JP2009235340A - 塗装済み金属部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】プライマーに求められる基本特性を確保しつつ、耐薬品性が向上したプライマーを有する塗装済み金属部材を提供する。
【解決手段】素地部材の少なくとも片面に2層以上の塗膜を備え、この塗膜のうち最下層の塗膜中に含まれる顔料の合計含有量は当該最下層の塗膜の全固形分に対して50質量%以下であり、顔料は前記最下層の塗膜の全固形分に対して10質量%以上25質量%以下で防錆顔料を含有し、防錆顔料以外の顔料は粒径が0.5μm以下である。好ましい態様は防錆顔料がトリポリリン酸アルミニウム、亜リン酸マグネシウムおよび多孔質シリカからなる群から選ばれる一種または二種以上を含むこと、および/または防錆顔料以外の顔料がチタニアを含むことである。
【選択図】図1

Description

本発明は、家電製品、建材、自動車部品などの製造に有用な塗装鋼板を典型例とする塗装済み金属部材に関する。本発明の塗装済み金属部材は、耐酸性、耐アルカリ性などの耐薬品性に優れ、かつ優れた加工性を有する。
塗装鋼板(プレコート鋼板、PCM)は、素地鋼板に塗装および焼付けが行われるにより塗膜が形成された後、コイル状に巻き取られ、その状態でユーザーに納入される。その後、ユーザーはコイルを巻き戻して、打ち抜き、折り曲げ、絞り加工、またはこれらを組み合わせた加工を行う。作業環境を悪化させ、廃液処理が面倒な塗装作業をユーザーが行う必要がないことから、塗装鋼板の適用は多くの分野に普及している。
塗装鋼板の製造方法としては、素地鋼板(典型的には亜鉛系めっき鋼板)に塗装下地処理を施した後、下塗り塗料の塗布および焼付けを行い、次に上塗り塗料の塗布および焼付けを順に行う2コート2ベーク方式が一般的である。要求される性能に応じて、上塗り塗料からなる上塗り塗膜(以下「トップコート」ともいう。)および下塗り塗料からなる下塗り塗膜(以下「プライマー」ともいう。)ならびにその組み合わせが設計される。
塗装鋼板は、用途や環境に応じた加工性や耐食性等の諸性能が求められる。最近は、特に家電製品用塗装鋼板において、例えばレンジフード用途等では、耐酸性、耐アルカリ性といった耐薬品性が求められている。具体的には、酸やアルカリに接触する環境で、意匠面に塗膜膨れが生じにくいことが求められる。
塗装鋼板において耐薬品性に関する評価をした例として、以下の文献が挙げられる。
特許文献1は、鋼板上にポリエステル樹脂を含むトップコート塗装がなされた樹脂塗装鋼板において、該樹脂塗装鋼板を5%NaOH水溶液に室温で24時間浸漬した場合の浸漬後のトップコート層のふくれ・光沢異常の面積が0%、屈曲加工性が2T以上、かつ鉛筆硬度がF以上であることを特徴とする樹脂塗装鋼板を開示する。
特許文献2は、金属板の少なくとも一方の面に、化成処理皮膜と、下塗り塗膜と、ポリエステル樹脂系中塗り塗膜とが順次形成され、さらにその上に、水酸基を有するアクリル−シロキサン複合樹脂にブロックイソシアネート化合物および/またはメラミン樹脂を固形分の重量比で60:40〜95:5の範囲で配合した樹脂を主成分とする塗料組成物を塗布し、焼き付けして形成した上塗り塗膜を有することを特徴とするプレコート金属板を開示する。この文献において、皮膜の耐酸性、耐アルカリ性が評価されている(表6〜8)。
特許文献3には、(A)ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂であって、かつガラス転移温度が10〜100℃で、数平均分子量が2,000〜25,000である水酸基含有樹脂65〜95重量部及び(B)アミノ樹脂及びブロック化ポリイソシアネート化合物から選ばれる少なくとも一種の硬化剤5〜35重量部からなる皮膜形成性樹脂成分の合計量100重量部に対して、(C)カルシウムイオン交換された非晶質シリカ微粒子30〜100重量部を含有する塗料であって、かつ該塗料を加熱硬化させて得られる硬化塗膜のガラス転移温度が40〜115℃であることを特徴とする塗料組成物が開示されている。この文献において、下塗り塗膜中にカルシウムイオン交換された非晶質シリカ微粒子(平均粒径約3μm(実施例))を含有する塗装鋼板について、耐酸性が評価されている。
