JP5470729B2 - 信号処理装置、信号処理方法 - Google Patents
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また、上記特許文献2には、その基本構成として、ヘッドフォン装置外筐に取り付けたマイクロフォンにより収音して得た音声信号について所定の伝達関数による特性を与えてヘッドフォン装置から出力させるようにした構成、つまりフィードフォワード方式に対応したノイズキャンセリングシステムの構成が記載されている。
現状において実用化されているノイズキャンセリングシステムでは、このようなノイズキャンセリングのためのフィルタ(NCフィルタ)としては、アナログ回路により実装するものとされている。
このとき、A/D変換器としてより高分解能なもの(例えば24bit程度)を用いれば、日常想定され得るノイズ音圧範囲に対応可能とすることができる。しかしながら、このように高分解能なA/D変換器は消費電力が大きく、また内部構成も複雑で高コストとなり、現実的な構成とは言えないものとなる。
すなわち、この特許文献3の発明では、同一入力信号について、一方はそのまま第1A/D変換器によるサンプリングを行い(第1デジタル信号)、他方は所要のゲイン(例えば24dB)を与えた上で第2A/D変換器によるサンプリングを行うようにしている(第2デジタル信号)。そして、デジタル領域において、上記第2A/D変換器への入力信号に与えたゲインが相殺されるようにして上記第2デジタル信号に対するゲイン調整(−24dB)を行うことで、ダイナミックレンジの拡大を図るようにしている。
このとき、ゲインを与えていない側の第1A/D変換器が大音圧側に対応可能なA/D変換器となり、ゲインを与えた側の第2A/D変換器が小音圧側に対応可能なA/D変換器となる。
具体的に、特許文献3の発明では、2つのA/D変換器からの入力信号をクロスフェード(合成)させて最終的な1つのサンプリング値を得るようにしている。より具体的には、ゲインを与えていない側(大音圧対応側)の第1A/D変換器からの入力信号レベルに応じて決定した合成比率により、第1A/D変換器、第2A/D変換器からの2つの入力信号を合成して最終的な1つのサンプリング値を得るようにしている。
しかしながら、特許文献3の発明では、第1A/D変換器、第2A/D変換器のうち、一方からの入力信号のレベルのみに基づいて合成比率を決定している。具体的には、ゲインを与えていない側(大音圧対応側)の第1A/D変換器からの入力信号レベルを見ている。このようにすれば、大音圧側のレベルは適正に検出できるが、その一方で小音圧側は量子化ノイズに埋もれてしまうことになるので、適正なレベル検出を行うことができないものとなる。
上述のように、特許文献3の発明ではこのようなレベル検出結果に基づき決定した合成比率によって第1A/D変換器、第2A/D変換器からの入力信号を合成して最終的なサンプリング値を得るようにされている。従って、このように適正なレベル検出を行うことができなくなってしまう場合には、合成処理も適正に行われなくなり、結果、入力信号のサンプリングを適正に行うことができなくなってしまう。
なお、逆に小音圧対応側の第2A/D変換器の入力信号レベルを見るとしても、大音圧側について適正なレベル検出を行うことができなくなるので、入力信号のサンプリングを適正に行うことはできない。
つまり、同一のアナログ入力信号から所定のゲイン差が与えられた複数系統のアナログ信号が得られるようにして上記アナログ入力信号に対するゲイン調整を行うゲイン調整手段を備える。
また、それぞれが上記ゲイン調整手段で得られる複数系統のアナログ信号のうちの1つを入力してデジタル信号に変換する複数のA/D変換手段を備える。
また、上記複数のA/D変換手段のそれぞれで得られたデジタル信号を入力し信号処理を行う信号処理手段であって、上記ゲイン調整手段によって与えられたゲイン差を相殺するようにして上記A/D変換手段を入力元とする信号についてのゲイン調整を行うと共に、上記複数のA/D変換手段からの入力信号に基づき決定した合成比率により、上記複数のA/D変換手段のそれぞれを入力元とする複数の信号を合成する信号処理手段を備える。
そして、上記複数のA/D変換手段のうち、上記ゲイン調整手段によって最も小さなゲインが与えられるようにされたアナログ信号を入力するA/D変換手段を第1のA/D変換手段、最も大きなゲインが与えられるようにされたアナログ信号を入力するA/D変換手段を第2のA/D変換手段としたとき、上記信号処理手段は、上記第1のA/D変換手段からの入力信号レベル又は上記第2のA/D変換手段からの入力信号レベルが所定レベル以上となるときは、合成後の信号レベルが上記アナログ入力信号のレベルよりも抑制されるように制御を行うものである。
これによれば、1つのA/D変換手段からの入力信号のみに基づいて合成比率を決定する従来手法のように、小レベル又は大レベルによるアナログ信号が入力された際に入力信号レベルの誤検出が生じ、誤った合成比率が決定されてしまうことの防止を図ることができる。
このように各信号の合成比率を正しく決定できることで、アナログ入力信号をデジタルサンプリングして信号処理を施す場合において、誤った処理結果が得られてしまうことを防止することができる。
実施の形態では、本発明の信号処理装置が、ヘッドフォン装置を接続可能に構成され、この信号処理装置とヘッドフォン装置とでノイズキャンセリングシステムが形成される場合を例に挙げる。以下では先ず、本実施の形態としてのシステムの構成を説明するのに先立ち、ノイズキャンセリングシステムの基本概念について説明を行っておく。
