JP2009232204A - 信号処理装置、信号処理方法 - Google Patents

信号処理装置、信号処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アナログ入力信号のデジタルサンプリング時のダイナミックレンジ拡大処理を適正に行うことができるようにする。
【解決手段】所定のゲイン差を与えた複数系統のアナログ入力信号を複数の(同数の)A/D変換手段でそれぞれサンプリング後それらを合成してダイナミックレンジの拡大を図る。この場合において、合成されるべきそれぞれの信号の合成比率を、複数のA/D変換手段からの入力信号に基づき決定する。
これによれば、1つのA/D変換手段からの入力信号のみに基づいて合成比率を決定する従来手法のように、小レベル又は大レベルによるアナログ信号が入力された際に入力信号レベルの誤検出が生じ、誤った合成比率が決定されてしまうことの防止を図ることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、アナログ入力信号をデジタルサンプリングして処理する信号処理装置とその方法とに関する。
特開平3−214892号公報 特開平3−96199号公報 特開2002−141802号公報 特開平9−82019号公報
ヘッドフォン装置により楽曲などのコンテンツの音声を再生しているときに聴こえてくる外部のノイズをアクティブにキャンセルするようにされた、ヘッドフォン装置対応のいわゆるノイズキャンセリングシステムが知られ、また、実用化されている。このようなノイズキャンセリングシステムとしては、大別してフィードバック方式とフィードフォワード方式との2つの方式が知られている。
例えば、上記特許文献1には、ユーザの耳に装着される音響管内においてイヤホン(ヘッドフォン)ユニットの近傍に設けたマイクロフォンユニットにより収音した音響管内部の騒音(ノイズ)を位相反転させた音声信号を生成し、これをイヤホンユニットから音として出力させることにより、外部ノイズを低減させるようにした構成、つまり、フィードバック方式に対応したノイズキャンセリングシステムの構成が記載されている。
また、上記特許文献2には、その基本構成として、ヘッドフォン装置外筐に取り付けたマイクロフォンにより収音して得た音声信号について所定の伝達関数による特性を与えてヘッドフォン装置から出力させるようにした構成、つまりフィードフォワード方式に対応したノイズキャンセリングシステムの構成が記載されている。
これらフィードフォワード方式、フィードバック方式の何れを採用する場合にも、ノイズキャンセリングのために設定されるフィルタ特性は、例えば外部のノイズ源からの音声がユーザの耳位置(ノイズキャンセル点)に到達するまでの空間伝達関数や、マイクアンプ・ヘッドフォンアンプの特性などの各種の伝達関数に基づき、ユーザ耳位置でノイズがキャンセルされるようにして設定されるものとなる。
ここで、ノイズキャンセリングシステムでは、ヘッドフォン装置に設けたマイクロフォンからの収音信号に対して、ノイズキャンセリングのための信号特性を与えるためのフィルタ処理を施すという基本構成を採る。
現状において実用化されているノイズキャンセリングシステムでは、このようなノイズキャンセリングのためのフィルタ(NCフィルタ)としては、アナログ回路により実装するものとされている。
しかしながら、NCフィルタをアナログ回路で実装する場合、フィルタ特性の切り換えを行うことが非常に困難となる。そこで、NCフィルタをデジタルで実現しようとする試みが為されている。すなわち、NCフィルタを例えばFIR(Finite Impulse Response)フィルタなどのデジタルフィルタで構成するものである。このことによって、フィルタ特性の変更をフィルタ係数などのパラメータ変更のみで行うことができるなど、アナログ回路で実装するとした場合よりも多くの利点が得られる。
ここで、当然のことながら、このようにNCフィルタをデジタルフィルタで構成するとした場合には、マイクロフォンを入力元とするアナログ収音信号をデジタル信号に変換してNCフィルタに入力する必要がある。つまり、マイクロフォン→マイクアンプを介して得られる収音信号をデジタル信号に変換するためのA/D変換器が必要となる。
このとき問題となるのは、ノイズキャンセリングシステムにおけるマイクロフォンが収音対象とする外部ノイズは、非常にダイナミックレンジが広いという点である。すなわち、ノイズキャンセリングシステムとして、日常発生するノイズに対応可能とするためには相当に大きな音圧から小さな音圧までに対応可能とする必要があり、これに伴い、収音信号をデジタルフィルタに入力するための上記A/D変換器としても、相応のダイナミックレンジが要求されることになる。
現状において、A/D変換器としては16bit(96dB)程度のダイナミックレンジ(分解能)を有するものが一般的に用いられているが、この程度の分解能では、日常想定され得るノイズ音圧の範囲をカバーすることができないことが分かっている。
このとき、A/D変換器としてより高分解能なもの(例えば24bit程度)を用いれば、日常想定され得るノイズ音圧範囲に対応可能とすることができる。しかしながら、このように高分解能なA/D変換器は消費電力が大きく、また内部構成も複雑で高コストとなり、現実的な構成とは言えないものとなる。
このような問題の一方で、先に本出願人は、A/D変換器を2つ設け、それぞれを小音圧側、大音圧側に割り振ってデジタルサンプリングを行うことで、ダイナミックレンジの拡大を図る技術を提案している(上記特許文献3)。
すなわち、この特許文献3の発明では、同一入力信号について、一方はそのまま第1A/D変換器によるサンプリングを行い(第1デジタル信号)、他方は所要のゲイン(例えば24dB)を与えた上で第2A/D変換器によるサンプリングを行うようにしている(第2デジタル信号)。そして、デジタル領域において、上記第2A/D変換器への入力信号に与えたゲインが相殺されるようにして上記第2デジタル信号に対するゲイン調整(−24dB)を行うことで、ダイナミックレンジの拡大を図るようにしている。
このとき、ゲインを与えていない側の第1A/D変換器が大音圧側に対応可能なA/D変換器となり、ゲインを与えた側の第2A/D変換器が小音圧側に対応可能なA/D変換器となる。
ここで、この特許文献3では、上記2つのA/D変換器の出力に基づきそれぞれ得られた2つの値から、上記同一入力信号のサンプリング値としての1つの値を得ることについても言及されている。
具体的に、特許文献3の発明では、2つのA/D変換器からの入力信号をクロスフェード(合成)させて最終的な1つのサンプリング値を得るようにしている。より具体的には、ゲインを与えていない側(大音圧対応側)の第1A/D変換器からの入力信号レベルに応じて決定した合成比率により、第1A/D変換器、第2A/D変換器からの2つの入力信号を合成して最終的な1つのサンプリング値を得るようにしている。
なお、特許文献4には、音声レベルの制御を行う場合において、入力音声の状況に応じた細かい追従制御を可能とする技術について記載されている。
上記特許文献3に記載の発明によれば、比較的低分解能なA/D変換器を用いた場合にも、該A/D変換器の能力を超えたより広範なダイナミックレンジを有する入力信号に対応してデジタルサンプリングを行うことができる。
しかしながら、特許文献3の発明では、第1A/D変換器、第2A/D変換器のうち、一方からの入力信号のレベルのみに基づいて合成比率を決定している。具体的には、ゲインを与えていない側(大音圧対応側)の第1A/D変換器からの入力信号レベルを見ている。このようにすれば、大音圧側のレベルは適正に検出できるが、その一方で小音圧側は量子化ノイズに埋もれてしまうことになるので、適正なレベル検出を行うことができないものとなる。
上述のように、特許文献3の発明ではこのようなレベル検出結果に基づき決定した合成比率によって第1A/D変換器、第2A/D変換器からの入力信号を合成して最終的なサンプリング値を得るようにされている。従って、このように適正なレベル検出を行うことができなくなってしまう場合には、合成処理も適正に行われなくなり、結果、入力信号のサンプリングを適正に行うことができなくなってしまう。
なお、逆に小音圧対応側の第2A/D変換器の入力信号レベルを見るとしても、大音圧側について適正なレベル検出を行うことができなくなるので、入力信号のサンプリングを適正に行うことはできない。
当然のことながら、入力信号についてのサンプリングが適正に行われない場合は、その後段のデジタル信号処理としても誤った処理結果が得られてしまう。特に、ノイズキャンセリングシステムでは、マイク収音信号のサンプリング値に対してNCフィルタをかけるようにされるが、この場合においてサンプリング値が誤っていると、実際に生じるノイズ音に対応したノイズキャンセル音を出力することができず、ノイズキャンセリング効果が得られなくなってしまう。
本発明では、上記した課題を考慮して、信号処理装置として以下のように構成することとした。
つまり、同一のアナログ入力信号から所定のゲイン差が与えられた複数系統のアナログ信号が得られるようにして上記アナログ入力信号に対するゲイン調整を行うゲイン調整手段を備える。
また、それぞれが上記ゲイン調整手段で得られる複数系統のアナログ信号のうちの1つを入力してデジタル信号に変換する複数のA/D変換手段とを備える。
また、上記複数のA/D変換手段で得られたデジタル信号を入力して信号処理を行う信号処理手段とを備える。
そして、上記信号処理手段は、上記複数のA/D変換手段からの入力信号に基づき決定した合成比率により、上記複数のA/D変換手段のそれぞれを入力元とする複数の信号を合成するものである。
上記構成によれば、所定のゲイン差を与えた複数系統のアナログ入力信号を複数の(同数の)A/D変換手段でそれぞれサンプリング後それらを合成してダイナミックレンジの拡大を図る場合において、合成されるべきそれぞれの信号の合成比率を、複数のA/D変換手段からの入力信号に基づき決定することができる。
これによれば、1つのA/D変換手段からの入力信号のみに基づいて合成比率を決定する従来手法のように、小レベル又は大レベルによるアナログ信号が入力された際に入力信号レベルの誤検出が生じ、誤った合成比率が決定されてしまうことの防止を図ることができる。
本発明によれば、所定のゲイン差を与えた複数系統のアナログ入力信号を複数の(同数の)A/D変換手段でそれぞれサンプリング後それらを合成してダイナミックレンジの拡大を図る場合において、合成されるべきそれぞれの信号の合成比率を複数のA/D変換手段からの入力信号に基づき決定するものとしたことで、誤った合成比率が決定されてしまうことの防止を図ることができる。
このように各信号の合成比率を正しく決定できることで、アナログ入力信号をデジタルサンプリングして信号処理を施す場合において、誤った処理結果が得られてしまうことを防止することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について説明していく。
実施の形態では、本発明の信号処理装置が、ヘッドフォン装置を接続可能に構成され、この信号処理装置とヘッドフォン装置とでノイズキャンセリングシステムが形成される場合を例に挙げる。以下では先ず、本実施の形態としてのシステムの構成を説明するのに先立ち、ノイズキャンセリングシステムの基本概念について説明を行っておく。
<ノイズキャンセリングシステムの基本概念>

