JP2009229514A - ドラムパッド - Google Patents

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Abstract

【課題】打撃面の打撃の際に、大きな打撃音を生じさせることなく、スティックが適当な接触時間でよく弾むようにする。
【解決手段】ドラムパッド10をスティック11で打撃した際の接触時間Tが、3〜9msecの範囲内であり、且つ、反発係数eが0.7以上となるように構成する。これを実現するために用いる発泡体自身の物性としては、そのゴム硬度が、JIS(K7312)によるアスカーCで10〜60の範囲内であり、且つ、温度20°Cにおける損失正接tanδが0.1以下であればよい。具体的に用いる発泡体の素材は、例えば、発泡性のシリコーンゴム(二液型RTVゴム)であり、液状のA剤とB剤を混合し、2倍の発泡倍率となるように、金型20でドラムパッド10を成形する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子ドラムのパッドや練習用パッドとして用いられるドラムパッドに関する。
従来、電子ドラム等に適用されるドラムパッドが知られている。この種のドラムパッドにおいては、打撃感触を、アコースティックドラムのパッドのそれになるべく近づけたいとの要求がある。
良好な打撃感触を実現するための具体的な要素としては、まず、スティックで打撃した際に、よく弾むこと、すなわち、反発係数が大きいことが挙げられる。弾まないと、例えば、連打性能が劣るからである。
また、打面が適当な硬さであり、スティックで打撃した際の接触時間が適当な値であることも重要である。例えば、接触時間が長すぎると連打性が悪くなり、接触時間が短すぎると手や肘に痛みが生じるからである。
さらに、打撃した箇所の慣性質量は、小さい方がよい。例えば、慣性質量が大きすぎると手や肘に痛みが生じるからである。
また、電子ドラムでは、電子的に楽音を発生させるわけであるから、ドラムパッドを打撃したことによる打撃音自体は、電子音にかぶらないように極力小さい方がよく、消音性も重要となる。
これらの要素のいずれかの観点で、従来のドラムパッドにおいては、各種の工夫が施されている。例えば、張力をもたせたアコースティックドラムのフィルムを打面に適用したものがある。
また、打面に、ゴム等の弾性体を用いたもの(下記特許文献1)、ゲルを用いたもの(下記特許文献2)、張力を持たせた網状素材を用いたもの(下記特許文献3)、発泡体を用いたもの(下記特許文献4)も知られている。
特開平7−28459号公報 特開平9−311684号公報 特許3710566号公報 特開2005−250340号公報
しかしながら、上記従来の、張力をもたせたアコースティックドラムのフィルムを打面に適用したものでは、打撃感触を損なうことなくフィルムの打撃音をなくすことは大変難しく、消音性に劣る。
また、上記特許文献1等のような、ゴムを用いたパッドでは、打撃音が大きいという欠点がある。それだけでなく、硬すぎるゴムを使用すると、強打時に強い衝撃反力が生じ、痛みを感じる。一方、柔らかすぎるゴムを使用すると、反発係数が小さくなって弾まなくなり、強く速いフレーズの演奏を著しく困難にする。そのため、大きな反発係数と適切な接触時間の両立が困難である。しかも、柔らかすぎるゴムを使用すると、打撃された箇所の慣性質量が大きくなって、連打時等に痛みを感じさせることにもなる。
また、上記特許文献2では、ゲルが柔らかいため、打面の反発係数が小さくなって、スティックが弾まなくなるだけでなく、打撃箇所の慣性質量が大きく、痛みを感じさせる。
また、上記特許文献3では、ドラムのボディの共振も含んだ打撃音が生じ、消音性が十分でない。一方、網状部分の網目の開口を大きくして消音性を向上させたとすると、網状部分の強度が下がり、強打時に破れやすくなるという欠点がある。
また、上記特許文献4のように、単に発泡体を用いたというだけでは、大きな反発係数と適切な接触時間の両立が困難である。特に、上記特許文献4では、発泡体を用いた目的が、パッドにおける表層部と本体部との接着性を向上させるためである。段落番号[0021]に例示されているオレフィン系熱可塑性エラストマを用いたのでは、適当な硬さで良好に反発するようなパッドにはならない。