ノイズキャンセリングシステムの基本的な方式としては、フィードバック(FeedBack:FB)方式によりサーボ制御を行うようにされたものとフィードフォワード(FeedForward:FF)方式がそれぞれ知られている。先ず、図1により、FB方式について説明する。
ここでのヘッドフォン装置のRチャンネル側の構造としては、先ず、右耳に対応するハウジング部201内において、ヘッドフォン装置を装着したユーザ500の右耳に対応する位置にドライバ202を設けるようにされる。ドライバ202は振動板を備えたいわゆるスピーカと同義のものであり、音声信号の増幅出力により駆動(ドライブ)されることで音声を空間に放出するようにして出力するものである。
そして、マイクロフォン203によって収音して得られた音声信号から、例えば外部音声の音声信号成分に対して逆特性となる信号など、ハウジング内ノイズ302がキャンセル(減衰、低減)されるようにするための信号(キャンセル用オーディオ信号)を生成し、この信号について、ドライバ202を駆動する必要音の音声信号(オーディオ音源)に合成させるようにして帰還させる。これによりハウジング部201内における右耳に対応するとされる位置に設定されたノイズキャンセル点400においては、ドライバ201からの出力音声と外部音声の成分とが合成されることによって外部音声がキャンセルされた音が得られ、ユーザの右耳では、この音を聴き取ることになる。そして、このような構成を、Lチャンネル(左耳)側においても与えることで、通常のL,R2チャンネルステレオに対応するヘッドフォン装置としてのノイズキャンセリングシステムが得られることになる。
なお、このように音声信号Sにイコライジングを施すのは、FB方式では、ノイズ収音用のマイクロフォン203がハウジング部201内に設けられ、ノイズ音のみでなくドライバ202からの出力音声も収音されることに由来する。すなわち、このようにマイクロフォン203が音声信号Sの成分も収音することで、FB方式では音声信号Sに対しても伝達関数−βが与えられるものとなっており、このことで音声信号Sの音質劣化を招く虞がある。そこで、予め伝達関数−βによる音質劣化を抑制するために、イコライジングにより音声信号Sに所要の信号特性を与えるようにしているものである。
1<<|ADHMβ|
で表されることとと、古典制御理論におけるNyquistの安定性判別と合わせると、[式2]については下記のように解釈できる。
ここでは、図1(b)に示されるノイズキャンセリングシステムの系において、ハウジング内ノイズ302であるNに関わるループ部分を一箇所切断して得られる、(−ADHMβ)で表される系を考える。この系を、ここでは「オープンループ」ということにする。一例として、マイクロフォン及びマイクロフォンアンプに対応する伝達関数ブロック101と、FBフィルタ回路に対応する伝達関数ブロック102との間を切断すべき箇所とすれば、上記のオープンループを形成できる。
このオープンループを対象とした場合、Nyquistの安定性判別に基づき、[式2]を満足するためには、下記の2つの条件を満たす必要がある。
条件1:位相0deg.(0 度)の点を通過するとき、ゲインは0dBより小さくなくてはならない。
条件2:ゲインが0dB以上であるとき、位相0deg.の点を含んではいけない。
例えば図2にあっては、位相0deg.の点を通過するときのゲインとしては0dBより小さくなっており、これに応じてゲイン余裕Ga 、Gbが得られている。しかしながら、例えば仮に位相0deg.の点を通過するときのゲインが0dB以上となってゲイン余裕Ga 、Gbが無くなる、あるいは位相0deg.の点を通過するときのゲインが0dB未満であるものの、0dBに近く、ゲイン余裕Ga 、Gbが小さくなるような状態となると、発振を生じる、あるいは発振の可能性が増加することになる。
同様にして、図2にあっては、ゲインが0dB以上であるときには位相0deg.の点を通過しないようにされており、位相余裕Pa、Pbが得られている。しかしながら、例えばゲインが0dB以上であるときに位相0deg.の点を通過してしまっている。或いは、位相0deg.に近くなり位相余裕Pa、Pbが小さくなるような状態となると、発振を生じる、あるいは発振の可能性が増加することになる。
ここでは、必要音として、例えば楽曲などのコンテンツとしてのオーディオ音源の音声信号Sが示されている。
なお、この音声信号Sとしては、音楽的、又はこれに準ずる内容のもののほかにも考えられる。例えば、ノイズキャンセリングシステムを補聴器などに適用することとした場合には、周囲の必要音を収音するために筐体外部に設けられるマイクロフォン(ノイズキャンセルの系に備えられるマイクロフォン203とは異なる)により収音して得られた音声信号となる。また、いわゆるヘッドセットといわれるものに適用する場合には、電話通信などの通信により受信した相手方の話し声などの音声信号となる。つまり、音声信号Sとは、ヘッドフォン装置の用途などに応じて再生出力すべきことが必要となる音声一般に対応したものである。
図3(a)は、FF方式によるノイズキャンセリングシステムのモデル例として、先の図1(a)と同様にRチャンネルに対応する側の構成を示している。
FF方式では、ハウジング部201の外側に対して、ノイズ音源301から到達してくるとされる音声が収音できるようにしてマイクロフォン203を設けるようにされる。そして、このマイクロフォン203により収音した外部音声、つまりノイズ音源301から到達してきたとされる音声を収音して音声信号を得て、この音声信号について適切なフィルタリング処理を施して、キャンセル用オーディオ信号を生成するようにされる。そして、このキャンセル用オーディオ信号を、必要音の音声信号と合成する。つまり、マイクロフォン203の位置からドライバ202の位置までの音響特性を電気的に模擬したキャンセル用オーディオ信号を必要音の音声信号に対して合成するものである。