ノイズキャンセリングシステムの基本的な方式としては、フィードバック(FeedBack:FB)方式によりサーボ制御を行うようにされたものとフィードフォワード(FeedForward:FF)方式がそれぞれ知られている。先ず、図1により、FB方式について説明する。
図1(a)には、ヘッドフォン装着者(ユーザ)の右耳(L(左),R(右)による2チャンネルステレオにおけるRチャンネル)側における、FB方式によるノイズキャンセリングシステムのモデル例を模式的に示している。
ここでのヘッドフォン装置のRチャンネル側の構造としては、先ず、右耳に対応するハウジング部201内において、ヘッドフォン装置を装着したユーザ500の右耳に対応する位置にドライバ202を設けるようにされる。ドライバ202は振動板を備えたいわゆるスピーカと同義のものであり、音声信号の増幅出力により駆動(ドライブ)されることで音声を空間に放出するようにして出力するものである。
そのうえで、FB方式としては、ハウジング部201内においてユーザ500の右耳に近いとされる位置に対してマイクロフォン203を設けるようにされる。このようにして設けられるマイクロフォン203によっては、ドライバ202から出力される音声と、外部のノイズ音源301からハウジング部201内に侵入して右耳に到達しようとする音声、つまり右耳にて聴き取られる外部音声であるハウジング内ノイズ302とが収音されることになる。なお、ハウジング内ノイズ302が発生する原因としては、ノイズ音源301が例えばハウジング部のイヤーパッドなどの隙間から音圧として漏れてきたり、ヘッドフォン装置の筐体がノイズ音源301の音圧を受けて振動し、これがハウジング部内に伝達されてくることなどを挙げることができる。
そして、マイクロフォン203によって収音して得られた音声信号から、例えば外部音声の音声信号成分に対して逆特性となる信号など、ハウジング内ノイズ302がキャンセル(減衰、低減)されるようにするための信号(キャンセル用オーディオ信号)を生成し、この信号について、ドライバ202を駆動する必要音の音声信号(オーディオ音源)に合成させるようにして帰還させる。これによりハウジング部201内における右耳に対応するとされる位置に設定されたノイズキャンセル点400においては、ドライバ201からの出力音声と外部音声の成分とが合成されることによって外部音声がキャンセルされた音が得られ、ユーザの右耳では、この音を聴き取ることになる。そして、このような構成を、Lチャンネル(左耳)側においても与えることで、通常のL,R2チャンネルステレオに対応するヘッドフォン装置としてのノイズキャンセリングシステムが得られることになる。
図1(b)のブロック図は、FB方式によるノイズキャンセリングシステムの基本的なモデル構成例を示している。なお、この図1(b)にあっては、図1(a)と同様にして、Rチャンネル(右耳)側のみに対応した構成が示されているものであり、また、Lチャンネル(左耳)側に対応しても同様のシステム構成が備えられるものである。また、この図において示されるブロックは、FB方式によるノイズキャンセリングシステムの系における特定の回路部位、回路系などに対応する1つの特定の伝達関数を示すもので、ここでは伝達関数ブロックと呼ぶことにする。各伝達関数ブロックにおいて示されている文字が、その伝達関数ブロックの伝達関数を表しているものであり、音声信号(若しくは音声)は、伝達関数ブロックを経由するごとに、そこに示される伝達関数が与えられることになる。
先ず、ハウジング部201内に設けられるマイクロフォン203により収音される音声は、このマイクロフォン203と、マイクロフォン203にて得られた電気信号を増幅して音声信号を出力するマイクロフォンアンプに対応する伝達関数ブロック101(伝達関数M)を介した音声信号として得られることになる。この伝達関数ブロック101を経由した音声信号は、FB(FeedBack)フィルタ回路に対応する伝達関数ブロック102(伝達関数−β)を介して合成器103に入力される。FBフィルタ回路は、マイクロフォン203により収音して得られた音声信号から、上述のキャンセル用オーディオ信号を生成するための特性が設定されたフィルタ回路であり、その伝達関数が−βとして表されているものである。
また、楽曲などのコンテンツとされるオーディオ音源の音声信号Sは、ここでは、イコライザによるイコライジングが施されるものとしており、このイコライザに対応する伝達関数ブロック107(伝達関数E)を介して合成器13に入力される。
なお、このように音声信号Sにイコライジングを施すのは、FB方式では、ノイズ収音用のマイクロフォン203がハウジング部201内に設けられ、ノイズ音のみでなくドライバ202からの出力音声も収音されることに由来する。すなわち、このようにマイクロフォン203が音声信号Sの成分も収音することで、FB方式では音声信号Sに対しても伝達関数−βが与えられるものとなっており、このことで音声信号Sの音質劣化を招くこと虞がある。そこで、予め伝達関数−βによる音質劣化を抑制するために、イコライジングにより音声信号Sに所要の信号特性を与えるようにしているものである。
合成器103では、上記の2つの信号を加算により合成する。このようにして合成された音声信号は、パワーアンプにより増幅され、ドライバ202に駆動信号として出力されることで、ドライバ202から音声として出力される。つまり、合成器103からの音声信号は、パワーアンプに対応する伝達関数ブロック104(伝達関数A)を経由し、さらにドライバ202に対応する伝達関数ブロック105(伝達関数D)を経由して音声として空間内に放出される。なお、ドライバ202の伝達関数Dは、例えばドライバ202の構造などにより決まる。
そして、ドライバ202にて出力された音声は、ドライバ202からノイズキャンセル点400までの空間経路(空間伝達関数)に対応する伝達関数ブロック106(伝達関数H)を経由するようにしてノイズキャンセル点400に到達し、その空間にてハウジング内ノイズ302と合成されることになる。そして、ノイズキャンセル点400から例えば右耳に到達するものとされる出力音の音圧Pとしては、ハウジング部201の外部から侵入してくるノイズ音源301の音がキャンセルされるものとなる。
ここで、この図1(b)に示されるノイズキャンセリングシステムのモデルの系にあって、上記出力音の音圧Pは、ハウジング内ノイズ302をN、オーディオ音源の音声信号をSとしたうえで、各伝達関数ブロックにおいて示される伝達関数「M、−β、E、A、D、H」を利用して、次の[式1]のようにして表されるものとなる。

Figure 2009232204
この[式1]において、ハウジング内ノイズ302であるNに着目すると、Nは、1 /(1+ADHMβ)で表される係数により減衰されることがわかる。
ただし、[式1]の系がノイズ低減対象の周波数帯域にて発振することなく、安定して動作するためには、次の[式2]が成立していることが必要となる。

Figure 2009232204
一般的なこととして、FB方式によるノイズキャンセリングシステムにおける各伝達関数の積の絶対値が、

1<<|ADHMβ|

で表されることとと、古典制御理論におけるNyquistの安定性判別と合わせると、[式2]については下記のように解釈できる。
ここでは、図1(b)に示されるノイズキャンセリングシステムの系において、ハウジング内ノイズ302であるNに関わるループ部分を一箇所切断して得られる、(−ADHMβ)で表される系を考える。この系を、ここでは「オープンループ」ということにする。一例として、マイクロフォン及びマイクロフォンアンプに対応する伝達関数ブロック101と、FBフィルタ回路に対応する伝達関数ブロック102との間を切断すべき箇所とすれば、上記のオープンループを形成できる。
上記のオープンループは、例えば図2のボード線図により示される特性を持つものとされる。このボード線図においては、横軸に周波数が示され、縦軸においては、下半分にゲインが示され、上半分に位相が示される。
このオープンループを対象とした場合、Nyquistの安定性判別に基づき、[式2]を満足するためには、下記の2つの条件を満たす必要がある。
条件1:位相0deg.(0 度)の点を通過するとき、ゲインは0dBより小さくなくてはならない。
条件2:ゲインが0dB以上であるとき、位相0deg.の点を含んではいけない。
上記2つの条件1、2を満たさない場合、ループには正帰還がかかることとなって、発振(ハウリング)を生じさせる。図2においては、上記の条件1に対応する位相余裕Pa、Pbと、条件2に対応するゲイン余裕Ga、Gbが示されている。これらの余裕が小さいと、ノイズキャンセリングシステムを適用したヘッドフォン装置を使用するユーザの各種の個人差やヘッドフォン装置を装着したときの状態のばらつきなどにより、発振の可能性が増加することになる。
例えば図2にあっては、位相0deg.の点を通過するときのゲインとしては0dBより小さくなっており、これに応じてゲイン余裕Ga 、Gbが得られている。しかしながら、例えば仮に位相0deg.の点を通過するときのゲインが0dB以上となってゲイン余裕Ga 、Gbが無くなる、あるいは位相0deg.の点を通過するときのゲインが0dB未満であるものの、0dBに近く、ゲイン余裕Ga 、Gbが小さくなるような状態となると、発振を生じる、あるいは発振の可能性が増加することになる。
同様にして、図2にあっては、ゲインが0dB以上であるときには位相0deg.の点を通過しないようにされており、位相余裕Pa、Pbが得られている。しかしながら、例えばゲインが0dB以上であるときに位相0deg.の点を通過してしまっている。或いは、位相0deg.に近くなり位相余裕Pa、Pbが小さくなるような状態となると、発振を生じる、あるいは発振の可能性が増加することになる。
次に、図1(b)に示したFB方式のノイズキャンセリングシステムの構成において、上述の外部音声(ノイズ)のキャンセル(低減)機能に加えて、必要な音(必要音)をヘッドフォン装置により再生出力する場合について説明する。
ここでは、必要音として、例えば楽曲などのコンテンツとしてのオーディオ音源の音声信号Sが示されている。
なお、この音声信号Sとしては、音楽的、又はこれに準ずる内容のもののほかにも考えられる。例えば、ノイズキャンセリングシステムを補聴器などに適用することとした場合には、周囲の必要音を収音するために筐体外部に設けられるマイクロフォン(ノイズキャンセルの系に備えられるマイクロフォン203とは異なる)により収音して得られた音声信号となる。また、いわゆるヘッドセットといわれるものに適用する場合には、電話通信などの通信により受信した相手方の話し声などの音声信号となる。つまり、音声信号Sとは、ヘッドフォン装置の用途などに応じて再生出力すべきことが必要となる音声一般に対応したものである。
先ず、先の[式1]において、オーディオ音源の音声信号Sに着目する。そして、イコライザに対応する伝達関数Eとして、次の[式3]により表される特性を有するものとして設定したこととする。

