JP2009221561A - 高Mn極低炭素鋼の溶製方法 - Google Patents

高Mn極低炭素鋼の溶製方法 Download PDF

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【課題】 Mn鉱石をMn源として使用して、転炉と真空脱ガス設備とを組み合わせて高Mn極低炭素鋼を溶製するにあたり、複数回のAlの成分調整を必要とせずに、1回のAl脱酸処理のみで溶鋼中Al含有量を調整する。
【解決手段】 転炉から出鋼後の溶鋼を真空脱ガス設備にて真空脱炭精錬及びAl脱酸処理して、Mn量が0.4〜2.0質量%以下の高Mn極低炭素鋼を溶製するに際し、転炉ではMn源としてMn鉱石を投入して脱炭精錬し、真空脱炭精錬後のAl脱酸処理では、下記の(1)式で算出される投入量と一致する量のAl系脱酸剤を添加する。尚、(1)式において、WAL:溶鋼トンあたりの脱酸剤投入量、A:溶鋼トンあたりのAl目標値、[O]:溶鋼中酸素濃度、ΔMn:出鋼直後から真空脱炭精錬後の溶鋼中Mn濃度変化(質量%)、B:脱酸剤のAl純分、α、β、γ:定数である。 WAL=(A+α×[O]+β+γ×ΔMn)/B…(1)
【選択図】 図1

Description

本発明は、炭素含有量が0.005質量%以下、Mn含有量が0.4質量%以上、2.0質量%以下の高Mn極低炭素鋼の溶製方法に関し、詳しくは、真空脱炭精錬後に行うAl脱酸処理方法を改善した、高Mn極低炭素鋼の溶製方法に関するものである。
近年、自動車外装用鋼板、缶用鋼板、家庭電化製品用鋼板など、多くの用途に使用されている薄鋼板は、その加工性向上の容易さから、炭素含有量が0.01〜0.1質量%の低炭素鋼から、真空脱炭精錬でなければ到達できない、炭素含有量が0.005質量%以下の極低炭素鋼に転換されつつあり、薄鋼板に占める極低炭素鋼の比率は拡大の一途である。尚、真空脱炭精錬とは、雰囲気圧力が大気圧よりも低い状態で行われる脱炭精錬である。
この極低炭素鋼は、転炉などを用いて経済的に許容し得る限界まで大気圧下で脱炭精錬して溶銑から溶鋼を得て、その後、得られた溶鋼を、真空脱ガス設備を用いて減圧下で鋼中酸素または添加酸素源との反応によって目的の濃度まで真空脱炭精錬し、この真空脱炭精錬後に引き続き、金属Alなどの脱酸剤を添加して脱酸処理するとともに成分調整・介在物低減処理を施して溶製されている(例えば特許文献1を参照)。
この溶製工程において、転炉では、一般的に炭素濃度が0.03〜0.06質量%程度まで脱炭するが、この程度まで脱炭すると炭素以外にも鉄が酸化され、転炉終点時のスラグ中のFeO濃度が高くなる。また、溶銑中のMnも酸化され、前記スラグ中のMnO濃度が高くなる。このスラグの一部は、出鋼時に溶鋼に混入して溶鋼とともに取鍋に流出する。この状態において真空脱ガス設備で真空脱炭精錬した後にAlによる脱酸処理を行うと、脱酸処理後にもスラグ中のFeO及びMnOが溶鋼中のAlと反応して、溶鋼中のAl濃度が減少し、最終的にはAl含有量が成分規格範囲を外れたり、複数回のAlの成分調整が必要となって生産性が低下したりするという問題が発生する。特に、Mn含有量が高くなると、真空脱炭精錬中にもMnOが生成し、スラグ中のMnOが多くなり、前記問題が顕在化する。尚、生成したAl23によって鋼の清浄性が低下するという問題も発生するが、本発明ではこの問題は対象としない。
ところで、このような、MnOによる悪影響を抑制した極低炭素鋼の溶製方法が幾つか提案されている。例えば特許文献2には、転炉から取鍋への出鋼中にFe−Mnなどの合金鉄を添加せずに取鍋に出鋼し、真空脱ガス設備において、酸素ガスを吹き込んで真空脱炭精錬を行い、溶鋼中炭素濃度が0.005質量%以下に到達した時点でAlを添加して脱酸し、その後、電解金属Mn(JIS:「MMnE」)を添加してMn濃度の調整を行うことを特徴とする、極低炭素鋼の溶製方法が提案されている。また、特許文献3には、転炉出鋼後の溶鋼を真空脱ガス設備で真空脱炭精錬して、Mnを0.3〜3質量%含有する極低炭素鋼を溶製するに際し、前記真空脱炭精錬前の溶鋼中Mn濃度を0.3質量%以下に抑えて真空脱炭精錬し次いで脱酸処理を行い、該脱酸処理の後に、真空脱ガス槽内に電解金属Mnを添加して溶鋼中Mn濃度を所望値に調整することを特徴とする、含Mn極低炭素鋼の製造方法が提案されている。