そして、このようにしてキャンセル用オーディオ信号と必要音の音声信号とが合成された音声信号をドライバ202から出力させることで、ノイズキャンセル点400において得られる音としては、ノイズ音源301からハウジング部201内に侵入してきた音がキャンセルされたものが聴こえるようになる。
先ず、ハウジング部201の外側に設けられるマイクロフォン203により収音される音は、マイクロフォン203及びマイクロフォンアンプに対応する伝達関数Mを有する伝達関数ブロック101を介した音声信号として得られる。
次に、上記伝達関数ブロック101を経由した音声信号は、FF(FeedForward)フィルタ回路に対応する伝達関数ブロック102(伝達関数−α)を介して合成器103に入力される。FFフィルタ回路102は、マイクロフォン203により収音して得られた音声信号から、上記したキャンセル用オーディオ信号を生成するための特性が設定されたフィルタ回路であり、その伝達関数が−αとして表されているものである。
合成器103により合成された音声信号は、パワーアンプにより増幅され、ドライバ202に駆動信号として出力されることで、ドライバ202から音声として出力されることになる。つまり、この場合にも、合成器103からの音声信号は、パワーアンプに対応する伝達関数ブロック104(伝達関数A)を経由し、さらにドライバ202に対応する伝達関数ブロック105(伝達関数D)を経由して音声として空間内に放出される。
そして、ドライバ202にて出力された音声は、ドライバ202からノイズキャンセル点400までの空間経路(空間伝達関数)に対応する伝達関数ブロック106(伝達関数H)を経由してノイズキャンセル点400に到達し、ここでハウジング内ノイズ302と空間で合成されることになる。
これにより、ノイズキャンセル点400から例えば右耳に到達するものとされる出力音の音圧Pとしては、ハウジング部201の外部から侵入してくるノイズ音源301の音がキャンセルされるものとなる。
また、確認のために述べておくと、[式6]は、ノイズ音源301から耳までの経路の伝達関数を、伝達関数−αを含めた電気回路にて模倣することを意味している。
このようなことから、一般的にFF方式は、発振する可能性が低く安定度は高いが、十分なノイズ減衰量(キャンセル量)を得るのは困難であるとされている。一方、FB方式は大きなノイズ減衰量が期待できる代わりに、系の安定性に注意が必要であるとされている。このように、FB方式とFF方式とでは、それぞれに特徴を有するものである。
[信号処理装置の構成]
図4は、本発明の第1の実施の形態としての信号処理装置1の内部構成を示したブロック図である。なおこの図4では、信号処理装置1と接続されるヘッドフォン2の内部構成も併せて示している。
図示するようにヘッドフォン2には、オーディオ入力端子T-AinとドライバDRVとが備えられる。オーディオ入力端子T-Ainには、信号処理装置1と接続されたときに該信号処理装置1に設けられたオーディオ出力端子T-Aoutから出力されるオーディオ信号(駆動信号)が入力される。
ドライバDRVは、上記オーディオ入力端子T-Ainを介して入力されるオーディオ信号に応じて、内部の振動板を駆動して音声出力(音響再生)を行う。
また、ヘッドフォン2がFF方式に対応するヘッドフォン装置である場合、上記ドライバDRVは、ハウジング部において外向きに設けられる。つまり、ハウジング部の外界で生じる音を収音するようにして設けられる。
信号処理装置1は、ノイズキャンセリング処理として、ヘッドフォン2を装着したユーザにノイズ音がキャンセルされたものとして知覚させるようにするための信号処理を行う。
図示するように信号処理装置1には、上述したオーディオ出力端子T-Aout、マイク入力端子T-Min、第1マイクアンプ3A、第2マイクアンプ3Bと共に、第1A/D変換器4A、第2A/D変換器4B、DSP(Digital Signal Processor)5、D/A変換器6、パワーアンプ7、メモリ8が設けられる。
また、第2マイクアンプ3Bは、マイク入力端子T-Minを介して入力される収音信号を所定ゲインにより増幅して第2A/D変換器4Bに出力する。
ここで、本例において、第1マイクアンプ3Aにより収音信号に与えるゲインは「+10dB」であるとする。一方、第2マイクアンプ3Bによって収音信号に与えるゲインは「+22dB」であるとする。これにより、収音信号としての同一アナログ入力信号に対しては、12dBによるゲイン差が与えられるようにしてゲイン調整が為される。
また、第2A/D変換器4Bは、上記第2マイクアンプ3Bを介して入力される収音信号をデジタル信号に変換する。
本例において、これら第1A/D変換器4A及び第2A/D変換器4Bの量子化ビット数(分解能:ダイナミックレンジ)は、図示するように16bitであるとする。
具体的に、DSP5は、上述した第1A/D変換器4Aの出力信号、及び第2A/D変換器4Bの出力信号に基づき、図中の小ゲイン側ミクス比制御部10、大ゲイン側ミクス比制御部15、乗算部11、第1ミクス比率乗算部12、第2ミクス比率乗算部13、及び加算部14としての機能動作により、実施の形態としてのダイナミックレンジ拡大処理を実現する。なお、このような実施の形態としてのダイナミックレンジ拡大処理の内容については後に改めて説明する。