特開2000−87256号公報 特開平08−281865号公報 特開平11−222575号公報
耐薬品性についても、後述するようにプライマーおよびトップコートのいずれもが影響する。ここで、トップコートは外観や加工性に係わる性能が重視されることから、耐薬品性までトップコートの要求特性とすると、トップコートの設計自由度が著しく低下する可能性がある。したがって、可能な限りプライマーによって皮膜全体の耐薬品性の改善を図ることが実用的である。
この点、特許文献1には、耐アルカリ性が評価された例が開示されているものの、トップコート層の影響に言及したのみで、プライマー層については何ら言及されていない。実施例においても、鋼板の上に直接トップコート層が形成されている場合についての評価がなされているのみである。
特許文献2では耐酸性および耐アルカリ性の双方についての評価がなされているが、主として上塗り塗膜の影響について言及されている。下塗り塗膜については、塗料組成は一種類に固定されており、塗膜厚さが異なる場合が開示されているが、その差異が耐薬品性に影響を及ぼしていないことが示されているに過ぎない。
特許文献3によれば、カルシウムイオン交換された非晶質シリカ微粒子を下塗り塗膜中に含有させることにより耐酸性が良好になるとされている。しかしながら、当該文献の実施例では、上塗り塗膜のガラス転移温度(Tg)は31℃であり、耐酸性試験の試験温度(20℃)よりも高い温度となっている。この温度条件では、耐酸性試験中における上塗り塗膜を構成する分子の移動度は低く、このため、水素イオンまたはヒドロニウムイオンが上塗り塗膜内を貫通して下塗り塗膜に到達しにくい環境となっている。このような試験条件に設定されているため耐酸性(耐薬品性)が良好となっている可能性がある。これに対し、近年は鋼板の加工性を高めるために、加工を行うときの室温以下、具体的には20℃程度あるいはそれ以下まで上塗り塗膜のガラス転移温度を低下させる場合が多い。このように近年の塗装鋼板に求められる特性を考慮すれば、上塗り塗膜のガラス転移温度(Tg)が耐薬品性試験の温度よりも低い場合の性能も重要になる。しかしながら、特許文献3はそのような条件での試験結果を開示していない。このため、近年の塗装鋼板に係る実情を考慮したときに、上記のシリカ微粒子を含有させることが有意であるか否かを、特許文献3に基づいては判断できない。
このようなプライマーの耐薬品性に関する問題は塗装鋼板に限らず、二次加工前に塗装処理が施された金属表面を有する部材(以下、「塗装済み金属部材」という。)全般に共通する問題である。
本発明は、かかる現状を鑑み、プライマーに求められる基本特性を確保しつつ、耐薬品性が向上したプライマーを有する塗装済み金属部材を提供することを目的とする。
上記の課題を達成するために、本発明者は、プライマーにおいて耐薬品性に影響する因子について詳細に検討した。この因子としては、バインダーの樹脂種、含有される顔料等が挙げられる。これらの因子のうちで、特に顔料については、プライマー中に顔料を含有しないのがもっとも良好であることが判明した。しかしながら、実際問題としては、耐食性その他の理由で防錆顔料等の顔料を添加する必要があるので、それを考慮した塗膜設計が必要である。
以上の検討に基づいて、さらに顔料を中心として鋭意検討を重ねた結果、顔料の合計含有量、このうち防錆顔料の含有量、さらに防錆顔料以外の顔料の形状について規定することで、耐薬品性のみならずその他の諸特性にも優れた塗料鋼板を得ることが可能であるとの知見を得た。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下のとおりである。
