JP4528469B2 - 内燃機関用点火装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、点火コイルに発生した点火用高電圧を印加することで点火プラグの電極間に火花放電を発生させるとともに、火花放電の終了後にイオン電流を発生させる機能を備えた内燃機関用点火装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車エンジン等に使用される内燃機関においては、点火プラグによる火花放電により混合気が燃焼すると、その燃焼に伴ってイオンが発生することから、点火プラグの火花放電により混合気が燃焼した後に、その点火プラグの電極間に電圧を印加することでイオン電流が流れる。そして、イオンの発生量は混合気の燃焼状態によって変化することから、このイオン電流を検出し、解析処理を行うことによって、失火検知やノッキング検出等を行うことができる。
【0003】
そして、従来より、このイオン電流を発生させる機能を備えた内燃機関用点火装置としては、二次巻線の一端に点火プラグが電気的に接続される一方、二次巻線の他端に直列にコンデンサが備えられており、点火プラグでの火花放電発生時に、点火コイルの二次巻線および点火プラグに流れる火花放電電流(二次電流)によりこのコンデンサを充電し、火花放電終了後に充電されたコンデンサを放電して、二次巻線を介し点火プラグの電極間に電圧を印加することで、イオン電流を発生させる構成が主流である(例えば、特開平4−191465号公報や特開平10−238446号公報等)。
【0004】
なお、このような内燃機関用点火装置では、コンデンサに並列にツェナーダイオードが備えられて、コンデンサが過充電により破壊されるのを防ぐとともに、コンデンサの両端電圧を一定電圧(100〜300[V])に制限している。
このように、コンデンサをイオン電流発生用の電源として用いる内燃機関用点火装置は、イオン電流発生用としての専用電源装置(バッテリなど)を特に設ける必要が無くなるため、部品点数が比較的少なくなると共に、小型化を図ることができるという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のように点火プラグでの火花放電時に流れる二次電流にて充電したコンデンサを放電させることで点火プラグの電極間にイオン電流を発生させる構成の内燃機関用点火装置では、点火コイルに磁束エネルギを蓄積するために一次巻線への通電を開始した際に、点火用高電圧とは逆極性の高電圧(数kV)が二次巻線に発生して、点火プラグが正常な点火時期以前に火花放電を生じてしまい、混合気への誤着火を引き起こす虞がある。
【0006】
つまり、上述の内燃機関用点火装置は、二次電流の通電経路に直列接続されたコンデンサに対し、火花放電発生時には充電が可能となり、またイオン電流発生時には放電が可能となるように、二次電流の通電経路が両方向の電流を通電可能となるように構成されている。このため、上述の内燃機関用点火装置では、一次巻線への通電開始時の点火コイルにおける磁束密度の変化に伴い、一次電流の通電遮断時とは逆極性の誘導電圧が二次巻線の両端に発生することになり、この時に発生する誘導電圧が火花放電に必要な電圧値を超える高電圧となる場合には、本来の火花放電時とは逆方向の二次電流が流れる状態で、点火プラグに火花放電が発生することになる。
【0007】
また、一次巻線への通電時間を同じ長さに設定した条件下においては、内燃機関の回転速度が高くなるほど、一次巻線への通電開始時期は、クランク角度の早い時期に設定されることになり、つまり、シリンダ内の筒内圧が低い時期に設定されることになる。そして、点火プラグにおける放電電圧は、シリンダ内の筒内圧が低くなるほど低下することが知られていることから、高回転運転時においては、一次巻線への通電開始時に二次巻線に発生する点火用高電圧とは逆極性の高電圧(数kV)によって、混合気への誤着火が起こり易くなる。
【0008】
このような早い時期での混合気への誤着火の発生を防ぐためには、二次電流の通電経路における電流の通電可能な方向を一方向として、一次電流の通電遮断時にのみ電流が流れるのを許容するように、所謂、逆流防止用ダイオードを二次巻線の一端と点火プラグとにより形成される通電経路に設けると良い。しかしながら、二次巻線の一端と点火プラグとにより形成される通電経路に、一次電流の遮断時に二次巻線に発生する電流の通電のみを許容するように逆流防止用ダイオードを設ける場合、上述の公報技術のイオン電流を発生させる機能を備えた内燃機関用点火装置では、二次電流によるコンデンサへの充電は可能なものの、コンデンサの放電による電流を流すことができなくなり、点火プラグの電極間にイオン電流を発生させることが不可能となって、点火プラグの電極間に流れるイオン電流の検出を行うことができない。
【0009】
そこで、本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、一次巻線への通電開始時に点火プラグに火花放電が発生して、混合気への誤着火を引き起こすことを抑制するとともに、点火プラグの電極間におけるイオン電流の発生、検出が可能な内燃機関用点火装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、一次巻線および二次巻線を有し、一次巻線に流れる一次電流を遮断することで二次巻線に点火用高電圧を発生する点火コイルと、点火コイルの一次巻線に流れる一次電流の通電・遮断を行うスイッチング手段と、二次巻線に直列接続されて閉ループを形成すると共に、点火用高電圧が印加されて二次電流が流れることにより自身の電極間に火花放電を発生する点火プラグと、を備えた内燃機関用点火装置であって、点火コイルの二次巻線の高圧側と前記点火プラグとを接続する通電経路中に接続され、一次巻線への通電遮断時に二次巻線に発生する電流の通電を許容し、一次巻線への通電開始時に二次巻線に発生する電流の通電を阻止する逆流防止用ダイオードと、二次電流の通電経路において、二次巻線および点火プラグに直列接続されて、点火プラグの電極間にイオン電流が流れる際に、このイオン電流に比例した電流を検出するための電流検出手段と、点火用高電圧の発生時に電流検出手段に印加される電圧を一定値以下に制限する印加電圧制限手段と、を備え、点火プラグでの火花放電終了後に点火コイルに残る残留エネルギによって二次巻線の両端にイオン電流発生用電圧を発生させ、このイオン電流発生用電圧を点火プラグに印加することで発生するイオン電流を電流検出手段で検出し、点火プラグの電極間におけるイオン電流の通電方向は、火花放電時の二次電流の通電方向と同じであること、を特徴とする。
【0011】
つまり、本発明の内燃機関用点火装置では、点火コイルの二次巻線の高圧側と点火プラグとを接続する通電経路中に逆流防止用ダイオードを備えることにより、二次電流の通電経路において通電可能な電流方向を一方向に制限している。そして、この逆流防止用ダイオードが、一次巻線への通電開始時に二次巻線の両端に発生する高電圧による通電を阻止することで、一次巻線への通電開始時に、二次巻線に発生する高電圧(数kV)によって点火プラグの電極間(中心電極と接地電極との間)に火花放電が発生するのを防いでいる。
【0012】