このように、良好な消音性を前提として、打撃感触を向上させる上で、よく弾み、且つ、スティックによる打撃の際の打面との接触時間が適当な値であるドラムパッドを実現するのが困難であるという問題があった。さらには、打撃された箇所の慣性質量は、できるだけ小さくすることも望まれる。
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、打撃面の打撃の際に、大きな打撃音を生じさせることなく、スティックが適当な接触時間でよく弾むようにすることができるドラムパッドを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の請求項1のドラムパッドは、打撃時に変形する打面部の少なくとも一部が、独立気泡を有するゴム性の発泡体でなり、前記発泡体でなる部分をスティックで打撃した際の接触時間が、3〜9msecの範囲内であり、且つ、反発係数が0.7以上であることを特徴とする。
上記目的を達成するために本発明の請求項2のドラムパッドは、打撃時に変形する打面部の少なくとも一部が、独立気泡を有するゴム性の発泡体でなり、前記発泡体は、そのゴム硬度がアスカーCで10〜60の範囲内であり、且つ、温度20°Cにおける損失正接が0.1以下であることを特徴とする。
好ましくは、前記発泡体の独立気泡率が、60%以上である(請求項3)。前記発泡体の比重は0.2〜0.7の範囲内である(請求項4)。前記発泡体は、天然ゴム、ジエン系ゴム、ウレタン系ゴム及びシリコーン系ゴムの少なくとも1つを含むゴムを発泡させてなる(請求項5)。前記発泡体は、シロキサン結合を主骨格に有する(請求項6)。
本発明の請求項1、2によれば、打撃面の打撃の際に、大きな打撃音を生じさせることなく、スティックが適当な接触時間でよく弾むようにすることができる。
請求項3によれば、反発係数を高めるのが容易となる。
請求項4によれば、打撃した箇所の慣性質量を小さくでき、痛みを軽減することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1(a)は、本発明の一実施の形態に係るドラムパッドの模式的な斜視図である。このドラムパッド10は、例えば、電子ドラム用のパッドや、打撃データを入力して発音用のデータ得る打撃入力装置に適用されるが、これらに限らず、単に、単独で卓上等に置いて打撃の練習を行うのに用いるものであってもよい。サイズの一例として、例えば、ドラムパッド10の直径φは260mmで、厚みtは20mmであるが、これらに限られない。
図1(b)は、様々なドラムパッドを試作し、打撃して、接触時間及び反発係数によって打撃感触がどのようであるかを示した図である。
ドラムパッド10を、その硬さや反発係数が様々な組み合わせとなるようにゴムで他種類作製し、それらの外縁部を保持した状態で、ドラムパッド10の上面である打面10aを奏者がスティック11で試験打撃した(図1(a)参照)。その際の打撃強さは、物性を線形で把握しやすくするために比較的弱い打撃とした。そして、スティック11とドラムパッド10との接触時間T(msec)を横軸にとり、反発係数eを縦軸にとって、各試作品について実測してプロットした。ドラムパッド10に対して当接する直前のスティック11の先端部の速度(相対速度)で、当接して跳ね返った直後のスティック11の先端部の速度(相対速度)を割った値が、反発係数eである(速度反発係数)。
試験の結果、同図(b)における領域A〜Fのうち、領域Bにあるドラムパッド10が、最も打撃感触が良好であることが判明した。ここで、接触時間Tについては、領域A、Dと領域B、Eとの境の値は3msecであり、領域B、Eと領域C、Fとの境の値は9msecである。また、反発係数eについては、領域A、B、Cと領域D、E、Fとの境の値は0.7である。
領域Bでは、適度の硬さ感があり、スティック11がよく弾んで連打も自在であって、打撃していて楽しいと評価された。アコースティックドラムはこの領域Bに入ると考えられる。
奏者による評価は、以下の通りであった。
領域A:弾むが硬くて痛い。
領域B:たたいて楽しい。
領域C:フワフワで連打できない。
領域D:硬いのに弾まないので痛いしつまらない。
領域E:硬さは良くても弾まないのでつまらない。
領域F:柔らかすぎザブトンみたいで、跳ねない。
各領域に入るパッド材料の例は次の通りである。
領域A:高反発の、BR(ブタジエン系ラバー)、NR(天然ゴム)などのソリッドゴム
領域B:シリコーンゴム、BR、NRなどを独立発泡させた高反発発泡体(後述する第1、第2実施例)
