JP2009234359A - ハイブリッド駆動装置の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】固定変速モードにおいてトルク変動に伴うドライバビリティの低下を効果的に抑制する。
【解決手段】ドグクラッチ機構であるクラッチ機構350の係合及び解放によりO/Dモード及びCVTモードを選択可能なハイブリッド車両10において、ECU100は、基本駆動制御を実行する。この際、O/Dモードが選択されている期間において、車速の低下に伴い機関回転速度NEが基準値NEth未満まで低下した場合に、バッテリ500のSOCが参照される。SOCが基準値SOCth以上である場合、ECU100は、フューエルカットを実行し、エンジン200のトルク変動を解消することによって、クラッチ板351のドグ歯に作用するトルクを低減する。一方で、要求出力に対応する動力をMG2から出力させ、ハイブリッド車両10をEV走行させると共に、クラッチ機構350を解放状態に移行させる。
【選択図】図6

Description

本発明は、変速モードとして無段変速モード及び固定変速モードを選択可能なハイブリッド駆動装置の制御装置の技術分野に関する。
この種のハイブリッド駆動装置において、固定変速モードが選択されている場合、内燃機関の機関回転速度は車速と一義的な関係となり、車速の低下に伴い機関回転速度も低下する。一方、内燃機関は、低回転領域においてトルク変動(或いは、それに伴う回転変動)を生じ易く、この場合NV(Noise and Vibration:騒音と振動)が悪化してドライバビリティが低下し易い。
他方、この種の問題に対し、機関回転速度に応じて変速モードを切り替えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたハイブリッド車の駆動装置(以下、「従来の技術」と称する)によれば、機関回転速度が所定値以下の場合に無段変速モードを選択することにより、ドライブトレーンの振動及びこもり音を確実に抑制できるとされている。
尚、ハイブリッド車において、燃料カット中にモータ走行を行う技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−24071号公報 特開2004−270512号公報
この種の変速モードの切り替えを実現するための機構として、例えばドグクラッチ等、係合要素を相互に噛合させることにより係合状態を形成すると共に、係る係合要素同士の噛合に際し回転同期を要する係合手段が採用されることがある。このような係合手段を係合状態(係合要素同士が噛合した状態)から解放状態(係合要素同士が離間した状態)に移行させるに際しては、係合要素の回転方向にトルクが作用しないのが望ましい。
このため、係合手段を解放状態に移行するに際しての好適な態様として、内燃機関或いは電動機のトルク制御により、係合要素において回転方向に作用するトルクを低減(理想的には少なくとも実質的にゼロとなるまで低減)させた後に、一方の係合要素が他方の係合要素から解放される。
ところが、内燃機関にトルク変動が生じている場合、係合要素に加わるトルクの制御精度は、トルク変動の程度にもよるが著しく低下し易い。この場合、係合要素において回転方向に作用するトルクを十分に低減することが困難となり易い。このような問題に対し、従来の技術では何らの対策も講じられておらず、結局は係合要素に作用するトルクを十分に低減することが困難である。
このため、従来の技術では、係合要素同士を離間させること自体が困難となって、例えば機関回転速度の低下に伴うトルク変動(尚、トルク変動は必ずしも機関回転速度の低下に伴って生じるものでなくともよい)に起因するドライバビリティの低下を回避することが難しくなるか、或いは、係合要素同士を離間させ得たとしても係合要素に過剰な物理負荷が加わって係合要素の耐久性の低下を招きかねない。
一方で、このような問題を回避するため、予めこのようなトルク変動を生じ易い回転領域に到達する以前に、固定変速モードを無段変速モードに切り替える(即ち、換言すれば、固定変速モードの実行条件をより狭める)ことも考えられるが、固定変速モードは、固定される変速比がどのような値であれ、元来ハイブリッド駆動装置におけるエネルギ消費効率を向上させるべく設定されるものであって、その実行領域を狭めることは、即ち、エネルギ消費効率を相対的にしろ低下させることに繋がる。また、機関回転速度の低下が緩慢に生じる場合は別として、比較的急峻に機関回転速度が低下した場合、このように固定変速モードの実行条件を狭めた所で同様の問題は生じ得る。
このように、従来の技術では、ハイブリッド駆動装置におけるエネルギ消費効率を可及的に向上させつつトルク変動に伴うドライバビリティの低下を抑制することが実践上著しく困難であるという技術的な問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、固定変速モードにおいてトルク変動に伴うドライバビリティの低下を効果的に抑制することが可能なハイブリッド駆動装置の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、車両に搭載され、燃料を供給可能な燃料供給手段を備える内燃機関と、第1電動機と、相互に係合可能な第1係合要素及び第2係合要素を備え、前記第1係合要素と前記第2係合要素とを係合させる際に前記第1及び第2係合要素相互間の回転同期を要する噛合式の係合手段と、相互に差動回転可能に構成された、前記内燃機関の出力軸に連結される第1回転要素、前記第1電動機の出力軸に連結される第2回転要素、前記車両の駆動軸に連結される第3回転要素及び前記第1係合要素に連結される第4回転要素を含む複数の回転要素を備えてなる動力分割手段と、出力軸が前記第3回転要素に連結されてなる第2電動機とを備え、前記第1係合要素と前記第2係合要素とが係合した状態において前記第1係合要素の回転が阻止されると共に、前記第1係合要素と前記第2係合要素とを係合及び離間させることにより、前記車両の変速モードとして、夫々前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸との回転速度比を所定値に固定する固定変速モード及び該回転速度比を連続的に変化させる無段変速モードを選択可能に構成されてなるハイブリッド駆動装置の制御装置であって、前記内燃機関が所定のトルク変動状態にあるか否かを判別する第1判別手段と、前記第2電動機から前記車両の要求出力に対応する動力を出力可能であるか否かを判別する第2判別手段と、前記変速モードとして前記固定変速モードが選択されている状態において前記内燃機関が前記トルク変動状態にある旨が判別され且つ前記第2電動機から前記要求出力に対応する動力を出力可能である旨が判別された場合に、(i)前記燃料の供給が停止されるように前記燃料供給手段を制御し、且つ(ii)前記要求出力に対応する動力が出力されるように前記第2電動機を制御すると共に、(iii)前記第1係合要素が前記第2係合要素から解放されるように少なくとも前記係合手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係るハイブリッド駆動装置は、好適な一形態として例えば駆動輪に直接的に若しくは間接的に連結されてなる、例えばドライブシャフト若しくはアクスルシャフト等の形態を採り得る車軸、又は例えば当該車軸に対し例えばデファレンシャルギア装置(ギアシステム、ギア機構若しくはギアユニット等、呼称は多種多様であってよい)或いは各種減速装置(減速システム、減速機構及び減速ユニット等、呼称は多種多様であってよい)等を適宜介して連結され、当該車軸に連動して回転可能な回転軸等の形態を採り得る概念としての本発明に係る車両の駆動軸に対し、内燃機関、例えばモータ若しくはモータジェネレータ等の第1電動機及び例えばモータ若しくはモータジェネレータ等の第2電動機から出力される、例えばトルク等の形態を有する動力を適宜に伝達することが可能に構成された装置(システム、機構若しくはユニット等呼称は多種多様であってよい)である。即ち、本発明に係るハイブリッド駆動装置により駆動される、本発明に係る車両は、所謂ハイブリッド車両である。
本発明に係るハイブリッド駆動装置において、これら複数の動力源相互間の動力配分は、少なくとも相互に差動回転可能に構成された第1乃至第4回転要素を備え、例えば好適な一形態として複合型プラネタリギア(呼称は、ギア装置、ギア機構、ギアシステム又はギアユニット等多種多様であってよい)等の形態を採り得る動力分割手段の構成、例えば物理的、機械的、機構的又は電気的な構成に応じて決定される。補足すると、ここで述べる「複合型プラネタリギア」とは、各々が回転要素として例えばサンギア、キャリア及びリングギア等を備えた複数のプラネタリギアを含み、各プラネタリギアにおける任意の且つ一部の回転要素同士が直接的に又は間接的に連結される等して一体の(或いは一体として扱うことが可能な)回転要素をなすプラネタリギアを包括する概念である。
本発明に係るハイブリッド駆動装置には、相互に係合可能な第1及び第2係合要素を少なくとも含み、或いは更に、これら係合要素の少なくとも一方を、これらを相互に係合及び離間させるべく駆動することが可能な各種の駆動装置、並びにこれら係合要素の物理状態を検出する各種検出手段等を適宜に含み得ると共に、特に第1係合要素と第2係合要素とを係合させるに際しこれら相互間の回転同期を要する手段を包括する概念としての、例えば好適な一形態としてドグクラッチ等の形態を採り得る噛合式の係合手段が備わる。
この係合手段における上述した第2係合要素は、例えば物理的に、機械的に、機構的に又は電気的に、また直接的に若しくは間接的に固定された状態にあり、単一の要素からなるにせよ複数の要素からなるにせよ、少なくとも第1係合要素と係合した状態(係合手段が噛合式であることに鑑みれば、即ち、噛合した状態)において第1係合要素の回転を阻止する(即ち、第1係合要素を、少なくとも実質的にみて回転していないとみなし得る程度の低回転状態に維持する)ことが可能に構成される。尚、第1係合要素と第2係合要素との係合態様は、係合要素双方の係合に際し回転同期を要し、且つ双方に形成された噛合部材(必ずしも双方で同一の形状でなくともよい)同士が噛合することによって実現される限りにおいて限定されない。
