JP2009236751A - 赤外線センサ、赤外線センサを使った検知方法 - Google Patents

赤外線センサ、赤外線センサを使った検知方法 Download PDF

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Abstract

【課題】環境に起因するバックグラウンドによらず、検知対象を正確に検知でき、しかも検知範囲内において静止している対象をも検知することが可能な赤外線センサを提供する。
【解決手段】量子型の赤外線検出素子201から出力される赤外線の検出信号を微分して微分値を得る微分回路203と、微分値と、基準値設定しきい値V0とを比較し、比較の結果、微分値が基準値設定しきい値V0より大きい場合、この微分値に対応する出力値の出力タイミングに基づいて選択された出力値を基準値に設定する第1判定回路204と、設定された基準値と、基準値に設定された出力値よりも後に入力された後続出力値との差分Vdiffを人体検知しきい値V1と比較し、比較の結果に基づいて人体の有無を判定する第2判定回路205と、によって赤外線センサを構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、赤外線センサ及び赤外線センサを使った検知方法に関し、特に、光子によって生じる電荷を利用して人体を検知する量子型の赤外線センサ及び赤外線センサを使った検知方法に関する。
現在、自動ドアや照明灯の自動点灯等、様々な場面で人体を検知する赤外線センサが使用されている。赤外線センサは、人体から放出されるわずかな赤外線を検知して人体の有無を検知することができるセンサである。
この種のセンサとして焦電素子を用いたものが知られている。焦電素子は、赤外線輻射量の変化分に対応した電気信号を出力するものであるから、検知領域内で人体が静止した場合は、赤外線の輻射量は変化せず検知が困難になるという欠点がある。また、焦電素子以外の赤外線検出素子としては、例えば、サーモパイルがある。サーモパイルは、焦電素子に比べ出力信号は小さいものの、静止した対象物を検知することができる。
図12(a)は、静止した対象物の検知が可能な赤外線センサによる赤外線検知の最も簡単なアルゴリズムを説明するための図である。図中の縦軸は赤外線センサが出力する信号の値(電圧レベル等、以降出力値と記す)を示し、横軸は時間を示している。図示するように、出力値は、人体が赤外線センサの検知範囲に入った場合に大きくなり、検知範囲から外れた場合にバックグラウンドの赤外線と同程度の値になる。したがって、出力値とバックグラウンドとの差が所定のしきい値より大きい値を有する期間、人体が赤外線センサの検知範囲にあったと判定することができる。
ただし、赤外線センサの出力値は、赤外センサが置かれた時刻や季節といった環境の温度等によって影響を受けることでも知られている。また、図12(b)に示すように、環境の温度と人体の温度との大小関係によって出力値の極性が変化する。さらに、図12(c)のように、バックグラウンドとなる赤外線の量が検知の途中で変化した場合、出力値としきい値との比較が難しくなる。このため、赤外線センサに常に適正なしきい値を固定値として設定することは困難であり、赤外線のバックグラウンドによらず正確に人体の有無を検知することが要求されていた。
このような要求に応える従来の赤外線センサとして、赤外線センサの出力値そのものでなく、出力値を微分した微分値を使って人体を検知するものがある。図13は、微分値を使う従来の赤外線センサを説明するための図であって、図13(a)の縦軸は赤外線センサの出力値を微分した微分値、横軸は時間を示している。図13(b)の縦軸は赤外線センサの出力値、横軸は時間を示している。図13(a)を用いれば、バックグラウンドの赤外線量によらず、赤外線量の変化によって人体の有無を検知することができるので、環境状態によらず正確に人体の有無を検知することができる赤外線センサを提供することができる。なお、このような赤外線センサの従来技術としては、例えば、特許文献1に記載された赤外線センサがある。
特開平11−6764号公報
しかしながら、図13(a)に例示した赤外線センサは、赤外線量の変化を検出しているので、赤外線センサの検知範囲に入った後に静止した人体を検知することができないという課題がある。すなわち、図13(a)中に示した時刻t1において人体が赤外線センサの検知範囲に入った後、時刻t2において検知範囲から出た場合、時刻t1〜時刻t2の間に出力値の有意な変化がない。
このため、出力値の微分値を使う赤外線センサを例えば自動ドアに用いた場合、ドアを開放するタイミングを検出することはできるものの、検知範囲内で静止している人体を検知することができない。また、例えば警備システムに用いた場合、検知範囲に何者かが立入ったことは検知できるものの、その後検知範囲内にいるのか否かを検知することはできない。
また、図13の時刻t2における出力値を使って検知範囲から人体が出たことを検知することも考えられる。しかし、このような判定は、検知範囲内の人体を直接検知するものではない。このことから、検知範囲に入った者が全て検知範囲から出たのか(検知範囲内は無人になったのか)、依然として検知範囲で静止しているのかといった情報を得ることができない。
