JP6196070B2 - こもり音低減装置及びそれを備えた補聴器、オーディオ用イヤホン、耳せん - Google Patents

こもり音低減装置及びそれを備えた補聴器、オーディオ用イヤホン、耳せん Download PDF

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Description

本発明は、外耳道の密閉によるこもり音に起因するこもり感や圧迫感などを抑制するこもり音低減装置と、このこもり音低減装置を備えた補聴器、オーディオ用イヤホン、耳せんに関する。
一般に、耳あな型補聴器や耳せんなどは、外耳道を密閉した状態で装着されるため、音が外耳道から外部の空間に放射されない構造となっている。そのため、補聴器等の使用者の自声の響き音や咀嚼音などにより、使用者にとって不快なこもり感や圧迫感を与えることが問題となる。ここで、上述の構造を有する補聴器等において、こもり感や圧迫感などの要因となる外耳道内の自声の響き音や咀嚼音など(以下、「こもり音」と呼ぶ)は、主に約1kHz以下の低域周波数成分からなる。従来から、この種のこもり音に起因するこもり感や圧迫感を解消する対策が提案されている(特許文献1〜4参照)。
上記従来の対策としては、例えば、特許文献1に開示されているように、外耳道と外部を連通するベントを形成し、このベントを通して外耳道内のこもり音を放出する手法や、例えば、特許文献2、3に開示されているように、外耳道内の音を電気信号に変換する外耳道用マイクロホンを設け、この外耳道用マイクロホンの出力信号に基づいて、こもり音を打ち消す信号を算出する手法や、例えば、特許文献4に開示されているように、上記の外耳道用マイクロホンを設け、この外耳道用マイクロホンの出力信号を用いて負帰還をかける負帰還回路を設ける手法が知られている。
特開2008−199192号公報 特開2007−235364号公報 特開平10−126893号公報 特開平6−19486号公報
しかしながら、ベントを設ける手法を採用する場合、ハウリングを防止するためにゲインや出力音圧を制限しなくてはならないため、使用者が聴こえやすい程度の十分な音圧を得ることが難しい場合がある。また、外耳道用マイクロホンの出力信号に基づき、こもり音を打ち消す信号を算出する手法を採用する場合、こもり音を打ち消す信号を生成するための高度な信号処理技術が必要となり、構成の複雑化と消費電力の増加が避けられない。さらに、外耳道用マイクロホンの出力信号に基づき、外耳道用マイクロホンと負帰還回路を設ける手法を採用する場合、構成は簡素化できるものの、負帰還ループにおいて、レシーバから外耳道内の空間を伝搬する音の経路を経て外耳道用マイクロホンに至る伝達特性が介在することになり、その伝達特性を反映して負帰還信号の高域周波数成分(例えば、1kHz以上)で発振しやすくなるため負帰還のゲインを制限しなければならないという問題がある。このように、従来の補聴器等によれば、比較的簡素な構成で、外耳道内の密閉時のこもり音を有効に低減する手法は提案されていなかった。
本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、外耳道用マイクロホンと負帰還部を用いる構成で問題となる発振を有効に防止しつつ、使用者にとって不快な外耳道内のこもり音を十分に低減し得るこもり音低減装置等を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のこもり音低減装置は、伝送経路を介して入力される第1の信号(S1(n))を音に変換して外耳道内の空間に出力するレシーバ(4)と、前記外耳道内を伝搬する音を第2の信号(S2(n))に変換する外耳道用マイクロホン(5)と、前記レシーバの入力側から前記外耳道内の空間を経由して前記外耳道用マイクロホンの出力側に至る経路に対応する所定の伝達関数(R(z)・F(z)・M(z))を適応的に推定し、前記第2の信号のうち前記経路を伝搬した前記第の信号の成分である推定信号(y(n))を生成する適応フィルタ(43)を含む信号推定部(42、43、44)と、前記第2の信号から前記推定信号を減算して第3の信号(S3(n))を生成する減算部(45)と、前記負帰還経路を伝送される前記第3の信号を所定の負帰還量で前記伝送経路に負帰還させる負帰還部(40、41)とを備えて構成され、前記信号推定部は、前記第1の信号の入力側に挿入されたハイパスフィルタを含み、前記適応フィルタは前記第2の信号のうち前記経路を伝搬した前記第1の信号の所定の高域周波数成分を推定することを特徴とする
