JP5512978B2 - 排水の処理方法および排水処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、石油化学および石油精製プラントなどで、膜分離法を適用した排水処理に関する。詳しくは、膜分離法に用いられる膜は定期的に膜洗浄薬品で薬品洗浄しなければならないが、その膜洗浄薬品と反応して有害物質や処理工程を阻害する物質が排水に含まれている場合の排水処理方法および排水処理装置に関する。
従来、各種産業の有機物を含む工場排水は、標準活性汚泥法のように生物処理で処理されていた。標準活性汚泥法は、有機排水を好気的に生物処理させる生物処理法である。図7は、標準活性汚泥法のフロー図である。流入排水は、活性汚泥槽101に導入し、有機物(フェノール、ベンゼン等)、窒素、リン等を多様な微生物集団である活性汚泥により生物処理する。その後、沈殿槽102にて活性汚泥を沈降分離して、余剰汚泥を抜き取り、一方、上澄みを処理水として得ている。この方法では有機系物質は処理できるが、処理水の水質(清澄度)が十分ではないために、工業用水などへの再利用は極めて困難であった。
一方、最近では、限外ろ過膜を用いた膜分離活性汚泥法またはメンブレンバイオリアクター(MBR)法と呼ばれる方法が下水やし尿の処理に採用されてきており、その処理水を再利用している例もある。図8は、膜分離活性汚泥法(メンブレンバイオリアクター(MBR)法)フロー図である。流入排水は、活性汚泥槽101に導入し、有機物(フェノール、ベンゼン等)、窒素、リン等を多様な微生物集団である活性汚泥により生物処理する。その後、膜モジュール103によるろ過で、固液分離・濃縮し、ろ過処理水を得ている。このろ過処理水は、清澄で再利用が可能である。それに加え、膜分離活性汚泥法は標準活性汚泥法に比べ、コンパクトなエリアで処理を行える、維持管理が容易である、負荷変動に強いといった多くの利点が存在する(例えば、特許文献1参照)。
しかし、石油化学や石油精製プラントのような工場排水への膜分離活性汚泥法を利用している例は、これまでほとんど知られていない。
その理由の1つとしては、膜分離活性汚泥法は、膜モジュールの膜内部および膜表面の殺菌(洗浄)のために塩素あるいは塩素化合物(塩素系薬品)を膜洗浄薬品として定期的に注入する必要があるのに対し、工場排水、特に石油化学や石油精製プラントの排水には塩素と反応して強い毒性を持つ物質に変化する有機化合物が含まれていることが多いため、膜の洗浄時に前記の強い毒性をもつ物質が生成してしまうことが挙げられる。一般的に広く採用されている膜分離活性汚泥法は、図9に示すような、膜モジュール104を汚泥槽(曝気槽)101の中に浸漬し、吸引ポンプ105で吸引して、排水をろ過し、ろ過処理水を得るという浸漬式膜分離活性汚泥法である。このような浸漬式膜分離活性汚泥法では、膜洗浄の場合、バルブ106を閉鎖し、図中の矢印に示すように、通常は塩素系薬品を膜モジュール104に送る。このとき排水中に含まれる生物処理前の有機化合物、例えばフェノール107と塩素が反応して、有毒な塩素系有機化合物、例えばクロロフェノール108を生成する恐れがあった。クロロフェノールは、微量で強い異臭を呈するもので、ろ過処理水に微量でもクロロフェノールが含まれていると、ろ過処理水の再利用が大きく制限されることになる。
また、膜分離活性汚泥法は定期的に塩素系薬品で、塩素殺菌することが必要であるが、マンガンのように塩素の存在下で酸化が進み膜表面および膜モジュールの膜表面や膜内部に金属化合物となって析出する金属が存在するという問題点があった。膜モジュールの膜表面および膜内部につくられる金属化合物は、排水処理施設の運転を阻害する物質となる。また膜洗浄薬品に含まれるアルカリ剤によっても金属化合物析出の問題が起こる場合がある。
特公平6−34999号公報
膜分離活性汚泥法を適用した排水処理においては、膜は定期的に膜洗浄薬品で薬品洗浄しなければならないが、その膜洗浄薬品と反応して有害物質や処理工程を阻害する物質が排水に含まれている場合がある。処理工程の阻害とは、運転阻害物質が膜表面に付着したり、膜内部に析出して、膜を閉塞して膜分離を阻害するようなことを言う。