また、本内燃機関用点火装置では、点火プラグの火花放電終了後に点火コイルに存在する残留エネルギによって二次巻線の両端に発生する誘導電圧を点火プラグに印加して、点火プラグの電極間にイオン電流を発生させている。より詳細に説明すると、火花放電終了後に点火コイルに存在する残留エネルギにより二次巻線の両端に発生する誘導電圧は、点火プラグに印加されて、当該点火プラグの浮遊容量を含む二次電流の通電経路に存在する浮遊容量に充電される。そして、この充電電荷を利用して点火プラグの電極間にイオン電流を発生させるのである。つまり、点火コイルの残留エネルギにより二次巻線の両端に発生する誘導電圧を、イオン電流を発生させるためのイオン電流発生用電圧として使用しており、点火コイルは、火花放電を発生させるための点火用高電圧を発生させる電源として機能すると共に、イオン電流発生用の電源としても機能する。
【0013】
ここで、点火プラグにおける火花放電が終了した際に点火コイルに存在する残留エネルギは、火花放電を継続させるには不十分ではあるが、二次電流の通電経路に存在する浮遊容量を充電させてイオン電流を発生させるためには十分な量である。つまり、火花放電終了後の残留エネルギにより二次巻線の両端に発生するイオン電流発生用電圧は、約1〜5[kV]となり、従来のイオン電流発生用のコンデンサが蓄積する電圧(100〜300[V])よりも高い電圧を点火プラグの電極間に印加することができる。これにより、従来よりも大きいイオン電流が点火プラグの電極間に流れ、イオン電流の検出精度を向上させることができる。
【0014】
なお、上述したように火花放電終了後に二次巻線の両端に発生する誘導電圧は、二次電流の通電経路に存在する浮遊容量に電荷を蓄積するが、点火プラグの浮遊容量に蓄積される充電電荷については、二次巻線の高圧側と点火プラグとを接続する通電経路中に接続した上記逆流防止用ダイオードによって二次巻線への逆流が防止される。これにより、点火プラグの浮遊容量に蓄積された充電電荷は、二次巻線側に逆流して消費されることがなくなり、点火プラグの電極間にイオン電流を発生させるために有効に利用される。つまり、逆流防止用ダイオードは、一次巻線への通電開始時に誤って着火が起こることを防止する機能を果たすと共に、イオン電流を確実に発生させる機能も有する。
【0015】
そして、電流検出手段は、二次電流の通電経路において二次巻線および点火プラグに直列接続されており、点火プラグの電極間にイオン電流が流れる際に、このイオン電流に比例した電流が流れることから、良好にイオン電流を検出することができる。
【0016】
また、点火用高電圧の発生時(つまり、火花放電発生時)には、印加電圧制限手段が、電流検出手段への印加電圧を一定値以下に制限することから、二次巻線に発生した点火用高電圧のうち、電流検出手段における電圧降下分を一定値以下に制限することができる。これにより、点火プラグへの印加電圧が、大幅に低下するのを防ぐことができ、電流検出手段を備えたことが要因となって、火花放電が発生せずに失火することや火花放電が短時間で終了すること等を防ぐことができる。
【0017】
したがって、本発明(請求項1)の内燃機関用点火装置によれば、一次巻線への通電開始時に誤って混合気への着火が行われることがなくなり、混合気への誤着火による内燃機関の損傷を防ぐことができる。さらに、点火プラグの火花放電終了後に点火コイルに残された残留エネルギによって発生する誘導電圧(イオン電流発生用電圧)を利用し、かつ二次巻線の高圧側と点火プラグとを接続する通電経路中に設けられる逆流防止用ダイオードの働きにより、点火プラグの電極間にイオン電流を発生させることができる。
【0018】
なお、イオン電流を発生させるために点火プラグの電極間に電圧を印加する際には、中心電極が負極性、接地電極が正極性となるように電圧を印加する場合に比べて、中心電極が正極性、接地電極が負極性となるように電圧を印加する場合の方が、より大きなイオン電流が発生可能となることが知られている。これは、体積の大きい陽イオンが中心電極よりも表面積の大きい接地電極から電子の供給を受けることにより、より多くの電子の交換、移動が行われることになるからである。
【0019】
このことから、本発明の内燃機関用点火装置においては、点火プラグの火花放電終了後に点火コイルの残留エネルギにより二次巻線の両端に発生するイオン電流発生用電圧が、点火プラグの中心電極を正極性として印加されるように、点火コイルおよび点火プラグを構成するとよい。これにより、イオン電流の検出精度をさらに向上させることができる。そして、このためには、一次電流の通電遮断時に、点火プラグの中心電極が正極性となる点火用高電圧が印加されるように、点火プラグに接続される点火コイル(具体的には、二次巻線の巻線方向)を調整するとよい。
【0020】
そして、イオン電流に比例する電流を検出する電流検出手段は、例えば、請求項2に記載のように、一端が二次巻線の低圧側に接続されると共に、他端が接地される検出用抵抗からなり、この検出用抵抗の両端電圧によりイオン電流に比例した電流を検出するとよい。
【0021】
このように一端が二次巻線の低圧側に接続されると共に、他端が接地される検出用抵抗には、イオン電流を発生させるためにイオン電流発生用電圧を点火プラグに印加した際に、点火プラグの電極間に流れるイオン電流に比例した両端電圧が発生する。このため、検出用抵抗の両端電圧の変化を測定し、測定した両端電圧値と検出用抵抗の抵抗値とに基づいて検出用抵抗に流れる電流を算出することにより、イオン電流の大きさを検出が可能となる。
【0022】
また、この検出用抵抗は、一端が接地されており、この接地された一端の電位が一定電位(グランド電位(0[V]))に維持されることから、グランド電位を基準電位として二次巻線の低圧側に接続される端部の電位の変動を検出することで、検出用抵抗の両端電圧を良好に検出することができる。
【0023】
よって、本発明(請求項2)の内燃機関用点火装置によれば、点火プラグの電極間に流れるイオン電流の大きさが検出可能となり、この検出用抵抗に基づいて検出したイオン電流に基づいて内燃機関の失火判定やノッキング判定等が可能となる。
【0024】
また、上述(請求項2)の内燃機関用点火装置は、請求項3に記載のように、印加電圧制限手段が、二次巻線の低圧側と検出用抵抗との接続端にアノードが接続される形態で、検出用抵抗に並列に接続されるツェナーダイオードからなるように構成すると良い。
【0025】
つまり、検出用抵抗の両端電圧がツェナーダイオードの降伏電圧以上となる場合に、ツェナーダイオードが電流の通電を行うことで、検出用抵抗への印加電圧を一定値以下に制限して、検出用抵抗の両端電圧が過度に上昇するのを制限するのである。これにより、火花放電時に流れる放電電流(二次電流)は、検出用抵抗を流れることなくツェナーダイオードによりバイパスされることになり、点火プラグにおける火花放電特性、ひいては混合気への着火性能を良好なものとして維持することができる。
【0026】
そして、このツェナーダイオードの降伏電圧(ツェナー電圧)は、検出用抵抗で検出するイオン電流のダイナミックレンジ(例えば、5[V]あるいは8[V]等)程度、すなわち、点火プラグの電極間に流れるイオン電流により発生する検出用抵抗の両端電圧の最大値に応じて設定すると良い。これにより、検出用抵抗を用いたイオン電流の検出を、良好に実現することが可能となる。また、ツェナーダイオードとしては、耐電力が0.1[W]〜1[W]程度の安価なツェナーダイオードを用いればよい。