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、環境に起因するバックグラウンドによらず、検知対象を正確に検知でき、しかも検知範囲内において静止している対象をも検知することが可能な赤外線センサ及び赤外線センサを用いた検知方法を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するため、本発明の請求項1の赤外線センサは、量子型の赤外線検出素子から順次出力される検出信号を微分する微分手段と、前記微分手段による微分値と、予め定められた第1しきい値とを比較する第1比較手段と、前記第1比較手段による比較の結果、前記微分値が前記第1しきい値より大きくなった場合、当該微分値に対応する検出信号の出力タイミングに基づいて、所定の検出信号を基準値に設定する基準値設定手段と、前記基準設定手段によって設定された前記基準値と、前記出力タイミング以降に入力された後続検出信号との差分を予め定められた第2しきい値と比較する第2比較手段と、前記第2比較手段による比較の結果に基づいて、検知対象の有無を判定する検知判定手段と、を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の赤外線センサは、請求項1に記載の発明において、前記基準値設定手段が、前記出力タイミングの直前に入力された直前検出信号を基準値に設定し、前記検知判定手段は、前記基準値と前記後続検出信号との差分が前記第2しきい値より大きい場合、検知対象が検知されたと判定することを特徴とする。
請求項3記載の赤外線センサは、請求項1または2に記載の発明において、前記検知判定手段が、前記基準値と前記後続検出信号との差分が前記第2しきい値以下である場合、検知対象が検知されていないと判定することを特徴とする。
請求項4に記載の赤外線センサは、請求項1に記載の発明において、前記基準値設定手段が、前記出力タイミングの直後に入力された直後検出信号を基準値に設定し、前記検知判定手段は、前記基準値と前記後続検出信号との差分が第2しきい値より大きい場合、検知対象が検知されていないと判定することを特徴とする。
請求項5に記載の赤外線センサは、請求項1または2に記載の発明において、前記第2しきい値と第3しきい値とを切替えて設定するしきい値設定切り替え手段をさらに有し、前記しきい値設定切り替え手段は、前記検知判定手段によって検知対象が検知されていないと判定されている場合に前記第2しきい値を設定し、前記検知判定手段によって検知対象が検知されていると判定されている場合に前記第3しきい値を設定し、前記検知判定手段は、前記第2しきい値が設定されている場合、前記基準値と前記後続検出信号との差分が前記第2しきい値より大きい場合に検知対象が検知されたと判定し、前記第3しきい値が設定されている場合、前記基準値と前記後続検出信号との差分が前記第3しきい値より大きい場合に検知対象が検知されていないと判定することを特徴とする。
請求項6に記載の赤外線センサを使った検知方法は、量子型の赤外線検出素子から順次出力される検出信号を微分する微分ステップと、前記微分ステップによる微分値と、予め定められた第1しきい値とを比較する第1比較ステップと、前記第1比較ステップにおける比較の結果、前記微分値が前記第1しきい値より大きくなった場合、当該微分値に対応する検出信号の出力タイミングに基づいて所定の検出信号を基準値に設定する基準値設定ステップと、前記基準値設定ステップにおいて設定された前記基準値と、前記出力タイミングよりも後に入力された後続検出信号との差分を予め定められた第2しきい値と比較する第2比較ステップと、前記第2比較ステップにおける比較の結果に基づいて、検知対象の有無を判定する検知判定ステップと、を含むことを特徴とする。
請求項1の発明は、赤外線の検出信号を微分した微分値を使うことにより、バックグラウンドとなる赤外線の状態によらず赤外線の変化を検出することができる。また、この変化を基準にして基準値を設定することにより、検知範囲において人体が検知された等の変化が起こった時点を特定し、この時の赤外線センサの状態を正確に把握することができる。また、基準値に設定された検出信号よりも後に入力された後続検出信号との差分をとることにより、測定される赤外線からバックグラウンドとなる赤外線を除き、検知対象が放出する赤外線を正確に把握することができる。また、検知対象が放出した赤外線を第2しきい値と比較することにより、移動、静止の状態に関わらず、検知対象を検知することができる。したがって、環境に起因するバックグラウンドによらず、検知対象を正確に検知でき、しかも検知範囲内において静止している対象をも検知することが可能な赤外線センサを提供することができる。
請求項2の発明は、検知対象が検知される直前の赤外線の状態に基づいて基準値を設定することができる。このため、検出環境の状態(赤外線センサの取付位置、季節、時間帯等、外乱の状態)に即した基準値を設定することができる。
請求項3の発明は、対象が静止状態であるか、検知されていないのかを区別して判定することができる。
請求項4の発明は、検知対象が検知されるようになった直後の赤外線の状態に基づいて基準値を設定することができる。このため、検出環境の状態(赤外線センサの取付位置、季節、時間帯等、外乱の状態)に即した基準値を設定することができる。
請求項5の発明は、対象の検知開始に生じる赤外線の変化と検知がされなくなったことによって生じる赤外線の変化とを使って検知対象の有無を判定することができる。また、検知がされなくなった際にも基準値を設定するので、検知開始後に赤外線のバックグラウンドの状態が変化した場合にもバックグラウンドに影響されることなく検知対象が放出する赤外線の変化だけを検知することができる。
請求項6の発明は、環境に起因するバックグラウンドによらず、検知対象を正確に検知でき、しかも検知範囲内において静止している対象をも検知することが可能な赤外線センサを使った検知方法を提供することができる。
以下、図を参照して本発明に係る赤外線センサの実施形態1、実施形態2、実施形態3を説明する。なお、本明細書では、実施形態1〜3のいずれにおいても検知対象を人体として説明をする。また、赤外線センサに使用される赤外線検出素子は、いずれも光子がPN接合(またはPIN接合)に入射した時に生じる電荷を検出する素子であり、赤外線が入射する受光面にはInAsxSb(1-x)(0≦x≦1)が使用されているものとする。このような赤外線検出素子としては、例えば、特開2007−81225号公報に記載されているように公知のものであるから、これ以上の説明を省く。特開2007−81225号公報に記載の赤外線検出素子は、高感度、低ノイズ、高速応答性といった特徴をもち、本発明に適用される赤外線検出素子として好ましい。
(実施形態1)
1.動作原理