たとえば膜洗浄薬品として通常使用される塩素系薬品において、これと反応して塩素系有毒化合物を生成する物質を含む排水を処理するプロセスに関する。有害化合物を生成する物質とは、例えば、フェノール、アニリンのような活性化された芳香族化合物、あるいはアルデヒドやケトンなどのカルボニル化合物である。この中のフェノールは塩素と結合して有毒で臭気の強いクロロフェノールを生成する。
また、排水中に金属が含まれる場合は、膜洗浄薬品中の塩素やアルカリ剤などと反応して金属化合物を形成して、膜モジュールの膜表面に付着したり、膜内部に析出して膜を閉塞して、ろ過能力を大きく阻害する場合がある。例えば、マンガンは、塩素存在下において酸化が進み、水和二酸化マンガン(MnO・mHO)となって析出して、膜表面に付着したり、膜内部に析出して膜を閉塞してろ過能力を阻害する。また、鉛なども塩酸と反応してPbClとして析出する。
鉄やマンガン等の金属はアルカリ側では著しく溶解度が下がるため、酸洗浄の直後にアルカリ洗浄を行うと、膜表面や内部に於いて金属化合物が析出する危険性が高い。
そのような金属化合物の膜モジュールの膜表面および膜内部への析出を防ぐことが求められている。
また、槽外型膜モジュールは槽内型膜モジュールに比較して殺菌剤系薬剤、アルカリ系薬剤、酸系薬剤いずれの膜洗浄薬品の場合にも槽内の生物に影響を与えることなく高濃度(膜材質が許容する範囲レベルで可能)で使用することが出来るが、一方で、膜洗浄薬品が高濃度であることにより副生成物や金属化合物の析出の問題がより顕著になる可能性もある。
そこで、本発明は、槽外型膜モジュールの洗浄の優位性を生かしつつ、副生成物や金属の析出の問題を解決し、膜分離活性汚泥法を石油化学や石油精製プラントのような工場排水へ安全に適用し得る排水処理方法および装置を提供することを目的とする。
本発明者は、膜分離活性汚泥法において、膜の洗浄に使用される膜洗浄薬品と、排水中に含まれる有機物や金属との接触を防ぐ、特定の構造および運転により、有毒な化合物の生成を防いだり膜モジュールの膜表面および膜内部の金属化合物析出による膜の閉塞を防ぐことができることを見出した。本発明はこの知見に基づきなすに至ったものである。
すなわち、本発明は、
)活性汚泥槽に流入し、生物処理された排水をポンプにより、該活性汚泥槽の外に設置された膜モジュールに圧送してろ過させる、ろ過工程と、
前記活性汚泥槽から前記膜モジュールへの経路をバルブで縁切りし、有害物質あるいは運転阻害物質を含まない水で、前記膜モジュールに残留している、膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質をフラッシングし、前記膜モジュールの上流側から堆積した活性汚泥を該活性汚泥槽に戻し、
前記膜モジュール中の排水を前記膜洗浄薬品と反応して有害物質あるいは運転阻害物質を生成する物質を含まない水で置換し、置換された排水をろ過処理水として払い出す第1の水フラッシング工程と、
前記バルブで、前記膜モジュールと前記活性汚泥槽と、前記膜モジュールとろ過排水払い出しラインとを縁切りした状態で、前記膜モジュールは薬品タンクから加圧式ポンプにより膜洗浄薬品を膜モジュールの上流側から、第1の水フラッシング工程で置換された前記膜モジュール中の排水と前記膜洗浄薬品と反応して有害物質あるいは運転阻害物質を生成する物質を含まない水と置換し、前記膜モジュール上流側及び下流側から払い出された膜洗浄薬品が、前記薬品タンクに戻され、前記膜モジュールの上流側へ循環することにより洗浄する薬品洗浄工程と、
前記バルブで前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とを縁切りした状態で、前記膜モジュール中の排水を前記膜洗浄薬品と反応して有害物質あるいは運転阻害物質を生成する物質を含まない水で前記膜モジュール内に残留している膜洗浄薬品をフラッシングし、置換された薬品を前記薬品タンクに戻し、系外に払い出す第2の水フラッシング工程と