ここで、以下の説明において、DSP5の分解能は24bitであるとする。
また、図中のNC(ノイズキャンセリング)フィルタ16として示す機能動作として、後述するように加算部14で得られることになる、収音信号の最終的なサンプリング値(収音データ)に対し、ノイズキャンセリングのための信号特性を与える。このNCフィルタ16としても、例えばFIRフィルタなどで構成することができる。
さらに、図中の加算部18として示す機能動作として、上述したイコライザ17により処理されたオーディオデータと、上記NCフィルタ16により処理された収音データとを加算する。この加算部18としての加算処理により得られるデータを加算データと呼ぶ。該加算データは、上記NCフィルタ16によりノイズキャンセリングのための信号特性が与えられた収音データが加算されたものとなる。従って、該加算データに基づく音声出力(音響再生)が信号処理装置1と接続されたヘッドフォン2にて行われることで、該ヘッドフォン2を装着したユーザに、ノイズ成分がキャンセルされたものとして知覚させることができる。
或いは、信号処理装置1が、例えば携帯電話機の通話音声についてノイズキャンセリングを行う装置に適用される場合には、上記通話音声としてのオーディオデータを入力することになる。
何れにしても、上記イコライザ17に入力するオーディオデータとしては、ヘッドフォン2を装着したユーザに聴取させるべきとされたオーディオデータを入力するものとすればよい。
先の説明によれば、FF方式の場合にはオーディオデータに対するイコライジングは必須とはならないが、FF方式に対応するヘッドフォン2が接続された場合、上記イコライザ17としては、例えば単に所要のイコライジング処理を行うものとして機能するものと考えればよい。
続いて、ダイナミックレンジの拡大処理について説明する。
ここで、以下では便宜上、DSP5内における各機能ブロックをハードウエアとして扱うようにして説明を行うが、先にも述べたように、これら各機能ブロックとして示す動作はDSP5のデジタル信号処理によって実現されるものである。
図示するように、上記第1ミクス比率制御部12によって係数が与えられた第1信号は、加算部14に対して供給される。
上記第2ミクス比率乗算部13は、第2信号に対して、大ゲイン側ミクス比制御部15から与えられる係数を乗算する。
大ゲイン側ミクス比制御部15は、第2A/D変換器4Bから入力した第2信号のレベル(絶対値)を検出すると共に、該レベル検出結果に基づき決定した係数を、上記第2ミクス比率乗算部13に対して与える。
第2ミクス比率乗算部13によって係数が与えられた第2信号は、加算部14に対して供給される。
なお、上述した第1信号側と同様に、以下では上記第2ミクス比率乗算部13が第2信号側に与える係数を、「Gain-B」とも称する。上記構成によれば、第2信号に与えられるGain-Bは第2信号のレベル検出結果に基づき制御されるものとなる。
加算部14で得られた第1信号と第2信号の合成信号は、先に説明したNCフィルタ16に供給され、ノイズキャンセリングのためのフィルタ処理が施される。
図5は、ダイナミックレンジの拡大について説明するための図として、図5(a)では第1A/D変換器4A、第2A/D変換器4Bのそれぞれで得られるサンプリング値の関係を示し、図5(b)では、デジタル領域でゲイン差を相殺したときの第1A/D変換器4A、第2A/D変換器4Bのサンプリング値の関係を示している。
同様にして、第1A/D変換器4Aのダイナミックレンジの下限としても第2A/D変換器4Bのダイナミックレンジの下限よりも12dB高められる。つまり、下限側については、第2A/D変換器4Bのダイナミックレンジの方が12dB分拡大されるようになる。
これらのことから、第1A/D変換器4Aのダイナミックレンジと、第2A/D変換器4Bのダイナミックレンジとを併せた、総合的なダイナミックレンジとしては、第1A/D変換器4A単体、又は第2A/D変換器4B単体とする場合よりも拡大されることが分かる。
すなわち、第2A/D変換器4B単体ではクリップしてしまうようなレベルの収音信号が入力された場合にも、第1A/D変換器4Aでは正しくサンプリング値を得ることが可能となり、逆に、第1A/D変換器4A単体では量子化ノイズに埋もれてしまうような低いレベルの収音信号が入力された場合にも、第2A/D変換器4Bでは正しくサンプリング値を得ることができるものである。
例えば、図6(a)に示されるように、同一の音圧として、比較的大音圧が収音された場合には、その収音信号を、小ゲイン側の第1A/D変換器4Aではダイナミックレンジ内において適正にサンプリングすることができるが、大ゲイン側の第2A/D変換器4Bでは収音信号がダイナミックレンジの上限をオーバーしてクリップ状態となる。
なお、この関係からも分かるように、第2A/D変換器4B側おいて、収音信号レベルがどの程度オーバーしているかは、当該第2A/D変換器4Bからの出力では不明であり、第1A/D変換器4A側のサンプリング値を参照しなければならないことになる。
つまり、第1A/D変換器4A側おいて、収音信号レベルがどの程度下回っているかは第1A/D変換器4Aの出力では不明であり、第2A/D変換器4B側のサンプリング値を参照しなければない。
この点に鑑み、本例においては、第1A/D変換器4Aを入力元とする第1信号と第2A/D変換器4Bを入力元とする第2信号とを合成するにあたり、第1信号側に与えるGain-Aと第2信号側に与えるGain-Bの制御を、次の図7に示されるような制御特性に基づき行うものとしている。
