JP2009221990A - 内燃機関の燃焼状態判定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】点火プラグにイオン電流検出回路を接続した内燃機関の燃焼状態を判定する際、失火時に失火していないと誤判定される不具合や、燃焼時に失火状態と誤判定される不具合の発生を防ぐ。
【解決手段】点火プラグの放電終了時に点火コイルの二次側と点火プラグとの間のLC共振に由来して点火コイルの二次側に発生する電流を検知し、検知した電流の前記LC共振に由来する波形の形状に基づき燃焼状態を判定する。
【選択図】図3

Description

本発明は、点火プラグにイオン電流検出回路を接続した内燃機関において、点火プラグの放電終了時に発生する電流を利用した内燃機関の燃焼状態判定方法に関する。
従来、内燃機関の燃焼室内に、点火ごとにイオン電流を発生させ、発生させたイオン電流を検出し、このイオン電流の波形に基づいて燃焼状態を判断することが多く行われてきている。このような燃焼状態の判断において、従来は、点火プラグから放電を行うべく信号を発した後放電が終了するまでの放電時間帯に検出されるイオン電流には、点火プラグの放電終了時に点火コイルの二次側とイオン電流検出回路の電源コンデンサとの間のLC共振に由来して前記二次コイルに発生する電流が重なるので、このLC共振に由来する電流が十分減衰するのを待ってイオン電流の検出を開始する態様が広く採用されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平7−286552号公報
ところで、イオン電流の検出を開始するタイミングは、燃焼時に前記LC共振に由来する電流が十分減衰すると判定できる時点を実験的に決定し、この時点に設定している。しかし、失火時において、点火プラグの電極に付着した電荷に起因して電流が徐々にイオン電流検出回路に発生するノイズだれと呼ばれる現象が起こることがあり、図6に示すように、この電流がイオン電流の検出開始以後に検出されることがある。その際、従来は燃焼時に前記LC共振に由来する電流が十分減衰すると判定できる時点以降の期間、前記図6においては時刻T3以降の期間に検出したイオン電流に基づき燃焼状態を判定しているが、前記ノイズだれの際の電流の大きさが所定の閾値を越えると、燃焼状態にあると誤判定が行われることがある不具合が存在する。また、失火時において、図7に示すように、点火プラグの放電終了後にコロナノイズが発生し、従来のように燃焼時に前記LC共振に由来する電流が十分減衰すると判定できる時点以降の期間、前記図7においては時刻T3以降の期間に検出したイオン電流に基づき燃焼状態を判定する場合に、このコロナノイズの大きさが所定の閾値を越えると、燃焼状態にあると誤判定が行われることがある不具合も存在する。一方、燃焼状態の改善を図るためには、点火プラグに出力の大きなコイルを採用することが望ましいが、前段で述べたような燃焼状態判定方法を採用する場合、放電終了後にLC共振に由来する電流が十分減衰するまでの時間が長くなる。すなわち、イオン電流の検出開始が遅くなり、イオン電流の検出が可能な時間帯が短くなる。その際、燃焼が速い場合、放電終了後にLC共振に由来する電流が十分減衰する前に燃焼に伴うイオン電流が消えるので、結果としてイオン電流が検出されず、正常な燃焼が行われたにもかかわらず失火状態であると誤判定が行われることがある不具合も存在する。
本発明は、このような課題を解決すべく構成するものである。
すなわち本発明に係る内燃機関の燃焼状態判定方法は、点火プラグにイオン電流検出回路を接続した内燃機関の燃焼状態判定方法であって、点火プラグの放電終了時に点火コイルの二次側と点火プラグとの間のLC共振に由来して点火コイルの二次側に発生する電流を検知し、検知した電流の前記LC共振に由来する波形の形状に基づき燃焼状態を判定することを特徴とする。
