JP2020120154A - 信号処理装置、ヘッドセット、プログラム、及びコンピュータ読み取り可能な媒体 - Google Patents

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寛貴 小楠
Hiroki Ogusu
寛貴 小楠
司 廣岡
Tsukasa Hirooka
司 廣岡
朋之 内藤
Tomoyuki Naito
朋之 内藤
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Abstract

【課題】適応フィルタを使用しないでエコーキャンセルを行う。【解決手段】信号処理装置10−1は、予め定められた伝達関数推定信号を発生する伝達関数推定信号発生部121と、伝達関数推定信号、又は信号処理装置10−1に入力された音声信号を出力する切替部13と、マイク22により収音された信号を受信し、該受信した受信信号と伝達関数推定信号とから、伝達関数推定信号を耳装着装置20を介して送受信する系の伝達関数を推定し、該伝達関数を有するフィルタの係数を決定するフィルタ係数決定部122と、受信信号から、音声信号及びフィルタ係数の畳み込み演算結果を減じるエコーキャンセル部と11、を備え、切替部13が出力する信号をスピーカ21に送信する。【選択図】図1

Description

本発明は、エコーキャンセルを行うための信号処理装置、プログラム、及びコンピュータ読み取り可能な媒体、並びに該信号処理装置を備えるヘッドセットに関する。
従来、受話音を出力するスピーカと発話音を収音するマイクとを備えるヘッドセットが知られている。しかし、マイクが外部に露出されている場合には、発話音と共に周囲の騒音が比較的大きく収音されてしまい、発話信号のSN比(信号対雑音比)が低下する。
そこで、耳孔に挿入可能に構成された耳孔装着型のヘッドセット(マイク一体型イヤホン)が開発されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された耳孔装着型のヘッドセットでは、発話音を収音するマイクは、外部から略密閉とされ、且つ発話者の外耳道と通じる空間内に配置されたものとなるため、騒音の影響を効果的に低減することができる。また、発話者の外耳道を経由して伝播する発話音を収音するものとしたことで、装着者から発せられ外界を伝播する発話音を収音する従来のヘッドセットよりも、SN比を改善することができる。
特許第6197930号公報
外耳道側に配置されたマイクによる通話を行うことは、ヘッドセットにより外部ノイズを抑制するため、騒音環境下でも会話をしやすいという利点がある。しかし、スピーカとマイクが近接するため、通話で使用するためにはエコーキャンセル技術が必須となる。このエコーキャンセル技術において、エコーの個人差に対応するために、一般には、適応フィルタを用いてエコーキャンセルを行うことが多い。しかしながら、適応フィルタを使用すると、回路規模及び消費電力が大きくなるため、特に携帯型のヘッドセットにおいては望ましくない。
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、適応フィルタを使用しないでエコーキャンセルを行うことが可能な信号処理装置、ヘッドセット、プログラム、及びコンピュータ読み取り可能な媒体を提供することにある。なお、このヘッドセットは、耳孔に挿入可能に構成された耳孔装着型のヘッドセットに限るものではなく、一般的なヘッドフォン、及びイヤホンを含むものである。
上記課題を解決するため、本発明に係る信号処理装置は、耳に装着される耳装着装置が有するスピーカに信号を送信するとともに、前記耳装着装置が有するマイクが収音する信号を受信する信号処理装置であって、予め定められた伝達関数推定信号を発生する伝達関数推定信号発生部と、前記伝達関数推定信号、又は当該信号処理装置に入力された音声信号を出力する切替部と、前記マイクにより収音された信号を受信し、該受信した受信信号と前記伝達関数推定信号とから、前記伝達関数推定信号を前記耳装着装置を介して送受信する系の伝達関数を推定し、該伝達関数を有するフィルタの係数を決定するフィルタ係数決定部と、前記受信信号から、前記音声信号及び前記係数の畳み込み演算結果を減じるエコーキャンセル部と、を備え、前記切替部が出力する信号を前記スピーカに送信する。