を含み、前記各工程で、前記膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する生物処理された排水の前記膜モジュールへの流入、流出経路と、前記膜洗浄薬品の前記膜モジュールへの流入、流出経路とを、前記バルブ操作により切り替えることを特徴とする排水の処理方法、
)前記排水が塩素と反応して毒性のある塩素系有機物を生成する有機質を含む排水、および/または塩素もしくはアルカリ剤と反応して膜表面および/または膜内部に析出する金属化合物を形成する金属を含む排水であることを特徴とする(1)に記載の排水の処理方法、
)前記薬品洗浄工程後、前記膜洗浄薬品と反応して有害物質あるいは運転阻害物質を生成する物質を含まない水で膜モジュール内に残留している薬品を所定の濃度以下までフラッシングしてから槽外の膜モジュールと活性汚泥槽とを縁切する前記バルブを開放することを特徴とする(1)または)に記載の排水の処理方法、
)前記フラッシングに用いられた水は、排水と接触する場所以外の系外に放出することを特徴とする()項に記載の排水の処理方法、
)前記薬品洗浄工程および前記水フラッシング工程を、自動分析計および/またはタイマーにより進行管理を行うことを特徴とする(1)〜()のいずれか1項に記載の排水の処理方法、
)前記膜モジュールが、ハウジングに収納された、限外ろ過膜、精密ろ過膜、逆浸透膜、またはイオン交換膜を用いて形成されたことを特徴とする(1)〜()のいずれか1項に記載の排水の処理方法、
)前記バルブが3方弁である(1)〜()のいずれか1項に記載の排水の処理方法
提供するものである。
膜分離活性汚泥法を当該排水へ安全に適用することが可能となる。その結果、排水の高度処理が可能となり、さらにはろ過処理水の工業用水などへの再利用が促進されうる。
本発明の排水処理装置の1例の構成を示す説明図である。 図1に示す装置によるろ過工程の説明図である。 図1に示す装置よる水フラッシング工程(膜モジュール内の残留排水を水に置換する工程)の説明図である。 図1に示す装置による薬品洗浄工程の説明図である。 図1に示す装置による薬品洗浄後の水フラッシング工程(膜モジュール内の残留薬品溶液を水に置換する工程)の説明図である。 本発明の排水処理装置の別の好ましい一実施態様の構成を示す説明図であり、浸漬式膜分離活性汚泥法を適用した例を示す図である。 標準活性汚泥法における排水処理のフロー図である。 膜分離活性汚泥法(メンブレンバイオリアクター法:MBR)における排水処理のフロー図である。 浸漬式膜分離活性汚泥法における塩素殺菌フロー図である。
本発明の排水処理方法は、活性汚泥槽に流入し、生物処理された排水を、該活性汚泥槽の外に設置された膜モジュールでろ過させる、ろ過工程と、槽外の前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とをバルブで縁切りし、前記膜モジュールを膜洗浄薬品により洗浄する薬品洗浄工程と、前記バルブで前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とを縁切りした状態で、水で前記膜モジュール内に残留している、膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質あるいは膜洗浄薬品をフラッシングする水フラッシング工程と、を含み、膜洗浄薬品と反応して有害物質または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質と、膜洗浄薬品とを接触させない方法である。