Figure 2009232204
なお、この伝達特性Eは、周波数軸でみた場合に、上記オープンループに対してほぼ逆特性(1+オープンループ特性)となっている。そして、この[式3]により示される伝達関数Eの式を、[式1]に代入すると、図1(b)に示されるノイズキャンセリングシステムのモデルにおける出力音の音圧Pについては、次の[式4]のようにして表すことができる。

Figure 2009232204
[式4]におけるADHSの項において示される伝達関数A、D、Hのうち、伝達関数Aはパワーアンプに対応し、伝達関数Dはドライバ202に対応し、伝達関数Hはドライバ202からノイズキャンセル点400までの経路の空間伝達関数に対応するので、ハウジング部201内のマイクロフォン203の位置が耳に対して近接した位置にあるとすれば、音声信号Sについては、ノイズキャンセル機能を有さないようにした通常のヘッドフォンと同等の特性が得られることがわかる。
次に、FF方式によるノイズキャンセリングシステムについて説明する。
図3(a)は、FF方式によるノイズキャンセリングシステムのモデル例として、先の図1(a)と同様にRチャンネルに対応する側の構成を示している。
FF方式では、ハウジング部201の外側に対して、ノイズ音源301から到達してくるとされる音声が収音できるようにしてマイクロフォン203を設けるようにされる。そして、このマイクロフォン203により収音した外部音声、つまりノイズ音源301から到達してきたとされる音声を収音して音声信号を得て、この音声信号について適切なフィルタリング処理を施して、キャンセル用オーディオ信号を生成するようにされる。そして、このキャンセル用オーディオ信号を、必要音の音声信号と合成する。つまり、マイクロフォン203の位置からドライバ202の位置までの音響特性を電気的に模擬したキャンセル用オーディオ信号を必要音の音声信号に対して合成するものである。
そして、このようにしてキャンセル用オーディオ信号と必要音の音声信号とが合成された音声信号をドライバ202から出力させることで、ノイズキャンセル点400において得られる音としては、ノイズ音源301からハウジング部201内に侵入してきた音がキャンセルされたものが聴こえるようになる。
図3(b)は、FF方式によるノイズキャンセリングシステムの基本的なモデル構成例として、一方のチャンネル(Rチャンネル)に対応した側の構成を示している。
先ず、ハウジング部201の外側に設けられるマイクロフォン203により収音される音は、マイクロフォン203及びマイクロフォンアンプに対応する伝達関数Mを有する伝達関数ブロック101を介した音声信号として得られる。
次に、上記伝達関数ブロック101を経由した音声信号は、FF(FeedForward)フィルタ回路に対応する伝達関数ブロック102(伝達関数−α)を介して合成器103に入力される。FFフィルタ回路102は、マイクロフォン203により収音して得られた音声信号から、上記したキャンセル用オーディオ信号を生成するための特性が設定されたフィルタ回路であり、その伝達関数が−αとして表されているものである。
また、ここでのオーディオ音源の音声信号Sは、直接、合成器103に入力するものとしている。
合成器103により合成された音声信号は、パワーアンプにより増幅され、ドライバ202に駆動信号として出力されることで、ドライバ202から音声として出力されることになる。つまり、この場合にも、合成器103からの音声信号は、パワーアンプに対応する伝達関数ブロック104(伝達関数A)を経由し、さらにドライバ202に対応する伝達関数ブロック105(伝達関数D)を経由して音声として空間内に放出される。
そして、ドライバ202にて出力された音声は、ドライバ202からノイズキャンセル点400までの空間経路(空間伝達関数)に対応する伝達関数ブロック106(伝達関数H)を経由してノイズキャンセル点400に到達し、ここでハウジング内ノイズ302と空間で合成されることになる。
また、ノイズ音源301から発せられた音がハウジング部201内に侵入してノイズキャンセル点400に到達するまでには、伝達関数ブロック110として示すように、ノイズ音源301からノイズキャンセル点400までの経路に対応する伝達関数(空間伝達関数F)が与えられる。その一方で、マイクロフォン203では、外部音声であるノイズ音源301から到達してくるとされる音声を収音することになるが、このとき、ノイズ音源301から発せられた音(ノイズ)がマイクロフォン203に到達するまでには、伝達関数ブロック111として示すように、ノイズ音源301からマイクロフォン203までの経路に対応する伝達関数(空間伝達関数G)が与えられることになる。伝達関数ブロック102に対応するFFフィルタ回路としては、上記の空間伝達関数F,Gも考慮した上での伝達関数−αが設定されるものである。
これにより、ノイズキャンセル点400から例えば右耳に到達するものとされる出力音の音圧Pとしては、ハウジング部201の外部から侵入してくるノイズ音源301の音がキャンセルされるものとなる。
図3(b)に示したFF方式によるノイズキャンセリングシステムのモデルの系にあって、上記出力音の音圧Pは、ノイズ音源301において発せられるノイズをN、オーディオ音源の音声信号をSとしたうえで、各伝達関数ブロックにおいて示される伝達関数「M、−α、E、A、D、H」を利用して、次の[式5]で表されるものとなる。

Figure 2009232204
また、理想的には、ノイズ音源301からキャンセルポイント400までの経路の伝達関数Fは、次の[式6]のようにして表すことができる。

Figure 2009232204
次に、[式6]を[式5]に代入すると、右辺の第1項と第2項とが相殺されることとなる。この結果から、出力音の音圧Pは、以下の[式7]のようにして表すことができる。

Figure 2009232204
このようにして、ノイズ音源301から到達してくるとされる音はキャンセルされ、オーディオ音源の音声信号だけが音声として得られることが示される。つまり、理論上、ユーザの右耳においては、ノイズがキャンセルされた音声が聴こえることになる。ただし、現実には、[式6]が完全に成立するような伝達関数を与えることのできる、完全なFFフィルタ回路を構成することは非常に困難である。また、人による耳の形状であるとか、ヘッドフォン装置の装着の仕方についての個人差が比較的大きく、ノイズの発生位置とマイク位置との関係の変化などは、特に中高域の周波数帯域についてのノイズ低減効果に影響を与えることが知られている。このために、中高域に関しては、アクティブなノイズ低減処理を控え、主として、ヘッドフォン装置の筐体の構造などに依存したパッシブな遮音をすることがしばしば行われる。
また、確認のために述べておくと、[式6]は、ノイズ音源301から耳までの経路の伝達関数を、伝達関数−αを含めた電気回路にて模倣することを意味している。
また、図3(a)に示したFF方式のノイズキャンセリングシステムでは、マイクロフォン203をハウジングの外側に設けることから、キャンセルポイント400については、図1(a)のFB方式のノイズキャンセリングシステムと異なり、聴取者の耳位置に対応させるようにしてハウジング部201にて任意に設定できる。しかし通常、伝達関数−αは固定的であり、設計段階においては、何らかのターゲット特性を対象とした決めうちになる。その一方で、聴取者によって耳の形状などは異なる。このために、十分なノイズキャンセル効果が得られなかったり、ノイズ成分を非逆相で加算してしまって異音を生じさせたりするなどの現象が発生する可能性もある。
このようなことから、一般的にFF方式は、発振する可能性が低く安定度は高いが、十分なノイズ減衰量(キャンセル量)を得るのは困難であるとされている。一方、FB方式は大きなノイズ減衰量が期待できる代わりに、系の安定性に注意が必要であるとされている。このように、FB方式とFF方式とでは、それぞれに特徴を有するものである。
<第1の実施の形態>
[信号処理装置の構成]