先ず、図7(a)に示される小ゲイン側ミクス比制御部10の制御特性としては、おおまかに、第1A/D変換器4Aの出力に基づく第1信号のレベル(絶対値)が大きいときは、第1信号に与えるGain-Aも大きくし、第1信号のレベルが小さいときはGain-Aも小さくする制御を行うようにされる。
具体的にこの場合は、第1信号のレベルが0レベルから所定の第1閾値未満の範囲ではGain-Aを最小値とし、この第1閾値から該第1閾値よりも大となる第2閾値未満の範囲では、Gain-Aを徐々に最大値まで上昇させ、第2閾値以上の範囲ではGain-Aを最大値とするようにされている。
具体的には、第2信号のレベルが0レベルから所定の第3閾値未満の範囲ではGain-Bを最大値とし、この第3閾値から該第3閾値よりも大となる第4閾値未満の範囲では、Gain-Bを徐々に最小値まで低下させ、第4閾値以上の範囲ではGain-Bを最小値とするものである。
このようにGain-AとGain-Bとの和が「1」となるようにされていることで、合成後の信号レベルが、元の収音信号のレベルから変化してしまうことの防止が図られる。
図7では、第1閾値と第3閾値、第2閾値と第4閾値とがそれぞれ同値であるように示しているが、このような関係が得られるようにするためには、何れか一方のミクス比制御部(10又は15)において、検出レベルを12dB分だけオフセットさせるものとすればよい。これにより、第1閾値・第3閾値、第2閾値・第4閾値をそれぞれ同値に揃えることができ、Gain-AとGain-Bの和が常に「1」となるように制御を行うことができる。
このようなミクス処理によって元の入力収音信号についての最終的なサンプリング値を得るようにしたことで、正確なサンプリングを実現しつつ、先の図5(b)にて総合的なダイナミックレンジとして示したように、第1A/D変換器4A又は第2A/D変換器4B単体とする場合よりもダイナミックレンジの拡大を図ることができる。
ここで、16bit程度のダイナミックレンジによるA/D変換器を単体で用いた場合、大きい音圧(例えば130dBSPL=ジェットエンジン相当)側に合わせてマイクゲインを設定した場合には、小さい音圧(例えば30dBSPL=深夜の郊外音相当)の環境下では、A/D変換器の分解能以下、すなわち量子化ノイズに埋もれてしまい、この結果、ノイズをキャンセルするどころか、ユーザに量子化ノイズを聞かせるといった状況に陥る虞がある。また、逆に、小さい音圧側に合わせると、大きな音圧の環境下においてA/D変換器がクリップし易く、結果、キャンセルされるべき音(実際のノイズ)とクリップしたキャンセル音との波形の違いが大きくなり、これが誤差ノイズとして異音の発生を助長する。
上記のようにして本実施の形態によれば、ダイナミックレンジは、A/D変換器4を単体で用いる場合よりも拡大することができる。よって、比較的広範な現実のノイズ環境下に対応してノイズキャンセルを適正に行うことができる。
本実施の形態によれば、A/D変換器としては例えば16bit程度の一般的に流通しているものを用いることができる。この点で、より現実的な構成で現実のノイズ環境下に対応可能なノイズキャンセリングシステムを実現することができる。
ここで、A/D変換器4Aの出力信号とA/D変換器4Bの出力信号とは、理想的には、マイクゲインの差である12dB分の差を有するものとなっているので、12dB分の補正を行えばデジタル領域にて同値が得られることが期待できる。但し、実際においては、マイクアンプ3やA/D変換器4の内部素子のばらつきなどに起因して、各信号のレベルは異なる場合がある。このため、単純に各信号を切り換えて出力する構成とした場合には、切り換え時に、このレベル差に伴う異音が発生する虞がある。
これに対し、本例のように各信号を合成する手法を採るものとすれば、上記レベル差に起因して生じる異音を効果的に軽減することができる。
ここで、これまでの説明からも理解されるように、本例においては、大音圧入力時に対応しては、第1信号に与えるGain-Aを大きくするようにしている。このとき、例えば仮に、第2A/D変換器4Bからの第2信号のレベル検出結果に基づき第1信号のGain-Aを制御するとした場合には、大音圧入力に伴うクリップによって誤ったGain-Aの値が決定されてしまうことになる。上記もしているように、Gain-Aとしては大音圧側で大きな値を設定するので、このように誤った値が設定されてしまった場合には、その分、合成信号としての最終的なサンプリング値に与えられる影響も大きくなってしまう。
本例のように第1信号についてのGain-Aを第1信号のレベル検出結果に基づき行うものとすれば、大音圧側においても適正なレベル検出を行うことができるので、適正なGain-Aを設定して合成処理を行うことができる。すなわち、最終的なサンプリング値としても正しい値を得ることができる。
続いて、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、入力信号レベルの変化に応じて即座にGain-A、Gain-Bを変更するのではなく、所定の時間長の経過も条件としてGain-A、Gain-Bを変化させるようにしたものである。
図8は、第2の実施の形態としての信号処理装置20の内部構成を示した図である。この図8においても、ヘッドフォン2の内部構成を併せて示している。
なお、以下の説明において、既に説明済みの部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
