JP2009240191A - 光照射によるリグナン類・リグニン類合成系遺伝子の発現増強 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明によれば、植物に、435nm〜490nmの波長領域内の波長成分を含む光を照射することにより、植物の(1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子および/または(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子の発現を促進させることが可能であり、これら遺伝子の発現が、例えばp-クロマリン酸からp-ヒドロキシフェニルリグニンへの変換反応を促進することにより、リグナン類および/またはリグニン類ならびにそれらの代謝物の生産能を向上させることができる。よって、本発明は、リグナン類、リグニン類またはそれらの代謝物の効率的な製造に利用することができる。
【選択図】なし
Description
Bharti, A.K. and Khurana, J.P. (1997): Photochem. Photobiol., 65, 765-776. von Lintig, J., Welsch, R., Bonk, M., Giuliano, G., Batschauer, A., and Kleinig, H. (1997): Sinapis alba and Arabidopsis thaliana seedlings. Plant J., 12, 625-634. 植物ポリフェノール含有素材の開発 その機能性と安全性 (食品シリーズ):シーエムシー出版 (2007年2月発行) モノグラフ生薬の薬効・薬理、(著者)鳥居塚 和生、伊田喜光、寺澤 捷年、出版社: 医歯薬出版(2003年5月発行)
[1] 植物に光を照射することを含む、植物のリグナン類またはリグニン類の合成に関与する、(1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子および/または(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子の発現を促進する方法。
[2] 光が、435nm〜780nmの波長領域内の波長成分を含む、項目1に記載の方法。
[3] 435nm〜780nmの波長領域内の波長成分の光量子束密度が、50μmol m-2s-1〜300μmol m-2s-1の範囲内である、項目2に記載の方法。
[4] 光が、450nm〜490nmまたは610nm〜780nmの波長領域内の波長成分を含む、項目1記載の方法。
[5] 450nm〜490nmまたは610nm〜780nmの波長領域内の波長成分の光量子束密度が、100μmol m-2s-1〜250μmol m-2s-1の範囲内である、項目4に記載の方法。
[6] 光を2日〜2週間照射する、項目2〜5のいずれか1項に記載の方法。
[7] 光を2日間照射する、項目2〜5のいずれか1項に記載の方法。
[8] 前記植物が双子葉植物または単子葉植物である、項目1〜7のいずれか1項に記載の方法。
[9] 前記植物がシロイヌナズナ、ナタネ、キャベツ、ハクサイ、ダイコン、カリフラワー、ブロッコリー、レッドキャベツ、マスタード、ルッコラまたはクレソである、項目8に記載の方法。
[10] 前記植物がシロイヌナズナである、項目9に記載の方法。
[11] (1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子、または(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子のうちの1つ以上の発現を促進する、項目1に記載の方法。
[12] (1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子または(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子の発現が、対照と比較して2倍以上の発現量を示す、項目11に記載の方法。
[13] (1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子が、以下(1a)〜(1f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、項目1〜12のいずれか1項に記載の方法:
(1a)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(1b)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(1c)配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3の活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(1d)配列番号:2のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3の活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(1e)配列番号:1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3の活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(1f)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[14] (2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子が、以下(2a)〜(2f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、項目1〜12のいずれかに記載の方法:
(2a)配列番号:3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(2b)配列番号:4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(2c)配列番号:4のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつシンナモイル-CoA-レダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(2d)配列番号:4のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつシンナモイル-CoA-レダクターゼシンナモイル-CoA-レダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(2e)配列番号:3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつシンナモイル-CoA-レダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(2f)配列番号:4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつシンナモイル-CoA-レダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[15] (3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子が、以下(3a)〜(3f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、項目1〜12のいずれかに記載の方法:
(3a)配列番号:5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(3b)配列番号:6のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(3c)配列番号:6のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつシンナミルアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(3d)配列番号:6のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつシンナミルアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(3e)配列番号:5の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつシンナミルアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(3f)配列番号:6のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつシンナミルアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[16] (4)ペルオキシダーゼ21遺伝子が、以下(4a)〜(4f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、項目1〜12のいずれかに記載の方法:
(4a)配列番号:7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(4b)配列番号:8のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(4c)配列番号:8のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつペルオキシダーゼ21活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(4d)配列番号:8のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつペルオキシダーゼ21活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(4e)配列番号:7の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつペルオキシダーゼ21活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(4f)配列番号:8のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつペルオキシダーゼ21活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[17] 項目1〜16に記載の方法により、リグナン類またはリグニン類を製造する方法。
[18] 項目17に記載の方法により生産される、リグナン類またはリグニン類。
[19] 項目18に記載のリグナン類および/またはリグニン類を含む、医薬組成物。
[20] 項目18に記載のリグナン類および/またはリグニン類を含む、飲食品または栄養補助食品。
本発明で使用される植物としては、光に応答してリグナン類、リグニン類を生合成する植物であればよく、特に制限されない。このような植物としては、例えば、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana )、チョウセンニンジン(Panax Binseng)、ワタ(Gossypium indicum )、アサ(Cannabis sativa )、アブラナ(Brassica campestris )、カブラ(Brassica campestris )、キャベツ(Brassica oleracea )、ダイコン(Raphanus sativus )、セイヨウカボチャ(Cucurbita Pepo )、カボチャ(Cucurbita moschata )、キウリ(Cucumis sativus )、メロン(Cucumis Melo )、スイカ(Citrullus Battich )、オランダイチゴ(Fragaria chiloensis )、アラスカエンドウ(Pisum sativum Alaska )、アズキ(Phaseolus angularis )、ナンキンマメ(Arachis hypogaea )、ダイズ(Glycine max )、インゲンマメ(Phaseolusvulgaris )、ソラマメ(Vicia Faba )、エンドウ(Pisum sativum )、ミカン(Citrus deliciosa )、ブドウ(Vitis vinifera )、ゴマ(Sesamum indicum )、サツマイモ(Ipomoea Batatas )、ナス(Solanum melongena )、ジャガイモ(Solanum tuberosum )、トマト(Lycopersicon esculentum )、トウガラシ(Capsicum annuum )、タバコ(Nicotiana tabacum )、ツクバネアサガオ(Petunia hybrida )、ヒマワリ(Helianthus annuus )、ゴボウ(Arctium Lappa )、キク(Chrysanthemum morifolium )、ホウレンソウ(Spinacia oleracea )、カリフラワー(Brassica oleracea var. botrytis)、ブロッコリー(Brassica