JP2009228981A - 給湯装置の貯湯タンク及びそれを用いたヒートポンプ給湯機 - Google Patents

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Abstract

【課題】正圧、負圧、繰り返しの圧力に耐えることができ、コスト的にも有利で、本体構成も大幅に変えずとも可能な、使用性の高い給湯装置の貯湯タンクを提供すること。
【解決手段】温水を貯湯し、略円筒状の胴板15の上方及び下方に、略半球状の上部板14及び下部板16をそれぞれ配設するとともに、上部板14及び下部板16の頂部の縦断面形状は楕円形状で、上部板14及び/又は下部板16に設ける配管接続部(14d、14e、14f、16d、16e、16f)を、上部板14及び/又は下部板16の楕円形状面の法線方向に一体形成または接続する構成としたことを特徴とする給湯装置の貯湯タンクで、繰返し加圧−減圧を行った際に、その配管接続部を法線方向としていることにより、その応力を低減することが可能となり、配管接続部での亀裂を防ぐことができ、耐久性に秀でた貯湯タンクとすることが可能となり、品質の向上を図ることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、給湯機として用いられ、任意の温度に加熱した温水を貯めておく貯湯タンクに関するものである。
従来、給湯機としては、ガスや石油を燃料として用い、その燃焼熱で水道水を加熱する給湯機が使用されてきた。これらは、速湯性に優れているという利点がある半面、ガス、石油といった燃料が必要でその供給が不可欠であること、燃焼後の排気ガスが大気に放出され大気汚染を招くこと、燃焼させるので不安全性を常に内在していること、燃焼時の音が大きいことなどの課題があった。特に近年増えている、エネルギー源を全て電気で行うというオール電化の住宅やマンションでは、燃料を供給する方法がないため、使用できないケースも増えてきている。
そこで、加熱された温水を貯めておく大容量の貯湯タンクを備えた給湯装置が開発されている。この加熱方法としては、夜間割引の安価な電力を利用し、夜間に貯湯タンクの内部に配設された電気ヒータで加熱してできた一般的には80℃以上の温水を、貯湯タンクに貯めておき、この温水と水道水をミキシングして、使用者の欲する任意の温度にして、給湯端末から供給するものである。
また、加熱方法として、ヒータ以外にヒートポンプを用いた貯湯式のヒートポンプ式給湯装置が開発されている。これは、大容量の貯湯タンクと、ヒートポンプ回路を組み入れた室外機を備え、夜間割引の安価な電力を利用して、ヒートポンプ回路で水道水を温水に加熱して、その温水を貯湯タンクに貯めておき、この温水と水道水をミキシングして、使用者の欲する任意の温度にして、給湯端末から供給するものである。このヒートポンプ式給湯装置は、冷媒の状態変化を利用して加熱しているので、電気ヒータによる加熱よりエネルギー効率が良く、入力に対する能力は3倍以上確保することが可能であり、ランニングコストも安価となるなどの特徴を持ち、燃焼による給湯機の問題を解決し、オール電化の住宅、マンションでも新たなインフラ整備を必要としないで手軽に設置することができ、普及してきている。
このように用いられている給湯装置の貯湯タンクの場合は、水道による水道圧が直接貯湯タンクに加わり、変形したり、給湯端末の開閉動作による繰返し荷重が加わり、亀裂が生じて水漏れしてしまったりすることを防ぐために、水道の給水部と、貯湯タンクの間に減圧弁を設け、貯湯タンクに加わる圧力を減じている。そして、この設定は、100kPaから200kPaに設定されているのが通常である。ところが、このような減圧弁を設けているために、給湯端末での水圧が減じてしまい、シャワー圧が低くなり、シャワーの勢いがなくなってしまう、3階建て住宅で3階給湯するなど高所での給湯する際に、流量が少なく時間がかかる、などの課題が出てきている。