このようなものであれば、失火時において前記LC共振に由来する波形の電流は持続時間が長くなること等、燃焼時とは検出される電流の波形の形状が異なることに着目し、この波形の形状に基づき失火の判定を行うので、ノイズだれやコロナノイズにより失火時に失火していないと誤判定される不具合の発生を防ぐことができる。また、前記放電終了直後の電流を検知するため、燃焼が早く終了した場合でもイオン電流を検知でき、従って燃焼が速い場合に正常な燃焼が行われたにもかかわらず失火状態であると誤判定が行われる不具合の発生も防ぐことができる。なお、「点火コイルの二次側と点火プラグとの間のLC共振」とは、点火コイルの二次側と点火プラグに接続したイオン電流検出回路のコンデンサとのLC共振を含む概念である。
前記不具合の発生を特に有効に防ぐことができる態様の一つとして、検知した電流の前記LC共振に由来する波形の持続時間が所定値を上回る場合に失火状態であると判定するものが挙げられる。このようなものであれば、失火状態においては上述したように前記電流の持続時間は長いからである。
前記不具合の発生を特に有効に防ぐことができる態様の他の一つとして、検知した電流の積分値が所定値を下回る場合にエンジンが失火状態にあると判定するものが挙げられる。このようなものであれば、イオン電流検出回路を用いる場合、燃焼状態ではイオン電流がLC共振に由来する電流に重畳するのに対して、失火状態ではイオン電流がLC共振に由来する電流に重畳せず、検知される電流の強度が弱くなるからである。
前記不具合の発生を特に有効に防ぐことができる態様のさらに他の一つとして、検知した電流の前記LC共振に由来する波形の周波数が所定値以上である場合、又は検知した電流の前記LC共振に由来する波形の周波数成分が略全て所定範囲内である場合に失火状態であると判定するものが挙げられる。
このようなものであれば、イオン電流検出回路を用いる場合、燃焼状態ではイオン電流がLC共振に由来する電流に重畳して検出される電流はなだらかに変化し、前記波形の周波数が低くなり、また、複数の周波数成分が含まれるのに対して、失火状態ではイオン電流がLC共振に由来する電流に重畳せず、検知される電流の周波数成分は略全て所定範囲内で、かつ前記イオン電流が重畳した場合と比較して高い周波数で振動するからである。
本発明に係る燃焼状態判定方法によれば、失火時において前記LC共振に由来する波形の電流は持続時間が長くなること等、燃焼時とは検出される電流の波形の形状が異なることに着目し、この波形の形状に基づき失火の判定を行うので、LC共振に由来する電流が長引くことやコロナノイズにより失火時に失火していないと誤判定される不具合の発生を防ぐことができる。また、前記放電終了直後の電流を検知するため、燃焼が早く終了した場合でもイオン電流を検知でき、従って燃焼が速い場合に正常な燃焼が行われたにもかかわらず失火状態であると誤判定が行われる不具合の発生も防ぐことができる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に概略的に示した内燃機関たるエンジン100は自動車用の4気筒のもので、その吸気系1には図示しないアクセルペダルに応動して開閉するスロットルバルブ2が配設され、その下流側にはサージタンク3が設けられている。サージタンク3に連通する吸気系1の吸気マニホルド4の、シリンダ10に吸気弁10aを介して連通する一方の端部近傍には、さらに燃料噴射弁5が設けてあり、この燃料噴射弁5を、電子制御装置6により各気筒毎に独立して噴射すべく制御するようにしている。また排気系20には、排気ガス中の酸素濃度を測定するための空燃比センサであるO2センサ21が、図示しないマフラに至るまでの管路に配設された三元触媒22の上流の位置に取り付けられている。このO2センサ21は通常のO2センサとして周知のものとほぼ同様の構成を有している。すなわち、大気側電極と排気側電極との間の酸素濃度差により電圧を発生し、理論空燃比よりも空燃比がリッチであるかリーンであるかをこの電圧に基づき判定できるようにしている。
