JP2009236751A - 赤外線センサ、赤外線センサを使った検知方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】量子型の赤外線検出素子201から出力される赤外線の検出信号を微分して微分値を得る微分回路203と、微分値と、基準値設定しきい値V0とを比較し、比較の結果、微分値が基準値設定しきい値V0より大きい場合、この微分値に対応する出力値の出力タイミングに基づいて選択された出力値を基準値に設定する第1判定回路204と、設定された基準値と、基準値に設定された出力値よりも後に入力された後続出力値との差分Vdiffを人体検知しきい値V1と比較し、比較の結果に基づいて人体の有無を判定する第2判定回路205と、によって赤外線センサを構成する。
【選択図】図2
Description
この種のセンサとして焦電素子を用いたものが知られている。焦電素子は、赤外線輻射量の変化分に対応した電気信号を出力するものであるから、検知領域内で人体が静止した場合は、赤外線の輻射量は変化せず検知が困難になるという欠点がある。また、焦電素子以外の赤外線検出素子としては、例えば、サーモパイルがある。サーモパイルは、焦電素子に比べ出力信号は小さいものの、静止した対象物を検知することができる。
請求項3の発明は、対象が静止状態であるか、検知されていないのかを区別して判定することができる。
請求項5の発明は、対象の検知開始に生じる赤外線の変化と検知がされなくなったことによって生じる赤外線の変化とを使って検知対象の有無を判定することができる。また、検知がされなくなった際にも基準値を設定するので、検知開始後に赤外線のバックグラウンドの状態が変化した場合にもバックグラウンドに影響されることなく検知対象が放出する赤外線の変化だけを検知することができる。
1.動作原理
図1は、本発明の実施形態1の動作原理を説明するための図である。図1(a)は、実施形態1の検知センサが人体を検知する際の基準値を決定するための処理を説明するための図である。図1(a)の縦軸は赤外線センサの出力値を微分した微分値を示し、横軸は時間を示している。また、図1(b)は、図1(a)に示した処理によって決定した基準値を使って人体を検出する処理を説明するための図である。図1(b)の縦軸は赤外線センサの出力値を示し、横軸は時間を示している。なお、図中に背景の温度変化等による出力値の揺らぎの範囲にNの符号を付して示す。
ここで、「微分値に対応する検出信号の出力タイミングに基づいて所定の出力値を基準値に設定する」の内容について具体的に説明する。実施形態1では、基準値設定しきい値V0よりも大きい微分値に対応する出力値の出力タイミングの直前に入力された出力値を基準値b1に設定している。なお、説明の簡単のため、入力された出力値Onと、出力値Onの次に入力された出力値On+1との差分を微分値とする。この説明では、出力値を基準値b1に設定するとは、記憶回路202に所定の出力値を格納することを指すものとする。出力値を記憶回路202に格納する具体的な方法としては、記憶回路202が周期的に出力値を順次入力し、先に入力されている出力値を後に入力された出力値によって更新するものがある。また、第1判定回路204が基準値となる出力値を記憶回路202に記憶させるものがある。
図3は、実施形態1の赤外線センサの動作を説明するためのフローチャートである。実施形態1の赤外線センサは、赤外線検出素子201が出力した出力値を入力している(取込んでいる)。出力値の入力は、連続的に行ってもよいし、0.1秒程度の周期で行ってもよい。入力された出力値は、微分回路203において微分される(ステップS302)。
ステップS303において、微分値が基準値設定しきい値V0よりも大きくなったと判定された場合(ステップS303:Yes)、第1判定回路204は、基準値設定しきい値V0よりも大きい微分値の算出に用いられた出力値のうち先に入力された出力値を記憶回路202に格納する(ステップS305)。この動作により、格納された出力値が基準値に設定される。
このような実施形態1の赤外線センサによれば、人体が赤外線の検知範囲に入る直前に測定されたバックグラウンドを基準値に設定することができる。このため、検知時の季節や気候、赤外線センサの取り付け環境(日照状態や周辺機器)によらず、バックグラウンドとなる赤外線やノイズを正確に検出することができる。したがって、検知時の季節や気候、周辺環境(日照状態や周辺機器の有無)によらずしきい値を変更する必要がない。そして、正確なバックグラウンドやノイズを考慮して後続出力値をしきい値と比較することができるので、静止状態の人体を正確に検知することができる。
なお、実施形態1においては、赤外線検出素子201が量子型の赤外線検出素子、微分回路203が微分手段、第1判定回路204が第1比較手段及び基準値設定手段、第2判定回路が第2比較手段及び検知判定手段として機能する。 3.変形例
また、実施形態1の赤外線センサは、図2に示した構成に限定されるものではない。すなわち、例えば、積分回路によって出力値を積分することにより、人体の検出の信頼性をいっそう高めることができる。すなわち、積分回路の時定数を0.1秒〜10秒程度の人体動作の速度に設定することにより、人体が動作している場合、静止している場合、ゆっくり動いている場合であっても、他の外乱要因から人体の動作検知信号を際立たせることができる。
