JP2004275742A - 軟式野球用バット - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れた耐久性を示すとともに、打球の飛距離を伸ばすことが可能な軟式野球用バットを提供する。
【解決手段】 少なくとも打球部2の一部、あるいは少なくとも打球部2およびテーパ部3の一部に弾性体12を形成した軟式野球用バット10であって、この弾性体の貯蔵弾性率が0.01MPa〜6MPaであることを特徴とする軟式野球用バット。さらに、上記弾性体は、そのJIS C硬度が5〜80であり、打球部2、あるいは打球部2およびテーパ部3における弾性体12の厚さが1mm〜35mmであり、マトリックスとしてゴム、樹脂またはエラストマーを含有し、発泡体とすることもできる。また、上記弾性体12は打球部2の一部または打球部2およびテーパ部3の一部に加えて先端部1をも形成することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 少なくとも打球部2の一部、あるいは少なくとも打球部2およびテーパ部3の一部に弾性体12を形成した軟式野球用バット10であって、この弾性体の貯蔵弾性率が0.01MPa〜6MPaであることを特徴とする軟式野球用バット。さらに、上記弾性体は、そのJIS C硬度が5〜80であり、打球部2、あるいは打球部2およびテーパ部3における弾性体12の厚さが1mm〜35mmであり、マトリックスとしてゴム、樹脂またはエラストマーを含有し、発泡体とすることもできる。また、上記弾性体12は打球部2の一部または打球部2およびテーパ部3の一部に加えて先端部1をも形成することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、軟式野球用バットに関し、詳しくは打球部の反発特性を向上させた軟式野球用バットに関する。
野球用バットとしては、木製バット、チタニウムやチタニウム合金やアルミニウム合金などの金属製バットの他、カーボンファイバー、グラスファイバーなどにマトリックス樹脂を含浸硬化させた繊維強化プラスチック製バットなど、各種の素材により構成されたバットが市場に供給されている。
しかし、軟式野球用バットとして前記素材のみでバットを構成したものでは、軟らかい軟式ボールを打っても打球が遠く飛ばないという問題点があった。また、前記素材のみでバットを構成したものでは、バットの反発特性を大きく変えることは難しかった。
一方、バットの反発特性値を大きく変えるために、弾性体を被覆したものも各種開発されている。例えば、バットの全長に渡るコア部に弾性体を被覆し、形状を既存のバットと同一にしたクッションバットが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。木製の芯に2つのスポンジゴムを張り合わせたスポンジゴムパッキングバットが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。また、軽量金属パイプの芯材のグリップ部を除く周面に弾性体を被覆した野球用バットが提案されている(たとえば、特許文献3参照)。さらに、カーボン繊維からなる芯材に硬質ウレタン層を被覆し、さらにその上に合成樹脂を含浸させたガラス繊維からなる保護層を設けた球技用バットが提案されている(たとえば、特許文献4参照)。
上記特許文献1〜3に開示されたバットにおいて、弾性体を被覆する目的は、打撃時の衝撃や振動を低下させ、打球の飛距離を抑えて安全に使用できるバットを得ることである。従って、弾性体は打球が飛ばない物性のものを用いており、これらのバットは、狭い場所での使用やピンポン玉の打球やトスバッティングに適したものである。また、特許文献4では、製造コストや製造工程の改良及び打球音や重量調整方法の改良を目的としており、外観及び反発性能は、従来のバットと何ら変わりはない。
特開昭62−106784号公報
実開昭63−156667号公報
特開2000−153013公報
特許第3003829号公報