それを防ぐには、貯湯タンクの強度を増すことが必要である。このような貯湯タンクの耐圧性を上げるためには、概して板厚を上げて対応している場合が多い。しかし、貯湯タンクの材質は腐食をさせるためにステンレス製である場合がほとんどであり、板厚を上げることは、材料費のコストアップにつながってしまうこととなる。
また、板厚を上げる他に、以下に示すような対応が取られている。
図8で示した形状で貯湯タンク53の胴板54に複数個の補強リブ55を設け、この補
強リブ55を胴板53中央部で狭く、胴板53の両端部で広くしたものであり、同じく負圧に対する強度を向上させている。また、これらは負圧に対する強度を上げているが、当然正圧に対する強度も若干向上しているものと思われる(例えば、特許文献1参照)。
特開平3−148489号公報
しかしながら、前記従来の構成では、胴板54に補強リブ55を外方に張り出すためには、胴板54をロール加工で張り出すか、タンク加工を施した後ハイドロフォーミング加工を行なうことが必要である。前記ロール加工の際に張り出すと、どうしても真円が保つことが難しくなり、歪んだ状態となってしまう。そのため、胴板54の上下にある上部板146、下部板57と勘合させて、貯湯タンク53のタンク完成とすることが非常に困難となっている。
また、ハイドロフォーミング加工は、タンク完成後に水圧をかけて、胴板54を変形させるものであるが、300Lを超えるようなタンクにて加工を行なおうとする場合は、その装置が非常に大きく、圧力も過大なものが必要であり、コスト面でも大きく上がってしまうこととなる。
また、正圧のかかる条件では、このリブを外方に張り出す構成では不十分であり、補強リブ55を設けても、効果はほとんどなく、むしろ応力面では悪化してしまう。これをクリアするには、結局胴板54の板厚を上げることが必要であり、板厚を上げれば、材料がステンレスの場合コストアップとなるし、補強リブ55のリブ出し加工を行なうための、ロール加工や、ハイドロフォーミング加工がやりにくくなり、結局は更なるコストアップを招くという課題を有している。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、正圧、負圧、繰り返しの圧力に耐えることができ、コスト的にも有利で、本体構成も大幅に変えずとも可能な、使用性の高い給湯装置の貯湯タンクを提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために本発明の給湯装置の貯湯タンクは、加熱手段を用いて任意の温度に加熱した温水を貯湯し、略円筒状の胴板の上方及び下方に、略半球状の上部板及び下部板をそれぞれ配設するとともに、前記上部板及び下部板の頂部の縦断面形状は楕円形状で、前記上部板及び/又は下部板に設ける配管接続部を、前記上部板及び/又は前記下部板の楕円形状面の法線方向に一体形成または接続する構成としたことを特徴とするもので、繰返し加圧−減圧を行った際に、上部板、下部板には繰返し荷重が加わり、その際に、配管接続部の根元部分には大きな応力が作用するが、その配管接続部を法線方向としていることにより、その応力を低減することが可能となり、配管接続部での亀裂を防ぐことができ、耐久性に秀でた貯湯タンクとすることが可能となり、品質の向上を図ることができる。
本発明によれば、正圧、負圧、繰り返しの圧力に耐えることができ、コスト的にも有利で、本体構成も大幅に変えずとも可能な、使用性の高い給湯装置の貯湯タンクを提供できる。
第1の発明は、加熱手段を用いて任意の温度に加熱した温水を貯湯し、略円筒状の胴板の上方及び下方に、略半球状の上部板及び下部板をそれぞれ配設するとともに、前記上部