電子制御装置6は、中央演算処理装置7と、記憶装置8と、入力インターフェース9と、出力インターフェース11とを具備してなるマイクロコンピュータシステムを主体に構成されており、その入力インターフェース9には、サージタンク3内の圧力を検出するための吸気圧センサ13からの吸気圧信号a、エンジン回転数NEを検出するための回転数センサ14からの回転数信号b、車速を検出するための車速センサ15からの車速信号c、スロットルバルブ2の開閉状態を検出するためのアイドルスイッチ16からのLL信号d、エンジンの冷却水温を検出するための水温センサ17からの水温信号e、上記したO2センサ21からの電流信号hなどが入力される。一方、出力インターフェース11からは、燃料噴射弁5に対して燃料噴射信号fが、また点火プラグ18に対してイグニッションパルスgが出力されるようになっている。点火プラグ18には、イオン電流Iionを検出するためにイオン電流測定用回路25が接続されている。点火プラグ18は、図2に示すように、点火コイル24a及びスイッチングトランジスタ24bを少なくとも備える点火回路24に接続してあり、したがってイオン電流検出回路25も点火回路24に接続される。イオン電流検出回路25は、前記図2に示すように、互いに逆向きに直列接続されるツェナーダイオード25a、25bと、一方のツェナーダイオード25aに並列に接続され、点火コイル24aに発生する逆起電力により充電され、検出用電圧を発生させるコンデンサ25dと、イオン電流Iionを増幅出力する増幅器25cとを備えている。また、このイオン電流検出回路25の増幅器25cからは、イオン電流Iionが波形整形回路たるコンパレータ26に出力される。このコンパレータ26は、電圧の印加により発生したアナログ信号であるイオン電流Iionを、方形波(パルス)状に波形整形して出力する。コンパレータ26は、具体的には、前記図2に示すように、あらかじめ設定されたイオン電流Iionの閾値に対応する強さの所定電流値Irefと前記イオン電流Iionとを比較し、前記イオン電流Iionが前記所定電流値Irefを下回った場合に出力信号Ioutを出力する。すなわち、出力信号Ioutは、イオン電流Iionが前記所定電流値Irefを上回った時点で立ち下がり(lowになり)、下回った時点で立ち上がる(highになる)方形波となる。このコンパレータ26の出力端は、入力インターフェース9を介して中央演算処理装置7に接続される。
電子制御装置6には、吸気圧センサ13から出力される吸気圧信号aと回転数センサ14から出力される回転数信号bとを主な情報とし、エンジン状況に応じて決まる各種の補正係数で基本噴射時間を補正して燃料噴射弁開成時間すなわちインジェクタ最終通電時間Tを決定し、その決定された通電時間により燃料噴射弁5を制御して、エンジン負荷に応じた燃料を該燃料噴射弁5から吸気系1に噴射させるためのプログラムが内蔵している。
加えて、前記電子制御装置6には、点火プラグ18の放電終了時に点火コイル24aとイオン電流検出回路25のコンデンサ25dとの間のLC共振に由来して前記点火コイル24aの二次側に発生する電流(以下LC共振電流と称する)を含むイオン電流Iionを検知し、検知した電流の波形の形状に基づき燃焼状態を判定する燃焼状態判定プログラムをさらに内蔵している。この燃焼状態判定プログラムは、具体的には、点火信号の立ち下がり時刻T1から点火終了に伴い発生するノイズが十分減衰するのに必要な所定時間後の測定開始点T2から所定の測定終了点T3までの放電時間帯に、前記信号電流Ioutの立ち下がり及び立ち上がりの時刻を順次検知し、最初に検出した信号電流Ioutの立ち下がりから最後に検出した信号電流Ioutの立ち下がりまでの期間を、LC共振電流に由来する波形の持続時間(以下LC共振電流の持続時間spkstedと称する)として計測し、この持続時間spkstedが所定値Ts以上であれば失火状態であると判定する。なお、時刻T1から測定開始点T2までの期間の長さ、すなわち点火終了に伴い発生するノイズが十分減衰するのに必要な所定期間の長さは、予め実験的に求めた所定値に設定している。また、測定開始点T2から測定終了点T3までの期間の長さすなわち放電時間帯の長さは、測定開始点から起算し、エンジン100が燃焼状態にない場合に前記LC共振に由来する電流が十分減衰すると判定できる時点までの期間の長さとして実験的に決定している。
