JP2009226280A - 循環水及び循環システムの浄化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】循環水を循環させるシステムにおいて、有害なハロゲン系化合物を使用することなく、循環水及び循環水の流路全体を均一かつ効率良く浄化する。
【解決手段】水を処理可能な複数のユニットと、これらのユニットを接続する配管5とを備え、かつ循環水3を循環させるシステムにおいて、パイナップルなどの被子植物の果実から抽出された酵素群を循環水に添加し、前記ユニット、配管5及び循環水3の汚染を抑制する。この方法において、薬液投入装置7から前記酵素群を合計量で1〜5000ppmの濃度で循環水3に添加してもよい。さらに、非イオン界面活性剤を循環水に添加してもよい。前記酵素群の合計量と非イオン界面活性剤との割合(質量比)は、例えば、前者/後者=1000/1〜1/1程度である。前記システムが開放系であってもよく、密閉系であってもよい。前記システムは、冷却ユニット2を備えていてもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、循環水を循環させるシステム(循環装置)において、このシステムを構成するユニット及び配管並びに循環水の汚染を抑制する浄化方法に関する。
近年、資源の有効利用及び省エネルギーの観点から、各種の製造工場やビルの空調設備などにおいて大量に使用される水のリサイクル使用が求められている。しかし、再使用される循環水は、使用とともに、微生物や酸素化合物などの有機化合物が混入又は発生し、経時的に蓄積されて固化し易い。例えば、工業用又は空調用冷却塔(クーリングタワー)を備え、循環水を循環させるシステムでは、水槽の底部に汚泥やスライムが堆積したり、装置や配管内壁にスケールなどの汚れが付着し易い。このようなシステムにおいて、汚染を抑制するためには、一般的には、殺菌作用を有するハロゲン系化合物として次亜塩素酸ナトリウムなどが添加されている。
さらに、次亜塩素酸ナトリウムなどのハロゲン系化合物よりも、細菌の抑制効果や経済性などを改良した殺生物剤を用いた方法として、特許第2774851号公報(特許文献1)には、特定の水溶性アンモニウム過ハロゲン化物を、水系における生物汚染を抑制するに足りる頻度、継続時間、及び濃度にて水系中に導入する工程を含む生物汚染の抑制方法が提案されている。
しかし、ハロゲン系化合物は、細菌の増殖防止効果はあるものの、人体に有害であり、環境保全的にも好ましくないため、代替品が求められている。さらに、薬液管理の変動や有機化合物の汚染量の変動などにより発生し、装置や配管内壁に付着し、蓄積されて固化した汚れは、ハロゲン系化合物で剥離又は分解するのは困難である。従って、従来の薬液では、循環水や汚れの種類に合わせて、防食剤、スケール防止剤、スライム防止剤などを経常的に投入する必要があり、簡便性や経済性が低い。特に、長期間の使用により蓄積して固化した汚れについては、薬剤による除去が困難であり、装置を分解して洗浄したり、部品の交換が必要となる。
一方、河川、湖沼、池、浄化槽などの水質改善剤として、国際公開WO01/28930号公報(特許文献2)には、オレンジ及び/又はパイナップルより抽出した酵素と、所定のミネラルとを組み合わせた水質改善剤が提案されている。この文献には、池の水を循環させて水質を改善する方法が記載されている。
また、特開2000−319696号公報(特許文献3)には、パイナップル酵素を保持させた無機粉体と石けんとを含有する洗浄剤組成物が開示されている。この文献には、前記石けんとして、ソーダ石けんやカリ石けんが記載されている。さらに、この洗浄剤組成物を継続使用することにより、流し台に連なる排水配管内の付着物が完全に剥がれ、浄化槽や排水配管からの逆流臭もなくなると記載されている。
しかし、これらの文献では、いずれもパイナップルなどの果実から抽出された酵素をミネラルや無機粉体などの無機化合物と組み合わせて使用している。そのため、沈降などにより、循環水の流路全体を均一かつ効率よく浄化できない。
特許第2774851号公報(請求項1、第4頁右欄39〜48行、実施例) 国際公開WO01/28930号公報(請求項1及び2、実施例) 特開2000−319696号公報(請求項1、段落[0013][0017])
従って、本発明の目的は、循環水を循環させるシステムにおいて、有害なハロゲン系化合物を使用することなく、循環水及び循環水の流路全体を均一かつ効率良く浄化することにある。
