JP2009203864A - 燃焼状態検出装置及び点火制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】自己充電方式の燃焼状態検出装置において、充電量不足に陥る懸念を解消した燃焼状態検出装置及び点火制御システムを提供する。
【解決手段】予混合気を圧縮自着火させる自着火運転モードと、混合気を点火プラグで点火させる点火運転モードとを切り替え可能な内燃機関に適用され、イグニッションコイルの二次側から点火プラグに供給される電力の一部をコンデンサ(充電手段)に自己充電させ、そのコンデンサを電源として点火プラグの中心電極及び接地電極間に電圧を印加し、燃焼室での火炎発生に伴い両電極間に流れるイオン電流を検出するイオン電流検出回路(イオン電流検出手段)を備える。点火運転モード時には、両電極間にてスパークさせるべく点火プラグへ電力供給する通常点火制御(S20)を実行し、自着火運転モード時には、コンデンサに充電させるべく点火プラグへ電力供給するダミー点火制御(S30)を実行する。
【選択図】 図4
【解決手段】予混合気を圧縮自着火させる自着火運転モードと、混合気を点火プラグで点火させる点火運転モードとを切り替え可能な内燃機関に適用され、イグニッションコイルの二次側から点火プラグに供給される電力の一部をコンデンサ(充電手段)に自己充電させ、そのコンデンサを電源として点火プラグの中心電極及び接地電極間に電圧を印加し、燃焼室での火炎発生に伴い両電極間に流れるイオン電流を検出するイオン電流検出回路(イオン電流検出手段)を備える。点火運転モード時には、両電極間にてスパークさせるべく点火プラグへ電力供給する通常点火制御(S20)を実行し、自着火運転モード時には、コンデンサに充電させるべく点火プラグへ電力供給するダミー点火制御(S30)を実行する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、点火プラグの電極間に流れるイオン電流を検出することで燃焼状態を検出する燃焼状態検出装置、及び点火制御システムに関する。
従来より、燃料と空気とを予め混合した予混合気を、ピストンの圧縮により圧縮着火(自着火)させる方式の予混合圧縮自着火式エンジンが知られている。このエンジンは、点火プラグを使わず圧縮自着火させる点ではディーゼルエンジンと共通する一方で、着火前に予め燃料を混合しておく(予混合)という点ではガソリンエンジンと共通しており、いわばディーゼルエンジンとガソリンエンジンとの中間の性質を有するエンジンといえる。
このような自着火式エンジンでは、点火式エンジンに比べて着火時期の制御が困難となる。そこで、特許文献1等には、以下に説明するイオン電流を検出することで着火時期等の燃焼状態を検出する装置が開示されており、この装置による検出結果に基づき、着火時期等のエンジン制御を行っている。
イオン電流について説明すると、燃焼室で生じる火炎には導電性があるため、点火プラグの中心電極及び接地電極間に予め電圧を印加しておけば、火炎が両電極間に存在する時に両電極間を電流が流れる。この電流をイオン電流と呼ぶ。したがって、イオン電流の発生時期に基づけば着火時期を判定できるとともに、イオン電流の出力値の大きさに基づけば失火の有無を判定できる。
そして、特許文献2記載の装置では、イオン電流検出に要する両電極間への電圧印加のためのバッテリ電源を備えるのに対し、特許文献3記載の装置では、点火プラグに供給される電力の一部をコンデンサ(充電手段)に充電させ、このコンデンサを電源として両電極間に電圧印加させる自己充電方式を採用することで、上記バッテリ電源を廃止して構成の簡素化を図っている。
特開2007−16777号公報
特開昭63−68774号公報
特許第3176291号公報
ところで近年では、エンジンの運転状態に応じて、上記圧縮着火させる自着火運転モードと点火プラグにより点火させる点火運転モードとを切り替え可能にしたエンジンが開発されている。そして、このようなエンジンに上述した自己充電方式の燃焼状態検出装置を適用しようとすると、自着火運転モード時には点火プラグでのスパークを行わないため、コンデンサへの自己充電が為されないこととなる。よって、従来の制御では、点火運転モード時に自己充電した電力を用いて、自着火運転モード時に両電極に電圧印加させている。
しかしながら、このような従来制御では充電量不足に陥ることが懸念される。特に、自着火運転モードが連続して長期に亘り行われた場合には、充電量不足に陥る可能性が高い。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、自己充電方式の燃焼状態検出装置において、充電量不足に陥る懸念を解消した燃焼状態検出装置及び点火制御システムを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明では、