さらに、本発明に係る信号処理装置において、前記切替部が出力する信号から前記受信信号を減じてフィードバック信号を生成する減算部と、前記フィードバック信号に対してフィルタ処理を行ってフィルタ処理信号を生成するフィードバックフィルタ処理部と、を更に備え、前記切替部が出力する信号に代えて前記フィルタ処理信号を前記スピーカに送信するようにしてもよい。
さらに、本発明に係る信号処理装置において、前記切替部が出力する信号に対してフィルタ処理を行って補正信号を生成する補正フィルタ処理部を更に備え、前記減算部は、前記補正信号から前記受信信号を減じて前記フィードバック信号を生成するようにしてもよい。
さらに、本発明に係る信号処理装置において、前記受信信号に対してフィルタ処理を行ってフィルタ処理信号を生成するフィードバックフィルタ処理部と、前記切替部が出力する信号から前記フィルタ処理信号を減じてフィードバック信号を生成する減算部と、を更に備え、前記切替部が出力する信号に代えて前記フィードバック信号を前記スピーカに送信するようにしてもよい。
さらに、本発明に係る信号処理装置において、前記切替部が出力する信号に対してフィルタ処理を行って補正信号を生成する補正フィルタ処理部を更に備え、前記減算部は、前記補正信号から前記フィルタ処理信号を減じて前記フィードバック信号を生成するようにしてもよい。
また、上記課題を解決するため、本発明に係るヘッドセットは、上記信号処理装置と、前記スピーカ及び前記マイクを一体に有する耳装着装置と、を備える。
また、上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、コンピュータを上記信号処理装置として機能させる。
また、上記課題を解決するため、本発明に係るコンピュータ読み取り可能な媒体は、上記プログラムを有する。
本発明によれば、適応フィルタを使用しないでエコーキャンセルを行うことができるため、回路規模及び消費電力の増大を抑制することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る信号処理装置及びヘッドセットの構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るヘッドセットの動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る信号処理装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係る信号処理装置の構成例を示すブロック図である。
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る信号処理装置及びヘッドセットについて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る信号処理装置及びヘッドセットの構成例を示す図である。図1に示すように、ヘッドセット1は、信号処理装置10−1と、耳装着装置20とを備える。信号処理装置10−1と耳装着装置20とは一体に構成されてもよいし、分離していてもよい。
信号処理装置10−1は、エコーキャンセル部11と、伝達関数推定部12と、切替部13と、DA変換部14と、AD変換部15とを備える。なお、図示を省略するが、DA変換部14の出力側に増幅器を設けてもよいし、AD変換部15の入力側に増幅器を設けてもよい。また、DA変換部14及びAD変換部15の一方又は双方は、耳装着装置20側に備えられていてもよい。信号処理装置10−1は、耳装着装置20が有するスピーカ21に信号を送信するとともに、耳装着装置20が有するマイク22が収音する信号を受信する。
耳装着装置20は、耳に装着される装置であり、スピーカ21と、マイク22とを備える。耳装着装置20の耳への装着方法は特に限定されるものではなく、例えば耳孔に挿入してもよいし、一般的なイヤホン・ヘッドホンのように耳に掛けたり押し当てたりしてもよい。なお、耳装着装置20はハイブリッド方式のANC(Active Noise Cancellation)処理を行うためにマイクを2つ備えていてもよく、その場合にはマイク22は内側(外耳道側)に設置されたマイクを指す。