軟式野球に用いられるバットに要求される特性は、耐久性があり打球がよく飛ぶバットであり、上述した従来のバットでは、このような要求を満足することは難しかった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、優れた耐久性を示すとともに、打球の飛距離を伸ばすことが可能な軟式野球用バットを提供することである。
発明者は、軟式ボールの打球の飛距離を伸ばすことが可能なバットの構成について様々な検討を行なった結果、本発明を完成するに至った。すなわち、打球の飛距離を伸ばすためにはバットの反発特性値を大きくすることが有効である。そして、発明者は、研究の結果、この反発特性値を大きくする手段として、打球時の軟式ボールの変形を小さくすることが有効であるという知見を得た。
打球時の軟式ボールの変形を小さくするには、バットの表面に弾性体を被覆するといった手段を用いることが考えられる。しかし、軟式野球などの試合に用いるバットは、耐久性や反発性の他にも質量やバランスも重要な特性である。そして、バットの全体に渡って弾性体を被覆すると、バットの質量が大きくなるため、これらの特性をバランス良く設計することが難しくなる。
以上のような発明者の知見に基づいて、本発明にかかる軟式野球用バットは、少なくとも打球部の一部、あるいは少なくとも打球部およびテーパ部の一部に弾性体を形成した軟式野球用バットであって、該弾性体の貯蔵弾性率が0.01MPa〜6MPaであることを特徴とする。ここで、弾性体のJIS C硬度が5〜80であること、打球部、あるいは打球部およびテーパ部における弾性体の厚さが1mm〜35mmであること、弾性体がマトリックスとしてゴム、樹脂またはエラストマーを含有すること、および/または弾性体が発泡体であることが好ましい。なお、JIS C硬度とは、JIS K 7312の付属書2にいうスプリング硬さ試験タイプC試験方法に準じて測定した硬度をいう。
さらに、本発明にかかる軟式野球用バットは、先端部、打球部、テーパ部およびグリップ部からなる軟式野球用バットであって、バット本体の芯部分に上記の弾性体を被覆することにより、該弾性体によって打球部の一部、あるいは打球部およびテーパ部の一部を形成したものとすることができる。ここで、先端部を弾性体およびバット本体とは別体のキャップ材により形成することも可能である。
また、本発明にかかる軟式野球用バットは、先端部、打球部、テーパ部およびグリップ部からなる軟式野球用バットであって、バット本体の芯部分に上記の弾性体を被覆することにより、該弾性体によって打球部の一部および先端部、あるいは打球部およびテーパ部の一部および先端部を形成したものとすることができる。
このようにすれば、軟式ボールのような柔らかいボールを打撃する場合でも、打撃時に弾性体が圧縮変形するので、ボールの変形による損失エネルギーを抑えることができる。さらに、該弾性体の復元力が付加されてボールが打ち出されることとなるので、従来のバットよりも反発特性に優れたよく飛ぶバットとすることができる。つまり、打撃時のボールの変形を弾性体の存在により小さくできるとともに、弾性体の復元力を利用できるので、打球の飛距離を伸ばすことができる。さらに、バットの打球部の一部のみならずテーパ部の一部をも上記弾性体で形成すれば、該テーパ部の一部に当たった打球の飛距離をも伸ばすことができる。
また、本発明にかかる軟式野球用バットは、少なくともバットの芯部分としての打球部およびテーパ部の一部ならびにグリップ部を、従来のバットと同様の剛性のある素材で形成できるので、従来のバットと何ら遜色ない剛性を有するようにすることができる。したがって、耐久性のあるバットとすることができる。
また、本発明にかかる軟式野球用バットは、打球時の振動が弾性体により吸収されるので、打球時に打者の手がしびれることがない。さらに、打球時に弾性体が変形することにより軟式ボールと打球部との接触時間が長くなるので、軟式ボールがバットに乗っている感覚が得られ、打球感が向上する。
上記のように本発明は、軟式野球用バットの少なくとも打球部の一部、あるいは少なくとも打球部およびテーパ部の一部に貯蔵弾性率が0.01MPa〜6MPaである弾性体を用いることより、飛距離が大きく耐久性が高い軟式野球用バットを提供することができる。