図1は、本発明の実施形態1の動作原理を説明するための図である。図1(a)は、実施形態1の検知センサが人体を検知する際の基準値を決定するための処理を説明するための図である。図1(a)の縦軸は赤外線センサの出力値を微分した微分値を示し、横軸は時間を示している。また、図1(b)は、図1(a)に示した処理によって決定した基準値を使って人体を検出する処理を説明するための図である。図1(b)の縦軸は赤外線センサの出力値を示し、横軸は時間を示している。なお、図中に背景の温度変化等による出力値の揺らぎの範囲にNの符号を付して示す。
実施形態1の赤外線センサでは、赤外線検出素子が出力する信号の値(以下、実施形態1〜3では「出力値」と記す)と、出力値の微分値とを連続して入力している。微分値は、人体の移動によって赤外線センサが人体を検知していない状態から検知した状態に移行したとき、または検知している状態から検知しない状態に移行したとき特に大きく変化する。
実施形態1では、微分値が予め定められたしきい値(基準値設定しきい値V0)より大きい値に達したか否かを判定する。図1(a)では、図中に示したピークP1が基準値設定しきい値V0を上回ったものとする。このような場合、ピークP1は赤外線センサが人体を検知したと考えられる。したがって、ピークP1が発生した時刻t1以前に検知されている赤外線はバックグラウンドであると判定できる。実施形態1は、この点に着目し、時刻t1の直前に検出された出力値(直前検出信号)を基準値b1に設定する。
基準値b1を設定した後、実施形態1の赤外線センサは、図1(b)に示す出力値のうち、ピークP1に対応する出力値の出力タイミング以降に順次出力される出力値(実施形態1〜3では「後続出力値」とも記す)を基準値b1と比較する。そして、この出力値と基準値b1との差分Vdiffが人体検知しきい値V1より大きくなった場合、赤外線センサの検知範囲内に人体があると判定する。また、後続出力値と基準値b1との差分Vdiffが人体検知しきい値V1以下になった場合、検知範囲に人体がないと判定する。
なお、図1に示した例では、人体を検知した場合に出力値が増加する方向に変化する例を示している。しかし、人体が環境温度より低温である場合、出力値は減少する方向に変化するので、マイナスの値が出力される。実施形態1では、基準値設定しきい値V0、人体検知しきい値V1をいずれも絶対値とし、出力値や微分値の絶対値と比較することによって環境温度によらず人体を検知することを可能にしている。
図2は、以上説明した実施形態1の赤外線センサの構成を説明するための図である。実施形態1の赤外線センサは、量子型の赤外線検出素子201が出力値を出力する。また、実施形態1の赤外線センサは、入力された出力値を微分して微分値を得る微分回路203と、微分回路203によって得られた微分値を基準値設定しきい値V0(第1しきい値)と比較し、微分値が基準値設定しきい値V0より大きい場合、この微分値に対応する出力値の出力タイミングに基づいて所定の出力値を基準値b1に設定する第1判定回路204と、基準値b1と、この出力タイミング以降に入力された後続出力値との差分である差分Vdiffと人体検知しきい値(第2しきい値)とを比較し、比較の結果に基づいて、検知対象の有無を判定する第2判定回路205と、を備えている。
また、実施形態1の赤外線センサは、第2判定回路205によって出力される判定結果を示す信号を入力し、判定結果を外部に知らせるための信号を出力する出力回路206を備えている。出力回路206によって出力される信号は、ブザー等の音声信号であってもよいし、テキストデータや画像データであってもよい。さらに、警備会社等に対して自動的に電話をかけるための制御信号であってもよい。
さらに、実施形態1の赤外線センサは、記憶回路202を備え、設定された基準値b1は、記憶回路202に格納されている。
ここで、「微分値に対応する検出信号の出力タイミングに基づいて所定の出力値を基準値に設定する」の内容について具体的に説明する。実施形態1では、基準値設定しきい値V0よりも大きい微分値に対応する出力値の出力タイミングの直前に入力された出力値を基準値b1に設定している。なお、説明の簡単のため、入力された出力値Onと、出力値Onの次に入力された出力値On+1との差分を微分値とする。この説明では、出力値を基準値b1に設定するとは、記憶回路202に所定の出力値を格納することを指すものとする。出力値を記憶回路202に格納する具体的な方法としては、記憶回路202が周期的に出力値を順次入力し、先に入力されている出力値を後に入力された出力値によって更新するものがある。また、第1判定回路204が基準値となる出力値を記憶回路202に記憶させるものがある。
記憶回路202が周期的に順次出力値を入力する場合、記憶回路202に出力値が入力されるタイミングを、微分回路203が微分演算するタイミングより1周期遅らせて設定する。微分回路203は、出力値Onと出力値On+1とを使って微分値を算出する。そして、第1判定回路204によって微分値が基準値設定しきい値V0より大きいと判定された場合、第1判定回路204が、現在入力されている出力値Onを更新せずに保持させる(格納させる)ように記憶回路202を制御する。
また、第1判定回路204が記憶回路202に出力値を記憶させる場合、微分回路203にのみ出力値Onと出力値On+1とが入力される。微分回路203は、出力値Onと出力値On+1とを使って微分値を算出する。第1判定回路204は、微分値が基準値設定しきい値V0より大きいと判定した場合、演算に使われた出力値のうち先に入力された出力値Onを記憶回路202に格納する。以上のように構成した場合、「微分値に対応する出力値とは、微分値の演算に使用された出力値を指す」。
また、実施形態1はこのような構成に限定されるものではない。例えば、基準値設定しきい値V0より大きい微分値の算出に使用された出力値On、あるいは出力値On+1よりも先に入力された所定の数の出力値を直前に入力された出力値として扱うものであってもよい。この例では、所定の数を3個、出力値Onを基準にしたとすると、出力値On-1、出力値On-2、出力値On-3が直前に入力された出力値に該当する。該当する出力値が複数ある場合、それらの出力値の平均をとって基準値とするものであってもよい。また、出力値Onあるいは出力値On+1の入力以前の所定の時間内に入力された出力値を直前に入力された出力値として扱うものであってもよい。