oleracea var. italica)、レッドキャベツ(Brassica oleracea var. capitata f. rubra)、マスタード(Brassica juncea)、ルッコラ(Eruca vesicaria)またはクレソ(Nasturtium officinale)などの双子葉植物;イネ(Oryza sativa )、コムギ(Triticum aestivum )、オオムギ(Hordeum vulgare )、トウモロコシ(Zea mays )、エンバク(Avena sativa )、ヒエ(Panicum Crus-galli L. var. frumentaceum )、モロコシ(Sorghum bicolor )、アワ(Setaria italica )、キビ(Panicum miliaceum )、チューリップ(Tulipa Gesneriana )、サトイモ(Colocasia antiquorum )、アオウキクサ(Lemna paucicostata )またはサトウキビ(Saccharum officinarum )などの単子葉植物;テーダマツ(Pinus taeda)、カイガンショウ(Pinus pinaster)、カナダトウヒ(Picea glauca)、シトカトウヒ(Picea sitchensis)などのその他の種子植物などが挙げられる。好ましくは、当該分野で通常栽培される双子葉植物または単子葉植物であり、さらに好ましくはシロイヌナズナ、ナタネ、キャベツ、ハクサイ、ダイコン、カリフラワー、ブロッコリー、レッドキャベツ、マスタード、ルッコラまたはクレソなどである。
2−1.本発明で使用される光の波長について
上記のように、本発明は、植物に光を照射することを含む、植物のリグナン類またはリグニン類の合成に関与する(1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子または(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子の発現を促進する方法を提供する。ここで、本発明で使用される光としては、植物の(1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子および/または(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子の発現を促進できるものであればよく、特に制限はない。例えば光合成においては、青色帯(435nm〜480nm)および赤色帯(610nm〜750nm)において効率的であることが公知である。したがって、上記遺伝子の発現促進効率の観点からは、好ましくは約435nm〜約780nmの波長領域内、より好ましくは約435nm〜約490nmまたは約610nm〜約780nmの波長領域内、特に好ましくは約460nm〜約490nmまたは約650nm〜約670nmの波長領域内、特に好ましくは約470nmまたは約660nmの波長の波長成分を含む光が挙げられる。
光量子束密度としては、植物の(1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子または(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子の発現を促進できる光量子束密度であればよく、特に制限はない。これら遺伝子の発現促進効率の観点からは、上記波長領域または波長の波長成分の光量子束密度は、好ましくは50μmol m-2s-1〜300μmol m-2s-1の範囲内、さらに好ましくは75μmol m-2s-1〜300μmol m-2s-1または100μmol m-2s-1〜250μmol m-2s-1の範囲内である。
光照射時間は、照射する光の光量子束密度によっても異なるが、植物の(1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子および/または(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子の発現を促進できる光照射時間であればよく、特に制限はないが、連続照射であるのが好ましい。これら遺伝子の発現促進効率の観点からは、光量子束密度が50μmol m-2s-1〜300μmol m-2s-1の範囲内である場合には、光照射時間は、通常1時間以上、好ましくは6時間〜8週間、より好ましくは12時間〜6週間、さらに好ましくは24時間から4週間程度である。光量子束密度が50μmol m-2s-1〜200μmol m-2s-1の範囲内である場合には、光照射時間は、通常1日以上、好ましくは1日〜8週間、より好ましくは1.5日〜6週間、さらに好ましくは2日から4週間程度である。光量子束密度が200μmol m-2s-1〜300μmol m-2s-1の範囲内である場合には、光照射時間は、通常1時間〜14日、好ましくは2時間〜10日、より好ましくは6時間〜1週間、さらに好ましくは12時間から4日間程度である。
本発明で用いられる光源としては、人工光源を用いる場合には、なるべく(1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子および/または(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子の発現促進効率の高い波長成分の光のみを用いるのが、エネルギー効率の観点からは好ましい。好ましくは、上記に示される特定の波長を発する光源が挙げられる。
(1) 電力消費量が少なく、かつ効率がよい
(2) 発熱がほとんど無い
(3) 発光ダイオード単体が小さいため、光源としての発光機器はその形状を自由に変化させることできる
(4) 発光ダイオードはそれぞれの種類によって光の波長域が狭く(スペクトル幅が小さく)、その組み合わせによって自由に目的の波長域を得ることができるので、植物の栽培に適した波長域を容易に設定して照射を行なうことができる、
などの特徴および効果を有している。すなわち、LEDは、スペクトル幅の小さな単色光/低電圧で駆動可能/コンパクト/発熱が少ないという特性を有しており、植物に必要な波長の光を組み合わせて照射を行なうことにより、小さなエネルギで効率よく特定の植物生理機能や形態形成を促すことが可能になるとともに、植物の要部に対する近接照射を容易に行なうことが可能である。さらに、高輝度LEDを利用することによって、より強い光量子束密度を提供することが可能であり、このことによって、より強い生合成を植物に誘導させることが可能である。
3−1.本発明に関係する遺伝子について