本発明のこもり音低減装置によれば、外耳道内の密閉時に伝搬するこもり音への対策のため、外耳道用マイクロホンから、負帰還経路、伝送経路、レシーバを経由して外耳道内に至る負帰還ループを構成するとともに、この負帰還ループに対し、上記伝送経路の第1の信号を入力し、第2の信号の所定の周波数成分を適応的に推定して推定信号を生成する信号推定部を併設し、推定信号の負帰還量を低減可能な構成を採用する。よって、こもり音が存在しない所定の周波数成分(例えば、1kHz以上の高域周波数成分)の負帰還量を抑制することで、レシーバから外耳道内を経由して外耳道用マイクロホンに至る経路における所定の周波数成分の位相変化に起因する発振を防止できるので、こもり音の周波数成分に対する十分な負帰還量を確保して、こもり音を減衰させることができる。
た、本発明の信号推定部は、第の信号及びハイパスフィルタの出力信号に基づいて、適応フィルタのフィルタ係数を更新する係数更新部を含めて構成することができる。この場合、例えば、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムに従って適応フィルタのフィルタ係数を更新する係数更新部を採用することができる。
また、上記課題を解決するために、本発明に係る補聴器は、上述のこもり音低減装置と、外部音を電気信号に変換する外部マイクロホンと、前記外部マイクロホンの出力信号に対し補聴処理を施す補聴処理部と、前記補聴処理部の出力信号に対し、前記負帰還部による前記低域周波数成分の減衰分を予め補正する補正部とを備えて構成される。また、本発明に係るオーディオ用イヤホンは、上述のこもり音低減装置と、外部からの入力信号に対し、前記負帰還部による前記低域周波数成分の減衰分を予め補正する補正部とを備えて構成される。また、本発明に係る耳せんは、上述のこもり音低減装置を備えて構成される。これらの補聴器、オーディオ用イヤホン、耳せんのいずれに関しても、上記こもり音低減装置により得られる作用、効果を実現することができる。
以上説明したように、本発明によれば、外耳道用マイクロホンを用いて負帰還をかける手法を前提としつつ、外耳道内を経路とする伝達特性による位相変化の影響が大きい所定の周波数成分で生じる発振を防止することができる。よって、複雑な構成と消費電力の増加を回避しつつ、負帰還部の負帰還量を増加させて確実にこもり音を低減させ、外耳道を密閉しても使用者にとって不快なこもり感や圧迫感の少ないこもり音低減装置を実現することができる。また、このこもり音低減装置を、補聴器、オーディオ用イヤホン、耳せんに組み込むことにより、これらの機器の使用時において、こもり音を確実に低減して、こもり感などの不快感を低減することができる。
本実施形態の補聴器の概略の構成を示すブロック図である。 本実施形態の補聴器において、ディジタル信号処理に関連する信号処理部3及びその周辺部を含む主要部の構成例を示すブロック図である。 本実施形態のオーディオ用イヤホンにおいて、ディジタル信号処理に関連する主要部の構成例を示すブロック図である。 本実施形態の耳せんにおいて、ディジタル信号処理に関連する主要部の構成例を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は、使用者の外耳道内に装着可能な補聴器、耳せん、オーディオ用イヤホンと、これらの機器の主要部であるこもり音低減装置のそれぞれに対し、本発明を適用した例である。
[補聴器]
以下、本発明を適用した補聴器の実施形態を説明する。図1は、本実施形態の補聴器1の概略の構成を示すブロック図である。図1に示す補聴器1は、使用者の耳に挿入可能な形状を有する筐体としてのケースC内に、外部マイクロホン2と、信号処理部3と、レシーバ4と、外耳道用マイクロホン5と、電池ホルダ6及びその内部のボタン電池7とをそれぞれ収容して構成される。ケースCは、耳の外部空間に面するフェースプレートC1と、外耳道10に配置されるシェルC2からなる。フェースプレートC1には、外部マイクロホン2が音口などを介して取り付けられ、シェルC2のうち外耳道10の奥の鼓膜11との間の空間Sに面した部分には、レシーバ4と外耳道用マイクロホン5がそれぞれ音口などを介して取り付けられている。
