JPH11323391A - 金属製品用水系脱脂処理浴及びその運転方法 - Google Patents

金属製品用水系脱脂処理浴及びその運転方法

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JPH11323391A
JPH11323391A JP13725998A JP13725998A JPH11323391A JP H11323391 A JPH11323391 A JP H11323391A JP 13725998 A JP13725998 A JP 13725998A JP 13725998 A JP13725998 A JP 13725998A JP H11323391 A JPH11323391 A JP H11323391A
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oil
degreasing
degreasing bath
agent
bath
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JP13725998A
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Ryuichi Takeda
龍一 武田
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Yuken Kogyo Co Ltd
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  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
  • Detergent Compositions (AREA)
  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱脂処理浴に溶出した油成分の環境に優しい
除去が可能の脱脂処理浴を提供すること。 【解決手段】 化学系脱脂剤を含む金属製品の水系脱脂
処理浴。さらに、鉱物油及び/又は植物油を分解可能な
酵素、バクテリア及び菌類の群から選択される1種また
は2種以上を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学系脱脂剤を含
む金属製品の水系脱脂処理浴及びその運転方法に関す
る。ここでは、メッキの前処理として行う連続脱脂処理
を主として例に採り説明するがこれに限られるものでは
ない。他の琺瑯や塗装下地(例えばリン酸亜鉛被膜)等
の湿式表面処理加工の前処理にも本発明は勿論適用でき
る。
【0002】
【背景技術】メッキ処理を行う前に金属製品は、めっき
処理に適した被処理面とするための一工程として、脱脂
処理が必然的である。そして、脱脂処理としては、溶剤
系があるが、環境汚染等の見地から水系脱脂処理が主流
である。
【0003】そして、これらの脱脂処理前の金属製品
は、一般に、切削・鍛造・プレス加工等の機械加工によ
り製造する。これらの機械加工には、スピンドル油(鉱
物油)を含む加工油を使用するため、被処理物(金属製
品)には、加工油が付着している。なお、加工油には、
鉱物油(スピンンドル油)の他に植物油、ワックス類、
さらには種々の界面活性剤や、高級脂肪酸類、高級アル
コール類、その他薬剤が含まれている。
【0004】それらが、脱脂処理浴に溶出してくると、
脱脂処理浴の脱脂(洗浄)能力が低下してくる。このた
め、油水分離して、油成分を廃棄していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、当該油成分
は、土壌・海洋汚染等の環境汚染の一因となり、そのま
ま廃棄できず、また、鉱物油、植物油、界面活性剤等の
種々の成分を含んでいるため、再生利用も困難であり、
油水分離を行い、油成分を燃焼廃棄しているのが現状で
ある。
【0006】また、昨今多用されているO/W型(水中
油滴型)の水性加工油は、エマルション安定性が高く、
脱脂浴からの油水分離が困難で、浴液(洗浄液)全体の
廃棄・入れ替えの必要があった。即ち、脱脂処理浴の寿
命が短かいとともに、定期的に脱脂処理運転を止める必
要があった。
【0007】本発明は、上記にかんがみて、脱脂処理浴
に溶出した油成分の環境に優しい除去が可能の脱脂処理
浴を提供することを目的とする。
【0008】本発明の他の目的は、連続脱脂水系処理浴
において、連続運転可能な脱脂処理浴の運転方法を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
バイオ分解を利用すれば、こららの鉱物油や植物油ばか