このような係合手段を備える本発明に係るハイブリッド駆動装置は、車両の変速モードとして少なくとも無段変速モード及び固定変速モードを選択可能に構成される。より具体的には、係合手段において第1及び第2係合要素が相互に離間している状態、即ち第1係合要素の回転が少なくとも第2係合要素により阻止されない状態(以下、このような状態を適宜「解放状態」と称する)では、例えばクランク軸等、内燃機関の出力軸と駆動軸との間の回転速度比(即ち、変速比)を、理論的に、実質的に或いは予め物理的、機械的、機構的又は電気的に規定される範囲内で、夫々連続的に(実践上連続的であるのと同等に段階的な態様を含む)変化させることが可能な無段変速モードが実現される。
この際、好適な一形態として、内燃機関の出力軸に連結された第1回転要素及び第1係合要素に連結された第4回転要素の回転速度を制御可能な回転速度制御機構としての機能を備える第1電動機の回転速度制御等により、例えば内燃機関の動作点(機関回転速度(即ち、出力軸の回転速度)と出力トルクとにより規定される一の運転条件)は理論的に、実質的に又は何らかの制約の範囲で自由に選択され、例えば、燃料消費率を理論的に、実質的に又は何らかの制約の範囲で現実的に最小(単位燃料量当たりの走行距離といった意味では最大)とし得る最適燃費動作点等に制御される。
一方、第1及び第2係合要素が相互に係合し、第1係合要素の回転が阻止された(一義的に、動力分割手段の第4回転要素の回転が阻止される)場合には、当該変速比が、例えば機関回転速度が駆動軸の回転速度よりも低い旨に相当する所謂オーバードライブ変速比等を好適な一態様として採り得る一の値に固定され、固定変速モードが実現される。
ここで、固定変速モードが選択された状態では、内燃機関の出力軸に直接的間接的の別を問わず連結された単一及び複数の別を問わない第1回転要素の回転速度は、例えば好適な一形態として、物理的に又は実質的に回転速度がゼロ又はゼロとみなし得る第4回転要素と、直接的及び間接的の別を問わず車両の駆動軸に連結され、路面負荷(所謂、ロード・ロード)に応じた一義的な回転状態を有する第3回転要素の回転速度とにより一義的に規定される。
従って、車両の駆動軸の回転速度が低下する車速の低下時(例えば車軸と駆動軸との間に変速機や減速機が介在しても一の変速段及び減速段についてみれば同様である)には、内燃機関の機関回転速度もまた低下する。このように機関回転速度が低い領域(ここで言う「低い」とは、数値的に一意に規定される性質のものではなく、内燃機関の構成、構造及び仕様等に応じて適宜定まる性質のものである)では、内燃機関における燃焼状態が不安定となり易いため、トルク変動が生じ易い。或いは、機関回転速度の低下を伴わずとも、内燃機関毎に、その構成や構造等に応じて個別具体的に定まり得る動作点においてトルク変動が適宜に生じ得る。このトルク変動は、車両のドライバビリティを低下させる要因となる。また、車速の低下によって機関回転速度が自立回転可能な回転速度未満まで低下する可能性がある場合には、失火等が生じてドライバビリティはおろか動力性能の低下も顕在化しかねない。
少なくともこのような観点に立てば、また無段変速モードが選択された場合には内燃機関の動作点を自由に選択可能である点も加味すれば、内燃機関がこの種のトルク変動を生じ得る状態にある場合には、車両の変速モードとして少なくとも固定変速モードは選択されないのが望ましく、必然的に係合手段を上述した解放状態に移行させる(第1及び第2係合要素を相互に離間させる)必要が生じ得る。
一方、変速モードとして固定変速モードが選択されている場合、動力分割手段における第4回転要素は、係合手段による例えば物理的、機械的、機構的、電気的又は磁気的な力によってその回転が阻止されており、好適な一形態として、内燃機関の出力トルクの反力トルクを受け持つ反力要素として機能する。従って、第4回転要素と連結された第1係合要素もまた、その回転方向に内燃機関の出力トルクに対応する反力トルクを生じている。このように反力トルクが生じている状態では、係合手段を解放状態に移行させることに実践上の困難が伴う。
このため、固定変速モードが選択された状態において係合手段を解放状態に制御する場合、好適な一形態として、第1電動機からトルクを出力して内燃機関の反力トルクを負担し(即ち、反力トルクを移譲することにより反力要素を第4回転要素から第2回転要素へと切り替え)、第1係合要素に加わる反力トルクを実践上問題の生じない程度に減じた(例えば、ゼロとした)後に、係合要素同士を離間させる等の措置が講じられる。
ところが、内燃機関にトルク変動が生じている状態では、第1電動機の出力トルクを、この種の変動するトルクに実践上問題の生じない精度で整合させることは難しく、第1係合要素に生じる反力トルクを必ずしも実践上問題の生じない程度に減じられるとは限らないから、トルク変動が生じる毎に、車両のドライバビリティが低下してしまう。
本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置によれば、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第1判別手段により、内燃機関がトルク変動状態にあるか否かが判別される。
ここで、「トルク変動状態」とは、ドライバビリティの低下として顕在化し得る程度のトルク変動が生じている、生じると推定される、或いは生じる可能性が実践上看過し得ない程度に高いと判断し得る状態を包括する概念であり、内燃機関が係るトルク変動状態にあるか否かは、トルク変動の発生に幾らかなり影響し得る各種の指標値、例えば機関回転速度、車速、負荷又は冷却水温等に基づいて各種の態様で判別されてよい。この際、第1判別手段は、これら指標値を、例えば予め然るべき記憶手段に格納された判断基準値と比較することによりこの種の判別を行ってもよいし、実際のトルク変動の度合いを検出又は推定する手段が備わる場合には、この種の手段により検出又は推定された度合いに基づいて係る判別を行ってもよい。
一方、本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置によれば、その動作時には、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第2判別手段により、車両の要求出力に対応する動力を、第2電動機から、例えば理論的に、或いは第2電動機に電力を供給するバッテリ等蓄電手段のSOC(State Of Charge:充電状態)や第2電動機の体格、性能又は仕様(例えば、出力や回転速度の定格値等)等何らかの制約の範囲内で現実的に出力可能であるか否かが判別される。ここで、「要求出力に対応する動力」とは、要求出力未達によるドライバビリティの低下を実践上問題となる程度に顕在化させない限りにおいて、必ずしも要求出力と一対一に対応する動力に限定されない趣旨である。
これらの点に鑑みれば、第2判別手段による判別に際して、第2電動機の動力のみにより車両を走行させる、所謂EV(Electric Vehicle)走行の実現が可能であるか否かは必ずしも関係なく、例えば極限られた時間範囲内であれば係る要求出力に対応する動力を出力可能であるような場合(即ち、EV走行を行う程度に恒常的或いは継続的に当該動力を出力することは困難であっても過渡的或いは限定的であれば出力可能な場合等)に、係る動力を出力可能である旨の判別がなされてもよい。
他方、本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置によれば、その動作時には、車両の変速モードとして固定変速モードが選択されている状態において内燃機関がトルク変動状態にある旨が判別され、且つ第2電動機から上述した要求出力に対応する動力を出力可能である旨が判別された場合に、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る制御手段により、下記第1乃至第3の制御が実行される。
即ち、制御手段は、燃料の供給が停止されるように前記燃料供給手段を制御し(以下、このような制御を適宜「第1の制御」とする)、且つ要求出力に対応する動力が出力されるように第2電動機を制御する(以下、このような制御を適宜「第2の制御」とする)と共に、第1係合要素が第2係合要素から解放されるように少なくとも係合手段を制御する(以下、このような制御を適宜「第3の制御」とする)。
第1の制御において燃料の供給が停止され、所謂フューエルカット(以下、適宜「F/C」と称する)が実現されると、内燃機関の出力トルクはゼロとなる。この状態では、第4回転要素(即ち、一義的に第1係合要素)は、内燃機関のトルク変動の影響を全く受けないため、第3の制御により第1係合要素を第2係合要素から解放するに際して、第1係合要素の回転方向に、少なくとも係合手段の解放制御への移行を阻害する程度のトルクは作用し難い。このため、係合手段を、少なくとも係合要素の耐久性を低下させることなく且つ確実に解放状態に移行させることが可能となる。
一方で、固定変速モードにおいて動力供給源として機能すべき内燃機関が、F/Cにより機関停止(無論、動力分割手段の構成上定まり得る回転速度で物理的には回転している)したことによる動力性能の低下は、第2の制御による第2電動機からの動力供給により補償されるため、係合手段を解放状態に移行させるに際して、動力性能の低下によるドライバビリティの低下が実践上問題となる程度に顕在化することもない。このように、本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置によれば、固定変速モードが選択された状態においてトルク変動が生じ得る場合に、第2電動機からの動力の出力が可能である限り係合手段を解放状態に移行させることが可能となるため、車両におけるドライバビリティの低下が効果的に抑制されるのである。
尚、「少なくとも係合手段を制御する」とは、係合手段を解放状態に制御するに際して、例えば、第1及び第2係合要素相互間に回転方向のトルクが作用しないように(即ち、単に係合要素が噛合しているのみの状態となるように)第1電動機のトルク制御がなされてもよいことを表す。
また、第1乃至第3の制御が実行される時系列上の順序は、結果的にドライバビリティの低下を抑制し得る限りにおいて如何様にも限定されない。例えば、制御手段が、一体のハードウェア構成を有さず複数のコントローラ等から構成される場合等に、第1乃至第3の制御が夫々略同時に実行されてもよい。或いは、第1及び第2の制御が実行された時点で、トルク変動の発生は回避され、且つ車両は恒常的であれ過渡的であれ第2電動機の動力により走行状態を継続しているから、第3の制御は、必ずしも第1及び第2の制御に引き続いて連続的に行われる必要はない。
