JP2002177988A - 循環式冷却水系の水処理方法 - Google Patents
循環式冷却水系の水処理方法Info
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Abstract
ロー水量を低減することにより節水を図ると共に、腐食
およびスケール付着による障害を防止しつつ、薬剤の排
出量をできるだけ低減して、環境への悪影響を抑制した
循環式冷却水系の水処理方法を提供することを課題とす
る。 【解決手段】 循環冷却水の全硬度が100CaCO3
mg/l未満で、かつカルシウム硬度が80CaCO3
mg/l未満になるように硬度成分を除去し、酸化不働
態型防食剤を有効成分濃度として5〜500mg/lと
なるように循環冷却水に添加しながら、循環冷却水のM
アルカリ度が500CaCO3mg/l未満、イオン状
シリカ濃度が150SiO2mg/l未満で、かつpH
が8.2〜9になるように循環冷却水の濃縮倍率を調整
つつ、循環冷却水を循環させる循環式冷却水系の水処理
方法により、上記の課題を解決する。
Description
系の水処理方法に関する。さらに詳しくは、この発明
は、循環式冷却水系の配管などにおける腐食やスケール
付着による障害を防止する水処理方法に関する。
はプロセス冷却用に、また学校、病院、ホテルなどのビ
ルでは空調用に大量の冷却水が使用されている。冷却水
の使用量の増大に伴い、冷却塔を設けて水を循環再利用
し、さらに節水のために、可能な範囲で高濃縮運転を行
い、冷却水の有効利用が図られている。
やスケール付着などの障害が常に発生し、ことに循環再
利用によって濃縮され、水質が悪化した冷却水系では、
上記障害がますます発生しやすい状況となる。具体的に
は、機器・配管の閉塞や破損、機器耐用年数の低減、熱
効率の低下などの資源やエネルギーの損失、メンテナン
ス費の増大、工場での生産停止など種々の問題が引き起
こされる。
の水処理薬剤の添加が行われてきた。例えば、腐食を防
止するためには、リン酸塩、ホスホン酸塩、ポリリン酸
塩、亜鉛塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩などの
防食剤が使用されている。しかしながら、これらの防食
剤は、リンや重金属などの排水規制の面からその使用量
が制限される傾向にある。また、スケール付着を防止す
るためには、ホスホン酸塩、ポリリン酸塩、アクリル酸
系共重合体などのスケール防止剤が使用されている。し
かしながら、これらスケール防止剤も、リンや窒素、C
ODなどの排水規制の面からその使用量の低減が望まれ
ている。
添加せずに、イオン交換樹脂などを使用して水中の硬度
成分を除去した軟水を循環水および補給水に用い、かつ
軟水のpHを9〜11に調節維持しながら循環水の一部
をろ過しつつ循環させて、腐食とスケール付着による障
害を防止する冷却水の処理方法が提案された(特公昭5
0−39934号公報参照)。
水の硬度成分を除去すると共に、冷却水から排出するブ
ロー水量を低減させて、冷却水の総アルカリ度(Mアル
カリ度)が500CaCO3mg/l以上、pHが9.
0以上となるように冷却水の濃縮倍数を調整して、腐食
とスケール付着による障害を防止する開放循環冷却水系
の防食・防スケール方法が提案された(特開平9−94
598号公報参照)。
シウムを含有する粉塵が入り込むため、総アルカリ度が
500CaCO3mg/l以上で、かつpHが9以上も
あると、炭酸カルシウムなどのスケール付着の障害が頻
発する。また、pHを9.0以上に調整するだけではシ
リカスケールの付着による障害を防止できなくなるた
め、スケール防止剤の添加が必須になってしまう。
最終処理方法として、モリブデンを分離回収して防食剤
として再利用でき、併せて排水が環境基準にも適合する
確実かつ効率的なモリブデン酸塩水溶液の処理方法が提
案されている(特開平10−118649号公報参
照)。
却水系の高濃縮運転を実施して、ブロー水量を低減する
ことにより節水を図ると共に、腐食およびスケール付着
による障害を防止しつつ、薬剤の排出量をできるだけ低
減して、環境への悪影響を抑制した循環式冷却水系の水
処理方法を提供することを課題とする。
まず、循環冷却水の硬度成分を除去することにより、循
環冷却水中に含まれる塩類が濃縮されて生成する炭酸カ
ルシウムやケイ酸マグネシウムを主体とするスケールの
伝熱面への付着が防止できることに着目した。そして、
