JP5353044B2 - 信号処理装置、信号処理方法 - Google Patents
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Description
また、上記特許文献2には、その基本構成として、ヘッドフォン装置外筐に取り付けたマイクロフォンにより収音して得た音声信号について所定の伝達関数による特性を与えてヘッドフォン装置から出力させるようにした構成、つまりフィードフォワード方式に対応したノイズキャンセリングシステムの構成が記載されている。
このような現状の手法によると、上記のようにNCフィルタをデジタルフィルタで構成する場合には、可変設定されるべきノイズキャンセリングモードの数と同数のフィルタ特性情報(フィルタ構成やフィルタ係数を表すパラメータ情報)を保持メモリに対して格納しておく必要がある。
このことからも理解されるように、ノイズキャンセリングモードとフィルタ特性とを1対1で対応させている現状の手法は、記憶資源を浪費する傾向があり、その改善が望まれるものとなる。
つまり、それぞれがマイクロフォンによる収音動作に基づき得られた収音信号を入力し個別にノイズキャンセリングのためのフィルタ処理特性によるフィルタ処理を施すことで、上記収音信号にそれぞれ異なる信号特性を与える複数のフィルタ処理手段を備える。
また、設定された合成比率により上記複数のフィルタ処理手段からのフィルタ処理出力を合成する合成手段を備える。
さらに、ノイズキャンセリングモードを切り替えるべき状態となったことに応じ、上記合成手段による合成比率を、複数の上記フィルタ処理出力の比率が0以外の比率となるまで時変的に変化させる制御手段を備えるようにした。
また、これと共に、ノイズキャンセリングモードの切り替えに伴うユーザの違和感の低減を図ることのできる優れたノイズキャンセリングシステムを実現することができる。
先ずは、本実施の形態としての構成を説明するのに先立ち、ノイズキャンセリングシステムの基本概念について説明を行っておく。
ノイズキャンセリングシステムの基本的な方式としては、フィードバック(FeedBack:FB)方式によりサーボ制御を行うようにされたものと、フィードフォワード(FeedForward:FF)方式とがそれぞれ知られている。先ず、図1により、FB方式について説明する。
ここでのヘッドフォン装置のRチャンネル側の構造としては、先ず、右耳に対応するハウジング部201内において、ヘッドフォン装置を装着したユーザ500の右耳に対応する位置にドライバ202を設けるようにされる。ドライバ202は振動板を備えたいわゆるスピーカと同義のものであり、音声信号の増幅出力により駆動(ドライブ)されることで音声を空間に放出するようにして出力するものである。
そして、マイクロフォン203によって収音して得られた音声信号から、例えば外部音声の音声信号成分に対して逆特性となる信号など、ハウジング内ノイズ302がキャンセル(減衰、低減)されるようにするための信号(キャンセル用オーディオ信号)を生成し、この信号について、ドライバ202を駆動する必要音の音声信号(オーディオ音源)に合成させるようにして帰還させる。これによりハウジング部201内における右耳に対応するとされる位置に設定されたノイズキャンセル点400においては、ドライバ201からの出力音声と外部音声の成分とが合成されることによって外部音声がキャンセルされた音が得られ、ユーザの右耳では、この音を聴き取ることになる。そして、このような構成を、Lチャンネル(左耳)側においても与えることで、通常のL,R2チャンネルステレオに対応するヘッドフォン装置としてのノイズキャンセリングシステムが得られることになる。
なお、このように音声信号Sにイコライジングを施すのは、FB方式では、ノイズ収音用のマイクロフォン203がハウジング部201内に設けられ、ノイズ音のみでなくドライバ202からの出力音声も収音されることに由来する。すなわち、このようにマイクロフォン203が音声信号Sの成分も収音することで、FB方式では音声信号Sに対しても伝達関数−βが与えられるものとなっており、このことで音声信号Sの音質劣化を招くこと虞がある。そこで、予め伝達関数−βによる音質劣化を抑制するために、イコライジングにより音声信号Sに所要の信号特性を与えるようにしているものである。
1<<|ADHMβ|
で表されることとと、古典制御理論におけるNyquistの安定性判別と合わせると、[式2]については下記のように解釈できる。
ここでは、図1(b)に示されるノイズキャンセリングシステムの系において、ハウジング内ノイズ302であるNに関わるループ部分を一箇所切断して得られる、(−ADHMβ)で表される系を考える。この系を、ここでは「オープンループ」ということにする。一例として、マイクロフォン及びマイクロフォンアンプに対応する伝達関数ブロック101と、FBフィルタ回路に対応する伝達関数ブロック102との間を切断すべき箇所とすれば、上記のオープンループを形成できる。
このオープンループを対象とした場合、Nyquistの安定性判別に基づき、[式2]を満足するためには、下記の2つの条件を満たす必要がある。
条件1:位相0deg.(0 度)の点を通過するとき、ゲインは0dBより小さくなくてはならない。
条件2:ゲインが0dB以上であるとき、位相0deg.の点を含んではいけない。