【0027】
よって、本発明(請求項3)の内燃機関用点火装置によれば、検出用抵抗を保護することができるだけでなく、失火や火花放電が短時間で終了すること等を防止できるため、混合気への着火性能の低下を抑えることができ、また、内燃機関の運転性能の低下を防ぐことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例を図面と共に説明する。
まず、図1は、実施例のイオン電流検出機能を備えた内燃機関用点火装置の構成を表す電気回路図である。なお、本実施例では、1気筒分について説明を行うが、本発明は複数の気筒を備える内燃機関についても適用でき、各気筒毎の内燃機関用点火装置の基本構成は同様である。
【0029】
図1に示すように、本実施例の内燃機関用点火装置1は、定電圧(例えば、電圧12[V])を出力する電源装置(バッテリ)11と、内燃機関の気筒に設けられた点火プラグ13と、一次巻線L1と二次巻線L2とを備えて点火用高電圧を発生する点火コイル15と、一次巻線L1と直列接続されたnpn型パワートランジスタから成るトランジスタ17と、トランジスタ17を駆動制御するための第1指令信号Saを出力する電子制御装置19(以下、ECU19と呼ぶ)と、を備えている。さらに、内燃機関用点火装置1は、アノードが二次巻線L2(二次巻線L2の高圧側33)に接続され、カソードが点火プラグ13の中心電極13aに接続された逆流防止用ダイオード31と、二次巻線L2の低圧側35と電源装置11の負極と同電位のグランドとの間に接続される検出抵抗21と、検出抵抗21に並列接続される印加電圧制限用ツェナーダイオード23と、検出抵抗21の両端電圧Vr(イオン電流に比例する検出電流io×検出抵抗21の抵抗値)に基づき、イオン電流に応じて変動するイオン電流検出信号Siを出力するための検出回路25と、を備えている。
【0030】
これらのうち、トランジスタ17は、点火コイル15の一次巻線L1への通電・遮断を行うために、ECU19からの第1指令信号Saに基づいてスイッチング動作する半導体素子からなるスイッチング素子であり、本実施例の内燃機関に備えられる点火装置はフルトランジスタ型点火装置である。
【0031】
そして、一次巻線L1は、一端が電源装置11の正極に接続され、他端がトランジスタ17のコレクタに接続されており、二次巻線L2は、一端(低圧側35)が検出抵抗21を介して電源装置11の負極と同電位のグランドに接続され、他端(高圧側33)が逆流防止用ダイオード31のアノードに接続されている。
【0032】
また、逆流防止用ダイオード31は、アノードが二次巻線L2に接続され、カソードが点火プラグ13の中心電極13aに接続されており、二次巻線L2から点火プラグ13の中心電極13aに向かう電流の通電を許容し、点火プラグ13の中心電極13aから二次巻線L2に向かう電流の通電を阻止している。
【0033】
さらに、印加電圧制限用ツェナーダイオード23は、アノードが二次巻線L2の低圧側35と検出抵抗21の一端との接続点に接続され、カソードが電源装置11の負極と同電位のグランドに接続されて、検出抵抗21に並列接続されている。
【0034】
また、二次巻線L2の低圧側35と検出抵抗21との接続点は、検出回路25の入力端子に接続されている。
そして、検出回路25は、検出抵抗21の両端電圧Vr(実際には、検出抵抗21と二次巻線L2との接続点の電位)に基づき、点火プラグ13の電極間(中心電極13aと接地電極13bとの間)に発生するイオン電流に応じて変動するイオン電流検出信号Siを出力するように構成されている。なお、検出回路25は、出力するイオン電流検出信号Siの変動範囲が、ECU19に入力可能な範囲を逸脱しないように構成されている。
【0035】
さらに、点火プラグ13において、中心電極13aと対向して火花放電を発生させる火花放電ギャップを形成する接地電極13bは、電源装置11の負極と同電位のグランドに接地されている。また、トランジスタ17は、ベースがECU19の第1指令信号Saの出力端子に接続され、エミッタが電源装置11の負極と同電位のグランドに接地されている。
【0036】
そして、ECU19から出力される第1指令信号Saがローレベル(一般にグランド電位)である場合には、ベース電流ibが流れずトランジスタ17はオフ状態(遮断状態)となり、トランジスタ17によって一次巻線L1に電流(一次電流i1)が流れることはない。また、ECU19から出力される第1指令信号Saがハイレベル(一般に定電圧電源からの供給電圧5[V])である場合には、ベース電流ibが流れてトランジスタ17はオン状態(通電状態)となり、トランジスタ17によって一次巻線L1に電流(一次電流i1)が流れる。
【0037】
このため、第1指令信号Saがハイレベルであり一次巻線L1に一次電流i1が流れている状態で、第1指令信号Saがローレベルになると、トランジスタ17がオフ状態となり、一次巻線L1への一次電流i1の通電が遮断(停止)される。すると、点火コイル15における磁束密度が急激に変化して、二次巻線L2に点火用高電圧が発生し、これが点火プラグ13に印加されることで、点火プラグ13の電極13a−13b間に火花放電が発生する。
【0038】
尚、点火コイル15は、一次巻線L1への通電を遮断(停止)することで、二次巻線L2における点火プラグ13の中心電極13aにグランド電位よりも高い正極性の点火用高電圧を発生するように構成されており、この点火用高電圧の供給により点火プラグの電極13a−13b間に火花放電が発生する。そして、火花放電に伴い二次巻線L2に流れる二次電流i2(火花放電電流i2)は、二次巻線L2から逆流防止用ダイオード31、点火プラグ13の中心電極13a、接地電極13bの順に通過し、さらにグランド、検出抵抗21および印加電圧制限用ツェナーダイオード23を介して二次巻線L2に戻る方向に流れる。
【0039】
このように、点火プラグ13において火花放電を発生させるための点火用高電圧が発生している場合には、印加電圧制限用ツェナーダイオード23に印加される電圧がツェナー電圧よりも高電圧となるため、印加電圧制限用ツェナーダイオード23に放電電流isが流れることになる。つまり、印加電圧制限用ツェナーダイオード23が、検出抵抗21の両端電圧が過度に上昇するのを抑制している。
【0040】
そして、点火プラグ13における火花放電の継続に伴い、点火コイル15に蓄積されたエネルギが消費されていき、このエネルギが火花放電の継続に必要な量を下回ると、点火プラグ13における火花放電が自然終了する。なお、点火プラグ13での火花放電が自然終了した時点では、点火コイル15には残留エネルギが残されており、二次巻線L2の両端には、火花放電の発生には不十分ではあるものの、概略数kVの電圧が発生している。
【0041】