板及び下部板の頂部の縦断面形状は楕円形状で、前記上部板及び/又は下部板に設ける配管接続部を、前記上部板及び/又は前記下部板の楕円形状面の法線方向に一体形成または接続する構成としたことを特徴とする給湯装置の貯湯タンクで、繰返し加圧−減圧を行った際に、上部板、下部板には繰返し荷重が加わり、その際に、配管接続部の根元部分には大きな応力が作用するが、その配管接続部を法線方向としていることにより、その応力を低減することが可能となり、配管接続部での亀裂を防ぐことができ、耐久性に秀でた貯湯タンクとすることが可能となり、品質の向上を図ることができる。
第2の発明は、胴板の板厚は、上部板と下部板の板厚以上にすることを特徴とする給湯装置の貯湯タンクで、繰返し加圧−減圧を行った際に、略円筒状である胴板は上部板、下部板と両端が固定されているために、両端固定の等分布荷重が加わっていることとなる。そのため、胴板と上部板、下部板の接合部が最も高い応力となる。上部板、下部板は深絞り構成であるため、強度的に強くなっており、変形しづらい。それに対して、胴板は円筒状であり、ロール加工で成形されているために、中央部に向かって膨らみ方向に変形する。そのため、胴板の最も応力の高い上部板、下部板の接合部で繰返し荷重による亀裂が生じてしまう可能性がある。それに対して、上部板と下部板の板厚に対して、胴板の板厚は厚くしていることにより、胴板の強度を上げ、上記接合部での亀裂を防ぐことができ、耐久性に秀でた貯湯タンクとすることが可能となり、品質の向上を図ることができる。
第3の発明は、上部板、下部板の頂部の縦断面形状は、略半球状の平面円の直径に対して長辺を1.1〜1.3倍、短辺0.4〜0.6倍の楕円形状とし、略半球状の外周略垂直部と前記楕円形状とが接する部位の面取り形状は、半径80mm以上の円形状の一部としたことを特徴とする給湯装置の貯湯タンクで、貯湯タンクに1.75MPaの静水圧をかけた際に、その水漏れ、変形、破損その他の異常のないことを実現でき、また、給湯端末を開放した状態で貯湯タンクにかかる静圧20〜60kPaと、給湯端末を閉止した状態で貯湯タンクにかかる静圧である330kPaを繰返し加圧−減圧を行った際に、上部板、下部板の亀裂発生を防ぐことができ、耐久性に秀でた貯湯タンクを実現できるために、水道と直結している減圧弁の設定圧力を、200kPa(0.2MPa)以上の高い設定にすることが可能であり、シャワー圧を上げて、シャワーの勢いを強くする、あるいは3階建て住宅で3階給湯するなど高所での給湯するために、給湯圧を上げて使用することが可能となり、使用性が大幅に向上することとなる。
第4の発明は、配管接続部の中心位置は、上部板、下部板の頂部の楕円形状部と面取り形状部との交点よりも50mm以上内方に位置することを特徴とする給湯装置の貯湯タンクで、貯湯タンクに1.75MPaの静水圧をかけた際に、その水漏れ、変形、破損その他の異常のないことを実現でき、また、給湯端末を開放した状態で貯湯タンクにかかる静圧20〜60kPaと、給湯端末を閉止した状態で貯湯タンクにかかる静圧である330kPaを繰返し加圧−減圧を行った際に、上部板、下部板の亀裂発生を防ぐことができ、耐久性に秀でた貯湯タンクを実現できるために、水道と直結している減圧弁の設定圧力を、200kPa(0.2MPa)以上の高い設定にすることが可能であり、シャワー圧を上げて、シャワーの勢いを強くする、あるいは3階建て住宅で3階給湯するなど高所での給湯するために、給湯圧を上げて使用することが可能となり、使用性が大幅に向上することとなる。
第5の発明は、貯湯タンクには水道水を給水するための給水部と、温水を供給するための出湯部と、前記給水部に給水圧力を減ずるための減圧弁とを設け、前記減圧弁の設定圧力を0.25MPa以上としたことを特徴とする給湯装置の貯湯タンクで、このうちの給水部には給水圧力を減ずるための減圧弁を設け、この減圧弁の設定圧力を250kPa以上としたものであり、貯湯タンクの強度を増していることにより、減圧弁の設定圧力を高くすることが可能となり、それにより、シャワー圧を上げて、シャワーの勢いを強くする
、あるいは3階建て住宅で3階給湯するなど高所での給湯するために、給湯圧を上げて使用する、湯はり時間の短縮化が図れることが可能となり、使用性が大幅に向上することとなる。