図1の構成において、外部マイクロホン2は、外部空間から伝わる音を収集し、電気信号に変換する。これに対し、外耳道用マイクロホン5は、外耳道10内の空間Sから伝わる音を収集し、電気信号に変換する。外部マイクロホン2及び外耳道用マイクロホン5としては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、動電型、コンデンサ型、圧電型などの多様なマイクロホンを用いることができる。また、外耳道用マイクロホン5の近傍のレシーバ4は、電気信号を音に変換し、上記の空間Sに出力する。レシーバ4としては、動電型や電磁型などのレシーバを用いることができる。信号処理部3は、外部マイクロホン2及び外耳道用マイクロホン5からそれぞれ入力される電気信号と、レシーバ4に出力される電気信号とに対して信号処理を施す。信号処理部3は、例えば、ディジタル信号処理を実行可能なDSP(Digital Signal Processor)を用いて構成することができる。電池ホルダ6の内部に保持されるボタン電池7は、補聴器1の各構成部材に対して電源を供給する。なお、必要に応じて電池ホルダ6の開口部を開閉してボタン電池7の交換が可能に構成されている。
上記の構成のうち、外耳道10内の空間S側に位置するレシーバ4及び外耳道用マイクロホン5は、信号処理部3の機能に基づいて、外耳道10内のこもり音を低減するために必要な部品である。すなわち、ケースCによって外耳道10の開口が塞がれていると、補聴器1の使用者の自声や咀嚼音などが外耳道10に伝わったときに、その音が大きく聞こえる(こもり音)ため、使用者に不快感(こもり感)を与える恐れがある。そのための対策として、信号処理部3の機能に基づき、こもり音の低減処理を実行するものであるが、詳細については後述する。
次に図2は、本実施形態の補聴器1において、ディジタル信号処理に関連する信号処理部3及びその周辺部を含む主要部の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、信号処理部3の機能要素には、補聴処理部20と、補正部21と、こもり音低減部22が含まれる。なお、図2においては省略しているが、外部マイクロホン2及び外耳道用マイクロホン5の出力側には、アナログ信号をディジタル信号に変換するAD変換器を設けるとともに、レシーバ4の入力側には、ディジタル信号をアナログ信号に変換するDA変換器を設ける。
以上の構成において、補聴処理部20は、外部マイクロホン2の出力信号を入力し、使用者の聴力特性や使用環境に応じて個別に設定された所定の補聴処理を施す手段である。補聴処理部20によって施される補聴処理としては、例えば、外部マイクロホン2の出力信号に対するマルチバンドコンプレッション、ノイズリダクション、トーンコントロール、ボリュームコントロール、出力制限処理などの多様な処理を適用可能である。
補正部21は、補聴処理後の信号に対し、こもり音低減部22の後述の動作により減衰してしまう周波数成分(主に低域周波数)の減衰分を予め補正する手段である。図2の例では、補聴処理部20の出力信号のうち補正が必要な周波数成分を抽出するフィルタ30と、フィルタ30の出力信号を増幅する増幅器31と、補聴処理部20の出力信号と増幅器31の出力信号を加算する加算部32とにより構成される。なお、補正部21は、図2の構成には限らず、所望の補正を実現し得る多様な構成を適用することができる。また、図2の例では、補正部21が補聴処理部20とは別に設けられているが、補正部21を補聴処理部20の内部に設ける構成を採用してもよい。
こもり音低減部22は、上述したように、外耳道10内のこもり音を低減する役割があり、反転増幅部40と、加算部41と、ハイパスフィルタ42と、適応フィルタ43と、係数更新部44と、減算部45を備えて構成される。ここで、こもり音低減部22は図1のレシーバ4及び外耳道用マイクロホン5のそれぞれと接続されるが、図2においては、レシーバ4の伝達関数R(z)と、外耳道用マイクロホン5の伝達関数M(z)と、外耳道10内の空間Sにおけるレシーバ4の出力側から外耳道用マイクロホン5の入力側に至る経路の伝達関数F(z)をそれぞれ用いて表している。また、こもり音は、自声などが外耳道10内に至る経路のインピーダンスZoを介して外耳道用マイクロホン5に入力されるものとして表される。