上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、循環冷却水の
Mアルカリ度が500CaCO3mg/l未満、イオン
状シリカ濃度が150SiO2mg/l未満で、かつp
Hが8.2〜9になるように調整することで、スケール
防止剤の添加が不要となり、排水(ブロー水)中のリ
ン、窒素およびCODなどの排水規制に適合でき、さら
に冷却水の高濃縮運転が可能になることを見出した。
態型防食剤を循環冷却水に添加することにより、運転休
止期間のある循環式冷却水系において、休止前に通常の
添加量の2〜3倍の腐食防止剤を添加したり、あるいは
腐食防止剤の効果を得るためだけに運転を継続しなくて
も優れた腐食防止効果が得られる事実を見出した。この
ような事実は、酸化不働態型防食剤の効果がアニオンに
より妨害されると考えられていたことからすれば、意外
な事実と言える。
性域になるほど強固な防食被膜を形成するため、低アル
カリ性域で同等の防食効果を得るためには、添加量を増
加するか、あるいは他の防食剤と併用する必要があっ
た。しかしながら、この発明の方法では、スケール防止
剤の添加が不要となるpH領域で良好な腐食による障害
の防止効果が得られる。また、冷却水系から排出するブ
ロー水に含まれる酸化不働態型防食剤を回収し、循環冷
却水に添加するので、環境への影響が少なく、かつ薬剤
のコストが大幅に削減できる。
系において、循環冷却水の全硬度が100CaCO3m
g/l未満で、かつカルシウム硬度が80CaCO3m
g/l未満になるように硬度成分を除去し、酸化不働態
型防食剤を有効成分濃度として5〜500mg/lとな
るように循環冷却水に添加しながら、循環冷却水のMア
ルカリ度が500CaCO3mg/l未満、イオン状シ
リカ濃度が150SiO2mg/l未満で、かつpHが
8.2〜9になるように循環冷却水の濃縮倍率を調整つ
つ、循環冷却水を循環させて、冷却水系における腐食お
よびスケール付着による障害を防止することを特徴とす
る循環式冷却水系の水処理方法が提供される。
式冷却水系としては、 1)冷却塔で循環冷却水の一部を蒸発させて冷却する開
放循環式冷却水系、 2)冷媒などで間接的に循環冷却水の熱を吸収し、原則
的には大気と接触する必要のない密閉循環式冷却水系、
および 3)一過式冷却水系 が挙げられる。中でも石油精製工場、石油化学工場、化
学工場などにおける製品の冷却や冷凍機冷媒の冷却など
に広く利用される開放循環式冷却水系が特に好ましい。
法を適用し得る循環式冷却水系の例を図1に示すが、本
発明はこの例により限定されるものではない。図1は開
放循環式冷却水系の系統図である。原水1は軟化装置ま
たは脱塩装置2において原水に含まれる硬度成分が除去
されて、補給水タンク3に送水され、補給水ポンプ4を
用いて補給水として冷却水槽6に給水される。防食剤1
0は冷却水槽6に適宜添加される。循環冷却水9は、冷
却水槽6から冷却水ポンプ7、熱交換装置8、冷却塔5
を経て、冷却水槽6に戻るように循環される。
脱着液14が適宜供給される回収装置12においてブロ
ー水に含まれる防食剤10が回収され、処理した水は排
水13として排出される。回収した防食剤10は回収液
タンク15に送液され、再利用の防食剤として、回収液
ポンプ16を用いて冷却水系に適宜添加される。
却水の全硬度が100CaCO3mg/l未満で、かつ
カルシウム硬度が80CaCO3mg/l未満となるよ
うに、循環式冷却水系に供給する補給水および/または
循環冷却水の全部もしくは一部の硬度成分を除去する。
除去方法としては、公知の方法が用いられ、例えば、軟
化装置または脱塩装置に、補給水および/または循環冷
却水の全部もしくは一部を通過させる方法が挙げられ
る。用いられる好適な装置としては、ナトリウム型の陽
イオン交換樹脂、ゼオライトなどの陽イオン交換樹脂を
使用する軟化装置、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹
脂を使用する脱塩(純水)装置、逆浸透膜を使用する脱
塩装置などが挙げられる。なお、除去する必須の硬度成
分は、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンであ
る。
働態型防食剤を有効成分濃度として5〜500mg/
l、好ましくは10〜100mg/lとなるように循環
冷却水に添加する。酸化不働態型防食剤としては、モリ
ブデン酸、タングステン酸、亜硝酸およびそれらのアル