尚、第1乃至第3の制御が実行された場合の、ハイブリッド駆動装置における動力源の選択態様は各種の態様を採り得る。例えば、第2電動機の動力を利用したEV走行を継続可能である場合、係るEV走行が継続されてもよいし、一時的にこの種のEV走行を経由して、係合手段の解放制御後、速やかにハイブリッド走行(即ち、内燃機関と各電動機との協調制御により、内燃機関の動力を適宜電動機によりアシストしつつ走行する態様であり、変速モードとしては即ち、無段変速モードに相当する)に移行してもよい。尚、補足すると、係合手段が解放状態にあれば、内燃機関を再始動させることにより、容易にハイブリッド走行へ移行することが可能となるため、第2電動機のみによる動力供給は、係合手段を解放させるための過渡期間について行い得る限りにおいて、必ずしも定格値等の制限の影響を受ける必要はないのである。
本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置の一の態様では、前記内燃機関の機関回転速度を特定する第1特定手段を更に具備し、前記第1判別手段は、前記特定された機関回転速度に基づいて前記内燃機関が前記トルク変動状態にあるか否かを判別する。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第1特定手段によって特定された機関回転速度に基づいて内燃機関がトルク変動状態にあるか否かが判別される。トルク変動は、内燃機関が例えば低回転領域にある場合に顕著に発生し易いため、この態様によれば内燃機関がトルク変動状態にあるか否かを簡便に且つ正確に判別することが可能となる。
尚、本発明における「特定」とは、例えば、特定対象を何らかの検出手段を介して直接的に又は間接的に物理的数値又は物理的数値に対応する電気信号等として検出すること、何らかの検出手段を介して直接的に又は間接的に例えば電気信号等の形で検出された、特定対象と対応関係を有する物理的数値に基づいて予め然るべき記憶手段等に記憶されたマップ等から該当する数値を選択すること、このような物理的数値又は選択された数値等から、予め設定されたアルゴリズムや計算式に従って導出すること、或いはこのように検出、選択又は導出された数値等を、例えば電気信号等の形で単に取得すること等を包括する広い概念であって、第1特定手段は、係る概念の範囲内において、例えば、クランクポジションセンサや回転速度センサ等の各種検出手段から、必要な指標値を一定又は不定のタイミングで適宜取得することにより係る特定を行ってもよい。
尚、この態様では、前記第1判別手段は、前記特定された機関回転速度が所定の基準値未満である場合に前記内燃機関が前記トルク変動状態にあると判別してもよい。
この場合、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、実践上問題となる程度のトルク変動が生じ得る機関回転速度の値又は範囲を設定しておく、或いはそのような機関回転速度の値又は範囲を導出し得る算出式やアルゴリズムを定めておくことにより、内燃機関がトルク変動状態にあるか否かを簡便に判別することが可能となる。
本発明に係るハイブリッド駆動装置の他の態様では、前記ハイブリッド駆動装置は、前記第2電動機へ電力を供給可能な蓄電手段を更に備え、前記ハイブリッド駆動装置の制御装置は、前記蓄電手段の蓄電状態を特定する第2特定手段を更に具備し、前記第2判別手段は、前記特定された蓄電状態に基づいて前記要求出力に対応する動力を出力可能であるか否かを判別する。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第2特定手段によって特定された、バッテリ等各種蓄電手段の蓄電状態(尚、「蓄電状態を特定する」とは、好適な一形態として、SOCセンサ等におけるSOC値等を取得すること等によって、例えば蓄電の度合いを二値的に、段階的に又は連続的に特定すること等を指す)に基づいて、第2電動機が要求出力に対応する動力を出力可能であるか否かが判別されるため、当該判別を簡便に且つ高精度に行うことが可能である。
尚、第2判別手段は、係る判別に際し、必ずしも係る蓄電状態のみを参照する必要はなく、特定された蓄電状態に加えて、例えば第2電動機における最大出力、最大トルク又は最高回転速度の定格値等を参照してもよい。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係るハイブリッド車両10の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、ハイブリッド車両10は、ECU100、エンジン200、動力分割機構300、モータジェネレータMG1(以下、適宜「MG1」と略称する)、モータジェネレータMG2(以下、適宜「MG2」と略称する)、PCU(Power Control Unit)400、バッテリ500、SOCセンサ600及び車速センサ700を備えた、本発明に係る「車両」の一例である。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM等を備え、ハイブリッド車両10の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「ハイブリッド駆動装置の制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する基本駆動制御を実行することが可能に構成されている。
尚、ECU100は、本発明に係る「第1判別手段」、「第2判別手段」、「制御手段」、「第1特定手段」及び「第2特定手段」の夫々一例として機能するように構成された一体の電子制御ユニットであり、これら各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
エンジン200は、本発明に係る「内燃機関」の一例たるガソリンエンジンであり、ハイブリッド車両10の主たる動力源として機能するように構成されている。ここで、図2を参照し、エンジン200の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、エンジン200の模式的な一断面構成を例示する模式断面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。尚、本発明における「内燃機関」とは、例えば2サイクル又は4サイクルレシプロエンジン等を含み、少なくとも一の気筒を有し、当該気筒内部の燃焼室において、例えばガソリン、軽油或いはアルコール等の各種燃料を含む混合気が燃焼した際に発生する動力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等の動力伝達手段を適宜介して駆動力として取り出すことが可能に構成された機関を包括する概念である。係る概念を満たす限りにおいて、本発明に係る内燃機関の構成は、エンジン200のものに限定されず各種の態様を有してよい。
図2において、エンジン200は、気筒201内において燃焼室に点火プラグ(符号省略)の一部が露出してなる点火装置202による点火動作を介して混合気を燃焼せしめると共に、係る燃焼による爆発力に応じて生じるピストン203の往復運動を、コネクティングロッド204を介してクランクシャフト205(即ち、本発明に係る「内燃機関の出力軸」の一例である)の回転運動に変換することが可能に構成されている。
クランクシャフト205近傍には、クランクシャフト205の回転位置(即ち、クランク角)を検出するクランクポジションセンサ206が設置されている。このクランクポジションセンサ206は、ECU100(不図示)と電気的に接続されており、ECU100では、このクランクポジションセンサ206から出力されるクランク角信号に基づいて、エンジン200の機関回転速度NEが算出される構成となっている。
尚、エンジン200は、紙面と垂直な方向に4本の気筒201が直列に配されてなる直列4気筒エンジンであるが、個々の気筒201の構成は相互に等しいため、図2においては一の気筒201についてのみ説明を行うこととする。また、本発明に係る内燃機関における気筒数及び各気筒の配列形態は、上述した概念を満たす範囲でエンジン200のものに限定されず多様な態様を採り得、例えば、6気筒、8気筒或いは12気筒エンジンであってもよいし、V型、水平対向型等であってもよい。
エンジン200において、外部から吸入された空気は吸気管207を通過し、吸気ポート210を介して吸気バルブ211の開弁時に気筒201内部へ導かれる。一方、吸気ポート210には、インジェクタ212の燃料噴射弁が露出しており、吸気ポート210に対し燃料を噴射することが可能な構成となっている。インジェクタ212から噴射された燃料は、吸気バルブ211の開弁時期に前後して吸入空気と混合され、上述した混合気となる。
燃料は、図示せぬ燃料タンクに貯留されており、図示せぬフィードポンプの作用により、図示せぬデリバリパイプを介してインジェクタ212に供給される構成となっている。気筒201内部で燃焼した混合気は排気となり、吸気バルブ211の開閉に連動して開閉する排気バルブ213の開弁時に排気ポート214を介して排気管215に導かれる。
一方、吸気管207における、吸気ポート210の上流側には、図示せぬクリーナを経て導かれた吸入空気に係る吸入空気量を調節するスロットルバルブ208が配設されている。このスロットルバルブ208は、ECU100と電気的に接続されたスロットルバルブモータ209によってその駆動状態が制御される構成となっている。尚、ECU100は、基本的には不図示のアクセルペダルの開度(以下、適宜「アクセル開度」と称する)に応じたスロットル開度が得られるようにスロットルバルブモータ209を制御するが、スロットルバルブモータ209の動作制御を介してドライバの意思を介在させることなくスロットル開度を調整することも可能である。即ち、スロットルバルブ208は、一種の電子制御式スロットルバルブとして構成されている。
排気管215には、三元触媒216が設置されている。三元触媒216は、エンジン200から排出されるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、及びNOx(窒素酸化物)を夫々浄化することが可能に構成された触媒装置である。尚、エンジン200には、三元触媒216に代えて或いは加えて、例えばNSR触媒(NOx吸蔵還元触媒)或いは酸化触媒等の各種触媒が設置されていてもよい。
