JP2009240193A - 光照射によるフラボノイド類合成系遺伝子の発現増強 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】植物に435nm〜780nmの波長領域内の波長成分の光量子束密度が50μmol m-2s-1〜300μmol m-2s-1の範囲内である光を照射し、カルコン合成酵素遺伝子、フラバノン3-ヒドロキシラーゼ遺伝子、ジヒドロフラバノール4-レダクターゼ遺伝子またはUDP-グルコシルトランスフェラーゼファミリーの遺伝子のうちの1つ以上の遺伝子発現を促進することによる植物によるフラボノイド類の合成を向上させる方法。
【選択図】なし
Description
[1] 435nm〜780nmの波長領域内の波長成分を含む光を照射することを含む、植物によるフラボノイド類の合成を向上させる方法。
[2] 435nm〜780nmの波長領域内の波長成分の光量子束密度が、50μmol m-2s-1〜300μmol m-2s-1の範囲内である、項目2に記載の方法。
[3] 光が、450nm〜490nmまたは610nm〜780nmの波長領域内の波長成分を含む、項目1に記載の方法。
[4] 450nm〜490nmまたは610nm〜780nmの波長領域内の波長成分の光量子束密度が、100μmol m-2s-1〜250μmol m-2s-1の範囲内である、項目4に記載の方法。
[5] 光を2日〜2週間照射する、項目2〜5のいずれか1項に記載の方法。
[6] 光を2日間照射する、項目2〜5のいずれか1項に記載の方法。
[7] 前記植物が双子葉植物または単子葉植物である、項目1〜7のいずれか1項に記載の方法。
[8] 前記植物がシロイヌナズナ、ナタネ、キャベツ、ハクサイ、ダイコン、カリフラワー、ブロッコリー、レッドキャベツ、マスタード、ルッコラまたはクレソである、項目1〜7のいずれか1項に記載の方法。
[9] 前記植物がシロイヌナズナである、項目8に記載の方法。
[10] 前記フラボノイド類がケンフェロール、ケルセリンまたはフラボノールグリコシドである、項目1〜9のいずれか1項に記載の方法。
[11] 前記フラボノイド類がケンフェロールである、項目10に記載の方法。
[12] (1) カルコン合成酵素遺伝子、(2) フラバノン3-ヒドロキシラーゼ遺伝子、(3) ジヒドロフラバノール4-レダクターゼ遺伝子または(4) UDP-グルコシルトランスフェラーゼファミリーの遺伝子のうちの1つ以上の遺伝子の発現を促進する、項目1〜11のいずれか1項に記載の方法。
[13] (5) 4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子の発現促進をさらに含む、項目12に記載の方法。
[14] (1) カルコン合成酵素遺伝子、(2) フラバノン3-ヒドロキシラーゼ遺伝子、(3) ジヒドロフラバノール4-レダクターゼ遺伝子、(4) UDP-グルコシルトランスフェラーゼファミリーの遺伝子、および/または(5) 4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子の発現が、対照と比較して2倍以上の発現量を示す、項目12または13に記載の方法。
[15] (1) カルコン合成酵素遺伝子が、以下(1a)〜(1f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、項目12〜14のいずれか1項に記載の方法:
(1a)配列番号:3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(1b)配列番号:4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(1c)配列番号:4のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつカルコン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(1d)配列番号:4のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつカルコン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(1e)配列番号:3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(1f)配列番号:4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[16] (2) フラバノン3-ヒドロキシラーゼ遺伝子が、以下(2a)〜(2f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、項目12〜14のいずれか1項に記載の方法:
(2a)配列番号:5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(2b)配列番号:6のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(2c)配列番号:6のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつフラバノン3-ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(2d)配列番号:6のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつフラバノン3-ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(2e)配列番号:5の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフラバノン3-ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(2f)配列番号:6のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフラバノン3-ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[17] (3) ジヒドロフラバノール4-レダクターゼ遺伝子が、以下(3a)〜(3f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、項目12〜14のいずれか1項に記載の方法:
(3a)配列番号:7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(3b)配列番号:8のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(3c)配列番号:8のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつジヒドロフラバノール4-レダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(3d)配列番号:8のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつジヒドロフラバノール4-レダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(3e)配列番号:7の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつジヒドロフラバノール4-レダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(3f)配列番号:8のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつジヒドロフラバノール4-レダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[18] (4) UDP-グルコシルトランスフェラーゼファミリーの遺伝子が、以下(4a)〜(4f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、項目12〜14のいずれか1項に記載の方法:
(4a)配列番号:9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(4b)配列番号:10のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(4c)配列番号:10のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつUDP-グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(4d)配列番号:10のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつUDP-グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(4e)配列番号:9の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつUDP-グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(4f)配列番号:10のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつUDP-グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[19] (5) 4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子が、以下(5a)〜(5f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、項目13または14に記載の方法:
(5a)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(5b)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(5c)配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(5d)配列番号:2のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(5e)配列番号:1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(5f)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[20] 項目1〜19のいずれか1項に記載の方法によりフラボノイド類を製造する方法。
[21] 項目20に記載の方法により生産される、フラボノイド類。
[22] 前記フラボノイド類がケンフェロールである、項目21に記載のフラボノイド類。
[23] 項目21に記載のフラボノイド類を含む、医薬組成物。
[24] 項目21に記載のフラボノイド類を含む、飲食物または栄養補助食品。
本発明で使用される植物としては、光に応答してリグナン類、リグニン類を生合成する植物であればよく、特に制限されない。