図2に示すように、こもり音低減部22には、補正部21から出力される信号Sin(n)が入力される。一方、反転増幅部40は、後述の負帰還経路を伝送される信号S(n)を所定のゲインで増幅し、その極性を反転して信号−Sfb(n)を出力する。加算部41は、信号Sin(n)と信号−Sfb(n)とを加算して信号S(n)を生成する。つまり、信号S(n)は、次式で表すことができる。
(n)=Sin(n)−Sfb(n)
なお、反転増幅部40及び加算部41は、負帰還経路を伝送される信号S(n)と同じ極性の信号Sfb(n)を出力する増幅部と、信号Sin(n)から信号Sfb(n)を減算する減算部とで置き換えて考えても同様の機能を実現できる。
加算部41から出力される信号S(n)は、加算部41からレシーバ4の入力側に至る伝送経路を介して伝送され、レシーバ4によって音に変換される。この音は、外耳道10内の空間Sを経由して外耳道用マイクロホン5に入力された後、再び電気信号に変換される。すなわち、レシーバ4に入力される信号S(n)は、それぞれの伝達関数R(z)、F(z)、M(z)を順次経由して、外耳道用マイクロホン5を介して信号S(n)が生成されることになる。ここで、図2に示すように、外耳道用マイクロホン5には、レシーバ4から出力される音に加えて、上記音響インピーダンスZoの経路を介してこもり音が合成された音が入力される。従って、外耳道用マイクロホン5から出力される信号S(n)には、こもり音の成分が含まれるので、それを負帰還によって十分に低減する必要がある。
一方、ハイパスフィルタ42は、レシーバ4の入力側(伝送経路)の信号S(n)を入力し、信号S(n)に含まれる低域周波数成分を除去し、適応フィルタ43への入力信号x(n)を生成する。ここで、ハイパスフィルタ42は、後述の作用により、こもり音の周波数成分を低減させる必要があるため、そのカットオフ周波数はこもり音の周波数範囲より高い周波数に設定することが望ましい。例えば、1kHz程度のカットオフ周波数に設定することができる。
なお、図2においては、適応フィルタ43の入力側に、高域周波数成分を通過させるハイパスフィルタ42を挿入した例を示しているが、本発明は、高域周波数成分を通過させるハイパスフィルタ42には限定されることなく、後述の発振対策を施すべき所定の周波数帯域を抽出するフィルタを挿入することができる。
適応フィルタ43は、入力信号x(n)に対し、係数更新部44から出力されるフィルタ係数を用いて、伝達関数W(z)に基づくフィルタ演算を行い、出力信号y(n)を生成する。なお、適応フィルタ43としては、例えば、所定のタップ数(例えば、32タップ)を有するFIR(Finite Impulse Response)を用いることができる。係数更新部44は、反転増幅部40に入力される上述の信号S(n)と適応フィルタ43への入力信号x(n)とに基づいて、適応フィルタ43に供給すべきフィルタ係数を算出する。すなわち、係数更新部44においては、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムに従って、信号S(n)の二乗平均を最小化するようなフィルタ係数が算出される。
ここで、レシーバ4の入力から外耳道用マイクロホン5の出力に至るまでの総合的な伝達関数H(z)を、上述の各伝達関数R(z)、F(z)、M(z)を用いて、
H(z)=R(z)・F(z)・M(z)
と表したとき、適応フィルタ43の伝達関数W(z)は、上記伝達関数H(z)のうちの高域周波数成分を推定した特性を有する。よって、例えば、ハイパスフィルタ42のカットオフ周波数が1kHzであるとき、適応フィルタ43の出力信号y(n)は、レシーバ4から外耳道用マイクロホン5に至る経路を介して伝送される信号S(n)のうち、1kHz以上の高域周波数成分を適応的に推定した推定信号である。
減算部45は、外耳道用マイクロホン5の出力側(負帰還経路)から入力される信号S(n)から適応フィルタ43の出力信号y(n)を減算し、それを上記S(n)として生成する。つまり、信号S(n)は、次式で表すことができる。
(n)=S(n)−y(n)