また、排気管215には、エンジン200の排気空燃比を検出することが可能に構成された空燃比センサ217が設置されている。更に、気筒201を収容するシリンダブロックに設置されたウォータージャケットには、エンジン200を冷却するために循環供給される冷却水(LLC)に係る冷却水温を検出するための水温センサ218が配設されている。これら空燃比センサ217及び温度センサ218は、夫々ECU100と電気的に接続されており、検出された空燃比及び冷却水温は、夫々ECU100により一定又は不定の検出周期で把握される構成となっている。
図1に戻り、モータジェネレータMG1は、エンジン200からトルクの供給を受けて回転することにより、バッテリ500を充電するための、或いはモータジェネレータMG2に電力を供給するための発電を主として行うことが可能に構成された、本発明に係る「第1電動機」の一例たる電動発電機であり、その回転速度の制御により、後述するCVTモードにおいてエンジン200の機関回転速度NEを連続的に変化させることが可能に構成されている。このようなCVT(無段変速)機能は、後述する動力分割機構300の差動作用に伴って生じる。尚、モータジェネレータMG1は、ハイブリッド車両10の走行状態によっては、電動機として機能することも可能に構成されている。
モータジェネレータMG2は、本発明に係る「第2電動機」の一例たる電動発電機であり、エンジン200の動力をアシストする電動機として、或いはバッテリ500を充電するための発電機として機能するように構成されている。より具体的には、モータジェネレータMG2は、駆動力或いは制動力を補助(アシスト)する装置であり、駆動力をアシストする場合には、電力が供給されて電動機として機能し、制動力をアシストする場合には、ハイブリッド車両10の駆動輪側から伝達されるトルクによって回転させられて電力を発生する発電機として機能するように構成されている。
尚、これらモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2は、例えば同期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える。但し、他の形式のモータジェネレータであっても構わない。モータジェネレータMG2は、ハイブリッド車両10の駆動輪たる左前輪FL及び右前輪FRに夫々連結されるドライブシャフトSFL及びSFRと、デファレンシャル等各種減速ギア装置を含む減速機構11を介して連結される、後述する駆動軸320(即ち、本発明に係る「駆動軸」の一例)にその出力回転軸が連結された構成を有しており、駆動軸320に対し動力を供給することが可能に構成されている。即ち、駆動軸320の回転速度は、各ドライブシャフト及びモータジェネレータMG2の回転速度たるMG2回転速度Nmg2と一義的な関係を有している。
PCU400は、バッテリ500から取り出した直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2に供給すると共に、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ500に供給することが可能に構成されたインバータ等を含み、バッテリ500と各モータジェネレータとの間の電力の入出力を個別に制御することが可能に構成された制御ユニットである。PCU400は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその動作が制御される構成となっている。
バッテリ500は、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2を力行するための電力に係る電力供給源として機能することが可能に構成された充電可能な蓄電池であり、本発明に係る「蓄電手段」の一例である。
SOCセンサ600は、バッテリ500のSOC値(本発明に係る「蓄電状態」の一例であり、例えば0(%)から100(%)までの値を採る)を検出することが可能に構成されたセンサである。SOCセンサ600は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたバッテリ500のSOC値は、ECU100によって一定又は不定の周期で把握される構成となっている。尚、これ以降の説明では、係るバッテリ500のSOC値を適宜「SOC」と略称することとする。
車速センサ700は、ハイブリッド車両10の車速Vを検出することが可能に構成されたセンサである。車速センサ600は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速Vは、ECU100によって一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
動力分割機構300は、エンジン200、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2と、駆動軸320との間の動力の入出力状態を物理的に制御することが可能に構成された、本発明に係る「動力分割手段」の一例たる複合型プラネタリギアユニットである。ここで、図3を参照して、動力分割機構300の詳細な構成について説明する。ここに、図3は、動力分割機構300の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図3において、動力分割機構300は、エンジン200の出力トルク(以下、適宜「エンジントルク」と称する)を、モータジェネレータMG1と駆動軸320とに分配することが可能に構成された機構であり、相互に差動作用を生じる複数の回転要素を備えている。より具体的には、動力分割機構300は、複数組の差動機構を備え、互いに差動作用を生じる三つの回転要素のうち第1回転要素に入力軸310が連結され、第2回転要素にモータジェネレータMG1の回転軸が連結され、さらに第3回転要素に駆動軸320が連結されている。入力軸310は、前述したエンジン200のクランクシャフト205と連結されており、また駆動軸320は既に述べたようにモータジェネレータMG2の回転軸及び後述するMG2変速部360に連結されている。即ち、動力分割機構300には、エンジン200、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2が夫々連結されている。
動力分割機構300は、当該差動機構として、シングルピニオンギア型の第1遊星歯車機構330及びダブルピニオン型の第2遊星歯車機構340を備えた、所謂ラビニヨ型遊星歯車機構の形態を採る。
第1遊星歯車機構330は、サンギア331、キャリア332及びリングギア333並びに軸線方向に自転し且つキャリア332の自転により公転するようにキャリア332に保持された、サンギア331及びリングギア333に噛合するピニオンギア334を備え、サンギア331にモータジェネレータMG1が、キャリア332に入力軸310が、またリングギア333に駆動軸320が夫々連結された構成を有している。
第2遊星歯車機構340は、サンギア341、キャリア342及びリングギア343並びに軸線方向に自転し且つキャリア342の自転により公転するように夫々キャリア342に保持された、サンギア341に噛合するピニオンギア345及びリングギア343に噛合するピニオンギア344を備え、サンギア341に後述するクラッチ機構350のクラッチ板351が、キャリア342に第1遊星歯車機構330におけるリングギア333が、またリングギア343に第1遊星歯車機構330におけるキャリア332が夫々連結された構成を有している。
このように、動力分割機構300は、全体として第1遊星歯車機構330のサンギア331、第2遊星歯車機構340のサンギア341、相互に連結された第1遊星歯車機構330のキャリア332及び第2遊星歯車機構340のリングギア343並びに相互に連結された第1遊星歯車機構330のリングギア333及び第2遊星歯車機構340のキャリア342からなる合計4個の回転要素を備えており、夫々本発明に係る「第2回転要素」、「第4回転要素」、「第1回転要素」及び「第3回転要素」の一例をなしている。
クラッチ機構350は、本発明に係る「係合手段」の一例たる回転同期噛合式の係合装置である。クラッチ機構350は、所謂ドグクラッチ機構をなしており、夫々係合面に噛合用のドグ歯が形成されてなるクラッチ板351及びクラッチ板352を有する。クラッチ機構350は、これら各クラッチ板に形成されたドグ歯が相互に噛合することにより係合する構成となっている。
クラッチ板351は、第2遊星歯車機構340のサンギア341に連結され、当該サンギア341と一対に回転可能に構成されてなる、本発明に係る「第1係合要素」の一例である。クラッチ板351においてクラッチ板352に対向する係合面には、物理的な凹凸部をなす複数のドグ歯が形成されている。また、クラッチ板352は、動力分割機構300の筐体部に物理的に固定された、本発明に係る「第2係合要素」の一例である。クラッチ板352においてクラッチ板351に対向する係合面には、クラッチ板351のドグ歯と相互に噛合可能な、クラッチ板351のドグ歯と同様の複数のドグ歯が形成されている。クラッチ機構350の係合時には、この各クラッチ板に形成されたドグ歯が相互に噛合する構成となっており、この際、クラッチ板352が物理的に固定された状態にあるために、クラッチ板351及びクラッチ板351と連結されたサンギア341の回転は阻止され、これらもまた物理的に固定された状態となる。
尚、図面の煩雑化を防ぐ目的から図示を省略するが、クラッチ機構350は、図示するクラッチ板351及び352の他に、クラッチ板351を駆動する駆動装置及びクラッチ板351の回転角度を検出するレゾルバを備えている。この駆動装置は、クラッチ板351を、その回転方向及びクラッチ板352の方向にストロークさせるための駆動力を付与することが可能に構成された駆動力付与手段である。駆動装置は、ECU100と電気的に接続され、その動作がECU100により上位に制御される構成となっている。また、レゾルバは、クラッチ板351の回転位相を検出することが可能に構成された角度センサである。レゾルバは、ECU100と電気的に接続され、検出されたクラッチ板351の回転位相(角度)は、ECU100により一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