例えば図2にあっては、位相0deg.の点を通過するときのゲインとしては0dBより小さくなっており、これに応じてゲイン余裕Ga 、Gbが得られている。しかしながら、例えば仮に位相0deg.の点を通過するときのゲインが0dB以上となってゲイン余裕Ga 、Gbが無くなる、あるいは位相0deg.の点を通過するときのゲインが0dB未満であるものの、0dBに近く、ゲイン余裕Ga 、Gbが小さくなるような状態となると、発振を生じる、あるいは発振の可能性が増加することになる。
同様にして、図2にあっては、ゲインが0dB以上であるときには位相0deg.の点を通過しないようにされており、位相余裕Pa、Pbが得られている。しかしながら、例えばゲインが0dB以上であるときに位相0deg.の点を通過してしまっている。或いは、位相0deg.に近くなり位相余裕Pa、Pbが小さくなるような状態となると、発振を生じる、あるいは発振の可能性が増加することになる。
ここでは、必要音として、例えば楽曲などのコンテンツとしてのオーディオ音源の音声信号Sが示されている。
なお、この音声信号Sとしては、音楽的、又はこれに準ずる内容のもののほかにも考えられる。例えば、ノイズキャンセリングシステムを補聴器などに適用することとした場合には、周囲の必要音を収音するために筐体外部に設けられるマイクロフォン(ノイズキャンセルの系に備えられるマイクロフォン203とは異なる)により収音して得られた音声信号となる。また、いわゆるヘッドセットといわれるものに適用する場合には、電話通信などの通信により受信した相手方の話し声などの音声信号となる。つまり、音声信号Sとは、ヘッドフォン装置の用途などに応じて再生出力すべきことが必要となる音声一般に対応したものである。
図3(a)は、FF方式によるノイズキャンセリングシステムのモデル例として、先の図1(a)と同様にRチャンネルに対応する側の構成を示している。
FF方式では、ハウジング部201の外側に対して、ノイズ音源301から到達してくるとされる音声が収音できるようにしてマイクロフォン203を設けるようにされる。そして、このマイクロフォン203により収音した外部音声、つまりノイズ音源301から到達してきたとされる音声を収音して音声信号を得て、この音声信号について適切なフィルタリング処理を施して、キャンセル用オーディオ信号を生成するようにされる。そして、このキャンセル用オーディオ信号を、必要音の音声信号と合成する。つまり、マイクロフォン203の位置からドライバ202の位置までの音響特性を電気的に模擬したキャンセル用オーディオ信号を必要音の音声信号に対して合成するものである。
そして、このようにしてキャンセル用オーディオ信号と必要音の音声信号とが合成された音声信号をドライバ202から出力させることで、ノイズキャンセル点400において得られる音としては、ノイズ音源301からハウジング部201内に侵入してきた音がキャンセルされたものが聴こえるようになる。
先ず、ハウジング部201の外側に設けられるマイクロフォン203により収音される音は、マイクロフォン203及びマイクロフォンアンプに対応する伝達関数Mを有する伝達関数ブロック101を介した音声信号として得られる。
次に、上記伝達関数ブロック101を経由した音声信号は、FF(FeedForward)フィルタ回路に対応する伝達関数ブロック102(伝達関数−α)を介して合成器103に入力される。FFフィルタ回路102は、マイクロフォン203により収音して得られた音声信号から、上記したキャンセル用オーディオ信号を生成するための特性が設定されたフィルタ回路であり、その伝達関数が−αとして表されているものである。
合成器103により合成された音声信号は、パワーアンプにより増幅され、ドライバ202に駆動信号として出力されることで、ドライバ202から音声として出力されることになる。つまり、この場合にも、合成器103からの音声信号は、パワーアンプに対応する伝達関数ブロック104(伝達関数A)を経由し、さらにドライバ202に対応する伝達関数ブロック105(伝達関数D)を経由して音声として空間内に放出される。
そして、ドライバ202にて出力された音声は、ドライバ202からノイズキャンセル点400までの空間経路(空間伝達関数)に対応する伝達関数ブロック106(伝達関数H)を経由してノイズキャンセル点400に到達し、ここでハウジング内ノイズ302と空間で合成されることになる。
これにより、ノイズキャンセル点400から例えば右耳に到達するものとされる出力音の音圧Pとしては、ハウジング部201の外部から侵入してくるノイズ音源301の音がキャンセルされるものとなる。
、−α、E、A、D、H」を利用して、次の[式5]で表されるものとなる。
また、確認のために述べておくと、[式6]は、ノイズ音源301から耳までの経路の伝達関数を、伝達関数−αを含めた電気回路にて模倣することを意味している。
このようなことから、一般的にFF方式は、発振する可能性が低く安定度は高いが、十分なノイズ減衰量(キャンセル量)を得るのは困難であるとされている。一方、FB方式は大きなノイズ減衰量が期待できる代わりに、系の安定性に注意が必要であるとされている。このように、FB方式とFF方式とでは、それぞれに特徴を有するものである。
[ヘッドフォン装置の構成]
図4は、本発明の信号処理装置の一実施形態としての、ヘッドフォン装置1の内部構成を示したブロック図である。