本発明の他の目的は、循環水を循環させるシステムにおいて、汚れが蓄積及び固化して、装置や配管内で強固に付着していても、簡便に剥離又は分解除去できる浄化方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、循環水を循環させるシステムにおいて、被子植物の果実から抽出された酵素群を循環水に添加することにより、有害なハロゲン系化合物を使用することなく、循環水及び循環水の流路全体を均一かつ効率良く浄化できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の浄化方法は、水を処理可能な複数のユニットと、これらのユニットを接続する配管とを備え、かつ循環水を循環させるシステムにおいて、前記ユニット、配管及び循環水の汚染を抑制する浄化方法であって、被子植物の果実から抽出された酵素群を循環水に添加する方法である。この方法において、前記酵素群を合計量で1〜5000ppmの濃度で循環水に添加してもよい。さらに、非イオン界面活性剤を循環水に添加してもよい。前記酵素群の合計量と非イオン界面活性剤との割合(質量比)は、例えば、前者/後者=1000/1〜1/1程度である。前記酵素群は実質的に無機化合物を含有していないのが好ましい。前記循環水は、例えば、工業用循環水であってもよい。前記システムは開放系であってもよく、密閉系であってもよい。前記システムは、冷却ユニットを備えていてもよい。
本発明では、循環水を循環させるシステムにおいて、被子植物の果実から抽出された酵素群を循環水に添加することにより、有害なハロゲン系化合物を使用することなく、循環水及び循環水の流路全体(このシステムを構成するユニット及び配管)を均一かつ効率良く浄化できる。さらに、前記酵素群と非イオン界面活性剤とを組み合わせると、有機化合物、無機化合物、微生物などによる汚れが長期間に亘って蓄積及び固化して、装置や配管内部で強固に付着していても、簡便に剥離又は分解除去できる。
本発明の浄化方法は、水を処理可能な複数のユニットと、これらのユニットを接続する配管とを備え、かつ循環水を循環させる循環システム(循環装置)において、被子植物の果実から抽出された酵素群を前記循環水に添加することを特徴とする。
前記循環システムは、水を循環して再使用するシステムであれば、特に限定されないが、通常、工場やビルなどで加熱された水を冷却するためのシステムとして利用されている。以下、本発明における循環システムについて図面に基づいて説明する。
図1は、本発明における循環システムの一例を示す概略フロー図である。図1において、循環システムは、製造工程や冷凍機などにより生じた熱水(図示せず)の熱を熱水から循環水3に交換(付与)するための熱交換ユニット1と、熱交換ユニット1で加熱された循環水3を冷却するための冷却ユニット2と、循環水3をシステム内で循環させるための送液ポンプユニット4とを備えており、これらのユニット間が配管5で接続されて、循環水3がシステム内を循環している。冷却塔などの冷却ユニット2は、塔内部において、加熱された循環水3を、散布水孔より雨だれ状に流下させつつ、冷却ファン(図示せず)で送風して空気と接触させることにより循環水3の一部を気化させている。さらに、冷却ユニット2は、通常、蒸発などによって減少した循環水を補給するための補給水配管6と、循環水の汚染を抑制するための薬液投入装置7とを備えており、冷却ユニット2の水槽に補給水及び前記酵素群を含む薬液が投入される。このようなシステムは、具体的には、各種工場における工業用水を冷却するための循環システム、各種建造物の空調設備における冷却水を冷却するための循環システムとして利用されている。
このような循環システムにおいて、熱交換ユニットとしては、例えば、工場の製造工程において生じた排熱水を冷却するための熱交換器、空調設備において使用される冷凍機などが使用される。熱交換ユニットにおいて、循環水と熱交換させるための熱媒(例えば、工場の排熱水などの水)の温度は、例えば、30〜100℃、好ましくは30〜80℃、さらに好ましくは30〜70℃(特に35〜60℃)程度である。熱交換ユニットにおける流体の温度が高すぎる場合には、酵素が失活し、浄化効果が低下する場合がある。
冷却ユニットとしては、通常、冷却塔(クーリングタワー)が使用される。冷却塔では、循環水の一部を蒸発させた気化熱を利用して、循環水の温度を低下させる。冷却塔には、開放式冷却塔、密閉式冷却塔が含まれるが、開放式の場合、空気中に浮遊している粉塵、細菌などが循環システムに取り込まれ易いため、本発明の浄化方法がより有効である。
冷却ユニットでは、熱交換ユニットで加熱された循環水を冷却するが、その入口温度(冷却前の温度)は、例えば、20〜90℃、好ましくは25〜70℃、さらに好ましくは25〜60℃程度である。一方、出口温度(冷却後の温度)は、例えば、10〜80℃、好ましくは15〜60℃、さらに好ましくは20〜50℃程度である。