予混合気を圧縮により自着火させる自着火運転モードと、混合気を点火プラグにより点火させる点火運転モードとを切り替え可能な内燃機関に適用され、
イグニッションコイルの二次側から前記点火プラグに供給される電力の一部を用いて充電する充電手段と、
前記充電手段を電源として前記点火プラグの中心電極及び接地電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、
燃焼室での火炎発生に伴い前記両電極間に流れるイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、
を備え、
前記点火運転モード時には、前記両電極間にてスパークさせるべく前記点火プラグへ電力供給する通常点火を実行し、前記自着火運転モード時には、前記充電手段に充電させるべく前記点火プラグへ電力供給するダミー点火を実行することを特徴とする。
予混合気を圧縮により自着火させる自着火運転モードと、混合気を点火プラグにより点火させる点火運転モードとを切り替え可能な内燃機関に適用され、
イグニッションコイルの二次側から前記点火プラグに供給される電力の一部を用いて充電する充電手段と、
前記充電手段を電源として前記点火プラグの中心電極及び接地電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、
燃焼室での火炎発生に伴い前記両電極間に流れるイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、
を備え、
前記点火運転モード時には、前記両電極間にてスパークさせるべく前記点火プラグへ電力供給する通常点火を実行し、前記自着火運転モード時には、前記充電手段に充電させるべく前記点火プラグへ電力供給するダミー点火を実行することを特徴とする。
これによれば、点火プラグのスパークによる着火を要しない自着火運転モード時においても、ダミー点火の実行により点火プラグに供給される電力の一部が充電手段に充電されることとなる。よって、いずれの運転モードにおいても充電手段に充電されることとなるので、充電量不足に陥ることの懸念を解消できる。
請求項2記載の発明では、前記ダミー点火では、前記二次発生電圧を前記点火運転モード時よりも低く設定することを特徴とする。これによれば、充電させるべくダミー点火を実行するにあたり、そのダミー点火に要する電力を低減できる。
請求項3記載の発明では、前記ダミー点火では、前記両電極間の電圧がスパーク電圧を超えない範囲となるよう前記二次発生電圧を設定することを特徴とする。これによれば、充電させるべくダミー点火を実行しても、実際には点火プラグの両電極間にてスパークが生じないので、点火プラグの消耗を抑制できる。
参考までに、一般的なスパーク電圧は、圧縮行程時においては10kV〜30kVであり、排気行程時においては3kV〜6kVである。
点火運転モード時のイグニッションコイル二次発生電圧は一般的なスパーク電圧を超える電圧となるよう設定(例えば35kV)しなければならないが、充電を目的とした前記ダミー点火では、一般的なスパーク電圧を超える電圧に設定する必要はない。また、例えば排気行程時における上記「スパーク電圧を越えない範囲」の電圧として、1kV〜2kVが具体例として挙げられる。
自着火運転モードであっても吸気行程時に点火プラグでスパークが生じると、そのスパークにより混合気が着火してしまうおそれがある。そして、吸気行程時に着火が生じるとエンジンを著しく損傷させてしまう。これに対し請求項4記載の発明では、前記内燃機関は4サイクルエンジンであり、前記ダミー点火の実行を吸気行程時には禁止することを特徴とするので、吸気行程時に着火してしまうことを回避できる。
ところで、イグニッションコイルの二次側から点火プラグに電力供給させるにあたり、一次側への通電開始による二次側での容量放電開始時点(例えば図2(b)のt1時点)、一次側への通電終了による二次側での容量放電終了時点(例えば図2(b)のt2時点)、及びスパーク終了による二次側での誘導放電期間(例えば図2(b)のt4〜t5期間)のそれぞれにおいて、イオン電流検出手段の出力値にノイズN1,N2,N3(図2(c)参照)が生じることが従来より知られている。さらに本発明者らが各種試験を行ったところ、誘導放電終了後においても、点火プラグ等に電荷が残っていることに起因してノイズN4(以下「イオンノイズ」と呼ぶ)が生じることが分かった。