本発明にかかる軟式野球用バットは、たとえば図1に示すように、少なくとも打球部2の一部に弾性体12を形成した軟式野球用バット10であって、該弾性体の貯蔵弾性率が0.01MPa〜6MPaである。また、図示はしないが、上記弾性体12が少なくとも打球部2およびテーパ部3の一部に形成されていてもよい。少なくとも打球部の一部に弾性体を形成することにより、上記のようにバットの反発特性を向上することができる。弾性体の貯蔵弾性率が0.01MPa未満であると弾性体が柔らかくなりすぎて特性が生かされず軟式ボールの変形を抑えることができない。一方、弾性体の貯蔵弾性率が6MPaを超えると軟式ボールの変形が大きくなるため、いずれの場合も軟式ボールにおける損失エネルギーが大きくなり、反発係数の向上につながらない。かかる観点から、弾性体の貯蔵弾性率は0.1MPa〜4MPaが好ましく、より好ましくは0.8MPa〜1.8MPaである。
ここで、貯蔵弾性率とは、複素弾性率の実数部で、単位の正弦波の歪みを加えたときの同位相の応力成分の大きさをいう。複素弾性率とは、材料に定常的な正弦波の歪みを加えたときの粘性と弾性との組合わせの挙動(動的粘弾性)において、最大応力σ0と最大歪みε0との比でベクトルとして複素数演算したものをいう。
また、弾性体のtanδは特に制限はないが、0.50以下で可能な限り低い方が好ましい。ただし、上記のようにtanδの下限は可能な限り低いほうが好ましいが、貯蔵弾性率が0.01MPa〜6MPaの範囲にある場合、下限の0.01MPa付近にある材料のtanδを0.01未満に調製することは現実的には困難になってくる。また、tanδが0.50を超える材料はエネルギー吸収体としての働きが大きくなり、高い反発性が望めない。上記観点から、具体的には、tanδは、好ましくは0.01〜0.50であり、より好ましくは0.01〜0.20である。
本発明にかかる軟式野球用バットにおいて、弾性体のJIS C硬度が5〜80であることが好ましい。弾性体のJIS C硬度が5未満であるとバットの弾性体が押し込まれてバット本体の芯部分に底打ちする場合が生じるため、弾性率のJIS C硬度が80を超えると弾性体自体がかたくなるため、いずれの場合も軟式ボールの変形が大きくなり軟式ボールにおける損失エネルギーが大きくなることにより反発係数は従来のバットと変わらなくなる。
また、本発明にかかる軟式野球用バットにおいて、打球部、あるいは打球部およびテーパ部における弾性体の厚さが1mm〜35mmであることが好ましい。弾性体の厚さが1mm未満であると、弾性体が押し込まれてバット本体の芯部分に底打ちする場合が生じ、軟式ボールの変形が大きく軟式ボールにおける損失エネルギーが大きくなるため、反発係数は従来のバットと変わらなくなる。弾性体の厚さが35mmを超えると、バット本体の芯部分の直径が小さくなりバット自体の強度が低下しバットの耐久性は低下する傾向にある。
また、本発明にかかる軟式野球用バットにおける弾性体としては、マトリックスとしてゴム、樹脂またはエラストマーを含有する弾性体が好ましく用いられる。ゴムとしては、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン−ゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体(EPDM)ゴム、シリコンゴム(SiR)または天然ゴム(NR)などの架橋した架橋ゴムが挙げられる。
樹脂としては、エーテル系ウレタン樹脂、エステル系ウレタン樹脂などのウレタン系樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)樹脂、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)樹脂などのスチレン系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂またはアイオノマー樹脂などが挙げられる。