このため、点火プラグ13における火花放電が自然終了した後には、残留エネルギにより二次巻線L2の両端に発生している誘導電圧(イオン電流発生用電圧)が、逆流防止用ダイオード31、点火プラグ13、グランド、検出抵抗21(印加電圧制限用ツェナーダイオード23)の直列回路に印加されることになる。より詳細に説明すると、点火プラグ13における火花放電終了後に残留エネルギにより二次巻線L2の両端に発生する誘導電圧は、点火プラグ13に印加されて、当該点火プラグ13の浮遊容量Cfを含む二次電流の通電経路に存在する浮遊容量に充電される。そして、この充電電荷を用いて点火プラグ13の電極間にイオン電流を発生させるのである。そして、点火プラグ13の電極13a−13b間にイオンが存在している場合には、残留エネルギにより二次巻線L2の両端に発生しているイオン電流発生用電圧により(詳細には、イオン電流発生用電圧の点火プラグへの印加に伴い、点火プラグ13の浮遊容量Cfを含む二次電流の通電経路に存在する浮遊容量にチャージされる充電電荷により)、点火プラグ13の電極13a−13b間にイオン電流が発生する。このようにしてイオン電流が発生すると、点火コイル15の二次巻線L2から逆流防止用ダイオード31、点火プラグ13を通り、グランド、検出抵抗21を通じて二次巻線L2に至る経路にイオン電流に比例した検出電流ioが流れる。
【0042】
ここで、点火プラグ13における火花放電終了後に二次巻線L2の両端に発生する誘導電圧は、上述したように二次電流の通電経路に存在する浮遊容量に充電される訳だが、点火プラグ13の浮遊容量Cfにチャージされた充電電荷については、二次巻線L2の高圧側33と点火プラグ13とを接続する通電経路中に接続される逆流防止用ダイオード31によって二次巻線L2への逆流が防止される。これにより、残留エネルギにより二次巻線L2の両端に発生した誘導電圧により点火プラグ13の浮遊容量Cfにチャージされる充電電荷は、二次巻線L2から点火プラグ13の中心電極13aに向かう電流の通電のみを許容するために設けられる逆流防止用ダイオード31との組み合わせによって、点火プラグ13の電極間にイオン電流を発生させるように有効に利用されるのである。
【0043】
なお、点火プラグ13の電極間にイオン電流が発生した時に、検出抵抗21の両端電圧Vr、つまり印加電圧制限用ツェナーダイオード23への印加電圧が、印加電圧制限用ツェナーダイオード23の降伏電圧(ツェナー電圧)を下回る場合には、印加電圧制限用ツェナーダイオード23に電流は流れない。この場合、イオン電流に比例した検出電流ioは、二次巻線L2から逆流防止用ダイオード31、点火プラグ13、グランド、検出抵抗21を通じて流れることになる。
【0044】
ここで、印加電圧制限用ツェナーダイオード23としては、降伏電圧(ツェナー電圧)が、少なくとも点火コイル15の残留エネルギによるイオン電流発生用電圧の発生時(イオン電流の発生時)に検出抵抗21の両端に発生する両端電圧よりも高く設定されたツェナーダイオードが用いられている。このため、点火コイル15の残留エネルギによるイオン電流発生用電圧の発生時には、印加電圧制限用ツェナーダイオード23には電流は流れず、検出抵抗21を通じて検出電流ioが流れることになる。
【0045】
そして、点火プラグ13の電極13a−13b間にイオン電流が発生すると、検出電流ioの大きさに比例した電圧が検出抵抗21の両端に発生して、検出抵抗21の両端電圧Vrが検出電流io(イオン電流)の大きさに比例して変化することになる。
【0046】
このようにして、検出抵抗21の両端電圧Vrが変化すると、検出回路25は、検出した検出抵抗21の両端電圧Vrに基づきイオン電流検出信号SiをECU19に出力する。なお、検出回路25は、ECU19の入力端子の入力レンジに応じた範囲内で検出抵抗21の両端電圧Vrと同様の変化を示し、かつ検出抵抗21と二次巻線L2との接続点の電位とは正負極性が反転した信号を、イオン電流検出信号Siとして出力する。これにより、検出回路25は、ECU19に対してイオン電流に応じて変動するイオン電流検出信号Siを出力している。
【0047】
ここで、混合気への着火が正常に行われた場合の、図1に示す回路図における第1指令信号Sa、一次巻線L1に流れる一次電流i1、点火プラグ13の中心電極13aの電位Vp、および、検出抵抗21の両端電圧Vr(換言すれば、イオン電流)の各状態を表すタイムチャートを図2に示す。
【0048】
図2に示すように、時刻t1にて、第1指令信号Saがローレベルからハイレベルに切り換わると、点火コイル15の一次巻線L1に電流(一次電流i1)が流れ始める。このとき、一次電流i1の通電開始に伴う磁束密度の変化により、二次巻線L2の両端に電圧が発生するが、この時発生する電圧は、点火プラグ13の中心電極13aが負電位となるように発生する。ここで、一次電流i1の通電開始時に二次巻線L2の両端に発生する電圧により生じる電流は、逆流防止用ダイオード31により通電が阻止されることになり、点火プラグ13の中心電極13aの電位Vpが変化することはなく、点火プラグ13の電極13a−13b間に火花放電が発生することはない。
【0049】
そして、時刻t1からあらゆる内燃機関の運転状態に適応するように予め設定された通電時間(一次電流通電時間)が経過した時刻t2にて、第1指令信号Saがハイレベルからローレベルに切り換わると、点火コイル15の一次巻線L1への一次電流i1の通電が遮断されて、急激に磁束密度が変化することになり、点火コイル15の二次巻線L2に点火用高電圧(数十[kV]以上)が発生する。そして、二次巻線L2の高圧側33から点火プラグ13の中心電極13aに正極性の点火用高電圧が印加されて、中心電極13aの電位Vpが急峻に上昇し、点火プラグ13の電極13a−13b間に火花放電が発生して、二次巻線L2に二次電流i2が流れる。
【0050】
このとき、印加電圧制限用ツェナーダイオード23の両端には、ツェナー電圧よりも高い電圧が印加されることから、印加電圧制限用ツェナーダイオード23がツェナー降伏して電流が流れる。つまり、点火用高電圧により発生する二次電流i2(放電電流is)は、逆流防止用ダイオード31、点火プラグ13、グランド、検出抵抗21および印加電圧制限用ツェナーダイオード23を通じて流れることになる。このため、火花放電発生時における検出抵抗21の両端電圧Vrは、印加電圧制限用ツェナーダイオード23のツェナー電圧に維持されることになり、図2における時刻t2から時刻t3までの期間においては、検出抵抗21の両端電圧Vrは一定値(ツェナー電圧)を示している。
【0051】
このあと、時刻t2から時刻t3にかけて、点火コイル15の磁束エネルギが点火プラグ13における火花放電の継続に伴って消費されていき、点火コイル15の磁束エネルギにより二次巻線L2の両端に発生する電圧が火花放電に必要な電圧よりも小さくなると、火花放電を継続することができなくなり、火花放電が自然終了する。しかしながら、点火プラグ13における火花放電が自然終了した後にも、点火コイル15には残留エネルギが存在するため、二次巻線L2の両端には誘導電圧が継続して発生している。
【0052】
このようにして、火花放電の自然終了後に、残留エネルギにより二次巻線L2の両端に発生する誘導電圧は、イオン電流発生用電圧として、逆流防止用ダイオード31、点火プラグ13、グランドおよび検出抵抗21(印加電圧制限用ツェナーダイオード23)の直列回路に印加される。そして、点火プラグ13の電極13a−13b間にイオンが存在している場合には、電極13a−13b間にイオン電流が発生する。
【0053】