冷却塔に付属する薬液投入装置としても、流量を制御可能な慣用の装置が利用できる。
送液ポンプユニットとしては、慣用の送液ポンプが利用できる。各ユニットを連結する配管又は冷却塔の補給水配管は、材質、形状ともに限定されず、慣用の配管が利用できるが、通常、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス合金などの金属、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックなどで構成されている。
本発明の浄化方法では、このシステムの薬液投入装置から循環水に被子植物の果実から抽出された酵素群が添加される。本発明では、前記酵素群の添加により、循環水の汚染が抑制され、有機化合物や無機化合物の蓄積が抑制されるとともに、前記ユニット(冷却塔、熱交換器、送液ポンプ)の循環水が流通する部位や貯留する槽及び配管の内壁にスライムやスケールなどの汚染物が付着するのが抑制される。
本発明の浄化方法に有効な酵素群を有する被子植物としては、果実を形成する被子植物であれば特に限定されないが、例えば、双子葉類(パパイヤ、キウイ、マンゴー、ドリアン、メロン、イチゴ、レモン、ミカン又はオレンジ、リンゴ、ナシ、ザクロ、ブドウなど)、単子葉類(パイナップル、バナナ、ココヤシなど)などが挙げられる。なかでも、酵素活性が高い点から、パイナップル、パパイヤ、キウイ、マンゴーなどの熱帯又は亜熱帯系植物が好ましく、パイナップルが特に好ましい。
これらの被子植物の果実には、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼなどの各種分解酵素を含む複数種の酵素が含まれており、循環システム中に発生した有機化合物を有効に分解できる。具体的に、パイナップルから抽出された酵素群には、アルコール、糖類、アルデヒド、アミノ酸、タンパク質、脂質、核酸、補酵素、有機酸、アミンなどの基質に対して作用する数十種類以上の酵素群(加水分解酵素、酸化還元酵素、転移酵素、脱離酵素、異性化酵素、合成酵素など)、例えば、特開2000−319696号公報などに記載された酵素群が含まれている。
このような酵素群を被子植物の果実から抽出する方法は、特に限定されず、慣用の方法を利用できる。例えば、慣用の搾汁機などを用いて、果実から搾出した果汁を利用できる。得られた果汁は、それ自体が酵素群を含む抽出物として利用でき、濾過などにより精製・分離してもよい。さらに、得られた酵素群を含む水溶液は、濃縮又は乾燥してもよい。また、必要に応じて、酵素群を熟成又は発酵させてもよい。なお、個々の酵素を合成して組み合わせてもよいが、簡便性及び経済性などの点から、果実からの抽出物を用いるのが好ましい。
本発明では、酵素群は、乾燥粉末の状態で薬液投入装置(例えば、水を充填した薬液投入装置)に添加してもよいが、簡便性の点から、水溶液の状態で薬液投入装置に添加するのが好ましい。酵素群の添加量(合計量)は、循環システムの循環水中において、例えば、質量基準で1〜5000ppm、好ましくは10〜1000ppm、さらに好ましくは20〜500ppm(特に30〜300ppm)程度の濃度となる量である。酵素群の作用は明らかではないが、有機化合物に対する分解作用の他、循環水中に存在する有機化合物を分解可能な微生物の活動を促進する作用も有していると推定できる。本発明では、酵素群のこのような作用によるためか、例えば、50〜150ppm程度の少量であっても、循環水を有効に浄化できる。
酵素群の添加方法は、最終的に前記濃度範囲になればよく、分割して添加してもよいが、簡便性の点から、通常、一括して添加される。さらに、連続的に運転する場合には、酵素の失活を考慮して、定期的に酵素群を補充添加してもよい。例えば、1日〜3月ごと、好ましくは5日〜2月ごと、さらに好ましくは1〜6週間ごとに前記濃度範囲となるように酵素群を添加してもよい。
本発明の方法では、前記酵素群に加えて、さらに非イオン界面活性剤を循環水に添加することにより、環境に大きな負荷をかけることなく、浄化効果を向上でき、特に、前記酵素群との相乗効果により、装置及び配管内に付着して固化した汚染物の剥離除去を促進できる。非イオン界面活性剤に、エーテル型、エステルエーテル型、エステル型、含窒素型界面活性剤が含まれる。