したがって、自着火運転モード時にイオン電流検出手段により自着火した時期や失火の有無を検出するにあたり、ダミー点火により実際に点火がなされると、その点火時期によっては上述のイオンノイズN4がイオン電流検出手段の出力値のピーク値Vpeak(図2(c)参照)に重畳してしまい、自着火時期や失火有無を誤検出するおそれがある。この点を鑑み請求項5記載の発明では、前記ダミー点火を排気行程時に実行することを特徴とする。これによれば、図2(e)に例示される如く、各ノイズN1〜N4がイオン電流検出手段の出力値のピーク値Vpeakに重畳することを回避できるので、自着火時期や失火有無の誤検出を低減できる。
さらに請求項6記載の発明では、前記イオン電流検出手段の検出結果に基づき燃焼状態を判定する判定手段を備え、前記ダミー点火を、前記判定手段による判定がなされてから吸気行程開始までの期間中に実行することを特徴とする。よって、各ノイズN1〜N4がイオン電流検出手段の出力値のピーク値Vpeakに重畳することを更に確実に回避できる。
請求項7記載の発明は、点火プラグ、及び前記点火プラグへの電力供給を制御する点火制御装置の少なくとも一方と、上記燃焼状態検出装置と、を備えることを特徴とする点火制御システムである。この点火制御システムによれば、上述の各種効果を同様に発揮することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の点火制御システムは、火花点火式のガソリンエンジンに適用され、当該エンジンの点火制御を司る電子制御装置(以下、ECUという)は、エンジン運転状態に基づいて各気筒に設けられた点火プラグの点火時期を最適時期に制御するとともに、混合気燃焼状態をイオン電流信号から検知してエンジン制御に反映させる。以下、点火制御システムの詳細を説明する。
図1は、本実施形態における燃焼状態検出装置が搭載された、エンジン制御装置の概要を示す構成図である。エンジン10(内燃機関)のシリンダヘッドには点火プラグ20が配設されており、プラグ先端に備えられた中心電極21及び接地電極22は燃焼室11内に露出している。点火プラグ20にはイグニッションコイル30を構成する二次コイル32の一端が接続され、二次コイル32の他端は、後述するイオン電流検出回路40(イオン電流検出手段、電圧印加手段)を介して接地されている。
イグニッションコイル30を構成する一次コイル31の一端は12Vのバッテリ33に接続され、一次コイル31の他端はパワートランジスタ34のコレクタに接続されている。パワートランジスタ34のベースに入力されるECU50(点火制御装置)からのオンオフ点火信号に応じてパワートランジスタ34がオンされると、バッテリ33から供給された一次電流が一次コイル31に流れる。一次コイル31への通電後、トランジスタ35がオフされると、二次コイル32に高電圧が誘起され、点火プラグ20の両電極21,22間にてスパークが生じる。なお、筒内圧変化を表す図2(a)に示すように、混合気への着火時期t3は、スパーク開始時期t2からタイムラグ(着火遅れ時間)がある。
イオン電流検出回路40は、一対のツェナーダイオード41,42、コンデンサ43(充電手段)及び抵抗44等から構成されている。かかる構成において、パワートランジスタ34がオンからオフに切り替えられ、点火プラグ20にてスパークすると、ツェナーダイオード41によって規定される電圧でコンデンサ43に電荷が蓄積される。つまり、イグニッションコイル30の二次側から点火プラグ20に供給される電力の一部を用いてコンデンサ43を充電(自己充電)する。そして、点火プラグ20の両電極21,22間には、充電されたコンデンサ43を電源として電圧印加されている。
混合気が着火、燃焼して燃焼室11で火炎が発生すると、点火プラグ20の両電極21,22間がイオン化されて通電経路が形成されることとなる。すると、コンデンサ43に蓄積された電荷がイオン電流として両電極21,22間を流れる。このイオン電流は、抵抗44の両端電位差として検出される。この電位差信号は、反転増幅器45により反転増幅され、イオン電流の出力値としてECU50に出力される。
ECU50は、CPU、RAM、ROM等からなるマイクロコンピュータ51、イオン電流検出部52、及び点火制御部53等を有して構成されている。イオン電流検出部52は、イオン電流検出回路40から出力されたイオン電流検出信号(つまり反転増幅器45からの出力値)を取得する。取得した信号波形は、失火した場合等、燃焼がなされていない場合には図2(c)(e)中の実線に示す波形となり、燃焼した場合には図2(c)(e)中の点線に示す波形となる。イオン電流検出部52は、ピークホールド回路等を用いて、予め設定された所定期間Tにおけるイオン電流検出信号の最大値Vpeakを算出する。