以上述べた実施形態1は、微分値を使って人体が検知されたことによる赤外線の変化を検出することができるので、赤外線のバックグラウンドによらず検知開始のタイミングを検出することができる。特に特開2007−81225号公報に記載の赤外線検出素子は、高速応答という特徴をもつので、短い時定数での微分値を計算することが可能である。そのため出力値のわずかな変化を検出することが可能であり、より確実に人体検出することができるので、本発明における検出素子として好適である。
また、検知開始の直前に入力された出力値を基準値に設定することにより、検知の環境等によらず適正な基準値を設定することができる。また、以降順次入力される出力値と基準値との差分を算出することにより、人体が放射する赤外線だけを検知することができる。さらに、この値をしきい値と比較し、しきい値以上の値を得る場合に人体が検知されていると判定するから、人体が静止していても赤外線を放射している限り存在を検知することができる。
1.動作原理
次に、本発明の実施形態2を説明する。実施形態2の赤外線センサは、人体の検知開始後に入力された出力値を基準値に設定する。そして、設定された基準値と以降に入力された後続出力値の差分が所定のしきい値以下である場合に人体を検知したと判定する。また、差分が所定のしきい値より大きい場合に人体を検知していない判定する。
図6は、実施形態2の赤外線センサの動作原理を説明するための図である。図6(a)は、実施形態2の検知センサが人体を検知する際の基準値を決定するための処理を説明するための図である。図6(a)の縦軸は赤外線センサの出力値を微分した微分値を示し、横軸は時間を示している。また、図6(b)は、図6(a)に示した処理によって決定した基準値を使って人体を検出する処理を説明するための図である。図6(b)の縦軸は赤外線センサの出力値を示し、横軸は時間を示している。
図7は、実施形態2の赤外線センサの構成を説明するためのブロック図である。図7においても、図2で示した構成と同様の構成については同様の符号を付し、説明を一部略すものとする。
実施形態2の赤外線センサは、実施形態1の赤外線センサと同様に、赤外線検出素子201、微分回路203、第1判定回路204、第2判定回路205、出力回路206を備えている。さらに、実施形態2の赤外線センサは、基準値b1、b2をそれぞれ記憶する記憶回路202a、記憶回路202b、後続出力値と基準値b1、基準値b2のいずれかとの差分Vdiffと比較される人体検知しきい値V1、V2のいずれかを選択して設定するしきい値設定回路701を備えている。
また、しきい値設定回路701には人体検知しきい値V1、V2が格納されていて、人体検知しきい値V1は基準値b1に対応するタイミングで第2判定回路205に出力される。人体検知しきい値V2は基準値b2に対応するタイミングで第2判定回路205に出力される。第2判定回路205は、基準値b1が入力された場合、後続出力値と基準値b1との差分Vdiffを算出し、差分Vdiffを人体検知しきい値V1と比較する。また、基準値b2が入力された場合、後続出力値と基準値b2との差分Vdiffを算出し、差分Vdiffを人体検知しきい値V2と比較する。そして、差分Vdiffを人体検知しきい値V1または人体検知しきい値V2との大小関係に応じて人体が検知された、あるいは検知されていないと判断する。
図8は、実施形態2の赤外線センサの動作を説明するためのフローチャートである。実施形態2の赤外線センサは、赤外線検出素子201が出力した出力値を入力している(ステップS801)。入力された出力値は、微分回路203において微分される(ステップS802)。微分処理によって得られた微分値は、第1判定回路704によって基準値設定しきい値V0と比較される(ステップS803)。微分値が基準値設定しきい値V0に満たない場合(ステップS803:No)、人体が検知範囲にないと判定し(ステップS804)、次の出力値を入力する。
また、実施形態2では、第1判定回路704が、後に入力された出力値のうち(ステップS806)、微分値の算出に用いられた出力値の直後に入力された出力値を記憶回路202bに格納する(ステップS807)。この動作により、格納された出力値がそれぞれ記憶回路202a、202bに基準値として設定される。
以上述べた実施形態2によれば、基準値設定しきい値V0以上の微分値に対応する出力値が出力されたタイミングの直後にも基準値を設定することができる。このため、例えば人体がドアを開けた等によるバックグラウンドの変化が人体検知開始後に生じても、変化後のバックグラウンドを表す基準値を設定することができる。このため、環境に起因するバックグラウンドによらず、検知対象を正確に検知できる。
また、基準値と後続出力値との差分Vdiffとを人体検知しきい値V1、V2とを比較して人体の有無を判定しているから、検知範囲内において静止している対象をも検知することができる。
次に、本発明の実施形態3について説明する。実施形態3は、入力信号の微分値が予め定められているしきい値以上の値になったか否かにより、人体の検知あり、無しの両方を判定するものである。このため、人体を検知したと判定するための人体検知しきい値V1に加え、人体を検知した状態から検知していない状態になったと判定するための人体検知しきい値V3を設定する。そして、人体を検知していない状態で差分Vdiffが人体検知しきい値V1以上になった場合には人体が検知されたと判定する。そして、既に人体が検知されている状態において差分Vdiffが人体検知しきい値V3以上になった場合には人体が検知されなくなったと判定する。