エーテル型ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレンC6-24アルキルエーテルなど)、ポリエチレンオキサイドと2級アルコールとのエーテル(例えば、ポリエチレンオキサイドと1−ノニル−1−ドデシルアルコールとのエーテル、ポリエチレンオキサイドと1−ラウリル−1−ラウリルアルコールとのエーテルなどのポリエチレンオキサイドと2級C6-36アルキルアルコールとのエーテルなど)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンC6-24アルキルフェニルエーテルなど)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどが挙げられる。
エステルエーテル型ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレングリセリンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンオレイン酸エステルなどのポリオキシエチレングリセリンC8-24脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステルなどのポリオキシエチレンソルビタンC8-24脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンショ糖C8-24脂肪酸エステルなど)、ポリオキシエチレンヒマシ油及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。
エステル型ノニオン界面活性剤としては、多価アルコール脂肪酸エステル[(ポリ)グリセリン、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトール、グリセリン、ショ糖などの多価アルコールと脂肪酸とのエステル]などが例示でき、例えば、グリセリンモノステアリン酸エステルなどのグリセリンC8-24脂肪酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステルなどのショ糖C8-24脂肪酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステルなどのソルビタンC8-24脂肪酸エステルなどが挙げられる。
含窒素型ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン(例えば、ポリオキシエチレンラウリルアミンなどのポリオキシエチレンC6-24アルキルアミンなど)、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド(例えば、ポリオキシエチレンステアリン酸アミドなどのポリオキシエチレンC8-24脂肪酸アミドなど)、脂肪酸アルカノールアミド(例えば、N,N−ジエタノールステアリン酸アミドなどのN,N−アルカノールC8-24脂肪酸アミド)などが挙げられる。
なお、前記ノニオン性界面活性剤において、エチレンオキシドの平均付加モル数は、1〜35モル、好ましくは2〜30モル、さらに好ましくは5〜20モル程度である。
これらの非イオン界面活性剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの非イオン界面活性剤のうち、汚れに対する浸透性などの点から、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンC6-24アルキルエーテル、ポリエチレンオキサイドと2級C6-36アルキルアルコールとのエーテル、グリセリンモノステアリン酸エステルなどのグリセリンC8-24脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルアミンなどのポリオキシエチレンC6-24アルキルアミンが好ましい。
非イオン界面活性剤の添加量は、循環システムの循環水中において、例えば、質量基準で0.1〜100ppm、好ましくは0.5〜50ppm、さらに好ましくは1〜20ppm(特に2〜15ppm)程度の濃度となる量である。非イオン界面活性剤の添加方法も前記酵素群の添加方法と同様である。本発明では、従来の塩素系化合物などとは異なり、厳密な濃度管理は不要であり、前述のように、薬液を一括又は分割添加するだけでも、優れた浄化効果を示すため、簡便な方法で循環システムの浄化ができる。
前記酵素群の合計量と、非イオン界面活性剤との割合(質量比)は、例えば、前者/後者=1000/1〜1/1程度の範囲から選択でき、例えば、500/1〜1/1、好ましくは300/1〜2/1、さらに好ましくは100/1〜5/1(特に50/1〜10/1)程度である。本発明では、前記酵素群と非イオン界面活性剤とをこのような割合で組み合わせることにより、循環水の浄化に加えて、装置及び配管内に固化して付着した汚れを有効に分解除去できる。