ここで、このような構成においては、イオン電流Iion、信号電流Iout、及び点火信号の経時変化を共通の時間軸に対して示したものである図4ないし図7にそれぞれ示すように、点火毎に点火プラグ18にバイアス電圧が印加され、放電終了後にはLC共振電流が発生するとともに、燃焼時にはイオン電流Iionが燃焼室30内に発生する。ここで、LC共振電流の大きさiは、以下の式で示される。
i = [-2CV / C(4L / C - R2)1/2]e-Lt/2Rsin((4L/C - R2)1/2t)
ここで、Cはコンデンサ25dの容量、Lは点火コイル24aの二次側のインダクタンス、Vは放電終了時のコンデンサ25dの吹き消え電圧、Rは点火プラグ18の両電極間に混合気の燃焼に伴いイオンが発生することに伴う抵抗成分である。なお、図4は燃焼時、図5は失火時において略LC共振電流のみが発生する場合、図6はLC共振電流に加えて放電後にノイズだれが発生する場合、図7はLC共振電流に加えてスパイクノイズが発生する場合をそれぞれ示す。
すなわち、LC共振電流は、燃焼時には、点火プラグ18の両極間に前記抵抗成分Rが存在するので減衰が速くなる、すなわち持続時間が短くなるのに対し、失火時には、点火プラグ18の両極間に前記抵抗成分Rが存在しないので減速が遅くなる、すなわちLC共振電流の持続時間が長くなる。
前記燃焼状態判定プログラムにより行う処理の概略手順を、フローチャートである図3を参照しつつ説明する。
まず、ステップS1では、LC共振電流の持続時間spkstedを計測する。それから、ステップS2に進む。具体的には、最初に検出した信号電流Ioutの立ち下がりから最後に検出した信号電流Ioutの立ち下がりまでの期間を計測する。
ステップS2では、LC共振電流の持続時間spkstedが所定値Tsを上回るか否かを判定する。LC共振電流の持続時間spkstedが所定値Tsを上回る場合には、ステップS3に進む。そうでない場合には、ステップS4に進む。
ステップS3では、エンジン100が失火状態にあるものと判定し、この燃焼状態判定プログラムを終了する。
ステップS4では、エンジン100が燃焼状態にあるものと判定し、この燃焼状態判定プログラムを終了する。
ここで、燃焼状態においては、前記図4に示すように、LC共振電流の持続時間spkstedは前記図5ないし図7に示すような失火状態におけるLC共振電流の持続時間spkstedより短く、ステップS2でLC共振電流の持続時間spkstedが所定値Tsを上回らないと判定される。すなわち、ステップS1→S2→S4の処理が順次行われ、エンジン100は燃焼状態にあると判定される。一方、失火状態においては、LC共振電流の持続時間spkstedは長く、ステップS2でLC共振電流の持続時間spkstedが所定値Tsを上回ると判定される。すなわち、ステップS1→S2→S3の処理が順次行われ、エンジン100は失火状態にあると判定される。
すなわち本実施形態に係る燃焼状態判定方法を採用すれば、失火時においてはLC共振電流の持続時間spkstedが長くなることに着目し、前記持続時間spkstedが所定値Tsを上回る場合にエンジン100が失火状態であると判定し、そうでない場合にはエンジン100が燃焼状態であると判定を行う。この判定は従来のイオン電流を用いた燃焼状態の判定に用いられる前記測定終了点T3以後のイオン電流とは関わりなく行われるので、失火状態において前記図6に示すようなノイズだれが発生した場合や、失火状態において前記図7に示すようなコロナノイズが発生した場合であっても正しく失火状態にあると判定できる。従って、従来の点火終了から燃焼時においてLC共振電流が十分減衰するのに必要な時間経過後の測定開始時点すなわち本実施形態における測定終了点T3からイオン電流Iionの検出を開始する態様において発生する不具合、すなわちノイズだれやコロナノイズ等の発生により失火時に失火していないと誤判定される不具合の発生を防ぐことができる。また、放電終了後前記燃焼時においてLC共振電流が十分減衰するのに必要な時間経過までのイオン電流Iionを検知するため、燃焼が早く終了した場合でも燃焼に伴うイオン電流Iionを検知でき、従って燃焼が速い場合に正常な燃焼が行われたにもかかわらず失火状態であると誤判定が行われる不具合の発生も防ぐことができる。