マイコン51は、イオン電流検出部52にて算出された最大値Vpeakが現れた時期に基づき、着火時期t3を推定する。また、その最大値Vpeakの大きさに基づき、燃焼行程にて失火が生じたか否かを判定する。
ECU50には、クランクセンサ54から出力されるエンジン回転速度信号、及びエアフロセンサ55から出力される吸気量信号(又は吸気圧センサから出力される吸気圧信号)が入力される。マイコン51は、これらの信号に基づき図示しないマップを用いて最適点火時期を算出し、当該点火時期に基づき点火信号IGtを点火制御部53に出力する。点火制御部53は、点火信号IGtに基づき、スパーク開始時点t2が前述の最適点火時期となるよう、パワートランジスタ34へのベース電流を制御する。
さらにECU50は、エンジンの運転状態を制御する各種エンジン制御手段60の作動を制御する。エンジン制御手段60の具体例としては燃料噴射弁12や、吸気バルブ13及び排気バルブ14の開閉タイミングを制御するバルブタイミング制御装置(図示せず)等が挙げられる。つまりECU50は、燃料噴射弁12の作動を制御することで燃料噴射量及び噴射時期を制御する。また、バルブタイミング制御装置の作動を制御することで、吸気バルブ13及び排気バルブ14の少なくとも一方の開閉タイミングを制御する。また、図示しないスロットルバルブの作動を制御することで、燃焼室11に流入する吸気量を制御する。
ところで、本実施形態に係るエンジン10は、混合気を点火プラグ20のスパークにより点火させる点火運転モードの他に、吸気管15で燃料と空気とを予め混合した予混合気を燃焼室11に流入させ、ピストン16の圧縮により圧縮着火(自着火)させる自着火運転モードが可能である。ECU50は、上述の点火制御、燃料噴射制御、バルブタイミング制御及び吸気量制御を行うにあたり、点火運転モードを実現させるための制御と、自着火運転モードを実現させるための制御(自着火制御)とを切り替えている。
図3は、これらのモードの切り替え判定に用いるマップを示しており、マイコン51は、クランクセンサ54及びエアフロセンサ55により検出されたエンジン回転速度及びエンジン負荷(吸気量)に基づき、図3のマップを用いて点火運転モードと自着火運転モードとを切り替える。ちなみに、マップ中の斜線に示す自着火運転領域にて自着火運転モードを行えば、混合気のリーン化を促進することができ、NOX低減及び燃費向上を図ることができる。但し、高負荷高回転領域では、エンジン10の振動及び騒音の低減を図るために点火運転モードに設定されている。また、エンジン10が低温であり自着火が困難である低負荷低回転領域についても、点火運転モードに設定されている。
図4は、マイクロコンピュータ51が実行する点火制御プログラムの手順を示すフローチャートであり、当該処理は、イグニッションスイッチがオン操作されたことをトリガとして起動した後、所定周期(例えば先述のCPUが行う演算周期)毎又は所定のクランク角度毎に繰り返し実行される。以下に詳述する図4の制御では、点火運転モード時には、両電極21,22間にてスパークさせて着火させるべく点火信号IGtを設定する通常点火制御を実行する。また、自着火運転モード時には、両電極21,22間にて着火に寄与しない時期にスパークさせてコンデンサ43に電荷を蓄積(自己充電)させるべく点火信号IGtを設定するダミー点火制御を実行する。
先ず、ステップS10において、クランクセンサ54及びエアフロセンサ55により検出されたエンジン回転速度及びエンジン負荷が、図3のマップにおける自着火領域に該当するか否かを判定する。自着火領域にないと判定(S10:NO)されれば、処理はステップS20(通常点火制御)に進み、スパーク開始時点t2が先述した最適点火時期となる点火運転モードとなるよう点火信号IGtを設定する。
図2(b)は、このように通常点火制御された場合における二次側電圧の変化を示しており、圧縮行程中のt1時点において、一次側への通電開始により二次側に電圧が発生する。その後、t2時点において、一次側への通電終了により二次側での容量放電が起こり、両電極21,22間でのスパークが開始され、燃焼行程中のt4時点においてスパークが終了する。スパーク終了後のt4〜t5期間では、イグニッションコイル磁気回路の残留エネルギにより二次側電圧が脈動する。
一方、ステップS10において自着火領域であると判定(S10:YES)された場合には、処理はステップS30(ダミー点火制御)に進み、自着火運転モードを実行すべく、スパーク開始時点t12が混合気の着火に寄与しない時期となるよう点火信号IGtを設定する。