りでなく、上記界面活性剤や高級脂肪酸類、高級アルコ
ール類も同時に分解除去できることを着目して、下記構
成の金属製品用水系脱脂処理浴及びその運転方法に想到
した。
【0010】本発明の金属製品用水系脱脂処理浴は、化
学系脱脂剤を含む金属製品の水系脱脂処理浴において、
さらに、鉱物油及び/又は植物油を分解可能な酵素、バ
クテリア及び菌類(以下「バイオ油分解剤」と称す
る。)の群から選択される1種又は2種以上を含有する
ことを特徴とする。
【0011】本発明の金属製品用水系脱脂処理浴の運転
方法は、化学系脱脂剤を含む金属製品の連続水系脱脂処
理浴の運転方法において、前記連続水系脱脂処理浴から
油水分離により油含有成分を連続的に取り出すととも
に、該油含有成分にバイオ油分解剤を添加・混合してバ
イオ油分解剤による油分解を行い、更に、発生したスラ
ッジを系外へ排出するとともに、残液を連続水系脱脂処
理浴に戻すことを特徴とする。
【0012】
【手段の詳細な説明】(1) 本発明の金属製品用水系脱脂
処理浴は、化学系脱脂剤を含む、さらに、鉱物油及び/
又は植物油を分解可能な酵素、バクテリア及び菌類(以
下「バイオ油分解剤」と称する。)の群から選択される
1種又は2種以上を含有する。
【0013】ここで、金属製品としては、ボルト、ナッ
ト等の切削製品、プレス製品、鍛造製品を問わず、さら
には、材料的には、鉄系、非鉄系を問わない。しかし、
CuやAg等の金属イオンは、バイオ毒となり適用は避
けたほうがよい。もしそれらを適用する場合は、キレー
ト剤を入れてブロックする。
【0014】化学系脱脂剤としては、中性洗剤が、アル
カリ系や酸系洗浄剤に比して、後述のバイオ油分解剤を
活性化させるためのpH調製が容易となり望ましい。た
だし、アルカリ系洗浄剤の方が、脱脂処理効果が大きい
ため、可能な限り、中性洗剤の内で、アルカリ度の高い
ものを使用することが望ましい。
【0015】例えば、中性洗剤として、特開平8−24
5991号公報に記載されているものにおいて、pHを
中性領域(pH7〜9、望ましくはpH7〜8)に調整
した下記界面活性剤、ビルダー及び他の副薬剤を含むも
のを好適に使用できる。界面活性剤としては、下記非イ
オン・陰イオン・両性イオン界面活性剤等を使用可能で
ある。ここで、非イオン系界面活性剤が、起泡性が小
さく(泡切れ性が良好)、HLBの調整が容易、広
いpH域で使用でき、さらには、イオン性界面活性剤と
併用できるため望ましい。
【0016】界面活性剤の配合量は0.5〜10w/v%
(望ましくは1〜7w/v%)とする。過少では洗浄能力を
得難く、過多であると、ノンリンス洗浄で、被洗浄物に
界面活性剤が残留して吸湿性・保湿性を与え、錆発生の
一因となる。である。
【0017】非イオン界面活性剤: ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル(R=
C8〜10、EO付加モル数=5〜15) ポリオキシエチレンアルキルエーテル(R=C11〜1
8、EO付加モル数=5〜15) ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエー
テル(R=C11〜18、EO付加モル数=5〜15、
PO付加モル数=1〜20) アルキルアミンオキサイド(R=C12〜14) 陰イオン界面活性剤: アルキル硫酸エステル塩(R=C12〜18) アルキルスルホン酸塩(R=C12〜18) 両性界面活性剤: アルキルベタイン型(R=C12〜18) アルキルグリシン型(R=C12〜18) ビルダーとしては下記有機ビルダ及び無機ビルダーの中
から、1種または2種以上を適宜選択して使用する。特
に、有機ビルダーが、機械加工部品(金属製品)に対す
る洗浄・防錆の補助効果が大きく、洗浄外観に優れる。
【0018】通常、有機ビルダー0〜30w/v%(望まし
くは5〜20w/v%)、無機ビルダー0〜10w/v%(望ま
しくは0〜5w/v%)、ビルダー合計量2〜35w/v%(望
ましくは5〜25w/v%)とする。
【0019】ビルダーが過少では、ビルダー効果(界面
活性剤の界面活性能を強める効果)を奏し難く、過多で
は、洗浄対象物(機械加工部品)に付着して、ノンリン
ス洗浄が困難となる。
【0020】有機ビルダー: アルカノールアミン…モノエタノールアミン(ME
A)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノール
アミン(TEA)、モノイソプロパノールアミン(MI
PA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)等 ポリアルキレンポリアミン…エチレンジアミン、ジエチ