図9は、実施形態3の赤外線センサの動作原理を説明するための図である。図9(a)は、実施形態3の検知センサが人体を検知する際の基準値を決定するための処理を説明するための図である。図9(a)の縦軸は赤外線センサの出力値を微分した微分値を示し、横軸は時間を示している。また、図9(b)は、図9(a)に示した処理によって決定した基準値を使って人体を検出する処理を説明するための図である。図9(a)の縦軸は赤外線センサの出力値を示し、横軸は時間を示している。
図10は、実施形態3の赤外線センサの構成を説明するためのブロック図である。図10においても、図2で示した構成と同様の構成については同様の符号を付し、説明を一部略すものとする。
実施形態3の赤外線センサは、実施形態1の赤外線センサと同様に、赤外線検出素子201、記憶回路202、微分回路203、第1判定回路204、第2判定回路205、出力回路206、を備えている。さらに、実施形態3の赤外線センサは、人体検知しきい値V1(第2しきい値)と人体検知しきい値V3(第3しきい値)とを切替えて第2判定回路205に設定するしきい値設定回路1001を備えている。
しきい値設定回路1001は、出力回路206から人体の有無を示す信号を入力し、現在人体が検知されている状態であるか否か判断することができる。そして、しきい値設定回路1001が、人体が検知されていない場合には人体検知しきい値V1を設定し、人体が検知されている場合に人体検知しきい値V3を設定する。
図11は、実施形態3の赤外線センサの動作を説明するためのフローチャートである。実施形態3の赤外線センサでは、先ず、図11に示すように、赤外線検出素子201の出力値を入力する(ステップS1101)。微分回路203は、出力値を微分して微分値を生成する(ステップS1102)。第1判定回路204は、生成された微分値を入力し、微分値と基準値設定しきい値V0とを比較する(ステップS1103)。微分値が基準値設定しきい値V0以下である場合(ステップS1103:No)、次に入力される出力値を処理する。
202、202a、202b 記憶回路
203 微分回路
204 第1判定回路
205 第2判定回路
206 出力回路
401 積分回路
701、1001 しきい値設定回路
704 第1判定回路
Claims (6)
- 量子型の赤外線検出素子から順次出力される検出信号を微分する微分手段と、
前記微分手段による微分値と、予め定められた第1しきい値とを比較する第1比較手段と、
前記第1比較手段による比較の結果、前記微分値が前記第1しきい値より大きくなった場合、当該微分値に対応する検出信号の出力タイミングに基づいて、所定の検出信号を基準値に設定する基準値設定手段と、
前記基準設定手段によって設定された前記基準値と、前記出力タイミング以降に入力された後続検出信号との差分を予め定められた第2しきい値と比較する第2比較手段と、
前記第2比較手段による比較の結果に基づいて、検知対象の有無を判定する検知判定手段と、
を備えることを特徴とする赤外線センサ。 - 前記基準値設定手段は、
前記出力タイミングの直前に入力された直前検出信号を基準値に設定し、
前記検知判定手段は、
前記基準値と前記後続検出信号との差分が前記第2しきい値より大きい場合、検知対象が検知されたと判定することを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ。 - 前記検知判定手段は、
前記基準値と前記後続検出信号との差分が前記第2しきい値以下である場合、検知対象が検知されていないと判定することを特徴とする請求項1または2に記載の赤外線センサ。 - 前記基準値設定手段は、
前記出力タイミングの直後に入力された直後検出信号を基準値に設定し、
前記検知判定手段は、
前記基準値と前記後続検出信号との差分が第2しきい値より大きい場合、検知対象が検知されていないと判定することを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ。 - 前記第2しきい値と第3しきい値とを切替えて設定するしきい値設定切り替え手段をさらに有し、
前記しきい値設定切り替え手段は、前記検知判定手段によって検知対象が検知されていないと判定されている場合に前記第2しきい値を設定し、前記検知判定手段によって検知対象が検知されていると判定されている場合に前記第3しきい値を設定し、
前記検知判定手段は、
前記第2しきい値が設定されている場合、前記基準値と前記後続検出信号との差分が前記第2しきい値より大きい場合に検知対象が検知されたと判定し、前記第3しきい値が設定されている場合、前記基準値と前記後続検出信号との差分が前記第3しきい値より大きい場合に検知対象が検知されていないと判定することを特徴とする請求項1または2に記載の赤外線センサ。 - 量子型の赤外線検出素子から順次出力される検出信号を微分する微分ステップと、
前記微分ステップによる微分値と、予め定められた第1しきい値とを比較する第1比較ステップと、
前記第1比較ステップにおける比較の結果、前記微分値が前記第1しきい値より大きくなった場合、当該微分値に対応する検出信号の出力タイミングに基づいて所定の検出信号を基準値に設定する基準値設定ステップと、
前記基準値設定ステップにおいて設定された前記基準値と、前記出力タイミングよりも後に入力された後続検出信号との差分を予め定められた第2しきい値と比較する第2比較ステップと、
前記第2比較ステップにおける比較の結果に基づいて、検知対象の有無を判定する検知判定ステップと、
を含むことを特徴とする赤外線センサを使った検知方法。
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