領域C:シリコーンゴム、BR、NRなどを高発泡率で独立発泡させた軟質高反発発泡体
領域D:NBR(ニトリルゴム)、AR(アクリルゴム)、IIR(ブチルゴム)などを単独もしくはブレンドしたゴム
領域E:上記領域Dのゴムにオイルを添加、または連続気泡で発泡させて、硬度を下げたもの
領域F:上記領域Eのゴムにオイルを添加して、高発泡率に連続気泡で発泡させ、硬度をさらに下げたもの
上記の評価を分析して、以下のような事項が判明した。
まず、接触時間Tに関しては、接触時間Tが短すぎると、打撃時に痛みを感じる。一方、接触時間Tが長すぎると、スティック11の打面10aへの当接開始から跳ね返りまでの時間が長くなりすぎ、連打性が悪くなる。通常、ドラムパッド10が硬いほど、接触時間Tが短くなる。
一方、反発係数eについては、反発係数eが高いほど、演奏しやすく、楽しい打感となる。反発係数eが低いと、スティック11の跳ね返りが弱く連打ができなくなるだけでなく、疲れやすく鈍く不快な打感となる。
すなわち、適度に柔らかい硬さをもち、高反発のパッドが最も好まれることが分かり、反発係数を高く維持したまま、ゴム硬度を適度に下げることが有用であることがわかった。
ところで、通常、電子ドラムパッドに広く使われているソリッドのゴムは、領域A、または領域Dに入る。仮に、領域Aのゴムに、オイルなどの添加剤をいれてゴム硬度を下げると、接触時間Tは長くできるが、損失正接tanδが上がるため、反発係数eが下がり、さらに比重ρも元々大きいため、鈍重なパッドしかできない。ここで、損失正接tanδは、パッドを構成する部材の動的損失弾性率をE’’(Pa;パスカル)、動的貯蔵弾性率をE’(Pa)とすると、E’’/E’で表される。損失正接tanδが大きいと、運動エネルギの多くが熱エネルギに変換され、スティック11の跳ね返りのために回収できるエネルギが減少する。
また、領域Aのゴムを発泡させてゴム硬度を下げてスポンジ状にすると、接触時間Tは長くでき、比重ρも小さくできるが、打撃でスポンジの中の空気を追い出す際にエネルギを消費してしまい、スティック11が跳ねなくなる。
そこで、本実施の形態では、ドラムパッド10を上記領域Bに入るように構成した。具体的には、ドラムパッド10を発泡体で構成し、スティック11で打撃した際の接触時間Tが、3〜9msecの範囲内であり、且つ、反発係数eが0.7以上となるように構成した。これを実現するために用いる発泡体自身の物性としては、そのゴム硬度が、JIS(K7312)によるアスカーCで10〜60の範囲内であり、且つ、温度20°Cにおける損失正接tanδが0.1以下であればよい。
反発係数eの理論上の最大値は1で、損失正接tanδの理論上の最小値は0である。しかし、上記発泡体の物性を、現時点で現実に容易に実現可能と判明している範囲で規定すれば、反発係数eを0.70〜0.97、損失正接tanδを0.001〜0.100の範囲内とするのがよい。
図2(a)は、試作したドラムパッド10のゴム硬度(アスカーC)と、接触時間T及び反発係数eとの関係を示す図である。ゴム硬度が、P1=60、P2=48、P3=38、P4=25、P5=10である5種類のドラムパッド10を試作し、それぞれの接触時間T、反発係数eを実測してプロットした。
これら試作した5種類のドラムパッド10は、すべて発泡シリコーンからなり、それらのゴム硬度は、型への樹脂充填量を調整することで制御できる。例えば、樹脂充填量を60%にして発泡率を1.67倍にすると、アスカーC硬度は60となり、樹脂充填量を33%にして発泡率を3倍にすると、アスカーC硬度は10となる。
同図(a)からもわかるように、ゴム硬度が10〜60の範囲内であれば、ドラムパッド10の接触時間T及び反発係数eが、領域Bに含まれる。
また、本出願人は、上記のような反発係数e乃至損失正接tanδの条件を充足するための構成部材を検討した。
図2(b)は、反発係数eと損失正接tanδとの関係を、ドラムパッド10を構成する部材種類ごとに示した図である。同図(b)において、ドラムパッド10に使用する発泡体であるゴム材料は、Q1=ブチルゴム、Q2=クロロプレンゴム、Q3=BR(ブタジエンゴム)+NR(天然ゴム)、Q4=発泡シリコーンゴムである。ドラムパッド10の上記形状において、反発係数eが0.7以上(損失正接tanδが0.1以下)を充足する材料として、上記Q3、Q4が該当することがわかった。