第6の発明は、第1〜第5のいずれかの発明の給湯装置の貯湯タンクと、圧縮機、水−冷媒熱交換器、減圧手段、空気−冷媒熱交換器を順次接続して形成した加熱手段とから構成したことを特徴とするヒートポンプ給湯機で、高価格のヒートポンプ給湯機において、低コスト化を図りつつ、断熱性能を確保できることにより、より普及度を高めることが可能な給湯装置とすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の給湯装置の正面内観図であり、図2は給湯装置の回路図である。
1は給湯装置の貯湯タンクユニットであり、2はヒートポンプ回路を有するヒートポンプユニットである。そして、この貯湯タンクユニット1とヒートポンプユニット2は、2本の水配管3(3a、3b)で連結している。
給湯装置の貯湯タンクユニット1内部には、ヒートポンプユニット2で加熱された温水を貯めておく貯湯タンク4があり、水道水をヒートポンプユニット2で加熱して温水として貯めておき、必要な際に、水道水とミキシングして、所定の温度にして給湯することとができる。この貯湯タンク4は、薄板の耐腐食性に優れたステンレス製のプレス部品で構成されており、円筒状になっている。この貯湯タンク4の前方には、水道水を供給する給水管5があり、この給水管5から供給された水圧を一定の水圧に減ずるための減圧弁6が配されており、それ以外に水ポンプ7などの機能部品や、制御P板8などの制御部品が配されている。
減圧弁6は水道水の圧力を概して、従来は120kPa以下に減じて貯湯タンク4に供給するものであり、貯湯タンク4にかかる圧力を減ずることで、貯湯タンク4の変形防止、耐久性向上を確保している。また、近年では高圧タイプとして、減圧弁の設定を180kPaまで上げているものも登場しているが、今回のこの仕様では、減圧弁の設定を250kPa以上として、280kPaまで上げて、さらに高圧タイプの貯湯タンクユニット1としている。また、この減圧弁6にはストレーナを組み込み、水道水内のゴミ、コンタミネーションを除去するようになっている。
9は密閉された圧力容器である貯湯タンク4の上死点に設けられた、圧力逃し安全弁であり、貯湯タンク4の破裂を防ぐ缶体内の異常圧力を抜くための装置として、減圧弁6の設定圧力よりも高く設定してある。この仕様では280kPaより高い設定として、減圧弁6のバラツキも考慮して、340kPa程度に設定している。
ヒートポンプユニット2には、圧縮機、放熱器、減圧手段、空気−冷媒熱交換器を順次接続した冷媒サイクルが組み込まれており、10は圧縮機、11は放熱器であり、水−冷媒熱交換器として、水道水を加熱する熱交換器であり、12は空気−冷媒熱交換器である。13は空気−冷媒熱交換器12の前方に配された送風手段である送風ファンであり、空気−冷媒熱交換器12から、風を吸引し、蒸発能力を高め、ヒートポンプ加熱能力を高めるようになっている。そして、ヒートポンプユニット2で80℃以上に加熱された水道水は、温水となって、水配管3bで給湯装置の貯湯タンクユニット1に運ばれ、貯湯タンク
4に貯湯されるわけである。
給湯装置の貯湯タンク4の構成は、図3に示しており、図3(a)に上面図、図3(b)に側面図を記載している。14は耐腐食性を有するステンレス鋼鈑を絞り加工して成形した上部板であり、15は上部板14とTig溶接で一体化されたステンレス鋼鈑の胴板であり、平板をロール加工にて円筒状にし、縦方向にTig溶接してある。16は胴板15の下方に配され胴板15とTig溶接で一体化された下部板であり、上部板14と同様にステンレス鋼鈑を絞り加工して成形してある。この3部品で閉塞空間を形成し、その内方に温水を貯留することにより、給湯装置の貯湯タンクの役割を果たすようになっている。また、上部板14、下部板16には、給水口や温水取り出し口である、配管接続部17、18が複数設けられている。