特許文献2及び特許文献3のように、真空脱炭精錬時の溶鋼中Mn濃度を低位に維持すれば、スラグ中のMnOは少なく、Alによる脱酸処理は容易になる。しかしながら、特許文献2及び特許文献3で真空脱炭精錬後にMn調整のために使用する電解金属Mnは極めて高価であり、製造コストの上昇を招き、好ましい操業形態とは言い難い。
安価なMn源としては、Mn鉱石が知られており、Mnを含有する極低炭素鋼を溶製する場合も、省資源及び省エネルギーの観点から、Mn源としてMn鉱石を使用することが望まれている。尚、Mn鉱石は、溶銑を転炉にて脱炭精錬する際に転炉に装入され、溶銑中の炭素によって還元され、還元されたMnが溶鋼中に移行することで、Mn源として機能する。溶鋼中に移行したMnの一部は、転炉での脱炭精錬中に酸化されてスラグに移行するが、この歩留りを考慮しても電解金属Mnよりも遥かに安価である。
特開2002−69527号公報 特開平8−291319号公報 特開2003−253324号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高価な電解金属Mnの使用量を削減するべく、Mn鉱石をMn源の一部として使用して、転炉における大気圧下での脱炭精錬と、真空脱ガス設備における減圧下での真空脱炭精錬とを組み合わせて、炭素含有量が0.005質量%以下、Mn含有量が0.4質量%以上、2.0質量%以下である高Mn極低炭素鋼を溶製するにあたり、1回のAl脱酸処理のみで溶鋼中のAl含有量が規格内に調整でき、複数回のAlの成分調整を必要とせず、真空脱ガス設備の生産性を低下させることなく、溶鋼中のAl成分を調整することのできる、高Mn極低炭素鋼の溶製方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明に係る高Mn極低炭素鋼の溶製方法は、転炉にて溶銑に対して大気圧下での脱炭精錬を行って溶鋼を得て、次いで、転炉から出鋼後の溶鋼を真空脱ガス設備にて真空脱炭精錬及びAl脱酸処理して、炭素含有量が0.005質量%以下、Mn含有量が0.4質量%以上、2.0質量%以下の高Mn極低炭素鋼を溶製するに際し、前記転炉ではMn源としてMn鉱石を投入して脱炭精錬し、前記真空脱炭精錬後のAl脱酸処理では、下記の(1)式で算出されるAl系脱酸剤投入量のAl系脱酸剤を添加することを特徴とするものである。
AL=(A+α×[O]+β+γ×ΔMn)/B …(1)
但し、(1)式において、WAL:溶鋼トンあたりのAl系脱酸剤投入量(kg/t)、A:溶鋼トンあたりのAl含有量目標値(kg/t)、[O]:Al脱酸前の溶鋼中酸素濃度(ppm)、ΔMn:出鋼直後の溶鋼中Mn濃度と真空脱炭精錬終了時の溶鋼中Mn濃度との差(質量%)、B:Al系脱酸剤のAl純分(−)、α:定数(0.001≦α≦0.002)、β:定数(0.3≦β≦0.5)、γ:定数(1.0≦γ≦1.5)である。
本発明によれば、転炉から取鍋への出鋼後から、真空脱ガス設備での真空脱炭精錬までの期間における溶鋼中のMnの酸化分に応じて、真空脱炭精錬後のAl脱酸処理時でのAl系脱酸剤の投入量を設定するので、Al系脱酸剤は過不足なく投入され、1回のAl脱酸処理のみで溶鋼中のAl含有量が規格内に調整でき、複数回のAlの成分調整を必要とせず、真空脱ガス設備の生産性を低下させることなく、溶鋼中のAl成分を調整することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本発明に至った経緯について説明する。