エラストマーとしては、エーテル系ウレタンエラストマー、エステル系ウレタンエラストマーなどのウレタン系エラストマー、ポリスチレンエラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)エラストマー、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)エラストマーなどのスチレン系エラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマーなどのオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーまたはポリアミド系エラストマーなどが挙げられる。
さらに、上記弾性体中には、上記マトリックスとしてのゴム、樹脂またはエラストマーの他に、これらを適宜混合した樹脂も用いることができる。また、本発明の目的に反さない範囲で、カーボンブラック、ケイ酸、ケイ酸塩類、炭酸塩類、炭素繊維またはガラス繊維などの各種の充填剤または補強剤を含めることができる。
また、本発明にかかる軟式野球用バットにおける弾性体として発泡体を用いることは、弾性体の貯蔵弾性率を向上させる観点から好ましい。特に、ウレタン系樹脂の発泡体、架橋ゴムの発泡体またはオレフィン系樹脂の発泡体などが好ましく用いられる。また、表面側の密度を高くした発泡体を使用することも好ましい。
ここで、発泡体とは、気泡が分散した固体をいう。上記ゴム、樹脂またはエラストマーをマトリックスとして含有する固体に気泡を分散させる方法としては、特に制限はなく、発泡剤を混入させて発泡させる方法、不活性ガスを混入させる方法、可溶性物質を混入した後該可溶性物質を溶出させる方法など種々の方法を採用することができる。発泡剤を混入させて発泡する方法には、たとえばペンタン、フロンガスなどの物理発泡剤を気化させる方法、重曹、イソシアネート化合物などの反応型の化学発泡剤をそれぞれ酸、水と反応させて気体を発生させる方法、炭酸塩、亜硝酸塩、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体などの熱分解性の化学発泡剤を熱分解させて気体を発生する方法などがある。
発泡体の比重は、特に制限はないが、貯蔵弾性率を0.01MPa〜6MPaの範囲に調整する観点から、0.03〜1.2が好ましく、0.05〜0.5がより好ましい。また、発泡体の発泡倍率は、貯蔵弾性率を0.01MPa〜6MPaの範囲に調整する観点から、1.1倍〜50倍が好ましく、1.8倍〜30倍がより好ましい。
本発明にかかる軟式野球用バットは、たとえば図1に示すように、先端部1、打球部2、テーパ部3およびグリップ部4からなる軟式野球用バット10であって、バット本体11の芯部分11aに上記の弾性体12を被覆することにより、該弾性体12によって打球部2の一部を形成したものである。また、図示はしないが、打球部2およびテーパ部3の一部を上記弾性体12で形成することもできる。
また、本発明にかかる軟式野球用バットにおいて、たとえば図2に示すように、先端部1が弾性体22およびバット本体21とは別体のキャップ材23により形成されることも、打球音を抑える観点から好ましい。ここで、キャップ材の材料は、先端部の強度を高く維持できるものであれば特に制限はないが、ポリウレタン、ナイロン、ポリエチレン、ゴムなどが好ましく用いられる。
また、本発明にかかる軟式野球用バットは、たとえば図3に示すように、先端部1、打球部2、テーパ部3およびグリップ部4からなる軟式野球用バット30であって、バット本体31の芯部分31aに上記の弾性体12を被覆することにより、該弾性体12によって打球部2の一部および先端部1を形成したものであってもよい。また、図示はしないが、打球部2およびテーパ部3の一部および先端部1を上記弾性体12で形成することもできる。
本発明にかかる軟式野球用バットにおけるバット本体の材料としては、金属、木材または繊維強化プラスチック(FRP)などの材料を使用することができる。また、バット本体の構造を中空構造とするのが軽量化および高耐久性の観点から好ましい。たとえば、FRP製の中空バット本体、金属製の中空バット本体などがバット本体として好ましく使用できる。なお、バット本体を木材などの材料を用いた中実構造とすることもできる。