先ず、このヘッドフォン1には、ノイズキャンセリングシステムに対応する構成として、マイクロフォンMICが設けられている。図示するようにして、当該マイクロフォンMICによる収音信号は、マイクアンプ2で増幅された後、A/D変換器3にてデジタル信号に変換されてDSP(Digital Signal Processor)5に対して供給される。なお、以下、A/D変換器3にてデジタル信号に変換された収音信号については、収音データとも呼ぶ。
なお、確認のために述べておくと、上記オーディオ入力端子TAinより入力される音声信号は、ヘッドフォン1を装着したユーザによって聴取されるべきとして入力される聴取用の音声信号となるものである。換言すれば、ノイズキャンセリングの対象外とされるべき音声信号である。
ここで、以下では便宜上、DSP5の各機能ブロックをハードウエアとして扱うようにして説明することがある。また、以下において、ノイズキャンセリングは「NC」と略す。
後述するように、上記フィルタ特性・ミクス比率制御部5eは、上記メモリ8に格納されるフィルタ特性情報8bに基づき、第1NCフィルタ5a1、第2NCフィルタ5a2のフィルタ特性を設定する。これにより第1NCフィルタ5a1、第2NCフィルタ5a2には、ノイズキャンセリングのためのフィルタ特性が設定されるようになっており、それぞれ、入力される収音データにノイズキャンセリングのための信号特性を与えるようにされる。
図示するように加算部5dには、上述したオーディオ入力端子TAinからA/D変換器4を介して入力される聴取用の音声信号(オーディオデータ)が入力され、該加算部5dは、上記聴取用のオーディオデータと、上記加算部5cからの合成出力とを加算する。
この加算部5dにより得られたデータを加算データと呼ぶ。この加算データは、上記NCフィルタ5aによりノイズキャンセリングのための信号特性が与えられた収音データの成分を含むものである。従って、該加算データに基づく音響再生が後述するドライバDRVにて行われることで、ヘッドフォン1を装着したユーザにノイズ成分がキャンセル(低減)されたものとして知覚させることができる。つまり、上記聴取用のオーディオデータに基づく音声以外の音声がキャンセルされて聴取されるようになるものである。
ドライバDRVは振動板を備え、該振動板が上記パワーアンプ7から供給される音声信号(駆動信号)に基づき駆動されるように構成されていることで、上記音声信号に基づく音声出力(音響再生)を行うようにされる。
図示するように、マイクロコンピュータ10に対しては、操作部9が接続される。操作部9は、例えばヘッドフォン1の筐体外面に表出するようにして設けられる図示されない操作子を備えて構成され、ユーザが各種操作入力を行う。操作部9で入力された情報はマイクロコンピュータ10に対して操作入力情報として伝達される。マイクロコンピュータ10は入力された情報に対応して必要な演算や制御を行う。
例えば、上記操作部9に備えられる操作子としては、ヘッドフォン1の電源のオン/オフを指示する電源ボタンを挙げることができる。マイクロコンピュータ10は、当該電源ボタンの操作に応じて上記操作部9から供給される操作入力情報に基づき、ヘッドフォン1の電源オン/オフ制御を行うようにされる。
また、上記操作部9に備えられる操作子としては、NCモードの選択操作を行うための選択ボタンを挙げることができる。マイクロコンピュータ10は、当該選択ボタンの操作に応じて上記操作部9から供給される操作入力情報に基づき、新たに設定すべきNCモードの選択、及び選択したNCモードのDSP5(フィルタ特性・ミクス比率制御部5e)に対する指示を行うようにされる。
図5は、横軸に周波数(Hz)、縦軸にノイズ低減量(dB)をとり、NCモードごとの周波数−ノイズ低減特性(単にノイズ低減特性とも呼ぶ)を例示している。すなわち、NCモードごとのNC特性を例示したものである。この図5ではNCモードとして例えばNCモード1、NCモード2、NCモード3の3つを例示しており、実線がNCモード1、破線がNCモード2、一点鎖線がNCモード3によるノイズ低減特性をそれぞれ示している。
この図に示されているように、各NCモードは、それぞれ異なるノイズ低減特性を有するものとなる。
ここで、これまでの説明からも理解されるように、本実施の形態のヘッドフォン1では、NCモードの可変設定、すなわちNC特性の可変設定を行うようにされている。先にも述べたように、NCモードの可変設定を行う場合には、或るNC特性が得られている状態から他のNC特性が得られる状態に切り替えを行うとき、或る時点を境に切り替えを瞬時に行ってしまうなど切り替え処理について何ら配慮されない場合には、聴取者に対して急激な音質変化に伴う違和感を与えてしまう虞がある。
具体的に、ここではNCモードとしてNCモード1、NCモード2、NCモード3の3つのモードが設定可能であるとし、NCモードとフィルタ特性との対応関係は、NCモード1:フィルタ特性A、NCモード2:フィルタ特性B、NCモード3:フィルタ特性Cであるものとする。
そして、ユーザ操作により、新たにNCモード3が選択され、図のようにフィルタ特性CによるNC特性を設定すべき状態となったとする。
上記のようにして新たなNCモードが選択され、該選択されたNCモードへの切り替えを行うべき状態となったことに応じては、先ずは非稼動側のNCフィルタ5aに対し、新たに選択されたNCモードを実現するためのフィルタ特性を設定して、切り替えスタンバイ状態とする。具体的にこの場合は、新たに選択されたNCモード3に対応するフィルタ特性Cを設定することになる。