上記のように、本発明は、植物に光を照射することを含む、植物のリグナン類またはリグニン類の合成に関与する(1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子または(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子の発現を促進する方法を提供する。すなわち、上記の(1)、(2)、(3)および/または(4)の遺伝子の発現の促進によって、リグナン類・リグニン類およびその代謝物の生産能を向上させることができる。植物におけるリグナン類・リグニン類についての例示の生合成経路については、図1に示される。この過程において、(1)に由来する4-クマロイル-CoA-シンターゼ3は、p-クマリン酸→p-クマロイルCoAの反応過程を促進し、(2)に由来するシンナモイル-CoA-レダクターゼはp-クマロイルCoA→p-クマルアルデヒドの反応過程を促進し、(3)に由来するシンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーはp-クマルアルデヒド→p-クマリルアルコールの反応過程を促進し、そして(4)に由来するペルオキシダーゼ21はp-クマリルアルコール→p-ヒドロキシフェニルリグニンの反応過程を促進させる。例えば、本発明において使用されるシロイヌナズナにおいて、これらの遺伝子は、(1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子(遺伝子番号At1g65060)(配列番号:1)、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子(遺伝子番号At4g30470)(配列番号:3)、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子(遺伝子番号At1g09500.2)(配列番号:5)、および(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子(遺伝子番号At2g22420)(配列番号:7)が関係しており、それらの遺伝子産物はそれぞれ、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、および配列番号:8に示される。それぞれの配列に関しては、以下URLなどを参照のこと:At1g65060:http://www.arabidopsis.org/servlets/TairObject?type=aa_sequence&id=1009105083、
At4g30470:http://www.arabidopsis.org/servlets/TairObject?type=aa_sequence&id=1009127500、
At1g09500.2:http://www.arabidopsis.org/servlets/TairObject?type=aa_sequence&id=1009105879、
At2g22420:http://www.arabidopsis.org/servlets/TairObject?type=aa_sequence&id=1009117091。
本発明に係るポリヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)の形態、またはDNAの形態(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)で存在し得る。DNAは、二本鎖または一本鎖であり得る。一本鎖DNAまたはRNAは、コード鎖(センス鎖としても知られる)であり得るか、またはそれは、非コード鎖(アンチセンス鎖としても知られる)であり得る。
一実施形態において、本発明の方法において対象とする遺伝子は、ポリペプチドをコードする遺伝子の塩基配列において1または複数個の塩基が欠失、挿入、置換、または付加された変異体であってもよい。変異体は、コードもしくは非コード領域、またはその両方において変異され得る。コード領域における変異は、保存的または非保存的なアミノ酸の欠失、挿入、置換および/または付加を含み得る。本明細書中で使用される場合、例えば、4-クマロイル-CoA-シンターゼ3のアミノ酸配列(配列番号:2)において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3活性を有するタンパク質などが挙げられる。
4−1.代謝、代謝経路について
上記のように、本発明は、植物に光を照射することを含む、植物のリグナン類またはリグニン類の合成に関与する(1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子または(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子の発現を促進する方法を提供する。ここで、本明細書において、「代謝」には、同化(合成)および異化(分解)のいずれも含まれる。植物における各種代謝経路を媒介する酵素の働きにより、有用性の高い機能性・薬効性成分が生合成される。植物には数十種に及ぶ代謝経路の存在が予想されており、それぞれの代謝経路は、さらに数十種の代謝酵素によって構成されている。これらの代謝酵素のうち9割以上はすべての植物に共通であり、残りの1割弱の酵素の違いにより植物に固有の成分が蓄積すると考えられる。
本明細書中で使用されるリグナン類は、維管束植物の二次代謝物(例えば、セサミンおよびセサモリンなど)であり、植物に広く分布している。リグナン類は、植物の種子、果実、切穂、塊茎、および/または塊根等に含まれている事がこれまでに報告されており、主として植物における生体防御機構に寄与していると考えられている。このリグナン類は強力な抗酸化性などを有しており、この機能によって、植物以外においても広範囲にわたる生理学的および薬理学的機能を有することが注目されている。
本発明に係るリグニン類は、植物の維管束組織に多量に存在する主要なポリフェノールの一つであり、多糖が結合して細胞壁を強固にし、植物体の支持に機能する。リグニン類は、フェニルプロペノイドポリマーの不定形の構造をとり(Methods Enzymol., 161: 87-101, 1988)、抗腫瘍活性、抗菌活性、抗ウイルス(エイズウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス)活性(直接的にウイルスの細胞への付着を阻止することによる)(In Vivo, 13: 155-171, 1999)、または肌の収れん効果や食物繊維としての整腸作用が報告されるなど、多彩な生物活性を示す有用性の高い生成物である。さらにリグニン類は、単球や多形核白血球等の貪食細胞のヨード化(放射性ヨードの酸不溶性画分への取り込み)を促進したが、これは、ミエロペルオキシダーゼ・ハロゲン・過酸化水素抗菌システムの活性化を示唆する。リグニンはまた、マクロファージや単球による腫瘍壊死因子(TNF)やインターロイキン-1 (IL-1)の産生を促進することが観察される(Int. J. Oncol., 1: 283-287, 1992)。