上記発泡体に好適な具体的な素材として、天然ゴム、ジエン系ゴム、ウレタン系ゴム及びシリコーン系ゴムの少なくとも1つを含むゴムが挙げられ、そのゴム材を、独立気泡が形成されるように発泡させて、硬度を調節すると、上記条件を具備した上記発泡体が構成される。シロキサン結合を主骨格に有するゴム材が、素材として特に優れている。
上記発泡体の独立気泡率は、60%以上であるのが望ましい。60%を下回ると、反発係数eを0.7以上とするのが容易でなくなるからである。ここで、「独立気泡」とは、外気に連通していない空洞のことであり、連続気泡と区別される。独立気泡率は、「独立気泡の総容積」/「独立気泡及び連続気泡の総容積」で表される。独立気泡率が高いと、スティック11で打撃された際に、独立気泡部が圧縮されて運動エネルギが一旦蓄えられる。そのエネルギが、スティック11を跳ね返すエネルギに使われるから、高反発な発泡体となるのである。スポンジのように連続気泡が多い発泡体では、打撃時に連続気泡から空気が外部に漏れ、運動エネルギの蓄積がなく、空気の動きによる摩擦により熱に変換されるエネルギも多い。
また、打撃時の痛みを軽減する観点からは、上記発泡体の比重ρは、0.7以下であるのが望ましく、現実に実現可能な範囲で規定すると、0.2〜0.7の範囲内であるのが望ましい。比重ρが大きすぎると、打撃時における打撃箇所の慣性質量が大きくなり、ドラムパッド10全体が圧縮されるのではなく、打撃された箇所の上部の限られた領域だけが圧縮される状態となる。そのため、たとえ柔らかいゴム材を使用していても、見かけのバネ定数が大きくなり、動的には、硬く重いゴムとして作用し、スティック11を介して痛みを感じることになる。
ドラムパッド10の反発係数eを高めることを定性的に考察してみる。スティック11でドラムパッド10を打撃した際のスティック11の運動エネルギU1は、主に、スティック11を跳ね返す反発運動エネルギU2と、ドラムパッド10内で発生する熱エネルギU3と、ドラムパッド10内の打撃部分の運動エネルギU4と、ドラムパッド10内の連続気泡から空気が押し出されることによる摩擦エネルギU5とに変換される。
従って、高反発のドラムパッド10を実現するためには、反発運動エネルギU2を高くすればよいから、熱エネルギU3、運動エネルギU4、摩擦エネルギU5が極力小さくなるようにすればよい。具体的には、ゴム硬度等の条件を同じとすれば、ドラムパッド10を構成する発泡体に対して、次のようにすればよい。
熱エネルギU3を下げるためには、損失正接tanδを小さくする。運動エネルギU4を下げるためには、比重ρを小さくする。摩擦エネルギU5を下げるためには、独立気泡率を高くする。
本実施の形態によれば、ドラムパッド10を構成する発泡体のゴム硬度が、アスカーCで10〜60の範囲内であり、且つ、温度20°Cにおける損失正接tanδが0.1以下である。その結果、ドラムパッド10をスティック11で打撃した際の接触時間Tが3〜9msecの範囲内であり、且つ、反発係数eが0.7以上である。これにより、打撃面の打撃の際に、スティック11が適当な接触時間でよく弾むようにすることができる。しかも、発泡体であるので、打撃音は小さくて済む。
また、上記発泡体の独立気泡率を60%以上とすれば、ドラムパッド10の反発係数eを高めるのが容易となる。また、上記発泡体の比重を0.2〜0.7の範囲内とすれば、打撃した箇所の慣性質量を小さくでき、スティック11を通じた手等の痛みを軽減することができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(第1実施例)
第1実施例では、直径φが260mm、厚みtが20mmであるドラムパッド10を作成した。用いた発泡体の素材は、発泡性のシリコーンRTVゴムである。信越シリコーン社の二液型RTVゴムであるKE521(A/B)(商標)を採用した。
図3(a)は、第1実施例に係るドラムパッド10を製造する工程を示す模式図である。
まず、KE521の液状のA剤とB剤を、それぞれ250g程度(両者で金型20の半分の容積となる量)ずつ秤量し、よく混合する。次に、同図(a)に示すように、内側の直径φが260mmで、厚みt(20mm)と同じ厚みt1の金型20内に、上記混合したA剤及びB剤を注入し、金型20を閉じる。この時点では、混合材12の厚みt0は10mmである。そして、室温で10分間ほど放置すると、ゲル化が始まり、粘度が上がり、発泡が始まって体積が増えていく。約20分間で大部分の発泡が完了し、金型20内に、直径φが260mm、厚みtが20mmのサイズの発泡したゴムが充填状態となる。この例では、体積が2倍に増えるので、発泡倍率は2倍である。
