膜モジュールと汚泥槽とを縁切する前記バルブを開放し、ろ過工程を再開することが好ましい。
膜モジュール内の膜洗浄薬品の濃度は、殆ど有害物質を生成しないか、生成しても問題とならない程度となるように適宜決められる。
バルブとして、通常の切り替え弁を2つ使用すると、両方の弁の間にデッドスペースをつくってしまう。デッドスペースがあると膜洗浄薬品がそこに残り、次の工程で排水が送られてきたときに両者が接触して有害物質を生成する可能性がある。逆に、排水が残り、膜洗浄薬品が送られてくる場合も同様である。切り替え弁として3方弁や4方弁を使用することで、切り替え部分のデッドスペースを限りなく少なくすることが出来、両者の接触の恐れが減る。
また、本発明において、膜モジュールとは、上記のような膜がハウジングに収納されたもので、任意の形状のモジュールを用いることができる。
図1は本発明の排水処理装置の1例の構成を説明する説明図である。図示される装置は、活性汚泥槽1と、活性汚泥槽1の外にある膜モジュール2と、加圧式の膜供給ポンプ3と、薬品タンク4と、薬品洗浄ポンプ5と、自動分析計6、7と、バルブ11〜17と、それらを繋ぐライン(配管)21〜27を備えている。
バルブ11および13は、槽外の膜モジュール2と汚泥槽1を縁切り可能なバルブを備える。また、図示されたものでは、各ラインに一つずつのバルブが示されているが、例えば、バルブ11と14と15を一つの四方弁とすることや、バルブ12と16、13と17をそれぞれ一つの三方弁として、切り換え部分のデッドスペース(液溜り)を限りなく少なくすることもできる。
また、各ラインの示す矢印はライン内の流体の方向を示す。
活性汚泥槽1に流入された排水は、活性汚泥により排水中に含まれる有機物が生物処理される。活性汚泥が混合した排水は加圧式の膜供給ポンプ3によりライン21を介して膜モジュール2に送られ、ろ過され、得られた清澄なろ過処理水は、ライン22を介して系外に出されて、適宜、再利用等がなされる。一方、膜を通過できなかった固形物は水と一緒に、ライン23を介して活性汚泥槽1に戻される。
図示されるように、槽外の膜モジュール2と汚泥槽1はバルブ11により縁切りされて膜洗浄薬品と反応して有害物質または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質と、膜洗浄薬品とを接触させないようにしている。次亜塩素酸などの膜洗浄薬品の溶液は、タンク4から加圧式ポンプ5により、ライン25を介して膜モジュール2に送られ、膜表面および内部を薬品洗浄する。膜をろ過した膜洗浄薬品、および膜をろ過されなかった膜洗浄薬品ともそれぞれライン26およびライン27を介してタンク4に戻された後、循環され、膜洗浄に用いられる。膜の薬品洗浄は、膜モジュール2の下流に設けられた、pH計、電気伝導度計、薬品濃度計などの自動計測計6,7によるモニタリング、あるいは、それに代えて、もしくはそれに加えてタイマー制御により、進行管理して行うことが好ましい。
フラッシングは、膜モジュール内の膜洗浄薬品の濃度が所定の濃度以下になるように膜モジュール内の容積の例えば3倍〜5倍の水量で実施することが好ましい。
この実施態様の装置では、浸漬型膜モジュール53を、従来の方法のように活性汚泥槽51内に設置するのではなく、膜ろ過槽52内に設置する。この態様の場合、活性汚泥槽51と膜ろ過槽52とが独立しているので、生物処理工程は活性汚泥槽51において行われ、ろ過工程以降の工程は膜ろ過槽52において行われる。
このようにして、膜ろ過槽52内の水を各工程において入れ替えることで、膜洗浄薬品反応性物質と膜洗浄薬品とを接触させないようにすることが可能である。
2 膜モジュール
3 膜供給ポンプ
4 薬品タンク
5 薬品洗浄ポンプ
6,7 自動計測計
11,12,13,14,15,16,17 バルブ
21,22,23,24,25,26,27,28 ライン(配管)
51 活性汚泥槽
52 膜ろ過槽
53 膜モジュール
54 送水ポンプ
55 吸引ポンプ
61,62,63,64 バルブ
71,72,73,74,75,76 ライン(配管)
101 活性汚泥槽
102 沈殿槽
103 膜モジュール
104 膜モジュール
105 吸引ポンプ
106 バルブ
107 フェノール
108 クロロフェノール
Claims (11)
- 活性汚泥槽に流入し、生物処理された排水を、該活性汚泥槽の外に設置された膜モジュールでろ過させる、ろ過工程と、
前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とをバルブで縁切りし、前記膜モジュールを膜洗浄薬品により洗浄する薬品洗浄工程と、