6−1.本発明に関する医薬組成物およびその形態について
上記のように、本発明は、植物に光を照射することを含む、植物のリグナン類またはリグニン類の合成に関与する(1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子または(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子の発現を促進する方法を提供する。さらに本発明は、上記の方法により生産された、リグナン類またはリグニン類を提供する。本発明により高効率生産されたリグナン類、リグニン類は、種々の医薬組成物において利用可能である。本発明の医薬組成物は、生体、すなわち、哺乳動物(例、ヒト、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して、投与することができる。本発明において、当該生体は、上記に列挙された疾患または障害、すなわち、腫瘍、微生物などの感染、肝障害、アレルギー、潰瘍、血小板凝集、癌などを患う生体に投与され得る。
本発明のキットに含まれる製剤は、前記医薬組成物を含む限り、その剤形は特に限定されない。本発明の医薬組成物またはキットを使用する場合には、経口もしくは非経口的に投与することができる。
7−1.本発明に関する飲食品・栄養補助食品の一般的形態について
本発明の方法によって生産されるリグナン類・リグニン類またはこれを含む植物体を、生鮮食料品、各種飲食品、飼料、ペットフードなどに利用することができる。また本発明の方法によって生産されるリグナン類・リグニン類またはこれを含む植物体を、例えば、果物、野菜、ハーブ、任意のビタミン、ミネラルなど、およびそれらの材料の栄養の偏りを補助する栄養補助食品に利用できる。
本発明の方法によって生産されるリグナン類・リグニン類または植物体は、本質的な健康に寄与し得る。例えば、一実施態様においては、栄養的に不十分な食事を消費する人々の健康を維持することができ、抗酸化や栄養の状況を改善することができ、ある種の変性疾患状態のリスクの減少と関連しているレベルに対して不十分な食事の結果として血清栄養素や植物化学レベルを補充することができ、正常な老化現象や環境ストレスに曝さらされる結果として起こるフリーラジカル損傷を最小限に抑えることができ、そして/または最適健康、即ち、ホモシステイン、脂質副産物、無機質状態及びグルタチオンペルオキシダーゼを表す特定のバイオマーカー等の状態を改善することができる。
本発明において飲食品とは、植物体そのものの未加工である生鮮食料品などの形態、または加工された溶液、懸濁物、粉末、固体成形物などの経口摂取可能な形態であれば良く特に限定されない。例えば、本発明の方法にしたがって収穫前に所定の期間光照射して、より効率的にリグナン類・リグニン類を生産させた植物体は、その植物体の商品価値を大いに向上させ得る。本発明の方法によって生産されるリグナン類・リグニン類または植物体を加工した飲食品としては、より具体的には、即席麺、レトルト食品、缶詰、、フリーズドライ食品等の即席食品類、清涼飲料、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、栄養飲料、アルコール飲料等の飲料類、パン、パスタ、麺等の小麦粉製品、飴、キャラメル、チューイングガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ等の菓子類、ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス等の調味料、加工油脂、バター、マーガリン等の油脂類、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、アイスクリーム類、クリーム類等の乳製品、冷凍食品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品等の水産加工品、畜肉ハム・ソーセージ等の畜産加工品、農産缶詰、ジャム・マーマレード類、漬け物、煮豆、シリアル等の農産加工品、栄養食品、流動食、経口・経管栄養剤、ベビーフード、錠剤、カプセル等が例示される。
本発明の方法によって生産されるリグナン類・リグニン類または植物体を各種飲食品、飼料、ペットフード等に加工する際、殺菌をともなっても良い。殺菌としては、常圧蒸気殺菌、過熱蒸気殺菌、UHT殺菌、マイクロ波殺菌、レトルト殺菌、ボイル殺菌、ガス殺菌、通電殺菌、放射線殺菌等が挙げられる。
実験植物:
当研究室で継代されているモデル植物シロイヌナズナ (Arabidopsis thaliana) の野生系統Columbia (Col-0) を用いた。
人工気象機 (Biotron NC220, NKsystem) を用い,22℃,湿度40-60%,MS培地 (後述) において、白色蛍光灯 (100μmol m-2 s-1) 下で生育させた植物を「対象」とし、以下の条件で3週間生育後、分析に供した。
光質 青色LED (470 nm),赤色LED (660 nm),青色LED+赤色LED,青色LED (パルス光)
照射時間/光量子束密度 2週間 (白色蛍光灯で1週間生育後2週間照射)/110μmol m-2 s-1,2日 (白色蛍光灯で19日間生育後2日間照射)/240μmol m-2 s-1
1.5-mlチューブに種子を分注し、70% エタノール 1 mlを加え、1分間振盪した。遠心し、上清を捨て、滅菌溶液 (0.25% 次亜塩素酸,0.1% Tween 20) 1 mlを加えて、10-15分振盪した。クリーンベンチ内で軽く遠心し、上清を捨て、純水1 mlを加えて洗浄した。洗浄を5回繰り返し、純水1 mlを加えた状態でアルミホイルに包み、4℃で約1週間春化処理を行った。再び、クリーンベンチ内で軽く遠心し、上清を捨て、別にオートクレーブ処理(121℃,20分)した0.3% アガロース溶液1 mlに懸濁した。ピペットのチップに取りシャーレに播種した。