(1)素地部材の少なくとも片面に2層以上の塗膜を備える塗装済み金属部材であって、前記塗膜のうち最下層の塗膜中に含まれる顔料の合計含有量は、当該最下層の塗膜の全固形分に対して50質量%以下であり、当該顔料は、前記最下層の塗膜の全固形分に対して10質量%以上25質量%以下で防錆顔料を含有し、当該防錆顔料以外の顔料は粒径が0.5μm以下であることを特徴とする塗装済み金属部材。
(2)前記防錆顔料がトリポリリン酸アルミニウム、亜リン酸マグネシウムおよび多孔質シリカからなる群から選ばれる一種または二種以上を含む上記(1)記載の塗装済み金属部材。
(3)前記防錆顔料以外の顔料がチタニアを含む上記(1)または(2)記載の塗装済み金属部材。
本発明に係る塗装済み金属部材は、上記のようなプライマーを備えるため、防錆顔料を有していながら、被膜中に母材表面に至る薬品の浸透経路が形成されにくい。したがって、耐薬品性のみならず、耐食性についても高度に達成することができる。
以下、おもて面(最終製品において外側、すなわちユーザーに見られる側の面)に2層の塗膜(プライマーとトップコート)を備える塗装鋼板を主たる例として、本発明を説明する。なお、以下の説明において、プライマー(最下層塗膜)の各成分の含有量におけることわりのない「%」は、プライマー(最下層塗膜)を構成する全固形分に対する質量%である。
1.素地部材、塗装下地処理
本発明に係る塗装済み金属部材の素地部材は、先に定義したように、二次加工前に塗装処理が施された金属表面を有する部材である。二次加工としては曲げ加工、切断加工などが例示される。金属表面を構成する材料は特に制限されず、鉄系材料、ニッケル系材料、アルミニウム系材料、マグネシウム系材料、亜鉛系材料などが例示される。プライマーが形成される表面が金属であればよいので、部材の全部が金属からなるものでもよいし、一部が金属からなり他は非金属部材からなるもの、例えばめっきなどの手法により表面の一部だけが金属化されたものでもよい。部材の形状にも特に制限されない。板状でもよいし、棒状でもよいし、塊状でもよい。あるいは、あらかじめある程度の形状に成形されていて、さらに二次加工がなされるものであってもよい。そのような部材の例として、押し出し成形により断面形状をH型にされた棒状のアルミニウム部材が挙げられる。
塗装済み金属部材の典型例である塗装鋼板についてさらに詳しく説明すれば、何ら処理がされていない鋼板のみならず、通常使用される亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっき鋼板を使用することができる。また、これらの鋼板のプライマーが塗布される面に、例えばリン酸亜鉛処理や塗装下地処理用薬剤塗布等による塗装下地処理が施されていてもよい。これらの下地処理がなされていることにより、素地鋼板とプライマーとの密着性が高まり、耐食性や加工性などプライマーに求められる基本特性をさらに高めることが実現される。
2.プライマー
本発明に係る塗装済み金属部材のプライマーは、バインダー成分と顔料とを含み、必要に応じて少量の添加成分をさらに有する。
本発明に係るプライマーが含むバインダー成分は有機樹脂を有することが好ましく、有機樹脂からなるバインダーであることがさらに好ましい。有機樹脂として、ポリエステル系樹脂、ならびにポリエステル系樹脂とエポキシ樹脂、メラミン樹脂およびウレタン樹脂からなる群から選ばれる一種または二種以上とを混合した樹脂が例示される。この中でも、ポリエステル樹脂が特に好ましい。バインダーに含まれる有機樹脂のガラス転移温度(Tg)は、30℃以上が好ましい。なお、耐薬品性の観点からは有機樹脂のガラス転移温度は高い方が有利であるが、Tgが高いと加工性に悪影響を及ぼし得るので、要求される性能に応じて選択されるべきである。好ましくは70℃以下とする。
本発明に係るプライマーは耐食性確保のために防錆顔料を含有する。この防錆顔料としては、環境への影響を考慮して非クロム系のものがよく、例えばリン酸塩系顔料(トリポリリン酸アルミニウム、亜リン酸系マグネシウム等)または、シリカ系顔料(多孔質シリカ、イオン交換シリカ等)が挙げられる。シリカ系顔料については、多孔質シリカを用いることが耐食性の観点でより好ましい。