カリ塩から選ばれた少なくとも1種を好適に使用するこ
とができる。アルカリ性塩としては、リチウム塩、ナト
リウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩、アンモ
ニウム塩が挙げられる。これらの中でも、経済性の点か
らモリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸アンモニウム
およびタングステン酸ナトリウムを用いるのが好まし
い。
働態型防食剤を添加しながら、循環冷却水のMアルカリ
度が500CaCO3mg/l未満、イオン状シリカ濃
度が150SiO2mg/l未満で、かつpHが8.2
〜9になるように循環冷却水の濃縮倍率を調整する。濃
縮倍率の調整は、冷却水系から排出するブロー水量の調
整により行うことができる。
を超える場合には、スケール障害が生じ易くなるので好
ましくない。一方、イオン状シリカ濃度が150SiO
2mg/lを超える場合には、シリカスケールの障害が
生じ易くなるので好ましくない。
不働態型防食剤の腐食による障害の防止効果が低下する
ので好ましくない。また、pHが9を超える場合には、
スケール付着による障害が生じ易くなるので好ましくな
い。スケール付着による障害は、冷却水系の機器・配管
などを構成する金属材料の表面の孔食を誘発するので好
ましくない。
や運転条件に応じて異なるため、一概に限定することは
できないが、一般的に2〜50倍程度、好ましくは5〜
20倍程度である。従来の冷却水系における循環冷却水
の濃縮倍率が2〜3倍程度であることから、この発明の
方法により、循環冷却水の濃縮倍率を高くする程、原水
の節水効果が得られることになる。
循環式冷却水系のブロー水に含まれる酸化不働態型防食
剤を回収して、回収した酸化不働態型防食剤を循環冷却
水に添加するのが好ましい。このような回収には、陰イ
オン交換樹脂やキレート吸着型樹脂を用いる公知の方法
が適用できる。酸化不働態型防食剤は冷却水系の運転中
にある程度消失するので、回収した酸化不働態型防食剤
を循環冷却水に添加しても、有効成分濃度を一定に保持
することができない。この消失分に相当する量の酸化不
働態型防食剤は、適宜補充すればよい。
ール防止剤の添加は不要である。しかしながら、高硬度
・高アルカリ度の原水を軟化装置または脱塩装置で処理
して補給水として供給する場合、軟化装置または脱塩装
置における再生処理の遅れなど、装置上の問題が生じた
場合には、軟化装置または脱塩装置から硬度成分がリー
クすることがあり、これによりスケール付着が誘発され
ることがある。このような場合には、適宜スケール防止
剤を添加して対処するのが好ましい。
の効果が阻害されない範囲で、公知の金属防食剤を併用
してもよい。公知の金属防食剤としては、例えば、コハ
ク酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リンゴ酸ナト
リウムなどのオキシカルボン酸塩、グルコースのような
糖類などの有機系金属防食剤が挙げられる。また、リン
酸塩、ホスホン酸塩、ポリリン酸塩などのリン化合物、
亜鉛塩などの重金属化合物のような金属防食剤も環境に
負荷を与えない範囲で併用することができる。
この発明の効果が阻害されない範囲で、公知の殺菌・静
菌剤などを併用してもよい。公知の殺菌・静菌剤として
は、例えば、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3
−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロ−1−エタ
ノール、5―クロロ―2―メチル―4―イソチアゾリン
―3−オン、2−ピリジルチオ−1−オキシドナトリウ
ムなどが挙げられる。
するが、これらの試験例により本発明が限定されるもの
ではない。
ントでの効果確認試験〕 図1の開放循環式冷却水系の系統図における熱交換装置
8を、モデル熱交換器チューブ(材質:STB−34
0、内径:19mm、厚さ:2mm、長さ1000m
m)を備えたモデル熱交換器に代えた某化学工場の開放
循環式冷却水系モデルプラントで、この発明の方法を適
用し、冷却水系を1ヶ月間運転した。
の陽イオン交換樹脂を用いて、表1に示す水質の原水
(水道水)1の硬度成分を除去し、得られた軟水に重炭
酸ナトリウム溶液を添加して、表1に示す所定のMアル
カリ度およびpHになるように調整した。この調整水を
補給水タンク3に送水し、補給水ポンプ4を用いて補給