上部板14は、頂部14aを半球状の平面円の直径Aに対して、長辺Bを1.1〜1.3倍、短辺Cを0.4〜0.6倍とする楕円形状としている。また、外周垂直部14bと頂部14aの楕円形状の接する部位の面取り形状14cは、半径80mm以上の円形状の一部で接続する構成としている。
この構成は上部板14について記載したが、下部板16に関しても同じである。17はこの貯湯タンクを支えるための脚であり、この脚17を保持するための、脚金具18は胴板15にスポット溶接で取り付けられている。さらに、上部板14、下部板16には給水、給湯を行うための配管を接続する配管接続部として、上部板14には14d、14e、14f、下部板16には16d、16e、16fを設けている。
上部板14の詳細断面図を記載したのが図4、図5である。配管接続部14d、14e、14fのうち、中央部にある14dはもちろんだが、14e、14fは、頂部14aの楕円形状部分に対して、法線方向に加工した形状としてある。つまり、頂部14aの法線方向に孔加工が行われ、その孔加工部に配管ソケット19が溶接されているわけであり、この配管接続部14d、14e、14fの加工により板厚が減じてしまうことを防いでおり、強度を確保するようになっている。
また、この配管開口部14jの中心位置、つまりは配管ソケットの19の中心位置は、頂部14aの楕円形状と、面取り形状14cの交点14gよりも50mm以上内方に配されている。また、凸部14iと頂部14aの楕円形状の交点は、面取り形状14cと頂部14aの楕円形状の交点よりも内方に配されている。
そして、この様に構成された貯湯タンク4が、図1、図2で示した形で、給湯装置の貯湯タンクユニット1となっている。また、胴板15の板厚は上部板14や下部板16の板厚に対して同等もしくは、それよりも厚くしてある。
以下、図面に基づいて、上記給湯装置の動作を説明する。
給水管5から給水された水道水は、一旦貯湯タンク4の内部に入る。その貯湯タンク4からポンプ7を介し、水配管3(3a)を通りヒートポンプユニット2に送られる。ヒートポンプユニット2では、圧縮機10を駆動させると、高圧まで圧縮されて吐出された冷媒は、水−冷媒熱交換器である放熱器1.1に送られ、ここで水配管3(3a)から送られてきた水道水と熱交換して放熱する。
これにより、水道水は高温に加熱され、他方の水配管3bで再度、給湯タンクユニット1に送られる。高温となり給湯タンクユニット1に戻った温水は、貯湯タンク4で貯湯される。そして、貯湯された温水は、給湯操作が行われると、貯湯タンク4の温水と、給水
管5から、減圧弁6を介して給水された水道水が、混合弁20で混合され、所定の温度となって給湯管21を介して、蛇口や風呂などの給湯端末22給湯される。
この際に、水道圧の圧力が貯湯タンク4に加わらないように、給水管5には圧力を減ずるための減圧弁6が設けられており、280kPa程度に減圧を行う。それにより、給湯端末22をON−OFFすると、20〜60kPa程度の圧力と、減圧弁6の設定圧力である280kPaが繰り返し、貯湯タンク4にかかることとなる。また、貯湯タンク4内の温度が上昇し、内部圧力が高くなった場合の圧力逃し弁9が開放されるまでの圧力330kPaが貯湯タンク4にかかることとなる。
そのため、貯湯タンク4の胴板15は、Tig溶接してある上部板14と胴板15の接合部15a、下部板16と胴板15の接合部15bを支点として、中央部が膨縮を繰返すこととなる。それと共に、上部板14、下部板16についても、頂部であるが膨縮を繰返すこととなる。その際に、配管接続部14d、14e、14f、16d、16e、16fにも応力がかかり、最も高くなるのは、バーリング加工を施している部位の根元である。
それに対して、図4、図5に記載した上部板14で言えば、配管接続部14d、14e、14fのうち、中央部にある14dはもちろんだが、14e、14fは、頂部14aの楕円形状部分に対して、法線方向に加工した形状としてあることで、この根元部位の板厚が減じてしまうことを防いでおり、強度を確保するようになっている。