伝達関数推定部12は、伝達関数推定信号発生部121と、フィルタ係数決定部122と、フィルタ係数記憶部123とを備える。伝達関数推定信号発生部121は、耳装着装置20におけるスピーカ21からマイク22までの空間伝達関数を推定するために、予め定められた伝達関数推定信号を発生する。そして、伝達関数推定信号発生部121は、伝達関数推定信号を切替部13及びフィルタ係数決定部122に出力する。伝達関数推定信号は、例えばTSP(Time Stretched Pulse)信号とすることができる。なお、TSP信号を用いることにより伝達関数推定の演算処理が容易になるが、伝達関数推定信号はTSP信号に限られない。
切替部13は、伝達関数推定信号発生部121から入力された伝達関数推定信号と、信号処理装置10−1に入力された音声信号とを切り替えて、いずれか一方の信号をDA変換部14に出力する。音声信号は、図示しない携帯端末から入力された受話信号、音楽信号などである。切替部13は、伝達関数の推定時には伝達関数推定信号を選択し、それ以外では音声信号を選択する。
DA変換部14は、切替部13から入力された音声信号又は伝達関数推定信号を、デジタル信号からアナログ信号に変換する。そして、DA変換部14は、生成したアナログ信号をスピーカ21に送信する。
スピーカ21は、DA変換部14から入力されたアナログの電気信号を振動に変換して出力する。
マイク22は、ヘッドセット1の装着者によって発せられ、外耳道を通じて伝搬する発話音を収音し、収音した信号をAD変換部15に出力する。マイク22は発話音のみを収音するのが理想的であるが、実際にはスピーカ21が出力する信号も収音してしまう。
AD変換部15は、マイク22により収音された信号を受信し、該受信した受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。そして、AD変換部15は、生成したデジタル信号を、伝達関数推定時にはフィルタ係数決定部122に出力し、エコーキャンセル時にはエコーキャンセル部11に出力する。
フィルタ係数決定部122は、伝達関数推定信号発生部121から入力された伝達関数推定信号と、AD変換部15から入力されたデジタル信号とから、伝達関数推定信号を耳装着装置20を介して送受信する系(切替部13、DA変換部14、耳装着装置20、及びAD変換部15で構成される系)の伝達関数を推定し、該伝達関数を有するフィルタ(エコーキャンセルフィルタ)の係数を決定する。そして、フィルタ係数決定部122は、決定したフィルタの係数をフィルタ係数記憶部123に出力する。
耳装着装置20が耳に装着された状態で、伝達関数推定信号発生部121は、伝達関数推定信号を出力する。この伝達関数推定信号を周波数領域の表現でXとする。以下の説明において、数式は周波数領域で表現する。伝達関数推定信号が、切替部13、DA変換部14、及びスピーカ21を通してマイク22で収音されると、AD変換部15の出力信号Yは、次式で表される。すなわち、信号Yは切替部13により伝達関数推定信号が選択された場合(伝達関数推定処理時)のAD変換部15の出力信号である。Hは耳装着装置20のスピーカ21からマイク22までの空間伝達関数である。
Figure 2020120154
よって、フィルタ係数決定部122は、Y/Xの演算を行うことにより、伝達関数Hを取得し、伝達関数Hを有するフィルタの係数を決定する。ただし、実際には各種測定誤差、外乱などにより理想値に対して誤差を含む推定値となる。なお、TSP信号では1/Xを作りやすいため、伝達関数推定信号をTSP信号とすることにより、伝達関数推定の処理を容易に行うことが可能となる。一方、TSP信号(スイープ信号)がユーザにとって耳障りである場合には、任意の音声信号についても1/Xに対応する逆特性を取得すれば、同様の処理が可能となる。
フィルタ係数記憶部123は、フィルタ係数決定部122により決定されたエコーキャンセルフィルタの係数を記憶する。