本発明の排水処理の対象となる排水は、膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する物質を含む排水である。たとえば、それに限定されるものではないが、塩素と反応して毒性のある塩素系有機物を生成する有機物を含む排水、塩素もしくはアルカリ剤と反応して膜モジュールの膜表面や膜内部に析出する金属化合物を形成する金属を含む排水などである。これらの排水の例としては、石油化学や石油精製プラントからの排水が挙げられる。なお、本発明において、上記排水中に含まれる金属には金属イオンが包含されるものである。
本発明に用いられる膜洗浄薬品としては、従来の浸漬型膜分離活性汚泥法の膜モジュール膜表面および膜内部の洗浄に用いられている任意の薬品、たとえば、次亜塩素酸などの塩素系薬品を用いることができる。
塩素と反応して毒性のある塩素系有機物を生成する物質しては、例えば、芳香族化合物(フェノール化合物、アニリン化合物など)、カルボニル化合物(アルデヒド化合物、ケトン化合物など)が挙げられる。
また、塩素やアルカリ剤と反応して膜モジュールの膜表面や膜内部に析出し、膜を閉塞するような金属化合物(膜閉塞物)を形成する金属としては、マンガン、鉄などが挙げられる。
また、膜洗浄薬品として塩酸などを用いた場合には、反応して金属化合物(膜閉塞物)を生成する可能性のある鉛化合物を含む排水が挙げられる。
本発明においては、膜分離活性汚泥法において、膜モジュールを活性汚泥槽の外に設置する。膜モジュールは、活性汚泥槽の外に設置されていればよく、膜モジュール単独で設置された槽外型でもよいし、膜モジュールを別の膜ろ過槽に浸漬させて設置した浸漬型でもよい。槽外型の膜分離活性汚泥法は、活性汚泥の混合した生物処理された排水をポンプで曝気槽(活性汚泥槽)の外に設置した膜モジュールに圧送して加圧ろ過を行うものであり、排水のろ過工程自体は、例えば、特公昭46−41584号公報の記載を参照して、適宜、行うことができる。浸漬型の場合は、曝気槽の外に設けられた膜ろ過槽に排水をポンプで圧送し、そこに浸漬設置された膜モジュールで吸引によりろ過を行うものである。この場合、後でより詳細に説明するように、膜ろ過槽内の水を各工程の前に入れ替えて排水中の有機物や金属などと膜洗浄薬品とを接触させないようにする。
本発明では、膜モジュールの膜表面および膜内部の薬品洗浄の時に、槽外の膜モジュールと活性汚泥槽をバルブで縁切りすることで、排水中の有機物や金属などと膜洗浄薬品とを接触させないようにする。
本発明においては、好ましくは、薬品洗浄工程で使用された薬品を水フラッシング工程で膜分離に問題とならない程度に完全に膜モジュール外に流し出すことによって、排水中の有機系不純物や金属との接触を防ぐものである。
また、水フラッシングや薬品洗浄の工程を、pH計や電気伝導度計や薬品濃度計などの自動分析計を膜モジュールの下流の配管に設置して、これら検知により、洗浄状態や水に、あるいはタイマーによる進行管理を行うことにより、膜洗浄薬品と排水中の該当物質の接触および反応を防ぐことを実現することが好ましい。また、これらの進行管理により、洗浄による膜へのダメージを自動的に防ぐことが可能となる。
上記の進行管理は、各工程の切り換え、具体的にはバルブの開閉やポンプの運転停止を予め設定した、pH、電気伝導度、薬品濃度、あるいは時間に達したときに行うようプログラムすることで行うことでできる。また、流量などもこのように決定して自動的に制御することができる。
各工程への具体的な切り換えは、適宜、決定することができるが、前記薬品洗浄工程後、水フラッシング工程は、膜モジュール内に残留している薬品を十分に、所定の濃度、例えば当初洗浄に用いた濃度の1/100未満の濃度までフラッシングするまで行ってから、槽外の膜モジュールと汚泥槽とを縁切する前記バルブを開放し、ろ過工程を再開することが好ましい。
膜モジュール内の膜洗浄薬品の濃度は、殆ど有害物質を生成しないか、生成しても問題とならない程度となるように適宜決められる。
本発明における洗浄に用いる膜洗浄薬品の濃度は適宜決定することができるが、本発明においては、活性汚泥槽と完全に縁切りした状態で洗浄できるので、従来の浸漬型の洗浄におけるよりも高濃度で、短時間で洗浄することができ、しかも、全使用量で見れば、薬品使用量を節減することができる。