なお、本発明は以上に述べたような実施の形態に限らない。
例えば、上述した実施形態においては最初に信号電流Ioutの立ち下がりすなわちイオン電流Iionの立ち上がりを検出してから最後に信号電流Ioutの立ち下がりすなわちイオン電流Iionの立ち上がりを検出するまでの時間をLC共振電流の持続時間spkstedとして計測し、この持続時間spkstedを利用してエンジンの燃焼状態の判定を行うようにしたが、最後に信号電流Ioutの立ち下がりすなわちイオン電流Iionの立ち上がりを検出してから測定終了点T3までの時間をLC共振電流の検知終了から測定終了点T3までの共振検知終了後時間spksted2として計測し、この共振検知終了後時間spksted2が所定値以上である場合に燃焼状態であると判定する態様を採用してもよい。また、共振検知終了後時間spksted2の前記LC共振電流の持続時間spkstedに対する比率Rsに基づき、前記比率Rsが所定値以上である場合に燃焼状態であると判定する態様を採用してもよく、これらLC共振電流の持続時間spksted、共振検知終了後時間spksted2、及び前記比率Rsのうちいずれか2つを併用して燃焼状態の判定を行ってもよい。加えて、前記持続時間の計測の起点は、最初にイオン電流Iionの立ち下がりを検出した時刻でなく、測定開始点T2であってもよい。
さらに、イオン電流Iionを検出しなかった場合、失火状態にあると判定するようにするとなおよい。失火時には、放電期間すなわち点火終了からLC共振電流の発生までの時間が長く、前記測定終了点T3以後にLC共振電流が発生することもあるからである。
また、前記LC共振電流の持続時間spkstedを計測する代わりに、検出された電流の周波数が所定値以上である場合に失火状態であると判定する態様も考えられる。このように周波数を基準として失火状態を判定する態様の一例として、前記信号電流Ioutが立ち下がった回数、すなわちイオン電流Iionが所定の閾値Irefを越えた回数を計測し、前記イオン電流Iionが所定の閾値Irefを越えた回数すなわち割り込み回数が所定値を上回る場合に失火状態であると判定する態様が考えられる。
このような態様においては、燃焼状態判定プログラムとして、上述した実施の形態におけるステップS1〜S4の処理に代えて、以下の処理を行うとよい。この処理の概略手順を、フローチャートである図8を参照しつつ説明する。
まず、ステップS11において、前記信号電流Ioutが立ち下がった回数Cを計測する。すなわち、イオン電流Iionが所定の閾値Irefを越えた回数すなわち割り込み回数を計測する。それから、ステップS12に進む。
ステップS12では、前記信号電流Ioutが立ち下がった回数Cが所定値CCを上回るか否かを判定する。前記信号電流Ioutが立ち下がった回数Cが所定値CCを上回る場合には、ステップS13に進む。そうでない場合には、ステップS14に進む。
ステップS13では、エンジン100が失火状態にあるものと判定し、この燃焼状態判定プログラムを終了する。
ステップS14では、エンジン100が燃焼状態にあるものと判定し、この燃焼状態判定プログラムを終了する。
この態様でも、失火時には、主に前記LC共振電流が検出され、このLC共振電流は略一定の周波数で振動し、ピークとピークとの間では検出されるイオン電流Iionが所定の閾値Irefを下回り0に近づくとともに、次のピークに近づくとイオン電流Iionが再び所定の閾値Irefを上回ることから、イオン電流Iionのピークに伴い前記信号電流Ioutの立ち下がり及び立ち上がりが発生する頻度は高くなる。その一方で、燃焼時にはこのLC共振電流が燃焼に伴うイオン電流と重畳するので、前記信号電流Ioutの立ち上がりは燃焼開始後測定終了点T3まで観測されなくなるので割り込み回数が失火状態と比較して少なくなり、従って失火状態を的確に検出できる。また、割り込み回数の計測を行う代わりに、イオン電流Iionの波形をフーリエ変換して周波数成分を取り出し、取り出された周波数成分のうち所定の閾値以上のものの割合が所定の許容値以上である場合にエンジン100が失火状態にあるものと判定する態様も考えられる。