このとき、印加電圧制限用ツェナーダイオード23の両端には、ツェナー電圧よりも低い電圧が印加されることから、印加電圧制限用ツェナーダイオード23には電流は流れない。このため、残留エネルギによる誘導電圧(イオン電流発生用電圧)により発生するイオン電流は、逆流防止用ダイオード31、点火プラグ13、グランドおよび検出抵抗21を通じて流れることになる。
【0054】
なお、イオンは混合気(燃料)の燃焼に伴う電離作用により発生するため、正常燃焼時にはイオンが発生するが、失火時にイオンが発生することはない。
このようにして図2における時刻t3の直後からイオン電流が発生すると、二次巻線L2から逆流防止用ダイオード31、点火プラグ13を通り、グランド、検出抵抗21を通じて二次巻線L2に至る経路にイオン電流に比例した検出電流ioが流れる。この検出電流ioが流れることにより、検出抵抗21の両端に電位差が発生し、検出抵抗21の両端電圧Vrがイオン電流の大きさに応じて変化することになる。
【0055】
このときのイオン電流(検出抵抗21の両端電圧Vr)の変動は、図2における時刻t3から時刻t4までの波形のように、略山形の波形を示すことになる。
なお、図2に示すイオン電流は、正常燃焼時の波形を示しており、時刻t3から時刻t4までの期間においては、イオンの発生量に比例したイオン電流が発生していることが判る。また、検出抵抗21の両端電圧の検出位置が検出抵抗21と二次巻線L2との接続点となっており、この接続点の電位は、グランド電位(0[V])よりも検出抵抗21の両端電圧Vrだけ低電位となることから、図2においては、イオン電流波形が負の値となるほど(図中下になるほど)、イオン電流の電流量が大きくなることを表している。
【0056】
次に、混合気への着火が正常に行われずに失火した場合の、図1に示す回路図における第1指令信号Sa、一次巻線L1に流れる一次電流i1、点火プラグ13の中心電極13aの電位Vp、および、検出抵抗21の両端電圧Vr(換言すれば、イオン電流)の各状態を表すタイムチャートを図3に示す。
【0057】
まず、図3における時刻t11から時刻t13までの各部の状態は、図2に示す時刻t1から時刻t2までの各部の状態とほぼ同様の変化を示している。ただし、時刻t12から時刻t13までの間においては、点火プラグ13の中心電極13aと接地電極13bとの間で火花放電は発生しているものの、混合気への着火が行われていない失火状態となっている。
【0058】
なお、図3に示す波形においては、高回転運転時の失火状態を想定していることから、混合気の乱流によって早期に火花放電が終了して、正常燃焼時よりも火花放電の継続時間が短くなった状態を示している。
そして、時刻t13にて火花放電が終了し、図2の場合と同様に、点火コイル15の残留エネルギによって二次巻線L2の両端に発生する誘導電圧(イオン電流発生用電圧)が点火プラグ13に対して印加される。
【0059】
しかし、混合気への着火が行われずに失火しており、気筒内にはイオンが存在していないため、点火プラグ13の電極13a−13b間にイオン電流が流れることはない。このため、時刻t13以降においては、図3に示すように、検出抵抗21の両端電圧Vr(イオン電流波形)はほとんど変化していない。
【0060】
このことから、点火プラグ13における火花放電終了後に、点火コイル15の残留エネルギにより発生するイオン電流発生用電圧によって、検出抵抗21の両端電圧Vr(イオン電流)が変動する場合には、正常燃焼が行われたと判断することができ、反対に、検出抵抗21の両端電圧Vr(イオン電流)が変動しない場合には、失火したと判断することができる。
【0061】
なお、時刻t13以降は、点火コイル15に存在する残留エネルギにより二次巻線の両端に発生する誘導電圧は、点火プラグ13の浮遊容量Cfに充電されることになるが、失火が生じたことで点火プラグ13の電極13a−13b間にイオンが存在せず、かつ二次巻線L2の高圧側33と点火プラグ13との通電経路中に逆流防止用ダイオード31が設けられていることから、この点火プラグ13の浮遊容量Cfの充電電荷が消費されることなくほぼ一定電荷量に維持されることになる。それにより、時刻t13以降における点火プラグ13の中心電極13aの電位Vpは、概略一定の値の波形を示している。
【0062】
また、失火時での時刻t13以降、点火プラグ13の浮遊容量Cfに充電された充電電圧は、図3での記載範囲外の期間において、点火プラグ13の火花放電で消費されることになる。つまり、気筒内の圧力が低下するほど点火プラグ13における放電電圧が低下するという関係があるため、失火時での時刻t13以降から次の点火時期前までの行程において、ピストンの動作により気筒内容積が増大して圧力が低下すると、浮遊容量Cfの充電電圧により点火プラグ13の電極間に火花放電が発生することになる。なお、このようにして火花放電が発生するのは、次の燃焼サイクルに移行するよりも前の時点である。このことから、本実施例では、一次巻線への通電開始時における点火プラグ13での火花放電による誤着火を抑える目的は常に果たされるものであり、発明の主旨に影響を与えるものではない。
【0063】
ところで、内燃機関の高回転運転時は、燃焼室内の混合気の乱流が強いために火花放電が早期に終了するため、点火コイル15に残る残留エネルギは大きくなる。このように、高回転運転時において失火した場合には、点火コイル15に残る残留エネルギが大きいために、低回転運転時に比べて、残留エネルギにより発生する誘導電圧が高電圧となる。このため、高回転運転時においては、残留エネルギにより誘導される電圧により、点火プラグ13の電極13a−13b間で、再度火花放電が発生する場合がある。
【0064】
このように、失火後に再び点火プラグ13にて火花放電が発生する場合の、図1に示す回路図における第1指令信号Sa、一次巻線L1に流れる一次電流i1、点火プラグ13の中心電極13aの電位Vp、および、検出抵抗21の両端電圧Vr(換言すれば、イオン電流)の各状態を表すタイムチャートを図4に示す。
【0065】
図4においては、時刻t21から時刻t23までは、図3に示す失火時のタイムチャートにおける時刻t11から時刻t13までと同様の波形を示している。
そして、時刻23のあと、時刻t24に達した時点で、点火コイル15に存在する残留エネルギによって発生する誘導電圧により、点火プラグ13の電極13a−13b間の絶縁が破壊されて、再度火花放電が発生することで、中心電極13aの電位Vpがグランド電位とほぼ同電位まで低下する。この時、検出抵抗21の両端電圧Vrが変動して瞬時的に大きい値を示すことになるが、火花放電の再発生によって、点火コイル15における残留エネルギが消費されることになり、その後、検出抵抗21の両端電圧Vrはほとんど変化することはない。
【0066】
このため、混合気への着火が行われずに失火した後、点火コイル15に存在する残留エネルギによって火花放電が再発生した場合でも、検出抵抗21の両端電圧Vrの波形、すなわちイオン電流検出信号Siの波形は失火時とほぼ同様の波形を示すことになり、失火と判定することが可能となる。よって、火花放電が再発生した場合でも、失火検出の検出精度が低下することがない。
【0067】
次に、内燃機関用点火装置1のECU19において実行されるイオン電流検出処理について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。