また、前記フラッシング工程に使用した水は、排水受入槽のような排水と接触するような場所には戻さずに、系外に放出することが好ましい。このことにより、前記フラッシング工程に使用した水に含まれる低濃度の膜洗浄薬品も、排水中の有機物や金属と接触しないようにすることができる。
また、従来、膜の洗浄においては、酸で洗浄した後にアルカリで洗浄すると膜モジュールの膜の表面や内部でスケール(水中に溶解あるいは懸濁している物質が種々の原因で膜表面あるいは膜内部に析出あるいは沈殿固化したもの。)が発生しやすいため、通常、次亜塩素酸などのアルカリで洗浄した後に酸で洗浄して中和することが行われる。本発明においては、十分なフラッシングを行うことで、中和するために使用する酸の量を減らすことができる。また、次亜塩素酸で洗浄したすぐ後に酸で洗浄すると、塩素が発生し、膜を痛める場合があるが、本発明においては、各膜洗浄薬品による洗浄の間に前記水フラッシング工程により、水による置換の操作を行うことで、このようなトラブルを考慮することなく、処理を行うことができる。
さらに、バルブは三方弁や四方弁を用いて、配管中のデッドスペース(液溜まり)を無くすことにより、残留排水や残留膜洗浄薬品によって、有害物質生成を防ぐことが好ましい。
バルブとして、通常の切り替え弁を2つ使用すると、両方の弁の間にデッドスペースをつくってしまう。デッドスペースがあると膜洗浄薬品がそこに残り、次の工程で排水が送られてきたときに両者が接触して有害物質を生成する可能性がある。逆に、排水が残り、膜洗浄薬品が送られてくる場合も同様である。切り替え弁として3方弁や4方弁を使用することで、切り替え部分のデッドスペースを限りなく少なくすることが出来、両者の接触の恐れが減る。
本発明に用いられる膜モジュールは、特に限定されるものではないが、例えば、限外ろ過膜、精密ろ過膜、逆浸透膜、またはイオン交換膜から形成された膜モジュールが好適に用いることができる。
また、本発明において、膜モジュールとは、上記のような膜がハウジングに収納されたもので、任意の形状のモジュールを用いることができる。
本発明の別の実施形態は、活性汚泥槽と、前記活性汚泥槽の外に設置され、活性汚泥が混合した排水を膜分離する膜モジュールと、前記膜モジュールの薬品洗浄時に槽外の膜モジュールと活性汚泥槽を縁切り可能なバルブとを備え、排水中に含まれる膜洗浄薬品と反応して有害物質または運転阻害物質を生成しうる物質と膜洗浄薬品との接触を防止した排水処理装置である。それぞれの部材や薬品等は上記のものと同様である。また、膜洗浄薬品と反応して有害物質または運転阻害物質生成しうる物質も、上記の膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する物質と同様である。
本発明により膜殺菌に使用される塩素のような膜洗浄薬品と、排水中に含まれる有機物との接触を防ぐ構造および運転により、有毒な化合物の生成を防ぐことができる。また、薬品と反応して膜モジュールの膜表面および内部に金属化合物を形成する金属を含む排水に対しても、それを防ぐことができる。
本発明の排水の処理方法および処理装置は、石油化学および石油精製プラントなどの工場排水を、有害物質を生成することなく処理することが可能な方法であり、膜分離によって得られた清澄なろ過処理水は、適宜、工業用水などに再利用できる。このことは、排水の放出量を減らすことによる環境への負荷低減だけでなく、新たな水資源を創出するという大きなメリットがある。
以下、本発明の好ましい一実施態様を、図面に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は本発明の排水処理装置の1例の構成を説明する説明図である。図示される装置は、活性汚泥槽1と、活性汚泥槽1の外にある膜モジュール2と、加圧式の膜供給ポンプ3と、薬品タンク4と、薬品洗浄ポンプ5と、自動分析計6、7と、バルブ11〜17と、それらを繋ぐライン(配管)21〜27を備えている。