図2(d)は、このようにダミー点火制御された場合における二次側電圧の変化を示しており、排気行程中のt11時点において、一次側への通電開始により二次側に電圧が発生する。その後、t12時点において、一次側への通電終了により二次側での容量放電が起こり、両電極間21,22でのスパークが開始され、排気行程中のt14時点においてスパークが終了する。スパーク終了後のt14〜t15期間では、イグニッションコイル磁気回路の残留エネルギにより二次側電圧が脈動する。
さらにステップS30では、上述のダミー点火制御に加えイオン電流検出を開始させる。すなわち、先述した通り、イオン電流検出部52により所定期間T(図2(e)参照)におけるイオン電流検出信号の最大値Vpeakを算出する。なお、上記所定期間Tは、通常点火制御に係る最進角点火時期及び最遅角点火時期のいずれであっても、最大値Vpeakが所定期間Tにて出現するよう設定されている。
続くステップS40(判定手段)では、ステップS30にて算出された最大値Vpeakが予め設定された閾値THより大きいか否かを判定する。Vpeak>THであれば、両電極21,22間をイオン化させるに十分な火炎が燃焼室11で発生しているとみなすことができるので、予混合気が正常に圧縮着火されていると推定できる。
したがって、Vpeak>THであると判定(S40:YES)された場合には、予混合気が正常に圧縮着火されていると判定し、続くステップS50において自着火制御による自着火運転モードを継続させる。一方、Vpeak≦THであると判定(S40:NO)された場合には、予混合気が正常に圧縮着火されず失火状態にあると推定し、続くステップS60においてエンジン制御手段60に対する制御指令値を変更することで、予混合気が正常に圧縮着火されやすいエンジン運転状態にする。
制御指令値変更の具体例として、失火発生時には、先述したバルブタイミング制御を行うにあたり、吸気バルブ13の及び排気バルブ14が共に開いた状態であるオーバラップ期間を変更するよう、バルブタイミング制御装置に対する制御指令値を変更する。或いは、先述した燃料噴射制御を行うにあたり、1燃焼サイクルあたりに噴射される燃料の噴射量を増大させるよう、燃料噴射弁12に対する制御指令値を変更する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)点火プラグ20のスパークによる着火を要しない自着火運転モード時においても、両電極21,22間にて着火に寄与しない時期にスパークさせてコンデンサ43に電荷を蓄積(自己充電)させるダミー点火制御を実行する。よって、点火運転モード時のみならず、自着火運転モード時においてもコンデンサ43に自己充電されることとなる。よって、いずれの運転モードにおいてもコンデンサ43に充電されることとなるので、イオン電流検出回路40によるイオン電流検出に必要となる電荷を十分に充電させることができ、充電量不足に陥ることの懸念を解消できる。
(2)ところで、ダミー点火制御によるスパーク期間t12〜t14を、通常点火制御によるスパーク期間t2〜t4と同じ期間に設定した場合には、放電終了後に生じるイオンノイズN4が、図2(c)に示すようにイオン電流検出信号の波形のうち最大値Vpeakが現れる部分に重畳することとなってしまう。すると、実際には失火状態であってもイオンノイズN4の重畳によりVpeak>THであると判定されてしまうおそれがあり、失火状態を正確に検出することが困難となる。
これに対し上記制御に係る本実施形態によれば、ダミー点火制御によるスパーク期間t12〜t14を排気行程期間に設定しているため、図2(e)に示すように、ダミー点火に係る放電終了後に生じるイオンノイズN4の発生時期は、最大値Vpeakの検出範囲である所定期間Tから外れることとなる。よって、イオンノイズN4は最大値Vpeakが現れる部分には重畳しなくなる。よって、失火状態を正確に検出できるようになる。ちなみに、ダミー点火が排気行程期間に行われることに起因して、ダミー点火に伴うイオンノイズN4は通常点火に伴うイオンノイズに比べてノイズレベルが低くなる。
(3)自着火運転モードであっても吸気行程時に点火プラグ20でスパークが生じると、そのスパークにより混合気が着火してしまうおそれがある。そして、吸気行程時に着火が生じるとエンジン10を著しく損傷させてしまう。これに対し上記制御に係る本実施形態によれば、ダミー点火制御によるスパーク期間t12〜t14が排気行程期間となるよう設定しているため、吸気行程時に着火してしまうことを回避できる。