本発明に係るプライマー中の防錆顔料の含有量は、10%以上25%以下である。含有量が10%未満の場合には、プライマーに求められる基本特性の一つである耐食性を確保することが困難となる。一方、含有量が25%を超えると、耐薬品性の劣化が無視できなくなってしまう。
本発明に係るプライマーは、防錆顔料に加えて、素地部材の隠蔽性その他諸性能の観点からシリカ、チタニア、ジルコニア等いわゆる体質顔料と呼ばれる顔料を含有する。本発明においては、これら防錆顔料以外の顔料(以下の説明では、「体質顔料」と総称する場合もある。)の粒径をできるだけ細かく、具体的には平均粒径で0.5μm以下とする。体質顔料の平均粒径を0.5μm以下とすることで、耐薬品性が著しく向上する。
体質顔料の平均粒径と耐薬品性との間に相関が見られる理由については必ずしも明らかではないが、おおむね次のように推察される。
プライマー中に顔料(防錆顔料および/または体質顔料)を含有することによって、図1(a)に示されるように、塗膜表面から薬品(酸またはアルカリ)が塗膜を浸透する経路が形成される。図1(a)は、プライマーに含有される顔料の粒径が大きい場合であって、薬品が素地鋼板に貫通する経路が形成された状態を概念的に示す断面図である。図1(a)では、説明を簡略化するために、素地鋼板1の上にプライマー2のみが形成された構成となっている。このプライマー2の中に粒径が比較的大きな顔料3が分散し、この顔料3によって、プライマー2の表面に存在する薬品が素地鋼板まで到達しうる経路4が形成されている。
顔料が貫通経路を作ることによって耐薬品性の低下がもたらされているならば、プライマーに分散される顔料の粒径を細かくすることで、図1(b)に示されるように、薬品が素地部材に貫通する経路が形成されない状態とすることが可能である。図1(b)は、プライマーに含有される顔料の粒径が小さい場合であって、薬品が素地部材に貫通する経路が形成されない状態を概念的に示す断面図である
ところが、プライマーに耐食性を付与するために含有させることが実質的に必須である防錆顔料は、一般に粒径が大きい(容易に入手できるものとしては通常0.6μm超のものが多い)。このため、防錆顔料を多く含むプライマーでは、図1(b)のような構造とすることは実質的に不可能であり、むしろ、図1(a)に示されるような貫通経路が形成されやすいと考えられる。
以上の検討に基づくと、プライマーにおいて耐薬品性と耐食性との両立を図るためには、体質顔料の粒径を0.5μm以下とすることに加えて、防錆顔料の含有量に適切な上限と下限とを設定すればよいことが導かれる。そこで、本発明に係るプライマーは、防錆顔料の含有量を10%以上25%以下とする。10%未満の場合には耐食性の低下が顕著となる傾向を示し、25%を超える場合には耐薬品性の低下が顕著となる傾向を示す。防錆顔料の好ましい含有量は13%以上22%以下であり、15%以上20%以下であれば特に好ましい。
ここで、素地部材を隠蔽することもプライマーとしての基本機能であるから、体質顔料を所定量含有させることも必要とされる。ただし、過剰に含有させると貫通経路が形成される可能性が高まってしまうため、好適な体質顔料の含有量には上限が存在する。しかしながら、貫通経路の形成は体質顔料のみならず、同時に含有される防錆顔料も影響する。そこで、本発明に係るプライマーは、体質顔料単独の含有量ではなく、顔料全体(防錆顔料および体質顔料)の含有量として上限を規定し、その上限値を50%以下とする。顔料全体の含有量が50%以下の場合には、図1(c)のように、本発明に係るプライマーは、粒径が大きい防錆顔料が粒径の小さい(0.5μm以下)体質顔料に適度に分散した構造となり、耐薬品性と耐食性との両立が実現される。50%を超えると、図1(a)に示されるような貫通経路が形成される可能性が高まり、耐薬品性を維持することが困難となる。顔料全体の好ましい含有量は40%以下であり、30%以下であれば特に好ましい。