このような植物としては、例えば、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana )、チョウセンニンジン(Panax Binseng)、ワタ(Gossypium indicum )、アサ(Cannabis sativa )、アブラナ(Brassica campestris )、カブラ(Brassica campestris )、キャベツ(Brassica oleracea )、ダイコン(Raphanus sativus )、セイヨウカボチャ(Cucurbita Pepo )、カボチャ(Cucurbita moschata )、キウリ(Cucumis sativus )、メロン(Cucumis Melo )、スイカ(Citrullus Battich )、オランダイチゴ(Fragaria chiloensis )、アラスカエンドウ(Pisum sativum Alaska )、アズキ(Phaseolus angularis )、ナンキンマメ(Arachis hypogaea )、ダイズ(Glycine max )、インゲンマメ(Phaseolusvulgaris )、ソラマメ(Vicia Faba )、エンドウ(Pisum sativum )、ミカン(Citrus deliciosa )、ブドウ(Vitis vinifera )、ゴマ(Sesamum indicum )、サツマイモ(Ipomoea Batatas )、ナス(Solanum melongena )、ジャガイモ(Solanum tuberosum )、トマト(Lycopersicon esculentum )、トウガラシ(Capsicum annuum )、タバコ(Nicotiana tabacum )、ツクバネアサガオ(Petunia hybrida )、ヒマワリ(Helianthus annuus )、ゴボウ(Arctium Lappa )、キク(Chrysanthemum morifolium )、ホウレンソウ(Spinacia oleracea )、カリフラワー(Brassica oleracea var. botrytis)、ブロッコリー(Brassica oleracea var. italica)、レッドキャベツ(Brassica oleracea var. capitata f. rubra)、マスタード(Brassica juncea)、ルッコラ(Eruca vesicaria)またはクレソ(Nasturtium officinale)などの双子葉植物;イネ(Oryza sativa )、コムギ(Triticum aestivum )、オオムギ(Hordeum vulgare )、トウモロコシ(Zea mays )、エンバク(Avena sativa )、ヒエ(Panicum Crus-galli L. var. frumentaceum )、モロコシ(Sorghum bicolor )、アワ(Setaria italica )、キビ(Panicum miliaceum )、チューリップ(Tulipa Gesneriana )、サトイモ(Colocasia antiquorum )、アオウキクサ(Lemna paucicostata )またはサトウキビ(Saccharum officinarum )などの単子葉植物;テーダマツ(Pinus taeda)、カイガンショウ(Pinus pinaster)、カナダトウヒ(Picea glauca)、シトカトウヒ(Picea sitchensis)などのその他の種子植物などが挙げられる。好ましくは、当該分野で通常栽培される双子葉植物または単子葉植物であり、さらに好ましくはシロイヌナズナ、ナタネ、キャベツ、ハクサイ、ダイコン、カリフラワー、ブロッコリー、レッドキャベツ、マスタード、ルッコラまたはクレソなどである。
2−1.本発明で使用される光の波長について
上記のように、本発明は、特定の波長領域内の波長成分を含む光を照射することを含む、植物によるフラボノイド類の合成を向上させる方法に関する。好ましくは約435nm〜約780nmの波長領域内、より好ましくは約435nm〜約490nmまたは約610nm〜約780nmの波長領域内、特に好ましくは約460nm〜約490nmまたは約650nm〜約670nmの波長領域内、特に好ましくは約470nmまたは約660nmの波長の波長成分を含む光が挙げられる。好ましくは、上記の光照射によって、植物において (1) カルコン合成酵素遺伝子、(2) フラバノン3-ヒドロキシラーゼ遺伝子、(3) ジヒドロフラバノール4-レダクターゼ遺伝子 (4) UDP-グルコシルトランスフェラーゼファミリーの遺伝子および/または(5) 4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子の発現を促進することができる。
光量子束密度としては、植物の(1) 4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(1) カルコン合成酵素遺伝子、(2) フラバノン3-ヒドロキシラーゼ遺伝子、(3) ジヒドロフラバノール4-レダクターゼ遺伝子および/または(4) UDP-グルコシルトランスフェラーゼファミリーの遺伝子の発現を促進できる光量子束密度であればよく、特に制限はない。これら遺伝子の発現促進効率の観点からは、上記波長領域または波長の波長成分の光量子束密度は、好ましくは50μmol m-2s-1〜300μmol m-2s-1の範囲内、さらに好ましくは75μmol m-2s-1〜300μmol m-2s-1または100μmol m-2s-1〜250μmol m-2s-1の範囲内である。
光照射時間は、照射する光の光量子束密度によっても異なるが、植物の(1) 4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子、(1) カルコン合成酵素遺伝子、(2) フラバノン3-ヒドロキシラーゼ遺伝子、(3) ジヒドロフラバノール4-レダクターゼ遺伝子および/または(4) UDP-グルコシルトランスフェラーゼファミリーの遺伝子の発現を促進できる光照射時間であればよく、特に制限はないが、連続照射であるのが好ましい。これら遺伝子の発現促進効率の観点からは、光量子束密度が50μmol m-2s-1〜300μmol m-2s-1の範囲内である場合には、光照射時間は、通常1時間以上、好ましくは6時間〜8週間、より好ましくは12時間〜6週間、さらに好ましくは24時間から4週間程度である。光量子束密度が50μmol m-2s-1〜200μmol m-2s-1の範囲内である場合には、光照射時間は、通常1日以上、好ましくは1日〜8週間、より好ましくは1.5日〜6週間、さらに好ましくは2日から4週間程度である。光量子束密度が200μmol m-2s-1〜300μmol m-2s-1の範囲内である場合には、光照射時間は、通常1時間〜14日、好ましくは2時間〜10日、より好ましくは6時間〜1週間、さらに好ましくは12時間から4日間程度である。