その上で、この場合のDSP5は、上記乗算部13によりゲイン差が相殺された後の第1信号と、第2A/D変換器4Bからの第2信号とを入力する選択部21と、該選択部21の出力に基づき上記第1ミクス比率乗算部12に与える係数(Gain-A)、及び上記第2ミクス比率乗算部15に与える係数(Gain-B)を制御するミクス比制御部22としての機能ブロックを有する。
図のように、モード閾値Mthとしては、入力信号レベルが大きい側から順にMth1→MthN-1の順で設定されており、Mix比率モードとしては、入力信号レベルが大きい側から順にMixMode1→MixModeNの順でN個設定されている。
なお、この場合としても各Mix比率モードでは、Gain-Aの値とGain-Bの値との和が「1」となるように各Gainの値の組み合わせが設定される。
具体的に、この場合は、図9に示されるような所定の閾値D-thを定めておき、入力信号レベルが該閾値D-thを超えるとされる場合は、第1信号を選択してそのレベル検出結果を入力信号レベルの検出結果とする。一方、入力信号レベルが上記閾値D-th以下とされる場合には、第2信号を選択してそのレベル検出結果を入力信号レベルの検出結果とする。
このようにすることで、先の第1の実施の形態の場合と同様の主旨により、大音圧入力時に第2信号によるレベル検出が行われて適正なレベル検出を行うことができなくなってしまうといった問題、及び小音圧入力時に第1信号によるレベル検出が行われて適正なレベル検出を行うことができなくなってしまうといった問題が生じないようにできる。
先ず、上記閾値D-thに基づく入力信号レベルの検出は、選択部21により行う。
選択部21は、乗算部11から入力した第1信号(12dBのゲインアップ済)と、A/D変換器4Bから入力した第2信号のレベル(絶対値)検出を行う。そして、検出された第2信号のレベルを参照し、該第2信号のレベルが予め設定された上記閾値D-thを超えるか否かを判別する。この判別の結果、第2信号のレベルが上記閾値D-thを超えるとした場合は、第1信号のレベル検出結果を、入力信号レベルの検出結果としてミクス比制御部22に出力する。
一方、第2信号のレベルが上記閾値D-thを超えないと判別した場合は、該第2信号のレベル検出結果を、入力信号レベルの検出結果としてミクス比制御部22に出力する。
このような選択部21の動作により、入力信号レベルが閾値D-thを超えるとされる場合は第1信号のレベル検出結果を入力信号レベルの検出結果とし、入力信号レベルが閾値D-th以下とされる場合には第2信号のレベル検出結果を入力信号レベルの検出結果とするように選択動作が行われる。
図示は省略したが、この場合のメモリ8に対しては、先の図10に示したようなデータ構造を有するモード/Mix比率テーブル情報が格納されており、ミクス比制御部22は、該モード/Mix比率テーブル情報に基づき、上記決定したMix比率モードに応じたGain-A、Gain-Bとしての係数の値を取得する。
ここで、毎サンプルごとの値の変化に応じてMix比率モードが変更されてしまった場合には、例えば素子ばらつきなどにより音質が不安定となってしまう可能性がある。一方で、外部音圧が大きくなる方向(クリップ)には、即座に対応できるのが望ましいものとなる。
これらの点から、第2の実施の形態においては、入力信号レベルが上昇傾向にある場合には、モード閾値Mthを超えたことに応じて即座にMix比率モードを上のモード(より番号の小さいモード)に変更すると共に、入力信号レベルが低下傾向にある場合には、モード閾値Mthを下回ったことと、さらに所定時間長の経過とを条件としてMix比率モードを下のモード(より番号の大きいモード)に変更するものとしている。
図11は、主に選択部21としての機能動作を実現するための処理手順を示している。
図11において、先ずステップS101では、第2A/D変換器4Bの出力値Sを取得する。すなわち、第2信号の値「S」を取得する。
そして、続くステップS102では、第2信号の値Sの絶対値が閾値D-thを超えるか否かについて判別する。値Sの絶対値が上記閾値D-thを超えるとして肯定結果が得られた場合は、ステップS103に進んで第1A/D変換器4A側からの入力値を選択する。すなわち、乗算部11としての機能動作によって+12dBによるゲインを与えた第1信号を選択する。
一方、値Sの絶対値が上記閾値D-thを超えてはいないとして否定結果が得られた場合は、ステップS104に進み第2A/D変換器4B側からの入力値(第2信号)を選択する。
上記ステップS103又はステップS104の処理を実行すると、図示するように「RETURN」となる。
先ず、ステップS201では、mm=N、cnt=0に設定する。ここで、「mm」は現モードの番号(設定されるMix比率モードの番号)を表し、「cnt」はカウンタ用変数を表す。なお、このステップS201で設定されるmmの値(N)からも理解されるように、初期状態では、先ずは最低レンジに対応するMixModeNが設定されることになる。
このステップS203において、S_abs>Mth_mm-1であり現モードの閾値を超えたとして肯定結果が得られた場合は、ステップS204に進んでmm←(mm-1)、cnt=0とする。すなわち、モードを1つ上げると共に、カウンタをリセットする。そしてその後、上述したステップS202に戻るようにされる。
このようにして、入力信号レベルの上昇側については、閾値を超えたことに応じて即座にMix比率モードが上のモードに変更されるようになっている。
ステップS205では、S_abs<Mt_mmであるか否かを判別する。つまり、絶対値S_absが、現モードの番号によるモード閾値Mth(現モードの下限側のモード閾値Mth)を下回ったか否かを判別する。