本発明者等は、炭素含有量が0.005質量%以下、Mn含有量が0.4質量%以上、2.0質量%以下の高Mn極低炭素鋼の溶製工程で溶鋼中のMn調整用に使用する電解金属Mn(MMnE)の使用量を削減することを目的として種々検討した結果、最も効果的なことは、転炉脱炭精錬において安価なMn源であるMn鉱石を可能な限り多く配合し、このMn鉱石を転炉脱炭精錬時に溶鋼中の炭素で還元して、溶鋼中のMn濃度を転炉脱炭精錬の段階で高く確保しておくことであることが分かった。
これは以下の理由による。即ち、Mn鉱石は還元されて生成したMnは溶鋼中に移行し、この溶鋼中Mnは、転炉脱炭精錬及び真空脱ガス設備での真空脱炭精錬において酸化してスラグに移行するが、溶鋼中のMnが全て酸化ロスするわけではなく、酸化ロスする分は一部分にとどまる。Mn鉱石によってもたらされた溶鋼中Mnの一部分が酸化ロスしても、Mn鉱石はMn源として極めて安価であり、酸化ロスしたとしても多量に添加しておくことにより残留分もそれに応じて増加するので、それなりに電解金属Mnの使用量が削減される。電解金属Mnの使用量の削減によるコストメリットが多大であることから、全体として製造コストが削減されるからである。
但し、上記溶製工程においては、取鍋に収容された未脱酸状態の溶鋼を転炉から真空脱ガス設備に搬送し、そして、真空脱ガス設備では酸化精錬である真空脱炭精錬を実施するので、この期間、溶鋼中のMnが酸化されてスラグ中のMnOが増加する。そのために、真空脱ガス設備での真空脱炭精錬の後に実施するAl脱酸処理では、スラグ中のMnOと溶鋼中のAlとの反応に起因して、溶鋼中のAl含有量がばらつき、溶鋼のAl成分調整のためにAl脱酸処理後に再度のAl添加が必要になる場合が多発した。つまり、再度のAl調整のために、真空脱ガス設備における処理時間が長くなり、生産性が低下するという問題が発生した。
そこで、溶鋼中のMn濃度を変化させ、Al脱酸時に添加したAl分のうちで、溶鋼中のAlとはならずに酸化されてロスとなるAlロス分に及ぼす溶鋼中のMn濃度の影響を調査した。尚、Alロス分となるものは、溶鋼中の酸素を脱酸するために費やされるAl分、スラグ中のFeOやMnOなどを還元するために費やされるAl分、雰囲気中の酸素ガスによって酸化されるAl分などである。
調査結果を図1に示す。尚、図1に示すMn濃度とは、出鋼直後の取鍋内溶鋼のMn濃度であり、Alロス分は溶鋼1トンあたりの質量(単位:kg)で表示している。図1に示すように、Al脱酸前の溶鋼中酸素濃度に比例してAlロス分が上昇することが分かるが、●印のMn濃度範囲(0.05〜0.12質量%)と、○印のMn濃度範囲(0.26〜0.35質量%)とでは、Alロス分のレベルが異なることが分かった。つまり、溶鋼中のMn濃度が高くなるほど、Alロス分が増加することが確認できた。
この結果に基づき、更に詳細にAlロス分を調査した結果、出鋼直後の取鍋内溶鋼のMn濃度と、真空脱炭精錬終了時の溶鋼中Mn濃度との差分に比例して、Alロス分が増大することが分かった。即ち、取鍋内で生成するMnOに比例して、Alロス分が増加することが確認できた。
本発明は、この調査結果に基づきなされたもので、本発明に係る高Mn極低炭素鋼の溶製方法は、転炉にて溶銑に対して大気圧下での脱炭精錬を行って溶鋼を得て、次いで、転炉から出鋼後の溶鋼を真空脱ガス設備にて真空脱炭精錬及びAl脱酸処理して、炭素含有量が0.005質量%以下、Mn含有量が0.4質量%以上、2.0質量%以下の高Mn極低炭素鋼を溶製するに際し、前記転炉ではMn源としてMn鉱石を投入して脱炭精錬し、前記真空脱炭精錬後のAl脱酸処理では、下記の(1)式で算出されるAl系脱酸剤投入量のAl系脱酸剤を添加することを特徴とする。
AL=(A+α×[O]+β+γ×ΔMn)/B …(1)
但し、(1)式において、WAL:溶鋼トンあたりのAl系脱酸剤投入量(kg/t)、A:溶鋼トンあたりのAl含有量目標値(kg/t)、[O]:Al脱酸前の溶鋼中酸素濃度(ppm)、ΔMn:出鋼直後の溶鋼中Mn濃度と真空脱炭精錬終了時の溶鋼中Mn濃度との差(質量%)、B:Al系脱酸剤のAl純分(−)、α:定数(0.001≦α≦0.002)、β:定数(0.3≦β≦0.5)、γ:定数(1.0≦γ≦1.5)である。ここで、定数βは、主にスラグ中のFeOを還元するために費やされるAl分であり、図1においては、Al脱酸前の溶鋼中酸素濃度がゼロの場合のAlロス分に相当し、また、定数α及び定数γは、図1などの調査結果に基づくものである。Al純分(B)は、例えばAl含有量が60質量%の場合には、B=0.6とする。