なお、ECU19は、内燃機関の火花放電発生時期(点火時期)、燃料噴射量、アイドル回転数等を総合的に制御するためのものであり、以下に説明するイオン電流検出処理のほかに、別途、内燃機関の吸入空気量(吸気管圧力),回転速度(エンジン回転数)、スロットル開度、冷却水温、吸気温等、機関各部の運転状態を検出する運転状態検出処理等を実行している。
【0068】
また、図5に示すイオン電流検出処理は、例えば、内燃機関の回転角度(クランク角)を検出するクランク角センサからの信号に基づき、内燃機関が、吸気,圧縮,燃焼,排気を行う1燃焼サイクルに1回の割合で実行されており、さらに、点火制御のための処理も併せて実行している。
【0069】
そして、内燃機関が始動されてイオン電流検出処理が開始されると、まずS110(Sはステップを表す)にて、別途実行される運転状態検出処理にて検出された内燃機関の運転状態を読込み、S120にて、その読み込んだ運転状態に基づき、火花放電発生時期(所謂点火時期)tsおよびイオン電流検出開始時期tiを設定する。
【0070】
なお、S110での処理では、内燃機関のエンジン回転数と、スロットル開度や吸気管負圧(吸入空気量)等を用いて算出されるエンジン負荷とを含む情報を、運転状態として読み込むことが好ましい。
そして、S120での処理では、火花放電発生時期tsについては、エンジン回転数とエンジン負荷とをパラメータとするマップ若しくは計算式を用いて制御基準値を求め、これを冷却水温,吸気温等に基づき補正する、といった従来から知られている手順で設定される。
【0071】
また、イオン電流検出開始時期tiは、火花放電が自然終了する時期に設定されるように、エンジン回転数とエンジン負荷を含む運転状態に基づいて、予め用意されたマップ若しくは計算式を用いて設定される。なお、このとき用いるマップもしくは計算式は、混合気の燃焼が緩慢に進む運転条件下(低回転低負荷時等)にはイオン電流検出開始時期tiが遅い時期に設定されるように、また、混合気の燃焼が急速に進む運転条件下(高回転高負荷時等)にはイオン電流検出開始時期tiが早い時期に設定されるように構成されている。本実施例では、エンジン回転数とエンジン負荷をパラメータとするマップを用いて、最適なイオン電流検出開始時期tiを設定する。
【0072】
次に、S130では、S120にて設定した火花放電発生時期tsに基づき、火花放電発生時期tsに対して、予め設定された一次巻線L1の通電時間だけ早い一次巻線L1の通電開始時期を求め、通電開始時期に達した時点(図2に示す時刻t1)で、第1指令信号Saをローレベルからハイレベルに変化させる。
【0073】
尚、S130の処理により、第1指令信号Saがローレベルからハイレベルに切り換わると、トランジスタ17がオン状態となり、点火コイル15の一次巻線L1に一次電流i1が流れる。また、火花放電発生時期tsまでの一次巻線L1の通電時間は、一次巻線L1への通電によって点火コイル15に蓄積されるエネルギが、内燃機関のあらゆる運転条件下で混合気を燃焼させることができる最大の火花エネルギとなるように、予め設定されている。
【0074】
そして、続くS140では、クランク角センサからの検出信号に基づき、S120で設定した火花放電発生時期tsに達したか否かを判断し、否定判定された場合には、同ステップを繰り返し実行することで、火花放電発生時期tsになるまで待機する。そして、S140にて、火花放電発生時期tsに達したと判断されると(図2に示す時刻t2)、S150に移行する。
【0075】
すると、S150では、第1指令信号Saをハイレベルからローレベルに反転させ、この結果、トランジスタ17がターンオフして一次電流i1が遮断され、点火コイル15の磁束密度が急激に変化して二次巻線L2に点火用高電圧が発生し、点火プラグ13の電極13a−13b間に火花放電が発生する。
【0076】
次のS160では、S120で設定したイオン電流検出開始時期tiに達したか否かを判断し、否定判定された場合には、同ステップを繰り返し実行することで、イオン電流検出開始時期tiになるまで待機する。そして、S160にて、イオン電流検出開始時期tiに達したと判断されると(図2に示す時刻t3)、S170に移行して、S170では、検出回路25から出力されるイオン電流検出信号Siの読み込みを開始する。
【0077】
ここで、イオン電流検出開始時期tiは、S120での処理において、火花放電が自然終了する時期に設定されており、S170に移行した時には、火花放電が自然終了して、点火コイル15に存在する残留エネルギにより二次巻線L2の両端に誘導電圧が発生している。そして、この誘導電圧が、イオン電流発生用電圧として、点火プラグ13の電極13a−13b間に印加されることとなる。
【0078】
そして、点火コイル15の残留エネルギに起因したイオン電流発生用電圧が点火プラグ13の電極13a−13b間に印加される時点で、この電極13a−13b間にイオンが存在する場合には、上記イオン電流発生用電圧によりプラグ13の浮遊容量Cfを含む二次電流の通電経路に存在する浮遊容量にチャージされる電荷によってイオン電流に比例する検出電流ioが発生して、検出抵抗21の両端にイオン電流の大きさに比例する電圧が発生する。これにより、検出抵抗21と二次巻線L2との接続点の電位が、検出抵抗21の両端電圧Vrに応じて変化することになり、S170の処理が開始された後は、ECU19の内部では、検出抵抗21の両端電圧Vrの変化に応じて検出回路25から出力されるイオン電流検出信号Siを読み込む処理が継続して行われる。
【0079】
続いて、S180では、S160にて肯定判定された後、イオン電流検出信号Siを読み込むための時間として予めECU19に設定してある検出信号読込時間を経過したか否かを判断し、否定判定された場合には、同ステップを繰り返し実行することで待機する。そして、S180にて、検出信号読込時間が経過したと判断されると(図2に示す時刻t4、図3に示す時刻t14)、S190に移行する。本実施例では、検出信号読込時間は、内燃機関の運転状態に関わらず、予め設定された固定値としているが、運転状態に合わせて適切な値を設定してもよい。
【0080】
そして、S190では、S170で開始したイオン電流検出信号Siの読み込み処理を停止する。S190における処理が終了すると、本イオン電流検出処理が終了する。
なお、ECU19では、点火プラグ13の電極13a−13b間に発生するイオン電流に比例する検出電流ioに基づいて、内燃機関の失火の有無を判定する失火判定処理を別途実行している。つまり、この失火判定処理では、図2における時刻t3から時刻t4までの期間において、検出回路25から出力されるイオン電流検出信号Siに基づき失火判定を行っている。
【0081】
そして、失火判定処理では、時刻t3の直後のピーク値を除くイオン電流検出信号Siのピーク値と、失火判定のために予め定められた判定基準値とを比較し、ピーク値が判定基準値を下回る場合に失火と判定している。また、この他の失火判定方法としては、時刻t3から時刻t4までの期間中における時刻t3の直後のピーク値を除くイオン電流検出信号Siの積分値を算出し、この積分値と失火判定のために予め定められた判定基準値とを比較し、積分値が判定基準値を下回る場合に失火と判定してもよい。なお、失火の判定を行うために用いられる上記それぞれの判定基準値は、予め設定された固定値に限定されることはなく、内燃機関の運転状態(例えば、エンジン回転数とエンジン負荷とを含む情報)に基づき、エンジン回転数とエンジン負荷とをパラメータとするマップ若しくは計算式を用いて設定するようにしてもよい。