レントリアミン等、 第四級アンモニウムヒドロキサイド…水酸化テトラメチ
ルアンモニウム等 無機ビルダー: アルカリ水酸化物…水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
等 炭酸塩…炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等 燐酸塩…第3燐酸ナトリウム、第二燐酸ナトリウム等 重合燐酸塩…トリポリ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリ
ウム等 ケイ酸塩…メタ珪酸ナトリウム、オルソ珪酸ナトリウム
等 ホウ酸塩…ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等 硫酸塩…硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等 上記各必須薬剤に加えて、下記補助的薬剤を添加するこ
とが、それぞれ各理由から望ましい。
【0021】抗菌剤…通常、機械加工に際して雑菌が
混入した加工油を介してまたは空気中の雑菌が使用時の
洗浄液に混入するため、洗浄液の腐敗を防止する必要が
ある。その配合量は、通常、0.1〜5w/v%(望ましく
は1〜3w/v%)とする。具体的には、下記例示のものを
使用可能である。ただし、バイオ油分解剤として、バク
テリアを使用する場合、該油分解バクテリアに対して活
性がなく、雑菌に対して活性(抗菌性)があるものを使
用する必要がある。
【0022】四級アンモニウム系界面活性剤:塩化ベン
ザルコニウム等 イミダゾール系:2−ベンゾイミダゾール、2−ベンゾ
イミダゾールカルバミン酸メチル等 チアゾール系:1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オン
等 その他:モルホリン等、無機塩類やアルカリ類、 防錆剤…ノンリンス洗浄する場合は、機械加工部品の
腐食(錆化)を防止することが望ましい。その配合量
は、通常、0.5〜10w/v%(望ましくは1〜7w/v%)
とする。具体的には、下記例示のものを使用可能であ
る。
【0023】脂肪族アミン塩:脂肪酸(C12−18)
のアミン塩 アミンは、トリ−(またはモノ−、ジ−)エタノールア
ミン、シクロヘキシルアミン等 亜硝酸塩:ジシクロヘキシルアンモニウム亜硝酸塩、亜
硝酸アルカリ塩等 消泡剤…洗浄に際して泡切れ性を良好にすることが望
ましい。その配合量は、通常、0.1〜5w/v%(望まし
くは0.2〜3w/v%)とする。具体的には、下記例示の
ものを使用可能であるが、連続運転においては、シリコ
ーン系のものは剥離剤として作用するため、望ましくな
く、炭化水素系、特にその中でも下記構造式で示される
アセチレン誘導体系のものが望ましい。
【0024】炭化水素系:アルキルエーテルポリオキシ
エチレン等
【0025】
【化2】
【0026】シリコーン系:ジメチルシリコーン等 キレート剤…本発明の洗浄剤を希釈に使用する水(硬
水)の中に含まれ洗浄能を低下させる及び/又はバイオ
毒(触媒毒)となる金属イオンを捕獲するためである。
その配合量は、通常、0.5〜10w/v%(望ましくは
0.7〜5w/v%)とする。具体的には、下記例示のもの
を使用可能である。
【0027】 オキシカルボン酸塩:グルコン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ヒ ドロキシ酢酸ナトリウム等 アミノカルボン酸塩:ヒドロキシイミノ二酢酸(HIDA) エチレンジアミン四酢酸(EDTA) ニトリロ三酢酸(NTA) ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等 有機ホスホン塩:ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)等 (2) 上記水系洗浄剤組成物は水で希釈されて洗浄液とし
たときのpHは、通常pH7〜12、望ましくはpH7
〜9、更に望ましくは、pH7〜8となるように各薬剤
が混合されている。
【0028】pHが酸性側にあると、機械加工部品が腐
食し易い。また、アルカリ度が高い場合は、前述の如く
脱脂処理能は増大するが、脱脂脱脂浴中でも、バイオ油
分解を行わせる場合、バイオ活性が付与できない。ま
た、後述のように別槽でバイオ油分解剤を添加する場合
のpH調整が困難となる。即ち、pH調整剤を多量に使
用する必要があり望ましくない。
【0029】なお、水で希釈したときの洗浄液濃度は、
洗浄剤組成物含有率0.1〜10w/v%(望ましくは0.