エコーキャンセル部11は、キャンセル信号生成部111と、減算部112とを有する。キャンセル信号生成部111は、音声信号Rと、フィルタ係数記憶部123から取得したエコーキャンセルフィルタの係数(=伝達関数)Hとの畳み込み演算を行い、HRをキャンセル信号として生成する。そして、キャンセル信号生成部111は、キャンセル信号を減算部112に出力する。
減算部112は、AD変換部15から入力されたデジタル信号から、キャンセル信号生成部111から入力されたキャンセル信号を減じて、送話信号を生成する。そして、減算部112は、生成した送話信号を信号処理装置10−1の外部に出力する。
音声信号Rが切替部13及びDA変換部14を通してスピーカ21から出力され、ヘッドセット1の装着者が発話信号Vを発した場合、AD変換部15が出力する信号Y’は、次式で表される。よって、減算部112により、AD変換部15の出力信号Y’からキャンセル信号であるHRを減じることで、理想的には、送話信号Sは発話信号Vと等しくなり、エコーのない、装着者の発話信号のみを出力することができる。
Figure 2020120154
次に、ヘッドセット1の動作について、図2を参照して説明する。図2は、ヘッドセット1の動作を示すフローチャートである。
ステップS101において、ヘッドセット1はユーザに装着される。耳装着装置20はユーザの耳に装着される。
ステップS102において、エコーキャンセルフィルタの推定を行うか否か、すなわち伝達関数の推定を行うか否かが選択される。伝達関数の推定は、例えば、ヘッドセット1の装着時、通話開始時、音声認識開始時などの処理の最初に実施される。伝達関数の推定は、所定の時間が経過した場合に再度実施するようにしてもよい。
伝達関数を推定する場合には(ステップS102−Yes)、ステップS103において、伝達関数推定信号発生部121により伝達関数推定信号を発生し、切替部13により伝達関数推定信号を選択する。伝達関数推定信号はDA変換部14を通って耳装着装置20のスピーカ21に送信される。
続いて、ステップS104において、スピーカ21により伝達関数推定信号を出力し、マイク22によりスピーカ21から出力された伝達関数推定信号を収音する。
続いて、ステップS105において、フィルタ係数決定部122により、伝達関数推定信号とAD変換部15から入力された応答信号とから伝達関数を推定し、エコーキャンセルフィルタの係数を決定する。
続いて、ステップS105において、フィルタ係数記憶部123によりエコーキャンセルフィルタの係数を記憶する。
ステップS103からステップS106によるエコーキャンセルフィルタの推定が終了した場合、あるいは、ステップS102において、エコーキャンセルフィルタの推定を行わない場合には(ステップS102−No)、ステップS107において、エコーキャンセル処理を実施する。
ステップS107では、切替部13により音声信号を選択し、エコーキャンセル部11によりフィルタ係数記憶部123に記憶されたエコーキャンセルフィルタの係数を取得する。そして、エコーキャンセル部11により、エコーキャンセル処理を実施する。
上述したように、第1の実施形態に係る信号処理装置10−1は、予め定められた伝達関数推定信号を用いて伝達関数を推定し、推定した伝達関数を用いてエコーキャンセルを実施する。そのため、信号処理装置10−1、及び信号処理装置10−1を備えるヘッドセット1によれば、適応フィルタを使用しないでエコーキャンセルを行うことができ、回路規模及び消費電力の増大を抑制することが可能となる。
また、エコーキャンセルフィルタを固定とした場合には、耳装着装置の装着の程度が不十分であるなどのヘッドセットの装着の状況や、個人ごとの外耳道の形状などによっては、十分なエコーキャンセルができないことがある。その点、信号処理装置10−1は、ヘッドセット1の装着時にユーザごとに個別にエコーキャンセルフィルタを決定することができるため、エコーキャンセルの効果を向上させることが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る信号処理装置及びヘッドセットについて説明する。図3は、本発明の第2の実施形態に係る信号処理装置及びヘッドセットの構成例を示す図である。図3に示すように、ヘッドセット2は、信号処理装置10−2と、耳装着装置20とを備える。信号処理装置10−2と耳装着装置20とは一体に構成されてもよいし、分離していてもよい。