さらに、例えば、上記したように、2つの出力値を使って微分値を算出する構成に限定されるものではなく、所定の時定数をもつアナログ微分回路の出力信号を用いてもよいし、さらに多くの出力値を使って算出するものであってもよい。このような場合、基準値b1は、複数の出力値の平均をとる等の方法により加工された値であってもよい。さらに、基準値設定しきい値V0よりも大きい微分値の算出に用いられた検出信号の入力直前に入力された出力値を基準値b1に設定する構成であればどのようなものであってもよい。
また、記憶回路202は、所謂1チップマイコン等と呼ばれる小型のコンピュータのメモリを利用するものであってもよい。また、コンデンサ等の電子部品であってもよい。コンデンサを使って記憶回路202を構成すれば、赤外線センサの構成をより小型、簡易化し、製造コストをも低減することができる。
2.動作
図3は、実施形態1の赤外線センサの動作を説明するためのフローチャートである。実施形態1の赤外線センサは、赤外線検出素子201が出力した出力値を入力している(取込んでいる)。出力値の入力は、連続的に行ってもよいし、0.1秒程度の周期で行ってもよい。入力された出力値は、微分回路203において微分される(ステップS302)。
微分処理によって得られた微分値は、第1判定回路204によって基準値設定しきい値V0と比較される(ステップS303)。微分値が基準値設定しきい値V0に満たない場合(ステップS303:No)、人体が検知範囲にないと判定し(ステップS304)、次の出力値を入力する。
ステップS303において、微分値が基準値設定しきい値V0よりも大きくなったと判定された場合(ステップS303:Yes)、第1判定回路204は、基準値設定しきい値V0よりも大きい微分値の算出に用いられた出力値のうち先に入力された出力値を記憶回路202に格納する(ステップS305)。この動作により、格納された出力値が基準値に設定される。
基準値は、第2判定回路205に送られる。第2判定回路205は、順次入力される後続出力値と基準値との差分Vdiffを算出する。そして、差分Vdiffが人体検知しきい値V1より大きい値になったか否か判定する(ステップS307)。差分Vdiffが人体検知しきい値V1以下の場合(ステップS307:No)、人体が検知範囲にないと判定し(ステップS304)、次の後続出力値を入力する。
一方、ステップS307において、差分Vdiffが人体検知しきい値V1よりも大きくなったと判定された場合(ステップS307:Yes)、第2判定回路205は、人体を検知したと判定する(ステップS308)。そして、人体を検知したことを示す信号を出力回路206に出力し、人体の検知を外部に通知する。
このような実施形態1の赤外線センサによれば、人体が赤外線の検知範囲に入る直前に測定されたバックグラウンドを基準値に設定することができる。このため、検知時の季節や気候、赤外線センサの取り付け環境(日照状態や周辺機器)によらず、バックグラウンドとなる赤外線やノイズを正確に検出することができる。したがって、検知時の季節や気候、周辺環境(日照状態や周辺機器の有無)によらずしきい値を変更する必要がない。そして、正確なバックグラウンドやノイズを考慮して後続出力値をしきい値と比較することができるので、静止状態の人体を正確に検知することができる。
また、実施形態1では、赤外線センサによって人体を検出する例を挙げて説明したが、実施形態1の赤外線センサは、人体を検知することに限定されるものではない。例えば、動物や工場内で生産されるワークや部材等、赤外線を放出するものであればどのようなものも検知対象にすることができる。
なお、実施形態1においては、赤外線検出素子201が量子型の赤外線検出素子、微分回路203が微分手段、第1判定回路204が第1比較手段及び基準値設定手段、第2判定回路が第2比較手段及び検知判定手段として機能する。 3.変形例
また、実施形態1の赤外線センサは、図2に示した構成に限定されるものではない。すなわち、例えば、積分回路によって出力値を積分することにより、人体の検出の信頼性をいっそう高めることができる。すなわち、積分回路の時定数を0.1秒〜10秒程度の人体動作の速度に設定することにより、人体が動作している場合、静止している場合、ゆっくり動いている場合であっても、他の外乱要因から人体の動作検知信号を際立たせることができる。
図4、図5は、積分回路を備えた実施形態1の赤外線センサを説明するための図である。なお、図4、図5に示した構成のうち、図2に示した構成と同様の構成については同様の符号を付して説明を一部略すものとする。図4に示した赤外線センサは、記憶回路202の直前に積分回路401を設けるものである。このような構成によれば、基準値に設定される赤外線検出素子201の出力値を積分し、正確な人体動作の出力値を得ることができる。このため、適正な基準値を設定し、以降に行われる人体検知の信頼性を高めることができる。
図5に示した赤外線センサは、記憶回路202及び微分回路203の直前に積分回路401を設けるものである。このような構成によれば、積分回路による正確な人体動作の出力に前記微分処理を行うため、正確な人体検出信号を得ることができる.このため、基準値設定のタイミングや基準値の値を適正に設定することができ、以降に行われる人体検知の信頼性をいっそう高めることができる。
なお、積分回路は所定の時定数を持ったアナログ積分回路であっても良い。
以上述べた実施形態1は、微分値を使って人体が検知されたことによる赤外線の変化を検出することができるので、赤外線のバックグラウンドによらず検知開始のタイミングを検出することができる。特に特開2007−81225号公報に記載の赤外線検出素子は、高速応答という特徴をもつので、短い時定数での微分値を計算することが可能である。そのため出力値のわずかな変化を検出することが可能であり、より確実に人体検出することができるので、本発明における検出素子として好適である。