バルブ11および13は、槽外の膜モジュール2と汚泥槽1を縁切り可能なバルブを備える。また、図示されたものでは、各ラインに一つずつのバルブが示されているが、例えば、バルブ11と14と15を一つの四方弁とすることや、バルブ12と16、13と17をそれぞれ一つの三方弁として、切り換え部分のデッドスペース(液溜り)を限りなく少なくすることもできる。
また、各ラインの示す矢印はライン内の流体の方向を示す。
図2〜5は、図1に示す装置による、運転作業のフローを示す説明図である。なお、図2〜5において、バルブ11〜17のうち、黒塗りで示されたバルブが閉鎖された状態を示し、白抜きで示されたバルブは開放された状態を示す。
図2は、ろ過工程の運転状況を示す説明図である。ここでは、バルブ11、12、13が開放され、残りのバルブは閉鎖されている。
活性汚泥槽1に流入された排水は、活性汚泥により排水中に含まれる有機物が生物処理される。活性汚泥が混合した排水は加圧式の膜供給ポンプ3によりライン21を介して膜モジュール2に送られ、ろ過され、得られた清澄なろ過処理水は、ライン22を介して系外に出されて、適宜、再利用等がなされる。一方、膜を通過できなかった固形物は水と一緒に、ライン23を介して活性汚泥槽1に戻される。
次に、図3に示すように、膜モジュール2内の残留排水を水に置換する水フラッシング工程(第1の水フラッシング工程)が行われる。ここでは、バルブ11を閉鎖し、およびバルブ14を開放し、水をライン24を介して、膜モジュール2にポンプ等で速い流速で送り出し、膜モジュール2内の残留排水および膜表面および内部の堆積物等を洗い出し、これらをライン23を介して活性汚泥槽1に戻す。一方、ろ過処理水は図2に示すものと同様に、ライン22を介して系外に出されて、適宜、再利用等がなされる。
次に、バルブ12、13および14を閉鎖し、バルブ15、16、17を開放し、図4に示すように薬品洗浄工程が行われる。なお、膜表面および内部のファウリング(原水に含まれる難溶解成分や高分子の溶質、コロイド、微小固形物などが膜に沈着して、透過流束を低下させるもの)や堆積物がそれほどない場合には、図3に示す工程を省略して、図2に示す工程から図4に示す工程に直接移行することもできる。
図示されるように、槽外の膜モジュール2と汚泥槽1はバルブ11により縁切りされて膜洗浄薬品と反応して有害物質または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質と、膜洗浄薬品とを接触させないようにしている。次亜塩素酸などの膜洗浄薬品の溶液は、タンク4から加圧式ポンプ5により、ライン25を介して膜モジュール2に送られ、膜表面および内部を薬品洗浄する。膜をろ過した膜洗浄薬品、および膜をろ過されなかった膜洗浄薬品ともそれぞれライン26およびライン27を介してタンク4に戻された後、循環され、膜洗浄に用いられる。膜の薬品洗浄は、膜モジュール2の下流に設けられた、pH計、電気伝導度計、薬品濃度計などの自動計測計6,7によるモニタリング、あるいは、それに代えて、もしくはそれに加えてタイマー制御により、進行管理して行うことが好ましい。
その後、図5に示すように、バルブ15を閉鎖し、バルブ14を開放し、水フラッシング工程(第2の水フラッシング工程)を行う。ここでは、図3に示すものと同様にして、水を膜モジュール2に送り、膜モジュール2内の残留薬品含有溶液を水に置換する。このとき、膜をろ過した水、および膜をろ過されなかった水とも、排水受入槽のような排水と接触するような場所には戻さずに、それぞれライン26およびライン27を介してタンク4に戻され、ライン28を介して系外に放出する。この水フラッシング工程も、上記薬品洗浄工程と同様にして、自動計測計6および7によるモニタリング、あるいは、それに代えて、もしくはそれに加えてタイマー制御により、進行管理して行うことが好ましい。
フラッシングは、膜モジュール内の膜洗浄薬品の濃度が所定の濃度以下になるように膜モジュール内の容積の例えば3倍〜5倍の水量で実施することが好ましい。