信号処理装置10−2は、エコーキャンセル部11と、伝達関数推定部12と、切替部13と、DA変換部14と、AD変換部15と、補正フィルタ処理部16と、減算部17と、フィードバックフィルタ処理部18とを備える。第2の実施形態は第1の実施形態と比較して、信号処理装置10−2が更に補正フィルタ処理部16、減算部17、及びフィードバックフィルタ処理部18を備える点が相違する。その他の構成については第1の実施形態と同一であるため、同一の参照番号を付して適宜説明を省略する。
補正フィルタ処理部16は、切替部13から入力された信号に対して、補正フィルタを用いて適宜フィルタ処理を行い、信号を補正して補正信号を生成する。そして、補正フィルタ処理部16は、補正信号を減算部17に出力する。信号処理装置10−2は補正フィルタ処理部16を備えなくてもよいが、補正フィルタ処理部16を備えることにより、後述するフィードバックフィルタ処理部18の不完全性を補完したり、通常動作時の音声信号の聴感を調整したりすることができる。
減算部17は、補正フィルタ処理部16から入力された補正信号から、AD変換部15から入力されたデジタル信号を減じてフィードバック信号を生成する。そして、減算部17は、フィードバック信号をフィードバックフィルタ処理部18に出力する。
フィードバックフィルタ処理部18は、減算部17から入力されたフィードバック信号に対して、フィードバックフィルタを用いてフィルタ処理を行い、フィルタ処理信号を生成する。そして、フィードバックフィルタ処理部18は、フィルタ処理信号をDA変換部14に出力する。フィードバックフィルタを用いることにより、外部ノイズを軽減するANC(Active Noise Cancellation)や、オクルージョン効果(外耳道閉塞効果)を抑制するAOC(Active Occlusion Cancellation)などを実現することができる。オクルージョン効果とは、イヤホンなどのヘッドセットにより外耳道が密閉されると、自分の音声について、ドラム缶やトンネルの中で話しているような洞音(ハロー音)やブーンと低音が響く音(ブーミー音)がする現象である(例えば、「補聴器ハンドブック 原著第2版」、p148を参照)。このとき、100〜1.5kHz程度の周波数領域で最大15dB前後のSPL(Sound Pressure Levels)の増加がみられる。
DA変換部14は、フィードバックフィルタ処理部18から入力されたフィルタ処理信号を、デジタル信号からアナログ信号に変換する。そして、DA変換部14は、生成したアナログ信号をスピーカ21に送信する。
<伝達関数の推定>
伝達関数推定処理時には、伝達関数推定信号発生部121は伝達関数推定信号Xを出力する。伝達関数推定信号Xが、切替部13、補正フィルタ処理部16、減算部17、フィードバックフィルタ処理部18、DA変換部14、及びスピーカ21を通してマイク22で収音されると、AD変換部15の出力信号Yは、次式で表される。すなわち、信号Yは切替部13により伝達関数推定信号が選択された場合(伝達関数推定処理時)のAD変換部15の出力信号である。Hは耳装着装置20のスピーカ21からマイク22までの空間伝達関数である。Kは補正フィルタの周波数領域の表現であり、Fはフィードバックフィルタの周波数領域の表現である。
Figure 2020120154
フィルタ係数決定部122は、Y/Xの演算を行うことで、伝達関数推定信号Xを耳装着装置20を介して送受信する系(切替部13、補正フィルタ処理部16、減算部17、フィードバックフィルタ処理部18、DA変換部14、耳装着装置20、及びAD変換部15で構成される系)の伝達関数Hを得る。式(3)より、伝達関数Hは次式で表される。
Figure 2020120154
<エコーキャンセル>
本実施形態では、オクルージョン効果を考慮してエコーキャンセルを実施する。発話信号をVとし、オクルージョン効果による補正項をGとすると、オクルージョン効果を含んだ音声信号はGVで表される。Gは、音声帯域に対して低域の周波数領域(100〜1.5kHz程度)で正のゲインを持つ。