なお、上記のように防錆顔料の含有量の下限が設定されるため、顔料全体の含有量の下限も10%となる。これに対し、体質顔料の含有量の下限は隠蔽性との関係で決定されるため、隠蔽性は体質材料の素材特性(色調など)にも大きく依存する。したがって、体質顔料の下限を確定的に定義することはできない。一例を挙げれば、体質顔料としてチタニアを用いた場合には、その含有量の下限は約5%程度である。
本発明に係るプライマーの膜厚は、厚ければ厚いほど耐酸性に優れる。ただし、加工性等他の性能に悪影響するおそれがある上、コストアップにつながるので、要求性能に応じて適正値を決めればよい。膜厚の好ましい範囲は8〜15μmである。この範囲にあることで、よりプライマー層を貫通する経路が形成されにくくなり、耐薬品性が向上する。
3.トップコート
トップコートは、外観や加工性等の観点からプライマー以上に設計の自由度が限定される。しかしながら、耐食性および耐薬品性と、顔料の粒径、含有量および塗膜厚との関係に関しては、プライマーと同様の考え方をすることができる。
本発明に係る塗装済み金属部材は、トップコートの組成や構造について特に制限されず、通常使用されるトップコートを用いることができる。
なお、加工性に関し、前述のように、トップコートのガラス転移温度(Tg)は、従来の高温(30℃以上)から、室温よりもむしろ低い20℃以下となるように設定される場合が多くなってきている。そのような場合には、従来のガラス転移温度(Tg)が高温の塗膜に比べて、使用温度が室温程度であってもトップコート内の分子移動が発生しやすいため、水素イオンや水酸化物イオンなどがトップコートを貫通してプライマーに到達する可能性が高くなっている。また、例えば塗膜を有する部材が他の部材と衝突するなどによってトップコートの厚さが局部的に減少してしまう事態が発生する可能性も高くなる。このようなときでも、プライマーが本発明に係る構成を有していれば、塗膜全体の耐薬品性の低下を最小限に抑えることが実現される。すなわち、本発明において、トップコートのガラス転移温度(Tg)は25℃以下であることが好ましく、20℃未満であればさらに好ましい。
以上2層の塗膜を有する場合を例にして説明したが、3層以上の場合には、最下層をなす塗膜が上記のプライマーと同様の特性を有することで耐食性と耐薬品性とを両立させることが実現される。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(1)塗装鋼板試料の製作
基材は溶融亜鉛めっき鋼板(片面あたりのめっき付着量:45g/m)を用い、塗装下地処理として、シリカを主体とする日本ペイント製EC2330を用いた。なお付着量は、Si換算で5mg/mとした。
プライマー用塗料には、次のバインダー樹脂、防錆塗料および体質顔料を用いた。
バインダー樹脂:日本ファインコーティングス(株)製のPB10P(ポリエステル+エポキシ樹脂でメラミン架橋されたもの、Tg:40℃)
防錆顔料:次の3種類のいずれかを用いた。
・PM : 亜リン酸マグネシウム
(東邦顔料(株)製NP−1902、平均粒径0.6μm)
・PA : トリポリリン酸アルミニウム
(テイカ(株)製K−WHITE#82、平均粒径3.5μm))
・S : 多孔質シリカ
(洞海化学工業(株)製サンスフェアH−31平均粒径3μm)
体質顔料:チタニア(石原産業(株)製タイペークCR−90、平均粒径0.35μm))
上記の成分を表1に示される含有量で混合した。なお、表1における各成分の含有量は、バインダー樹脂と顔料の質量合計を100質量部とした場合の質量部である。
このプライマー塗料を、前記塗装下地処理を施した基材にバーコーターで塗布し、最高到達温度が216℃(45秒)となるようにオーブンで焼き付け、膜厚が10μmのプライマー層を形成した。