図4は、本発明の第1の実施の形態としての信号処理装置1の内部構成を示したブロック図である。なおこの図4では、信号処理装置1と接続されるヘッドフォン2の内部構成も併せて示している。
先ずは、ヘッドフォン2側から説明する。
図示するようにヘッドフォン2には、オーディオ入力端子T-AinとドライバDRVとが備えられる。オーディオ入力端子T-Ainには、信号処理装置1と接続されたときに該信号処理装置1に設けられたオーディオ出力端子T-Aoutから出力されるオーディオ信号(駆動信号)が入力される。
ドライバDRVは、上記オーディオ入力端子T-Ainを介して入力されるオーディオ信号に応じて、内部の振動板を駆動して音声出力(音響再生)を行う。
また、ヘッドフォン2には、ノイズキャンセリングシステムに対応するための構成として、マイクロフォンMICとマイク出力端子T-Moutとが備えられている。マイクロフォンMICによる収音信号はマイク出力端子T-Moutに供給される。該マイク出力端子T-Moutに得られる収音信号は、信号処理装置1と接続されたとき、該信号処理装置1に設けられるマイク入力端子T-Minを介して後述する第1マイクアンプ3A、第2マイクアンプ3Bのそれぞれに対して供給される。
ここで、先に述べたようにして、ノイズキャンセリングの方式としては、FB方式とFF方式の2つを挙げることができる。ヘッドフォン2がFB方式に対応するヘッドフォン装置である場合、上記マイクロフォンMICとしては、先の図1で説明したように聴取者の耳部分に対して装着されるハウジング部内において、内向きに設けられる。すなわち、ハウジング部内における音、具体的には聴取者の耳で聴取される音を収音するようにして設けられる。
また、ヘッドフォン2がFF方式に対応するヘッドフォン装置である場合、上記ドライバDRVは、ハウジング部において外向きに設けられる。つまり、ハウジング部の外界で生じる音を収音するようにして設けられる。
続いて、信号処理装置1側について説明する。
信号処理装置1は、ノイズキャンセリング処理として、ヘッドフォン2を装着したユーザにノイズ音がキャンセルされたものとして知覚させるようにするための信号処理を行う。
図示するように信号処理装置1には、上述したオーディオ出力端子T-Aout、マイク入力端子T-Min、第1マイクアンプ3A、第2マイクアンプ3Bと共に、第1A/D変換器4A、第2A/D変換器4B、DSP(Digital Signal Processor)5、D/A変換器6、パワーアンプ7、メモリ8が設けられる。
上記第1マイクアンプ3Aは、上述したマイク入力端子T-Minを介して入力される収音信号を所定ゲインにより増幅して第1A/D変換器4Aに出力する。
また、第2マイクアンプ3Bは、マイク入力端子T-Minを介して入力される収音信号を所定ゲインにより増幅して第2A/D変換器4Bに出力する。
ここで、本例において、第1マイクアンプ3Aにより収音信号に与えるゲインは「+10dB」であるとする。一方、第2マイクアンプ3Bによって収音信号に与えるゲインは「+22dB」であるとする。これにより、収音信号としての同一アナログ入力信号に対しては、12dBによるゲイン差が与えられるようにしてゲイン調整が為される。
第1A/D変換器4Aは、上記第1マイクアンプ3Aを介して入力される収音信号をデジタル信号に変換(デジタルサンプリング)する。
また、第2A/D変換器4Bは、上記第2マイクアンプ3Bを介して入力される収音信号をデジタル信号に変換する。
本例において、これら第1A/D変換器4A及び第2A/D変換器4Bの量子化ビット数(分解能:ダイナミックレンジ)は、図示するように16bitであるとする。
DSP5は、メモリ8に格納されるプログラム(信号処理プログラム8a)に基づくデジタル信号処理を実行することで、図中に示される各機能ブロックとしての動作を実現する。
具体的に、DSP5は、上述した第1A/D変換器4Aの出力信号、及び第2A/D変換器4Bの出力信号に基づき、図中の小ゲイン側ミクス比制御部10、大ゲイン側ミクス比制御部15、乗算部11、第1ミクス比率乗算部12、第2ミクス比率乗算部13、及び加算部14としての機能動作により、実施の形態としてのダイナミックレンジ拡大処理を実現する。なお、このような実施の形態としてのダイナミックレンジ拡大処理の内容については後に改めて説明する。
ここで、以下の説明において、DSP5の分解能は24bitであるとする。
また、DSP5は、図中のイコライザ(EQ)17として示す機能動作として、入力されるオーディオデータに対するイコライジング処理を施す。例えばイコライザ17は、FIR(Finite Impulse Response)フィルタなどで実現することができる。
また、図中のNC(ノイズキャンセリング)フィルタ16として示す機能動作として、後述するように加算部14で得られることになる、収音信号の最終的なサンプリング値(収音データ)に対し、ノイズキャンセリングのための信号特性を与える。このNCフィルタ16としても、例えばFIRフィルタなどで構成することができる。
さらに、図中の加算部18として示す機能動作として、上述したイコライザ17により処理されたオーディオデータと、上記NCフィルタ16により処理された収音データとを加算する。この加算部18としての加算処理により得られるデータを加算データと呼ぶ。該加算データは、上記NCフィルタ16によりノイズキャンセリングのための信号特性が与えられた収音データが加算されたものとなる。従って、該加算データに基づく音声出力(音響再生)が信号処理装置1と接続されたヘッドフォン2にて行われることで、該ヘッドフォン2を装着したユーザに、ノイズ成分がキャンセルされたものとして知覚させることができる。
ここで、DSP5のイコライザ17が入力する上記オーディオデータとしては、信号処理装置1が実際にどのような装置に適用されるかによって異なる。例えば、信号処理装置1が、所要の記憶媒体に記憶されたオーディオデータを再生してヘッドフォン2に再生させるオーディオプレイヤである場合には、上記イコライザ17に入力されるオーディオデータは、上記記憶媒体から再生したオーディオデータとなる。
或いは、信号処理装置1が、例えば携帯電話機の通話音声についてノイズキャンセリングを行う装置に適用される場合には、上記通話音声としてのオーディオデータを入力することになる。
何れにしても、上記イコライザ17に入力するオーディオデータとしては、ヘッドフォン2を装着したユーザに聴取させるべきとされたオーディオデータを入力するものとすればよい。
なお、上記イコライザ17は、FB方式に対応するヘッドフォン2が接続された際には、オーディオデータに対して音質劣化抑制のための特性を与えるためのフィルタ(図1のイコライザ107)として機能するものとなる。
先の説明によれば、FF方式の場合にはオーディオデータに対するイコライジングは必須とはならないが、FF方式に対応するヘッドフォン2が接続された場合、上記イコライザ17としては、例えば単に所要のイコライジング処理を行うものとして機能するものと考えればよい。
上記のようにしてDSP5によって得られた加算データは、D/A変換器6にてアナログ信号に変換された後、パワーアンプ7で増幅されて上述したオーディオ出力端子T-Aoutに供給される。これにより、ヘッドフォン2におけるドライバDRVは、上記パワーアンプ7で増幅されたオーディオ信号(駆動信号)に基づき駆動される。
なお、図4では説明の簡略化のため、1ch(チャンネル)分のオーディオ信号についての構成のみを例示したが、勿論、複数のchのオーディオ信号について、各chごとに図4に示した構成(メモリ8は除く)を設けるようにして、各chで実施の形態としてのノイズキャンセリング動作(及びダイナミックレンジ拡大処理)が行われるようにすることもできる。
[ダイナミックレンジの拡大]