切替部13が音声信号Rを選択し、音声信号を上記のGVとし、マイク22に入力される外乱信号(外部ノイズ)をNとした場合、AD変換部15の出力信号Y’は(KR−Y’)FH+GV+Nとなる。整理すると信号Y’は次式で表される。
Figure 2020120154
フィードバックフィルタ処理部18は、減算部17から入力された信号に対して、フィルタ処理を行う。フィードバックシステムにおける安定性を確保しながら、特定の周波数領域において高ゲインのフィルタを作成すれば、その周波数領域におけるマイク22に入力される外乱信号Nなどに対して、抑圧することができる。AD変換部15の出力信号Y’は式(5)で表されることから、例えばオクルージョン効果を抑制するためには、フィードバックフィルタFは次式を満たすように設計される。しかしながら、HやGの測定誤差により、通常は理想値からの差分δを含むため、厳密には式(6)の右辺は1+δとなる。
Figure 2020120154
補正フィルタ処理部16は、例えば、式(5)で表される信号Y’に対して、次式を満たすように補正フィルタKを設計した場合には、信号Y’の音声信号成分を、フィードバックフィルタFが存在しない場合と同様の信号とすることができる。しかしながら、HやGの測定誤差により、通常は理想値からの差分δを含むため、厳密には式(7)の右辺は1+δとなる。
Figure 2020120154
キャンセル信号生成部111は、音声信号Rと、フィルタ係数記憶部123から取得したフィルタ係数(=伝達関数)Hとの畳み込み演算を行い、HRをキャンセル信号として算出する。そして、キャンセル信号生成部111は、キャンセル信号を減算部112に出力する。
減算部112は、AD変換部15から入力された信号Y’から、キャンセル信号生成部111から入力されたキャンセル信号を減じて、送話信号Sを生成する。信号Y’が式(5)で表される場合には、送話信号Sは次式で表され、音声信号Rに関してエコーキャンセルを行うことができる。
Figure 2020120154
ここで、オクルージョンキャンセルのために、フィードバックフィルタFを式(6)を満たすように設計し、誤差δを考慮すると、送話信号Sは次式で表される。一般に、Gは音声帯域に対して低域の周波数領域(100〜1.5kHz程度)で正のゲインを持つという特徴があるため、この周波数領域で外乱Nもまた抑圧されることを意味する。
Figure 2020120154
上述したように、第2の実施形態に係る信号処理装置10−2は、減算部17から入力された信号に対してフィルタ処理を行うフィードバックフィルタ処理部18を備える。そのため、信号処理装置10−2、及び信号処理装置10−2を備えるヘッドセット2によれば、さらにオクルージョン効果を抑制するとともに、外部ノイズを軽減することが可能となる。
また、第2の実施形態に係る信号処理装置10−2は、切替部13が出力する信号に対してフィルタ処理を行う補正フィルタ処理部16を備えてもよい。その場合には、フィードバックフィルタ処理部18の不完全性を補完したり、音声信号の聴感を調整したりすることが可能となる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る信号処理装置及びヘッドセットについて説明する。図4は、本発明の第3の実施形態に係る信号処理装置及びヘッドセットの構成例を示す図である。図4に示すように、ヘッドセット3は、信号処理装置10−3と、耳装着装置20とを備える。信号処理装置10−3と耳装着装置20とは一体に構成されてもよいし、分離していてもよい。
信号処理装置10−3は、エコーキャンセル部11と、伝達関数推定部12と、切替部13と、DA変換部14と、AD変換部15と、補正フィルタ処理部16と、減算部17と、フィードバックフィルタ処理部18とを備える。第3の実施形態は第2の実施形態と比較して、フィードバックフィルタ処理部18の配置位置が相違する。その他の構成については第2の実施形態と同一であるため、同一の参照番号を付して適宜説明を省略する。
フィードバックフィルタ処理部18は、AD変換部15から入力された信号に対して、フィードバックフィルタを用いてフィルタ処理を行い、フィルタ処理信号を生成する。そして、フィードバックフィルタ処理部18は、フィルタ処理信号を減算部17に出力する。