また、本発明にかかる軟質野球用バットは、バットの表面全体を各種フィルムで一体被覆することも耐久性向上の観点から好ましい。フィルムとしては、熱可塑性ポリウレタン(TPU)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどが好ましく例示できる。ここで、フィルムの厚さは、本発明の目的に反さない限り特に制限はないが、弾性体の耐久性と反発特性を維持する観点から、0.1mm〜1.0mmが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明にかかる軟式野球用バットに用いられる弾性体の特性評価は、以下の要領で行なった。
(1)貯蔵弾性率およびtanδの測定
弾性体の動的粘弾性試験は、JIS K 7198のA法(引張振動法)に基づいて、正弦波の周波数を10Hzとして行なった。試験片形状および歪み量などはJIS K 7198に準拠する範囲内で任意に設定することができる。本実施例においては、試験片形状は、発泡体については10mm×5mm×30mmまたは5mm×2.5mm×30mm、非発泡体については4mm×2.5mm×30mmとした。試験片のつかみ距離は20mmとした。また、動的歪み量は0.1%とした。25℃における測定値を用いて、JIS K 7198の9.1 複素弾性率の項に示す所定の式から複素弾性率(E*)を算出し、複素弾性率から下式(1)により貯蔵弾性率E'を、下式(2)より損失弾性率E''を求めた。ここで、δは応力と歪みの位相角(損失角))である。
E'=E*cosδ (1)
E''=E*sinδ (2)
次いで、下式(3)より損失正接tanδを算出した。
tanδ=E''/E' (3)
なお、プラスチックの動的機械特性(動的粘弾性)の試験方法である引張振動(非共振法)について、上記JIS K 7198は現在廃止され、JIS K 7244−4が制定されている。JIS K 7244−4と上記貯蔵弾性率E’および損失正接tanδとの対応は、以下のとおりである。すなわち、上記貯蔵弾性率E’はJIS K 7244−4の10.2項における式(1)および式(8)により算出され、損失正接tanδは同JISの10.3項における式(9)によって算出される。また、損失弾性率は同JISの10.4項における式(10)によって算出される。
弾性体の動的粘弾性試験は、JIS K 7198のA法(引張振動法)に基づいて、正弦波の周波数を10Hzとして行なった。試験片形状および歪み量などはJIS K 7198に準拠する範囲内で任意に設定することができる。本実施例においては、試験片形状は、発泡体については10mm×5mm×30mmまたは5mm×2.5mm×30mm、非発泡体については4mm×2.5mm×30mmとした。試験片のつかみ距離は20mmとした。また、動的歪み量は0.1%とした。25℃における測定値を用いて、JIS K 7198の9.1 複素弾性率の項に示す所定の式から複素弾性率(E*)を算出し、複素弾性率から下式(1)により貯蔵弾性率E'を、下式(2)より損失弾性率E''を求めた。ここで、δは応力と歪みの位相角(損失角))である。
E'=E*cosδ (1)
E''=E*sinδ (2)
次いで、下式(3)より損失正接tanδを算出した。
tanδ=E''/E' (3)
なお、プラスチックの動的機械特性(動的粘弾性)の試験方法である引張振動(非共振法)について、上記JIS K 7198は現在廃止され、JIS K 7244−4が制定されている。JIS K 7244−4と上記貯蔵弾性率E’および損失正接tanδとの対応は、以下のとおりである。すなわち、上記貯蔵弾性率E’はJIS K 7244−4の10.2項における式(1)および式(8)により算出され、損失正接tanδは同JISの10.3項における式(9)によって算出される。また、損失弾性率は同JISの10.4項における式(10)によって算出される。
(2)JIS C硬度の測定
JIS C硬度計(JIS K 7312の付属書2図1に示されるタイプC硬さ試験機をいう)を用いて厚さ10mmの各弾性体シートの硬度を測定した。
JIS C硬度計(JIS K 7312の付属書2図1に示されるタイプC硬さ試験機をいう)を用いて厚さ10mmの各弾性体シートの硬度を測定した。
(3)反発係数の測定