続いて、日本ファインコーティングス(株)製FLC5000クリア(ガラス転移温度:15〜20℃)樹脂に上記のチタニアを添加した白色系塗料を調整し、これをトップコート用塗料とした。このトップコート用塗料を、上記の亜鉛めっき鋼板上にプライマー層が形成されたものの上にバーコーターで塗布し、最高到達温度が232℃(50秒)となるように焼き付け、膜厚が18μmのトップコート層を形成した。
作製したサンプルを表1に示す。
Figure 2009235340
(2)評価
このように作成された塗装鋼板の耐食性、耐薬品性を、以下のようにして評価した。
耐食性:塩水噴霧試験(JIS Z2371準拠)120時間後の、次の部位の塗膜膨れを5段階で評価した。
A)クロスカット部(カットサイズ:100mm)
B)バリ部(塗膜面に向けてバリが出た切断端面)
各部位の評価基準は以下のとおりである。
Figure 2009235340
耐薬品性(耐酸性、耐アルカリ性):端面をポリエステルテープで被覆された塗装鋼板を5%硫酸水溶液(23℃)または5%水酸化ナトリウム水溶液(23℃)に浸漬し、200時間後の塗膜膨れの状態を5段階で評価した。なお、この評価の数値はJIS K5600−8−2(1999)の基準と概ね次の関係がある。
Figure 2009235340
加工性試験:試験片に対して0T折り曲げ試験(23℃)および2T折り曲げ試験(0℃)を行い、180°密着曲げ塗膜についてクラック発生有無を10倍ルーペを用いて調査した。評価基準は下記の通りで、○印の場合を良好とした。
○:まったくクラックなし〜ごくわずかなクラックあり
(ルーペでは確認できるが、目視では確認できないレベル)、
×:クラックあり(目視でも確認)、
硬度試験:JIS K5600−5−4(引っかき硬度(鉛筆法))の方法に従って測定した。評価基準は下記の通りで、○印の場合を良好とした。
○:F以上、
△:F未満
実施例の結果を表4に示す。
Figure 2009235340
表4に示されるように、耐薬品性のみに着目すると、顔料を含有しないのがもっともよかった(C12)。またチタニアだけを30%以下の含有量で含有させても耐薬品性は低下しなかった。(C13、C14)。しかし、これらは耐食性が芳しくなく、プライマーとしての基本特性を満たすことができなかった。
これに対して、チタニアに加えてリン酸塩系防錆顔料および/または多孔質シリカを含有させることで、耐食性は改善することが確認された(C1〜C11、C15〜C18)。ただし、その含有量が30%以上の場合には耐薬品性の低下が顕著となることが確認された(C1〜C3、C7〜C9)。
(a)は、プライマーに含有される顔料の粒径が大きい場合であって、薬品が素地鋼板に貫通する経路が形成された状態を概念的に示す断面図であり、(b)は、プライマーに含有される顔料の粒径が小さい場合であって、薬品が素地鋼板に貫通する経路が形成されない状態を概念的に示す断面図であり、(c)は、プライマーに含有される顔料に複数の粒径を有するものがある場合であって、粒径の小さな顔料の粒径、ならびに粒径の大きな顔料および全顔料の含有量が適度に制御されていることにより薬品が素地鋼板に貫通する経路が形成されない状態を概念的に示す断面図である。

Claims (3)

  1. 素地部材の少なくとも片面に2層以上の塗膜を備える塗装済み金属部材であって、
    前記塗膜のうち最下層の塗膜中に含まれる顔料の合計含有量は、当該最下層の塗膜の全固形分に対して50質量%以下であり、
    当該顔料は、前記最下層の塗膜の全固形分に対して10質量%以上25質量%以下で防錆顔料を含有し、
    当該防錆顔料以外の顔料は粒径が0.5μm以下であること
    を特徴とする塗装済み金属部材。
  2. 前記防錆顔料がトリポリリン酸アルミニウム、亜リン酸マグネシウムおよび多孔質シリカからなる群から選ばれる一種または二種以上を含む請求項1記載の塗装済み金属部材。
  3. 前記防錆顔料以外の顔料がチタニアを含む請求項1または2記載の塗装済み金属部材。
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