シロイヌナズナ葉50 mgよりRNeasy Plant Mini Kit (Qiagen) を用い、標準プロトコルに従って全 RNAを回収した。全RNA 15 μgを初期量とし、One-Cycle cDNA Synthesis Kit (Affymetrix) を用いてcDNA合成を行った。GeneChip Sample Cleanup Module (Affymetrix) を用いてcDNAを精製後、GeneChip IVT Labeling Kit (Affymetrix) を用いてビオチン標識されたcRNAを合成した。GeneChip Sample Cleanup Module (Affymetrix) を用いてcRNAを精製した。cDNA合成からの作業手順はGene Chip Expression Analysis Technical Manualに従って行った。引き続き、GeneChip Arabidpsis ATH1 Genome Array (Affymetrix) に対し標準プロトコルに従って16時間ハイブリダイズを行った。Fluidics Station 450 (Affymetrix) を用いて49 Format用のプログラムにより自動で洗浄と染色を行い、Affymetrix GeneChip Scanner 3000 (Affymetrix) によりデータの取り込みを行った。シグナルの数値化および補正にはGeneChip Operating Software (Affymetrix) を用い、その後の解析にはExcel (Microsoft) を使用した。
「青色2週」では237種の遺伝子、「青色2日」では203種の遺伝子について、「対照」と比較して2倍以上発現が増大していることが明らかになった。また、それら遺伝子はKyoto Encyclopedia of Genes and Genomes (KEGG) により、「青色2週」では29種の遺伝子 (表2)、「青色2日」では26種の遺伝子 (表3) がシロイヌナズナにおける代謝系関連遺伝子として分類された。具体的には、「青色2週」の29種の遺伝子は34種の代謝系において23種の酵素番号に分類され、「青色2日」の26種の遺伝子は29種の代謝系において22の酵素番号に分類された。分類された代謝系にはフラボノイド合成系、スチルベン・クマリン・リグニン合成系、フェニルアラニン・チロシン・トリプトファン合成系といった、いわゆる機能性成分の合成につながると考えられる系や、アスコルビン酸代謝系、アルカロイド合成系といったビタミン類の代謝・合成に関連すると考えられる系が含まれていた (表2,表3)。さらに、KEGG未収録分から、リグニン類合成系の2種の酵素の遺伝子発現が「青色2日」で2倍以上に増大していた (表4)。
本発明において、特定の波長の青色光を照射する条件により、(1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子および/または(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子の発現を促進させることに成功した。これらの酵素によって、植物においてリグナン類およびリグニン類の生合成が促進されることが期待される。リグナン類として、五味子のゴミシンには肝障害改善作用および抗アレルギー作用を有するピノレジノール、辛夷のマグノサリンおよび厚朴のホオノキオールには抗潰瘍・血小板凝集阻害活性、細辛のアサロンには抗アレルギー作用などが認められている。また、ポドフィロトキシンは抗ガン剤エトポシドのリード化合物として知られている。一方、リグニン類は、肌の収れん効果や食物繊維としての整腸作用が報告されている。本発明の条件によるLEDの照射により、これらの成分の効率的な量的増加が期待できる (図1)。
(配列番号:2)配列番号:1のアミノ酸配列
(配列番号:3)シロイヌナズナにおけるシンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子(遺伝子番号At4g30470)
(配列番号:4)配列番号:3のアミノ酸配列
(配列番号:5)シロイヌナズナにおけるシンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子(遺伝子番号At1g09500.2)
(配列番号:6)配列番号:5のアミノ酸配列
(配列番号:7)シロイヌナズナにおけるペルオキシダーゼ21遺伝子(遺伝子番号At2g22420)
(配列番号:8)配列番号:7のアミノ酸配列
Claims (20)
- 植物に光を照射することを含む、植物のリグナン類またはリグニン類の合成に関与する、(1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子および/または(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子の発現を促進する方法。
- 光が、435nm〜780nmの波長領域内の波長成分を含む、請求項1記載の方法。
- 435nm〜780nmの波長領域内の波長成分の光量子束密度が、50μmol m-2s-1〜300μmol m-2s-1の範囲内である、請求項2に記載の方法。
- 光が、450nm〜490nmまたは610nm〜780nmの波長領域内の波長成分を含む、請求項1に記載の方法。
- 450nm〜490nmまたは610nm〜780nmの波長領域内の波長成分の光量子束密度が、100μmol m-2s-1〜250μmol m-2s-1の範囲内である、請求項4に記載の方法。
- 光を2日〜2週間照射する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 光を2日間照射する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記植物が双子葉植物または単子葉植物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記植物がシロイヌナズナ、ナタネ、キャベツ、ハクサイ、ダイコン、カリフラワーまたはブロッコリー、レッドキャベツ、マスタード、ルッコラまたはクレソである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 前記植物がシロイヌナズナである、請求項9に記載の方法。
- (1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子、または(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子のうちの1つ以上の発現を促進する、請求項1に記載の方法。
- (1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子、(3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子または(4)ペルオキシダーゼ21遺伝子の発現が、対照と比較して2倍以上の発現量を示す、請求項11に記載の方法。
- (1)4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子が、以下(1a)〜(1f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法:
(1a)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(1b)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(1c)配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3の活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(1d)配列番号:2のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3の活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(1e)配列番号:1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3の活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(1f)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。 - (2)シンナモイル-CoA-レダクターゼ遺伝子が、以下(2a)〜(2f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法:
(2a)配列番号:3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(2b)配列番号:4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(2c)配列番号:4のアミノ酸配において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつシンナモイル-CoA-レダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(2d)配列番号:4のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつシンナモイル-CoA-レダクターゼシンナモイル-CoA-レダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(2e)配列番号:3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつシンナモイル-CoA-レダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(2f)配列番号:4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつシンナモイル-CoA-レダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。 - (3)シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼファミリーの遺伝子が、以下(3a)〜(3f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法:
(3a)配列番号:5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(3b)配列番号:6のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(3c)配列番号:6のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつシンナミルアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(3d)配列番号:6のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつシンナミルアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(3e)配列番号:5の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつシンナミルアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(3f)配列番号:6のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつシンナミルアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。 - (4)ペルオキシダーゼ21遺伝子が、以下(4a)〜(4f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法:
(4a)配列番号:7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(4b)配列番号:8のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(4c)配列番号:8のアミノ酸配列又は配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつペルオキシダーゼ21活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(4d)配列番号:8のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつペルオキシダーゼ21活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(4e)配列番号:7の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつペルオキシダーゼ21活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(4f)配列番号:8のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつペルオキシダーゼ21活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。 - 請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法により、リグナン類またはリグニン類を製造する方法。
- 請求項17に記載の方法により生産される、リグナン類またはリグニン類。
- 請求項18に記載のリグナン類および/またはリグニン類を含む、医薬組成物。
- 請求項18に記載のリグナン類および/またはリグニン類を含む、飲食品または栄養補助食品。
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