十分にフラッシング後、必要に応じて、図4に示す薬品洗浄工程および図5に示す水フラッシング工程を行った後、バルブ14、16、17を閉鎖し、バルブ11、12、13を開放し、ポンプ3の運転を再開して、図2の示す状態の、ろ過運転を再開する。
また、本発明の別の好ましい実施態様について図6を参照しながら説明する。図6に示された装置は、活性汚泥槽51と、活性汚泥槽51の外に設けられ、水で満たされた膜ろ過槽52と、膜ろ過槽52内に浸漬設置された膜モジュール53と、排水を活性汚泥槽51から膜ろ過槽52へ送る送水ポンプ54と、吸引ポンプ55と、バルブ61〜64と、それらを繋ぐライン(配管)71〜76とを備えている。なお、図示していないが、図1に示したのと同様に自動分析計や薬品タンクを備えていてもよい。
この実施態様の装置では、浸漬型膜モジュール53を、従来の方法のように活性汚泥槽51内に設置するのではなく、膜ろ過槽52内に設置する。この態様の場合、活性汚泥槽51と膜ろ過槽52とが独立しているので、生物処理工程は活性汚泥槽51において行われ、ろ過工程以降の工程は膜ろ過槽52において行われる。
この実施態様では、排水中に含まれる膜洗浄薬品反応性物質と膜洗浄薬品とを接触させないようにするために、ろ過工程と薬品洗浄工程との間に膜ろ過槽52内の水を入れ替えることを要する。以下に、本実施態様における処理手順を説明する。
まず、活性汚泥槽51において、活性汚泥により排水中に含まれる有機物が生物処理される(工程(a))。活性汚泥が混合した排水は、送水ポンプ54によりライン71を介して膜ろ過槽52へ送られ、膜モジュール53によりろ過される(工程(b))。得られた清澄なろ過処理水は、吸引ポンプ55によりバルブ61及びライン72を介して系外に出されて、適宜、再利用等がなされる。一方、膜を通過できなかった固形物は水と一緒に、バルブ62及びライン73を介して活性汚泥槽51に戻す、あるいはバルブ64及びライン76を介して外部に排出される。
次に、送水ポンプ54を停止して活性汚泥槽51と膜ろ過槽52との間を遮断した後、膜ろ過槽52内の残留排水を水に置換する水フラッシング工程を行う(工程(c))。膜ろ過槽52内の水はまだ排水中の物質が残っているので、膜ろ過槽52内の水は返送ライン73を介して活性汚泥槽51に戻される。バルブ63を開けてライン74を介して水を膜ろ過槽52内に送り出し、膜ろ過槽52及び膜モジュール53内の残留排水ならびに膜モジュール53の膜表面および内部の堆積物等を洗い出す。フラッシング後の排水は、返送ライン73を介して活性汚泥槽51に戻される。フラッシング終了後、バルブ61およびバルブ62を閉じる。
その後、水(好ましくは膜透過させた不純物の少ない水)を膜ろ過槽52内に入れるとともに、ライン75あるいはライン74を介して膜洗浄薬品を投入し膜モジュール53の薬品洗浄を行う(工程(d))。図6は、この薬品洗浄工程における塩素殺菌フローについて示している。薬品洗浄終了後、バルブ64を開けてライン76を介して水抜きし、さらに膜ろ過槽52及び膜モジュール53内に残った薬品を除去するためにフラッシングを行う(工程(e))。薬品洗浄後の廃液はライン76を介して水抜きされる。水抜き後、バルブ64を閉じて膜ろ過槽52内を再度水で満たし、バルブ62を開け、送水ポンプ54の運転を再開して、ろ過運転を再開する。これらの工程(a)〜(e)を繰り返すことで、排水を安全に高度処理することができ、さらにろ過処理水を工業用水などへ再利用することが促進される。
このようにして、膜ろ過槽52内の水を各工程において入れ替えることで、膜洗浄薬品反応性物質と膜洗浄薬品とを接触させないようにすることが可能である。
1 活性汚泥槽
2 膜モジュール
3 膜供給ポンプ
4 薬品タンク
5 薬品洗浄ポンプ
6,7 自動計測計
11,12,13,14,15,16,17 バルブ
21,22,23,24,25,26,27,28 ライン(配管)
51 活性汚泥槽
52 膜ろ過槽