【0082】
以上説明したように、実施例の内燃機関用点火装置1においては、二次電流i2の通電経路である点火コイル15の二次巻線L2と点火プラグ13の中心電極13aとの間に、逆流防止用ダイオード31を備えることにより、二次電流i2の通電経路において通電可能な電流方向を一方向に制限している。そして、逆流防止用ダイオード31が、一次巻線L1への通電開始時に二次巻線L2の両端に発生する高電圧による二次電流i2の通電を阻止する。このため、ECU19の指令によるトランジスタ17のスイッチング動作により一次巻線L1への通電を開始した時に、点火プラグ13の電極間(中心電極13aと接地電極13bとの間)に火花放電が発生することがない。
【0083】
また、本内燃機関用点火装置においては、火花放電終了後の点火コイル15における残留エネルギによって発生する誘導電圧(イオン電流発生用電圧)を印加することにより、点火プラグ13の電極13a−13b間にイオン電流を発生させている。つまり、点火コイル15(二次巻線L2)は、点火プラグ13の電極間に火花放電を発生させるための点火用高電圧を発生する電源装置として動作すると共に、点火プラグ13の電極間にイオン電流を発生するための電流源としても動作している。
【0084】
ここで、火花放電が終了した際に点火コイル15に残る残留エネルギは、火花放電を継続させるには不十分ではあるが、イオン電流を発生させるためには十分な量である。つまり、火花放電終了後の点火コイル15の残留エネルギにより二次巻線の両端に発生する誘導電圧(イオン電流発生用電圧)は、約1〜5[kV]となり、従来のイオン電流発生用のコンデンサが発生する電圧(100〜300[V])よりも高い電圧を点火プラグ13の電極間に印加することができる。これにより、従来よりも大きいイオン電流を発生でき、イオン電流の検出精度を向上させることができる。
【0085】
そして、検出抵抗21は、イオン電流発生用電圧を点火プラグ13の電極間に印加する時には、点火プラグ13および点火コイル15の二次巻線L2と共に閉ループを形成することになり、点火プラグ13の電極間に発生するイオン電流に比例した検出電流ioを検出することができる。なお、ECU19では、イオン電流検出信号Siに基づき検出抵抗21の両端電圧を算出し、算出した両端電圧値を検出抵抗21の抵抗値で除算することにより、イオン電流の電流値を算出している。
【0086】
また、本実施例の内燃機関用点火装置1においては、一次電流i1の通電遮断時に、点火プラグ13の中心電極13aが正電位となる点火用高電圧が印加されるように、点火プラグ13と点火コイル15(二次巻線L2)とが接続されている。このため、点火コイル15の残留エネルギにより発生する誘導電圧が、点火プラグ13の中心電極13aを正電位として電極13aー13b間に印加されることから、イオン電流の検出精度をさらに向上させることができる。
【0087】
ここで、本実施例の内燃機関用点火装置を用いて、正常燃焼時と失火時とのそれぞれにおいて測定したイオン電流の測定結果を図6に示す。なお、図6(a)が正常燃焼時(着火時)の測定結果であり、図6(b)が失火時の測定結果である。
【0088】
そして、本測定は、ガスエンジンを用いており、空燃比などを調整することにより、正常燃焼となる運転条件に設定した場合と、失火が発生する運転条件に設定した場合のそれぞれにおいて、イオン電流を検出するという手順で行った。なお、失火時の測定については、燃料供給を行わないことで模擬的に失火状態を作り、測定を行った。また、本測定では、検出抵抗として抵抗値が100[kΩ]の抵抗素子を用いて測定を行った。
【0089】
まず、図6(a)に示す測定結果においては、時刻t31が火花放電発生時期(点火時期)であり、時刻t32が火花放電の終了時期である。そして、イオン電流波形は、時刻t31の約0.5[mS]前から時刻t32にかけて大きな変動を示しているが、これは、火花放電により流れる放電電流によって生じており、イオン電流による変動ではない。そして、イオン電流波形は、時刻t32から約1.1[mS]経過した時刻t33でピーク値(約0.7[V])となることを示している。そして、ピーク値を示した後、徐々に電流値が減少していき、時刻t34の時点では、イオン電流が流れていない。
【0090】
次に、図6(b)に示す測定結果においては、時刻t51が火花放電発生時期(点火時期)であり、時刻t52が火花放電の終了時期である。そして、イオン電流波形は、時刻t51の約0.5[mS]前から時刻t52の約0.2[mS]後にかけて大きな変動を示しているが、これは、火花放電により流れる放電電流によって生じており、イオン電流による変動ではない。そして、イオン電流波形は、時刻t52の約0.2[mS]後以降は、ほぼ一定の値となり変化しておらず、イオン電流が流れていない(イオン電流の検出期間において約0.2[V]を示している)ことを示している。
【0091】
なお、点火プラグの中心電極の電位については、時刻t52から約3.0[mS]が経過した時刻t53の電位が、時刻t51よりも前の電位よりも高電位となっており、点火コイルに残留エネルギが依然残っていることを示している。これは、上述したように点火コイルの残留エネルギによりチャージされた点火プラグの浮遊容量の充電電荷が、点火プラグの電極間にイオンが発生しておらず、かつ逆流防止用ダイオードが設けられていることにより、イオン電流の検出などのために消費されていないことに起因している。
【0092】
そして、正常燃焼時(図6(a))と失火時(図6(b))のそれぞれの測定結果を比較すると、火花放電の終了時期(時刻t32、時刻t52)を経過した後におけるイオン電流波形が、それぞれ異なる波形であることが判る。つまり、正常燃焼時(図6(a))には、イオン電流波形が、火花放電の終了時期を経過した後に時刻t33でピーク値となる略山形の波形を示すのに対して、失火時(図6(b))には、イオン電流波形が、火花放電の終了時期を経過した後にほとんど変化しない波形を示すことが判る。
【0093】
よって、図6に示す測定結果から、本内燃機関用点火装置を用いることで、イオン電流を検出できることが判り、また、イオン電流の検出結果から失火検知が可能であることが判る。例えば、失火を判定するための判定基準値を0.4[V]に予め設定しておき、イオン電流波形のピーク値がこの判定基準値を上回るか否かを判定することで、失火検知を行うことができる。
【0094】
なお、上記実施例においては、トランジスタ17が特許請求の範囲におけるスイッチング手段に相当し、検出抵抗21が電流検出手段に相当し、印加電圧制限用ツェナーダイオード23が印加電圧制限手段に相当している。
ここで、本発明の内燃機関用点火装置は、点火コイルの残留エネルギにより二次巻線の両端に発生する誘導電圧を、イオン電流発生源として利用するよう構成されている。つまり、この内燃機関用点火装置は、上記誘導電圧によって、点火プラグの浮遊容量を含む二次電流の通電経路に存在する浮遊容量に充電電荷を蓄積し、この蓄積した充電電荷を利用することで、点火プラグの電極間にイオン電流を発生させるよう構成されている。