また、検知開始の直前に入力された出力値を基準値に設定することにより、検知の環境等によらず適正な基準値を設定することができる。また、以降順次入力される出力値と基準値との差分を算出することにより、人体が放射する赤外線だけを検知することができる。さらに、この値をしきい値と比較し、しきい値以上の値を得る場合に人体が検知されていると判定するから、人体が静止していても赤外線を放射している限り存在を検知することができる。
(実施形態2)
1.動作原理
次に、本発明の実施形態2を説明する。実施形態2の赤外線センサは、人体の検知開始後に入力された出力値を基準値に設定する。そして、設定された基準値と以降に入力された後続出力値の差分が所定のしきい値以下である場合に人体を検知したと判定する。また、差分が所定のしきい値より大きい場合に人体を検知していない判定する。
このような実施形態2は、例えば自動ドアに赤外線センサを取り付けた場合、自動ドアの開閉によって検知範囲の温度が変動するためにバックグラウンドとなる赤外線の状態が変化することを考慮したものである。
図6は、実施形態2の赤外線センサの動作原理を説明するための図である。図6(a)は、実施形態2の検知センサが人体を検知する際の基準値を決定するための処理を説明するための図である。図6(a)の縦軸は赤外線センサの出力値を微分した微分値を示し、横軸は時間を示している。また、図6(b)は、図6(a)に示した処理によって決定した基準値を使って人体を検出する処理を説明するための図である。図6(b)の縦軸は赤外線センサの出力値を示し、横軸は時間を示している。
実施形態2では、実施形態1と同様に、図6(a)に示すピークP1が基準値設定しきい値V0を上回ったか否か判定する。ピークP1が基準値設定しきい値V0を上回った場合、ピークP1を示す微分値の算出に使用された検出信号の直前に入力された検出信号を基準値b1に設定する。そして、順次入力される後続出力値を基準値b1と比較し、両者の差分Vdiffが人体検知しきい値V1以上である間は人体が検知されていると判断する。
ただし、実施形態2は、人体が検知されなくなったことを、ピークP1に対応する出力値の出力タイミング直後に入力された出力値(直後検出信号)を基準値b2に設定して判断する点で実施形態1と相違する。つまり、ピークP1の発生直後に入力される出力値(基準値b2)は、人体が検知範囲内にある場合の赤外線を示している。実施形態2では、基準値b2と後続出力値との差分Vdiffが人体検知しきい値V2より大きくなったことにより、人体が検知範囲から出たために赤外線の状態が大きく変ったものと推定し、人体が検知されないと判定する。
なお、実施形態2でいう基準値設定しきい値V0より大きい微分値(ピークP1で示す)に対応する出力値の出力タイミング直後に出力される出力値とは、例えば、微分回路203が出力値Onと出力値On+1とを使って算出した微分値が基準値設定しきい値V0より大きいと判定された場合の出力値On+1の次に入力された出力値On+2をいう。記憶回路202bに出力値が順次入力される場合、第1判定回路204は、次に入力される出力値On+2を後の出力値On+3により更新せずに保持させるよう記憶回路202を制御する。
また、第1判定回路204が記憶回路202に出力値を記憶させる場合、微分回路203にのみ出力値Onと出力値On+1とが入力される。微分回路203は、出力値Onと出力値On+1とを使って微分値を算出する。第1判定回路204は、微分値が基準値設定しきい値V0より大きいと判定した場合、次に入力された出力値On+2を記憶回路202bに格納する。
また、実施形態2はこのような構成に限定されるものではない。例えば、基準値設定しきい値V0より大きい微分値の算出に使用された出力値On+1よりも後に入力された所定の数の出力値を直後に入力された出力値として扱うものであってもよい。この例では、所定の数を3個とすると、出力値On+2、出力値On+3、出力値On+4が直後に入力された出力値に該当する。該当する出力値が複数ある場合、複数の出力値の平均をとって基準値とするものであってもよい。また、出力値Onあるいは出力値On+1の入力後から所定の時間内に入力された出力値を直後に入力された出力値として扱うものであってもよい。このように構成した場合、微分値に対応する出力値とは、微分値の算出に用いられる出力値を指す。
さらに、例えば、上記したように、2つの出力値を使って微分値を算出する構成に限定されるものではなく、所定の時定数をもつアナログ微分回路の出力信号を用いてもよいし、さらに多くの出力値を使って算出するものであってもよい。このような場合、基準値は、これらの出力値の平均をとる等の方法により加工された値であってもよい。さらに、第1しきい値よりも大きい微分値の算出に用いられた検出信号の入力直後に入力された出力値を基準値に設定する構成であればどのようなものであってもよい。
2.構成
図7は、実施形態2の赤外線センサの構成を説明するためのブロック図である。図7においても、図2で示した構成と同様の構成については同様の符号を付し、説明を一部略すものとする。
実施形態2の赤外線センサは、実施形態1の赤外線センサと同様に、赤外線検出素子201、微分回路203、第1判定回路204、第2判定回路205、出力回路206を備えている。さらに、実施形態2の赤外線センサは、基準値b1、b2をそれぞれ記憶する記憶回路202a、記憶回路202b、後続出力値と基準値b1、基準値b2のいずれかとの差分Vdiffと比較される人体検知しきい値V1、V2のいずれかを選択して設定するしきい値設定回路701を備えている。
記憶回路202aは、ピークP1の発生直前に入力された出力値を基準値b1として格納する。また、記憶回路202bは、ピークP1の発生直後に入力された出力値を基準値b2として格納する。記憶回路202a、202bにそれぞれ設定されている基準値b1、b2は、交互に第2判定回路205に送られる。