3〜5w/v%)とする。
【0030】洗浄液は、図1に示す如く、例えば、機械
加工部品(金属製品)11をシャワー洗浄する際発生す
る洗浄後液を受け槽13で受ける。そして、加工油の油
成分を多く含む上部液を溢流させて、分離槽15で分離
させる。そして、分離槽15の下部側から受け槽13の
下側に戻して洗浄液として循環使用する。
【0031】そして、バイオ油分解剤としては、酵素、
バクテリア、菌類を問わず、市販品のうちから、鉱物
油、植物油、界面活性剤をそれぞれの分解に適した酵
素、バクテリア(細菌)及び菌類の少なくとも1種又は
2種以上をスクリーニングして用いる。
【0032】一般的に酵素・菌類には保存・安定性に優
れ、あらかじめ、化学系脱脂剤と混合しておくことも可
能である。バクテリア系には、幅広い種類の油類・有機
物に対して分解性(異化・同化代謝)を有するものを入
手し易い。
【0033】また、このときの油分解の運転条件は、温
度40〜60℃(望ましくは40〜50℃)、pH7〜
9(望ましくは7〜8)とする。これらの範囲外では、
酵素活性又はバクテリア活性が得難い。ここで、pH調
整は、炭酸ソーダ等の弱アルカリ剤で行う。また、汎用
の緩衝剤を用いてもよい。
【0034】この水系脱脂処理浴では、バイオ油分解剤
の油分解能が非常に高い場合は、機械部品(金属製品)
付着した油を直接的に、又は、脱脂浴(図例では受け槽
13)に溶出した油を分解できる。特別に油水分離をし
なくても、同一槽で、脱脂処理運転と油分解運転とが同
時的に可能である。このとき、脱脂処理浴に適宜、洗浄
剤の各成分を補充する必要がある。バイオ油分解剤は、
油成分ともに他の洗浄剤成分も分解するためである。
【0035】(3) しかし、下記構成の如く、水系洗浄剤
による脱脂処理とバイオ油分解とを棲分けした方が、脱
脂作用とバイオ活性化をバランスを採り易いとともに、
スラッジの排出も容易であり、脱脂処理の運転を止めず
に連続処理がより容易にできて望ましい。
【0036】連続脱脂処理浴から油水分離により油含有
成分を連続的に取り出すとともに、該油含有成分にバイ
オ油分解剤を添加・混合してバイオ油分解剤による油分
解を行い、スラッジを系外へ排出するとともに、残液を
連続水系脱脂処理浴に戻す。
【0037】即ち、前述の如く、脱脂作用はアルカリ度
が強い(例えば、pH9以上)が望ましく、バイオ活性
はpH9以下である必要がある。また、温度条件も、一
般的なバイオ活性温度である、40〜60℃よりも高め
の60〜70℃が脱脂作用(洗浄効果)の見地からは望
ましく、バイオ油分解剤の好気性・嫌気性の種類によっ
ては、それらの雰囲気条件を形成する必要がある。
【0038】また、脱脂と別位置で油分解を行うため、
発生するスラッジの除去作業も容易となる。
【0039】なお、バイオ分解で生成したスラッジは、
無毒で土壌・海洋汚染のおそれがなく、そのまま、肥料
として使用できる。
【0040】上記油水分離は、通常、浮遊分離により行
うが、遠心分離等の他の手段であってもよい。そして、
浮遊分離させる際に、前述の特開平8−245991号
公報で提案されているアルキル化ポリアルキレンポリア
ミンを全成分または主成分とするもの油水分離剤を洗浄
剤等に添加しておいても勿論よい。
【0041】図1に上記システムの概略モデル図の一例
を示す。
【0042】ここでは、脱脂処理の方法として、洗浄効
率(脱脂効率)の見地から、機械的洗浄効果を付与でき
るスプレー(噴射)洗浄を例に採ったが、浸漬、バレル
洗浄等であってもよい。
【0043】まず、被処理物である機械加工部品(金属
製品)11をシャワー洗浄して発生する脱脂処理後(洗
浄液)を受け槽13で受ける。そして、加工油の油成分
を多く含む上部液(浮遊相)Fを溢流させ、混合油分解
処理槽15へ流入させ、該処理槽15の混合領域(混合
ステージ)15aで攪拌させて、バイオ分解剤と油成分
相とを十分に接触させて、分解領域15bへ移送させ
る。この分解領域(分解ステージ)で、油成分相中の鉱
物油・植物油、他の有機化合物は、バクテリアやき菌類
に資化(代謝)されて、分解酵素の触媒作用により、油
成分のみならず、界面活性剤も分解される。このとき、
バイオ油分解剤の活性を保持するために、加熱手段及び
pH調整剤により温度40〜60℃、pH7〜9、望ま
しくはpH7〜8に維持する。pH調整剤としては、上
記ビルダー又は各種無機酸(塩酸、硫酸、りん酸等)、
有機酸(酢酸、クエン酸、酒石酸等)を使用できる。更
には、油分解剤が好気性の場合、底部付近に曝気管を配
設することが望ましく、逆に嫌気性の場合は、密閉構造
として不活性ガスを封入することが望ましい。
【0044】また、油成分とバクテリアとの接触及びバ
クテリア活性を良好に維持するために吊り下げ式の揺動