(4)ところで、点火プラグ20でスパークさせるに要する両電極21,22間の二次電圧(スパーク電圧)は、その時の筒内圧力に応じて異なる。例えば、図2(a)に示すように燃焼行程での高圧下(約1MPa)では、スパーク電圧は10kV〜30kVとなるのに対し、排気行程での低圧下(約0.1MPa)では、スパーク電圧は3kV〜6kVとなる。したがって、ダミー点火制御によるスパーク期間t12〜t14が排気行程期間となるよう設定されている本実施形態によれば、ダミー点火制御時におけるイグニッションコイルの二次発生電圧を低くすることが可能である。よって、各種ノイズN2〜N4のレベルを低減することができ、場合によってはイオンノイズN4が殆ど発生しなくなるので、失火状態の検出精度を向上できる。
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。また、本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、各々の特徴的制御内容をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。また、本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、各々の特徴的制御内容をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
・上記実施形態では、ダミー点火におけるイグニッションコイルの二次発生電圧と通常点火における二次発生電圧とを同じ値で制御しているが、ダミー点火における二次発生電圧を、通常点火における二次発生電圧より低くしてもよい。これによれば、ダミー点火制御時の二次電圧が低くなるので、各種ノイズN2〜N4のレベルを低減することができ、場合によってはイオンノイズN4が殆ど発生しなくなるので、失火状態の検出精度を向上できる。さらに、二次電圧を低くしたことにより、充電させるべくダミー点火を実行するにあたり、そのダミー点火に要する電力を低減できる。
なお、二次発生電圧を低くするには、点火信号IGtの時間幅を短くする(例えば、図2(d)に示すt11〜t12の区間をt11’〜t12に示すように短くする)ことで容易に実現できる。ちなみに、このように点火信号IGtの時間幅を短くすると、放電時間が短くなるため、残留エネルギによる二次側電圧の脈動が出現する時期が、t14’,t15’に示すように早まることとなる。
・上記実施形態では、代表的なイオンノイズとして、ノイズN3発生から所定時間経過後に発生するノイズN4を例に説明したが、その他のイオンノイズに対しても本発明は有効である。その他のイオンノイズとしては、例えばノイズN3発生直後に発生するノイズが挙げられる。
・上記実施形態では、ダミー点火制御の実行により点火プラグ20にてスパークを生じさせているが、両電極21,22間の電圧がスパーク電圧を超えないようにダミー点火制御を実行させて、スパークを生じさせることなく自着火運転モードでのコンデンサ43への自己充電を行うようにしてもよい。具体的には、ダミー点火制御時の一次コイル31への通電時間を通常点火制御時に比べて短くする(例えば2msec〜3msec)ことで、スパークを生じさせないように二次電圧を低下させる。
これによれば、ダミー点火制御時の二次電圧が低くなるので、各種ノイズN2〜N4のレベルを低減することができ、場合によってはイオンノイズN4が殆ど発生しなくなるので、失火状態の検出精度を向上できる。さらに、コンデンサ43に自己充電させるべくダミー点火制御を実行しても、実際には点火プラグ20にてスパークが生じないので、点火プラグ20の消耗を抑制できる。
・図4のステップS40の判定処理において、失火の有無判定に加え、着火時期の推定を行うようにしてもよい。具体的には、最大値Vpeakが出現した時期に基づき混合気が着火した時期t3を推定し、その推定結果に基づき、エンジン制御手段60に対する制御指令値を変更する。
・上記実施形態では、ダミー点火制御によるスパーク期間t12〜t14が排気行程期間となるよう設定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、得に、上述の如く実際にはスパークさせないようにダミー点火を行う場合においては、例えば圧縮行程や燃焼行程となるよう設定してもよい。また、ダミー点火制御によるスパーク期間t12〜t14を、通常点火制御によるスパーク期間t2〜t4と一致させるようにすれば、いずれの点火制御においてもスパーク期間を同じにできるので、制御の処理負荷を軽減できる。
10…エンジン(内燃機関)、20…点火プラグ、21…中心電極、22…接地電極、30…イグニッションコイル、43…コンデンサ(充電手段)、40…イオン電流検出回路(イオン電流検出手段、電圧印加手段)、50…ECU(点火制御装置)、S40…判定手段。