減算部17は、補正フィルタ処理部16から入力された補正信号から、フィードバックフィルタ処理部18から入力されたフィルタ処理信号を減じてフィードバック信号を生成する。そして、減算部17は、フィードバック信号をDA変換部14に出力する。
<伝達関数の推定>
伝達関数推定処理時には、伝達関数推定信号発生部121は伝達関数推定信号Xを出力する。伝達関数推定信号Xが、切替部13、補正フィルタ処理部16、減算部17、DA変換部14、及びスピーカ21を通してマイク22で収音されると、AD変換部15の出力信号は、次式で表される。すなわち、信号Yは切替部13により伝達関数推定信号が選択された場合(伝達関数推定処理時)のAD変換部15の出力信号である。Hは耳装着装置20のスピーカ21からマイク22までの空間伝達関数である。Kは補正フィルタの周波数領域の表現であり、Fはフィードバックフィルタの周波数領域の表現である。
Figure 2020120154
フィルタ係数決定部122は、Y/Xの演算を行うことで、伝達関数推定信号を耳装着装置20を介して送受信する系(切替部13、補正フィルタ処理部16、減算部17、DA変換部14、耳装着装置20、AD変換部15、及びフィードバックフィルタ処理部18で構成されるシステム)の伝達関数Hを得る。式(10)より、伝達関数Hは次式で表される。
Figure 2020120154
<エコーキャンセル>
切替部13が音声信号Rを選択し、第2の実施形態と同様に音声信号をGVとし、マイク22に入力される外乱信号をNとした場合、AD変換部15の出力信号Y’は(KR−FY’)H+GV+Nとなる。整理すると信号Y’は次式で表される。
Figure 2020120154
フィードバックフィルタ処理部18は、AD変換部15から入力された信号に対して、フィルタ処理を行う。フィードバックシステムにおける安定性を確保しながら、特定の周波数領域において高ゲインのフィルタを作成すれば、その周波数領域におけるマイク22に入力される外乱信号Nなどに対して、抑圧することができる。AD変換部15の出力信号Y’は式(12)で表されることから、例えばオクルージョン効果を抑制するためには、フィードバックフィルタFは第2の実施形態と同様に式(6)を満たすように設計される。
補正フィルタ処理部16は、例えば、式(12)で表される信号Y’に対して、次式を満たすように補正フィルタKを設計した場合には、信号Y’を、フィードバックフィルタFが存在しない場合と同様の信号とすることができる。しかしながら、HやGの測定誤差により、通常は理想値からの差分δを含むため、厳密には式(13)の右辺は1+δとなる。
Figure 2020120154
キャンセル信号生成部111は、音声信号Rに、フィルタ係数記憶部123から取得したフィルタ係数(=伝達関数)Hとの畳み込み演算を行い、HRをキャンセル信号として算出する。そして、キャンセル信号生成部111は、キャンセル信号を減算部112に出力する。
減算部112は、AD変換部15から入力された信号Y’から、キャンセル信号生成部111から入力されたキャンセル信号を減じて、送話信号Sを生成する。信号Y’が式(12)で表される場合には、減算部112が出力する送話信号Sは第2の実施形態と同様に式(8)で表され、音声信号Rに関してエコーキャンセルを行うことができる。また、オクルージョンキャンセルのために、フィードバックフィルタFを式(6)を満たすように設計すると、送話信号Sは第2の実施形態と同様に式(9)で表される。
上述したように、第3の実施形態に係る信号処理装置10−3は、AD変換部15から入力された信号に対してフィルタ処理を行うフィードバックフィルタ処理部18を備える。そのため、信号処理装置10−3、及び信号処理装置10−3を備えるヘッドセット3によれば、第2の実施形態と同様に、オクルージョン効果を抑制するとともに、外部ノイズを軽減することが可能となる。
また、第3の実施形態に係る信号処理装置10−3は、切替部13が出力する信号に対してフィルタ処理を行う補正フィルタ処理部16を備えてもよい。その場合には、第2の実施形態と同様に、フィードバックフィルタ処理部18の不完全性を補完したり、音声信号の聴感を調整したりすることが可能となる。