例えば、上記切り替えスタンバイ状態において、第1NCフィルタ5a1にフィルタ特性Aが、第2NCフィルタ5a2にフィルタ特性Cが設定されており、「第1乗算部5b1の係数:第2乗算部5b2の係数」が1:0の設定状態にあったとすれば、第1乗算部5b1の係数を徐々に1→0に低下させ、逆に第2乗算部5b2の係数は0→1となるように上昇させることで、クロスフェード切り替えを行うことになる。
このようにして、この場合のクロスフェード切り替え動作としては、切り替え前のNCモードに対応するフィルタ特性が設定されているNCフィルタ5aの出力を入力する乗算部5bの係数を1→0に徐々に低下させ、且つ新たに設定されるべきNCモードに対応するフィルタ特性を設定したNCフィルタ5aの出力を入力する乗算部5bの係数を0→1に徐々に上昇させることで行う。
なお、この図7において、図7(a)、図7(b)の双方では横軸を時間(t)、縦軸を乗算部5bで与える係数(比率)としてクロスフェード特性を表しており、図中の実線が、切り替え前のNCモードに対応するフィルタ特性が設定されているNCフィルタ5aの出力を入力する乗算部5bの係数(以下、フェードアウト側係数とする)の変化を、また破線が、新たに設定されるべきNCモードに対応するフィルタ特性を設定したNCフィルタ5aの出力を入力する乗算部5bの係数(フェードイン側係数とする)の変化を示している。
具体的にこの図7(b)のクロスフェード特性では、フェードアウト側係数については時間経過と共に徐々にその変化量が大きくなるようにし、逆にフェードイン側係数は時間経過と共に徐々にその変化量が小さくなるようにしている。
このとき、対応すべき項目数が増えれば、その組み合わせに応じて設定すべきNC特性の数が大きく増加してしまうことになる。上述のようにNCモード(NC特性)とフィルタ特性とを1対1で対応づける手法を採る場合、設定すべきNC特性の種類が増加することによっては、その分、メモリ8内にフィルタ特性情報8bとして格納する情報量も増加させなければならない。従って、1つのNCモードに対し1つのフィルタ特性を対応させるという手法を採るのみでは、記憶資源が浪費される傾向となってしまう。
このように複数のフィルタ特性を組み合わせることができれば、1つのNC特性につき1つのフィルタ特性情報を対応づけて保持させておくといった従来手法を採る必要がなくなり、フィルタ特性情報の保持に要するメモリ容量を削減することができる。つまりこれにより、メモリ8としての記憶資源の有効利用を図ることができる。
また、切り替え後のNC特性(新たに選択されたNCモードのNC特性)は、フィルタ特性Aとフィルタ特性Cとの組み合わせによる特性であり、具体的には、A:C=0.3:0.7の合成比率が設定された状態であるとする(状態3とする)。
つまり、状態1のとき、一方のNCフィルタ5aにはフィルタ特性Aが、他方のNCフィルタ5aにはフィルタ特性Bが設定されているが、状態3とするには、一方のNCフィルタ5aにフィルタ特性Aが設定された状態を維持したままで、他方のNCフィルタ5aのフィルタ特性を「C」に設定し直す必要がある。このため、図中の状態2として、必ず一方のフィルタ特性(この場合はフィルタ特性B)の比率を0とする状態を経るようにし、比率が0となったNCフィルタ5aに対し、状態3とするために必要なフィルタ特性(この場合はフィルタ特性C)を新規に設定できるようにしている。
先ず、状態1では、図9(a)に示すように第1NCフィルタ5a1にフィルタ特性Aが、第2NCフィルタ5a2にフィルタ特性Bが設定されていたとする。この場合には、フィルタ特性Aの設定された第1NCフィルタ5a1の出力を入力する第1乗算部5b1の係数が「0.7」、フィルタ特性Bの設定された第2NCフィルタ5a2の出力を入力する第2乗算部5b2の係数が「0.3」に設定されることになる。
この状態1としての状態から、第1乗算部5b1の係数を「0.7」→「1」、第2乗算部5b2の係数を「0.3」→「0」に徐々に変化させていき、フィルタ特性A:フィルタ特性Bの合成比率が1:0となるようにする。
この状態2としての状態から、第1乗算部5b1の係数を「1」→「0.3」、第2乗算部5b2の係数を「0」→「0.7」に徐々に変化させていくことで、図9(c)に示される状態3としての状態を得る。つまり、これによって「フィルタ特性A:フィルタ特性B=0.7:0.3」によるNC特性から、「フィルタ特性A:フィルタ特性C=0.3:0.7」によるNC特性へのクロスフェード切り替え動作が完了する。
先に説明したように、図6の場合の切り替え動作としては、非稼動側のNCフィルタ5aに対して、新たに選択されたNCモードに対応するフィルタ特性を設定した上で、もう一方の稼動側のNCフィルタ5aのフィルタ処理出力の比率を1→0にかけて徐々に低下させ、且つ上記非稼動側のNCフィルタ5aのフィルタ処理出力の比率を0→1にかけて徐々に上昇させるようにして合成比率を時変的に変化させることになる。
これに対し、上述した図8、図9の切り替え動作としては、同様にそれぞれのフィルタ処理出力の合成比率を時変的に変化させてクロスフェードを行う点は共通となるが、途中でフィルタ特性の変更設定を行うなど、図6の場合とは異なる動作を行うものとなる。
このように、現行NC特性、新規NC特性がそれぞれ該当する1つのフィルタ特性で実現可能な場合は、現行NC特性から直接、新規NC特性に至る経路を求める。