本発明では、前記酵素群は、循環システムにおける流路全体の浄化性の点から、ミネラル、ゼオライト、炭酸カルシウムなどの無機化合物を実質的に含有しないのが好ましい。また、薬液としても、前記酵素群及び前記非イオン界面活性剤に加えて、前記無機化合物を実質的に添加しないのが好ましい。
循環水には、前記酵素群及び非イオン界面活性剤による効果を損なわない割合で、さらに他の界面活性剤(アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤など)、慣用の添加剤、例えば、殺菌剤、抗菌剤、スケール防止剤、スライム防止剤、消泡剤、安定剤(酸化防止剤、防錆剤など)などを添加してもよい。
循環水としては、純水やイオン交換水を使用してもよいが、経済性などの点から、通常、水道水、工業用水(井戸水、河川水のろ過水など)などが使用される。循環水量は、用途に応じて選択でき、特に限定されないが、工業用循環水の場合、通常、1〜10000m3/時間程度であり、好ましくは10〜5000m3/時間、さらに好ましくは20〜3000m3/時間程度である。循環水のpHは、例えば、6〜9程度であり、好ましくは、6.2〜8.5、さらに好ましくは6.5〜8(特に6.5〜7.5)程度である。水道水などの循環水には、通常、塩化物イオン、硫酸イオン、硫化物イオン、金属イオン(カルシウム、シリカ、鉄、銅イオンなど)などの無機化合物が含まれている。
本発明におけるシステムでは、このような循環水が循環することにより、前記無機化合物が析出したり、有機化合物(タンパク質、アミノ酸、脂質、糖類、多糖類など)が蓄積し、微生物(バクテリア、藻類、カビ、酵母など)が増殖する。さらに、システムが開放系の場合には、装置を運転中に、空中に浮遊している微生物や粉塵が循環水に混入し、スライムを形成したり、無機化合物と複合して装置や配管内壁に付着し易い。特に、工業用循環水の場合、使用量が多く、水質管理も徹底されないため、このような汚染を生じやすく、本発明の浄化方法を好適に利用できる。
本発明の浄化方法は、循環水を循環させる循環システムに利用でき、特に、大量に使用され、環境的な影響が大きく、汚れも激しい用途、例えば、各種工場(プラスチックなどの化学品の製造工場、薬品・食品の製造工場、日用品の製造工場、半導体製造工場、自動車製造工場、OA機器や家電製品の製造工場など)における工業用水(排熱水など)を冷却するための循環システム、各種建造物(オフィス、工場、学校、病院などの大型建造物など)の空調設備における冷却水を冷却するための循環システムに有用である。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例における各物性値は、以下の方法により測定した。
実施例1
ターボ式冷凍機の冷却水における循環システムで実験を行った。循環システムは、製造工程で使用する冷媒水を製造するための冷凍機と、冷凍機を冷却するための冷却塔(クーリングタワー)と、循環水をシステム内で循環させるための送液ポンプとを備えており、これらのユニット間が配管で連結されて、循環水がシステム内を50m3/時間の水量で循環している。なお、冷凍機としては、ターボ式冷凍機を使用し、冷却塔としては、開放式向流形小型クーリングタワーを使用した。冷却塔は、塔内部において、加熱された循環水を、冷却水散布量50m3/時間で、散布水孔より雨だれ状に流下させつつ、冷却ファン(2.2kW)で送風して空気と接触させることにより循環水の一部を気化させている。さらに、冷却塔は、前記気化などによって減少した循環水を補給するための補給水配管と、循環水の汚染を抑制するための薬液投入装置とを備えている。冷却塔における循環水の温度は、入口温度が31℃で、出口温度が29.5℃であった。
このようなシステムにおいて、薬液投入装置を用いて、パイナップル酵素製剤(シオン・コーポレーション社製、「キヨラ酵素製剤」)及び非イオン界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、松本油脂製薬(株)製、「ゾンデスAL10」)を、パイナップル酵素製剤の循環水中における濃度が100ppm、非イオン界面活性剤の循環水中における濃度が10ppmとなるように水溶液の状態で投入し、運転した。なお、薬液の投入前に、システムは経時使用によって、循環水には有機物が発生して蓄積し、臭気が発生していた。また、装置及び配管内壁には、有機物を接着層として無機物や鉄錆が付着していた。さらに、冷却塔では、水槽内部に堆積物が蓄積し、散布水孔で目詰まりが多発し、冷却フィンの汚れにより能力が低下し、エリミネーター部での泡立ちが激しい状態であった。