ステップS205において、S_abs<Mth_mmであり現モードの閾値を下回ったとして肯定結果が得られた場合は、ステップS206に進んでcnt←cnt+1とする。すなわち、現モードの閾値を下回った場合は、先ずはカウンタの値を1つカウントアップするようにされる。
上記ステップS207において、cnt>cnt_timeではないとして否定結果が得られた場合は、図示するようにして先のステップS202に戻るようにされる。つまり、カウント値が上記規定値に満たない場合は、以下で説明するステップS208によるモード変更は行われないものとなっている。
このステップS208の処理を実行すると、上述したステップS202に戻るようにされる。
ここで、上記ステップS205において否定結果が得られるのは、取得した絶対値S(入力信号レベル)が現モードのレンジ内にある場合である。第2の実施の形態では、このように入力信号レベルが現モードのレンジ内にある場合にカウント値をリセットすることで、1つ下のモードへの変更を、入力信号レベルが現モードのレンジを下回った状態が所定時間長継続したことを条件として行うようにしているものである。
第3の実施の形態は、これまでの各実施の形態のように大音圧側では第1信号の比率を大きくし、小音圧側では第2信号の比率を大きくするという制御を踏襲した上で、過大な音圧の入力時には、合成後の信号レベルが入力信号レベルよりも抑制されるようにコンプレス処理を行うものである。
この信号処理装置25では、DSP5がメモリ8内に格納される信号処理プログラム8cに基づくデジタル信号処理を実行するようにされることで、先の第1の実施の形態の場合のDSP5の機能動作に若干の変更が加えられる。
具体的に、機能ブロックの比較では、乗算部11に代えて乗算部26が、また小ゲイン側ミクス比制御部10に代えて小ゲイン側ミクス比制御部27が、また大ゲイン側ミクス比制御部15に代えて大ゲイン側ミクス比制御部28が設けられることになる。
この場合、上記乗算部26は、上記小ゲイン側ミクス比制御部27から与えられる係数(つまり指示されたゲイン)を第1A/D変換器4Aからの入力信号に対して与える。小ゲイン側ミクス比制御部27は、第1A/D変換器4Aからの入力信号のレベル(絶対値)検出を行い、その検出レベルに応じた係数を乗算部26と第1ミクス比率乗算部12にそれぞれ与える。
また、大ゲイン側ミクス比制御部28は、第2A/D変換器4Bからの入力信号のレベル(絶対値)検出を行い、その検出レベルに応じた係数を第2ミクス比率乗算部13に与える。
この図14(a)においては、比較として、第1の実施の形態の場合のGain-Aの制御特性を破線により示しているが、この破線による特性と対比して分かるように、この場合のGain-Aの制御特性では、第1信号(A/D変換器4A側)の検出レベルが或る程度大きくなった場合には、第1の実施の形態の場合よりも低いゲインを設定するようにされる。
このような事情に鑑みると、上記のような第3の実施の形態としてのレベル抑制処理によっては、このような過大ノイズの入力時の素子破壊を効果的に防止できることになる。
ここで、基本的に合成時の比率設定として、大音圧入力時には、第2信号の比率は元々小さくなるようにされている。従って、抑制対象は大音圧側にて比率の大きくなる第1信号側のみとし、第2信号側については第1の実施の形態の場合と同様の特性を設定するなど、特段の抑制処理は行わないようにしてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、A/D変換器4のダイナミックレンジが16bit、DSP5のダイナミックレンジが24bitとされる場合を例示したが、これらの数値はあくまで一例を示したものに過ぎず、特に限定されるべきものではない。
具体的に、この場合のDSP5は、乗算部11でゲイン差が相殺され第1信号に対して、NCフィルタ16Aによりノイズキャンセリングのためのフィルタ処理を施す。また、第2信号側については、第2A/D変換器4Bからの入力信号に対し、NCフィルタ16Bによりノイズキャンセリングのためのフィルタ処理を施す。
そして、上記NCフィルタ16Aによるフィルタ処理が施された第1信号については、第1ミクス比率乗算部12・小ゲイン側ミクス比制御部10によりそのゲイン(Gain-A)を制御する。同様に、上記NCフィルタ16Bによるフィルタ処理が施された第2信号については、第2ミクス比率乗算部13・小ゲイン側ミクス比制御部15によりそのゲイン(Gain-B)を制御し、制御後の第1信号・第2信号を加算部14で加算する。
ここで、A/D変換器4を3つ以上とする場合は、各A/D変換器4からの3系統以上の信号が得られるので、これらを1つに合成して最終的なサンプリング値(或いは図15のように合成前にフィルタ処理を施す場合はフィルタ処理後の各信号を合成することになる)を得るもとすればよい。
この場合としても、各信号の比率の設定(決定)にあたっては、少なくとも1つのA/D変換器4からの入力信号レベルのみに基づく比率設定を行うのではなく、複数のA/D変換器4からの入力信号レベルに基づき比率設定を行うことで、合成後に得られる最終的なサンプリング値(或いは信号処理自体の結果)を正しく得ることができる。
Claims (7)
- 同一のアナログ入力信号から所定のゲイン差が与えられた複数系統のアナログ信号が得られるようにして上記アナログ入力信号に対するゲイン調整を行うゲイン調整手段と、
それぞれが上記ゲイン調整手段で得られた複数系統のアナログ信号のうちの1つを入力してデジタル信号に変換する複数のA/D変換手段と、