つまり、現行NC特性、新規NC特性が共に複数のフィルタ特性の組み合わせで成る場合であって、現行NC特性を実現するために必要なフィルタ特性の組み合わせと、新規NC特性を実現するために必要なフィルタ特性の組み合わせとがそれぞれ異なる場合には、経路としては、現行NC特性側でのみ必要なフィルタ特性(図8の場合はフィルタ特性B)の比率を0とする状態を経ることを条件とした経路を求めることになる。このことにより、NCフィルタ5aの数を2つとする場合の制約条件を満たした上での経路を求めることができる。
ここで、本システムの構成から見て、この場合の経路としては、不要なフィルタ特性の入れ替えを不要とすることのできる(フィルタ特性の入れ替え回数の最も少ない)経路を求めるのが好ましいことは自明である。
その上で、比率を0とした方のNCフィルタ5aに対し、目標NC特性を得るためのフィルタ特性を設定した上で、該設定を行ったNCフィルタ5aのフィルタ処理出力の比率と、もう一方のNCフィルタ5aのフィルタ処理出力の比率とがそれぞれ目標の比率となるまでクロスフェードを行う。すなわち、図8,9の例においては、第2NCフィルタ5a2に目標NC特性を得るためのフィルタ特性Cを設定した上で、該第2NCフィルタ5a2の出力を入力する第2乗算部5b2の係数を目標比率である0.7に向けて徐々に上昇させ、且つ第1NCフィルタ5a2の出力を入力する第2乗算部5b2の係数を目標比率である0.3に向けて徐々に低下させることに相当するものである。
図10、図11のフローチャートは、上記により説明した第1の実施の形態としてのクロスフェード切り替え動作を実現するための処理手順を示している。
なお、これら図10、図11では、第1の実施の形態としてのクロスフェード切り替え動作を実現するための処理手順を、DSP5が信号処理プログラム8aに基づき実行する処理手順として示している。
図10は、経路の計算結果に基づく判別処理までの処理手順と共に、単独のフィルタ特性で実現されるNC特性間の切り替えを行うときの処理手順を示し、図11は中間的なNC特性の間の切り替えを行うときの処理手順を示している。
ステップS103において、経路途中で何れか一方のNCフィルタ出力の比率を0とする必要がないとして否定結果が得られた場合は、ステップS104に進み、非稼動側のNCフィルタに目標NC特性を得るためのフィルタ特性を設定する。すなわち、メモリ8にフィルタ特性情報8bとして格納されるフィルタ特性情報のうち、新たに選択されたNCモードと対応するフィルタ特性情報に基づき、非稼動側のNCフィルタ5aのフィルタ特性を設定する。
このステップS105の処理を実行すると、本例としてのクロスフェード切り替え動作のための処理は終了となる。
図11において、ステップS106では、現行NC特性側でのみ必要なフィルタ特性が設定されている方のNCフィルタの出力の比率が0、もう一方のNCフィルタの出力の比率が1となるようにクロスフェードを行う。つまり、現行NC特性側でのみ必要なフィルタ特性が設定されたNCフィルタ5aの出力を入力する乗算部5bの係数を0に向けて徐々に低下させ、且つもう一方のNCフィルタ5aの出力を入力する乗算部5bの係数を1に向けて徐々に上昇させるものである。
ここで、確認のために述べておくと、複数のフィルタ特性の中間的な特性により実現するNCモードは、それぞれのNCフィルタ5aに設定すべきフィルタ特性の別、及びそれぞれのフィルタ処理出力の比率とで定義されるものである。上記「目標の比率」は、このようにNCモードごとに定義される各フィルタ処理出力の比率を指す。すなわち、ステップS108においてそれぞれの乗算部5bに上記「目標の値」として与える係数としては、ステップS101にて新たに選択されたNCモードで定義される各フィルタ処理出力の比率としての値を与えるものである。
上記ステップS108の処理を実行すると、本例としてのクロスフェード切り替え動作のための処理は終了となる。
上記により説明した本実施の形態のクロスフェード切り替え動作によれば、異なるNCモード(NC特性)への切り替えを行う際に、従来のように或る時点を境に瞬時に切り替えが行われてしまうなど急激なNC特性の切り替えが行われてしまうことの防止を図ることができ、NC特性の切り替えに伴うユーザの違和感の低減を図ることができる。
このように複数のフィルタ特性を組み合わせることができれば、1つのNC特性につき1つのフィルタ特性情報を1対1で対応づけて保持させておく従来手法を採る場合よりも、必要なメモリ容量は削減することができる。つまり、記憶資源の有効利用を図ることができる。
このことで、先に説明したような切り替え動作途中でのフィルタ特性の変更が可能となり、NCフィルタ5aの数が2つとされる場合にも、適正に中間的な特性間のクロスフェード切り替えを行うことができる。すなわち、このことで、NCフィルタ5aの数を2つに抑えることができるものである。
このようにNCフィルタ5aの数をクロスフェード切り替えを行うにあたっての必要最小限となる2つに抑えることができることで、DSP5の処理負担としても最小限に抑えることができる。例えば、比較的処理能力の低い安価なDSPを用いた場合にも適正にクロスフェード切り替え動作を実現することができ、それによって装置製造コストの削減が図られるなどの効果を得ることができる。