続いて、ダイナミックレンジの拡大処理について説明する。
ここで、以下では便宜上、DSP5内における各機能ブロックをハードウエアとして扱うようにして説明を行うが、先にも述べたように、これら各機能ブロックとして示す動作はDSP5のデジタル信号処理によって実現されるものである。
DSP5において、乗算部11は、第1A/D変換器4A(小ゲイン側)からの出力信号を入力して所定のゲインを与える。なお、以下では、上記第1A/D変換器4Aを入力元とする信号を、第1信号と呼ぶ。
上記乗算部11で第1信号側に与えるゲインとしては、上述した第1マイクアンプ3Aと第2マイクアンプ3Bとによるゲイン調整によってそれぞれの収音信号に対して与えられたゲイン差を相殺するためのゲインを設定する。つまり、本例の場合、第2マイクアンプ3Bで与えられるゲイン(+22dB)と第1マイクアンプ3Aで与えられるゲインとの差は12dB(−12dB)であるため、上記乗算部11では該ゲイン差を相殺するための「+12dB」を第1信号側に与える。
第1ミクス比率乗算部12は、上記乗算部11によって所定ゲインが与えられた第1信号を入力し、該第1信号に対して、次に説明する小ゲイン側ミクス比制御部10から与えられる係数を乗算する。
小ゲイン側ミクス比制御部10は、第1A/D変換器4Aからの第1信号を入力し、該第1信号のレベル(絶対値)を検出する。そして、このレベル検出結果に基づき決定した係数を、上記第1ミクス比率乗算部12に対して与える。
図示するように、上記第1ミクス比率制御部12によって係数が与えられた第1信号は、加算部14に対して供給される。
なお、以下では上記第1ミクス比率乗算部12が第1信号側に与える係数を、「Gain-A」とも称する。上記構成によれば、第1信号に与えられるGain-Aは、当該第1信号のレベル検出結果に基づき制御されることになる。
一方、第2A/D変換器4Bからの出力信号(第2信号とする)は、第2ミクス比率乗算部13と、大ゲイン側ミクス比制御部15にそれぞれ供給される。
上記第2ミクス比率乗算部13は、第2信号に対して、大ゲイン側ミクス比制御部15から与えられる係数を乗算する。
大ゲイン側ミクス比制御部15は、第2A/D変換器4Bから入力した第2信号のレベル(絶対値)を検出すると共に、該レベル検出結果に基づき決定した係数を、上記第2ミクス比率乗算部13に対して与える。
第2ミクス比率乗算部13によって係数が与えられた第2信号は、加算部14に対して供給される。
なお、上述した第1信号側と同様に、以下では上記第2ミクス比率乗算部13が第2信号側に与える係数を、「Gain-B」とも称する。上記構成によれば、第2信号に与えられるGain-Bは第2信号のレベル検出結果に基づき制御されるものとなる。
加算部14は、上記第1ミクス比率乗算部12にてGain-Aが与えられた第1信号と、上記第2ミクス比率乗算部13にてGain-Bが与えられた第2信号とを加算する。つまりこれにより、第1信号と第2信号とは、上記Gain-AとGain-Bとで決定される、所要の合成比率によって合成されることになる。
加算部14で得られた第1信号と第2信号の合成信号は、先に説明したNCフィルタ16に供給され、ノイズキャンセリングのためのフィルタ処理が施される。
ここで、上記により説明した構成とすることで得られる作用について、次の図5を参照して説明する。
図5は、ダイナミックレンジの拡大について説明するための図として、図5(a)では第1A/D変換器4A、第2A/D変換器4Bのそれぞれで得られるサンプリング値の関係を示し、図5(b)では、デジタル領域でゲイン差を相殺したときの第1A/D変換器4A、第2A/D変換器4Bのサンプリング値の関係を示している。
先ず、図4に示した構成によれば、第1マイクアンプ3A、第2マイクアンプ3Bのそれぞれに、マイクロフォンMICによって収音された同一の音(同一ノイズ)についての収音信号が入力される。このとき、上記第1マイクアンプ3Aによっては+10dB、第2マイクアンプ3Bによっては+22dBのゲインがそれぞれ与えられるので、第1A/D変換器4Aによるサンプリング値(第1信号のレベル)と第2A/D変換器4Bによるサンプリング値(第2信号のレベル)との関係は、図5(a)のように第1信号より第2信号の方が大きくなる。具体的には、第2信号のレベルの方が、第1信号のレベルよりもゲイン差+12dB分だけ高いレベルにより得られる。
このような第1信号のレベルと第2信号のレベルとの関係を踏まえた上で、小ゲイン側の第1A/D変換器4Aから入力される第1信号に対しては、上述のゲイン差を相殺するべく、乗算部12により+12dBのゲインが与えられる。このようにゲイン差が相殺されることで、図5(b)に示されるように同一の音(音圧)についてのそれぞれのサンプリング値は、同一の値で得られることになる。すなわち、第1信号のレベルと第2信号のレベルとが一致するようにされる。
図示されているように、このとき第1A/D変換器4Aによるダイナミックレンジの上限は、乗算部14によるゲインアップが行われた分、第2A/D変換器4Bのダイナミックレンジの上限よりも12dB分高められることなる。
同様にして、第1A/D変換器4Aのダイナミックレンジの下限としても第2A/D変換器4Bのダイナミックレンジの下限よりも12dB高められる。つまり、下限側については、第2A/D変換器4Bのダイナミックレンジの方が12dB分拡大されるようになる。
これらのことから、第1A/D変換器4Aのダイナミックレンジと、第2A/D変換器4Bのダイナミックレンジとを併せた、総合的なダイナミックレンジとしては、第1A/D変換器4A単体、又は第2A/D変換器4B単体とする場合よりも拡大されることが分かる。
そして、それぞれのダイナミックレンジの関係としては、第1A/D変換器4A側の方が12dB分高いレベルまでの検出が可能となり、第2A/D変換器4Bの方が12dB分低いレベルまでの検出が可能となる。
すなわち、第2A/D変換器4B単体ではクリップしてしまうようなレベルの収音信号が入力された場合にも、第1A/D変換器4Aでは正しくサンプリング値を得ることが可能となり、逆に、第1A/D変換器4A単体では量子化ノイズに埋もれてしまうような低いレベルの収音信号が入力された場合にも、第2A/D変換器4Bでは正しくサンプリング値を得ることができるものである。
このことは、単純に、第1A/D変換器4Aでは10dBアップの収音信号をサンプリングし、第2A/D変換器4Bでは22dBアップの収音信号をサンプリングしている点を考えれば明らかである。
例えば、図6(a)に示されるように、同一の音圧として、比較的大音圧が収音された場合には、その収音信号を、小ゲイン側の第1A/D変換器4Aではダイナミックレンジ内において適正にサンプリングすることができるが、大ゲイン側の第2A/D変換器4Bでは収音信号がダイナミックレンジの上限をオーバーしてクリップ状態となる。
なお、この関係からも分かるように、第2A/D変換器4B側おいて、収音信号レベルがどの程度オーバーしているかは、当該第2A/D変換器4Bからの出力では不明であり、第1A/D変換器4A側のサンプリング値を参照しなければならないことになる。
また、図6(b)に示されるように、同一の音圧として、比較的小音圧が収音された場合には、その収音信号を、大ゲイン側の第2A/D変換器4Bではダイナミックレンジ内において適正にサンプリングすることができるが、小ゲイン側の第1A/D変換器4Aでは収音信号がダイナミックレンジの下限を下回ってしまう。
つまり、第1A/D変換器4A側おいて、収音信号レベルがどの程度下回っているかは第1A/D変換器4Aの出力では不明であり、第2A/D変換器4B側のサンプリング値を参照しなければない。
上記の説明から理解されるように、小ゲイン側の第1A/D変換器4Aは、より大音圧側の入力に対応してサンプリングを行うことができるものとなる。一方、大ゲイン側の第2A/D変換器4Bは、より小音圧側の入力に対応してサンプリングを行うことができる。
この点に鑑み、本例においては、第1A/D変換器4Aを入力元とする第1信号と第2A/D変換器4Bを入力元とする第2信号とを合成するにあたり、第1信号側に与えるGain-Aと第2信号側に与えるGain-Bの制御を、次の図7に示されるような制御特性に基づき行うものとしている。
先ず、図7(a)に示される小ゲイン側ミクス比制御部10の制御特性としては、おおまかに、第1A/D変換器4Aの出力に基づく第1信号のレベル(絶対値)が大きいときは、第1信号に与えるGain-Aも大きくし、第1信号のレベルが小さいときはGain-Aも小さくする制御を行うようにされる。
具体的にこの場合は、第1信号のレベルが0レベルから所定の第1閾値未満の範囲ではGain-Aを最小値とし、この第1閾値から該第1閾値よりも大となる第2閾値未満の範囲では、Gain-Aを徐々に最大値まで上昇させ、第2閾値以上の範囲ではGain-Aを最大値とするようにされている。
一方、図7(b)に示される大ゲイン側ミクス比制御部15の制御特性としては、第2A/D変換器4Bの出力信号(第2信号)のレベル(絶対値)が大きいときは第2信号に与えるGain-Bを小さくし、第2信号のレベルが小さいときはGain-Bを大きくする制御を行うようにされる。
具体的には、第2信号のレベルが0レベルから所定の第3閾値未満の範囲ではGain-Bを最大値とし、この第3閾値から該第3閾値よりも大となる第4閾値未満の範囲では、Gain-Bを徐々に最小値まで低下させ、第4閾値以上の範囲ではGain-Bを最小値とするものである。
このとき、第1信号に与えるGain-Aと第2信号に与えるGain-Bは、その和が常に「1」となるように制御特性を設定する。すなわち、図7(a)(b)に示す各制御特性において、Gain-Aが最大値「1」のときGain-Bは最小値「0」であり、Gain-Aが最小値「0」であるときGain-Bは最大値「1」となるようにされている。また、最小値〜最大値、最大値〜最小値に遷移する区間においても、同じ入力信号レベル時のGain-AとGain-Bの和は「1」となるようにされている。
このようにGain-AとGain-Bとの和が「1」となるようにされていることで、合成後の信号レベルが、元の収音信号のレベルから変化してしまうことの防止が図られる。
ここで、先の図4を参照して分かるように、小ゲイン側ミクス比制御部10と大ゲイン側ミクス比制御部15とは、それぞれ異なるマイクゲインが与えられた収音信号のサンプリング値を入力するので、同じ収音信号の入力に対し、それぞれの検出レベルは異なることになる。すなわち、マイクゲインの差=12dBに相当する分だけ異なるレベルが検出されることになる。
図7では、第1閾値と第3閾値、第2閾値と第4閾値とがそれぞれ同値であるように示しているが、このような関係が得られるようにするためには、何れか一方のミクス比制御部(10又は15)において、検出レベルを12dB分だけオフセットさせるものとすればよい。これにより、第1閾値・第3閾値、第2閾値・第4閾値をそれぞれ同値に揃えることができ、Gain-AとGain-Bの和が常に「1」となるように制御を行うことができる。
上記により説明した図7の制御特性によってGain-AとGain-Bとが制御されることで、入力信号レベルが大きい場合に対応しては、より大音圧側に対応可能な第1A/D変換器4Aを入力元とする第1信号の比率を大、第2信号の比率を小とするようにして各信号を合成(ミクス)することができる。また、入力信号レベルが小さい場合には、より小音圧側に対応可能な第2A/D変換器4Bを入力元とする第2信号の比率を大、第1信号の比率を小とするようにして各信号をミクスすることができる。
このようなミクス処理によって元の入力収音信号についての最終的なサンプリング値を得るようにしたことで、正確なサンプリングを実現しつつ、先の図5(b)にて総合的なダイナミックレンジとして示したように、第1A/D変換器4A又は第2A/D変換器4B単体とする場合よりもダイナミックレンジの拡大を図ることができる。
ダイナミックレンジの拡大が図られることによっては、現実のノイズ環境下に充分に対応してノイズキャンセルを行うことができる。
ここで、16bit程度のダイナミックレンジによるA/D変換器を単体で用いた場合、大きい音圧(例えば130dBSPL=ジェットエンジン相当)側に合わせてマイクゲインを設定した場合には、小さい音圧(例えば30dBSPL=深夜の郊外音相当)の環境下では、A/D変換器の分解能以下、すなわち量子化ノイズに埋もれてしまい、この結果、ノイズをキャンセルするどころか、ユーザに量子化ノイズを聞かせるといった状況に陥る虞がある。また、逆に、小さい音圧側に合わせると、大きな音圧の環境下においてA/D変換器がクリップし易く、結果、キャンセルされるべき音(実際のノイズ)とクリップしたキャンセル音との波形の違いが大きくなり、これが誤差ノイズとして異音の発生を助長する。
上記のようにして本実施の形態によれば、ダイナミックレンジは、A/D変換器4を単体で用いる場合よりも拡大することができる。よって、比較的広範な現実のノイズ環境下に対応してノイズキャンセルを適正に行うことができる。
なお、現実のノイズ環境下に対応可能とするにあたっては、A/D変換器4として、例えば24bit程度など、よりダイナミックレンジの広いものを用いることが考えられる。しかしながら、そのようなA/D変換器は消費電力が大きくなると共に、内部構成が複雑で高コストであり、現実的な構成とは言えない。
本実施の形態によれば、A/D変換器としては例えば16bit程度の一般的に流通しているものを用いることができる。この点で、より現実的な構成で現実のノイズ環境下に対応可能なノイズキャンセリングシステムを実現することができる。
また、ダイナミックレンジの拡大を図るにあたり、本実施の形態では、第1信号と第2信号とを切り換えるのではなくミクスする手法を採るものとしているが、このことで、切り換えを行った場合に発生が予想される異音の低減を図ることができる。
ここで、A/D変換器4Aの出力信号とA/D変換器4Bの出力信号とは、理想的には、マイクゲインの差である12dB分の差を有するものとなっているので、12dB分の補正を行えばデジタル領域にて同値が得られることが期待できる。但し、実際においては、マイクアンプ3やA/D変換器4の内部素子のばらつきなどに起因して、各信号のレベルは異なる場合がある。このため、単純に各信号を切り換えて出力する構成とした場合には、切り換え時に、このレベル差に伴う異音が発生する虞がある。
これに対し、本例のように各信号を合成する手法を採るものとすれば、上記レベル差に起因して生じる異音を効果的に軽減することができる。
また、本例では、第1信号に与えるGain-Aは、第1信号のレベル検出結果に基づき制御し、第2信号に与えるGain-Bは第2信号のレベル検出結果に基づき制御するものとしている。
ここで、これまでの説明からも理解されるように、本例においては、大音圧入力時に対応しては、第1信号に与えるGain-Aを大きくするようにしている。このとき、例えば仮に、第2A/D変換器4Bからの第2信号のレベル検出結果に基づき第1信号のGain-Aを制御するとした場合には、大音圧入力に伴うクリップによって誤ったGain-Aの値が決定されてしまうことになる。上記もしているように、Gain-Aとしては大音圧側で大きな値を設定するので、このように誤った値が設定されてしまった場合には、その分、合成信号としての最終的なサンプリング値に与えられる影響も大きくなってしまう。
本例のように第1信号についてのGain-Aを第1信号のレベル検出結果に基づき行うものとすれば、大音圧側においても適正なレベル検出を行うことができるので、適正なGain-Aを設定して合成処理を行うことができる。すなわち、最終的なサンプリング値としても正しい値を得ることができる。
また、第2信号側についても、同様にGain-Bの制御をより小音圧側に対応可能な第2A/D変換器4Bからの第2信号のレベル検出結果に基づき行うものとしていることで、小音圧入力時におけるGain-Bの値が誤った値に設定されてしまうことの防止が図られ、最終的なサンプリング値としても正しい値を得ることができる。
<第2の実施の形態>