本発明で用いられる光源としては、人工光源を用いる場合には、エネルギー効率の観点から、なるべく (1) カルコン合成酵素遺伝子、(2) フラバノン3-ヒドロキシラーゼ遺伝子、(3) ジヒドロフラバノール4-レダクターゼ遺伝子、(4) UDP-グルコシルトランスフェラーゼファミリーの遺伝子および/または(5) 4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子の発現促進効率の高い波長成分の光のみを用いるのが好ましい。好ましくは、上記に示される特定の波長を発する光源が挙げられる。
(1) 電力消費量が少なく、かつ効率がよい
(2) 発熱がほとんど無い
(3) 発光ダイオード単体が小さいため、光源としての発光機器はその形状を自由に変化させることできる
(4) 発光ダイオードはそれぞれの種類によって光の波長域が狭く(スペクトル幅が小さく)、その組み合わせによって自由に目的の波長域を得ることができるので、植物の栽培に適した波長域を容易に設定して照射を行なうことができる、
などの特徴および効果を有している。すなわち、LEDは、スペクトル幅の小さな単色光/低電圧で駆動可能/コンパクト/発熱が少ないという特性を有しており、植物に必要な波長の光を組み合わせて照射を行なうことにより、小さなエネルギで効率よく特定の植物生理機能や形態形成を促すことが可能になるとともに、植物の要部に対する近接照射を容易に行なうことが可能である。さらに、高輝度LEDを利用することによって、より強い光量子束密度を提供することが可能であり、このことによって、より強い生合成を植物に誘導させることが可能である。
3−1.本発明に関係する遺伝子について
上記のように、本発明は、植物に光を照射することを含む、植物のフラボノイド類の合成に関する (1) カルコン合成酵素遺伝子、(2) フラバノン3-ヒドロキシラーゼ遺伝子、(3) ジヒドロフラバノール4-レダクターゼ遺伝子および/もしくは(4) UDP-グルコシルトランスフェラーゼファミリーの遺伝子の発現、または(5) 4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子の発現を促進する方法を提供する。すなわち、上記の(1)、(2)、(3)、(4)および/または(5)の遺伝子の発現の促進によって、フラボノイド類およびその代謝物の生産能を向上させることができる。植物におけるフラボノイド類についての例示の生合成経路については、図3に示される。この過程において、(1)に由来するカルコン合成酵素はp-クマロイルCoA→ナリンゲニンカルコンの反応過程を促進し、(2)に由来するフラバノン3-ヒドロキシラーゼはナリンゲニンカルコンより生成されるナリンゲニン(フラバノン)→ジヒドロカンフェロールの反応過程を促進し、(3)に由来するジヒドロフラバノール4-レダクターゼはジヒドロカンフェロール→ペラルゴニジン(アントシアニジン)の反応過程またはジヒドロカンフェロールより生成されるジヒドロケルセリン→シアニジンの反応過程を促進し、そして(4)に由来するUDP-グルコシルトランスフェラーゼはジヒドロカンフェロールより生成されるカンフェロール(フラボノール)→フラボノールグリコシドの反応過程またはジヒドロケルセリンより生成されるケルセリン(フラボノール)→フラボノールグリコシドの反応過程を促進する。また、(5)に由来する4-クマロイル-CoA-シンターゼ3は、p-クマリン酸→p-クマロイルCoAの反応過程を促進し、(1) カルコン合成酵素の出発物質を提供する。例えば、本発明において使用されるシロイヌナズナにおいて、これらの遺伝子は、 (1) カルコン合成酵素遺伝子(遺伝子番号At5g13930)(配列番号:3)、(2) フラバノン3-ヒドロキシラーゼ遺伝子(遺伝子番号A3g51240)(配列番号:5)、(3) ジヒドロフラバノール4-レダクターゼ遺伝子(遺伝子番号At5g42800)(配列番号:7)および/もしくは(4) UDP-グルコシルトランスフェラーゼファミリーの遺伝子(遺伝子番号At1g30530)(配列番号:9)、または(5) 4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子(遺伝子番号At1g65060)(配列番号:1)、が関係しており、それらの遺伝子産物はそれぞれ、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10および配列番号:2に示される。それぞれの配列の情報に関しては、以下URLなどを参照のこと:
At1g65060:http://www.arabidopsis.org/servlets/TairObject?type=aa_sequence&id=1009105083、
At5g13930: http://www.arabidopsis.org/servlets/TairObject?id=132598&type=locus
A3g51240: http://www.arabidopsis.org/servlets/TairObject?id=36753&type=locus
At5g42800: http://www.arabidopsis.org/servlets/TairObject?id=133488&type=locus
At1g30530: http://www.arabidopsis.org/servlets/TairObject?id=29619&type=locus。
本発明に係るポリヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)の形態、またはDNAの形態(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)で存在し得る。DNAは、二本鎖または一本鎖であり得る。一本鎖DNAまたはRNAは、コード鎖(センス鎖としても知られる)であり得るか、またはそれは、非コード鎖(アンチセンス鎖としても知られる)であり得る。