既に説明したように、減算部45から出力される信号S(n)は反転増幅部40に入力される。以上のように、反転増幅部40と、加算部41と、伝送経路と、レシーバ4と、外耳道10内の空間Sと、外耳道用マイクロホン5と、前述の負帰還経路は負帰還ループを構成する。このうち、反転増幅部40及び加算部41は、本発明の負帰還部として機能する。一方、ハイパスフィルタ42、適応フィルタ43、係数更新部44は、本発明の信号推定部として機能する。すなわち、負帰還ループにおいて上記負帰還部のみが設けられている場合、反転増幅部40の周波数特性が平坦であるため、こもり音が存在する低域周波数成分に加えて、それより高い高域周波数成分も負帰還されることになるので、発振しやすくなるため、反転増幅部40のゲインをあまり大きくできない。これに対し、本発明はハイパスフィルタ42を有する上記信号推定部により、負帰還経路の伝送信号から適応的に推定した高域周波数成分を除去でき、こもり音が存在する低域周波数成分のみが負帰還されることになるので、位相変化の大きい高域周波数成分に起因する発振を防止することができる。
本実施形態では、上記信号推定部の作用により、高域周波数成分を除去することで、高周波数成分に起因する発振を有効に防止することが可能となる。この場合、補聴器1の使用者の装着状態が変わることで上述の伝達関数H(z)が変動したとしても、適応フィルタ43の伝達関数W(z)が追随することで、高域周波数成分の発振を適切に抑制することができる。これにより、負帰還量を大きくしても発振のリスクが小さく、十分な負帰還量を確保することにより、こもり音を十分に低減することができる。従って、補聴器1を装着した使用者は、外耳道10内でこもり音が十分に抑制された快適な音を聞くことができる。なお、以上のように、こもり音低減部22の構成に基づき、その負帰還量に応じてレシーバ4から出力される補聴処理後の信号の低域周波数成分のレベルが小さくなるため、このレベル低下分を上述の補正部21で補償しておく必要がある。
以上、本実施形態に基づき、本発明を適用した補聴器1について具体的に説明したが、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことができる。
[オーディオ用イヤホン]
以下、本発明を適用したオーディオ用イヤホンの実施形態を説明する。本実施形態のオーディオ用イヤホンは、多くの点で上述の補聴器1と共通であるため、以下で主に異なる点について説明する。図3は、本実施形態のオーディオ用イヤホン50において、ディジタル信号処理に関連する主要部の構成例を示すブロック図である。図3には、オーディオ用イヤホン本体(不図示)に内蔵される構成要素と、外部に設けたオーディオ装置51が示される。このうち、信号処理部3の補正部21及びこもり音低減部22と、レシーバ4と、外耳道用マイクロホン5については、上述の補聴器1(図2)と同様であるため、説明を省略する。一方、図3の構成のうち図2と異なるのは、外部マイクロホン2及び補聴処理部20を設けることなく、オーディオ装置51を補正部21に接続した点である。また、補聴器1に比べても周波数帯域が広くなるので、その点を考慮して補正部21、反転増幅部40、ハイパスフィルタ42のそれぞれの周波数特性を設定することが望ましい。
図3において、オーディオ装置51から送出されるオーディオ信号は、補正部21及びこもり音低減部22を経由してレシーバ4から音として出力される。レシーバ4、外耳道用マイクロホン5及びこもり音低減部22による負帰還ループと、適応フィルタ43を含む信号推定部の役割については、既に説明した通りであり、負帰還ループにおける発振を有効に防止しつつ、こもり音を十分に低減できる。なお、レシーバ4と外耳道用マイクロホン5は、オーディオ用イヤホン50に内蔵してもよい。また、補正部21やこもり音低減部22はオーディオ装置51に内蔵してもよいし、オーディオ用イヤホン50とオーディオ装置51との間に別体として配置してもよい。
[耳せん]
以下、本発明を適用した耳せんの実施形態を説明する。本実施形態の耳せんは、その主要部が上述の補聴器1の部分的な構成と共通であるため、以下では主に異なる点について説明する。図4は、本実施形態の耳せん60において、ディジタル信号処理に関連する主要部の構成例を示すブロック図である。図4には、例えば、シリコン系、ウレタン系、ABS系などの樹脂材料により形成される耳せん本体(不図示)に内蔵される構成要素が示される。また、図4の耳せん60は、各部に電力を供給する電池等の電源(不図示)を備えている。このうち、こもり音低減部22、レシーバ4、外耳道用マイクロホン5については、上述の補聴器1(図2)と同様であるため、説明を省略する。図4の構成のうち図2と異なるのは、外部マイクロホン2、補聴処理部20、補正部21を設けない点と、こもり音低減部22に対して信号Sin(n)を入力することなく閉じた負帰還ループを構成した点である。