このように、上部板14、胴板15、下部板16の強度を増しているので、亀裂が生じることがなく、耐久性に優れた貯湯タンク4とすることが出来る。そのため、減圧弁6の設定圧力を高く設定することが出来、給湯端末であるシャワー圧を上げることが可能となり、シャワーの勢いが増すことにより、使用性が大幅に向上したり、給湯圧が上がることにより、3階への風呂給湯が可能となったり、3階への蛇口給湯が可能となったり、非常に使い勝手が良くなることとなる。
また、減圧弁6が故障した場合には、圧力逃し安全弁9にて設定した圧力で、圧力逃しが行なわれ、その圧力まで貯湯タンクには内圧がかかることとなる。この設定圧力は、減圧弁6の設定圧力よりも高くなっているが、それに対しても、貯湯タンク4の強度を向上していることにより異常は生じない。
減圧弁6や圧力逃し安全弁12を設けている場合は、減圧弁6、圧力逃し安全弁12以上の圧力は貯湯タンク4に加わらない。しかし、それが0.3MPa以下であれば、0.3MPaの静水圧を加えて水漏れ、変形、破損その他の異常のないことが求められているが、減圧弁、圧力逃し安全弁が0.3MPa以上であれば、1.75MPaにて水漏れ、変形、破損その他の異常のないことが必要となる解釈できる。今回は、圧力逃し安全弁12の設定が0.3MPaを超えて使用するケースを想定しているために、1.75MPaの静水圧をかけて、水漏れ、変形、破損その他の異常のないこと、としなければならない。
それに対して、前述のような対応を行っていることにより、水漏れ、変形、破損その他の異常のないこと、を満足しているわけである。
表1は、内圧をX軸に取り、頂部5aのミーゼス応力をY軸に取ったものであるが、従来の頂部5aがR形状のものと比し、頂部14cを楕円形状としたものは、その応力を低減できていることがわかる。ただし、楕円形状を球面に近づけるようにすれば、貯湯タンク4のタンク容量が減ってしまうことになる。それに対して、頂部5aを半球状の平面円の直径Aに対して、長辺Bを1.1〜1.3倍、短辺Cを0.4〜0.6倍とする楕円形状とし、外周垂直部14bと頂部14aの楕円形状の接する部位の面取り形状14cはR80以上としていると、タンク容量をむしろ増しつつ、応力を低減できることになるわけである。
また、給湯端末22(蛇口など)で、給湯、OFFを繰返されると、貯湯タンク4には、前述したように、0(ゼロ)圧と減圧弁6あるいは圧力逃がし弁9の設定圧が繰返しかかることとなる。繰返し荷重が加わるわけである。そのような条件で耐久性を保障するために、胴板15の板厚を上部板14、下部板16と同厚または厚くしていることで、その耐久性を向上することができる。
貯湯タンク全体で見れば、最も応力の高い箇所は、下部板16と胴板15の接合部である。この下部板16と胴板15の接合部は図6のようになっており、接合部15bで下部板16と胴板15は一体化されている。内方より圧力Pが加わると、耐腐食性を有するステンレス鋼鈑を絞り加工して成形した下部板16は、強度が高いために、外方へ変形をしない。
それに対して、平板をロール加工にて円筒状にした胴板15は、接合部15bを支点として、外方へ膨らむ形となり、支点である、15bの応力が最も高くなる。そのため、繰返し荷重により、この接合部15bでTig溶接部の亀裂が生じてしまうわけである。それに対して、胴板15の板厚を上部板14、下部板16と同厚または厚くしていることで、胴板15の強度が増し、圧力Pに伴う変形が減じ、応力も減ずるので、耐久性が増すこととなるわけである。
表2は、胴板15、下部板16に歪ゲージを貼り付け、給湯端末をON−OFFさせた時の。歪量を測定したものである。胴板15と下部板16の変位である、歪量が少ない方が、耐久性の面で強く、特に胴板15と下部板16の変位差が少ない方が良好であると考えられるので、胴板15と下部板16が同厚、むしろ下部板が厚い方が変位差が小さく、繰返し荷重に対してよいと考えられる。ただ、板厚を上げれば、当然コスト面で上がってくることとなるので、品質的に問題なければ、胴板15と下部板16が同厚を選択する方が現実的である。ここでは下部板16と胴板15に関して書いてきたが、上部板14と胴板15に関しても同等の考え方である。