次ぎに、上記構成の本発明に係る高Mn極低炭素鋼の溶製方法を説明する。
高炉から出銑された溶銑を溶銑鍋やトーピードカーなどの溶銑保持・搬送用容器で受銑する。この溶銑を転炉で脱炭精錬する前に、溶銑に対して脱珪処理または脱燐処理を実施する。本発明では、転炉での脱炭精錬時に炉内にMn鉱石を装入し、この転炉脱炭精錬において溶銑中の炭素でMn鉱石を還元する。このMn鉱石を転炉脱炭精錬にて効率良く還元するためには、転炉内のスラグ量を少なくする必要があり、脱珪処理または脱燐処理を施すことによって溶銑中の珪素(Si)が減少するので、転炉脱炭精錬におけるSiO2の生成量が少なくなり、転炉内のスラグ量が減少するからである。尚、脱珪処理とは、脱燐反応を促進させるために脱燐反応を阻害する珪素を予め除去するための精錬である。
溶銑段階での脱硫処理は、溶製する鋼種の硫黄規格値に応じて実施すればよい。つまり、硫黄規格値が0.010質量%以下の低硫鋼の場合には、CaO系脱硫剤などを用いて予備脱硫処理を実施する。
脱珪処理または脱燐処理が施され、必要に応じて脱硫処理が施された溶銑を転炉に装入して、酸素ガスを上吹きまたは底吹きして溶銑の脱炭精錬を実施する。この脱炭精錬では、生成するスラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が2〜5の範囲内になるように生石灰やドロマイトなどを媒溶剤として転炉内に装入するとともに、Mn鉱石を連続的または断続的に転炉内に装入して、脱炭精錬を実施する。
転炉脱炭精錬の終点時期は、脱炭精錬によって生成した溶鋼の炭素濃度が0.04〜0.06質量%となった時点とすることが好ましい。溶鋼の炭素濃度を下げすぎると、溶鋼及び炉内スラグの酸素ポテンシャルが高くなり、溶鋼に還元されたMnが酸化してスラグに移行してしまうが、溶鋼の炭素濃度が0.04質量%以上であれば、スラグへのMnの移行を防止することができる。一方、溶鋼の炭素濃度が高すぎると、次工程の真空脱ガス設備における真空脱炭精錬の処理時間が長くなり、生産性が低下する。溶鋼の炭素濃度が0.06質量%以下であれば、真空脱炭精錬の処理時間を、連続鋳造工程を阻害しない所定時間内に処理することがでる。
この溶鋼を転炉から取鍋に出鋼し、次いで、溶鋼を収容した取鍋をRH真空脱ガス装置などの真空脱ガス設備に搬送する。出鋼直後、取鍋内の溶鋼から分析用試料を採取して、溶鋼中のMn濃度を把握する。
真空脱ガス設備では、真空脱炭精錬を実施するので、出鋼時、Al、Ti、Siなどの強脱酸元素による脱酸処理は実施せず、未脱酸のまま搬送する。また、出鋼時、炉内スラグの一部が溶鋼に巻き込まれて転炉から取鍋内に流出し、取鍋内の溶鋼上に滞留する。取鍋内に滞留するスラグは、次工程の真空脱ガス設備における脱酸処理後に溶鋼中のAlなどの脱酸剤と反応して溶鋼の清浄性を損なうこともあるので、スラグ中に金属Alなどのスラグ改質剤を取鍋上方から添加してスラグを脱酸してもよい。
真空脱ガス設備においては、先ず、減圧下での真空脱炭精錬を実施する。この真空脱炭精錬は、溶鋼中の溶在酸素を利用する方法や、真空脱ガス設備の真空槽内の溶鋼に酸素ガスや酸化鉄を供給する方法などの従来行われている方法を用いて実施する。この真空脱炭精錬の末期、溶鋼中の炭素濃度が目標値以下まで脱炭された時点で、溶鋼から分析用試料を採取して、真空脱炭精錬終了時の溶鋼中のMn濃度及び酸素濃度を把握する。
そして、前記(1)式を用いてAl系脱酸剤投入量(WAL)を求め、求めたAl系脱酸剤投入量(WAL)と同量の、金属AlやFe−Al合金などのAl系脱酸剤を添加して、溶鋼を脱酸処理する。溶鋼を脱酸処理することによって真空脱炭精錬は自ずと終了するが、酸素ガスなどの酸素源を供給していた場合には、Al脱酸処理の前に、酸素源の供給を中止する。Al脱酸処理後、更に真空脱ガス設備で真空脱ガス精錬を施し、必要に応じて、Mn、Si、Ti、Nb、Vなどの成分調整を実施する。Mnの成分調整には主として電解金属Mnを使用する。成分調整が終了したなら、溶鋼を収容した取鍋を連続鋳造工程に搬送し、連続鋳造によって溶鋼から鋳片を製造する。