前記バルブで前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とを縁切りした状態で、水で前記膜モジュール内に残留している、膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質、もしくは膜洗浄薬品をフラッシングする水フラッシング工程と
を含み、膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質と、膜洗浄薬品とを接触させないことを特徴とする排水の処理方法。 - 活性汚泥槽に流入し、生物処理された排水を、該活性汚泥槽の外に設置された膜モジュールでろ過させる、ろ過工程と、
前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とをバルブで縁切りし、水で前記膜モジュールに残留している、膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質をフラッシングする第1の水フラッシング工程と、
前記バルブで前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とを縁切りした状態で、前記膜モジュールを膜洗浄薬品により洗浄する薬品洗浄工程と、
前記バルブで前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とを縁切りした状態で、水で前記膜モジュール内に残留している膜洗浄薬品をフラッシングする第2の水フラッシング工程と
を含み、膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質と、膜洗浄薬品とを接触させないことを特徴とする排水の処理方法。 - 活性汚泥槽に流入し、生物処理された排水を、該活性汚泥槽の外の膜ろ過槽に送り、該膜ろ過槽に設置された膜モジュールでろ過させる、ろ過工程と、
前記活性汚泥槽から前記膜ろ過槽へ排水を送る排水ポンプを停止し、水で前記膜モジュールに残留している、膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質をフラッシングする第1の水フラッシング工程と、
前記排水ポンプを停止した状態で、前記活性汚泥槽と前記膜ろ過槽をバルブで縁切し、前記前記膜モジュールを膜洗浄薬品により洗浄する薬品洗浄工程と、
前記排水ポンプを停止し、前記バルブで前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とを縁切りした状態で、水で前記膜モジュール内に残留している膜洗浄薬品をフラッシングする第2の水フラッシング工程と
を含み、膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質と、膜洗浄薬品とを接触させないことを特徴とする排水の処理方法。 - 前記排水が塩素と反応して毒性のある塩素系有機物を生成する有機質を含む排水、および/または塩素もしくはアルカリ剤と反応して膜表面および/または膜内部に析出する金属化合物を形成する金属を含む排水であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排水の処理方法。
- 前記薬品洗浄工程後、水で膜モジュール内に残留している薬品を所定の濃度以下までフラッシングしてから槽外の膜モジュールと活性汚泥槽とを縁切する前記バルブを開放することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の排水の処理方法。
- 前記水フラッシング工程に用いられた水は、排水と接触する場所以外の系外に放出することを特徴とする請求項5記載の排水の処理方法。
- 前記薬品洗浄工程および前記水フラッシング工程を、自動分析計および/またはタイマーにより進行管理を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の排水の処理方法。
- 前記膜モジュールが、限外ろ過膜、精密ろ過膜、逆浸透膜、またはイオン交換膜を用いて形成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の排水の処理方法。
- 前記バルブが3方弁である請求項1〜8のいずれか1項に記載の排水の処理方法。
- 活性汚泥槽と、前記活性汚泥槽の外に設置され、排水と活性汚泥の混合液を膜分離する膜モジュールと、前記膜モジュールの薬品洗浄時に槽外の膜モジュールと活性汚泥槽を縁切り可能なバルブとを備え、排水中に含まれる膜洗浄薬品と反応して有害物質または運転阻害物質生成しうる物質と膜洗浄薬品との接触を防止した排水処理装置。
- 前記バルブが3方弁である請求項10記載の排水処理装置。
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