また、上部板14の、配管接続部14d、14e、14fのうち、中央部にある14dはもちろんだが、14e、14fは、頂部14aの楕円形状部分に対して、法線方向に加工した形状としてある。従来の給水、給湯を行うための配管を接続する配管接続部は、図7に拡大図で記載しているように、上部板14の頂部14aに、水平加工部14hを設けてそこに設けていた。
そのため、この水平加工部14hは、内方に凹部14i、外方に凸部14jが設けられており、その間に水平加工部14hがあり、その水平加工部14hにある配管開口部14kに配管ソケット19が溶接されて一体化されていたのである。
これは、配管接続部の加工に際し、垂直方向での穴加工を行うためである。ところが、このような水平加工部14hを設けているので、凹部14i、凸部14jの箇所は肉厚が減じてしまうこととなる。そのため、今まで記載してきた、繰返し荷重に対して弱くなっているということになる。特に、凹部14i、凸部14jの変曲点が最も弱くなる。
それに対して、図4、図5で示したように、頂部14aの法線方向に加工していれば、肉厚の減少がなくなることとなり、耐久性が大幅に向上し、同じ強度ならば、上部板14、あるいは下部板16の板厚を減ずることが可能となり、コストダウンも可能となるわけである。
表3に示したのは、内方より圧力340kPaがかかった際の、色々な仕様における、配管接続部の最大応力箇所の値を示している。上から、図7で記した、従来のように、水平加工部14hを設け、その略中央部に配管接続部のバーリング形状を設けた場合で、上部板の板厚がt1.0の場合、2段目は同仕様で板厚がt1.2の場合、3段目は頂部の楕円形状14aに法線方向に向かって、配管接続部のバーリング穴を設け板厚t1.0の場合、4段目は同仕様でt1.2の場合である。
また、配管接続部は、頂部の楕円形状14aの中央部、14dと、頂部の楕円形状14aと面取り形状14cの交点より50mm以上内方に位置している配管接続部14e、1頂部の楕円形状14aと面取り形状14cの交点より内方へ50mm以内にある配管接続口14mの値を記している。また、配管接続部のバーリング穴の根元RをR0.5、R1.0、R1.5と変えている。
これでわかるように、水平加工部14hを設けた場合は、ミーゼス応力値が高くなっており、水平加工部がなく法線方向に加工した場合は、その値が低いことがわかる。また、板厚で見れば板厚が厚い方が低く、根元Rで見ればRが大きい方が低い。また,14eと14mでみれば,14eが低くなっている。さらに、水平加工部14hを設け、t1.2の場合より、法線方向に加工したt1.0の方がミーゼス応力は低い面があり、コスト合理化効果を高めることができる面もある。
以上より、配管接続部を頂部の楕円形状14a面に設け、この配管接続部は楕円形状14aに対して、法線方向に加工し、この位置は頂部の楕円形状14と、面取り形状と楕円形状の交点よりも50mm以上内方とすることが、ミーゼス応力低減効果が高く、それにより、板厚減によるコスト合理化効果もあることがわかる。以上は、上部板14に関して記してきたが、下部板16に関しても同様である。以上のように、耐圧性、耐久性、コストダウンに優れた給湯装置の貯湯タンクを提供できることとなるわけである。
また、貯湯タンク4の胴板15に貯湯タンク4を支えるための脚17あるいは、脚を保持するための脚取付け金具18を取付けたことは、絞り加工を行い、加工硬化により延性の減じた下部板16に取り付けた際に生じる恐れのある、溶接部位からの亀裂発生を防ぐことができ、円筒状であり、円周方向の強度に強い胴板15に溶接することで、強度を増すことが出来、ひいては減圧弁6や圧力逃がし弁9の設定圧力をあげることによりシャワー圧を上げて、シャワーの勢いを強くする、あるいは3階建て住宅で3階給湯するなど高所での給湯するために、給湯圧を上げて使用することが可能となり、使用性が大幅に向上