Claims (7)
- 予混合気を圧縮により自着火させる自着火運転モードと、混合気を点火プラグにより点火させる点火運転モードとを切り替え可能な内燃機関に適用され、
イグニッションコイルの二次側から前記点火プラグに供給される電力の一部を用いて充電する充電手段と、
前記充電手段を電源として前記点火プラグの中心電極及び接地電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、
燃焼室での火炎発生に伴い前記両電極間に流れるイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、
を備え、
前記点火運転モード時には、前記両電極間にてスパークさせるべく前記点火プラグへ電力供給する通常点火を実行し、前記自着火運転モード時には、前記充電手段に充電させるべく前記点火プラグへ電力供給するダミー点火を実行することを特徴とする燃焼状態検出装置。 - 前記ダミー点火では、前記イグニッションコイルの二次発生電圧を前記点火運転モード時よりも低く設定することを特徴とする請求項1に記載の燃焼状態検出装置。
- 前記ダミー点火では、前記両電極間の電圧がスパーク電圧を超えない範囲となるよう前記二次発生電圧を設定することを特徴とする請求項2に記載の燃焼状態検出装置。
- 前記内燃機関は4サイクルエンジンであり、
前記ダミー点火の実行を、吸気行程時及び圧縮行程時の少なくとも一方の時には禁止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の燃焼状態検出装置。 - 前記内燃機関は4サイクルエンジンであり、
前記ダミー点火を排気行程時に実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の燃焼状態検出装置。 - 前記イオン電流検出手段の検出結果に基づき燃焼状態を判定する判定手段を備え、
前記ダミー点火を、前記判定手段による判定がなされてから吸気行程開始までの期間中に実行することを特徴とする請求項5に記載の燃焼状態検出装置。 - 点火プラグ、及び前記点火プラグへの電力供給を制御する点火制御装置の少なくとも一方と、
請求項1〜6のいずれか1つに記載の燃焼状態検出装置と、
を備えることを特徴とする点火制御システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008046381A JP2009203864A (ja) | 2008-02-27 | 2008-02-27 | 燃焼状態検出装置及び点火制御システム |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008046381A JP2009203864A (ja) | 2008-02-27 | 2008-02-27 | 燃焼状態検出装置及び点火制御システム |
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ID=41146386
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JP2008046381A Withdrawn JP2009203864A (ja) | 2008-02-27 | 2008-02-27 | 燃焼状態検出装置及び点火制御システム |
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JP (1) | JP2009203864A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013124545A (ja) * | 2011-12-13 | 2013-06-24 | Hitachi Automotive Systems Hanshin Ltd | 内燃機関用イオン電流検出装置 |
JP2013189891A (ja) * | 2012-03-13 | 2013-09-26 | Mitsubishi Electric Corp | 圧縮自己着火内燃機関の制御装置および制御方法 |
KR101616693B1 (ko) | 2009-11-17 | 2016-05-02 | 콘티넨탈 오토모티브 시스템 주식회사 | 점화 장치 구동 시스템 |
-
2008
- 2008-02-27 JP JP2008046381A patent/JP2009203864A/ja not_active Withdrawn
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