また、しきい値設定回路701には人体検知しきい値V1、V2が格納されていて、人体検知しきい値V1は基準値b1に対応するタイミングで第2判定回路205に出力される。人体検知しきい値V2は基準値b2に対応するタイミングで第2判定回路205に出力される。第2判定回路205は、基準値b1が入力された場合、後続出力値と基準値b1との差分Vdiffを算出し、差分Vdiffを人体検知しきい値V1と比較する。また、基準値b2が入力された場合、後続出力値と基準値b2との差分Vdiffを算出し、差分Vdiffを人体検知しきい値V2と比較する。そして、差分Vdiffを人体検知しきい値V1または人体検知しきい値V2との大小関係に応じて人体が検知された、あるいは検知されていないと判断する。
3.動作
図8は、実施形態2の赤外線センサの動作を説明するためのフローチャートである。実施形態2の赤外線センサは、赤外線検出素子201が出力した出力値を入力している(ステップS801)。入力された出力値は、微分回路203において微分される(ステップS802)。微分処理によって得られた微分値は、第1判定回路704によって基準値設定しきい値V0と比較される(ステップS803)。微分値が基準値設定しきい値V0に満たない場合(ステップS803:No)、人体が検知範囲にないと判定し(ステップS804)、次の出力値を入力する。
ステップS803において、微分値が基準値設定しきい値V0よりも大きくなったと判定された場合(ステップS803:Yes)、第1判定回路704は、基準値設定しきい値V0よりも大きい微分値の算出に用いられた出力値のうち先に入力された出力値を記憶回路202aに格納する(ステップS805)。
また、実施形態2では、第1判定回路704が、後に入力された出力値のうち(ステップS806)、微分値の算出に用いられた出力値の直後に入力された出力値を記憶回路202bに格納する(ステップS807)。この動作により、格納された出力値がそれぞれ記憶回路202a、202bに基準値として設定される。
第2判定回路205は、後続出力値を順次入力し(ステップS808)、人体が検知されたか否かの判定(判定2)を行う(ステップS809)。判定2は、後続出力値と基準値b1との差分Vdiffを算出し、差分Vdiffが人体検知しきい値V1より大きい値になったか否かによって行われる。差分Vdiffが人体検知しきい値V1以下の場合(ステップS809:No)、第2判定回路205が、同じ後続出力値を使って人体が検知されないか否かの判定(判定3)を行う(ステップS810)。
判定3は、後続出力値と基準値b2との差分Vdiffとの差分を算出し、差分Vdiffが人体検知しきい値V2より大きい値になったか否かによって行われる。差分Vdiffが人体検知しきい値V2以下の場合(ステップS810:No)、人体が検知範囲に依然としてあると判定される(ステップS811)。差分Vdiffが人体検知しきい値V2より大きい場合(ステップS810:Yes)、人体が検知範囲になくなったと判定される(ステップS804)。
また、ステップS809において、差分Vdiffが人体検知しきい値V1より大きいと判断された場合(ステップS809:Yes)、判定3は行われず、直ちに人体が検知されていると判断される。
以上述べた実施形態2によれば、基準値設定しきい値V0以上の微分値に対応する出力値が出力されたタイミングの直後にも基準値を設定することができる。このため、例えば人体がドアを開けた等によるバックグラウンドの変化が人体検知開始後に生じても、変化後のバックグラウンドを表す基準値を設定することができる。このため、環境に起因するバックグラウンドによらず、検知対象を正確に検知できる。
また、特開2007−81225号公報に記載の赤外線検出素子は、高速応答という特徴をもつので、短い時定数での微分値を計算することが可能である。そのため、出力値のわずかな変化を検出することが可能であり、より確実に人体検出することができるので、本発明における検出素子として好適である。
また、基準値と後続出力値との差分Vdiffとを人体検知しきい値V1、V2とを比較して人体の有無を判定しているから、検知範囲内において静止している対象をも検知することができる。
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3について説明する。実施形態3は、入力信号の微分値が予め定められているしきい値以上の値になったか否かにより、人体の検知あり、無しの両方を判定するものである。このため、人体を検知したと判定するための人体検知しきい値V1に加え、人体を検知した状態から検知していない状態になったと判定するための人体検知しきい値V3を設定する。そして、人体を検知していない状態で差分Vdiffが人体検知しきい値V1以上になった場合には人体が検知されたと判定する。そして、既に人体が検知されている状態において差分Vdiffが人体検知しきい値V3以上になった場合には人体が検知されなくなったと判定する。
なお、実施形態3では、出力値及び差分Vdiffを全て絶対値として扱うものとし、出力値の絶対値と基準値設定しきい値V0とを比較する。また、差分Vdiffの絶対値と人体検知しきい値V1、V3とを比較するものとする。
1.動作原理
図9は、実施形態3の赤外線センサの動作原理を説明するための図である。図9(a)は、実施形態3の検知センサが人体を検知する際の基準値を決定するための処理を説明するための図である。図9(a)の縦軸は赤外線センサの出力値を微分した微分値を示し、横軸は時間を示している。また、図9(b)は、図9(a)に示した処理によって決定した基準値を使って人体を検出する処理を説明するための図である。図9(a)の縦軸は赤外線センサの出力値を示し、横軸は時間を示している。
実施形態3では、実施形態1、実施形態2と同様に、図9(a)に示すピークP1に対応する出力値の出力タイミングの直前に入力された出力値を基準値b1に設定する。そして、後続出力値と基準値b1との差分Vdiffを算出し、差分Vdiffを人体検知しきい値V1と比較する。差分Vdiffが人体検知しきい値V1より大きい場合、人体が検知されていると判断する。