することとなる。
ところで、シャワー圧を上げる方法としては、加圧ポンプを用いる方法がある。これは、給湯の出口側に加圧ポンプを設け、給湯圧を上げることにより、シャワー圧を上げるというものである。ところが、設置時に工事が必要であること、加圧ポンプの価格が上乗せされてしまうことなどの問題もある。
それに対して、貯湯タンク4の強度を上げて、減圧弁6、圧力逃し安全弁12の設定圧力を上げていることは、風呂回路23の圧力も高くなることを意味し、ひいては風呂の湯はり時間も大幅に短縮することが出来るわけである。
以上のように、本発明は、温水をためてそれを供給する給湯装置に適用され、例えば家庭用のヒートポンプ給湯装置などに適している。
本発明の実施の形態1における給湯装置の正面図 同給湯装置の回路図 (a)同給湯装置の貯湯タンクの上面図(b)同給湯装置の貯湯タンクの側面図 同給湯装置の貯湯タンクの詳細断面図 同給湯装置の貯湯タンクの他の詳細拡大図 同給湯装置の荷重模式図 従来の給湯装置の貯湯タンクの断面詳細図 従来の給湯装置の断面図
符号の説明
1 給湯装置の貯湯タンクユニット
2 ヒートポンプユニット
3a、3b 水配管
4 貯湯タンク
5 給水管
6 減圧弁
7 水ポンプ
8 制御P板
9 圧力逃し安全弁
10 圧縮機
11 放熱器
12 空気−冷媒熱交換器
13 送風ファン
14 上部板
14a 頂部
14b 外周垂直部
14c 面取り形状
14d、14e、14f 配管接続部
14g 水平加工部
14h 凹部
14i 凸部
14j 配管開口部
15 胴板
16 下部板
16d、16e、16f 配管接続部
17 脚
18 脚金具
19 配管ソケット
20 混合弁
21 給湯管
22 給湯端末

Claims (6)

  1. 加熱手段を用いて任意の温度に加熱した温水を貯湯し、略円筒状の胴板の上方及び下方に、略半球状の上部板及び下部板をそれぞれ配設するとともに、前記上部板及び下部板の頂部の縦断面形状は楕円形状で、前記上部板及び/又は下部板に設ける配管接続部を、前記上部板及び/又は前記下部板の楕円形状面の法線方向に一体形成または接続する構成としたことを特徴とする給湯装置の貯湯タンク。
  2. 胴板の板厚は、上部板と下部板の板厚以上にすることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置の貯湯タンク。
  3. 上部板、下部板の頂部の縦断面形状は、略半球状の平面円の直径に対して長辺を1.1〜1.3倍、短辺0.4〜0.6倍の楕円形状とし、略半球状の外周略垂直部と前記楕円形状とが接する部位の面取り形状は、半径80mm以上の円形状の一部としたことを特徴とする請求項1または2に記載の給湯装置の貯湯タンク。
  4. 配管接続部の中心位置は、上部板、下部板の頂部の楕円形状部と面取り形状部との交点よりも50mm以上内方に位置することを特徴とする請求項3に記載の給湯装置の貯湯タンク。
  5. 貯湯タンクには水道水を給水するための給水部と、温水を供給するための出湯部と、前記給水部に給水圧力を減ずるための減圧弁とを設け、前記減圧弁の設定圧力を0.25MPa以上としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の給湯装置の貯湯タンク。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の給湯装置の貯湯タンクと、圧縮機、水−冷媒熱交換器、減圧手段、空気−冷媒熱交換器を順次接続して形成した加熱手段とから構成したことを特徴とするヒートポンプ給湯機。
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