一実施形態において、本発明の方法において対象とする遺伝子は、ポリペプチドをコードする遺伝子の塩基配列において1または複数個の塩基が欠失、挿入、置換、または付加された変異体であってもよい。変異体は、コードもしくは非コード領域、またはその両方において変異され得る。コード領域における変異は、保存的または非保存的なアミノ酸の欠失、挿入、置換および/または付加を含み得る。本明細書中で使用される場合、例えば、4-クマロイル-CoA-合成酵素3のアミノ酸配列(配列番号:2)において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ4-クマロイル-CoA-合成酵素3活性を有するタンパク質などが挙げられる。
4−1.代謝、代謝経路について
上記のように、本発明は、特定の波長領域内の波長成分を含む光を照射することを含む、植物によるフラボノイド類の合成を向上させる方法を提供する。ここで、本明細書において、「代謝」には、同化(合成)および異化(分解)のいずれも含まれる。植物における各種代謝経路を媒介する酵素の働きにより、有用性の高い機能性・薬効性成分が生合成される。植物には数十種に及ぶ代謝経路の存在が予想されており、それぞれの代謝経路は、さらに数十種の代謝酵素によって構成されている。これらの代謝酵素のうち9割以上はすべての植物に共通であり、残りの1割弱の酵素の違いにより植物に固有の成分が蓄積すると考えられる。
フラボノイド類としては、図3に示されるナリンゲニンカルコン以後の代謝物が挙げられる。例えば、ナリンゲニンカルコン、ナリンゲニン(フラバノン)、ジヒドロカンフェロール、カンフェロール(フラボノール)、ジヒドロケルセリン、ケルセリン(フラボノール)、フラボノールグリコシド、ペラルゴニジン(アントシアニジン)、シアニジンまたはアントシアニン誘導体などが挙げられる。
6−1.本発明に関する医薬組成物およびその形態について
上記のように、本発明は、特定の波長領域内の波長成分を含む光を照射することを含む、植物によるフラボノイド類の合成を向上させる方法を提供する。さらに本発明は、上記の方法により生産されたフラボノイド類を提供する。本発明により高効率に生産されたフラボノイド類は、種々の医薬組成物において利用可能である。本発明の医薬組成物は、生体、すなわち、哺乳動物(例、ヒト、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して、投与することができる。本発明において、当該生体は、上記に列挙された疾患または障害、すなわち、アレルギー、肝障害、癌、腫瘍、潰瘍、微生物などの感染、血小板凝集などを患う生体に投与され得る。
本発明に関するキットに含まれる製剤は、前記医薬組成物を含む限り、その剤形は特に限定されない。本発明に関する医薬組成物またはキットを使用する場合には、経口もしくは非経口的に投与することができる。
7−1.本発明に関する飲食品・栄養補助食品の一般的形態について
本発明の方法によって高効率に生産されるフラボノイド類またはこれを含む植物体を、生鮮食料品、各種飲食品、飼料、ペットフード等に利用することができる。また本発明の方法によって生産されるフラボノイド類またはこれを含む植物体を、例えば、果物、野菜、ハーブ、任意のビタミン、ミネラルなど、およびそれらの材料の栄養の偏りを補助する栄養補助食品に利用できる。
本発明に関する方法によって生産されるフラボノイド類または植物体は、動物(好ましくは、哺乳動物、より好ましくは霊長類、ペットまたは家畜、最も好ましくはヒトが挙げられる)の健康に寄与し得る。例えば、一実施態様においては、栄養的に不十分な食事を消費するヒトの健康を維持することができ、抗酸化や栄養の状況を改善することができ、ある種の変性疾患状態のリスクの減少と関連しているレベルに対して不十分な食事の結果として血清栄養素や植物化学レベルを補充することができ、正常な老化現象や環境ストレスに曝さらされる結果として起こるフリーラジカル損傷を最小限に抑えることができ、そして/または最適健康、即ち、ホモシステイン、脂質副産物、無機質状態及びグルタチオンペルオキシダーゼを表す特定のバイオマーカー等の状態を改善することができる。
本発明において飲食品とは、植物体そのものの未加工である生鮮食料品などの形態、または加工された溶液、懸濁物、粉末、固体成形物などの経口摂取可能な形態であれば良く特に限定されない。例えば、本発明の方法にしたがって収穫前後に所定の条件の下で光照射を行い、より効率的にフラボノイド類を生産させた植物体は、その植物体の商品価値を大いに向上させ得る。本発明の方法によって生産されるフラボノイド類または植物体を加工した飲食品としては、より具体的には、即席麺、レトルト食品、缶詰、、フリーズドライ食品等の即席食品類、清涼飲料、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、栄養飲料、アルコール飲料等の飲料類、パン、パスタ、麺等の小麦粉製品、飴、キャラメル、チューイングガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ等の菓子類、ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス等の調味料、加工油脂、バター、マーガリン等の油脂類、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、アイスクリーム類、クリーム類等の乳製品、冷凍食品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品等の水産加工品、畜肉ハム・ソーセージ等の畜産加工品、農産缶詰、ジャム・マーマレード類、漬け物、煮豆、シリアル等の農産加工品、栄養食品、流動食、経口・経管栄養剤、ベビーフード、錠剤、カプセル等が例示される。
本発明に関する方法によって生産されるフラボノイド類または植物体を各種飲食品、飼料、ペットフード等に加工する際、殺菌をともなっても良い。殺菌としては、常圧蒸気殺菌、過熱蒸気殺菌、UHT殺菌、マイクロ波殺菌、レトルト殺菌、ボイル殺菌、ガス殺菌、通電殺菌、放射線殺菌等が挙げられる。
実験植物:
当研究室で継代されているモデル植物シロイヌナズナ (Arabidopsis thaliana) の野生系統Columbia (Col-0) を用いた。