続いて、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、入力信号レベルの変化に応じて即座にGain-A、Gain-Bを変更するのではなく、所定の時間長の経過も条件としてGain-A、Gain-Bを変化させるようにしたものである。
図8は、第2の実施の形態としての信号処理装置20の内部構成を示した図である。この図8においても、ヘッドフォン2の内部構成を併せて示している。
なお、以下の説明において、既に説明済みの部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
図8において、第2の実施の形態の信号処理装置20は、DSP5によって実現されるダイナミックレンジ拡大処理の内容が異なるものとなる。この場合のメモリ8内には、DSP5により第2の実施の形態としてのダイナミックレンジ拡大処理を実現させるための信号処理プログラム8bが格納されている。すなわち、この場合のDSP5は、当該信号処理プログラム8bに基づくデジタル信号処理を行うことで、以下で説明する第2の実施の形態としてのダイナミックレンジ拡大処理に係る機能動作を実現する。
この場合のDSP5は、ダイナミックレンジ拡大処理に係る機能ブロックのうち、先の第1の実施の形態の場合と共通の機能ブロックとして乗算部11、第1ミクス比率乗算部12、第2ミクス比率乗算部13、及び加算部14を有する。
その上で、この場合のDSP5は、上記乗算部13によりゲイン差が相殺された後の第1信号と、第2A/D変換器4Bからの第2信号とを入力する選択部21と、該選択部21の出力に基づき上記第1ミクス比率乗算部12に与える係数(Gain-A)、及び上記第2ミクス比率乗算部15に与える係数(Gain-B)を制御するミクス比制御部22としての機能ブロックを有する。
図9は、上記選択部21、ミクス比制御部22によって実現する、第2の実施の形態としての動作について説明するための図である。この図9においては、乗算部11によるゲイン調整(+12dB)が行われることを前提とした場合の第1A/D変換器4A(+10dB)側のダイナミックレンジと、第2A/D変換器4B(+22dB)側のダイナミックレンジとの関係を示すと共に、これら双方のダイナミックレンジを合わせた総合的なダイナミックレンジ内にて検出される入力信号レベルとMix比率モードとの関係を示している。
先ず、第2の実施の形態では、入力信号(入力収音信号)レベルについて、図のような複数のモード閾値Mth(Mth1〜MthN-1)を設定し、入力信号レベルがこれらモード閾値Mth1〜MrhN-1で区分される何れのレンジにあるかに応じて、N個のMix比率モード(MixMode1〜MixModeN)のうちから該当するMix比率モードを設定するという手法を採る。
図のように、モード閾値Mthとしては、入力信号レベルが大きい側から順にMth1→MthN-1の順で設定されており、Mix比率モードとしては、入力信号レベルが大きい側から順にMixMode1→MixModeNの順でN個設定されている。
この場合、各Mix比率モードは、例えば図10に示されるようにGain-AとGain-Bの値の組み合わせを定義したものとなる。つまり、入力信号レベルが最も大きなレンジに対応するMixMode1では、Gain-Aが最大値「1」、Gain-Bが最小値「0」をとり、以下、MixMode2〜MixModeN-1にかけて徐々にGain-Aの値を減少・Gain-Bの値を増加させるようにしてGain-A・Gain-Bの値の組み合わせが定義される。そして、最も入力信号レベルの低いレンジに対応するMixModeNでは、Gain-Aの値が最小値「0」、Gain-Bの値が最大値「1」をとるようにされる。
なお、この場合としても各Mix比率モードでは、Gain-Aの値とGain-Bの値との和が「1」となるように各Gainの値の組み合わせが設定される。
ここで、上記もしているように、第2の実施の形態では、これらのMix比率モードを、入力信号レベルに応じて設定するものである。この場合における、上記入力信号レベルの検出は、第1信号と第2信号の双方に基づいて行う。
具体的に、この場合は、図9に示されるような所定の閾値D-thを定めておき、入力信号レベルが該閾値D-thを超えるとされる場合は、第1信号を選択してそのレベル検出結果を入力信号レベルの検出結果とする。一方、入力信号レベルが上記閾値D-th以下とされる場合には、第2信号を選択してそのレベル検出結果を入力信号レベルの検出結果とする。
このようにすることで、先の第1の実施の形態の場合と同様の主旨により、大音圧入力時に第2信号によるレベル検出が行われて適正なレベル検出を行うことができなくなってしまうといった問題、及び小音圧入力時に第1信号によるレベル検出が行われて適正なレベル検出を行うことができなくなってしまうといった問題が生じないようにできる。
ここで、上記のような第2の実施の形態としての動作を、先の図8に示した構成にあてはめて説明する。
先ず、上記閾値D-thに基づく入力信号レベルの検出は、選択部21により行う。
選択部21は、乗算部11から入力した第1信号(12dBのゲインアップ済)と、A/D変換器4Bから入力した第2信号のレベル(絶対値)検出を行う。そして、検出された第2信号のレベルを参照し、該第2信号のレベルが予め設定された上記閾値D-thを超えるか否かを判別する。この判別の結果、第2信号のレベルが上記閾値D-thを超えるとした場合は、第1信号のレベル検出結果を、入力信号レベルの検出結果としてミクス比制御部22に出力する。
一方、第2信号のレベルが上記閾値D-thを超えないと判別した場合は、該第2信号のレベル検出結果を、入力信号レベルの検出結果としてミクス比制御部22に出力する。
このような選択部21の動作により、入力信号レベルが閾値D-thを超えるとされる場合は第1信号のレベル検出結果を入力信号レベルの検出結果とし、入力信号レベルが閾値D-th以下とされる場合には第2信号のレベル検出結果を入力信号レベルの検出結果とするように選択動作が行われる。
なお、ここでは上記のような入力信号レベルの選択にあたり、選択部21が第2信号と閾値D-thとを比較するものとしたが、これに代えて第1信号と閾値D-thとを比較した場合にも同様の結果が得られることは言うまでもない。
ミクス比制御部22は、上記選択部21から選択出力されるレベル検出結果(入力信号レベルの値)と、予め設定されたモード閾値Mth1〜MthN-1とに基づきMix比率モードの決定を行うと共に、決定したMix比率モードにて定義されるGain-A、Gain-Bとしての係数を第1ミクス比率乗算部12、第2ミクス比率乗算部13に与える。
図示は省略したが、この場合のメモリ8に対しては、先の図10に示したようなデータ構造を有するモード/Mix比率テーブル情報が格納されており、ミクス比制御部22は、該モード/Mix比率テーブル情報に基づき、上記決定したMix比率モードに応じたGain-A、Gain-Bとしての係数の値を取得する。
このとき、上記ミクス比制御部22では、上記選択部21から毎サンプル出力される入力信号レベルの値に逐次追従してMix比率モードの変更を行うのではなく、所定の時間長の経過も条件としてモード変更を行うものとしている。
ここで、毎サンプルごとの値の変化に応じてMix比率モードが変更されてしまった場合には、例えば素子ばらつきなどにより音質が不安定となってしまう可能性がある。一方で、外部音圧が大きくなる方向(クリップ)には、即座に対応できるのが望ましいものとなる。
これらの点から、第2の実施の形態においては、入力信号レベルが上昇傾向にある場合には、モード閾値Mthを超えたことに応じて即座にMix比率モードを上のモード(より番号の小さいモード)に変更すると共に、入力信号レベルが低下傾向にある場合には、モード閾値Mthを下回ったことと、さらに所定時間長の経過とを条件としてMix比率モードを下のモード(より番号の大きいモード)に変更するものとしている。
図11、図12のフローチャートは、上記により説明した第2の実施の形態としてのダイナミックレンジ拡大処理を実現するためにDPS5において行われるべき処理手順を示している。
図11は、主に選択部21としての機能動作を実現するための処理手順を示している。
図11において、先ずステップS101では、第2A/D変換器4Bの出力値Sを取得する。すなわち、第2信号の値「S」を取得する。
そして、続くステップS102では、第2信号の値Sの絶対値が閾値D-thを超えるか否かについて判別する。値Sの絶対値が上記閾値D-thを超えるとして肯定結果が得られた場合は、ステップS103に進んで第1A/D変換器4A側からの入力値を選択する。すなわち、乗算部11としての機能動作によって+12dBによるゲインを与えた第1信号を選択する。
一方、値Sの絶対値が上記閾値D-thを超えてはいないとして否定結果が得られた場合は、ステップS104に進み第2A/D変換器4B側からの入力値(第2信号)を選択する。
上記ステップS103又はステップS104の処理を実行すると、図示するように「RETURN」となる。
また、図12は、ミクス比制御部22としての機能動作のうち、主にMix比率モードの決定までの動作を実現するための処理手順を示している。
先ず、ステップS201では、mm=N、cnt=0に設定する。ここで、「mm」は現モードの番号(設定されるMix比率モードの番号)を表し、「cnt」はカウンタ用変数を表す。なお、このステップS201で設定されるmmの値(N)からも理解されるように、初期状態では、先ずは最低レンジに対応するMixModeNが設定されることになる。
続くステップS202では、選択したA/D変換器4側からの入力値の絶対値(S_abs)を取得する。すなわち、先の図11のステップS103又はS104にて選択した第1信号又は第2信号の絶対値S_absを取得する。
次のステップS203では、S_abs>Mth_mm-1であるか否かを判別する。すなわち、取得した絶対値S_absが、「現モードの番号−1」のモード閾値Mth(つまり現モードの上限側のモード閾値Mth)を超えたか否かを判別するものである。
このステップS203において、S_abs>Mth_mm-1であり現モードの閾値を超えたとして肯定結果が得られた場合は、ステップS204に進んでmm←(mm-1)、cnt=0とする。すなわち、モードを1つ上げると共に、カウンタをリセットする。そしてその後、上述したステップS202に戻るようにされる。
このようにして、入力信号レベルの上昇側については、閾値を超えたことに応じて即座にMix比率モードが上のモードに変更されるようになっている。
一方、上記ステップS203において、S_abs>Mth_mm-1ではなく、現モードの閾値を超えてはいないとして否定結果が得られた場合は、ステップS205に進む。
ステップS205では、S_abs<Mt_mmであるか否かを判別する。つまり、絶対値S_absが、現モードの番号によるモード閾値Mth(現モードの下限側のモード閾値Mth)を下回ったか否かを判別する。
ステップS205において、S_abs<Mth_mmであり現モードの閾値を下回ったとして肯定結果が得られた場合は、ステップS206に進んでcnt←cnt+1とする。すなわち、現モードの閾値を下回った場合は、先ずはカウンタの値を1つカウントアップするようにされる。
続くステップS207では、cnt>cnt_timeであるか否かを判別する。つまり、cntの値が規定値cnt_timeを超えたか否かを判別する。
上記ステップS207において、cnt>cnt_timeではないとして否定結果が得られた場合は、図示するようにして先のステップS202に戻るようにされる。つまり、カウント値が上記規定値に満たない場合は、以下で説明するステップS208によるモード変更は行われないものとなっている。
また、上記ステップS207において、cnt>cnt_timeであるとして肯定結果が得られた場合は、ステップS208に進み、mm←mm+1、cnt=0とする。すなわち、Mix比率モードを1つ下げると共に、カウンタをリセットする。
このステップS208の処理を実行すると、上述したステップS202に戻るようにされる。
上記によるステップS205→S206→S207→S208の一連の処理の流れにより、入力信号レベルの低下側については、モード閾値Mthを下回るのみでなく、上記規定値cnt_timeに応じた所定の時間長の経過も条件としてMix比率モードが1つ下げられるものとなる。
なお、上述したステップS205において、S_abs<Mth_mmではなく、現モードの閾値を下回っていないとして否定結果が得られた場合は、ステップS209に進み、カウント値をリセット(cnt=0)とした後、ステップS202に戻るようにしている。
ここで、上記ステップS205において否定結果が得られるのは、取得した絶対値S(入力信号レベル)が現モードのレンジ内にある場合である。第2の実施の形態では、このように入力信号レベルが現モードのレンジ内にある場合にカウント値をリセットすることで、1つ下のモードへの変更を、入力信号レベルが現モードのレンジを下回った状態が所定時間長継続したことを条件として行うようにしているものである。
<第3の実施の形態>