以上説明したように、本発明によれば、転炉から取鍋への出鋼後から、真空脱ガス設備での真空脱炭精錬までの期間における溶鋼中のMnの酸化分に応じて、真空脱炭精錬後のAl脱酸処理時でのAl系脱酸剤の投入量を設定するので、Al系脱酸剤は過不足なく投入され、1回のAl脱酸処理のみで溶鋼中のAl含有量が規格内に調整でき、複数回のAlの成分調整を必要とせず、真空脱ガス設備の生産性を低下させることなく、溶鋼中のAl成分を調整することが可能となる。また、Mn源としてMn鉱石を使用するので、高価な電解金属Mnを削減することができる。
Mn濃度規格が0.55〜0.65質量%、Al濃度規格が0.02〜0.04質量%である高Mn極低炭素鋼を、本発明方法を適用して溶製した例を説明する。
高炉から出銑された溶銑を脱燐処理し、この溶銑を転炉に装入して上吹きランスから酸素ガスを供給して脱炭精錬を実施した。この脱炭精錬では、転炉内に溶鋼トンあたり12kgのMn鉱石を添加するとともに、転炉内のスラグの塩基度を3.0に調整した。溶鋼中炭素濃度が0.045質量%となった時点で転炉脱炭精錬を終了した。
得られた溶鋼を転炉から取鍋へ出鋼し、その後、RH真空脱ガス装置に搬送し、RH真空脱ガス装置にて炭素濃度が0.001質量%となるまで真空脱炭精錬を実施した。この真空脱炭精錬後に、前述した(1)式で算出される値と同量の金属Alを添加して脱酸処理し、脱酸処理後、電解金属Mnを使用してMn濃度が0.6質量%になるようにMn調整を行って、高Mn極低炭素鋼を溶製した。尚、(1)式を用いて算出するに際して、Al純分(B)は1.0、溶鋼のAl含有量目標値(A)は0.3kg/t(溶鋼のAl目標値=0.03質量%)、αは0.0015、βは0.4、γは1.3として算出した。
脱ガス精錬処理後、溶鋼をRH真空脱ガス装置から連続鋳造設備に搬送して鋳造し、スラブ鋳片を製造した。このスラブ鋳片から分析試料を採取してAl濃度を分析し、チャージ間でのAl成分値のバラツキを調査した。その結果、Al成分値の標準偏差のσ値は0.0042質量%であり、従来のσ値が0.0057質量%であったことから、鋳片のAl成分値のバラツキは大幅に低減することが確認できた。また、本発明を適用することによってRH真空脱ガス装置での処理時間は28.0分となり、従来の処理時間29.5分に比較して約1.5分間短縮された。
溶鋼中のMn濃度を変化させてAlロス分を調査した結果である。

Claims (1)

  1. 転炉にて溶銑に対して大気圧下での脱炭精錬を行って溶鋼を得て、次いで、転炉から出鋼後の溶鋼を真空脱ガス設備にて真空脱炭精錬及びAl脱酸処理して、炭素含有量が0.005質量%以下、Mn含有量が0.4質量%以上、2.0質量%以下の高Mn極低炭素鋼を溶製するに際し、前記転炉ではMn源としてMn鉱石を投入して脱炭精錬し、前記真空脱炭精錬後のAl脱酸処理では、下記の(1)式で算出されるAl系脱酸剤投入量のAl系脱酸剤を添加することを特徴とする、高Mn極低炭素鋼の溶製方法。
    AL=(A+α×[O]+β+γ×ΔMn)/B …(1)
    但し、(1)式において各記号は以下を表すものである。
    AL:溶鋼トンあたりのAl系脱酸剤の投入量(kg/t)
    A:溶鋼トンあたりのAl含有量目標値(kg/t)
    [O]:Al脱酸前の溶鋼中酸素濃度(ppm)
    ΔMn:出鋼直後の溶鋼中Mn濃度と真空脱炭精錬終了時の溶鋼中Mn濃度との差(質量%)
    B:Al系脱酸剤のAl純分(−)
    α:定数(0.001≦α≦0.002)
    β:定数(0.3≦β≦0.5)
    γ:定数(1.0≦γ≦1.5)
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