人工気象機 (Biotron NC220, NKsystem) を用い,22℃,湿度40-60%,MS培地 (後述) において、白色蛍光灯 (100 μmol m-2 s-1) 下で生育させた植物を「対照」とし、以下の条件で3週間生育後、分析に供した。
光質 青色LED (470 nm),赤色LED (660 nm),青色LED+赤色LED,青色LED (パルス光)
照射時間/光量子束密度 2週間 (白色蛍光灯で1週間生育後2週間照射)/110 μmol m-2 s-1,2日 (白色蛍光灯で19日間生育後2日間照射)/240 μmol m-2 s-1
1.5-mlチューブに種子を分注し、70% エタノール 1 mlを加え、1分間振盪した。遠心し、上清を捨て、滅菌溶液 (0.25% 次亜塩素酸,0.1% Tween 20) 1 mlを加えて、10-15分振盪した。クリーンベンチ内で軽く遠心し、上清を捨て、純水1 mlを加えて洗浄した。洗浄を5回繰り返し、純水1 mlを加えた状態でアルミホイルに包み、4℃で約1週間春化処理を行った。再び、クリーンベンチ内で軽く遠心し、上清を捨て、別にオートクレーブ処理(121℃,20分)した0.3% アガロース溶液1 mlに懸濁した。ピペットのチップに取りシャーレに播種した。
シロイヌナズナ葉50 mgよりRNeasy Plant Mini Kit (Qiagen) を用い、標準プロトコルに従って全 RNAを回収した。全RNA 15 μgを初期量とし、One-Cycle cDNA Synthesis Kit (Affymetrix) を用いてcDNA合成を行った。GeneChip Sample Cleanup Module (Affymetrix) を用いてcDNAを精製後、GeneChip IVT Labeling Kit (Affymetrix) を用いてビオチン標識されたcRNAを合成した。GeneChip Sample Cleanup Module (Affymetrix) を用いてcRNAを精製した。cDNA合成からの作業手順はGene Chip Expression Analysis Technical Manualに従って行った。引き続き、GeneChip Arabidpsis ATH1 Genome Array (Affymetrix) に対し標準プロトコルに従って16時間ハイブリダイズを行った。Fluidics Station 450 (Affymetrix) を用いて49 Format用のプログラムにより自動で洗浄と染色を行い、Affymetrix GeneChip Scanner 3000 (Affymetrix) によりデータの取り込みを行った。シグナルの数値化および補正にはGeneChip Operating Software (Affymetrix) を用い、その後の解析にはExcel (Microsoft) を使用した。
生試料100 mgを評量し、液体窒素を用いて凍結させ、乳鉢ですり潰した。50%MeOH (0.5%AcOHを含む) 2 ml加え、攪拌後、0.22 μmのメンブレンフィルターで濾過した。HPLCの条件は以下の通りである。
カラム CAPCELL PAK C18 ACR (Shiseido) , 5 μm, 4.6 mm×250 mm
溶媒A 100 mM リン酸:MeOH = 99 : 1
溶媒B 200 mMリン酸:MeCN:MeOH = 30 : 60 : 10
注入 50 μl
オートサンプラー温度 4℃
オーブン温度 40℃
加電圧 (mV) 0, +100, +200, +300, +400, +500, +600, +700
測定直前にサンプルを解凍し、オートサンプラーにセットした。ブランクとして、溶媒Aを用いた。
粉砕によるロスを防ぐために、凍結した試料を2 mlチューブ内で粉砕し、そこへ抽出液を500 μl加えた。さらに超音波破砕後、15,000 rpmで10分間遠心した。上清を0.22 μmフィルターに通し、HPLC試料とした。抽出液は、MeOH:AcOH:H2O = 9:1:10の割合で混ぜ、内部標準として、フラボンを最終濃度50 μMになるように加えたものを使用した。HPLCの条件は以下の通りである。
カラム CAPCELL PAK C18 ACR (SHISEIDO) , 5 μm, 4.6 mm×250 mm
溶媒A MeCN:H2O:TFA = 10:90:0.1
溶媒B MeCN:H2O:TFA = 90:10:0.1
注入 50 μl
可視吸光 250〜650 nm
ケンフェロールの標品として、商品名:「Kaempferol」(製造業者:SSX(EXTRASYNTHESE S.A.)、商品コード:1124S)を使用した。
「青色2週」では237種の遺伝子、「青色2日」では203種の遺伝子について、「対照」と比較して2倍以上発現が増大していることが明らかになった。また、それら遺伝子はKyoto Encyclopedia of Genes and Genomes (KEGG) により、「青色2週」では29種遺伝子 (表1)、「青色2日」では26種の遺伝子 (表2) がシロイヌナズナにおける代謝系関連遺伝子として分類された。具体的には、「青色2週」の29種の遺伝子は34種の代謝系において23種の酵素番号に分類され、「青色2日」の26種の遺伝子は29種の代謝系において22種の酵素番号に分類された。分類された代謝系にはフラボノイド合成系、スチルベン・クマリン・リグニン合成系、フェニルアラニン・チロシン・トリプトファン合成系といった、いわゆる機能性成分の合成につながると考えられる系や、アスコルビン酸代謝系、アルカロイド合成系といったビタミン類の代謝・合成に関連すると考えられる系が含まれていた (表2,表3の「代謝系」カラム)。取り分け、フラボノイド合成経路に介在する酵素の遺伝子の発現増大が顕著であった。さらに、KEGG未収録分から、フラボノイド合成系の3種の酵素の遺伝子発現が「青色2日」で2倍以上に増大していた (表4)。
高輝度青色LEDの連続照射により、一定期間に合成される産物の量的増加が期待できる。具体的には、フラボノールやフラボンといったフラボノイド類の合成系 (図3:合成経路については、Besseau S, Hoffmann L, et al.: Plant Cell 19, 148-162 (2007)を参照した) に関する酵素の量的増加、これによるフラボノイド類の生成量の増加が、本発明のの光条件による生育で期待できる。図2に示されるように、実際に本発明の光照射条件下によって、ブロッコリーにおいてケンフェロールの生成量の増加が可能であった。