水として冷却水槽6に給水した。
剤10としてモリブデン酸ナトリウムを有効成分濃度が
15mg/lとなるように添加し、表2に示すような条
件で冷却水系を運転した。循環冷却水9は、冷却水槽6
から冷却水ポンプ7、熱交換装置8としてのモデル熱交
換器、冷却塔5を経て、冷却水槽6に戻るように循環さ
せた。
収装置12に通して、ブロー水に含まれる防食剤を回収
し、処理した水を排水13として排出した。回収装置1
2としてはキレート吸着型樹脂(住友化学株式会社製、
スミキレートMC−10)を、また脱着液14としては
4%水酸化ナトリウム溶液を用いた。SV値で2m3/
m3×hrで通液して防食剤の回収処理を行い、試験開
始から1週間毎に、排水13中のモリブデン酸イオン濃
度をICP発光分光分析法により測定した。得られた結
果を表3に示す。なお、回収した防食剤を回収液タンク
15に送液し、回収液ポンプ16を用いて冷却水系に適
宜添加した。SV(space velocity、空間速度)値と
は、1時間当たりの通液量または通水量(m3/hr)
を樹脂体積(m3)で除した値(m3/m3×hr)を意
味する。
ューブを酸洗し、その重量を測定して、この測定値と試
験前に予め測定しておいたチューブの重量との重量差W
fを求めた。得られた重量差Wfと次式から腐食速度
〔MDD(mg/日・dm2)〕を求めた。 MDD=〔重量差Wf(mg)〕/〔期間(日)×表面
積*(dm2)〕 *表面積は、テストチューブの表面積を意味する。
ューブを酸洗し、その重量を測定して、この測定値と試
験前に予め測定しておいたチューブの重量との重量差W
cを求めた。得られた重量差Wcと次式からスケール付
着速度〔MCM(mg/月・cm2)〕を求めた。 MCM=〔重量差Wc(mg)〕/〔期間(月)×表面
積*(cm2)〕 *表面積は、テストチューブの表面積を意味する。 得られた結果を表4に示す。
験〕 試験例1における実施例の冷却水を試験水として採取
し、これに水酸化ナトリウム水溶液を加えて所定のpH
に調整し、得られた試験水を用いて軟鋼テストピースに
対する防食効果確認試験を行った。
1リットルを入れ、所定の有効成分濃度となるようにモ
リブデン酸ナトリウムを添加した。モーターと連動した
攪拌棒の先端に軟鋼テストピース(材質:SPCC、形
状:30mm×50mm×1mm、長方形板状)を懸吊
し、試験水中に浸漬した。サーモスタットを付設し、マ
ントルヒーターで水温を50℃に保ち、テストピースを
100rpmの速度で回転させながら5日間試験を行っ
た。試験終了後、テストピースを取り出し、酸洗、水
洗、乾燥後に重量を測定し、重量減少量から腐食速度
(MDD)を測定した。得られた結果を表5に示す。
濃縮運転を実施して、ブロー水量を低減することにより
節水を図ると共に、腐食およびスケール付着による障害
を防止しつつ、薬剤の排出量をできるだけ低減して、環
境への悪影響を抑制した循環式冷却水系の水処理方法を
提供することができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 循環式冷却水系において、循環冷却水の
全硬度が100CaCO3mg/l未満で、かつカルシ
ウム硬度が80CaCO3mg/l未満になるように硬
度成分を除去し、酸化不働態型防食剤を有効成分濃度と
して5〜500mg/lとなるように循環冷却水に添加
しながら、循環冷却水のMアルカリ度が500CaCO
3mg/l未満、イオン状シリカ濃度が150SiO2m
g/l未満で、かつpHが8.2〜9になるように循環
冷却水の濃縮倍率を調整つつ、循環冷却水を循環させ
て、冷却水系における腐食およびスケール付着による障
害を防止することを特徴とする循環式冷却水系の水処理
方法。 - 【請求項2】 酸化不働態型防食剤が、モリブデン酸、
タングステン酸、亜硝酸およびそれらのアルカリ性塩か
ら選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の循環
式冷却水系の水処理方法。 - 【請求項3】 循環式冷却水系が、開放循環式冷却水系
である請求項1または2に記載の循環式冷却水系の水処
理方法。 - 【請求項4】 循環式冷却水系のブロー水に含まれる酸
化不働態型防食剤を回収し、回収した酸化不働態型防食
剤を循環冷却水に添加する請求項1〜3のいずれか1つ
に記載の循環式冷却水系の水処理方法。
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