続いて、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、新たなNCモードの選択が、ユーザ操作のみに基づき行われるのではなく、装置の自動選択によっても行われるようにしたものである。
第2の実施の形態のヘッドフォン15は、第1の実施の形態のヘッドフォン1と比較して、DSP5の機能に変更を加えた点が異なる。具体的には、図中の収音信号解析部5f、最適NCモード選択部5gとしての機能動作が追加される。また、先の第1の実施の形態の場合のフィルタ特性・ミクス比率制御部5eの機能に代えて、フィルタ特性・ミクス比率制御部5hとしての機能が与えられる。
具体的に、上記収音信号解析部5fは、A/D変換器3から入力される収音データについて、例えばFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)やBPF(Band Pass Filter)による帯域分割などを行って、上記収音データの周波数特性解析を行う。
そして、上記最適NCモード選択部5gは、上記収音信号解析部5fによる周波数特性解析結果と、メモリ8に格納されるNC効果予測テーブル8dの情報内容とに基づき、ヘッドフォン15が設定可能な各NCモードごとにノイズ低減効果の予測を行い、該予測結果に基づいて最適とされるNCモードの選択を行う。
先ず、本例の場合、上記NC効果予測テーブル8dとしては、ヘッドフォン15が設定可能とされる各NCモード(複数のフィルタ特性の組み合わせによるNCモードも含む)ごとに、そのノイズ低減特性(複数の周波数ポイントに対するノイズ低減量)の情報を対応づけた情報とされる。すなわち、このNC効果予測テーブル8dとしては、先の図5に示したようなNCモードごとの減衰カーブの情報を、設定可能な各NCモードごとに対応づけたものとなる。
ここで、上記収音信号解析部5fにより解析された収音データの周波数特性と、上記NC効果予測テーブル8dに格納されているノイズ低減特性との差は、現実のノイズに対するノイズ低減効果を表すものとなる。従って、上記のように収音信号解析部5fにより解析された収音データの周波数特性とNC効果予測テーブル8dに格納されているノイズ低減特性との差を各NCモードごとに求めることで、現在収音されているノイズ音に対する各NCモードごとのノイズ低減効果が数値として求まる(ノイズ低減効果の予測)。
そして、最適NCモード選択部5gは、このようにして求めた差分値(ノイズ低減効果量)が最も小さくなるNCモードを、最適なNCモードとして選出する。
なお、ここでの差分はdB値での差分であり、リニア振幅値の場合は除算となることを付記しておく。
・電源オン時(装置起動時)
・所定時間の経過
・過大ノイズ入力時
・小ノイズ状態の継続時
また、上記「所定時間の経過」「過大ノイズ入力時」「小ノイズ状態の継続時」については、収音信号解析部5f(DSP5)自身がその条件の成立有無を判別する。具体的に、上記「所定時間の経過」については、例えば上記マイクロコンピュータ10からの動作開始指示を受けたことに応じタイムカウントを開始し、そのカウント値が予め定められた所定値となるまで待機する。そして、カウント値が上記所定値となったことに応じて収音データについての周波数特性解析を開始する。またこれと共に、タイムカウント値をリセットし、再びタイムカウント値が上記所定値となるまで待機する。このようにして、所定時間の経過ごとに、周波数特性解析を行う。
また、上記「小ノイズ状態の継続時」については、入力される収音データのレベルが予め定められたレベル以下となる状態が所定時間以上継続したか否かを判別し、該状態が所定時間以上継続したと判別したことに応じて上記収音データの周波数特性解析を開始する。
なお、第2の実施の形態においても、新たなNCモードへの切り替えを行うべき状態となった以降に実行されるクロスフェード切り替え動作自体の内容は、先の第1の実施の形態の場合と同様となるのでここでの改めての説明は省略する。
このようなステップS201→S202のループ処理により、ユーザ操作による新たなNCモードの選択又は解析開始トリガ(つまり最適NCモード自動選択開始トリガ)の発生の何れかを待機するようにされている。
第3の実施の形態は、ヘッドフォン装置と該ヘッドフォン装置を着脱可能とされるオーディオプレイヤ等の信号処理装置とで構成される音響再生システムに関するものであり、ノイズキャンセリングのための信号処理系をヘッドフォン装置側に備えるのではなく、上記信号処理装置側に備えるようにするものである。すなわち、ノイズキャンセリング機能を有するオーディオプレイヤ(30)と、ノイズキャンセリング機能を有さない(通常の)ヘッドフォン(20)とによって構成された音響再生システムである。
先ず、この場合のヘッドフォン20としては、マイクロフォンMIC、マイク出力端子TMout、及びオーディオ入力端子TAin、ドライバDRVが備えられたものとなる。マイクロフォンMICで得られた収音信号は上記マイク出力端子TMoutに対して供給される。また、上記オーディオ入力端子TAinは、ドライバDRVと接続される。
上記ストレージ部31は、オーディオデータを始めとした各種データの保存に用いられる。具体的な構成としては、例えばフラッシュメモリなどの固体メモリに対するデータの書き込み(記録)/読み出しを行うように構成されても良いし、例えばHDD(Hard Disk Drive)により構成されてもよい。