(配列番号:2)配列番号:1のアミノ酸配列
(配列番号:3)シロイヌナズナにおけるカルコン合成酵素遺伝子(遺伝子番号At5g13930)
(配列番号:4)配列番号:1のアミノ酸配列
(配列番号:5)シロイヌナズナにおけるフラバノン3-ヒドロキシラーゼ遺伝子(遺伝子番号A3g51240)
(配列番号:6)配列番号:3のアミノ酸配列
(配列番号:7)シロイヌナズナにおけるジヒドロフラバノール4-レダクターゼ遺伝子(遺伝子番号At5g42800)
(配列番号:8)配列番号:5のアミノ酸配列
(配列番号:9)シロイヌナズナにおけるUDP-グルコシルトランスフェラーゼファミリーの遺伝子(遺伝子番号At1g30530)
(配列番号:10)配列番号:7のアミノ酸配列
Claims (24)
- 435nm〜780nmの波長領域内の波長成分を含む光を照射することを含む、植物によるフラボノイド類の合成を向上させる方法。
- 435nm〜780nmの波長領域内の波長成分の光量子束密度が、50μmol m-2s-1〜300μmol m-2s-1の範囲内である、請求項2に記載の方法。
- 光が、450nm〜490nmまたは610nm〜780nmの波長領域内の波長成分を含む、請求項1に記載の方法。
- 450nm〜490nmまたは610nm〜780nmの波長領域内の波長成分の光量子束密度が、100μmol m-2s-1〜250μmol m-2s-1の範囲内である、請求項4に記載の方法。
- 光を2日〜2週間照射する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 光を2日間照射する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記植物が双子葉植物または単子葉植物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記植物がシロイヌナズナ、ナタネ、キャベツ、ハクサイ、ダイコン、カリフラワー、ブロッコリー、レッドキャベツ、マスタード、ルッコラまたはクレソである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記植物がシロイヌナズナである、請求項8に記載の方法。
- 前記フラボノイド類がケンフェロール、ケルセリンまたはフラボノールグリコシドである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 前記フラボノイド類がケンフェロールである、請求項10に記載の方法。
- (1) カルコン合成酵素遺伝子、(2) フラバノン3-ヒドロキシラーゼ遺伝子、(3) ジヒドロフラバノール4-レダクターゼ遺伝子または(4) UDP-グルコシルトランスフェラーゼファミリーの遺伝子のうちの1つ以上の遺伝子の発現を促進する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- (5) 4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子の発現促進をさらに含む、請求項12に記載の方法。
- (1) カルコン合成酵素遺伝子、(2) フラバノン3-ヒドロキシラーゼ遺伝子、(3) ジヒドロフラバノール4-レダクターゼ遺伝子、(4) UDP-グルコシルトランスフェラーゼファミリーの遺伝子、および/または(5) 4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子の発現が、対照と比較して2倍以上の発現量を示す、請求項12または13に記載の方法。
- (1) カルコン合成酵素遺伝子が、以下(1a)〜(1f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法:
(1a)配列番号:3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(1b)配列番号:4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(1c)配列番号:4のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつカルコン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(1d)配列番号:4のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつカルコン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(1e)配列番号:3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(1f)配列番号:4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン合成酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。 - (2) フラバノン3-ヒドロキシラーゼ遺伝子が、以下(2a)〜(2f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法:
(2a)配列番号:5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(2b)配列番号:6のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(2c)配列番号:6のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつフラバノン3-ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(2d)配列番号:6のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつフラバノン3-ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(2e)配列番号:5の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフラバノン3-ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(2f)配列番号:6のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフラバノン3-ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。 - (3) ジヒドロフラバノール4-レダクターゼ遺伝子が、以下(3a)〜(3f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法:
(3a)配列番号:7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(3b)配列番号:8のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(3c)配列番号:8のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつジヒドロフラバノール4-レダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(3d)配列番号:8のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつジヒドロフラバノール4-レダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(3e)配列番号:7の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつジヒドロフラバノール4-レダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(3f)配列番号:8のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつジヒドロフラバノール4-レダクターゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。 - (4) UDP-グルコシルトランスフェラーゼファミリーの遺伝子が、以下(4a)〜(4f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法:
(4a)配列番号:9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(4b)配列番号:10のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(4c)配列番号:10のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつUDP-グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(4d)配列番号:10のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつUDP-グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(4e)配列番号:9の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつUDP-グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(4f)配列番号:10のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつUDP-グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。 - (5) 4-クマロイル-CoA-シンターゼ3遺伝子が、以下(5a)〜(5f)からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含有する、請求項13または14に記載の方法:
(5a)配列番号:1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(5b)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(5c)配列番号:2のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(5d)配列番号:2のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;
(5e)配列番号:1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド;および
(5f)配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドの塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ4-クマロイル-CoA-シンターゼ3を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド。 - 請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法によりフラボノイド類を製造する方法。
- 請求項20に記載の方法により生産される、フラボノイド類。
- 前記フラボノイド類がケンフェロールである、請求項21に記載のフラボノイド類。
- 請求項21に記載のフラボノイド類を含む、医薬組成物。
- 請求項21に記載のフラボノイド類を含む、飲食物または栄養補助食品。
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