尚、本発明に係る「係合手段」の採り得る構成としては、ドグクラッチ機構としてのクラッチ機構350に限定されず、回転同期噛合式の係合形態を採り得る限りにおいて、他の係合装置であってもよい。
ここで、図4を参照し、クラッチ機構350について更に説明する。ここに、図4は、クラッチ機構350の係合態様を概念的に表してなる模式図である。尚、同図において、図3と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図4(a)において、クラッチ板351には、複数のドグ歯351a、351b・・・が形成されている(図示するのはその一部である)。同様に、クラッチ板352にも、複数のドグ歯352a、352b、352c・・・が形成されている(同様に、図示されるのは、形成されるドグ歯の一部である)。但し、クラッチ板351は、上述したようにサンギア341に連結されており、サンギア341と一体に回転する構成となっている。その回転方向は、図示回転方向(一点鎖線参照)となっている。
クラッチ機構350では、クラッチ板351とクラッチ板352とが、夫々ドグ歯の形成される面が対向するように対向配置されている。また、クラッチ板351は、図示ストローク方向(白抜き矢線参照)へ所定量ストロークすることが可能に構成されている。このクラッチ板351のストロークは、クラッチ板351を物理的に駆動すべく設けられる、上述した不図示の駆動装置により実現される。尚、図4(a)には、クラッチ板352とクラッチ板351とが相互に離間した状態(即ち、クラッチ機構350の解放状態)が表されている。
一方、図4(b)には、クラッチ板351がストロークしたことによりクラッチ板352とクラッチ板351とが相互に噛合した状態(以下、適宜「係合状態」と称する)が表される。係合状態においては、クラッチ板351に形成されたドグ歯とクラッチ板352に形成されたドグ歯とが相互に噛合する。このようにドグ歯同士が噛合することにより、クラッチ板351はクラッチ板352によりその回転が阻止された状態となり、クラッチ板351に連結されたサンギア341の回転も阻止される。動力分割機構300では、このようにサンギア341の回転が阻止された状態において、変速比(機関回転速度NEと駆動軸320の回転速度たる出力回転速度Noutとの比)が、オーバードライブ変速比(エンジン200の機関回転速度NEが出力軸320の回転速度より小さいことに相当する変速比であり、本発明に係る「所定値」の一例)となるように構成されている。
図3に戻り、動力分割機構300には、MG2変速部360が備わる。MG2変速部360は、モータジェネレータMG2の回転軸と駆動軸320との間の動力伝達経路に設置された、複数の摩擦係合装置及びそれら各々を駆動する油圧アクチュエータ等の駆動装置からなる変速装置である。MG2変速部360は、当該複数の摩擦係合装置各々の接触状態の組み合わせにより、モータジェネレータMG2の回転軸と駆動軸320との回転速度比を段階的に変化させることが可能に構成されている。MG2変速部360は、モータジェネレータMG2が最高回転速度を超えないように、また、モータジェネレータMG2が可及的に高効率な回転領域で回転するように、上述した駆動装置の制御を介してその変速比がECU100により適宜に制御される構成となっている。
このように、ハイブリッド車両10は、その駆動装置として、エンジン200、モータジェネレータMG1、モータジェネレータMG2及び動力分割機構300を備える。これらは、即ち、本発明に係る「ハイブリッド駆動装置」の一例である。
<実施形態の動作>
<変速モードの詳細>
動力分割機構300は、ハイブリッド車両10の変速装置として機能する。この際、動力分割機構300では、CVT(Continuously Variable Transmission)モードとオーバードライブモード(以下、適宜「O/Dモード」と称する)の二種類の変速モードが実現される。
動力分割機構300が、クラッチ機構350による、対応する回転要素(ここでは、第2遊星歯車機構340のサンギア341)の固定を行っていない状態でエンジン200を稼動させると、エンジントルクTeが動力分割機構300によってモータジェネレータMG1と駆動軸320とに分配されて伝達される。これは、動力分割機構300の差動作用によるものであり、モータジェネレータMG1の回転速度たるMG1回転速度Nmg1を増減制御することにより、エンジン200の機関回転速度NEが無段階(連続的)に制御される。これが無段変速状態であり、この無段変速状態に対応する変速モードがCVTモード(即ち、本発明に係る「無段変速モード」の一例)である。CVTモードでは、実質的に第1遊星歯車機構330のみが駆動軸320へのエンジントルクTeの伝達に寄与する。このようなCVTモードにおけるエンジン200の機関回転速度NEは、基本的には、エンジン200の動作点(機関回転速度と負荷(即ち、一義的にエンジントルク)との組み合わせとして規定される動作条件)が、エンジン200の燃費が最小となる最適燃費動作点となるように、該最適燃費動作点に対応する値を目標回転速度として制御される。
これに対して、クラッチ機構350によって動力分割機構300の一回転要素たるサンギア341を物理的に固定すると、動力分割機構300の変速比(即ち、エンジン200の機関回転速度NEと出力回転速度Noutとの比)は、先に述べたオーバードライブ変速比に固定され、O/Dモード(即ち、本発明に係る「固定変速モード」の一例)が実現される。より具体的に言えば、遊星歯車機構では、サンギア、キャリア及びリングギアの三要素のうち、二要素の回転速度が決まれば残余の一要素の回転速度が必然的に決定される。第2遊星歯車機構340において、キャリア342の回転速度と一対一の関係にある出力回転速度Noutは、ハイブリッド車両10の車速Vにより一義的に定まる性質のものであり、サンギア341が固定されMG1回転速度Nmg1がゼロとなれば、必然的に残余の一要素たるリングギア343の回転速度が決定される。ここで、リングギア343は、上述したように第1遊星歯車機構330のキャリア332と連結されており、またキャリア332はエンジン200のクランクシャフト205に連結された入力軸320に連結されている。従って、必然的にエンジン200の機関回転速度NEも、リングギア343の回転速度と一対一の関係となる。即ち、O/Dモードにおいて、エンジン200の機関回転速度NEは、車速Vに応じて一義的にその変化特性が決定されるのである。
クラッチ機構350によってサンギア341が固定された状態では、動力分割機構300においてエンジントルクの反力トルクを受け持つ反力要素が、サンギア331(即ち、一義的にモータジェネレータMG1)からサンギア341(即ち、一義的にクラッチ機構350)に移行し、駆動軸320へのエンジントルクの伝達には実質的に第2遊星歯車機構340のみが寄与することになる。従って、モータジェネレータMG1を発電機及び電動機として機能させる必要がなく、モータジェネレータMG2で発電してモータジェネレータMG1に給電する、或いはバッテリ500からモータジェネレータMG1に給電する等の必要が生じない。言い換えれば、電力消費が生じない。即ち、O/Dモードにおいては、機械的エネルギと電気的エネルギとのエネルギ変換を繰り返すことによる動力損失、所謂動力循環が生じることはなく、燃費の悪化を防止もしくは抑制することが可能となる。
ここで、図5を参照し、CVTモード及びO/Dモードについて更に説明する。ここに、図5は、各々の変速モードに対応する動力分割機構300の共線図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図5において、左から順にMG1(即ち、一義的にサンギア331)、クラッチ機構350(即ち、一義的にサンギア341)、エンジン200(即ち、一義的にキャリア332及びリングギア343)及び駆動軸320(即ち、一義的にキャリア333及びリングギア342)が表され、夫々における回転速度が縦軸に表されている。尚、MG2変速部360は、一の変速比に固定されているものとする。
CVTモードに対応する各々の回転速度を例示する特性線が、図示PRF_CVTn(n=1,2,3)(鎖線参照)として表される。CVTモードでは、MG1回転速度Nmg1を増減変化させることにより、エンジン200の機関回転速度NEを連続的に制御することが可能である。例えば、出力回転速度Nout(即ち、ドライブシャフトの回転速度と一義的であり、即ち、車速と一義的である)が、図示白丸m1である場合に、例えばMG1回転速度Nmg1を図示白丸m2、m3及びm4と順次変化させた場合には、機関回転速度NEは、夫々図示白丸m5、m6及びm7と順次変化し、夫々出力回転速度Noutよりも高い値、等しい値及び低い値に順次変化する。
尚、CVTモードにおいては、好適な一形態としてエンジン200の動作点は、上述したように最適燃費動作点に制御され得るが、この際、ハイブリッド車両10の要求出力Pn(要求駆動力に対応する出力であり、バッテリ500のSOCや補機類の駆動電力を加味した上でエンジン200に要求されるエンジン要求出力Pneとは必ずしも一致しない)に対する過不足分は、モータジェネレータMG2におけるトルクの吸収或いはアシストにより補償される。また、CVTモードであっても、例えば低速軽負荷領域等においては、エンジン200を機関停止させ、モータジェネレータMG2の動力のみによってEV走行を行ってもよい。
ここで、図示PRFCVT3に例示する特性は、機関回転速度NEが出力回転速度Noutよりも低い、所謂オーバードライブ状態に相当するが、この場合、モータジェネレータMG1は、負回転領域においてエンジントルクの反力トルク(負側のトルク)を出力し、力行状態となる。一方、モータジェネレータMG2では、この力行状態にあるMG1に電力を供給すべく(或いは、MG1が力行されることによって駆動軸320に出力される駆動力を吸収すべく)正回転領域で負側のトルクが出力され発電が行われる。このように、電力の入出力を伴う結果として、高速軽負荷領域等においては動力循環によるエネルギ損失が生じ易い。
一方、クラッチ機構350のクラッチ板351及び352が相互に係合した状態では、クラッチ機構350の回転速度はゼロとなり(図示白丸m8参照)、動力分割機構300における回転速度の特性は、図示PRF_OD(実線参照)により例示される状態となる。即ち、エンジン200の機関回転速度NEは、出力回転速度Noutよりも低い値に固定される(図示白丸m9参照)。即ち、オーバードライブ状態が実現される。この状態では、サンギア341に対してクラッチ機構350から反力トルクを与えることになり、サンギア341が反力要素として機能するため、モータジェネレータMG1を発電機及び電動機のいずれとしても機能させる必要がなく、モータジェネレータMG1は実質的に空転状態となる。そのため、モータジェネレータMG2からモータジェネレータMG1に電力を供給する必要もなくなり、動力循環を回避することができる。