酵素群と非イオン薬液を投入すると、徐々に冷却塔のエリミネーター部の泡立ち及び循環水の臭気が減少し、投入してから約1週間後に泡立ち及び循環水の臭気が消失した。また、冷却塔の出口温度が28.8℃に低下し、冷却効率が50%向上した。
さらに、運転を続けると、冷却塔の水槽における堆積物の量は、目視観察で1月後には、当初の4割程度に減少し、2月後には2割程度に減少した。また、冷却塔の散布水孔の目詰まりが解消するとともに、装置内壁に付着していた無機物や鉄錆が剥離した。
従来の次亜塩素酸ナトリウムを用いた方法に比べて、処理後の循環水の廃水処理において、活性汚泥処理が可能となり、処理時間が1/20となって大幅に改善された。さらに、従来の次亜塩素酸ナトリウムを用いた方法に比べて、薬液の費用は1/4であった。
実施例2
パイナップル酵素製剤及び非イオン界面活性剤の濃度を、それぞれ、10ppm、1ppmとする以外は実施例1と同様にして実験を行ったところ、実施例1と略同様の結果が得られたが、パイナップル酵素製剤及び非イオン界面活性剤の添加量が実施例1よりも共に少ないため、冷却塔の水槽における堆積物の減少程度が実施例1より遅かった。
実施例3
パイナップル酵素製剤及び非イオン界面活性剤の濃度を、それぞれ、500ppm、20ppmとする以外は実施例1と同様にして実験を行ったところ、実施例1と略同様の結果が得られたが、パイナップル酵素製剤及び非イオン界面活性剤の添加量が実施例1より共に多いため、冷却塔の水槽における堆積物の減少程度が実施例1より速かった。
実施例4
図1に準じた循環システムで実験を行った。循環システムは、製造工程で生じた排熱水の熱を排熱水から循環水に交換(付与)するための熱交換器と、熱交換器で加熱された循環水を冷却するための冷却塔(クーリングタワー)と、循環水をシステム内で循環させるための送液ポンプとを備えており、これらのユニット間が配管で連結されて、循環水がシステム内を40m3/時間の水量で循環している。熱交換器としては、多管式熱交換器を使用し、冷却塔としては、開放式向流形小型クーリングタワーを使用した。
パイナップル酵素製剤及び非イオン界面活性剤を投入する前は、冷却塔の入口温度が54℃で、出口温度が47℃であったが、実施例1と同一のパイナップル酵素製剤及び非イオン界面活性剤を実施例1と同一の濃度で使用したことろ、冷却塔の出口温度が42℃まで低下し、これらの添加剤を添加することにより、冷却効率が約70%向上した。さらに、運転を続けた結果、従来の次亜塩素酸ソーダを用いた方法では、8時間に1回の頻度で冷却塔の掃除をする必要があったが、1ヶ月に1回程度の掃除で充分であった。掃除をする頻度が減少した原因は、経常的に発生する有機物の汚れを酵素が分解し、さらにそれを非イオン界面活性剤が加速して浄化したことによると推定できる。
実施例5
実施例4において、非イオン界面活性剤をポリオキシエチレンセカンダリーアルキルエーテル(松本油脂製薬(株)製、「アクチノールF9」)に変更する以外は実施例4と同様の方法で実験を行った。その結果、実施例4と同様の結果が得られた。この結果から、非イオン界面活性剤として第2級アルコールエーテルを使用した場合も極めて優れた結果を示すことが明らかになった。
図1は本発明における循環システムの一例を説明するための概略フロー図である。
符号の説明
1…熱交換ユニット
2…冷却ユニット
3…循環水
4…送液ポンプユニット
5…配管
6…補給水配管
7…薬液投入装置

Claims (8)

  1. 水を処理可能な複数のユニットと、これらのユニットを接続する配管とを備え、かつ循環水を循環させるシステムにおいて、前記ユニット、配管及び循環水の汚染を抑制する浄化方法であって、被子植物の果実から抽出された酵素群を循環水に添加する浄化方法。
  2. 被子植物がパイナップルである請求項1記載の浄化方法。
  3. 酵素群を合計量で1〜5000ppmの濃度で循環水に添加する請求項1又は2記載の浄化方法。
  4. さらに、非イオン界面活性剤を循環水に添加する請求項1〜3のいずれかに記載の浄化方法。
  5. 酵素群の合計量と非イオン界面活性剤との割合(質量比)が、前者/後者=1000/1〜1/1である請求項4記載の浄化方法。
  6. 酵素群が実質的に無機化合物を含有していない請求項1〜5のいずれかに記載の浄化方法。
  7. 循環水が工業用循環水であり、システムが開放系又は密閉系である請求項1〜6のいずれかに記載の浄化方法。
  8. システムが冷却ユニットを備えている請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
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