また内蔵の記録媒体ではなく、可搬性を有する記録媒体、例えば固体メモリを内蔵したメモリカード、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、光磁気ディスク、ホログラムメモリなどの記録媒体に対応するドライブ装置などとして構成することもできる。
もちろん、固体メモリやHDD等の内蔵タイプのメモリと、可搬性記録媒体に対するドライブ装置の両方が搭載されてもよい。
このストレージ部31は、後述するマイクロコンピュータ33の制御に基づいてオーディオデータその他の各種データについての書き込み/読み出しを行う。
この再生処理部32で再生処理されたオーディオデータが、DSP5に対して聴取用のオーディオデータとして供給されることになる。
例えば、上述したストレージ部31に対するデータの書き込み/読み出し制御を行う。また、ストレージ部31、再生処理部32を制御してオーディオデータの再生開始/停止制御なども行う。
マイクロコンピュータ33には操作部34が接続され、該操作部34から供給されるユーザ操作入力に基づく操作入力情報に基づく演算や各部の動作制御を行う。このことで、オーディオプレイヤ30においてユーザ操作に応じた動作が得られるようになっている。
ここで、上記操作部34には、先の第2の実施の形態のヘッドフォン15に備えられた操作部9と同様に、少なくとも電源ボタン、及びNCモードの選択操作を行うための選択ボタンが設けられる。そして、この場合のマイクロコンピュータ33としても、先のマイクロコンピュータ10と同様に、上記電源ボタンの操作に応じて電源オンのための操作入力情報が供給されたことに応じては、DSP5(収音信号解析部5f)に対して動作開始指示を行うようにされる。また、上記選択ボタンの操作に応じて上記操作部9から供給される操作入力情報に基づき、新たに設定すべきNCモードの選択を行い、また選択したNCモードを表す情報をDSP5(フィルタ特性・ミクス比率制御部5h)に指示するようにされる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、簡易的に音声信号(収音信号も含む)のch(チャンネル)数が1chのみとされる場合を示したが、本発明としては、複数chの音声信号について音響再生を行う場合にも好適に適用することができる。
この点を考慮すると、FB方式を採用する場合には、NCモードの切り替えに応じて、上記イコライザのイコライジング特性(例えばFIRフィルタなどのフィルタ特性)も切り替えることが考えられる。
また、これと共にFB方式の場合、フィードバックループがオンとされている状態では、収音信号解析部5fに入力される収音データは、ノイズキャンセリングのための信号特性が与えられたものとなっている。すなわち、ノイズ成分が低減された状態にある。この点でも最適NCモードの選択を正しく行うことができなくなってしまう虞がある。
そこで、FB方式を採用する場合の最適NCモードの選択時には、加算部5dによるフィードバックループへの聴取用オーディオデータの加算動作を行わないようにすると共に、例えばNCフィルタ5aへの収音データの入力を停止するなどしてフィードバックループをオフとした上で(つまりマイクロフォンMICによってノイズ成分のみが収音されるようにした上で)、収音信号解析部5fによる周波数特性解析を行うようにする。これにより、FB方式が採用される場合に対応して、最適NCモードの選択がより正確に行われるようにすることができる。
図15は一例として、フィルタ特性情報の保持数が6つとされた場合における、各フィルタ特性の関係を例示している。
またこの図15では、NCフィルタ5aの数を2つとする場合における、各NC特性間の経路の例も併せて示している。例えば、図中のx1と示す、フィルタ特性Aとフィルタ特性Fとの中間的なNC特性から、x2と示すフィルタ特性Aとフィルタ特性Cとの中間的なNC特性への切り替えにあたっては、この場合も切り替え前のNC特性側のみで必要なフィルタ特性(フィルタ特性F)の比率が0となる地点を経ることを条件に、上記x2へ至る経路が算出されることになる。また、例えば上記x2としてのNC特性から、x3と示すフィルタ特性Cとフィルタ特性Fとの中間的なNC特性への切り替えを行うとした場合としても、同様に、切り替え前のNC特性側のみで必要なフィルタ特性(フィルタ特性A)の比率が0となる地点を経ることを条件に、上記x3へ至る経路が算出されていることが示されている。
図17は、このように各NCフィルタ5aに設定されるフィルタ特性A〜Cの関係を例示している。例えば、この図17に示されている各フィルタ特性の関係が得られている状態において、図示するようにフィルタ特性Aとフィルタ特性Bとの中間的なNC特性から、フィルタ特性Aとフィルタ特性Cとの中間的なNC特性への切り替えを行うべき状態となったとする。先に例示したNCフィルタ5aを2個とする場合には、図中の白丸印で示すようにフィルタ特性Bの比率が0で且つフィルタ特性Aの比率が1となる地点を通過するようにしてNC特性を変化させるものとなるが、NCフィルタ5aを3つとする場合には、3種のフィルタのミクス比率を変更させることで、例えば図中色付の丸印で示すように目標のNC特性に向けて直線的にNC特性を変化させることができる。すなわち、切り替え前のNC特性側のみで必要なフィルタ特性(この場合はフィルタ特性B)の比率が0となる地点を経ることを条件とせずに、経路の計算を行うことができるものであり、従ってクロスフェード切り替え途中におけるフィルタ特性の入れ替えは不要とすることができる。