ここで、A剤またはB剤の一方は、官能基であるSi−OH基を有し、他方は、官能基であるSi−H基を有する。A剤またはB剤のいずれかに、触媒であるPt(白金)が予め含まれている。両剤を混合すると、Pt触媒によって、架橋反応が起こり、シロキサン結合Si−O−Siを有する発泡ゴムとなると共に、発泡ガスである水素ガス(H2)が発生する。
その後、金型20を開け、成形品となった発泡ゴムを取り出し、70°Cで1時間、ポストキュアを行う。こうして厚みtのドラムパッド10が完成する。その内部には、独立気泡が多数生じている(図示せず)。
本第1実施例のドラムパッド10の緒元は次の通りである。
接触時間T=7.3(msec)
ゴム硬度(アスカーC)=25
反発係数e=0.84
損失正接tanδ=0.01(20°C)
独立気泡率=90(%)
比重ρ=0.5
このように、ドラムパッド10の特性は、上記領域B(図1(b)参照)に入ると共に、独立気泡率が60%以上で比重ρが0.7以下という条件も満たしている。打撃感触は非常に良好であり、打撃音も小さい。
図3(b)は、第1実施例のドラムパッド10の、環境温度(°C)と損失正接tanδとの関係を示す図である。少なくとも−35°C〜+80°Cという環境温度下で、動的損失弾性率をE’’、動的貯蔵弾性率をE’、及び損失正接tanδは、いずれも大きな変化をせず、損失正接tanδは0.1以下を維持する。従って、演奏が想定されるあらゆる環境温度で、優れた打撃感触を実現することができる。
ところで、上記緒元の一部は、ドラムパッド10の形状、サイズを同じとして、素材から成形品への発泡倍率を変えることで、上記領域Bに入る範囲内で制御可能である。例えば、上記発泡倍率を1.67〜3.00の間とした場合、接触時間Tは3〜9(msec)、ゴム硬度は60〜10、反発係数eは0.83〜0.86、損失正接tanδは0.012〜0.009、比重ρは0.60〜0.33となる。ただし、独立気泡率(%)は変わらない。
ちなみに、発泡率が同じであっても、ドラムパッド10における厚みtを厚くすると、接触時間Tは長くなる。従って、上記領域Bに入る範囲内となるように、ドラムパッド10の厚みtに応じて、上記発泡倍率を設定すればよい。
なお、素材に採用するシリコーン系ゴムとしては、シロキサン結合を主骨格に有するものであればよく、上記例示したものに限定されない。
(第2実施例)
第2実施例で作成したドラムパッド10の形状は第1実施例のものと同じである。用いた発泡体の素材は、BR(ブタジエンラバー)及びNR(天然ラバー)を主とするゴム素材である。当該ゴム素材の配合率は、重量部で、BRが60部、NRが40部に対して、加える副資材として、酸化亜鉛が3部、ステアリン酸が1部、硫黄が6部、炭酸カルシウムが15部、カーボンが10部、発泡剤(例えば、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(分解温度160°C))が4部である。これらを、ロールにて混練してコンパウンドを作製する。
図4(a)、(b)は、第2実施例に係るドラムパッド10を製造する工程を示す模式図である。まず、上記作製したコンパウンドを、図4(a)に示すように、直径φが260mmで、最終製品の厚みt(20mm)より薄い成形厚である厚みt0(例えば、8mm)を有する第1金型21に入れ、130°Cで7分間プレスし、ある程度まで加硫を進めて予備成形を行う。
次に、図4(b)に示すように、成形された予備成形物13を、直径φが260mmで、厚みtと同じ厚みt1の第2金型22に入れ、さらに160°Cで10分間プレスし、発泡させると同時に、加硫を完了させる。この例では、体積が2、5倍に増えるので、発泡倍率は2、5倍である。これにより、成形品として、厚みtのドラムパッド10が完成する。その内部には、独立気泡が多数生じている。
本第2実施例のドラムパッド10の緒元は次の通りである。
接触時間T=7.3(msec)
ゴム硬度(アスカーC)=25
反発係数e=0.80
損失正接tanδ=0.042(20°C)
独立気泡率=80(%)
比重ρ=0.5