第3の実施の形態は、これまでの各実施の形態のように大音圧側では第1信号の比率を大きくし、小音圧側では第2信号の比率を大きくするという制御を踏襲した上で、過大な音圧の入力時には、合成後の信号レベルが入力信号レベルよりも抑制されるようにコンプレス処理を行うものである。
図13は、第3の実施の形態としての信号処理装置25の内部構成(この場合もヘッドフォン2の内部構成も併せて示す)を示した図である。
この信号処理装置25では、DSP5がメモリ8内に格納される信号処理プログラム8cに基づくデジタル信号処理を実行するようにされることで、先の第1の実施の形態の場合のDSP5の機能動作に若干の変更が加えられる。
具体的に、機能ブロックの比較では、乗算部11に代えて乗算部26が、また小ゲイン側ミクス比制御部10に代えて小ゲイン側ミクス比制御部27が、また大ゲイン側ミクス比制御部15に代えて大ゲイン側ミクス比制御部28が設けられることになる。
この場合、上記乗算部26は、上記小ゲイン側ミクス比制御部27から与えられる係数(つまり指示されたゲイン)を第1A/D変換器4Aからの入力信号に対して与える。小ゲイン側ミクス比制御部27は、第1A/D変換器4Aからの入力信号のレベル(絶対値)検出を行い、その検出レベルに応じた係数を乗算部26と第1ミクス比率乗算部12にそれぞれ与える。
また、大ゲイン側ミクス比制御部28は、第2A/D変換器4Bからの入力信号のレベル(絶対値)検出を行い、その検出レベルに応じた係数を第2ミクス比率乗算部13に与える。
ここで、図13中に一点鎖線で囲うように、上記乗算部26と第1ミクス比率乗算部12とによって第1信号側に与えられるゲインをGain-Aとおくと、小ゲイン側ミクス比制御部27は、次の図14(a)に示されるような制御特性によりGain-Aが制御されるように、乗算部26と第1ミクス比率乗算部12に対する制御を行う。
この図14(a)においては、比較として、第1の実施の形態の場合のGain-Aの制御特性を破線により示しているが、この破線による特性と対比して分かるように、この場合のGain-Aの制御特性では、第1信号(A/D変換器4A側)の検出レベルが或る程度大きくなった場合には、第1の実施の形態の場合よりも低いゲインを設定するようにされる。
この図14(a)に示すような制御特性の実現にあたって、乗算部26、第1ミクス比率乗算部12を制御する手法としては、2通りが考えられる。1つは、第1ミクス比率乗算部12には第1の実施の形態の場合と同様の特性(図7(a))に基づく係数を与えつつ、乗算部26に設定するゲインを+12dBから低下させる手法である。また、1つは、乗算部26で与えるゲインは+12dBで固定としたまま、第1ミクス比率乗算部12で与えるゲイン(係数)を図14(a)に示す特性に従って変化させるものである。
また、図14(b)には、大ゲイン側ミクス比制御部28に設定されるGain-Bの制御特性を示している。この図14(b)では、第1の実施の形態の場合のGain-Bの制御特性を破線により示しているが、この破線の特性との対比よりGain-Bの特性についても、第2信号(A/D変換器4B側)の検出レベルが或る程度大きくなった場合には、第1の実施の形態の場合よりも低いゲインを設定するようにしている。
上記のようなGain-A、Gain-Bの制御特性の設定により、元の入力信号(収音信号)レベルが所定値以上となる場合に、加算部14で得られる合成信号のレベルを、上記元の入力信号レベルよりも抑制することができる。
ここで、特に本例の場合のようにダイナミックレンジ拡大処理で得られた最終的なサンプリング値(上記加算部14で得られる合成信号)にノイズキャンセリングのためのフィルタ処理を施す構成とする場合においては、過大なレベルによる入力信号が得られた場合、すなわち過大な音圧によるノイズが検出された場合には、NCフィルタ16によって、該過大レベルのノイズ信号を打ち消すべくその逆相信号に相当する信号が生成されることになる。しかしながら、このような過大レベルの信号に基づき正確な逆相信号を出力しようとすると、パワーアンプ7やドライバDRVにおける振動板の破壊を招く虞がある。
このような事情に鑑みると、上記のような第3の実施の形態としてのレベル抑制処理によっては、このような過大ノイズの入力時の素子破壊を効果的に防止できることになる。
或いは、これまでの説明では、DSP5の後段におけるD/A変換器6のダイナミックレンジについては言及しなかったが、該D/A変換器6のダイナミックレンジが例えばA/D変換器4と同様に16bit程度である場合には、過剰に大きな数値については当然、コンプレスする必要がある。この点を考慮した場合にも、上記により説明した第3の実施の形態としてのレベル抑制処理は有効であることが分かる。
なお、上記による説明では、第1信号側の系において、乗算部26と第1ミクス比率乗算部12とを分ける場合を例示したが、これらをまとめて1つの乗算部とし、該乗算部に対する制御によって図14(a)の制御特性によるGain-Aを与えることも勿論可能である。
また、上記説明では、第2信号に与えるGain-B側についても抑制する場合を例示したが、抑制対象はGain-A側のみとし、Gain-Bの抑制は行わないようにすることも可能である。
ここで、基本的に合成時の比率設定として、大音圧入力時には、第2信号の比率は元々小さくなるようにされている。従って、抑制対象は大音圧側にて比率の大きくなる第1信号側のみとし、第2信号側については第1の実施の形態の場合と同様の特性を設定するなど、特段の抑制処理は行わないようにしてもよい。
[変形例]