Claims (12)
- それぞれがマイクロフォンによる収音動作に基づき得られた収音信号を入力し個別にノイズキャンセリングのためのフィルタ処理特性によるフィルタ処理を施すことで、上記収音信号にそれぞれ異なる信号特性を与える複数のフィルタ処理手段と、
設定された合成比率により上記複数のフィルタ処理手段からのフィルタ処理出力を合成する合成手段と、
ノイズキャンセリングモードを切り替えるべき状態となったことに応じ、上記合成手段による合成比率を、複数の上記フィルタ処理出力の比率が0以外の比率となるまで時変的に変化させる制御手段と
を備える信号処理装置。 - 請求項1に記載の信号処理装置において、
上記複数のフィルタ処理手段はデジタルシグナルプロセッサの一機能として実現され、各フィルタ処理手段のフィルタ処理特性を可変的に設定することが可能とされている。 - 請求項2に記載の信号処理装置において、
上記制御手段は、
少なくとも1つの上記フィルタ処理手段に対し、上記ノイズキャンセリングモードの切り替えに伴い新たに設定されるべきとされたフィルタ処理特性を設定すると共に、該フィルタ処理特性を設定したフィルタ処理手段のフィルタ処理出力の比率が時間経過と共に徐々に大きくなるように上記合成比率を変化させる。 - 請求項3に記載の信号処理装置において、
上記複数のフィルタ処理手段は第1フィルタ処理手段と第2フィルタ処理手段の2つとされる。 - 請求項4に記載の信号処理装置において、
上記制御手段は、
上記ノイズキャンセリングモードの切り替えを行うべき状態となったことに応じ、それまで設定されていた現行ノイズキャンセリングモードから新たに設定されるべき新規ノイズキャンセリングモードに変化させるにあたって上記第1、第2フィルタ処理手段に設定すべきフィルタ処理特性、及び各フィルタ処理出力に逐次設定すべき合成比率を計算により求めると共に、
該計算の結果、上記新規ノイズキャンセリングモードに変化させる途中において上記第1又は第2フィルタ処理手段の何れかのフィルタ処理出力の比率を0とする必要がないとされる場合には、上記第1、第2フィルタ処理手段のフィルタ処理出力の比率がそれぞれ上記計算により求めた比率に向けて徐々に変化するように上記合成比率を変化させ、
上記計算の結果、上記新規ノイズキャンセリングモードに変化させる途中において上記第1又は第2フィルタ処理手段の何れかのフィルタ処理出力の比率を0とする必要があるとされる場合には、上記計算の結果に従って一方のフィルタ処理手段のフィルタ処理出力の比率を1に向けて徐々に大きくし且つ他方のフィルタ処理手段のフィルタ処理出力の比率を0に向けて徐々に小さくするように上記合成比率を変化させ、比率が0とされた上記他方のフィルタ処理手段に上記計算の結果に基づく新たなフィルタ処理特性を設定した上で、該他方のフィルタ処理手段のフィルタ処理出力の比率を上記計算により求めた比率に向けて徐々に大きくし、且つ上記一方のフィルタ処理手段のフィルタ処理出力の比率を上記計算により求めた比率に向けて徐々に小さくするように上記合成比率を変化させる。 - 請求項1に記載の信号処理装置において、
上記制御手段は、
上記フィルタ処理出力に与えられる比率が時間に対して一定に変化されるように上記合成比率を変化させる。 - 請求項1に記載の信号処理装置において、
上記制御手段は、
上記フィルタ処理出力に与えられる比率が時間に対して非一定に変化されるように上記合成比率を変化させる。 - 請求項1に記載の信号処理装置において、
上記制御手段は、
上記フィルタ処理出力に与えられる比率を大きくするときと小さくするときとで時間に対する比率変化の態様を異ならせるようにして上記合成比率を変化させる。 - 請求項1に記載の信号処理装置において、
上記制御手段は、
上記フィルタ処理出力に与えられる比率を大きくするときは、時間経過に応じて徐々に比率変化量を小さくさせるようにし、上記フィルタ処理出力に与える比率を小さくするときは時間経過に応じて徐々に比率変化量を大きくさせるようにして上記合成比率を変化させる。 - 請求項1に記載の信号処理装置において、
ユーザ操作に基づきノイズキャンセリングモードの選択を行うモード選択手段をさらに備え、
上記制御手段は、
上記モード選択手段により新たなノイズキャンセリングモードが選択されたことに応じて上記合成比率を変化させる。 - 請求項1に記載の信号処理装置において、
上記収音信号に基づきノイズキャンセリングモードの自動選択を行うモード自動選択手段をさらに備え、
上記制御手段は、
上記モード自動選択手段により新たなノイズキャンセリングモードが選択されたことに応じて上記合成比率を変化させる。 - それぞれがマイクロフォンによる収音動作に基づき得られた収音信号を入力し個別にノイズキャンセリングのためのフィルタ処理特性によるフィルタ処理を施すことで、上記収音信号にそれぞれ異なる信号特性を与える複数のフィルタ処理手段と、設定された合成比率により上記複数のフィルタ処理手段からのフィルタ処理出力を合成する合成手段とを備えた信号処理装置における信号処理方法であって、
ノイズキャンセリングモードを切り替えるべき状態となったことに応じ、上記合成手段による合成比率を、複数の上記フィルタ処理出力の比率が0以外の比率となるまで時変的に変化させる
信号処理方法。
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