また、実施形態3では、人体が検知されているとき、図9(a)に示したピークP2が発生すると、ピークP2の発生の直前に入力された出力値を基準値b3に設定する。そして、入力された後続出力値と基準値b3との差分Vdiffがしきい値V3以上になった場合、人体が検知されなくなったと判定する。なお、実施形態3では、ピークP1、ピークP2を、いずれも基準値設定しきい値V0より大きい微分値としている。ただし、実施形態3はこのような構成に限定されるものではない。ピークP1、ピークP2を互いに異なる基準値設定しきい値に基づいて決定することも可能である。
このような実施形態3は、バックグラウンドとなる赤外線が人体検知開始から検知終了までの間に大きく変化する場合を考慮したものである。このようにすれば、人体が検知範囲から出る(検知終了)直前のバックグラウンドを基準値に設定することができる。このため、人体が検知範囲に入った後にバックグラウンドが大きく変化した場合にも、適正な基準値を設定して人体が検知されていないことを正確に判断することができる。
2.構成
図10は、実施形態3の赤外線センサの構成を説明するためのブロック図である。図10においても、図2で示した構成と同様の構成については同様の符号を付し、説明を一部略すものとする。
実施形態3の赤外線センサは、実施形態1の赤外線センサと同様に、赤外線検出素子201、記憶回路202、微分回路203、第1判定回路204、第2判定回路205、出力回路206、を備えている。さらに、実施形態3の赤外線センサは、人体検知しきい値V1(第2しきい値)と人体検知しきい値V3(第3しきい値)とを切替えて第2判定回路205に設定するしきい値設定回路1001を備えている。
赤外線検出素子201は、第2判定回路205、微分回路203に出力値を出力する。微分回路203は、入力された出力値を微分し、微分値を第1判定回路204に出力する。第1判定回路204は、微分値が基準値設定しきい値V0より大きいか否か判断する。そして、微分値が基準値設定しきい値V0より大きいと判断するごとに、この微分値の算出に使用された出力値の直前に入力された出力値を、基準値b1として記憶回路202に格納させる。
このため、実施形態3では、記憶回路202に設定される基準値b1が、ピークP1、またはピークP2の発生によって更新されることになる。更新された基準値b1は、第2判定回路205に入力されて、人体検知判定のための演算に使用される。
しきい値設定回路1001は、出力回路206から人体の有無を示す信号を入力し、現在人体が検知されている状態であるか否か判断することができる。そして、しきい値設定回路1001が、人体が検知されていない場合には人体検知しきい値V1を設定し、人体が検知されている場合に人体検知しきい値V3を設定する。
第2判定回路205は、人体検知しきい値V1が設定されている場合、後続出力値と基準値b1との差分Vdiffを算出する。算出された差分Vdiffは、人体検知しきい値V1と比較される。そして、差分Vdiffが人体検知しきい値V1より大きい場合、人体が検知されていると判定する。また、第2判定回路205は、人体検知しきい値V3が設定されている場合、後続出力値と基準値b1との差分Vdiffを算出する。算出された差分Vdiffは、人体検知しきい値V3と比較される。そして、差分Vdiffが人体検知しきい値V3より大きい場合、人体が検知されていないと判定する。第2判定回路205による人体検知の判定の結果は、しきい値設定回路1001に入力される。
このような実施形態3によれば、しきい値設定回路1001が直前に判定された人体の有無に基づいて人体検知しきい値V1または人体検知しきい値V3を設定する。そして、基準値設定しきい値V0以上の微分値が得られるごと、つまり検知範囲における赤外線に比較的大きい変化が生じるごとに、変化の直前に測定された赤外線をバックグラウンドに設定することができる。さらに、既に人体が検知されているか否かによって赤外線の変化が人体が検知されていることを示す、または人体が検知されていないことを示すと判断することができる。
特開2007−81225号公報に記載の赤外線検出素子は、高速応答という特徴をもつので、短い時定数での微分値を計算することが可能である。そのため、出力値のわずかな変化を検出することが可能であり、より確実に人体検出することができるので、本発明における検出素子として好適である。
3.動作
図11は、実施形態3の赤外線センサの動作を説明するためのフローチャートである。実施形態3の赤外線センサでは、先ず、図11に示すように、赤外線検出素子201の出力値を入力する(ステップS1101)。微分回路203は、出力値を微分して微分値を生成する(ステップS1102)。第1判定回路204は、生成された微分値を入力し、微分値と基準値設定しきい値V0とを比較する(ステップS1103)。微分値が基準値設定しきい値V0以下である場合(ステップS1103:No)、次に入力される出力値を処理する。
また、ステップS1103において、微分値が基準値設定しきい値V0より大きいと判断された場合(ステップS1103:Yes)、第1判定回路204は、基準値設定しきい値V0より大きい微分値の算出に用いられた出力値の直前に入力された出力値を基準値b1として記憶回路202に格納する(ステップS1104)。そして、しきい値設定回路1001が、第2判定回路205に対してしきい値を設定する(ステップS1105)。しきい値の設定は、出力回路206から入力される判定結果が人体検知ありの場合には人体検知しきい値V3を、判定結果が人体検知なしである場合には人体検知しきい値V1を設定するように行われる。