【0095】
なお、イオン電流の大きさは、内燃機関の運転状態(換言すれば、点火コイルの残留エネルギにより発生する誘導電圧)や二次電流の通電経路に存在する浮遊容量の大きさによって変動することから、誘導電圧が低く、浮遊容量が小さい場合には、イオン電流が小さくなり、イオン電流が検出できない可能性がある。
【0096】
そこで、イオン電流が最も小さくなると考えられる条件(誘導電圧が1[kV]、点火プラグの浮遊容量が10[pF]である場合)において、図1に示す内燃機関用点火装置1を用いつつ、図6に示す実施例と同様の100[kΩ]の検出抵抗を用いて検出される検出電圧を試算する。なお、上記誘導電圧として考えられ得る最低値を1[kV]とし、また、二次電流の通電経路に存在する浮遊容量の最低限の要素として点火プラグの浮遊容量のみを想定して、その点火プラグの浮遊容量として考えられ得る最低値を10[pF]として、これらの数値を上記条件に用いた。また、イオン電流検出時間は、図6に示す実施例のイオン電流検出時間(2[ms])と同等の値とした。
【0097】
ここで、浮遊容量に蓄積される電荷Qは、[数1]に示すように、電流値Iの時間積分として「Q=∫Idt」で表すことができ、また、電流値Iが一定値で通電時間がtである場合には「Q=I・t」で表すことができる。さらに、浮遊容量に蓄積される電荷Qは、点火プラグの浮遊容量の値をCとし、点火コイルの残留エネルギにより二次巻線の両端に発生する誘導電圧をVとすると、[数2]に示すように表すことができる。
【0098】
【数1】
【0099】
【数2】
【0100】
これらの式([数1]および[数2])を用いて、電流値Iを表すと、[数3]に示すように表すことができる。
【0101】
【数3】
【0102】
そして、上記の条件(誘導電圧が1[kV]、点火プラグの浮遊容量の浮遊容量が10[pF]、イオン電流検出時間が2[ms])を[数3]に代入すると、電流値I=(10[pF]×1[kV])/2[ms]により、電流値Iは5.0[μA]となる。そして、100[kΩ]の検出抵抗の両端電圧Vは、V=5.0[μA]×100[kΩ]=0.5[V]となる。なお、ここで算出した検出抵抗の両端電圧は、電流値が一定と仮定して算出していることから、実際のイオン電流波形におけるピーク値は、0.5[V]よりも大きい値を示すと考えられる。この結果から、イオン電流が最も小さくなると考えられる条件において検出抵抗で検出される電圧値は、図6に示す失火時の検出抵抗の電圧値(約0.2[V])と識別可能な差を有することが判る。
【0103】
よって、本発明の内燃機関用点火装置においては、失火を判定するための判定基準値に適切な値(例えば、0.4[V])を設定することで、イオン電流が最も小さくなると考えられる条件においても、正常燃焼であるか失火であるかを判定することができる。
【0104】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、イオン電流検出処理におけるイオン電流検出開始時期tiは、イオン電流の発生時期を含むように設定すればよいことから、火花放電が自然終了する時期よりも早い時期に設定しても良い。また、イオン電流検出開始時期については、運転状態に応じて設定される変動期間ではなく、予め定められた固定期間としても良い。
【0105】
また、イオン電流を用いて検出可能な燃焼状態としては、失火に限らず、例えばノッキング等が挙げられる。このノッキングを検出するにあたっても、点火プラグの電極間に流れるイオン電流を検出し、検出したイオン電流波形を公知の手法を用いて解析することでノッキング判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の内燃機関用点火装置の構成を表す電気回路図である。
【図2】 混合気への着火が正常に行われた場合の内燃機関用点火装置における各部の状態を表すタイムチャートである。
【図3】 混合気への着火が正常に行われずに失火した場合の内燃機関用点火装置における各部の状態を表すタイムチャートである。
【図4】 失火後に再び火花放電が発生する場合の内燃機関用点火装置における各部の状態を表すタイムチャートである。
【図5】 内燃機関用点火装置の電子制御装置(ECU)において実行されるイオン電流検出処理の処理内容を表すフローチャートである。
【図6】 実施例の内燃機関用点火装置を用いて、正常燃焼時と失火時とのそれぞれにおいて測定したイオン電流の測定結果であり、(a)が正常燃焼時の測定結果であり、(b)が失火時の測定結果である。
【符号の説明】
1…内燃機関用点火装置、11…電源装置、13…点火プラグ、13a…中心電極、13b…接地電極、15…点火コイル、17…トランジスタ、19…電子制御装置(ECU)、21…検出抵抗、23…印加電圧制限用ツェナーダイオード、25…検出回路、31…逆流防止用ダイオード、L1…一次巻線、L2…二次巻線。
Claims (3)
- 一次巻線および二次巻線を有し、前記一次巻線に流れる一次電流を遮断することで前記二次巻線に点火用高電圧を発生する点火コイルと、
該点火コイルの前記一次巻線に流れる前記一次電流の通電・遮断を行うスイッチング手段と、
前記二次巻線に直列接続されて閉ループを形成すると共に、前記点火用高電圧が印加されて二次電流が流れることにより自身の電極間に火花放電を発生する点火プラグと、を備えた内燃機関用点火装置であって、
前記点火コイルの前記二次巻線の高圧側と前記点火プラグとを接続する通電経路中に接続され、前記一次巻線への通電遮断時に前記二次巻線に発生する電流の通電を許容し、前記一次巻線への通電開始時に前記二次巻線に発生する電流の通電を阻止する逆流防止用ダイオードと、
前記二次電流の通電経路において、前記二次巻線および前記点火プラグに直列接続されて、前記点火プラグの電極間にイオン電流が流れる際に、該イオン電流に比例した電流を検出するための電流検出手段と、
前記点火用高電圧の発生時に前記電流検出手段に印加される電圧を一定値以下に制限する印加電圧制限手段と、を備え、
前記点火プラグでの火花放電終了後に前記点火コイルに残る残留エネルギによって前記二次巻線の両端にイオン電流発生用電圧を発生させ、該イオン電流発生用電圧を前記点火プラグに印加することで発生するイオン電流を前記電流検出手段で検出し、
前記点火プラグの電極間における前記イオン電流の通電方向は、前記火花放電時の二次電流の通電方向と同じであること、
を特徴とする内燃機関用点火装置。 - 前記電流検出手段は、一端が前記二次巻線の低圧側に接続されると共に、他端が接地される検出用抵抗からなり、該検出用抵抗の両端電圧によりイオン電流に比例した電流を検出すること、
を特徴とする請求項1に記載の内燃機関用点火装置。 - 前記印加電圧制限手段は、前記二次巻線の低圧側と前記検出用抵抗との接続端にアノードが接続される形態で、前記検出用抵抗に並列に接続されるツェナーダイオードからなること、
を特徴とする請求項2に記載の内燃機関用点火装置。
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