このように、ドラムパッド10の特性は、上記領域B(図1(b)参照)に入ると共に、独立気泡率が60%以上で比重ρが0.7以下という条件も満たしている。打撃感触は非常に良好であり、打撃音も小さい。
図4(c)は、第2実施例のドラムパッド10の、環境温度(°C)と損失正接tanδとの関係を示す図である。第1実施例と同様に、−35°C〜+80°Cという環境温度下で、損失正接tanδは0.1以下を維持する。従って、演奏が想定されるあらゆる環境温度で、優れた打撃感触を実現することができる。
ところで、上記緒元の一部は、ドラムパッド10の形状、サイズを同じとして、素材から成形品への発泡倍率を変えることで、上記領域Bに入る範囲内で制御可能である。例えば、上記発泡倍率を大きくすると接触時間Tが長くなり、ゴム硬度は下がる。また、ドラムパッド10における厚みtを厚くすると、接触時間Tは長くなる。従って、上記領域Bに入る範囲内となるように、ドラムパッド10の厚みtに応じて、上記発泡倍率を設定すればよい。
なお、本第2実施例において、BR及びNRの配合率は、両者の合計を100部とするとして、BRを40〜50部の範囲とすると共に、それに対応して、NRを60〜50部の範囲で設定してもよい。
また、ドラムパッド10の表層に別部材でなる表層材を設けてもよい。
なお、本実施の形態において、発泡体を適用するのは、ドラムパッド10の全領域とする必要はなく、打撃時に変形する打面部の一部であって、打撃される領域(少なくとも直径20mmの範囲)のみとしてもよい。ここで、打撃時に変形する「打面部」には、打撃面10a(つまりスティック11に直接接触する表面)が含まれる必要は必ずしもない。例えば、表層材を設ける場合は、打撃される部分の内部の少なくとも一部に発泡体を適用してもよい。
また、ドラムパッド10の厚みについては、問わないが、打撃感触に、ドラムパッド10の下側の部材の影響を受けないようにするためには、厚みが5mm以上であることが望ましい。
本発明の一実施の形態に係るドラムパッドの模式的な斜視図(図(a))、様々なドラムパッドを試作し、打撃して、接触時間及び反発係数によって打撃感触がどのようであるかを示した図(図(b))である。 試作したドラムパッドのゴム硬度と、接触時間及び反発係数との関係を示す図(図(a))、反発係数と損失正接との関係を、ドラムパッドを構成する部材種類ごとに示した図(図(b))である。 第1実施例に係るドラムパッドを製造する工程を示す模式図(図(a))、ドラムパッドの、環境温度と損失正接との関係を示す図(図(b))である。 第2実施例に係るドラムパッドを製造する工程を示す模式図(図(a)、(b))、ドラムパッドの、環境温度と損失正接との関係を示す図(図(c))である。
符号の説明
10 ドラムパッド、 10a 打面、 11 スティック

Claims (6)

  1. 打撃時に変形する打面部の少なくとも一部が、独立気泡を有するゴム性の発泡体でなり、
    前記発泡体でなる部分をスティックで打撃した際の接触時間が、3〜9msecの範囲内であり、且つ、反発係数が0.7以上であることを特徴とするドラムパッド。
  2. 打撃時に変形する打面部の少なくとも一部が、独立気泡を有するゴム性の発泡体でなり、
    前記発泡体は、そのゴム硬度がアスカーCで10〜60の範囲内であり、且つ、温度20°Cにおける損失正接が0.1以下であることを特徴とするドラムパッド。
  3. 前記発泡体の独立気泡率が、60%以上であることを特徴とする請求項1または2記載のドラムパッド。
  4. 前記発泡体の比重は0.2〜0.7の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のドラムパッド。
  5. 前記発泡体は、天然ゴム、ジエン系ゴム、ウレタン系ゴム及びシリコーン系ゴムの少なくとも1つを含むゴムを発泡させてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のドラムパッド。
  6. 前記発泡体は、シロキサン結合を主骨格に有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のドラムパッド。
JP2008071429A 2008-03-19 2008-03-19 ドラムパッド Active JP5211780B2 (ja)

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