可能な網状体濾床を形成することが望ましい。揺動によ
り過剰繁殖して死滅若しくは活性のないバクテリアが適
宜、スラッジとして、下方へ沈降して、表面に活性度の
高いバクテリアが露出するためである。
【0045】そして、スラッジSとして沈降してきたも
のは、底部から定期的に抜き取り、そのまま又は乾燥さ
せて肥料や飼料として回収する。スラッジ上側の残液
は、ポンプを介して、油脂浴の一部である受け槽13へ
戻し、再度、洗浄液(脱脂処理液)として使用する。こ
の際、洗浄液中の成分濃度が変化するため、適宜、界面
活性剤、ビルダー及び他の副薬剤を適宜追加する。
【0046】また、上記スプレー(噴射)洗浄の受け槽
13を、図2に示す如く、バイオ分解剤との混合槽とし
て、洗浄液として戻すのは、別に洗浄剤貯槽17を設け
ておき、油成分分解槽(分解ステージ)15Aからのみ
該洗浄剤貯槽17へのみとし、該洗浄剤貯槽15Aから
スプレー洗浄液を供給するようにしてもよい。
【0047】なお、油分解剤は、分解ステージ15b
(15A)を介して、洗浄液中に混入するため、結果的
に、被処理物表面の油成分を直接分解させることが期待
できる。したがって、受け槽(混合槽)に入る油成分も
相対的に少なくなり、油成分の分解効率の向上が期待で
きる。
【0048】
【発明の作用・効果】本発明の脱脂処理浴は、化学系脱
脂剤を含む金属製品の水系脱脂処理浴において、さら
に、バイオ油分解剤を含有する構成により、上記の如
く、無毒な肥料や飼料に使用できるスラッジとして回収
でき環境に優しい除去が可能となる。
【0049】また、当該脱脂処理浴は、油水分離をしな
くても、更には、完全でなくても、油成分の分解処理が
可能であり、油成分で汚染された洗浄液を連続的に処理
することができ、連続脱脂水系処理浴の運転を止める必
要がない。
【0050】更には、運転方法として、連続水系脱脂処
理浴から油水分離により油含有成分を連続的に取り出す
とともに、該油含有成分にバイオ油分解剤を添加して混
合し、該混合液を所定時間静置し、更に、発生したスラ
ッジを系外へ排出するとともに、上澄液を前記連続水系
脱脂処理浴に戻すことにより、脱脂処理作用とバイオ油
分解剤による油分解処理のいわゆる棲分ができ、より、
本発明の効果が増大する。この場合も、油水分離が完全
でなくてもよく、油水分離が困難な水中油滴型の洗浄剤
を脱脂処理に使用する場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱脂処理浴の運転方法の一例を示す概
略システム図
【図2】同じく他の運転方法の一例を示す概略システム
【符号の説明】
11 被処理物(機械加工部品・金属製品) 13 受け槽 15 混合油分解処理槽(分離槽) 15A 油分解処理槽 15a 混合領域(混合ステージ) 15b 分解領域(分解ステージ) 17 洗浄液貯槽

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学系脱脂剤を含む金属製品の水系脱脂
    処理浴において、さらに、鉱物油及び/又は植物油を分
    解可能な酵素、バクテリア及び菌類(以下「バイオ油分
    解剤」と称する。)の群から選択されるいずれか1種又
    は2種以上を含有することを特徴とする金属製品用水系
    脱脂処理浴。
  2. 【請求項2】 前記脱脂処理浴の運転条件が、温度40
    〜60℃、pH7〜9であることを特徴とする金属製品
    用水系脱脂処理浴。
  3. 【請求項3】 前記化学系脱脂剤が、中性洗浄剤である
    とともに、脱泡剤として下記化学式で示されるアセチレ
    ン系消泡剤を含むことを特徴とする請求項1又は2記載
    の金属製品用水系脱脂処理浴。 【化1】
  4. 【請求項4】 化学系脱脂剤を含む金属製品の連続水系
    脱脂処理浴の運転方法において、 前記連続水系脱脂処理浴から油水分離により油含有成分
    を連続的に取り出すとともに、該油含有成分にバイオ油
    分解剤を添加・混合してバイオ油分解剤による油分解を
    行い、更に、発生したスラッジを系外へ排出するととも
    に、残液を前記連続水系脱脂処理浴に戻すことを特徴と
    する金属製品用水系脱脂処理浴の運転方法。
  5. 【請求項5】 前記バイオ油分解の運転条件が、温度4
    0〜60℃、pH7〜9であることを特徴とする請求項
    4記載の金属製品用水系脱脂処理浴の運転方法。
  6. 【請求項6】 前記化学系脱脂剤が、中性洗浄剤である
    ことを特徴とする請求項4記載の金属製品用水系脱脂処
    理浴の運転方法。
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