一般的な耳せんは、補聴器やオーディオ用イヤホンのように外部からの入力信号は不要であり、そのための構成は通常不要である。しかし、耳せんを使用者が装着している際に外耳道10を密閉した状態になると、こもり音により不快感は避けられない。よって、本実施形態の耳せん60は、こもり音低減部22を搭載することにより、こもり感を低減して使用者の不快感の解消を図っている。この場合、こもり音だけではなく、使用者の頭部周囲から外耳道10に侵入する音についても有効に低減できる。レシーバ4、外耳道用マイクロホン5及びこもり音低減部22による負帰還ループと、適応フィルタ43を含む信号推定部の役割については、既に説明した通りであり、負帰還ループにおける発振を有効に防止しつつ、こもり音を十分に低減できる。
[こもり音低減装置]
上記各実施形態では、本発明を、補聴器1、オーディオ用イヤホン50、耳せん60にそれぞれ適用する場合を説明したが、本発明は、これらに限らず多様な形態のこもり音低減装置に適用することができる。すなわち、図2、図3、図4にそれぞれ示したこもり音低減部22と、レシーバ4と、外耳道用マイクロホン5とを備えたこもり音低減装置を構成し、単独で、あるいは他の機器に組み込んで本発明を適用することができる。このようなこもり音低減装置は、使用者の外耳道10に装着可能で、こもり音を低減する機能を有していれば、それ以外の点については多様な機能や構成を持たせることができる。
1…補聴器
2…外部マイクロホン
3…信号処理部
4…レシーバ
5…外耳道用マイクロホン
6…電池ホルダ
7…ボタン電池
10…外耳道
11…鼓膜
20…補聴処理部
21…補正部
22…こもり音低減部
30…フィルタ
31…増幅器
32…加算部
40…反転増幅部
41…加算部
42…ハイパスフィルタ
43…適応フィルタ
44…係数更新部
45…減算部
50…オーディオ用イヤホン
51…オーディオ装置
60…耳せん

Claims (6)

  1. 伝送経路を介して入力される第1の信号を音に変換して外耳道内の空間に出力するレシーバと、
    前記外耳道内を伝搬する音を第2の信号に変換する外耳道用マイクロホンと、
    所定の周波数成分に対し前記レシーバの入力側から前記外耳道内の空間を経由して前記外耳道用マイクロホンの出力側に至る経路に対応する伝達関数を適応的に推定し、この推定した伝達関数に基づいて、前記第1の信号を入力して推定信号を生成する適応フィルタを含む信号推定部と、
    前記第2の信号から前記推定信号を減算して第3の信号を生成する減算部と、
    帰還経路を伝送される前記第3の信号を所定の負帰還量で前記伝送経路に負帰還させる負帰還部と、
    を備え
    前記信号推定部は、前記第1の信号の入力側に挿入されたハイパスフィルタを含み、前記適応フィルタは前記第2の信号のうち前記経路を伝搬した前記第1の信号の所定の高域周波数成分を推定することを特徴とするこもり音低減装置。
  2. 前記信号推定部は、前記第3の信号及び前記ハイパスフィルタの出力信号に基づいて、
    前記適応フィルタのフィルタ係数を更新する係数更新部を含むことを特徴とする請求項に記載のこもり音低減装置。
  3. 前記係数更新部は、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムに従って前記適応フィル
    タのフィルタ係数を更新することを特徴とする請求項に記載のこもり音低減装置。
  4. 請求項1からまでのいずれか1項に記載のこもり音低減装置と、
    外部音を電気信号に変換する外部マイクロホンと、
    前記外部マイクロホンの出力信号に対し補聴処理を施す補聴処理部と、
    前記補聴処理部の出力信号に対し、前記負帰還部による低域周波数成分の減衰分を予め補正する補正部と、
    を備えることを特徴とする補聴器。
  5. 請求項1からまでのいずれか1項に記載のこもり音低減装置と、
    外部からの入力信号に対し、前記負帰還部による低域周波数成分の減衰分を予め補正する補正部と、
    を備えることを特徴とするオーディオ用イヤホン。
  6. 請求項1からまでのいずれか1項に記載のこもり音低減装置を備えることを特徴とする耳せん。
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