図4に示すような実験装置を用いて打球部モデルでの反発実験を行ない、反発係数を求めた。図4に示すように、実験装置は、ピッチングマシン40、ハイスピードビデオカメラ41、および画像解析装置(図示せず)からなる。軟式ボール43を衝突させる衝突対称物である打球部モデル42としては、鉄板のみ、および鉄板に弾性体を貼り付けたものを準備した。打球部モデルで用いた弾性体は、一辺が10cmの正方形で厚みが10mmの弾性体シートを2枚張り合わせたものである。実験では、ピッチングマシン40より打ち出した軟式ボール43を、固定された打球部モデル42に衝突させた。そして、この衝突を真横からハイスピードビデオカメラ41により撮影し、衝突の前後における軟式ボール43の速度から下式(4)より反発係数を計算した。
e=VBALL(OUT)/VBALL(IN) (4)
ここで、eは反発係数、VBALL(OUT)は衝突後の軟式ボールの重心速度(m/s)、VBALL(IN)は衝突前の軟式ボールの重心速度(m/s)を示す。
図4に示すような実験装置を用いて打球部モデルでの反発実験を行ない、反発係数を求めた。図4に示すように、実験装置は、ピッチングマシン40、ハイスピードビデオカメラ41、および画像解析装置(図示せず)からなる。軟式ボール43を衝突させる衝突対称物である打球部モデル42としては、鉄板のみ、および鉄板に弾性体を貼り付けたものを準備した。打球部モデルで用いた弾性体は、一辺が10cmの正方形で厚みが10mmの弾性体シートを2枚張り合わせたものである。実験では、ピッチングマシン40より打ち出した軟式ボール43を、固定された打球部モデル42に衝突させた。そして、この衝突を真横からハイスピードビデオカメラ41により撮影し、衝突の前後における軟式ボール43の速度から下式(4)より反発係数を計算した。
e=VBALL(OUT)/VBALL(IN) (4)
ここで、eは反発係数、VBALL(OUT)は衝突後の軟式ボールの重心速度(m/s)、VBALL(IN)は衝突前の軟式ボールの重心速度(m/s)を示す。
(4)軟式野球用バットによる実打評価
上記各種弾性体を用いて、図1のような軟式野球用バットを構成した。本軟式野球用バットのバット本体11は、繊維強化プラスチック(FRP)製の中空バットで、先端部1、凹部を有する打球部2(すなわち打球部の芯部分11a)、テーパ部3、グリップ部4の外殻(バットベース部材)が、内圧成形法により形成されている。そして、該バット本体11の芯部分11a表面をサンドブラスト処理した後、該芯部分11aに弾性体12を被覆一体化できるように設計した金型を用いて注型成形して本軟式野球用バットを形成した。ここで、打球部2の外径は69mmで、打球部における芯部分11aの外径は40mmであり、弾性体12の厚みは14.5mmである。なお、本軟式野球用バットにおいては、貯蔵弾性係数が1.4MPa、JIS C硬度が45、厚さ0.3mmの熱可塑性ポリウレタンシート(図示せず)が融着することにより各弾性体表面に一体成形されている。
上記各種弾性体を用いて、図1のような軟式野球用バットを構成した。本軟式野球用バットのバット本体11は、繊維強化プラスチック(FRP)製の中空バットで、先端部1、凹部を有する打球部2(すなわち打球部の芯部分11a)、テーパ部3、グリップ部4の外殻(バットベース部材)が、内圧成形法により形成されている。そして、該バット本体11の芯部分11a表面をサンドブラスト処理した後、該芯部分11aに弾性体12を被覆一体化できるように設計した金型を用いて注型成形して本軟式野球用バットを形成した。ここで、打球部2の外径は69mmで、打球部における芯部分11aの外径は40mmであり、弾性体12の厚みは14.5mmである。なお、本軟式野球用バットにおいては、貯蔵弾性係数が1.4MPa、JIS C硬度が45、厚さ0.3mmの熱可塑性ポリウレタンシート(図示せず)が融着することにより各弾性体表面に一体成形されている。
上記した本発明かかる軟式野球用バット10(本発明品)と従来の金属製軟式野球用バット(従来品)を用いて、アマチュア野球部員5名による実打試験を行なった。本軟式野球用バットによる軟式ボールの上記5名の平均飛距離が従来の軟式野球用バットの平均飛距離に比べ5m以上大きいものを◎、3m以上5m未満のものを○、1m以上3m未満のものを△、それ以外のものを×として評価した。