ハイブリッド車両10の変速モードは、通常、これら二種類の変速モードのうち、その時点のハイブリッド車両10に要求される動作条件或いはハイブリッド車両10の実際の動作条件等に応じて、より良好な燃費を与える(即ち、効率の高い)変速モードに決定される。
これら変速モードは、ECU100により実行される基本駆動制御により適宜に選択される。ここで、図6を参照し、基本駆動制御の詳細について説明する。ここに、図6は、基本駆動制御のフローチャートである。
図6において、ECU100は、ハイブリッド車両10の運転条件を取得する(ステップS101)。ステップS101において取得される運転条件とは、ハイブリッド車両10の変速モードを選択するに際して参照すべき運転条件を指し、本実施形態では、アクセル開度Ta、車速V、機関回転速度NE及びバッテリ500のSOCが取得される。尚、これらは一例に過ぎず、これらに替えて又は加えて他の運転条件が取得されてもよい。
ECU100は、取得した条件が、O/Dモードの実行条件に該当するか否かを判別する(ステップS102)。ここで、O/Dモードの実行条件とは、CVTモードに従ってエンジン200の動作点が制御された場合に、上述した動力循環が生じる条件であって、本実施形態では、予め実験的な、経験的な、理論的な又はシミュレーション等に基づいた適合を経て、そのような条件に対応する車速V及びエンジン要求出力Pne(エンジン要求出力Pneは、アクセル開度Ta及び車速Vに基づいて別のマップから選択的に取得される要求駆動力Ftに対し、バッテリ500のSOCや補機類の要求電力を加味した適宜の補正を経て算出される)がマップ化されており、ROMに格納されている。定性的に言えば、O/Dモードの実行条件とは、好適にはハイブリッド車両10が高速軽負荷走行を行っている場合に対応する条件である。
取得した運転条件がO/Dモードの実行条件に該当しない場合(ステップS102:NO)、ECU100は、変速モードとしてO/Dモードが選択されているか否かを判別する(ステップS111)。変速モードとしてO/Dモードが選択されている場合(ステップS111:YES)、ECU100は、クラッチ解放処理を実行する(ステップS112)。O/Dモードが選択されている場合、サンギア341には、エンジントルクTeに対応する反力トルクが加わっており、この反力トルクが加わった状態では、クラッチ板351とクラッチ板352とを離間させるべくクラッチ板351をストロークさせることが難しい。例えば、この際、無理にクラッチ板351をストロークさせると、例えばクラッチ板351の耐久性を低下させる、或いは過渡的にトルク変動が生じてドライバビリティが低下する等の不具合が発生しかねない。そこで、モータジェネレータMG1によって反力トルクを負担して、クラッチ板351を無負荷状態に移行させる必要が生じる。
このため、ECU100は、モータジェネレータMG1の出力トルクを徐々に増加させ、サンギア341が負担する反力トルクを徐々に減少させる旨の制御を行って、サンギア341(一義的にクラッチ機構350)が負担する、エンジントルクTeに対応する反力トルクを、モータジェネレータMG1に移譲させる。反力トルクがMG1に移譲されると、ECU100は、クラッチ機構350の駆動装置を制御し、クラッチ板351を係合時と逆方向にストロークさせ、クラッチ板352から離間させることによりクラッチ機構350を解放状態に移行させる。クラッチ解放処理はこのようにして実行される。
クラッチ機構350が解放状態に移行するか、或いは既にCVTモードが選択されている場合(ステップS111;NO)、ハイブリッド車両10の変速モードとしてCVTモードが選択された状態となり、CVTモードによる走行が実現される(ステップS113)。CVTモードが選択されると、処理はステップS101に戻される。
一方、ステップS101において取得した運転条件がO/Dモードの実行条件に該当する場合(ステップS102:YES)、ECU100は、現時点の変速モードとしてCVTモードが選択されているか否かを判別する(ステップS103)。CVTモードが選択されている場合(ステップS103:YES)、ECU100は、クラッチ係合処理を実行する(ステップS104)。
クラッチ係合処理では、最初に、クラッチ機構350における回転同期及び位相同期が図られる。ここで、「回転同期」とは、クラッチ板351及びクラッチ板352相互間における回転速度の同期を指す。本実施形態において、クラッチ板351の係合対象たるクラッチ板352は、物理的に固定されており、その回転速度はゼロである。従って、ECU100は、クラッチ板351の回転速度がゼロとなるように、MG1回転速度Nmg1を制御する。この際のMG1回転速度Nmg1の目標値は、サンギア331、サンギア341、キャリア332(又はリングギア343)及びリングギア342(又はキャリア333)のギア比及び出力回転速度Noutに基づいて算出される。
一方、位相同期は、クラッチ板351及び352相互間で、係合面に形成されたドグ歯の位相を、これらクラッチ板同士が噛合可能な位置に合わせ込む処理である。この際、クラッチ板352は物理的に停止しており、予めこのような噛合可能な位置の情報は、クラッチ板351の目標回転角(目標位相)としてECU100に与えられている。ECU100は、クラッチ機構350に備わるレゾルバにより検出されるクラッチ板351の回転角を参照し、クラッチ板351の回転角度が係る目標回転角となるように、クラッチ機構350に備わる駆動装置を制御する。
回転同期及び位相同期が図られている期間中は、一定の周期で回転同期及び位相同期が完了したか否かが判別される。回転同期及び位相同期が完了すると、ECU100は、クラッチ機構350を係合させる。即ち、クラッチ板351がクラッチ板352の方向へ所定量ストロークするように駆動装置を制御し、双方のドグ歯同士を噛合させる。その結果、クラッチ機構350が係合状態に移行する。クラッチ機構350が係合状態に移行すると、反力要素の切り替えが開始される。即ち、モータジェネレータMG1に連結されたサンギア331からクラッチ板351に連結されたサンギア341へ、エンジントルクの反力トルクの受け渡しが開始される。
反力要素の切り替えにおいては、モータジェネレータMG1の出力トルクTrmg1が、目標トルクTrmg1tgをゼロとして漸減される。より具体的には、ECU100は、所定の周期毎に、前回の指示トルク値から所定の変化量を減じることにより暫定的な指示トルクを設定し、PCU400の制御を介してモータジェネレータMG1の出力トルクTrmg1を漸減させる。モータジェネレータMG1の出力トルクTrmg1が、目標トルクTrmg1tgに到達すると、クラッチ係合処理が終了する。この段階で、動力分割機構300においてエンジントルクTeの反力トルクを負担する反力要素は、サンギア341に切り替わる。
クラッチ係合処理が実行されるか、或いは既にO/Dモードが選択されている場合(ステップS103:NO)、ハイブリッド車両10の変速モードとしてO/Dモードが選択された状態となり、O/Dモードによる走行が実現される(ステップS105)。O/Dモードが選択されている状態において、ECU100は、機関回転速度NEが基準値NEth未満であるか否かを判別する(ステップS106)。
ここで、図7を参照し、機関回転速度NEの基準値NEthについて説明する。ここに、図7は、エンジン200の動作領域を平面的に表してなる模式図である。
図7において、縦軸及び横軸には、夫々エンジントルクTe及び機関回転速度NEが表されている。即ち、図7に規定される座標平面における一座標点は、エンジン200の一動作点に対応している。図7において、低回転軽負荷領域に相当する図示斜線領域は、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、エンジントルクの変動がドライバビリティの低下として顕在化し得るものとして設定されたトルク変動領域を表している。上述した基準値NEthは、このトルク変動領域を規定する機関回転速度NEの上限値である。基準値NEth未満の領域においては、即ち実践上無視し得ないトルク変動が生じる、言い換えればエンジン200がトルク変動状態となることを意味する。尚、図示トルク変動領域は、エンジントルクTeがTeth以上となる高負荷領域には存在しないが、元よりこの種の高負荷領域では、O/Dモードが実行されないように、先に述べたO/Dモードの実行条件が設定されている。また、図示トルク変動領域は、説明を分かり易くするために略矩形領域として表されるが、必ずしもこの種の形状を有しておらずともよく、楕円状の領域であっても、また散在する領域であってもよい。このような場合、基準値NEthを規定することが難しいが、本発明に係る「トルク変動状態」とは、必ずしもトルク変動が生じている状態のみを指すものではなく、トルク変動が生じ易い状態も包括することに鑑みれば、判断基準としての基準値NEthを設定することにより得られる実践上の利益が減じられるものではない。
一方、図7に示す座標平面上において、エンジン出力Pej(j=1,2,・・・且つPej<Pe(j+1)である)が等しくなる動作点を相互に繋げて得られるエンジン200の等出力線EPj(j=1,2,・・・)は、破線のように表すことができ、トルク変動領域は、概ね低出力領域に該当している。元よりO/Dモードは、定性的にみて高速軽負荷領域で選択される変速モードであり、エンジン要求出力Pneは相対的に低い。従って、O/Dモードが選択されている期間において機関回転速度NEが基準値NEth未満に低下した場合(尚、「未満」とは、基準値の採り方如何により容易に「以下」と置換し得る概念であり、この種の観点からみた基準値の採り方は、発明の本質とは無関係である)、エンジン200はトルク変動領域での動作を余儀なくされる可能性が高くなる。
尚、本実施形態では、機関回転速度NEを基準値NEthと比較することにより、エンジン200がトルク変動状態にあるか否かの判断が比較的簡便になされているが、これは一例に過ぎず、例えばトルク変動の度合いそのものを何らかの検出手段により検出した結果に基づいて係る判別を行ってもよいし、予め機関回転速度NE以外の指標値に対しトルク変動領域であるか否かの情報が適宜割り当てられていてもよい。