そして、赤外線センサは、次の後続出力値を入力し(ステップS1106)、入力された後続出力値と記憶回路202に設定されている基準値との差分Vdiffを算出する。算出された差分Vdiffは、ステップS1105において設定されたしきい値(人体検知しきい値V1または人体検知しきい値V3)と比較される(ステップS1107)。そして、差分Vdiffが人体検知しきい値以上の値になったとき(ステップS1107:Yes)、人体の有無を示す判定結果が変更される(ステップS1108)。また、差分Vdiffが人体検知しきい値以下であれば(ステップS1107:No)、判定結果はそのまま保持される(ステップS1109)。
以上述べた実施形態3によれば、基準値設定しきい値V0以上の微分値が得られる度に直前の出力値を基準値に設定することができる。このため、人体検知開始から検知終了までの間に赤外線のバックグラウンドが大きく変化した場合にも、バックグラウンドを適正に表す基準値を設定することができる。このため、環境に起因するバックグラウンドによらず、人体検知しきい値V1、V3の値を変更することなしに、検知対象を正確に検知できる。また、基準値と後続出力値との差分Vdiffとを人体検知しきい値V1、V3とを比較して人体の有無を判定しているから、検知範囲内において静止している対象をも検知することができる。
本発明の実施形態1の動作原理を説明するための図である。 本発明の実施形態1の赤外線センサの構成を説明するための図である。 本発明の実施形態1の赤外線センサの動作を説明するためのフローチャートである。 積分回路を備えた実施形態1の赤外線センサを説明するための図である。 積分回路を備えた実施形態1の赤外線センサを説明するための他の図である。 本発明の実施形態2の赤外線センサの動作原理を説明するための図である。 本発明の実施形態2の赤外線センサの構成を説明するためのブロック図である。 本発明の実施形態2の赤外線センサの動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施形態3の赤外線センサの動作原理を説明するための図である。 本発明の実施形態3の赤外線センサの構成を説明するためのブロック図である。 本発明の実施形態3の赤外線センサの動作を説明するためのフローチャートである。 従来の赤外線センサのアルゴリズムと問題点を説明するための図である。 他の従来の赤外線センサの問題点を説明するための図である。
符号の説明
201 赤外線検出素子
202、202a、202b 記憶回路
203 微分回路
204 第1判定回路
205 第2判定回路
206 出力回路
401 積分回路
701、1001 しきい値設定回路
704 第1判定回路

Claims (6)

  1. 量子型の赤外線検出素子から順次出力される検出信号を微分する微分手段と、
    前記微分手段による微分値と、予め定められた第1しきい値とを比較する第1比較手段と、
    前記第1比較手段による比較の結果、前記微分値が前記第1しきい値より大きくなった場合、当該微分値に対応する検出信号の出力タイミングに基づいて、所定の検出信号を基準値に設定する基準値設定手段と、
    前記基準設定手段によって設定された前記基準値と、前記出力タイミング以降に入力された後続検出信号との差分を予め定められた第2しきい値と比較する第2比較手段と、
    前記第2比較手段による比較の結果に基づいて、検知対象の有無を判定する検知判定手段と、
    を備えることを特徴とする赤外線センサ。
  2. 前記基準値設定手段は、
    前記出力タイミングの直前に入力された直前検出信号を基準値に設定し、
    前記検知判定手段は、
    前記基準値と前記後続検出信号との差分が前記第2しきい値より大きい場合、検知対象が検知されたと判定することを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ。
  3. 前記検知判定手段は、
    前記基準値と前記後続検出信号との差分が前記第2しきい値以下である場合、検知対象が検知されていないと判定することを特徴とする請求項1または2に記載の赤外線センサ。
  4. 前記基準値設定手段は、
    前記出力タイミングの直後に入力された直後検出信号を基準値に設定し、
    前記検知判定手段は、
    前記基準値と前記後続検出信号との差分が第2しきい値より大きい場合、検知対象が検知されていないと判定することを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ。
  5. 前記第2しきい値と第3しきい値とを切替えて設定するしきい値設定切り替え手段をさらに有し、
    前記しきい値設定切り替え手段は、前記検知判定手段によって検知対象が検知されていないと判定されている場合に前記第2しきい値を設定し、前記検知判定手段によって検知対象が検知されていると判定されている場合に前記第3しきい値を設定し、
    前記検知判定手段は、
    前記第2しきい値が設定されている場合、前記基準値と前記後続検出信号との差分が前記第2しきい値より大きい場合に検知対象が検知されたと判定し、前記第3しきい値が設定されている場合、前記基準値と前記後続検出信号との差分が前記第3しきい値より大きい場合に検知対象が検知されていないと判定することを特徴とする請求項1または2に記載の赤外線センサ。
  6. 量子型の赤外線検出素子から順次出力される検出信号を微分する微分ステップと、
    前記微分ステップによる微分値と、予め定められた第1しきい値とを比較する第1比較ステップと、
    前記第1比較ステップにおける比較の結果、前記微分値が前記第1しきい値より大きくなった場合、当該微分値に対応する検出信号の出力タイミングに基づいて所定の検出信号を基準値に設定する基準値設定ステップと、
    前記基準値設定ステップにおいて設定された前記基準値と、前記出力タイミングよりも後に入力された後続検出信号との差分を予め定められた第2しきい値と比較する第2比較ステップと、
    前記第2比較ステップにおける比較の結果に基づいて、検知対象の有無を判定する検知判定ステップと、
    を含むことを特徴とする赤外線センサを使った検知方法。
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