上記複数のA/D変換手段のそれぞれで得られたデジタル信号を入力し信号処理を行う信号処理手段であって、上記ゲイン調整手段によって与えられたゲイン差を相殺するようにして上記A/D変換手段を入力元とする信号についてのゲイン調整を行うと共に、上記複数のA/D変換手段からの入力信号に基づき決定した合成比率により、上記複数のA/D変換手段のそれぞれを入力元とする複数の信号を合成する信号処理手段とを備え、
上記複数のA/D変換手段のうち、上記ゲイン調整手段によって最も小さなゲインが与えられるようにされたアナログ信号を入力するA/D変換手段を第1のA/D変換手段、最も大きなゲインが与えられるようにされたアナログ信号を入力するA/D変換手段を第2のA/D変換手段としたとき、
上記信号処理手段は、上記第1のA/D変換手段からの入力信号レベル又は上記第2のA/D変換手段からの入力信号レベルが所定レベル以上となるときは、合成後の信号レベルが上記アナログ入力信号のレベルよりも抑制されるように制御を行う、
ことを特徴とする信号処理装置。 - 上記信号処理手段は、
上記第1のA/D変換手段を入力元とする信号の合成比率を上記第1のA/D変換手段からの入力信号に基づき制御し、上記第2のA/D変換手段を入力元とする信号の合成比率を上記第2のA/D変換手段からの入力信号に基づき制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。 - 上記信号処理手段は、
上記第1のA/D変換手段を入力元とする信号についての合成比率の制御として、上記第1のA/D変換手段からの入力信号のレベルが第1の閾値未満のときは合成比率の値を最小値とし、上記第1の閾値から該第1の閾値よりも大きな第2の閾値にかけては合成比率の値を徐々に最大値にまで上昇させ、上記第2の閾値よりも大となるときは合成比率の値を最大値とする制御を行い、
上記第2のA/D変換手段を入力元とする信号についての合成比率の制御として、上記第2のA/D変換手段からの入力信号のレベルが第3の閾値未満のときは合成比率の値を最大値とし、上記第3の閾値から該第3の閾値よりも大きな第4の閾値にかけては合成比率の値を徐々に最小値にまで低下させ、上記第4の閾値よりも大となるときは合成比率の値を最小値とする制御を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。 - 上記信号処理手段は、
上記複数のA/D変換手段のうちの少なくとも1つのA/D変換手段からの入力信号に基づき上記アナログ入力信号のレベルが所定閾値を超えるか否かを判定し、上記アナログ入力信号のレベルが上記所定閾値を超えるとした場合は、より小さなゲインが与えられるようにされたアナログ信号を入力するA/D変換手段からの入力信号を選択し、上記アナログ入力信号のレベルが上記所定閾値を超えないとした場合はより大きなゲインが与えられるようにされたアナログ信号を入力するA/D変換手段からの入力信号を選択すると共に、
選択したA/D変換手段からの入力信号に基づいて上記アナログ入力信号についてのレベル検出を行って、上記アナログ入力信号のレベルの上昇/低下を判定し、該判定により上記アナログ入力信号のレベルが上昇したとされた場合は、該判定結果に応じて上記合成比率を変化させ、上記アナログ入力信号のレベルが低下したとされた場合には、所定時間長の経過を条件として上記合成比率を変化させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。 - 上記信号処理手段は、
信号レベルと合成比率との対応関係を定めたテーブル情報に基づき上記合成比率を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。 - 上記アナログ入力信号はマイクロフォンからの収音信号とされ、
上記ゲイン調整手段は、上記マイクロフォンからの収音信号をそれぞれ入力して増幅する複数のマイクアンプを備えて構成されており、
上記信号処理手段は、
上記複数のA/D変換手段を入力元とするそれぞれの信号に対して、又はそれらの合成後の信号に対してノイズキャンセリングのための信号特性を与えるようにして信号処理を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。 - 同一のアナログ入力信号から所定のゲイン差が与えられた複数系統のアナログ信号が得られるようにして上記アナログ入力信号に対するゲイン調整を行うゲイン調整手段と、それぞれが上記ゲイン調整手段で得られた複数系統のアナログ信号のうちの1つを入力してデジタル信号に変換する複数のA/D変換手段とを備えた信号処理装置における信号処理方法であって、
上記ゲイン調整手段によって与えられたゲイン差を相殺するようにして上記A/D変換手段を入力元とする信号についてのゲイン調整を行うと共に、上記複数のA/D変換手段からの入力信号に基づき決定した合成比率により、上記複数のA/D変換手段のそれぞれを入力元とする複数の信号を合成すると共に、
上記複数のA/D変換手段のうち、上記ゲイン調整手段によって最も小さなゲインが与えられるようにされたアナログ信号を入力するA/D変換手段を第1のA/D変換手段、最も大きなゲインが与えられるようにされたアナログ信号を入力するA/D変換手段を第2のA/D変換手段としたとき、
上記第1のA/D変換手段からの入力信号レベル又は上記第2のA/D変換手段からの入力信号レベルが所定レベル以上となるときは、合成後の信号レベルが上記アナログ入力信号のレベルよりも抑制されるように制御を行う、
ことを特徴とする信号処理方法。
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