なお、信号処理装置10−1,10−2,10−3として機能させるためにコンピュータを用いることも可能である。そのようなコンピュータは、信号処理装置10−1,10−2,10−3の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを該コンピュータの記憶部に格納しておき、該コンピュータのCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)によってこのプログラムを読み出して実行させることで実現することができる。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD−ROMやDVD−ROMなどの記録媒体であってもよい。
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
1,2,3 ヘッドセット
10−1,10−2,10−3 信号処理装置
11 エコーキャンセル部
12 伝達関数推定部
13 切替部
14 DA変換部
15 AD変換部
16 補正フィルタ処理部
17 減算部
18 フィードバックフィルタ処理部
20 耳装着装置
21 スピーカ
22 マイク
111 キャンセル信号生成部
112 減算部
121 伝達関数推定信号発生部
122 フィルタ係数決定部
123 フィルタ係数記憶部

Claims (8)

  1. 耳に装着される耳装着装置が有するスピーカに信号を送信するとともに、前記耳装着装置が有するマイクが収音する信号を受信する信号処理装置であって、
    予め定められた伝達関数推定信号を発生する伝達関数推定信号発生部と、
    前記伝達関数推定信号、又は当該信号処理装置に入力された音声信号を出力する切替部と、
    前記マイクにより収音された信号を受信し、該受信した受信信号と前記伝達関数推定信号とから、前記伝達関数推定信号を前記耳装着装置を介して送受信する系の伝達関数を推定し、該伝達関数を有するフィルタの係数を決定するフィルタ係数決定部と、
    前記受信信号から、前記音声信号及び前記係数の畳み込み演算結果を減じるエコーキャンセル部と、
    を備え、
    前記切替部が出力する信号を前記スピーカに送信する、信号処理装置。
  2. 前記切替部が出力する信号から前記受信信号を減じてフィードバック信号を生成する減算部と、
    前記フィードバック信号に対してフィルタ処理を行ってフィルタ処理信号を生成するフィードバックフィルタ処理部と、を更に備え、
    前記切替部が出力する信号に代えて前記フィルタ処理信号を前記スピーカに送信する、請求項1に記載の信号処理装置。
  3. 前記切替部が出力する信号に対してフィルタ処理を行って補正信号を生成する補正フィルタ処理部を更に備え、
    前記減算部は、前記補正信号から前記受信信号を減じて前記フィードバック信号を生成する、請求項2に記載の信号処理装置。
  4. 前記受信信号に対してフィルタ処理を行ってフィルタ処理信号を生成するフィードバックフィルタ処理部と、
    前記切替部が出力する信号から前記フィルタ処理信号を減じてフィードバック信号を生成する減算部と、を更に備え、
    前記切替部が出力する信号に代えて前記フィードバック信号を前記スピーカに送信する、請求項1に記載の信号処理装置。
  5. 前記切替部が出力する信号に対してフィルタ処理を行って補正信号を生成する補正フィルタ処理部を更に備え、
    前記減算部は、前記補正信号から前記フィルタ処理信号を減じて前記フィードバック信号を生成する、請求項4に記載の信号処理装置。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の信号処理装置と、
    前記スピーカ及び前記マイクを一体に有する耳装着装置と、
    を備える、ヘッドセット。
  7. コンピュータを請求項1から5のいずれか一項に記載の信号処理装置として機能させる、プログラム。
  8. 請求項7に記載のプログラムを有する、コンピュータ読み取り可能な媒体。
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