なお、本実施例において用いた本発明品と従来品のバット諸特性値は表1の通りである。
表1に示すように、本発明品と従来品とはバランスの点において変わりがないので、用いる弾性体の特性が直接飛距離に表れることになる。
上記評価要領より、表2に示す軟式野球用バット用の各種弾性体についての特性評価および該弾性体を用いた軟式野球用バットの実打評価の結果を表2にまとめた。
表2に記載されている材料名のうち英字の略記については、PUはポリウレタン、SiRはシリコンゴム、EPDMはエチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体、NRは天然ゴム、CRはクロロプレンゴム、BRはブタジエンゴム、SBRはスチレンブタジエンゴムを表す。
表2の実施例1〜実施例21においては、軟式野球用バットの少なくとも打球部の一部に貯蔵弾性率が0.01MPa〜6MPaである弾性体を用いることより、軟式ボールのような柔らかいボールを打撃する場合でも打撃時に弾性体が圧縮変形するので、軟式ボールの変形による損失エネルギーを抑えることができるため、軟式ボールの反発係数が向上し、飛距離が大きい軟式野球用バットが得られる。
特に、実施例11においては、さらにJIS C硬度が38であり5〜80の範囲内にあるためその反発係数は0.500と大きくなっている。また、実施例3、実施例5または実施例10においては、JIS C硬度は小さいがtanδがそれぞれ0.12、0.13または0.06であり、いずれも0.01〜0.50の範囲内にあるため、反発係数がそれぞれ0.510、0.500または0.510と大きくなっている。
これに対して、比較例1においては弾性体の貯蔵弾性率が0.01MPa未満であるため、比較例2〜比較例6においては弾性体の貯蔵弾性率がいずれも6MPaを超えているため、反発係数が従来のバットと同等となり、かかる弾性体を用いた軟式野球用バットの飛距離は大きくならなかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上記のように、軟式野球用バットの飛距離を大きくし耐久性を高めるために、本発明は軟式野球用バットに広く利用することができる。
1 先端部、2 打球部、3 テーパ部、4 グリップ部、10,20,30 軟式野球用バット、11,21,31 バット本体、11a,21a,31a 芯部分、12,22,32 弾性体、40 ピッチングマシン、41 ハイスピードビデオカメラ、42 打球部モデル、43 軟式ボール。
Claims (8)
- 少なくとも打球部の一部、あるいは少なくとも打球部およびテーパ部の一部に弾性体を形成した軟式野球用バットであって、該弾性体の貯蔵弾性率が0.01MPa〜6MPaであることを特徴とする軟式野球用バット。
- 弾性体のJIS C硬度が5〜80であることを特徴とする請求項1に記載の軟式野球用バット。
- 打球部、あるいは打球部およびテーパ部における弾性体の厚さが1mm〜35mmであることを特徴とする請求項2に記載の軟式野球用バット。
- 弾性体がマトリックスとしてゴム、樹脂またはエラストマーを含有する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の軟式野球用バット。
- 弾性体が発泡体であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の軟式野球用バット。
- 先端部、打球部、テーパ部およびグリップ部からなる軟式野球用バットであって、バット本体の芯部分に請求項1〜請求項5のいずれかに記載された弾性体を被覆することにより、該弾性体によって打球部の一部、あるいは打球部およびテーパ部の一部を形成したことを特徴とする軟式野球用バット。
- 先端部が弾性体およびバット本体とは別体のキャップ材により形成された請求項6に記載の軟式野球用バット。
- 弾性体によって打球部の一部および先端部、あるいは打球部およびテーパ部の一部および先端部を形成したことを特徴とする請求項6に記載の軟式野球用バット。
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