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、A/D変換器4のダイナミックレンジが16bit、DSP5のダイナミックレンジが24bitとされる場合を例示したが、これらの数値はあくまで一例を示したものに過ぎず、特に限定されるべきものではない。
また、同一の入力信号に対して与えるゲイン差を12dBとする場合を例示したが、このゲイン差についても例示したものに限定されるべきものではない。
また、これまでの説明では、第1信号と第2信号とを所定比率により合成した合成信号に対して、NCフィルタ16によるフィルタ処理を施す場合を例示したが、例えば次の図15に示すようにして、それぞれNCフィルタ16によるフィルタ処理を施した後の第1信号、第2信号に所定比率(係数)を与えた上で、それらを合成することも可能である。
具体的に、この場合のDSP5は、乗算部11でゲイン差が相殺され第1信号に対して、NCフィルタ16Aによりノイズキャンセリングのためのフィルタ処理を施す。また、第2信号側については、第2A/D変換器4Bからの入力信号に対し、NCフィルタ16Bによりノイズキャンセリングのためのフィルタ処理を施す。
そして、上記NCフィルタ16Aによるフィルタ処理が施された第1信号については、第1ミクス比率乗算部12・小ゲイン側ミクス比制御部10によりそのゲイン(Gain-A)を制御する。同様に、上記NCフィルタ16Bによるフィルタ処理が施された第2信号については、第2ミクス比率乗算部13・小ゲイン側ミクス比制御部15によりそのゲイン(Gain-B)を制御し、制御後の第1信号・第2信号を加算部14で加算する。
なお、図15では一例として、第1の実施の形態の場合に対応する構成のみを示したが、他の実施の形態の場合も同様に、フィルタ処理を施した後の第1信号、第2信号に所定比率を与えてそれらを合成する構成を採ることが可能である。
また、これまでの説明では、ダイナミックレンジの拡大にあたり、A/D変換器4を2つ用いる場合を例示したが、3つ以上のA/D変換器4を用いることもでき、その場合は更なるダイナミックレンジの拡大を図ることができる。
ここで、A/D変換器4を3つ以上とする場合は、各A/D変換器4からの3系統以上の信号が得られるので、これらを1つに合成して最終的なサンプリング値(或いは図15のように合成前にフィルタ処理を施す場合はフィルタ処理後の各信号を合成することになる)を得るもとすればよい。
この場合としても、各信号の比率の設定(決定)にあたっては、少なくとも1つのA/D変換器4からの入力信号レベルのみに基づく比率設定を行うのではなく、複数のA/D変換器4からの入力信号レベルに基づき比率設定を行うことで、合成後に得られる最終的なサンプリング値(或いは信号処理自体の結果)を正しく得ることができる。
また、これまでの説明では、本発明の信号処理装置が、例えばオーディオプレイヤなど、外部のヘッドフォン装置に対してノイズキャンセリングのための信号を供給する装置として構成される場合を例示したが、本発明の信号処理装置は、ヘッドフォン装置自体にも適用することができる。その場合は、例えば図4に示すヘッドフォン2について、マイク出力端子TMoutを省略した上で、マイクロフォンMICによる収音信号を入力する第1マイクアンプ3A・第2マイクアンプ3B、及びその後段に続く第1A/D変換器4A・第2A/D変換器4B、DSP5、メモリ8、D/A変換器6、パワーアンプ7を備えるようにすればよい。このとき、DSP5が入力するオーディオデータは、オーディオ入力端子T-Ainを介して入力された、外部の例えばオーディオプレイヤなどで再生されたアナログオーディオ信号を、別途設けたA/D変換器でデジタル信号に変換したものを入力すればよい。そして、上記パワーアンプ7の出力信号により、ドライバDRVが駆動されるようにする。
また、本発明としては、信号処理としてノイズキャンセリングのための処理を行う場合のみでなく、他の信号処理を行う場合にも好適に適用することができる。
フィードバック方式によるヘッドフォン装置のノイズキャンセリングシステムについてのモデル例を示す図である。 図1に示したノイズキャンセリングシステムについての特性を示すボード線図である。 フィードフォワード方式によるヘッドフォン装置のノイズキャンセリングシステムについてのモデル例を示す図である。 第1の実施の形態の信号処理装置の内部構成を示した図である。 ダイナミックレンジの拡大について説明するための図である。 同一の音圧による入力信号レベルを各A/D変換器のダイナミックレンジと対比して示した図である。 第1の実施の形態の場合の制御特性について示した図である。 第2の実施の形態の信号処理装置の内部構成を示した図である。 第2の実施の形態としての動作について説明するための図である。 Mix比率モードについて説明するための図である。 第2の実施の形態としての動作を実現するための処理手順として、主にレベル検出対象とする信号の選択動作を実現するための処理手順を示したフローチャートである。 第2の実施の形態としての動作を実現するための処理手順として、主に入力信号レベルに応じたモード設定までの動作を実現するための処理手順を示したフローチャートである。 第3の実施の形態としての信号処理装置の内部構成を示した図である。 第3の実施の形態の場合の制御特性について示した図である。 変形例としての信号処理装置の構成について説明するための図である。
符号の説明
1,20,25 信号処理装置、2 ヘッドフォン、3A 第1マイクアンプ、3B 第2マイクアンプ、4A 第1A/D変換器、4B 第2A/D変換器、5 DSP、6 D/A変換器、7 パワーアンプ、8 メモリ、8a〜8c 信号処理プログラム、10、27 小ゲイン側ミクス比制御部、11,26 乗算部、12 第1ミクス比率乗算部、13 第2ミクス比率乗算部、14 加算部、15,28 大ゲイン側ミクス比制御部、16 NCフィルタ、17 イコライザ(EQ)、18 加算部、21 選択部、22 ミクス比制御部、T-Min マイク入力端子、T-Aout オーディオ出力端子、MIC マイクロフォン、DRV ドライバ、T-Mout マイク出力端子、T-Ain オーディオ入力端子

Claims (9)

  1. 同一のアナログ入力信号から所定のゲイン差が与えられた複数系統のアナログ信号が得られるようにして上記アナログ入力信号に対するゲイン調整を行うゲイン調整手段と、
    それぞれが上記ゲイン調整手段で得られた複数系統のアナログ信号のうちの1つを入力してデジタル信号に変換する複数のA/D変換手段と、
    上記複数のA/D変換手段のそれぞれで得られたデジタル信号を入力して信号処理を行う信号処理手段とを備えると共に、
    上記信号処理手段は、上記複数のA/D変換手段からの入力信号に基づき決定した合成比率により、上記複数のA/D変換手段のそれぞれを入力元とする複数の信号を合成する、
    ことを特徴とする信号処理装置。
  2. 上記信号処理手段は、
    上記ゲイン調整手段によって与えられたゲイン差を相殺するようにして、上記複数のA/D変換手段を入力元とするそれぞれの信号についてのゲイン調整を行う、
    ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
  3. 上記複数のA/D変換手段のうち、上記ゲイン調整手段によって最も小さなゲインが与えられるようにされたアナログ信号を入力するA/D変換手段を第1のA/D変換手段、最も大きなゲインが与えられるようにされたアナログ信号を入力するA/D変換手段を第2のA/D変換手段としたとき、
    上記信号処理手段は、
    上記第1のA/D変換手段を入力元とする信号の合成比率を上記第1のA/D変換手段からの入力信号に基づき制御し、上記第2のA/D変換手段を入力元とする信号の合成比率を上記第2のA/D変換手段からの入力信号に基づき制御する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
  4. 上記信号処理手段は、
    上記第1のA/D変換手段を入力元とする信号についての合成比率の制御として、上記第1のA/D変換手段からの入力信号のレベルが第1の閾値未満のときは合成比率の値を最小値とし、上記第1の閾値から該第1の閾値よりも大きな第2の閾値にかけては合成比率の値を徐々に最大値にまで上昇させ、上記第2の閾値よりも大となるときは合成比率の値を最大値とする制御を行い、
    上記第2のA/D変換手段を入力元とする信号についての合成比率の制御として、上記第2のA/D変換手段からの入力信号のレベルが第3の閾値未満のときは合成比率の値を最大値とし、上記第3の閾値から該第3の閾値よりも大きな第4の閾値にかけては合成比率の値を徐々に最小値にまで低下させ、上記第4の閾値よりも大となるときは合成比率の値を最小値とする制御を行う、
    ことを特徴とする請求項3に記載の信号処理装置。
  5. 上記信号処理手段は、
    上記複数のA/D変換手段のうちの少なくとも1つのA/D変換手段からの入力信号に基づき上記アナログ入力信号のレベルが所定閾値を超えるか否かを判定し、上記アナログ入力信号のレベルが上記所定閾値を超えるとした場合は、より小さなゲインが与えられるようにされたアナログ信号を入力するA/D変換手段からの入力信号を選択し、上記アナログ入力信号のレベルが上記所定閾値を超えないとした場合はより大きなゲインが与えられるようにされたアナログ信号を入力するA/D変換手段からの入力信号を選択すると共に、
    選択したA/D変換手段からの入力信号に基づいて上記アナログ入力信号についてのレベル検出を行って、上記アナログ入力信号のレベルの上昇/低下を判定し、該判定により上記アナログ入力信号のレベルが上昇したとされた場合は、該判定結果に応じて上記合成比率を変化させ、上記アナログ入力信号のレベルが低下したとされた場合には、所定時間長の経過を条件として上記合成比率を変化させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
  6. 上記信号処理手段は、
    信号レベルと合成比率との対応関係を定めたテーブル情報に基づき上記合成比率を制御する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
  7. 上記複数のA/D変換手段のうち、上記ゲイン調整手段によって最も小さなゲインが与えられるようにされたアナログ信号を入力するA/D変換手段を第1のA/D変換手段、最も大きなゲインが与えられるようにされたアナログ信号を入力するA/D変換手段を第2のA/D変換手段としたとき、
    上記信号処理手段は、
    上記第1のA/D変換手段からの入力信号レベル又は上記第2のA/D変換手段からの入力信号レベルが所定レベル以上となるときは、合成後の信号レベルが上記アナログ入力信号のレベルよりも抑制されるように制御を行う、
    ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
  8. 上記アナログ入力信号はマイクロフォンからの収音信号とされ、
    上記ゲイン調整手段は、上記マイクロフォンからの収音信号をそれぞれ入力して増幅する複数のマイクアンプを備えて構成されており、
    上記信号処理手段は、
    上記複数のA/D変換手段を入力元とするそれぞれの信号に対して、又はそれらの合成後の信号に対してノイズキャンセリングのための信号特性を与えるようにして信号処理を行う、
    ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
  9. 同一のアナログ入力信号から所定のゲイン差が与えられた複数系統のアナログ信号が得られるようにして上記アナログ入力信号に対するゲイン調整を行うゲイン調整手段と、
    それぞれが上記ゲイン調整手段で得られた複数系統のアナログ信号のうちの1つを入力してデジタル信号に変換する複数のA/D変換手段とを備えた信号処理装置における信号処理方法であって、
    上記複数のA/D変換手段からの入力信号に基づき決定した合成比率により、上記複数のA/D変換手段のそれぞれを入力元とする複数の信号を合成する、
    ことを特徴とする信号処理方法。
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