53 膜モジュール
54 送水ポンプ
55 吸引ポンプ
61,62,63,64 バルブ
71,72,73,74,75,76 ライン(配管)
101 活性汚泥槽
102 沈殿槽
103 膜モジュール
104 膜モジュール
105 吸引ポンプ
106 バルブ
107 フェノール
108 クロロフェノール

Claims (7)

  1. 活性汚泥槽に流入し、生物処理された排水をポンプにより、該活性汚泥槽の外に設置された膜モジュールに圧送してろ過させる、ろ過工程と、
    前記活性汚泥槽から前記膜モジュールへの経路をバルブで縁切りし、有害物質あるいは運転阻害物質を含まない水で、前記膜モジュールに残留している、膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する排水中に含まれる物質をフラッシングし、前記膜モジュールの上流側から堆積した活性汚泥を該活性汚泥槽に戻し、
    前記膜モジュール中の排水を前記膜洗浄薬品と反応して有害物質あるいは運転阻害物質を生成する物質を含まない水で置換し、置換された排水をろ過処理水として払い出す第1の水フラッシング工程と、
    前記バルブで、前記膜モジュールと前記活性汚泥槽と、前記膜モジュールとろ過排水払い出しラインとを縁切りした状態で、前記膜モジュールは薬品タンクから加圧式ポンプにより膜洗浄薬品を膜モジュールの上流側から、第1の水フラッシング工程で置換された前記膜モジュール中の排水と前記膜洗浄薬品と反応して有害物質あるいは運転阻害物質を生成する物質を含まない水と置換し、前記膜モジュール上流側及び下流側から払い出された膜洗浄薬品が、前記薬品タンクに戻され、前記膜モジュールの上流側へ循環することにより洗浄する薬品洗浄工程と、
    前記バルブで前記膜モジュールと前記活性汚泥槽とを縁切りした状態で、前記膜モジュール中の排水を前記膜洗浄薬品と反応して有害物質あるいは運転阻害物質を生成する物質を含まない水で前記膜モジュール内に残留している膜洗浄薬品をフラッシングし、置換された薬品を前記薬品タンクに戻し、系外に払い出す第2の水フラッシング工程と
    を含み、前記各工程で、前記膜洗浄薬品と反応して有害物質および/または運転阻害物質を生成する生物処理された排水の前記膜モジュールへの流入、流出経路と、前記膜洗浄薬品の前記膜モジュールへの流入、流出経路とを、前記バルブ操作により切り替えることを特徴とする排水の処理方法。
  2. 前記排水が塩素と反応して毒性のある塩素系有機物を生成する有機質を含む排水、および/または塩素もしくはアルカリ剤と反応して膜表面および/または膜内部に析出する金属化合物を形成する金属を含む排水であることを特徴とする請求項1に記載の排水の処理方法。
  3. 前記薬品洗浄工程後、前記膜洗浄薬品と反応して有害物質あるいは運転阻害物質を生成する物質を含まない水で膜モジュール内に残留している薬品を所定の濃度以下までフラッシングしてから槽外の膜モジュールと活性汚泥槽とを縁切する前記バルブを開放することを特徴とする請求項1または2に記載の排水の処理方法。
  4. 前記水フラッシング工程に用いられた水は、排水と接触する場所以外の系外に放出することを特徴とする請求項記載の排水の処理方法。
  5. 前記薬品洗浄工程および前記水フラッシング工程を、自動分析計および/またはタイマーにより進行管理を行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の排水の処理方法。
  6. 前記膜モジュールが、ハウジングに収納された、限外ろ過膜、精密ろ過膜、逆浸透膜、またはイオン交換膜を用いて形成されたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の排水の処理方法。
  7. 前記バルブが3方弁である請求項1〜のいずれか1項に記載の排水の処理方法。
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