図6に戻り、機関回転速度NEが基準値NEth以上である場合(ステップS106:NO)、O/Dモードによる走行は継続され、処理はステップS101に戻される。一方、機関回転速度NEが基準値NEth未満である場合(ステップS106:YES)、言い換えれば、エンジン200がトルク変動状態にある旨の実践上の判断を下し得る場合、トルク変動がドライバビリティを低下させる事態を防ぐため、クラッチ機構350を解放状態に移行させるのが望ましい。ところが、トルク変動領域では、ステップS112に例示したようなクラッチ解放処理を行うことが難しい。ここで、図8を参照し、エンジン200のトルク変動がクラッチ機構350の解放(即ち、クラッチ板351及びクラッチ板352を相互に離間させる旨の制御)に与える影響について説明する。ここに、図8は、係合状態におけるクラッチ機構350の様子を概念的に表してなる模式図である。尚、同図において、図4と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図8において、クラッチ板351及びクラッチ板352各々におけるドグ歯が相互に噛合し、クラッチ機構350が係合状態にある旨が示されている。この際、ステップS112に係る反力トルクの移譲制御を実行した後は、理想的には、クラッチ板351に形成されたドグ歯に加わる反力トルクはゼロとなるが、エンジントルクTeが変動している場合、モータジェネレータMG1による反力トルクと、エンジントルクTeとの収支が合わずに、サンギア341(一義的にクラッチ板351)にエンジントルクTeの変動成分に対応する反力トルクΔTeが残留することがある。図8には、ドグ歯351a及び351bに係る反力トルクΔTe(白抜き矢線参照)が作用している様子が示されている。このようにクラッチ板351のドグ歯に対し図示回転方向にエンジントルクが加わったままの状態では、クラッチ板351を円滑にストロークさせることが難しいため、何らの対策も講じられることがなければ、クラッチ機構350を解放状態に移行させることが困難となるのである。
図6に戻り、このような問題の発生を回避するため、機関回転速度NEが基準値NEth未満である場合、ECU100は、バッテリ500のSOCが基準値SOCth以上であるか否かを判別する(ステップS107)。
ここで、バッテリ500のSOCの基準値SOCthは、ハイブリッド車両10の要求出力Pnに対応付けられてマップ化された可変値であり、少なくともクラッチ機構350を解放するのに要する時間について、モータジェネレータMG2から要求出力Pnに対応する動力を出力させ得るSOCである。
尚、「対応する動力」とあるように、トルク変動がドライバビリティを実践上問題となる程度に低下させない限りにおいて、モータジェネレータMG2から出力される動力は、必ずしも要求出力Pnと一対一に対応しておらずともよい。また、「少なくともクラッチ機構350を解放するのに要する時間について」とは、モータジェネレータMG2の理論的な上限出力、上限回転速度又は上限トルクが定格範囲を超えた領域で設定されている場合(通常は、そうである)には、モータジェネレータMG2の出力、回転速度又はトルクが、必ずしも係る定格範囲内で設定される必要はないことを意味する。即ち、モータジェネレータMG2に実践上問題となる程度の物理的、機械的、電気的又は磁気的な不具合を生じさせない限りにおいて、定格を超える出力、回転速度又はトルクが許容されてもよい。
ECU100は、バッテリ500のSOCが基準値SOCth未満である場合(ステップS107:NO)、処理をステップS101に戻し、O/Dモードによる走行が継続させる一方、バッテリ500のSOCが基準値SOCth以上である場合には(ステップS107:YES)、F/C制御を実行する(ステップS108)。即ち、燃料の供給が停止されるように、インジェクタ212を制御する。
F/C制御が実行されると、ECU100は、要求出力Pnに対応する動力が出力されるようにモータジェネレータMG2を制御する(ステップS109)。その結果、ハイブリッド車両10は、少なくともドライバビリティの低下が生じない範囲の車速を維持しつつ少なくとも一時的にEV走行状態となる。係るEV走行状態が実現されている期間において、ECU100は、クラッチ機構350を解放状態に移行させる。
ステップS110に係るクラッチ機構350の解放制御は、エンジントルクTeがゼロである(即ち、変動成分もまたゼロである)ことに起因してサンギア341に加わる反力トルクが著しく低減された状態にあるため、ステップS112で説明したクラッチ解放処理よりも簡便に行うことができる。即ち、ステップS110において、ECU100は、クラッチ機構350の駆動装置を制御して、クラッチ板351を係合時と逆方向にストロークさせ、クラッチ板同士を離間させることによりクラッチ機構350を解放状態に移行させる。但し、エンジントルクTeはゼロであっても、空転状態にあるエンジン200或いはモータジェネレータMG1のフリクションに相当する反力トルクが、サンギア341に幾らかなり加わる可能性があるため、ECU100は、ステップS112と同様に、モータジェネレータMG1からトルクを出力させ、クラッチ板351のドグ歯において回転方向に作用するトルクをゼロに或いはゼロとみなし得る程度に低減させた後に、クラッチ板351をストロークさせてもよい。いずれにせよ、エンジン200がトルク変動領域で稼動する(即ち、トルク変動状態にある)ことに起因してクラッチ板351のドグ歯にエンジントルクの変動成分が加わっている場合と較べれば、明らかに円滑にクラッチ機構350を解放することができる。クラッチ機構350を解放状態に移行させると、ECU100は、処理をステップS101に移行させる。
以上説明したように、本実施形態に係る基本駆動制御によれば、O/Dモードの実行時において機関回転速度NEが基準値NEth未満となった場合、バッテリ500のSOCに十分な余裕があれば、モータジェネレータMG2によるEV走行が少なくとも一時的に実行され、エンジン200のトルク変動がキャンセルされた状態でクラッチ機構350を解放状態に移行させることができる。このため、ドライバビリティの低下を効果的に抑制することが可能となる。
尚、ECU100は、ステップS110が実行された後に、EV走行を継続させてもよいし、即座に或いは一定の期間を経て、エンジン200を始動させ、変速モードをCVTモードに移行させてもよい。この際、例えば、ステップS107に係る処理において、MG2からの供給動力が要求出力Pnを下回って(ドライバビリティの低下を顕在化させない範囲で)いる、或いはMG2からの動力供給に際し、トルクにせよ回転速度にせよ本来MG2に許容される値を逸脱している等の場合には速やかにCVTモードに移行させてもよい。
ここで、図9を参照し、本実施形態の効果について視覚的に説明する。ここに、図9は、ハイブリッド車両10に作用する各種のトルクの時間推移を表すタイミングチャートである。
図9において、縦軸にはトルクTが、横軸には時刻が夫々表されている。時刻T0から時刻T1にかけて、O/Dモードが選択され且つエンジン200が上述したトルク変動領域で稼動しているとする。この場合、エンジントルクTe(図示特性PRF_Te(鎖線)参照)は、正弦波状に変動している(必ずしも、このように規則的な変動に限定されない)。このエンジントルクの変動に伴って、駆動軸320の出力トルクTo(図示特性PRF_To(実線)参照)もまた、要求トルクTn(即ち、要求出力Pnに対応するトルク)を挟んで増減し、ドライバビリティを低下させている。
一方、時刻T1において、エンジン200に対する燃料供給が停止され、且つモータジェネレータMG2から本発明に係る「要求出力に対応する動力」の一例としてトルクTmg2(図示特性PRF_Tmg2(破線)参照)が出力されると(ここでは、Tmg2=Tnであるとする)、駆動軸320の出力トルクToは、エンジントルクTeからMG2のトルクに切り替わり、要求トルクTnで安定する。その結果、ドライバビリティの低下が回避される。
ここで、図10を参照し、本実施形態の効果について更に説明する。ここに、図10は、エンジン200の動作領域を平面的に表してなる他の模式図である。尚、同図において、図7と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図10において、トルク変動が生じる以前のエンジン200の動作点が、エンジン出力Pe=Pe2に対応する図示動作点mv1(NE=NE2且つTe=Te1)であるする。この際、エンジン要求出力が変化しないまま車速Vの低下に伴って機関回転速度NEがNE1(NE1<NE2)まで低下した場合、エンジン200の動作点は、等出力線EP2上を移動し、例えばトルク変動領域内に位置する図示動作点mv2(NE=NE1且つTe=Te2(Te2>Te1))に変化する。このような状況において、上述したような、モータジェネレータMG2の動力を利用したクラッチ機構350の解放制御が実行され、変速モードがO/DモードからCVTモードに切り替わった場合、MG1回転速度Nmg1の増減制御によって、エンジン200の動作点を、例えば再びトルク変動領域外の動作点mv1に戻すことが可能となる。
一方、エンジン要求出力がPe1(Pe1<Pe2)まで低下しつつ車速Vの低下に伴って機関回転速度NEがNE1(NE1<NE2)まで低下した場合、エンジン200の動作点は、等出力線EP2上から等出力線EP1上に移動し、例えばトルク変動領域内に位置する図示動作点mv3(NE=NE1且つTe=Te1)に変化する。このような状況において、上述したような、モータジェネレータMG2の動力を利用したクラッチ機構350の解放制御が実行され、変速モードがO/DモードからCVTモードに切り替わった場合、MG1回転速度Nmg1の増減制御によって、エンジン200の動作点を、例えばトルク変動領域外の図示動作点mv4(NE=NE2且つTe=Te0(Te0<Te1))に変化させることが可能となる。いずれにせよ、CVTモードによれば、エンジン200の動作点が、少なくとも車速に応じて一義的に規定されることなく自由に選択可能であり、トルク変動に起因するドライバビリティの低下を抑制することが可能となる。