また、検出された電流の周波数成分が略全て所定範囲内である場合、すなわち検出されたイオン電流Iionのピーク間の時間間隔が略一定である場合に失火状態と判定する態様も考えられる。具体的には、検出された電流の周波数成分のうち所定範囲内のものの割合が所定の閾値LLを上回る場合に失火状態と判定する態様が考えられる。
このような態様においては、燃焼状態判定プログラムとして、上述した実施の形態におけるステップS1〜S4の処理に代えて、以下の処理を行うとよい。この処理の概略手順を、フローチャートである図9を参照しつつ説明する。
まず、ステップS21において、検出されたイオン電流Iionの周波数成分を取り出し、所定範囲内のものの割合Rの割合を算出する。この周波数成分の取り出しは、例えばイオン電流Iionの波形をフーリエ変換して周波数成分を取り出すことによって行う。それから、ステップS22に進む。
ステップS22では、取り出された周波数成分のうち所定範囲内のものの割合Rが所定値RRを上回るか否かを判定する。検出された周波数成分のうち所定範囲内のものの割合が所定の閾値LLを上回る場合には、ステップS23に進む。そうでない場合には、ステップS24に進む。
ステップS23では、エンジン100が失火状態にあるものと判定し、この燃焼状態判定プログラムを終了する。
ステップS24では、エンジン100が燃焼状態にあるものと判定し、この燃焼状態判定プログラムを終了する。
このような態様では、失火時において、主に単一の周波数成分を有する前記LC共振電流が検出されるので、所定範囲内の周波数成分の割合が所定の閾値LL以上である場合に失火状態と判定することにより、失火状態を的確に検出できる。なお、前記周波数の所定範囲は、失火状態における平均的なLC共振電流の周波数として、予め実験的に求められる。また、前記信号電流Ioutの立ち下がりの時間間隔を計測し、この時間間隔の変動率が所定の許容値以下である場合に、検出された電流の周波数成分が略全て所定範囲内であるものとみなして失火状態と判定する態様を採用してもよい。
加えて、イオン電流Iionのピーク値をアナログ的に計測し、このピーク値が減衰している場合は失火状態と判定する態様も考えられる。これらの態様であっても、失火時には、主にLC共振電流が検出され、このLC共振電流は所定周期で振動しつつ減衰していくことが多いのに対して、燃焼状態では、LC共振電流がイオン電流Iionと重畳するので、検出される電流のピーク値はLC共振電流の最初のピーク値より大きいことが多いからである。また、イオン電流Iionの時間微分を検出し、この時間微分のピーク値が所定値以上である場合に失火状態にあると判定してもよい。失火状態においては主にLC共振電流が検出され、このLC共振電流は高周波で振動するのに対し、燃焼状態においてはLC共振電流とイオン電流が重畳したものが検出され、経時変化は比較的なだらかであるからである。
そして、イオン電流Iionの積分値IIionが所定値TIを下回る場合に失火状態と判定する態様が考えられる。
このような態様においては、燃焼状態判定プログラムとして、上述した実施の形態におけるステップS1〜S4の処理に代えて、以下の処理を行うとよい。この処理の概略手順を、フローチャートである図10を参照しつつ説明する。なお、この態様では、各時刻でのイオン電流Iionをアナログ的に計測し、計測されたイオン電流Iionを時刻と対応づけて記憶することにより波形を取得し、この波形に基づきイオン電流Iionの積分値IIionを算出する。