尚、本実施形態に係る基本駆動制御では、機関回転速度NEが基準値NEth未満であるか否かが、O/Dモードの実行条件であるか否かの判別とは異なるプロセスとして実行されるが、予め機関回転速度が基準値NEth未満である旨が、O/Dモードの解除条件の一部とされていてもよい。例えば、ステップS106が、或いは更にステップS107が「NO」側に分岐した場合に、ステップS112以降の処理が実行されてもよい。
<第2実施形態>
本発明に係る「動力分割手段」の一例として、第1実施形態ではシングルピニオン型遊星歯車機構とダブルピニオン型遊星歯車機構とを組み合わせてなる動力分割機構300が例示されているが、本発明に係る動力分割手段の採り得る構成は、無段変速モードと固定変速モードとを少なくとも実現可能である限りにおいて、動力分割機構300のものに限定されない。ここで、図11及び図12を参照し、本発明の第2実施形態として、動力分割手段の他の構成例について説明する。ここに、図11は、動力分割機構800の構成を概念的に表してなる概略構成図であり、図12は、動力分割機構900の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、これらの図において、図3と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図11において、動力分割機構800では、キャリア812に、エンジン200のクランクシャフト205に連結された入力軸310が連結されている。また、サンギア811にモータジェネレータMG1が連結され、そのサンギア811と同心円状に配置される内歯歯車たるリングギア814が駆動軸320に連結されている。これらサンギア811とリングギア814とに噛合する大ピニオンギ813が、その中心軸線を中心に自転し、キャリア812の自転によって公転するようにキャリア812によって保持されている。これらキャリア812、サンギア811、リングギア814及び大ピニオンギア813によって、第1遊星歯車機構810が構成されている。
一方、大ピニオンギア813は、いわゆるステップドピニオンギアとして構成されている。すなわち、大ピニオンギア813より小径の小ピニオンギア821が、同一軸線上に並べて一体化されている。その小ピニオンギア821が、サンギア811より大径のサンギア822に噛み合っている。即ち、サンギア822と、大小のピニオンギア813及び821(即ち、ステップドピニオンギア)と、これを保持しているキャリア812と、上記リングギア814とによって第2遊星歯車機構820が構成されている。このように、動力分割機構800は、歯数の異なるピニオンギアを一体に連結することによりキャリア及びリングギアを共用してなる二組の遊星歯車機構により構成される。
従って、第1遊星歯車機構810におけるサンギア811が第2遊星歯車機構820におけるサンギア822より小径であり、且つリングギア814を共用しているので、第1遊星歯車機構810におけるギア比(サンギアとリングギアとの歯数の比)が、第2遊星歯車機構820のギア比より小さくなっている。ここで、サンギア822には、サンギア822の回転を選択的に阻止する前述したクラッチ機構350が連結されている。このクラッチ機構350が係合状態にある場合、サンギア822が物理的に固定されるため、動力分割機構300の変速比が、オーバードライブ変速比となる。
図12において、動力分割機構900では、第1遊星歯車機構910と第2遊星歯車機構920とを備える。第1遊星歯車機構910のキャリア912にエンジントルクを伝達する入力軸310が連結されている。その第1遊星歯車機構910におけるサンギア911にモータジェネレータMG1が連結され、そのサンギア911と同心円上に配置されている内歯歯車であるリングギア913が駆動軸320に連結されている。そして、これらサンギア911とリングギア913とに噛み合っているピニオンギア914が、その中心軸線を中心に自転し、キャリア912の自転によって公転するようにキャリア912によって保持されている。
第2遊星歯車機構920は、第1遊星歯車機構910と同一軸線上に配置されており、そのサンギア921の中心部を駆動軸320が貫通すると共に、サンギア921と駆動軸320とが連結されている。言い換えれば、サンギア921が、第1遊星歯車機構910におけるリングギア913と一体に回転するように連結されている。また、サンギア921と同心円上に配置されたリングギア924が、第1遊星歯車機構910におけるサンギア911に連結されている。言い換えれば、第2遊星歯車機構920のリングギア924が、モータジェネレータMG1に連結されている。
また、これらサンギア921とリングギア924との間に配置されてサンギア921及びリングギア924に噛み合っているピニオンギア923が、キャリア922によって自転且つ公転可能に保持されている。クラッチ機構350は、このキャリア922を選択的に固定することが可能に設置される。このように、動力分割機構900は、二組のシングルピニオン型遊星歯車機構により構成される。このような構成においても、クラッチ機構350を係合状態に制御することによって、無段変速モードと固定変速モードとを好適に実現可能である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うハイブリッド駆動装置の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の第1実施形態に係るハイブリッド車両の構成を概念的に表してなる概略構成図である。 図1のハイブリッド車両におけるエンジンの模式図である。 図1のハイブリッド車両における動力分割機構の構成を概念的に表してなる概略構成図である。 図1のハイブリッド車両におけるクラッチ機構の係合態様を概念的に表してなる模式図である。 図3の動力分割機構において実現される各々の変速モードに対応する共線図である。 図1のハイブリッド車両においてECUにより実行される基本駆動制御のフローチャートである。 図1のハイブリッド車両におけるエンジンの動作領域を平面的に表してなる模式図である。 係合状態におけるクラッチ機構の様子を概念的に表してなる模式図である。 図1のハイブリッド車両に作用する各種のトルクの時間推移を表すタイミングチャートである。 図1のハイブリッド車両におけるエンジンの動作領域を平面的に表してなる他の模式図である。 本発明の第2実施形態に係る動力分割機構の一例を概念的に表してなる概略構成図である。 本発明の第2実施形態に係る動力分割機構の他の例を概念的に表してなる概略構成図である。
符号の説明
10…ハイブリッド車両、100…ECU、200…エンジン、201…気筒、203…ピストン、205…クランクシャフト、300…動力分割機構、MG1…モータジェネレータ、MG2…モータジェネレータ、310…入力軸、320…駆動軸、331…サンギア、332…キャリア、333…リングギア、341…サンギア、342…キャリア、343…リングギア、350…クラッチ機構、351…クラッチ板、352…クラッチ板、500…バッテリ、600…SOCセンサ、700…車速センサ、800…動力分割機構(第2実施形態)、900…動力分割機構(第2実施形態)。

Claims (4)

  1. 車両に搭載され、
    燃料を供給可能な燃料供給手段を備える内燃機関と、
    第1電動機と、
    相互に係合可能な第1係合要素及び第2係合要素を備え、前記第1係合要素と前記第2係合要素とを係合させる際に前記第1及び第2係合要素相互間の回転同期を要する噛合式の係合手段と、
    相互に差動回転可能に構成された、前記内燃機関の出力軸に連結される第1回転要素、前記第1電動機の出力軸に連結される第2回転要素、前記車両の駆動軸に連結される第3回転要素及び前記第1係合要素に連結される第4回転要素を含む複数の回転要素を備えてなる動力分割手段と、
    出力軸が前記第3回転要素に連結されてなる第2電動機と
    を備え、
    前記第1係合要素と前記第2係合要素とが係合した状態において前記第1係合要素の回転が阻止されると共に、前記第1係合要素と前記第2係合要素とを係合及び離間させることにより、前記車両の変速モードとして、夫々前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸との回転速度比を所定値に固定する固定変速モード及び該回転速度比を連続的に変化させる無段変速モードを選択可能に構成されてなるハイブリッド駆動装置の制御装置であって、
    前記内燃機関が所定のトルク変動状態にあるか否かを判別する第1判別手段と、
    前記第2電動機から前記車両の要求出力に対応する動力を出力可能であるか否かを判別する第2判別手段と、
    前記変速モードとして前記固定変速モードが選択されている状態において前記内燃機関が前記トルク変動状態にある旨が判別され且つ前記第2電動機から前記要求出力に対応する動力を出力可能である旨が判別された場合に、(i)前記燃料の供給が停止されるように前記燃料供給手段を制御し、且つ(ii)前記要求出力に対応する動力が出力されるように前記第2電動機を制御すると共に、(iii)前記第1係合要素が前記第2係合要素から解放されるように少なくとも前記係合手段を制御する制御手段と
    を具備することを特徴とするハイブリッド駆動装置の制御装置。
  2. 前記内燃機関の機関回転速度を特定する第1特定手段を更に具備し、
    前記第1判別手段は、前記特定された機関回転速度に基づいて前記内燃機関が前記トルク変動状態にあるか否かを判別する
    ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
  3. 前記第1判別手段は、前記特定された機関回転速度が所定の基準値未満である場合に前記内燃機関が前記トルク変動状態にあると判別する
    ことを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
  4. 前記ハイブリッド駆動装置は、前記第2電動機へ電力を供給可能な蓄電手段を更に備え、
    前記ハイブリッド駆動装置の制御装置は、
    前記蓄電手段の蓄電状態を特定する第2特定手段を更に具備し、
    前記第2判別手段は、前記特定された蓄電状態に基づいて前記要求出力に対応する動力を出力可能であるか否かを判別する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
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