まず、ステップS31において、点火信号の立ち下がりから放電時間帯の終了までのイオン電流Iionの積分値IIionを算出する。それから、ステップS32に進む。
ステップS32では、イオン電流Iionの積分値IIionが所定値TIを上回るか否かを判定する。積分値IIionが所定値TIを上回る場合には、ステップS33に進む。そうでない場合には、ステップS34に進む。
ステップS33では、エンジン100が燃焼状態にあるものと判定し、この燃焼状態判定プログラムを終了する。
ステップS34では、エンジン100が失火状態にあるものと判定し、この燃焼状態判定プログラムを終了する。
このような構成においては、燃焼時には、LC共振電流と燃焼に伴うイオン電流とが重畳したものをイオン電流Iionとして検出するので、点火終了後燃焼している間はイオン電流Iionが0に近づくことはない。これに対して、失火時には、主にLC共振電流が検出され、検出された電流は所定周期で振動するとともに、前記図5ないし図7に示すように2回目以降のピーク強度は1回目のピーク強度を上回らない。従って、イオン電流Iionの積分値IIionは、燃焼状態において大きくなり、失火時には小さくなる。
すなわちこの態様においても、従来の点火終了から燃焼時においてLC共振電流が十分減衰するのに必要な時間経過後の測定開始時点からイオン電流Iionの検出を行う態様において発生する不具合、すなわちノイズだれやコロナノイズ等の発生により失火時に失火していないと誤判定される不具合の発生を防ぐことができる。また、放電終了後前記燃焼時においてLC共振電流が十分減衰するのに必要な時間経過までのイオン電流Iionを検知するため、燃焼が早く終了した場合でも燃焼に伴うイオン電流Iionを検知でき、従って燃焼が速い場合に正常な燃焼が行われたにもかかわらず失火状態であると誤判定が行われる不具合の発生も防ぐことができる。
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
本発明の一実施形態に係るエンジンを示す概略図。 本発明の一実施形態に係る点火回路及びイオン電流検出回路を示す概略図。 同実施形態に係る燃焼時間測定プログラムにおける制御の流れを示すフローチャート。 同実施形態に係る作用説明図。 同実施形態に係る作用説明図。 同実施形態に係る作用説明図。 同実施形態に係る作用説明図。 本発明の他の実施態様に係る燃焼時間測定プログラムにおける制御の流れを示すフローチャート。 本発明の他の実施態様に係る燃焼時間測定プログラムにおける制御の流れを示すフローチャート。 本発明の他の実施態様に係る燃焼時間測定プログラムにおける制御の流れを示すフローチャート。
符号の説明
100…エンジン
6…制御装置
18…点火プラグ

Claims (4)

  1. 点火プラグにイオン電流検出回路を接続した内燃機関の燃焼状態判定方法であって、点火プラグの放電終了時に点火コイルの二次側と点火プラグとの間のLC共振に由来して点火コイルの二次側に発生する電流を検知し、検知した電流の前記LC共振に由来する波形の形状に基づき燃焼状態を判定することを特徴とする内燃機関の燃焼状態判定方法。
  2. 検知した電流の前記LC共振に由来する波形の持続時間が所定値を上回る場合に失火状態であると判定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃焼状態判定方法。
  3. 検知した電流の積分値が所定値を下回る場合に失火状態であると判定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃焼状態判定方法。
  4. 検知した電流の前記LC共振に由来する波形の周波数が所定値以上である場合、又は検知した電流の前記LC共振に由来する波形の周波数成分が略全て所定範囲内である場合に失火状態であると判定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃焼状態判定方法。
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